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「現実チャンネル」に始まり、ラッパーとしても、YouTuberとしてもコアな人気を集める天竜川ナコンに、就活やキャリアについて尋ねる連載企画。
連載最終回となる本記事では、「現実チャンネル」や音楽制作のルーツとなるエピソードから、現代の就活生が抱える「やりたいことがない」という悩みへの向き合い方などを伺いました。
※本記事は連載記事です。下記のリンクから過去の記事へ飛べます。
・1記事目:「就活は運ゲー」。現実チャンネル・天竜川ナコンがそれでも就活をやり切れた理由
・2記事目:2度の留年、友達ゼロ人、34歳でラッパー。「やらなかった人生を見たくない」天竜川ナコンの生き方
・3記事目:就職したら創作はできない? 天竜川ナコンが「消えてしまう火ならそれまで」と語った真意
| ▼天竜川ナコン プロフィール ラッパー・YouTuber・ブロガー。YouTubeチャンネル「現実チャンネル」を運営し、独自の視点で現実や人生に向き合い続ける姿勢をコンテンツとして発信している。HIPHOPアルバム制作のクラウドファンディングでは約1,000万円の支援が集まり、その生き様に共感するファンから熱烈な支持を集めている SNS:YouTube / X(旧Twitter) / Instagram / note |
【特別インタビュー企画】
「あの人」に聞く未来の“出会い方”社会という広い海へ漕ぎ出す就職活動。
地図も決まった航路もないなかで、
どうやって自分の進むべき道を決断すればいいのでしょうか。
必要なのは、誰かが作った正解ではなく、自分が納得して進むための「羅針盤」。
本企画では、自分だけの羅針盤をもって
オリジナルの道を歩む人たちにインタビュー。
迷いながらも進み続けた人生ストーリーから、
明日からの就活がちょっと楽しみになるヒントをお届けします。
「現実チャンネル」が生まれた理由

──そういえば、なぜYouTubeチャンネルの名前を「現実チャンネル」にしたのでしょうか?
天竜川ナコン)言葉を選ばずに言いますと、YouTubeってフェイクなものもたくさんあると思っていて。
そのなかで、中年男性が顔面をしっかりお出しして、一人でおしゃべりをしている。そんなリアルそのものを映し出していく場ということで「現実チャンネル」と名付けました。
ある種、アンチテーゼ的な動画を作りたかったんですね。

──そもそも、いつから動画で発信していくことに興味を?
天竜川ナコン)新卒で入った会社では仕事で動画を作ることもあって、そこである程度のノウハウを身に付けられたので、自分でも作ってみたいなって思ったんですね。
その後転職したことで時間の余白が生まれ、音楽も腰を据えて作れるようになってきた辺りかな。「このタイミングで出し物をしないと後悔するな」と、動画を作って投稿し始めました。
やりたいと思っていたことを実現できそうなタイミングを逃しちゃいけないって、身体が感じていたんでしょうな。

動画のアイデアは「消去法」
──その先で『縛り旅』『現実 実況プレイ』など、ナコンさんならではの人気コンテンツが生まれた経緯もお聞きしたいです。
天竜川ナコン)アイデア自体は「消去法」で考え出しました。
大前提として、働きながら作るので時間があまり使えません。それでも作れるのって何だろうと考えたとき、自分の生活、日常をそのまま使うのが良いと思ったんですね。今で言うVlogみたいな。
天竜川ナコン)あとは当時ゲーム実況をよく見ていたので、人に見てもらうための一工夫として「実況要素」を組み合わせた結果誕生したのが『現実 実況プレイ』です。

「誰も言っていないことを言いたい」
──動画ごとのアイデアはどのように思いついているのでしょうか。朝の散歩中だったり?
天竜川ナコン)アイデアは机に向かって考えることが多いですね。メモに書き出したりして、自分の経験とかを整理したり。「あの動画も机に向かって考えたのか」って思われるとちょっと恥ずかしいですが(笑)。
でも、アウトプットとしての動画がどんなコンセプトになるにしろ、自分の中にあることしかやはり投入できないので、振り返ったり、落ち着いて考えたりする過程がどうしても必要なんですね。

天竜川ナコン)その点では『神の予定調和を超える』という動画は個人的には気に入っています。自分で自分の言葉にすごく納得できたんですね。
ほかの人がまだ言えていないことを自分が言えたな、言葉にできたな、と思えたときは嬉しいし、印象に残りやすいですね。
──ちなみに、最初にアップした企画動画は覚えていますか?
天竜川ナコン)えーっとなんだっけ。確か……いや、恥ずかしいので言いたくないかも(笑)。覚えていますが、秘密です。

HIPHOPの出会いは『鉄腕アトム』
──チャンネルのルーツもお聞きしたところで、音楽制作、HIPHOPに関するルーツもお聞きしたいです。やはり昔から聞いていたんですか?
天竜川ナコン)かなり昔から聞いてますね。自分で作り始めたのは大学に入ってからですが、聞き始めたのは小学生のときからです。
当時見ていた『鉄腕アトム』(手塚プロダクション)のオープニング曲がHIPHOPで、それが衝撃的にかっこよかったんですね。そのときから、聞くジャンルはHIPHOPだけってくらいのめり込んでいきました。

天竜川ナコン)大学受験のときもラッパーのSEEDAとKREVAがコラボした『TECHNIC』を聞いて背中を押してもらっていたことをよく覚えています。
力強いリリックが備わるラップって、やっぱり気持ちを奮い立たせてくれたり、自分らしい自分でいるためにすごく力を与えてくれると思っていて。だからずっと聞いていますね。

「やってみたい」で始めたラップ
──最初に作った曲は覚えていますか?
天竜川ナコン)はい。口で説明するのは難しいんですが、明るい感じというか、まさに気分が上がっていく、5月の新緑のような曲でした。
ただ、最初からラップを作ったわけではなくて、ビートやトラックとか後ろで鳴っている音楽を作っていました。

天竜川ナコン)リリックを自分でつけ始めたのは結構先のことです。最初はほかのアーティストにラップをのせてもらうところから始めて、そこから段々と「自分でもやってみたいな」と思うようになったんですね。
受験のときにも勇気をもらっていたって話しましたけど、音楽こそ「何を言っているのか」がすごく大事だなって思い始めていて。
とくにHIPHOPというジャンルはリリックに何を込めるかが一層重要な音楽だから、そこに自分の経験や、自分の言葉を載せたい、そう思ったのです。
やりたいことがないのは「周りの目」が気になるから?

──動画に音楽。「やりたい」に向き合ってきたナコンさんですが、「やりたいことがない、見つからない」という悩みを抱えている人へ、一つアドバイスを贈るとしたら?
天竜川ナコン)そうですね……。一つ思うのは、「一切やりたいことがない」という状態は、実はないのではないか、ということです。
やりたいことがない、というよりも、一般的に見たらそれは現実的ではなかったり、どう思われるか不安になってしまったり、そういった「周りの目」が気になって、やりたいことに無意識に蓋をしてしまっている。そう呼ぶべきケースが多いのではないでしょうか。
ここまで入れ込んでいる自分を見て、親や友達はどう見るだろう、とか。

天竜川ナコン)私もそうでした。音楽をやりたい、ラッパーになりたい。でも、社会がそれを許すだろうか。そう思うと動けない。
でも、そういったものを抜きにして、それが荒唐無稽な未来に見えたとしても、一度自分の欲求にとことん向き合ってみてほしいです。
てめえの価値はてめえで決める
天竜川ナコン)周りからの評価、見られ方というのはものすごい力があります。自分をポジティブにしてくれることもあれば、地の底の底にまで落としてくるような、ネガティブな影響を与えてくることもある。
たとえば私も作った曲を『ニコニコ動画』という動画投稿サイトにアップしていたのですが、そこで見てもらえることが増えていくたび、新しいつながりが増えることもあれば、辛辣なコメントが流れることも増えて。
「うるさいだけ」とかも書かれてましたね。おい! それは人に向けちゃいけねえ言葉だろって(笑)。

天竜川ナコン)そういった辛口な評価がボディーブローのようにじわじわと効いていて、段々と作るのが嫌になっていました。これが本当にやりたいことなのか? そう感じてしまった。
楽しくて、やりたくて始めたはずだったのに、他人からの評価の総量で価値を測ろうとし始めている。自分で自分を評価するハードルを上げてしまっていたんです。
でも、それって違うよな、と。確かに他人からの意見、評価というものはとても大切ですが、自分にとっての絶対的な判断基準にまでしてしまうのは、避けたほうがいい。
他者からの評価が介在しない、完全自由にやりたいことを実現していいというフィールドに立ったとき、頭に浮ぶあなたの願いは何か。「本当にやりたいこと」は何か。ぜひ考えてみてほしいです。

──「自分」はどうしたいのかを突き詰めた先に、「やりたいこと」がある。
天竜川ナコン)はい。すると、「実はこういうのがやりたかった」「無理だと思っていたけど、目指してみたかった」という思い、願いが出てくるんじゃないでしょうか。
AI時代だからこそ「欲求」の価値が高まる
天竜川ナコン)「好き」「やりたい」を突き詰めて道を選択することは、AI(人工知能)の発展著しい現代においては、より大切なことになっていくとも考えています。
AIの発展、ものすごいですよね。この変化スピードのまま進んでいったとしたら、10年後の社会は一体どうなっているのでしょうか。
そうなってくると不安なのが「この仕事は将来残っているのか」という点ですよね。今の就活生の方はそんな悩みが一層強くなっているとも思います。

天竜川ナコン)正直、何が消え、残るのかは判断がつきません。それならば、わからないならば、好きで好きでたまらないこと、苦手に思わないことに打ち込む方が良いのではないでしょうか。
好きでやることは強い。それに、機械が「好きでやっている」というフェーズに入るには、まだまだ時間はかかるでしょうから。
希望を抱いて、できることをできるだけ進めていく
──それでは最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
天竜川ナコン)歯を食いしばって就活を続けたとする。でも、苦労が絶対に報われるとは限らないから切ないですよね。うまくいかないときもあると思います。
そんなときでも、どうか他人と比べることだけはしないでほしいです。いくら比べたってきりがないので。自分なりに、できることをできるだけ進めていく。それしかないと思います。
大きな目標は別になくたっていいし、就活を楽しめなくたっていい。でも、未来には楽しいこともたくさんあるだろうと希望を抱くことだけは、どうか手放さないでほしいです。
悲しみではなく、楽しさに目を向けて。自分なりの足取りで、どうか歩んでいってほしいなと思います。

取材・執筆・撮影:小林駿平
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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