この記事のまとめ
- フェルミ推定はトレーニングすれば誰でも突破できる
- フェルミ推定は就職試験だけでなく、ビジネスの場面でも必要になる
- 解答手順を覚えて、練習問題で対策しよう
- 面接力診断ツール
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特に外資系企業やコンサルティングファームの採用面接で出題される「フェルミ推定」。「面接官はフェルミ推定で何を評価しているのだろうか」「実際にどんな問題が出題されるのだろう」とフェルミ推定についてわからないことがたくさんあるという人もいるのではないでしょうか。
フェルミ推定は正確な解答を出すことが目的ではありません。直感的に予測するのが難しい数値を論理的に概算するのが目的です。そして、フェルミ推定の目的や必要な背景をきちんと理解し、トレーニングをすれば誰でも攻略できます。
この記事では、キャリアコンサルタントの永田さん、田邉さん、遠藤さんのアドバイスを交えつつ、フェルミ推定の基礎や例題、面接官が評価するポイントなどを解説します。この記事を読んだあなたは、フェルミ推定が出題されても自信を持って解答できるようになりますよ。
フェルミ推定は背景を理解してトレーニングすれば誰でも攻略できる
なぜ、面接でフェルミ推定を出題する企業があるのでしょうか。それは、ビジネスにおいてフェルミ推定の能力が必要だからです。
フェルミ推定が必要な背景を理解しなければ、効率良くトレーニングすることはできないでしょう。そのため、まずはフェルミ推定が必要とされる背景を理解することが大切です。
この記事ではフェルミ推定の例題や解き方だけでなく、フェルミ推定が必要な理由や背景、面接官が評価するポイントなどを解説します。「そもそもなぜ面接でフェルミ推定を出題するのだろう」と疑問に思う人は読み進めてください。
さらにフェルミ推定を攻略するコツや対策のポイントを徹底解説。一見難しそうなフェルミ推定もコツをつかめば誰でも攻略できるので、最後まで読んで自信を持ってフェルミ推定に臨みましょう。
フェルミ推定とは?
フェルミ推定とは「感覚的に予測することが難しい数値を、論理的に概算すること」を指します。
なお、上記の定義は「感覚的に予測できない数値を推定する」「論理的に推定する」「概算する」の3つの性質で構成されています。
たとえば、「日本のマンホールの数は?」という問いが出題されたとします。フェルミ推定はこのような予測するのが難しい数値でも、論理的思考力を活かして推定することで概算は出せるのです。
一方で、導き出した数値があまりにも非現実的である場合は、フェルミ推定とは言えないことには注意が必要です。
フェルミ推定の対策が必要な理由
フェルミ推定の対策が必要な理由は、就職試験で出題されるだけでなく、入社後も勉強した内容が活かせるからです。入念に対策することで就職試験を有利に進められ、さらに、即戦力として活躍できる可能性があります。
また、就職試験に向けてフェルミ推定の対策をしておくことで、ビジネスケース問題など他の形式の就職試験にも対応できるようになります。このように、フェルミ推定対策をすることで、さまざまな形式の就職試験を有利に進められるようになるため、対策する必要があるのです。
フェルミ推定は、対策していなくとも推測したり計算することが得意であるならばさほど問題ありません。
しかし、戦略コンサルタントのような職種を希望しているにもかかわらずまったく実施した経験がない人や、フェルミ推定を苦手としている人は、対策や練習をしておいたほうが良いでしょう。
フェルミ推定が出題される可能性が高い企業
フェルミ推定はコンサルティングファームや投資銀行などで出題されるケースが多いです。
コンサルティングファームの仕事は顧客の課題を解決すること。論理的思考力や仮説構築力、計算スピードなどが求められます。また、投資銀行の仕事は企業のM&A(企業の合併・買収)や資金調達を提案することです。思考力や提案力などが求められます。
上記のような能力はフェルミ推定で鍛えたり、現状の能力を測ったりすることが可能です。そのため、コンサルティングファームや投資銀行の就職試験でフェルミ推定が出題されることがあるのです。
コンサルティング業界を志望している人は、こちらの記事で志望動機の書き方もマスターしておきましょう。
例文12選|コンサルの志望動機で必須のアピール内容とNG例を解説
フェルミ推定以外にも、口頭試問が課される企業もあります。気になる人はこちらの記事を参考にしてください。
口頭試問は何が評価される? 突破に向けた6つの攻略法を伝授!
上記以外では総合商社などのケース面接で、フェルミ推定を活用する場合があります。
優秀な人材を確保するためにコンサルティングファームの採用方式を取り入れたと考えられています。商社志望の学生もフェルミ推定を対策しておきましょう。
面接に出題されなくてもビジネスで活かせる
フェルミ推定は全ての企業の面接で出題されるわけではありません。志望業界や職種によっては、選考でフェルミ推定にまったく出会わないケースもあります。しかし、フェルミ推定の対策をしておくことは必要です。なぜなら、面接に出題されなくてもビジネスで活かせるからです。
前述でも説明した通り、フェルミ推定は「感覚的に予測することが難しい数値を、論理的に概算すること」。明らかになっていない数値を割り出す必要がある際に、フェルミ推定で培った能力が役立ちます。
たとえば、コンサルタントが顧客の課題に対して複数の解決策を考えた際、どれが最も効果的か推定する必要があります。どの解決策もまだ実行していないため、推定によってどの解決策が最も効果的かといった順位付けをしなければいけないのです。
このように、フェルミ推定はビジネスにおいても役立つ場面があるため、勉強して損はありません。
フェルミ推定でわかることは「ざっくりとしたおおよその数字」です。
たとえば新商品を市場に投入する、店舗を統廃合といった戦略立案の場面で、検討すべき要素は何か、どのような効果が見込まれるかなどをつかむときに役立ちます。
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フェルミ推定で面接官が評価する4つのポイント
フェルミ推定で面接官が評価する4つのポイント
- 抽象的なものを具体まで分解できるか
- 考えたことを論理的に説明できるか
- 自分の誤りを認め正しく修正できるか
- 考えることを楽しめているか
フェルミ推定を解答する際、正しい答えではなく、「面接官が評価するポイント」を意識することが重要です。
面接官はあなたが入社後に能力・スキルを活かして活躍できるかどうかを判断しています。その判断を下すために、どんな観点が見られているのかを予め理解しておきましょう。
ここからはフェルミ推定で面接官が評価するポイントを4つ解説します。
①抽象的なものを具体まで分解できるか
就職試験においては、抽象的な物事を具体的なところまで分解する能力が評価されます。この能力が長けていると課題の全体像を俯瞰的に捉えられたり、全体像を捉えた課題を適切に分解したりすることが可能です。
たとえば、「日本の大学生の人口は?」という課題の抽象から具体まで分解できるようになると、まずは日本の人口という全体を把握してから、人口分布や日本の大学の数などの要素で分解できるようになり、より正確な解答ができるようになります。
このように、企業はフェルミ推定を出題し、数値的な要素を論理的に分解できるかどうかを見ているのです。
たとえば、WEB広告に関する企業では数値的な要素をきちんと分析できることが非常に重要です。
WEB広告に関する企業はクライアントのために的確なアドバイスをする立場なので、抽象的なものを具体まで分解する力が求められます。
②考えたことを論理的に説明できるか
就職試験におけるフェルミ推定は解答を導いて終わりではありません。面接官に考えたことを論理的に説明する必要があります。また、簡潔に説明することも大切です。
就職試験におけるフェルミ推定のほとんどは解答後に説明する時間が設けられます。出題されたフェルミ推定について「立てた仮説」や「捉えた全体像」、「どのように要素分解したか」などを論理的に説明できなければ、面接官に能力をアピールできません。
このように、就職試験においてはあなたが考えたことを論理的に説明できるかどうかも見られています。わかりやすくかつ納得のいくような説明ができるよう準備しておきましょう。
③自分の誤りを認め正しく修正できるか
フェルミ推定の解答後、面接官に数値的な誤りや論理的ではないなどを指摘される場合があります。その際、自分の誤りを認めて正しく修正することが重要です。
実際のビジネスの場面でも一発で解答を導き出せるわけではありません。チームで対話を重ね、何度も修正しながら精度を上げていくのです。そのため、自分の誤りを認められず、固執してしまうと「入社後、チームに迷惑をかける」と判断される場合もあるでしょう。
このように、面接官の指摘を認め、「どこで計算を間違ったのか」や「間違った原因は何か」などを速やかに特定し、正しく修正していくことが大切です。
④考えることを楽しめているか
そもそもフェルミ推定で出題されるような課題について考えること自体を楽しめているかを評価されます。なぜなら、面接でフェルミ推定を出題するような企業では、複雑で難しい問題を解決することが常に求められるからです。
面接の段階で楽しめていない人は、入社後、仕事に意欲的に取り組めないと判断される可能性もあるでしょう。このように、楽しみながら考えることも大切なのです。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見るフェルミ推定をおこなう企業は論理的思考力を見ている
フェルミ推定をおこなう企業側の意図はさまざまです。しかし、どの企業でも共通して「論理的思考力」には注目しています。分析力やマーケティング力を重視している職種の場合は、きちんとロジックを組み立てて仮説・検証をおこなえるかは重要なポイントです。
しかしそれはあくまで最低限であり、ライバルの就活生誰もが備わっている能力だと考えておくべきでしょう。そのうえで、自分自身がどのように差別化を図るかという点がミソになります。
ライバルと差別化を測るなら「素早さ」を前面に出すのも手
とはいえ、計算能力やデータ分析力など、これまで得意としてなかった部分をいきなり伸ばそうとしても一朝一夕ではなかなか身に付くものではありませんよね。
そのため、すぐにできることとして「素直さ」を前面に出すことも1つの手です。これは意識だけですぐに取りかかることができるだけでなく、面接中でも随時発揮できます。
フェルミ推定を得意とする人に多くみられる傾向として、ロジカルシンキングが得意な分、自分を過信してしまったり誤りを素直に認められないというものがあります。
したがって、自分が出した答えが100%合っているわけではないということを念頭においたうえで、相手の言い分をきちんと受け入れさらに良い答えを導く姿勢を見せましょう。
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4ステップ簡単! フェルミ推定の解答手順
例題を紹介する前に、実際にフェルミ推定はどのようにして解くのかということを解説します。どんな問題でも基本的な解答手順は変わらないため、流れを把握しておくことが大切です。
①解答に必要な材料を準備・確認する
まずは、フェルミ推定に必要となる材料や前提を準備・確認しましょう。フェルミ推定で出題される問題は設定があいまいな場合があります。不明点がある場合、いきなり解答し始めるのではなく、解答に必要な材料を面接官に質問したり、自分で設定したりする必要があります。
特に重要なのが「対象となる範囲」と「言葉の定義」を確認することです。「対象となる範囲」は問題においてどの範囲の数値を求めるかを明確にし、「言葉の定義」はあいまいな箇所があったら、面接官に確認して齟齬が生じないようにします。
たとえば、「カフェの売上を求めよ」という問題が出題されたとします。その際、「全国のカフェなのか」または「特定のカフェなのか」という対象となる範囲、「カフェに喫茶店やコーヒーショップなどは含まれるか」といった言葉の定義を確認する必要があります。
すぐに解答し始めるのではなく、必要な材料を準備・確認することが重要です。
フェルミ推定を解くときに定義や範囲の確認を怠ると、仮説を立てた内容と異なる結果になってしまったり回答が矛盾したりしてしまいます。
適切な回答をするためにも、時間をかけて定義や範囲の確認をしましょう。
②要素を分解して解答方法を検討する
次に要素を分解して解答方法を検討していきます。この作業がフェルミ推定で最も重要で本質的な部分です。
「要素分解」とは複雑な数値を分解して、より推定しやすい数値の組み合わせに変形するといった作業です。「正確に分解できているか」「分解したそれぞれの要素が推定可能なものであるか」に注意しましょう。
たとえば「日本の家庭用テレビの台数」を求めるとします。その際、「世帯数」がかかわるでしょう。「日本の家庭用テレビの台数=世帯数×〇〇」であり、〇〇を求めるには「〇〇=日本の家庭用テレビの台数/世帯数」という式が成り立ちます。
この式から〇〇に当てはまるのは「1世帯あたりのテレビの台数」と考えられ、「日本の家庭用テレビの台数=世帯数×1世帯あたりのテレビの台数」という式が成り立ちます。
- 解答方法を検討するのが苦手で、どうやって答えを導けば良いのかわからなくなってしまいます……。考え方のコツを教えてください。
身近で気になることを練習台に4つのステップにあてはめて計算してみよう
フェルミ推定は基本的に「見当もつかない数値を概算する」ということです。売上を求められる場合や個数を求める場合だけでなく、潜在顧客などを探る場合もあったりします。
計算の式や基準となる数値の中身は変わっていくものの、基本の構造は本記事で示されている通りの4ステップにあてはめて実施すれば答えは導きだせます。
型にはまった例題にとらわれずに、まずは身近で自分が気になることを練習台としてチャレンジすることで、フェルミ推定への苦手意識は解消されていくでしょう。「習うより慣れろ」の精神で場数をこなすことも必要です。
③分解した要素に把握している数値を当てはめる
要素分解が完了したら、把握している数値を各要素に当てはめていきます。また、感覚的に推定できる数値も当てはめて問題ありません。数値を当てはめ終えたら、実際に計算していきます。
なお、都度数値を当てはめるのではなく、要素分解が完了してから数値を当てはめる方が効率的です。
数値の当てはめで役立つ基本的な数値は記事の後半で解説するので、事前に覚えておくとスムーズに進められます。
④妥当性・現実性を検証する
計算が終了し解答が出たら、その数値の妥当性や現実性を検証しましょう。
あまりにも現実的ではない数値が出た場合、どこかで計算を誤っている可能性があります。非現実的な数値が出た場合、「正しく要素分解できているか」「代入した数値に誤りはないか」を確認する必要があります。
ただし、就職試験で検証までを求められるケースは多くありません。とはいえ、論理的思考力や考える力を身に付けるためにも、トレーニング時は検証もおこなうようにしましょう。
上記の4ステップはいずれも答えを導くためには必要ですが、特に重要なステップは「①必要な材料の準備」と「②要素分解」です。
なぜなら、入口がずれると出口が大きく変わってしまうからです。世の中の仕組みをよく理解し、どういった要素で構成されているか、どのような情報が必要かをしっかり見極めてください。
系統別! 就職試験で出題されるフェルミ推定の例題
ここからは就職試験で出題されるフェルミ推定の例題をもとに、解き方を解説します。解き方を知っただけでは実際に解けるようにはなりません。例題に触れて対策していきましょう。
なお、フェルミ推定の問題は「売上系」「個数系」「市場規模系」の3つに分けられます。系統別で例題を紹介していきますね。
売上を推定するフェルミ推定の例題
売上を推定するフェルミ推定の例題を紹介します。日本全国のある商品の売上を求める問題や、特定の範囲の売上を求める問題などがあります。
解き方にはある程度の規則性があるため、例題を解いて把握しましょう。
売上を求める際のコツとして「要素を分解する」ことを意識してください。売上は「顧客数」×「単価」で計算できるので、まずはミクロの視点から考えてみましょう。
その後に、総人口消費量や期間を式に入れていくことで、数値を導き出します。この時、本来必要な要素の漏れが出てしまうと、最終的に正解からかけ離れた数字になってしまうので注意が必要です。
ラーメン店の一日の売上は?
ラーメン店の一日の売上を求めるフェルミ推定
まずは前提を確認します。範囲は東京都の大学の前にある席数20席の人気ラーメン店とします。営業時間は11時〜深夜1時まで、メニューは650円(小)・750円(中)・850円(大)としましょう。
次にラーメン店の一日の売上を求める式を立てます。「ラーメン店の一日の売上=客単価×一日の来客数」となりました。
式を立てたら各要素を細分化していきます。客単価は「小を頼む人」「中を頼む人」「大を頼む人」の3パターンに分けられます。大学の前ということもあり、食欲旺盛な大学生が多いと予想し、客単価の比率を小・中・大=3・3・4としましょう。次に営業時間を2時間ごとにグループ分けして、各グループの客数を「席数×満席率×回転率」で求めます。回転率は2時間/一人の滞在時間で求めます。その結果、一日900人と推定することができました。
最後に式に数値を代入し「ラーメン店の一日の売上=650×(900×0.3)+750×(900×0.3)+850×(900×0.4)=68万4,000円となります。
自宅で使用される電球の年間売上は?
自宅で使用される電球の年間売上を求めるフェルミ推定
前提確認によって、形状や電球の種類にかかわらず、電灯類すべてを対象とします。次に、家庭用電球の年間売上を求めるために「家庭用電球の年間売上=販売単価×年間販売数」という式を立てました。
年間販売数は「世帯数×1世帯あたりの年間販売数」に細分化され、さらに世帯数は「日本人口/1世帯あたりの人数」と細分化できます。また、1世帯あたりの年間販売数は「1世帯あたりの電球数×年間買い替え回数」と細分化可能です。
日本の人口は1.2億人、1世帯あたりの人数は2.5人としましょう。そして、1世帯あたりの電球数は20個、年間買い替え回数は0.5回とします。すると、世帯数が5,000万世帯、1世帯あたりの年間販売数が10個と導くことができます。
最後に「家庭用電球の年間売上=販売単価×年間販売数」に数値を代入し、家庭用電球の年間売上は2,500億円となります。
なお、売上を推定するフェルミ推定には、他にも以下のような問題があります。
売上を推定するフェルミ推定の他の例題
- 箱根にある温泉旅館の年間売上は?
- 東京都にあるカフェ1店舗の売上は?
- 映画館の1日の売上は?
- スターバックスの1日の売上は?
個数を推定するフェルミ推定の例題
個数を推定するフェルミ推定の例題を紹介します。特定範囲のある製品の個数を求めたり、世界規模である個数を求めたりする問題があります。
個数を推定するパターンの問題は「人口密度は1平方キロメートル当たり住居する人の数」のように単位を意識しましょう。
そうすることで、要素分解をするときに漏れなく重複なく考えられるようになりますよ。
日本にある家庭用自動車の数は?
日本にある家庭用自動車の数を求めるフェルミ推定
前提条件では求める範囲と自動車の種類を確認しましょう。問題文から範囲は「日本全国」、自動車の種類は「家庭用自動車」に絞って解くことができますね。
次に式です。日本にある家庭用自動車の台数は世帯数に比例すると考えられるため「日本全国にある家庭用自動車の台数=世帯数×1世帯あたりの家庭用自動車の保有台数」といった式が成り立ちます。
次に要素を分解していきましょう。世帯数は「世帯数=人口/1世帯あたりの人数」で求められます。1世帯あたりの家庭用自動車の保有台数は都市部と郊外では異なりますよね。そこで、日本全国の世帯数を100%とした場合、都市部は30%、郊外は70%と想定します。
都市部は公共交通機関が発達しているため、1世帯あたり0.5台の家庭用自動車を保有していると想定。郊外は公共交通機関が少なく、遠出の機会が多いため1.5台と想定しました。そうすると、1世帯あたりの家庭用自動車保有台数の全国平均は1台となります。
最後に数値を代入していきます。世帯数は「世帯数=1.2億人(人口)/2.5人(1世帯あたりの人数)」で5,000万世帯。「日本全国にある家庭用自動車の台数=5000万世帯×1台」で答えは5,000万台となりました。
今、世界中で寝ている人の数は?
今、世界中で寝ている人の数を求めるフェルミ推定
まずは前提条件を確認しましょう。世界中の人の一日の睡眠時間を7時間として、24時〜7時までの間寝ているとします。また、人口分布は地球全体にまばらに分けられているとします。
次に式です。「今、世界中で寝ている人の数=世界の人口×睡眠率」で求められます。
次に要素を分解していきましょう。睡眠率は「今、24時〜7時となっている地域の人口」と考えられます。つまり、24時〜7時にあたる経度の地域にいる人口です。前提条件で人口分布は地球全体にまばらに分けられているとしているため、24時〜7時の地域にいる人、つまり睡眠率は24分の7になります。
では数値を代入していきましょう。「今、世界中で寝ている人の数=72億人(世界の人口)×7/24(睡眠率)」で答えは21億人となりました。
日本の大学生の人数は?
日本の大学生の人数を求めるフェルミ推定
まずは前提条件を確認しましょう。日本の大学生は皆18〜22歳とします。ここでは、浪人生や社会人から大学生になった人は含みません。
次に式です。「日本の大学生の人数=18〜22歳の人口×大学進学率」で求められます。
次に要素を分解していきましょう。まずは18〜22歳の人口を求めていきます。日本の人口を平均寿命で割って、1歳あたりの人口を求めます。
日本の平均寿命は84歳であるため、「1歳あたりの人口=1.2億人(日本の人口)/84歳(平均寿命)=148万人」となりました。そして、「18〜24歳の人口=148万人×4」で、592万人となります。大学進学率は50%としました。
では数値を代入していきましょう。「日本の大学生の人数=592万人(18〜22歳の人口)×50%(大学進学率)」で、答えは296万人となりました。
なお、個数を推定するフェルミ推定には、他にも以下のような問題があります。
個数を推定するフェルミ推定の他の例題
- シカゴにいるピアノ調律師の数は?
- 日本の電柱の数は?
- 日本にあるプールの数は?
- 1日に画面が破損するスマートフォンの数は?
市場規模を推定するフェルミ推定の例題
市場規模を推定するフェルミ推定の例題を紹介します。ある製品の市場規模を求める問題などがあります。
市場規模を推定する場合は、どの範囲を求めるのか前提条件をはっきりさせることと、算出の際に盛り込むべき要素を抜け漏れなく選ぶことが大切です。
日ごろから問いを立てて解いてみることで慣れていきますよ。
缶ビールの市場規模はどれくらい?
缶ビールの市場規模を求めるフェルミ推定
まずは前提条件を確認しましょう。範囲は国内とします。そして期間は1カ月間とします。
次に式です。「缶ビールの市場規模=缶ビールの消費量×缶ビール一本あたりの値段」となります。
次に要素を分解していきましょう。缶ビールには350mlと500mlの物があり、350mlは200円、500mlは300円と仮定します。そして、缶ビールを飲むのは20歳以上。平均寿命が80歳として、20歳以上の人口は日本人口の75%、つまり、日本人口は1.2億人であるため、9000万人いることになります。
500mlの缶ビールを毎日飲む人が20歳以上人口の5%、週1で350mlの缶ビールを飲む人が50%、月1で350mlの缶ビールを飲む人が40%、まったく飲まない人が5%とします。
では数値を代入していきましょう。500mlの缶ビールを毎日飲む人の市場規模は「9,000万人×5%×300円×30日」で405億円。週1で350mlの缶ビールを飲む人の市場規模は「9,000万人×50%×200円×4日」で360億円。月1で350mlの缶ビールを飲む人の市場規模は「9,000万人×40%×200×1日」で72億円。
これらを合計すると「405億+360億円+72億円」で、答えが837億円になります。
商店街の一日の売上の合計は?
商店街の一日の売上の合計を求めるフェルミ推定
まずは前提条件を確認しましょう。ある特定の商店街で、たくさんの店が直線上に連なっているとします。
次に式です。「商店街の一日の売上の合計=商店街にある飲食店の数×1店あたりの一日の売上」で求められます。
次に要素を分解していきましょう。商店街にある飲食店の数は「商店街にある建物の数×建物1軒あたりの飲食店の数」で求められます。2階建や3階建の建物もあるため、各建物にいくつの店が入っているかという割合を想定します。
1建物あたり0店が20%、1店が50%、2店が20%、3店が10%となりました。これらを平均すると建物1軒あたりの飲食店の数は1.5店です。また、商店街にある建物の数は200軒と仮定します。そして、1店あたりの一日の売上は20万円と仮定しました。
では数値を代入していきましょう。「商店街にある飲食店の数=200軒(商店街にある建物の数)×1.5店(建物1軒あたりの飲食店の数)」で300軒。「商店街の一日の売上の合計=300件(商店街にある飲食店の数)×20万円(1店あたりの一日の売上)」で、答えは6000万円となりました。
なお、市場規模を推定するフェルミ推定には、他にも以下のような問題があります。
市場規模を推定するフェルミ推定の他の例題
- 日本に猫は何匹いる?
- 東京都にカフェは何店舗ある?
- 日本の自動車販売の市場規模を求めよ
- 日本の動物園の1日の客数は?
- ここまでの練習問題、自力では全然わかりませんでした……。
フェルミ推定は問題を解けば解くほど得意になる
フェルミ推定が解けず、志望企業に合格できないと思うと不安になりますよね。しかし、初めから自力でフェルミ推定を解ける学生は多くないので安心してください。
フェルミ推定は解き方にパターンがあるため、練習をすればするほどスムーズに解けるようになります。そのため苦手だと感じた就活生は、この記事で紹介されている4つのステップを使って問題を何度も解き、スムーズに回答できるまで訓練しましょう。
初めは自力で解けなかった問題も、練習をして解けるようになれば、その過程自体も就活でアピールできます。
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解き方に迷わない! フェルミ推定の解答テクニック6選
フェルミ推定の解答テクニック
- 売上や利益を求めるための基本方程式を暗記する
- 需要=供給を意識する
- 要素分解は「期間」の存在を忘れないようにする
- 数を割り出すときはまずは「母集団」を明確にする
- 基礎的な数字は覚えておく
- 時間配分を意識する
ここまでフェルミ推定の例題を紹介しました。「難しい」や「自分一人で解けるかわからない」と思う人もいますよね。しかし、あるテクニックを使えば、解き方に迷うことなくフェルミ推定を解けるようになります。
ここからはフェルミ推定の解答テクニックを解説します。主に要素を分解する際に活用できるため、「フェルミ推定にまだ慣れていない」という人は参考にしてください。
①売上や利益を求めるための基本方程式を暗記する
売上や利益を求めるフェルミ推定の問題が出題されることは多いですが、基本方程式を暗記することで迷わず解けるようになります。
売上を求めるための基本方程式は以下のようなものがあります。
売上を求めるための基本方程式
- 単価×数量
- 販売単価×販売数
- 客単価×客数
- 拠点数×1拠点あたりの売上
- 市場全体の売上×自社シェア
また、利益を求める基本方程式はこちらです。
利益を求めるための基本方程式
- 売上-費用
- 売上×利益率
売上や利益を求める際、上記のような基本方程式を使わなければ計算できません。そのため、暗記しておくことをおすすめします。
②需要=供給を意識する
フェルミ推定を解く際、「需要と供給は常に一致している」ことを意識しましょう。ある数値を求めるときに需要を供給に、供給を需要に置き換えられるようになります。
具体的には「生産量=販売量」「販売量=購入量」「購入量=使用量」、つまり「生産量=販売量=購入量=使用量」といった関係になるのです。
需要=供給を意識することで出題された問題を求めやすいように変換できるようになりますよ。
- フェルミ推定では、「需要過多」や「供給過多」などの例外は考えなくても良いのでしょうか? どこまで正確に考えれば良いのかわかりません……。
特別な制約条件はないと考えて計算しよう
例外まで含めて正確な数字を出すことにこだわる必要はありません。
推定するにあたり、まず要素分解して、答えとなる数値を算出するための簡易モデルを作ります。そこに数字を代入していくときは、特別な制約条件のない場合として、手持ちの情報から類推できるものを用いるというやり方で構いません。
例外的なケースやさまざまなパターンでの検証は、実際の業務でたくさん触れることになりますよ。
③要素分解は「期間」の存在を忘れないようにする
要素を分解する際、「期間」の存在を忘れてはいけません。売上や利益を求める問題の場合、期間の長さが異なると、求める数値も大きく変わるからです。
たとえば、ペットボトルジュースの売上を求める際、「ペットボトルジュースの売上」と「1カ月間のペットボトルジュースの売上」では数値が変わる可能性がありますよね。
そのため、要素を分解する際は常に期間を含めるようにしましょう。
要素を分解する際に期間が不明ならば、最初に前提条件として面接官に確認することをおすすめします。
もしくは期間を自分で予測して計算して、「半年間で算出してみました」と解答を報告する際に伝えるのも1つの方法です。
④数を割り出すときはまずは「母集団」を明確にする
フェルミ推定では、ある特定の人数や人口を求める問題がよく出題されますが、「母集団」つまり「上限の人数」を明確にするのが有効的です。非現実的な数値が出なくなるだけでなく、「母集団×割合」といった式を使えるようになるからです。
たとえば、「今、世界中で寝ている人の数」を求める際、母集団として「世界の人口」を設定し、「睡眠率」の割合を掛け算することで解答できます。
人口や人数を求める際は、母集団は何で、どれくらいかということを明確にしましょう。
⑤基礎的な数字は覚えておく
フェルミ推定を解答するにあたって、基礎的な数字は覚えておくようにしましょう。たとえば、以下の数値がよく必要になります。
覚えておくべき基礎的な数字
- 日本の人口:1億2000万人
- 日本の平均寿命:84歳
- 日本の世帯数:5,000万戸
- 国土面積:38万平方キロメートル (30%平地、70%山岳地)
- 日本の小学校の数:20,000校
- 日本の中学校の数:10,000校
- 日本の高校の数:5,000校
- 日本の短期大学の数:300校
- 日本の大学の数:750校
- 日本の大企業の数:1.1万社
- 日本の中小企業の数:55万社
- 日本の市の数:800箇所
- 日本の町の数:750箇所
- 日本の村の数:200箇所
- 日本の給与所得者:5,000万人
- 日本の平均年収:430万円
これらの数字を覚えておくことで、より正確な数値を導き出せるようになりますよ。
⑥時間配分を意識する
就職試験は面接の限られた時間であなたを評価します。時間内に解答できなければ評価はできないですよね。
フェルミ推定は、考えるほど正確な答えに近づけますが、計算が複雑になるため時間が足りなくなります。そのため、「前提条件」「要素分解」「数値代入」「計算」などの時間配分を決めておき、時間が来たら次の工程に進むようにしましょう。
具体的には、制限時間を10とした場合、以下の割合で時間配分するのがおすすめです。
フェルミ推定の目安の時間配分
- 前提条件:1
- 要素分解:4
- 数値代入:2
- 計算:3
また、時間内に終わらせるためには、「要素を分解しすぎない」や「大体の数値を代入する」などの妥協ポイントを作っておく必要もあります。とにかく時間配分は徹底することを意識し、時間内に解答を間に合わせることが大切です。
アドバイザーコメント
遠藤 美穂子
プロフィールを見る簡易な分析モデルを作ってから細かいところを考えよう
実際にフェルミ推定が役に立つ場面として、施策の効果を見積もったり、大きなイベントが経済に与える影響を計算したりする時を想像してみてください。
要素分解するということは、求めたい結果に影響を与えると考えられるファクター(要因)を用いた簡易な分析モデルを作ることと言えます。たとえば「売上=客単価×客数」とまずは大きく分解し、客数に影響がありそうな地域の人口構成を加味するなど、徐々に細かくしていくと、あり得そうな数字が導き出されます。
また、市場規模の算出などではアプローチ方法は1つではありません。他の切り口で算出できないかと考えてみましょう。たとえばいくつかの方法で地元の薬局の数を推定してから実際の数を調べて答え合わせして、違いが出たらその理由を考えるなども良い練習になります。
常に世の中の動きにアンテナを張っておこう
テスト対策のみならず、世の中の動きにアンテナを張っておくことは働くうえで必要になります。人口や面積、平均年収など基本的な統計情報をアップデートしておく、モノの値段や移動時間など生活者としての感覚を持つなど、消費者動向を押さえておきましょう。
フェルミ推定を解答する際の注意点
就職試験におけるフェルミ推定は、正しい解答ができているかだけが評価されるわけではありません。面接官はその他さまざまなポイントを見ています。
ここからは、フェルミ推定を解答する際の注意点を解説します。すべて把握したうえで臨むことで、有効的な解答ができるようになりますよ。
正確な答えを導く必要はない
就職試験におけるフェルミ推定では、正確な答えを導く必要はありません。正確な答えを出そうとして時間に間に合わなければ、かえって評価が下がってしまいます。
フェルミ推定はあくまでも「推定」なので、答えを求めることが目的の試験ではありません。回答を導くまでのプロセスを重視しています。
そのため、時間内で答えを出すことよりも、プロセスにこだわって解くように注意してください。
フェルミ推定はあくまでも概算であり、おおよその数値がわかれば良いのです。就職試験においては答えの正確さよりも、時間に間に合わせることを意識しましょう。
一方で、非現実的な数値が出た場合も評価は下がってしまいます。ここまで解説したことを参考にして、現実的な数値が出るようにトレーニングする必要があります。
目的を見失わないよう気を付ける
フェルミ推定を解答する際、常に目的を見失わないよう注意しましょう。特に要素分解は考えれば考えるほど分解できるため、夢中になる可能性があります。
しかし、就職試験におけるフェルミ推定は正しい答えを導き出すことが目的ではありません。企業側の評価ポイントを理解し、自身の能力・思考力をアピールするのが目的ですよね。
フェルミ推定を解答する際は、常に目的を意識し、それに沿った言動を取ることが大切です。
フェルミ推定で常に意識することは、求めたい答えを構成する要素や、影響を与えると思われる要素をきちんと把握することです。
また、桁違いな答えが出たらおかしいと思えるざっくりとした数字の感覚を持つことも大切です。
根拠のない数字は使わない
フェルミ推定を解答する際、数値を仮定して当てはめるケースがあります。その際、根拠のある数値を使用しましょう。直感で根拠のない数値を当てはめてはいけません。なぜなら、「論理性に欠ける」とアピールしていることになるからです。
時間がなかったり、わからなかったりした場合は、一旦そこは避けて解答しましょう。最後まで数値を当てはめられなかった場合は、その事実と理由を面接官に説明することが大切です。
就職試験のフェルミ推定は、常に自分の論理性を確かめられているといった意識で解答しましょう。
- 解答に必要な数値がどうしてもわからない場合はどのように対処するべきですか?
経験から算出する練習をしておこう
必要な数値がわからなかった際には、自分の経験を活かして計算できるように訓練しておきましょう。
たとえば、「本州の長さ」が知識として必要なフェルミ推定の問題で、日本の長さがわからなかったとします。
あなたが今までに電車で旅行をした経験があれば、東京から名古屋まで約6時間とわかりますよね。電車の速さが50km/hと想像できれば300km(実際は263km)と仮定できます。
そして、東京・名古屋間の5倍程度の大きさと想像できれば1,500kmが算出できます。
このように経験を交えて、必要な情報もフェルミ推定で算出できるように練習しておきましょう。
面接官への説明は丁寧におこなう
フェルミ推定を解き終わった後、面接官への説明は丁寧におこなうことが大切です。答えが出たことに満足して、面接官への説明を疎かにしてはいけません。
就職試験におけるフェルミ推定は、説明力も見られています。正しい方向性で答えが導き出せても、説明を疎かにして評価を下げてしまうのはもったいないですよね。
面接官に説明する際は「結論」「理由」「具体例」「結論」といった流れの「PREP法」を活用するのがおすすめです。簡潔でわかりやすく説明できるようになりますよ。
話すのが苦手で面接官への説明が不安という人は、こちらの記事で克服できますよ。
『面接で上手く話せない』を克服する6つのコツ|緊張緩和の方法も
的外れな数値は評価を下げる可能性がある
就職試験のフェルミ推定で、解答が正確かどうかを評価するのではないと解説しました。しかし、あまりにも的外れな数値で解答した場合、評価が下がる可能性があります。
的外れな数値が導き出されるということは、「抽象的なことを具体化できていない」「論理的に物事を考えられていない」と判断されてしまいます。
仮説を立てるときは都度的外れな数値を用いてないか、計算の結果あり得ない数値が導き出されていないかを確認するようにしましょう。
フェルミ推定が出題される採用面接の流れ
フェルミ推定が出題される採用面接の流れ
- 入室・自己紹介
- フェルミ推定の問題出題
- フェルミ推定の解答
- ケース面接
- 逆質問
面接の場でフェルミ推定がどのように出題されるかイメージできないという人もいるでしょう。
ここからはフェルミ推定が出題される採用面接の実際の流れを解説します。自信を持って面接に臨むには実際の流れを把握しておくことも大切ですよ。
フェルミ推定を用いない、一般的な面接の流れはこちらの記事で解説しているので、面接経験が少ない人は併せて参考にしましょう。
直前でも間に合う! 面接の流れを頻出質問6例文付きで徹底解説
①入室・自己紹介
面接会場に入室したら最初に自己紹介をします。
最初の自己紹介は一般的な面接と変わりません。以下のような準備した内容を話しましょう。
自己紹介の内容
- 氏名
- 大学・学部
- 自己PR
- 学生時代に力を入れたこと
- 選考や入社後に対する意欲
また、企業によっては自己紹介を深掘りする質問をされることもあります。自己紹介に関する質問の対策も必要ですね。
面接の自己紹介は第一印象を左右する重要な場面です。自信がない人はこちらの記事を確認しておきましょう。
面接は自己紹介が命運を握る! 良い第一印象を残す秘訣と例文12選
②フェルミ推定の問題出題
次にフェルミ推定の問題が出題されます。自己紹介の中で出てきたキーワードに関連した問題が出題されることがあります。
たとえば「大学ではサッカー部に所属していました」と自己紹介した場合、「日本のサッカーの競技人口はどれくらいか」といった問題が出題される場合もあるのです。
解答方法や答えの丸暗記はほとんどの場合通用しません。この記事で解説した解き方を対策するのが大切です。
③フェルミ推定の解答
フェルミ推定の問題が出題された後、数分間の考える時間が与えられる場合と、与えられずすぐに解答を求められる場合があります。どちらでも対応できるよう、スピードを意識することも重要です。
フェルミ推定を含む面接では、自己PRや大学生時代に力を入れたことよりも、フェルミ推定の解答が評価されることも。注意点を意識して、目的に沿った解答を導き出しましょう。
④ケース面接
フェルミ推定終了後は、フェルミ推定で出題された問題に関するケース面接に移ります。
たとえば、フェルミ推定で日本のサッカーの競技人口を求めた場合、「日本のサッカーの競技人口を増やすためにはどうするべきか」などを質問されることがあります。フェルミ推定とケース面接は並行して対策しておきましょう。
また、1問目のフェルミ推定後、もう1問出題されるといった場合もあります。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る回答する際は「結論から述べる」ことを意識しよう
よくあるケース面接での印象としては、「いきなり解答方法を説明してしまう」ということ。この場合、面接官からすると、ダラダラと話を聞かされている感覚になってしまいます。
したがって、まず押さえておきたいポイントとしては「結論から述べる」という点です。どのような結果になったのかということを伝えずに、自分がおこなった計算方式などを話し始めたとしても悪くはないですが、結論に到達するまでにある程度時間を要してしまいます。
それゆえに「いつまで続くのだろうか」と面接官に疑念を抱かせる原因にもなりかねないので、できるだけテキパキと結論から述べましょう。
「検証したポイントは3つあります」と最初に要点を示すのも手
結論から言いたくない場合は、「検証したポイントは3つあります」や「1つ目のポイントは〇〇です」というように、今説明している箇所がどこなのかが相手に伝わりやすくなるように、見出し的に要点を絞って最初に示しておきましょう。
話の流れが明確になり、結論まで耳を傾けてもらえるように仕向けることができます。
⑤逆質問
ケース面接が終了したら、面接官に対して逆質問を求められます。
面接の逆質問で何を質問したら良いかわからない人は、こちらの記事を参考にしてください。
面接で「質問はありますか」と聞かれたら? 回答例66選を大公開
一般的な面接の流れ
- 入室
- 自己紹介
- 志望動機の発表
- 自己PR
- 逆質問
- 退出
逆質問の対策は一般的な面接と変わりません。しっかり対策して有効的な質問ができるようにしましょう。なお、一般的な面接は以下のような流れで実施するケースが多いです。
面接官が見るポイントを押さえるのが重要! トレーニングを重ねてフェルミ推定を突破しよう
就職試験におけるフェルミ推定は、正確な答えを導き出すことが目的ではありません。面接官がどこを評価するのかといったポイントを押さえ、それに沿った言動が大切になります。
評価ポイントを意識しながらトレーニングを重ねて、フェルミ推定を突破しましょう。
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見るフェルミ推定は社会に出てから仕事でも活かせる
フェルミ推定とは、就職後に仕事で活躍するための必要なスキルが備わっているか確かめるものです。面接官はフェルミ推定を通して、就職後に課題解決をする際に仮説を持って仕事に取り組めるかどうかを判断します。
フェルミ推定を希望の仕事に就職するための手段と考えている人も多いでしょう。フェルミ推定の対策をする際は、就活に成功するためだけではなく、社会人として活躍するために取り組むことをおすすめします。
就職後の仕事につながると考えて勉強に取り組もう
就活生の中には、フェルミ推定を就活のための問題として捉えてしまって、就職後にうまく活用できない人もいます。就活のために訓練したことが就職後に活かせなくなってしまうと、準備をした時間が無駄になってしまいますよね。
このような失敗をしないように、就活だけでなく就職後の仕事にも結びつけてフェルミ推定の勉強に取り組みましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Mihoko Endo〇メガバンクで法人営業や新人研修講師、採用面接に携わる。現在は「その人らしさを引き出すカウンセリング」をモットーに、大学での就活支援、社会人向けキャリア開発研修をおこなう
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