荏原製作所はやばい? 「出張・転勤が多い」「年功序列」は本当かプロが解説

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  • キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

    Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう

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  • 国家資格キャリアコンサルタント

    Takuya Takahashi〇人材系スタートアップ企業で採用支援・D&I推進に従事。その後、SIer企業でエンジニア兼研修講師として新人育成に参画。現在はNPOで若者の居場所支援やケアに取り組む

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  • 2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級

    Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう

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本企画について

「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。

「急な出張・転勤が多い」
「年功序列で古い企業体質」

荏原製作所に関する情報を集めていると、そんな口コミ情報を目にする人もいるはずです。ただし、客観的な裏付けのない噂や単なるイメージで発信された情報の可能性もあります。

この記事では、荏原製作所への就活を検討している人に向けて、「やばい」「やめとけ」と言われる理由と、企業の実態について、プロの意見を交えながら解き明かします。

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1分でわかる荏原製作所

荏原製作所とは

まだ舶来品万能の時代だった大正元年(1912年)に「ゐのくち式機械事務所」として創業し、ポンプ製品の製造販売を開始。1920年に荏原製作所に社名変更。2026年に創業114年となる老舗機械メーカーで、1949年に東証一部上場。

1985年には精密・電子事業に参入し半導体業界向けの新規事業を立ち上げ成長を加速。2010年代以降はブラジルやトルコ、北米等の産業ポンプメーカーなどを相次ぎ買収し海外事業を強化している。

会社名荏原製作所(EBARA CORPORATION)
従業員数(連結)21,148人(2025年12月現在)
本社所在地東京都大田区
おもな事業ポンプ関連の各種機器類が主力製品で、提供する対象分野別に建築・産業、エネルギー、インフラ、環境、精密・電子の5カンパニー体制となっている。

石油・ガスプラント向けコンプレッサは世界シェアNo.1、標準ポンプや排水機場用ポンプの国内シェアNo.1のほか、半導体製造に必要なCMP装置やドライ真空ポンプは世界No.2のシェアを占める。
売上高(連結)9,582億8,500万円(前年同期比10.6%増)(2025年12月期)
営業利益(同)1,138億200万円(同16.2%増)(同期間)
企業HPhttps://www.ebara.com/jp-ja
新卒採用HPhttps://www.ebara.com/jp-ja/recruit
企業情報

「荏原製作所はやばい」と言われる4つの理由|プロが解読

なぜ「荏原製作所はやばい」といわれるのか、できるだけ客観的なデータに基づき理由を考えます。自分にマッチする会社なのかどうか、キャリアコンサルタントのアドバイスも参考に考えてみてください。

①急な出張や転勤が多いから

荏原製作所の市場別の売上比率を見ると、国内33%に対し海外が約2倍の67%に達しています(※1)。海外拠点は世界41カ国に123社あり、海外の製造拠点も20カ所にのぼります(※2)。

入社後の初期配属の所属カンパニーや職種、勤務地は採用時の選択コースがベースとなります。入社後は総合職として異動の可能性があり、異動や転勤の頻度や転勤先はコースごとに異なるとのことです(※3)。

早い部署では1年目から海外出張するケースや、将来的に海外駐在を託される場合もあるようです。海外売り上げが約7割もあり、国内の製造・販売拠点も多いだけに、職種や部署によっては国内外を問わず出張・転勤が多いことは覚悟する必要がありそうです

※1 採用HP「3分で知るEBARA」
※2 同社HP 統合報告書2025
※3 採用HP よくある質問

プロのアドバイザーはこう分析!赴任しなくても世界が舞台! 荏原製作所で求められるグローバルな心構え

キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

谷所 健一郎

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荏原製作所の売上高に占める海外比率は約7割に達しており、同社がグローバル市場を主戦場としていることは間違いありません。

世界41カ国に広がるグループ拠点を持つことからも、海外事業が成長の柱であることがわかります。

ただし、「海外売上が7割だから全員が海外出張や海外赴任する」というわけではありません。初期配属や担当業務は採用コースや配属先によって異なり、海外赴任の機会や頻度にも個人差があります

一方で、海外顧客との商談や海外拠点との連携、海外出張などにかかわる可能性は高く、部署によっては若手のうちからグローバル業務を経験することもあります。

そのため、海外赴任を前提とまでは言えないものの、「将来的に海外案件や海外拠点との仕事に携わる可能性はある」という心構えは持っておいたほうが良いでしょう。

世界へ羽ばたく準備をしておくことが活躍への第一歩

また、入社時点で高度な英語力が必須というわけではありませんが、語学力を磨く姿勢や異文化への適応力は重要です。

日本国内だけで完結するキャリアを想定するよりも、自身の専門性を世界で発揮する可能性を前向きに受け止められる人のほうが活躍しやすい環境と言えるでしょう。

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➁年功序列で評価制度も古いから

口コミサイトでは「仕事に対する評価に納得いかない」「年功序列」といったワードを目にします。実際はどうなのでしょう。

荏原製作所は2017年に基幹職(管理職階層等)、2018年に一般社員を対象に役割等級制度を導入しました。同社はこれにより「年功序列」の人事管理ではなく、属性に拠らない、グローバルで通用する処遇を実現できるようになったと説明しています(※4)。

かつては年功序列の人事管理が存在していたことを認めた形です。しかし、同制度が導入されてすでに10年近くになり、現在は実行した仕事や役割にふさわしい評価と処遇を受けられるようになっていると考えられます。

※4 同社HP 公正な処遇・評価

プロのアドバイザーはこう分析!年功序列は過去の話? 定着した評価制度がもたらすフェアな社内環境

国家資格キャリアコンサルタント

高橋 拓也

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形式上はもちろん、制度の導入から10年近く経って評価方法もある程度浸透していると考えられるため、「年功序列」はほぼないと言って良いかと思います。

管理職登用には厳しい社内試験があり、実力ある若手が抜擢されるケースや、成果が賞与に反映される仕組みは着実に定着しているように見えます。

制度自体が変わっても年功序列を感じることがある

一方で、若手のうちは行動評価がベースとなっているようで、大きな差が付きにくく、基本給が緩やかに上がる年功序列的な感覚があるかもしれません。

また、伝統的な大型ポンプなどを扱う製造部門では、安全や手順を守る「熟練度」や「職人気質」が何よりの強みとなると思われるため、評価が経験年数に比例しやすく、結果として年功序列的な評価が残りやすい側面もありそうです。

また、評価をする上司も人間ですので、年功序列がなくなったと言えど、無意識に年功序列的な評価になってしまう可能性は否定できません。制度浸透のグラデーションがあるのがリアルな現状ではないでしょうか。

③コンプライアンスに不安があるから

荏原製作所は2025年2月に公正取引委員会から下請法に基づく勧告を受けました(※5)。取引先に対して木型等を無償で保管させたことが違反行為とされたのです。

その後、対象事業者に対する保管費用の支払いや、社内「法令改定対応委員会」の設置、改正法の法令遵守方針を定めて、社内への周知を徹底するといった取り組みもおこなわれています(※6)。

ちなみに、同社のコンプライアンス相談窓口への相談件数は2024年は57件(※7)で、たとえば従業員数が同程度の製造業の東京エレクトロンは181件(※8)であり、相談窓口が機能しており、自浄作用を働かせる仕組みが運用されていると推測できます。

※5 同社HPニュースリリース
※6 同社HP有価証券報告書
※7 同社HP ESGデータ集
※8 同社 統合報告書2025

アドバイザーのリアル・アドバイス!一つの不祥事で企業体質まで全否定すべきではない理由

キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

谷所 健一郎

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公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けた事実は、コンプライアンス上の課題として真摯に受け止める必要があります。しかし、この一件だけで荏原製作所の企業体質全体に問題があると結論づけるのは適切ではないでしょう。

今回指摘されたのは、木型などの無償保管に関する下請法上の問題です。法令違反である以上軽視はできませんが、検査データ改ざんや品質偽装のような不正とは性質が異なります

現時点で組織的な隠蔽体質やコンプライアンス軽視が認定されたわけではありません。実際に同社は対象取引先への費用支払いなどの是正措置を実施し、法令改定対応委員会の設置や社内ルールの見直しなど、再発防止策を進めています。

企業を評価する際は、問題の有無だけでなく、その後の対応や改善への姿勢も重要な判断材料です。

企業選びのポイント! ガバナンスや改善活動で企業の真価を問う

就職先として検討するのであれば、一件の事案のみで判断するのではなく、ガバナンス体制や情報開示姿勢、改善活動も含めて総合的に評価することが大切です。

現時点で確認できる情報からは、荏原製作所について組織的にコンプライアンスを軽視する企業と判断することは難しいでしょう。

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④人気が出て狭き門になりそうだから

荏原製作所は、就職人気企業のランキング上位に顔を出したり、採用倍率や就職偏差値の高さが目立つ企業ではありません。

しかし、同社は5年連続の増収増益という好業績(※9)、世界シェアNo.1の製品を持つ将来性、社員の平均年収が製造業界の平均569万円(※10)を超える980万円(※9)という好待遇があります。

その好条件もあって、自己都合離職率は同業界の平均8.8%(※11)を下回る1.9%(※12)、新卒採用の入社3年後離職率も同業界の平均が21.2%(※12)であるのに対して、10.3%(※13)といずれも低いレベルで、会社の居心地の良さがうかがえます

荏原製作所は企業を顧客にする事業が多いため、一般的な知名度は高くない傾向にあります。しかし、いつ就活生からの募集が殺到してもおかしくない条件を備えている企業だと言えるでしょう。

※9 同社HPファクトブックFY2025
※10 令和6年分 民間給与実態統計調査
※11 厚労省 令和6年雇用動向調査結果の概況
※12 厚労省 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します
※13 同社HP ESGデータ集

アドバイザーからワンポイントアドバイス穴場メーカー! 倍率が上がる前に知るべき優良企業の正体

国家資格キャリアコンサルタント

高橋 拓也

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BtoBの産業機械メーカーである同社は、普段の生活でその名前を目にすることはなく、一般的には知名度は低いです。

そのため、現状の採用倍率はそこまで高くない可能性があります。しかし、就活人気が急上昇する要素を十分持っており、人気が出る前の今が狙い目の穴場企業と言えるでしょう。

最大の魅力は、社会や日々の生活を足元から支えるポンプなどの分野で、世界的な高シェア率を確立している点です。

国内では高度経済成長期に建設されたインフラが老朽化のため、一斉に更新時期を迎えており安定的な需要が見込まれるほか、発展途上国をはじめとした海外展開の伸びしろも大きいです。

キャリアのステップアップにもつながる武器を手にしよう

理系や技術系の学生の間ではすでに注目している層も多いようで、インフラ・エネルギー業界の企業や官公庁のインフラ系部門からは一目置かれるメーカーです。

長期的視点で見ると、ここで培った確かな技術やビジネスの知見を足がかりに、将来的にインフラやエネルギー業界の主要企業へキャリアを広げていく選択肢も期待できそうです。

あなたが受けないほうがいい職業を知っておこう

就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。

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早いうちに自分に合う職業・合わない職業を知って、就活を成功させましょう。

人気上昇前が狙い目の隠れ優良企業

客観的なデータや事実を見る限り、荏原製作所は悪い意味で「やばい」というより、良い意味での「やばい」企業というイメージを持てます。実態がわからないまま、企業の良い面を見逃してしまわないように、気になる点は確実にチェックしておきましょう。

プロのアドバイザーならこうアドバイス!希望通りに働けるとは限らない巨大組織のリアルな厳しさ

2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級

森田 智比呂

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荏原製作所には自分に向いている仕事があるでしょう。ただし、創業から100年以上の歴史を持ち、連結従業員数が2万人を超える巨大組織である同社は、個人の素朴な希望をすぐに叶えてくれるほど小さな器ではありません。

製品群や顧客が多岐にわたるということは、それだけ求められる専門性や現場の泥臭さが職種ごとにまったく異なることを意味します。

最初が肝心! 配属先で自分の適性を見極めてスキルを高めよう

配属された場所が必ずしも自分に向いた仕事とは限りません。まずは与えられた現場でじっくりと会社全体の構造を知り、自らの適性を見極める期間が不可欠です。

何より、同社は世界のインフラと最先端ハイテクを物理的に動かす技術の会社です。どの部署に身を置こうとも、その分野の技術や知識を着実に身につけ、専門性を磨いていくことが優先されます。

自分に合う仕事を探す受け身の姿勢ではなく、配属された現場で自ら技術を研ぎ澄ます覚悟を持つことこそが、巨大な組織で生きる本当のキャリアの第一歩です。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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