この記事のまとめ
- 年功序列から成果主義へ、給与体系も多様化しつつある
- 年俸制には意外な4つのデメリットがある
- 成果重視の人なら年俸制がおすすめ!
近年、働き方の多様化にともない、従来の月給制に加えて年俸制を導入する企業が増えてきました。特に外資系企業やIT・コンサルティング業界では、年俸制が標準的な給与体系として定着しつつあります。しかし、「年俸制と月給制の違いがよくわからない」「年俸制は不安定なのでは?」という声も多く聞かれます。
年俸制は、月給制とは異なる特徴を持つ給与体系です。実力や成果が評価に反映されやすい一方で、収入の変動リスクもあり、将来の生活設計にも大きく影響します。給与制度の選択は、入社後の働き方やキャリア形成にもかかわる重要な判断ポイントといえるでしょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの野村さん、瀧本さん、板谷さんのアドバイスを交えながら、年俸制の仕組みやメリット・デメリット、企業選びのポイントについて詳しく解説します。
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給与制度の仕組みを理解することが企業選びの近道
年俸制は、実力や成果が評価に直結する魅力的な給与制度です。特に外資系企業やIT企業では、高い専門性や成果に応じて柔軟な報酬設定が可能な年俸制が標準となっています。企業によって制度の内容はさまざまですが、自分のキャリアプランに合った企業を選ぶためにも、まずは給与制度の基本を理解しましょう。
記事ではまず、年俸制と月給制の基本的な違いを説明し、年俸制の特徴について具体例を交えて紹介します。続いて、年俸制ならではのメリット・デメリットを取り上げ、キャリア形成の視点からその魅力を解説します。
さらに、年俸制を採用している代表的な企業や職種を紹介し、それぞれの特徴や求められるスキルについても触れます。また、月給制との詳しい比較を通じて、自分に合った給与制度を選ぶためのポイントも解説します。
最後に、企業選びで確認すべき3つのステップを紹介し、説明会やインターンシップでどのような点を確認すべきか、具体的なアドバイスを提供します。これらの情報を参考にすれば、あなたのキャリアプランに合った企業選びができるようになりますよ。
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年俸制とは? 月給制との違いや仕組みを徹底解説
働き方の多様化が進むなか、給与体系も大きく変化してきています。特に近年は、従来の月給制に加えて年俸制を導入する企業が増えており、特に成果主義を重視する外資系企業や、IT・コンサルティング業界では一般的な制度となっています。
しかし、年俸制と月給制の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて、正確に理解している人は少ないかもしれません。ここでは、就職・転職の際に知っておきたい給与体系の特徴と違いをわかりやすく解説します。
年俸制:年間給与総額を事前に決定し、月ごとに分割して支給

年俸制とは、1年間の給与総額をあらかじめ決め、それを12等分して毎月支給する給与制度です。評価期間が終わると、成果や実績に応じて翌年の年俸額が見直されます。年俸額には基本給に加えて、従来の賞与に相当する業績給なども含まれます。
業績や成果が給与に直接反映されやすく、自身の頑張りが収入増加につながりやすいのが特徴です。また、年収が事前に確定しているため、収入の見通しが立てやすいというメリットもあります。また、近年では従来の月給制からの移行を検討する企業も増えており、給与制度の多様化が進んでいます。
月給制:月々の一定額が支給される+賞与

月給制は、基本給や諸手当などが毎月一定額支給され、それに加えて年2回程度の賞与が支給される給与制度です。日本の多くの企業で採用されている伝統的な給与体系ともいえます。基本給は職位や等級によって決められ、通常は年功的な要素も加味されます。
毎月の収入が安定しており、長期的な生活設計が立てやすいのが特徴です。また、勤続年数や年齢に応じた昇給が設定されていることも多く、着実なキャリアアップを目指せます。
賞与は会社の業績や個人の評価によって変動します。特に日本企業では、賞与が年収の大きな部分を占めることも多く、クレジットカードの「ボーナス払い」という言葉が浸透しているように、実際の生活設計にかかわってくることもあります。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見る年俸制は長時間労働やプレッシャーがかかる可能性を理解しよう
まず、年俸制では年間の給与が固定されるため、特定の年中行事や季節的な出費に対するボーナスのような追加収入が期待できないケースが多いことを理解する必要があります。
一方で、評価が高ければ次年度に大幅な収入増加が見込めることから、自己管理や目標達成能力が問われます。次に、労働時間の管理についても注意が必要です。特に年俸制では「成果主義」にもとづくため、長時間労働や目標達成プレッシャーが増える可能性があります。
月給制は福利厚生が充実していたり安定的な昇給が期待できる
一方、月給制では固定の勤務時間が定められるケースが多く、労働時間の透明性が比較的高い傾向にあります。
また、福利厚生の違いにも注目する必要があります。月給制の企業では伝統的に退職金や厚生年金制度などの充実した福利厚生が提供されることが多いのに対し、年俸制を採用する企業ではこれらが簡素化される場合があります。
さらに、給与体系がキャリアパスに与える影響も考慮しましょう。月給制の企業では勤続年数や年齢にもとづいた安定的な昇給が期待できるのに対し、年俸制の企業ではスキルや成果次第でポジションが変動する可能性が高くなります。
このため、どちらの体系が自分のキャリアの目標やライフスタイルに適しているかをよく考えることが大切です。
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意外と知らない! 年俸制の4つのデメリットとは?
意外と知らない! 年俸制の4つのデメリットとは?
- 「みなし残業」や「固定残業代」が含まれる場合がある
- 成果が翌年度以降に反映されるため即時性に欠ける
- 業績により翌年度の収入が変動しやすい
- ボーナスがないため急な出費に備えにくい
「年俸制は高収入が期待できる」と思っている人もいますよね。しかし意外なことに、働く人にとって思わぬデメリットとなることも。まずは年俸制の実態をしっかりと理解することが、後悔しない企業選びの鍵です。
年俸制は、月給制とは大きく異なる特徴があり、入社後のライフプランに直接影響します。たとえば、残業代の計算方法や賞与の有無、評価基準など、企業ごとに制度の内容は異なります。
最近はIT企業やスタートアップ企業を中心に導入が進んでいますが、業界によってその運用方法はさまざまです。外資系企業では成果主義的な要素が強い一方で、従来型の日本の企業では、管理職層を対象とした年俸制を導入するなど、企業の特性に応じた制度設計がおこなわれています。
この章では、あまり語られることのない年俸制の課題について、具体的に解説します。
①「みなし残業」や「固定残業代」が含まれる場合がある
年俸制の給与には、最大で月45時間程度の残業代があらかじめ含まれているケースがあります。実際の残業が想定時間を下回ると給与は減額されないため、メリットを感じるかもしれません。
しかし、想定時間を超えて残業が発生すると、追加の残業代支給までに時間がかかったり、場合によっては追加支給の交渉が必要になったりすることがあります。内定後の条件確認時には、「みなし残業」の時間数と超過分の支給システムをしっかり確認しましょう。
特に新入社員の場合、企業によっては入社直後は仕事に慣れるまでに時間がかかり、残業が増える可能性もあります。みなし残業時間を超えた分の残業代が適切に支給されるのか、残業時間の上限は設定されているのかなど、労働条件の詳細を入社前に把握しておくことで、働き方のイメージを具体的に描くことができます。
みなし残業や固定残業は、残業代込みの給与のため、給与の安定がメリットです。一方で、想定時間を超過すると追加支給されず、割に合わない働き方になる場合もあります。事前に超過分の支給条件や残業管理の仕組みを確認することが重要です。
固定残業代制の企業にどんなリスクがあるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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ブラック企業の特徴とも噂される固定残業代制は、実はホワイト企業でも導入されています。この記事ではキャリアコンサルタントとともに固定残業代の実態や、正当性の確かめ方を解説します。固定残業代制の理解を深め、企業が自分に合うかを見極めましょう。
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②成果が翌年度以降に反映されるため即時性に欠ける
年俸制の場合、業務の頑張りが給与に反映されるまでに、かなりの時間がかかります。これは、評価から翌年の年俸の改訂までにタイムラグが生じるためです。目に見える成果を出すまでに時間のかかるプロジェクトでは、その間の努力が適切に評価されにくいという課題もあります。
特に若手社員にとって日々の成長が給与に反映されないことは、モチベーション維持の面で大きな課題となる可能性があります。たとえば、年度の途中で大きなプロジェクトを任されたとしても、それが給与に反映されるようになるのは翌年度以降ということです。
また、新しいスキルを習得したり、業務の効率化に取り組んだりしても、すぐには収入増につながらないのが実情です。そのため、長期的なキャリアプランを念頭に置きながら、日々の業務へのモチベーションを持って取り組む姿勢が求められます。
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③業績により翌年度の収入が変動しやすい
会社の業績や個人の評価次第で、翌年度の年俸は大きく変わります。好業績なら年俸アップの可能性がある一方で、業績悪化時には年俸ダウンのリスクも。特に景気の影響を受けやすい業界では、収入の不安定さが生活設計の悩みになることもあるでしょう。
住宅ローンの審査など、安定収入が重視される場面では、年俸制による収入変動が不利に働く可能性もゼロではありません。
変動幅は企業によってさまざまですが、業績連動型の年俸制を採用している企業では、年収が前年比で20%以上変動するケースもあるといわれています。また、個人の目標達成度が年俸に大きく影響する企業もあれば、会社全体の業績をより重視する企業もあるため、年俸の決定基準や変動の仕組みは企業選びの重要なポイントです。
年俸制は、給与が業績や成果に直接的に反映されるため、個人のモチベーションが向上しやすい仕組みとなっています。
たとえば、IT業界や金融業界で年俸制は多く採用されており、営業やマネジメント職で優れた成果を上げることで年収が数十パーセント向上する事例もあります。
一方で、業績不振の場合には収入が変動するリスクがあり、評価基準が不明確だと不公平感が生じる可能性もあるので、契約時には詳細を確認することが重要です。
④ボーナスがないため急な出費に備えにくい
通常の月給制と異なり、年俸制では賞与(ボーナス)が給与に組み込まれています。
つまり、月給制と全体の年収は同じでも、夏季・冬季の大型支給がないため、結婚や住宅購入といった大型支出への備えをボーナスで賄うことができません。もちろん、コツコツと貯金することが得意な人は問題ありませんが、「まとまった出費はボーナスで対応しよう」と考えている人は注意が必要です。
特に社会人1年目は、家賃や光熱費、通信費など、新たな固定費が発生します。さらに、数年後には結婚や住宅購入といったライフイベントを迎えることもあるでしょう。年俸制の企業で働くのであれば、将来を見すえた資金計画を立てることが、安定した生活を送るための鍵となります。
ただし、ボーナスがない会社でも魅力のある会社はあります。こちらの記事で企業選びの基準を押さえておきましょう。
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ボーナスを支給しない会社と聞くと、年収や業績を心配する人もいるかもしれませんが、実はボーナスがないことで社員が得をすることもあるのです。記事ではボーナスのない会社の本音や、ボーナスを軸にした会社の見極め方をキャリアコンサルタントとともに解説します。
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まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
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マイナス要素だけじゃない! 年俸制の3つのメリットとは?
マイナス要素だけじゃない! 年俸制の3つのメリット
- 年間の給与総額が明確なため収入の見通しが立てやすい
- 成果やスキルに応じた評価が期待できる
- 職種によっては高額の報酬を得られる可能性が高い
年俸制には確かにデメリットがありますが、魅力的な特徴も備えています。特に「実力で評価されたい」「早期にキャリアアップしたい」という人には、大きなチャンスとなる可能性があります。
グローバル企業やスタートアップ企業を中心に、年俸制の導入は着実に増加しており、その背景には、従来の月給制では実現できない柔軟な報酬設計があります。年齢や勤続年数だけでなく、実力や成果が正当に評価される制度として注目を集めているのです。
この章では、年俸制ならではのメリットを具体的に解説します。あなたのキャリアプランと照らし合わせながら、チェックしてみてくださいね。
①年間の給与総額が明確なため収入の見通しが立てやすい
年俸制では、1年間の総収入が明確に示されます。月給制では基本給にボーナスや諸手当が加算される複雑な計算が必要ですが、年俸制なら年収が一目瞭然。将来の収入計画を立てやすく、ライフプランニングがしやすい特徴があります。
また、月々の収入が安定しているため、家計管理もスムーズにおこなえます。月給制は残業代や手当の変動で収入にブレが生じやすいデメリットがありますが、年俸制なら毎月の手取り額がほぼ一定となるため、家賃や投資、貯金など、収入の配分を決めやすいというメリットがあります。特に、住宅ローンの審査やクレジットカードの申し込みなど、年収基準が重要となる場面でも、明確な年収額の記入に困ることはありません。
さらに、年収が明確なため、同業他社との比較や、キャリアアップに向けた判断材料としてもわかりやすいというメリットもあります。
年間の収入を把握しておくことで、引っ越しや車の購入、結婚式など大きな出費への計画を立てやすくなります。自分自身の市場価値の確認や給与天引きでの積立の貯蓄、ふるさと納税のシミュレーションなどもおこないやすくなります。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
職業選択においてやりたいことはもちろんですが、その中でも適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうため適職への理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業と低い職業を診断できます。
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②成果やスキルに応じた評価が期待できる
年俸制では、一般的に個人の実績や能力が次年度の年俸に直接反映されます。つまり、実力主義の評価制度により、若手でも成果を出せば早期の年収アップが望めるということです。また、資格取得やスキルアップが評価につながりやすく、努力が年収に反映されやすいからこそ、モチベーション維持にも効果的です。
たとえば、IT業界では新しい技術の習得や、プロジェクトでの成果が翌年度の年俸に反映されやすい傾向にあります。営業職でも、目標達成度や新規顧客の開拓実績などが、より明確に評価に組み込まれます。
評価基準が明確なため、上司との年俸の交渉もおこないやすいのが特徴です。また、評価面談では次年度の目標設定もおこなわれるため、キャリアの方向性を上司と共有し、1年を通して必要なスキルアップを計画的に進められます。
年俸制は成果が収入に直結するため、成果主義の人には高いモチベーションにつながりマッチします。一方、安定を重視する人には、収入の変動や業績次第でのリスクが不安に感じられる可能性があり、向かない場合もあります。
③職種によっては高額の報酬を得られる可能性が高い
専門性の高い職種や、成果が数値として表れやすい職種では、年俸制がより高い収入につながる可能性があります。特に、IT業界のエンジニアや、コンサルタント、金融のスペシャリストなどは、スキルや実績に応じて大幅な年俸アップを期待できます。
デジタル人材の需要が高まるなか、AI・データサイエンス領域のエンジニアや、DX推進のスペシャリストなどは、現在のIT化の流れを踏まえると、年俸制を取り入れている企業のなかでも高収入を期待できます。
また、グローバル企業では、国際的な報酬水準に準じた年俸設定を採用するケースもあります。日本の一般的な給与水準を超える報酬が得られる可能性があるのは、年俸制ならではの大きなメリットといえますね。
近年では、スタートアップ企業などで、従来の給与水準にとらわれない柔軟な年俸設定をおこなうケースも増えています。また、年俸交渉の機会が定期的にあるため、市場価値に見合った報酬を得やすい環境といえます。
「年俸制はやめとけ」は本当? 専門家がリアルな本音を解答
「年俸制を導入すると給与が下がる」「昇給の機会が減る」など、年俸制に対するネガティブな印象を持つ人は少なくありません。一方で、成果に応じた報酬を得られる、キャリアプランが立てやすいといったメリットを評価する声もあります。
実際のところ、年俸制は本当に働く人にとってマイナスなのでしょうか。それとも、時代に合った新しい給与制度として積極的に検討すべきものなのでしょうか。
今回は板谷さんに、年俸制の実態と、導入を検討する際の注意点について詳しく解説していただきました。
アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見る年俸制のメリットデメリットを理解して自分に合うかどうかを考えよう
「年俸制はやめとけ」という意見の背景には、これまでの記事で紹介されている通り、「年俸制を導入すると給与が下がる」など、労働時間と収入が見合わない危険性や景気や業績に応じたボーナスが期待できない可能性など、それなりの理由があることも事実です。
しかしながら、「成果に応じた報酬を得られる」などのメリットを評価する声もあります。
実際に、成果を上げることで自信が持てる人や、ボーナスや残業代に影響されずに計画的に年間の予算を立てたい人には年俸制は向いているでしょう。
また、奨学金を前倒しで返済したい人や、家の頭金や車の資金を貯蓄したいというような場合も、年俸制の方が安定して計画を立てることができるでしょう。
自己理解と企業理解をしたうえで自分の納得できる選択をしよう
一方で、退職金や福利厚生も意識して長期的に安定して働きたいという人や、働いた分すぐに反映される残業代や賞与がモチベーションになる人には、月給制のほうが向いているでしょう。
自分自身の年齢や、性格、家庭環境などの自己理解と、企業文化や給与の詳細に関する条件を踏まえた企業理解をしたうえで、納得のいく選択をしましょう。
年俸制を採用している企業・職種って?
実は業界や職種を問わず、年俸制は多くの企業で採用が進んでいます。グローバル化や人材獲得競争の激化を背景に、年俸制は着実に広がりを見せているのです。
なかでも注目すべきは、従来の月給制から年俸制への移行を進める企業が増えていることです。企業が優秀な人材を確保するための戦略として、年俸制を採用するケースも目立ちます。
特に、専門性の高い職種では、実力に応じた柔軟な報酬設定が可能な年俸制が魅力的な選択肢となっているのです。また、従来の年功序列主義の就労環境が変化しつつあることも、背景として挙げられます。
この章では、年俸制を導入している代表的な企業や職種の具体例を解説します。
企業:外資系・ベンチャー・医療機関・法律事務所など
外資系企業では、年俸制が標準的な報酬制度として定着しています。金融機関や外資系コンサルティングファーム、さらにはGoogle、Meta、Amazonといった大手テック企業でも、成果に応じた年俸制を導入しているのが特徴です。
外資系企業やベンチャー企業では、年俸制とストックオプションやサインオンボーナスを組み合わせた報酬制度が主流となりつつあります。
ストックオプションとは
企業が従業員や取締役に対して、将来的に自社の株式をあらかじめ決められた価格で購入できる権利を与える制度のこと
サインオンボーナスとは
入社時に一時金として支給される報酬のこと
また、医療や法律などの専門知識を要する分野を扱う企業でも年俸制が取り入れられています。大学病院や大規模総合病院では、医師の専門性や経験年数に応じた年俸制を採用しているケースも。
法律事務所では、弁護士をはじめとする専門職の報酬体系として年俸制が定着しつつあります。特に国際法務を扱う大手事務所では、グローバル基準での年俸設定が一般的です。
グローバル基準の年俸の具体例として、日本の外資系企業や国際的な企業における初年度の平均年収は500万円から700万円程度であることが一般的です。
この年収範囲は、業界や企業規模によって変動しますが、特に金融やIT、コンサルティング業界で高い傾向があります。
外資系と日系だと給与形態以外にもさまざまな違いがあります。外資系企業に興味のある人はこちらの記事も参考にしてくださいね。
関連記事
外資系と日系の違いとは? 働く際のメリデメや早期の選考対策も紹介
日系企業とは異なる文化を持つといわれる外資系企業。給与の高さや独自の文化が特徴ですが、実際のところ外資系企業とはどんな企業なのでしょうか。記事では、キャリアコンサルタントが外資系企業の種類や就職するメリット、向いてる人の特徴を解説します。
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外資系に向いている人は自身の強みとスキルを理解している人です。 企業がどんな人材を求めているのか知りたい人はこちらも読んでみてくださいね。
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外資系に向いている人は特別なスキルがある? 企業が求める人材も解説
この記事では、外資系に向いてる人の共通点や持っておくと役立つスキルを紹介しています。キャリアコンサルタントとともに外資系に向いてる人の強みや向いていない人の特徴を解説するので、自身が外資系に向いてるかどうか判断して、就活に役立ててくださいね。
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職種:管理職・専門職・技術職など
部長以上の上級管理職では、年俸制の導入が多く見られます。たとえば、日産自動車では2002年4月に管理職層2200人を対象に年俸制を導入し、会社全体では月給に相当する「基本年棒」と、成果に対する「業績年俸」の2本立ての仕組みを採用しています。
公認会計士や税理士などの資格職、コンサルタントやアナリストといった専門職の多くが、年俸制を採用しています。特に金融業界やコンサルティング業界では、専門性の高さや資格の有無を重視した年俸設定がおこなわれるのが特徴です。スキルと実績次第で年収数千万円も期待できるでしょう。
エンジニアや研究開発職といった技術職でも、年俸制の採用が進んでいます。AIエンジニアやデータサイエンティスト、クラウドアーキテクトなどのDX人材は市場価値が高く、スキルセットに応じて柔軟な年俸設定が可能です。グローバル企業では、年俸1000万円を超えるポジションも少なくありません。
昇給を目指す場合は、資格取得が近道です。どんな資格を取ればいいのか迷っている人はこちらの記事も読んでみましょう。
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これからの時代に役立つ資格23選! プロが注目する資格や選び方も
これからの時代に役立つ資格には、どんな特徴があるのでしょうか。この記事では、これからの時代に役立つ資格をキャリアコンサルタントとともに解説します。10年後やAI時代に生き残る資格の特徴・選び方や注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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あなたはどっちを選ぶ? 月給制と年俸制の特徴を比較
項目 | 月給制 | 年俸制 |
---|---|---|
収入形態 | 毎月定額の基本給+賞与(年2回) | 年間総収入を12分割または14分割で支給 |
安定性 | 高い安定性がある | 成果次第で変動 |
評価基準 | 年功序列が主流 | 成果や実績を重視 |
メリット | ・収入が安定する ・福利厚生が充実している | ・成果が収入に直結する ・昇給・報酬交渉がしやすい |
デメリット | ・昇給が固定的で実力が反映されにくい | ・収入が不安定になる場合がある ・業績へのプレッシャーが大きい |
導入企業の特徴 | 大手企業、公務員など | 外資系企業、IT・ベンチャー企業など |
最近は日本でも年俸制の導入が増えていますが、いまだ多くの企業が月給制を採用しています。毎月の収入が安定し、賞与も定期的に支給される月給制と、実力や成果が評価に反映されやすい年俸制。一見シンプルな違いに見えますが、実は将来のキャリアプランや生活設計に大きく影響する選択なのです。
特に新卒採用では、月給制を採用している企業が多く見られます。一方で、外資系企業やIT企業、ベンチャー企業などでは年俸制を導入するケースも少なくありません。給与制度の選択は、入社後の収入の安定性や昇給のペース、評価の仕組みなど、さまざまな面で働き方に影響を与えます。
それぞれの制度にはメリット・デメリットがありますが、どちらが向いているかは人によって異なります。自分のキャリアプランや価値観に合わせて、じっくりと検討しましょう。
安定性重視なら月給制がおすすめ
月給制は、収入の安定性を重視する人に適した給与制度です。年功序列の要素も残っており、着実なキャリア形成を目指す人に向いています。近年では年俸制を導入する企業も増えていますが、依然として月給制は日本の主要な給与形態の一つとして選ばれ続けています。
特に大手企業や公務員など、長期的な雇用を前提とした職場では、月給制が標準的な給与形態となっています。新入社員の段階から、将来のキャリアパスが比較的見通しやすいのも特徴です。また、営業職などの場合でも、基本給と歩合給を組み合わせることで、収入の安定性と成果主義のバランスを取ることができます。
月給制を採用する企業の多くは、福利厚生も充実しています。社会保険や退職金制度はもちろん、財形貯蓄や持株会、住宅支援制度など、長期的な資産形成をサポートする制度が整っているケースが多いのも特徴的です。
毎月の定額支給+賞与で生活設計がしやすい
定期的な収入が確実に得られることは、生活設計の基盤となります。月給制では、基本給に各種手当が加算され、毎月安定した収入を得ることができます。
基本給は、年齢や勤続年数に応じて徐々に上がるのが一般的です。住宅手当や家族手当など、ライフステージの変化に合わせた手当も充実しています。たとえば、結婚すれば家族手当が加算され、子どもが生まれれば扶養手当が追加されるなど、生活環境の変化に応じてサポートが増えていきます。
さらに、夏と冬には賞与(ボーナス)が支給されるため、まとまった支出の計画が立てやすいという特徴も。賞与は基本給の数カ月分が一般的で、年2回のまとまった収入は、結婚資金の準備や家電の買い替えなど、大型の支出計画を立てやすくします。
業績に左右されにくく収入が安定する
会社の業績や個人の評価が給与に大きく影響しないのも、月給制の特徴です。新入社員にとって経験やスキルが不足している時期でも、月給制なら安定した収入を得られます。
特に、生活基盤を固めたい20代にとって、この安定性は重要なポイントです。住宅ローンの審査でも収入の安定性が評価されやすいため、将来のマイホーム購入も視野に入れやすくなります。また、景気変動の影響も受けにくいため、長期的な視点での生活設計が可能です。
月給制企業の多くは、毎年の昇給も安定している傾向にあります。たとえば、毎年数千円から1万円程度のベースアップに加え、等級や役職の上昇に応じた昇給も期待できます。残業代も1時間単位で別途支給されるのが一般的であり、時間外労働への対価もしっかりと保証される仕組みとなっています。
業績や成果によって、給与が大幅に上がるのであればありがたいですが、下がってしまうリスクもあるので、安定性を重視する場合は月給制をおすすめします。
住宅ローンは、安定した企業のほうが審査が通りやすいうえに利率が低く、同じ金額を借りたとしても、勤める企業によって返済金額に大きな差が生じることもあります。
成果重視なら年俸制がおすすめ
年俸制は、自身の成果や市場価値を直接的に収入に反映できる制度です。特にIT業界やコンサルティング業界など、専門性の高い職種で導入が進んでいます。実力主義の環境で成長したい人や、早期のキャリアアップを目指す人に適した制度といえるでしょう。
近年では、スタートアップ企業やグローバル企業を中心に、新卒採用でも年俸制を導入するケースが増加しています。従来の日本型雇用にとらわれない、柔軟な報酬制度として注目を集めているのです。特に、外資系企業やIT業界では、新卒でも実力次第で月給制を上回る収入を得られる可能性があります。
また、年俸制企業の多くは、昇給のタイミングが柔軟です。プロジェクトの成功や新規事業の立ち上げなど、成果が出れば年度の途中でも昇給交渉に応じてくれるケースもあります。チャレンジ精神のある人には、大きなモチベーションになるでしょう。
成果やスキルに応じて高い報酬を得られる
若手でも実力次第で高収入を得られるのが、年俸制の大きな魅力です。スキルアップや資格取得、プロジェクトでの成果など、具体的な実績が翌年度の年俸に反映されます。
たとえば、IT業界では新しい技術の習得や大規模プロジェクトの経験が評価され、数年で年収が大きく上がるケースも。成果が数値化しやすい営業職でも、目標達成度に応じて年収が数百万円単位で変動することがあります。また、希少性の高いスキルを持つエンジニアは、新卒でも年収500万円以上でスタートするケースが増えています。
なかには、目標達成時のボーナスとして、基本年俸の30~50%が上乗せされるケースもあります。営業職やコンサルタントなど、成果が明確な職種では、年俸制は、自身の頑張りが確実に報酬に反映される制度といえるでしょう。
年俸制では成果次第で年収が大きく上がるケースがあります。
たとえばIT業界では、新技術の導入や大規模プロジェクトの成功で、翌年の年俸が50万〜100万円以上アップすることがあり、営業職では、数値目標の達成で年収が数百万円単位で変動することもあります。
長期的なキャリア形成に向いている
年俸制のもう一つの特徴は、市場価値を意識したキャリア形成がしやすい点です。年に一度の年俸交渉では、自身の成長度合いや市場価値を具体的に確認できます。この機会に、自分のスキルの強みや課題を明確にし、次年度の目標設定にも活かせます。
このように、スキルの市場価値や業界の相場を把握しやすいため、転職市場でも強みとなります。また、成果に応じて収入が変動する分、自身のキャリアパスを常に意識することにもつながります。資格取得や新規プロジェクトへの挑戦など、市場価値を高める行動も評価されやすく、主体的なキャリア形成を後押しする制度といえるでしょう。
年俸制企業は社員の成長にも積極的です。外部研修や資格取得支援など、スキルアップのための制度が充実しているケースが多く、自己啓発への投資も惜しみません。グローバルで活躍できる人材の育成に力を入れている企業も多いため、海外赴任や留学などのチャンスも豊富です。
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将来まで考えよう! 自分に合った制度を選ぶための3つのステップ
将来まで考えよう! 自分に合った制度を選ぶための3つのステップ
- まずは制度の仕組みをしっかり理解しよう
- 自分の価値観やライフプランを棚卸しよう
- 説明会で「残業代の扱い」「賞与の基準」を確認しよう
先述したとおり、給与制度の選択は将来の生活設計に大きく影響します。そのため、年俸制が本当に自分に合っているのか、慎重に見極める必要があります。就職活動では、給与制度について理解を深めることが入社後の満足度にもかかわってきます。
年俸制と月給制では、収入の受け取り方や評価基準が大きく異なります。そのため、自分のキャリアプランや生活スタイルに合った制度を選ぶことが重要です。制度の見極めを怠ると、新卒入社後、給与制度に不満を感じて早期退職してしまうケースも。ここでは、ミスマッチを防ぎ、適切な判断をするための3つのステップを紹介します。
①まずは制度の仕組みをしっかり理解しよう
年俸制は一見シンプルに見えますが、企業によって仕組みはさまざまです。基本給と変動給の割合、評価基準、昇給の仕組みなど、詳しく見ていくと企業ごとに大きな違いがあります。
たとえば、年俸を12分割で毎月均等に支給する企業もあれば、基本給と賞与に分けて支給する企業も。また、年俸額の決定方においても、全社一律の基準を設ける企業もあれば、部門ごとに異なる評価指標を採用する企業も存在します。自分が志望する企業の年俸制について、具体的な仕組みを理解しておきましょう。
- お金にまつわる情報は入社までわからないことが多いと思います。面接で聞くのは失礼でしょうか?
納得して入社するためにも面接の逆質問などで質問してみよう
お金にまつわる情報は、気になりますよね。きちんと確認して納得してから入社したほうがミスマッチが減るので、面接で確認してみましょう。
ただ、面接が始まったばかりのタイミングでいきなりお金にまつわる情報を尋ねると印象が悪くなってしまう可能性もあります。
一通り面接が終了して、「最後に質問はありますか?」と尋ねられたタイミングや、最後のほうで確認することをおすすめします。
②自分の価値観やライフプランを棚卸しよう
年俸制は成果主義との親和性が高く、実力や成果が収入に反映されやすい制度です。自分の働き方や価値観と相性が良いか、じっくりと考えてみましょう。
「高いスキルを身に付けて、それを収入に反映させたい」「成果に応じた明確な評価を望む」「実力主義の環境で成長したい」という人には、年俸制が向いているかもしれません。一方で「安定した収入を重視したい」「長期的なキャリア形成を目指したい」「プライベートとの両立を重視したい」という人は、従来の月給制との比較検討も必要です。
将来のライフイベントも考慮に入れましょう。結婚、住宅購入、育児など、ライフステージの変化に応じて重視するポイントは変わってきます。5年後、10年後の自分の生活をイメージしながら考えることが大切です。
③説明会で「残業代の扱い」「賞与の基準」を確認しよう
企業説明会やインターンでは、年俸制の具体的な運用について積極的に質問をしましょう。なかでも次の3点は必ず確認すべきポイントです。
押さえておくべきポイント
- 残業代の扱い:みなし残業が含まれているか、含まれている場合は何時間分なのか、超過分の支給基準はどうなっているのか
- 評価と昇給の仕組み:評価項目は具体的に何があるのか、どのような基準で年俸に反映されるのか、昇給の頻度はどのくらいか
- 賞与や手当の有無:年俸とは別に支給される手当にはどんなものがあるのか、福利厚生の内容はどうなっているのか
特に残業代については、入社後のミスマッチを防ぐためにも、詳しく確認することをおすすめします。みなし残業代が含まれている場合、実質的な時給がどの程度になるのか計算してみるのも良いでしょう。
年俸制は、従来の月給制とは異なる特徴を持つ報酬制度です。自分のキャリアプランや価値観としっかり向き合い、納得のいく選択をすることが、充実した社会人生活への第一歩につながります。
年俸制のデメリットを理解したうえで自分に合うキャリアを選ぼう
年功序列型の給与体系が主流だった日本の企業でも、近年は年俸制を導入する企業が増えています。年俸制には、実力や成果が評価に反映されやすい、収入の見通しが立てやすいといったメリットがある一方で、この記事で解説したようなデメリットも存在します。
年俸制を導入している企業を志望する場合は、評価制度の詳細や、年俸の改定方法、残業代の扱いなどをしっかりと確認することが大切です。また、自身の働き方やキャリアプランと、年俸制の給与体系が合っているかどうかも慎重に検討しましょう。
年俸制か月給制かの選択は、働き方やライフスタイルにも大きく影響します。転職市場での評価のされ方も異なってくるため、長期的なキャリア形成の視点も含めて判断することが重要です。自分に合った給与体系を選ぶことで、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。
アドバイザーコメント
野村 芳克
プロフィールを見るデメリットと感じる部分は計画的な貯蓄やスキルアップでカバーできる
年俸制は成果が評価されやすく、努力次第で収入アップを実現できる魅力的な制度です。しかし「収入の変動が大きい」「ボーナスがなく急な出費に備えにくい」といったデメリットもあります。これらの不安を解消するには、年俸制の仕組みを正しく理解し、計画的な準備をしておくことが大切です。
たとえば、ボーナスがない分、計画的な貯蓄を習慣化しましょう。毎月の給与が一定でも、急な支出に備えた資金管理が安定した生活の鍵になります。また、収入変動リスクを軽減するためには、スキルアップや実績作りを意識し、自身の市場価値を高め続けることも重要です。
各企業の評価基準などをしっかり確認して自身を成長させるチャンスにしよう
年俸制では成果が正当に評価されるため、資格取得や新しいスキルの習得が次年度の年俸アップにつながります。
さらに、企業ごとの評価基準や残業代の扱いを事前に確認し、ミスマッチを防ぎましょう。年俸制の「実力主義」を成長のチャンスと捉え、努力を積み重ねれば不安を乗り越えられるはずです。
不安に感じる部分をしっかりと対策し、自分自身の成長とキャリア形成に向けて前向きに取り組んでいきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
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