- 転職Upppを監修
・すぐに問題を解きたい人は練習問題10問をチェック
・まずは解き方から知りたい人は「解き方のコツ」をチェック
SPIの「濃度算」は非言語分野でごくまれに出題される水溶液の濃度を考える問題です。近年は出題されないことがほとんどですが、出題傾向が突然変わる可能性もあるので、不安な人は押さえておくと良いでしょう。
この記事では、学生へのWebテスト支援の経験を持つキャリアコンサルタントの百田さんとともにSPIの「濃度算」の解き方について解説していきます。具体的な対策方法についても解説しているので、「濃度算」に苦手意識がある人は参考にしてみてください。
記事の後半では「濃度算」の練習問題を10問紹介しています。出題頻度が少ないからこそ、もし出題された場合は差をつけるチャンスです。演習を積んで確実に解けるようにしておきましょう。
よりSPIの本番をイメージして対策したい人は、SPI対策模試にも挑戦してみてください。
SPI「濃度算」の概要
- 問題パターン:成分量の計算、混合や希釈、濃縮など
- 1問あたりの時間:1分程度
- 形式ごとの出題頻度:テストセンター(低)ペーパーテスト(低)Webテスティング(低)
- 濃度算の解答のコツを教えてください
濃度算を解く際は焦らず一つずつ解き進めることが大切
SPIなど就活の適性検査に向き合うとき、多くの学生が「数字を見ると不安になる」「数学が苦手」と感じがちな傾向にあります。
ですが、今回のような濃度や含有率の問題は、決まった型を用いて対応すれば確実に点数が取れる分野です。
成分量の計算、混合や希釈、濃縮など、それぞれの設問は複雑そうに見えても基本原則は一つであり本質は変わりません。
大事なのは、「手順を確認して一つずつ進める姿勢」です。問題へ丁寧に取り組むことで、必ず正答率につながります。焦らず落ち着いて、自分のペースで進めていきましょう。
絶対に覚えておきたい! 濃度算で必須の公式
濃度算で必須の公式
- 食塩水の濃度〔%〕
= 食塩の量〔g〕/ 食塩水の重さ × 100
※食塩水以外の水溶液でも同様
SPI 濃度算 練習問題10問|百田さんによる解き方の解説付き!
ここからは実践力を養うため、SPI「濃度算」の練習問題10問を解説とセットで紹介します。2種類の水溶液を混ぜ合わせる問題形式や、1つの水溶液を希釈する問題形式などさまざまなパターンを紹介しているので、しっかり練習して解き方のコツをつかみましょう。
また、「濃度算」を解くのが初めての場合、いきなり問題には入らず、まずは「問題を解く前に確認! 濃度算の解答のコツ」で公式を押さえることを推奨します。
問題1(難易度:★☆☆☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
化学メーカーの研究室で、ある薬品の濃度が5%の溶液400gと、10%の溶液100gを混合して新しい溶液を作製することになった。混合後の溶液の濃度は何%になるか。
選択肢
正解:A
混合液の濃度(%)は、「溶質の合計」を「全体の質量」で割って100をかけることで求められる。
まず、それぞれの溶液に含まれる薬品(溶質)の量を計算する。
・5%の溶液:400×0.05=20g
・10%の溶液:100×0.10=10g
次に、溶質の合計と全体の質量を求める。
・溶質の合計:20+10=30g
・全体の質量:400+100=500g
濃度を計算する。
30÷500×100=6(%)
よって、6%である。単純に濃度の数値を足して2で割る(平均をとる)間違い(7.5%)に注意が必要である。
問題2(難易度:★☆☆☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
食品加工工場にて、濃度12%の調味液300gと、濃度7%の調味液200gを混ぜ合わせた。このとき、できた調味液の濃度は何%か。
選択肢
正解:C
基本通り、含まれる成分量(溶質)の総和を求めて計算する。
・12%の液の成分量:300×0.12=36g
・7%の液の成分量:200×0.07=14g
よって、成分量の総和と全体の質量は、
・成分量の総和:36+14=50g
・全体の質量:300+200=500g
濃度の計算:50÷500×100=10(%)
よって、10%である。量の多いほう(12%の液)の濃度に近い値になることが直感的にわかれば、単純平均(9.5%)以下の選択肢を除外して考えることも可能である。
問題3(難易度:★★☆☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
清掃業者が業務用の床ワックスを希釈して使用しようとしている。現在、濃度16%のワックス原液が500gある。これに水を加えて濃度10%にするためには、水を何g加えれば良いか。
選択肢
正解:C
水を加えても、溶けているワックス成分(溶質)の量は変わらないことに着目する。
①まず、原液に含まれる成分量を求める。
500×0.16=80g
②次に、この成分量80gで濃度が10%になるような、希釈後の全体質量を逆算する。
80÷0.10=800g
③最後に、希釈後の全体質量から元の原液の質量を引き、加える水の量を求める。
800-500=300g
よって、水は300g必要である。希釈後の全体質量(800g)を答えと間違えないよう注意が必要である。
ワックスなどの「希釈問題」は、「溶質の量は変わらない」という原則を使うと一気にラクになります。
今回の設問では、原液500gのうち16%がワックス成分なので80g。これを10%にしたい場合、80gが全体の10%になる質量=800g。つまり、最終的に800gにする必要があるので、元の500gを引けば水は300gとなります。
よくある間違いは、「800gを答えにしてしまう」こと。ここに注意が必要です。
こうした問題は「プロセス思考」を見ています。「状況→条件→必要量」というように逆算していく力は、製造・品質管理・営業計画など、幅広い仕事で求められるスキル。数字ではなく、仕組みとして理解することが大切です。
問題4(難易度:★★☆☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
農業試験場にて、濃度14%の除草剤450gを、作物への影響を考慮して濃度10.5%まで薄めて散布することになった。このとき、水を何g加える必要があるか。
選択肢
正解:C
濃度に小数が含まれるため計算ミスに注意が必要である。
①元の除草剤に含まれる成分量を計算する。
450×0.14=63g
②成分量63gで濃度10.5%(0.105)となる全体の質量を求める。
63÷0.105=600g
(計算の際は63000÷105と桁をずらすと計算しやすい)
③加える水の量を算出する。
600-450=150g
よって、水は150g必要である。
【別解:比を利用した考え方】
濃度比14:10.5=4:3より、全体質量比は逆比の3:4となる。元の量450gが「3」に相当するため、「4」に相当する量は600g。その差分である「1」が加える水の量(150g)となる。
今回もカギは「溶質は変わらない」という原則です。
14%450gの成分量は63g。これを10.5%にしたい場合、63÷0.105=600gが完成量になります。そのため、加える水は600-450=150g。小数の計算がポイントなので、桁をずらして「63000÷105」とすると計算しやすいでしょう。
この手の問題は、「比率で考える力」を測っています。「割合・逆算・条件設定」の理解は、多くの数値管理業務での必須スキルです。特に「必要な全体量を先に出す」という手順を理解できると、どのような現場でも応用が効きます。
問題5(難易度:★★★☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
化学実験のために、濃度6%の塩酸を250g用意した。この溶液に含まれる溶質の質量は何gか。
選択肢
正解:B
濃度算の最も基本的な計算である。「全体の質量×濃度(小数または分数)」で求められる。
計算式:250×0.06=15(g)
したがって、含まれる質量は15gである。
計算自体は単純だが、小数点の位置を間違えないよう注意すること。たとえば、250×0.6と計算してしまうと150gになり、選択肢にはないものの、桁の間違いはケアレスミスの典型である。
問題6(難易度:★★★☆☆)
問題
次の問いに答えなさい。
ある清涼飲料水の成分分析をおこなったところ、糖分濃度は12%であった。この清涼飲料水750gに含まれている糖分の質量は何gか。
選択肢
正解:C
基本通り、全体の質量に濃度の割合を掛けて算出する。
計算式:750×0.12=90(g)
よって、糖分の質量は90gである。
【計算のヒント】
暗算で行う場合は、750×0.10=75gと、750×0.02=15gに分解し、それらを足し合わせる(75+15=90)と計算ミスを防ぎやすい。
問題7(難易度:★★★★☆)
問題
次の問いに答えなさい。
ある化学工場に、濃度4.5%の洗浄液が800gある。この洗浄液を加熱して水分を蒸発させ、濃度を6%まで高めたい。このとき、何gの水を蒸発させる必要があるか。
選択肢
正解:C
水を蒸発させても、溶けている成分(溶質)の量は変わらないことに着目する。
①まず、元の洗浄液に含まれる成分量を求める。
800×0.045=36(g)
②次に、この成分量36gで濃度6%(0.06)となる全体の質量を逆算する。
36÷0.06=600(g)
③最後に、蒸発させる水の量を算出する。元の質量(800g)から、濃縮後の質量(600g)を引く。
800-600=200(g)
よって、200gの水を蒸発させる必要がある。
この設問のポイントは希釈問題と同様であり、「溶質の量は変わらない」という大原則です。
4.5%800gでは成分36g(800×0.045)となります。これを6%にするには、36gが全体の6%になる質量=600gにする必要があります。そのため、800gから600gを引いた200gの水を蒸発させれば良いということになります。
ここからわかるように、濃縮でも手順はまったく同じです。こうした問題は「条件から逆算して必要量を求める力」の有無を見ています。
公式の暗記より「仕組み理解」を重視して取り組むとスコアが伸びやすいでしょう。
問題8(難易度:★★★★☆)
問題
次の問いに答えなさい。
食品加工ラインにて、濃度15%の果汁シロップ640gを煮詰めて、濃度24%のソースを作ることになった。この工程で蒸発させる水分量は何gか。
選択肢
正解:C
①まず、元のシロップに含まれる果汁成分量を計算する。
640×0.15=96(g)
②次に、濃度24%になったときの全体の質量を逆算する。
96÷0.24=400(g)
③最後に、蒸発した水分量を求める。
640-400=240(g)
よって、240gである。
今回もポイントは一つ。「溶質(果汁成分)は変わらない」という原則です。
15%640gには果汁96g(640×0.15)が含まれています。この96gが24%になるように全体の質量を計算すると、96÷0.24=400g。元は640gなので、蒸発させる水分は240gとなります。
こうした問題は与えられた条件を整理し「何が変わる・何が変わらない」を見抜く力が問われます。構造を理解して計算できれば、実務でも非常に強みになるスキルです。
問題9(難易度:★★★★★)
問題
次の問いに答えなさい。
ある業務用洗剤には、濃度の異なる複数の種類がある。ある清掃会社では、これらを混合して使用することになった。濃度8%の洗剤200g、濃度12%の洗剤200g、濃度18%の洗剤100gをすべて混ぜ合わせると、混合液の濃度は何%になるか。
選択肢
正解:B
3つ以上の溶液を混ぜる場合も、基本通り「溶質の合計」を「全体の質量」で割って100をかけることで求められます。
①それぞれの洗剤に含まれる成分量(溶質)を計算します。
・8%の洗剤:200×0.08=16g
・12%の洗剤:200×0.12=24g
・18%の洗剤:100×0.18=18g
②成分量の合計と、全体の質量を求めます。
・成分合計:16+24+18=58g
・全体質量:200+200+100=500g
③濃度を計算します。
58÷500×100=11.6(%)
よって、11.6%が正解です。
3種類以上の溶液を混ぜる場合でも、基本は同じです。今回の設問も、「溶質量の合計÷全体量×100」で濃度を求められます。
8%200g=16g、12%200g=24g、18%100g=18g。成分の合計は58g、全体質量は500gなので、濃度は58÷500×100=11.6%となります。数が増えても「やることは同じ」と考えられると、安心して取り組めます。
この問題は「情報整理と構造化」の力を見る典型です。複数データを扱うときには、混乱しやすい傾向にありますが、まず「量」と「濃度」を分けて考え、溶質だけを積み上げるという手順を確立できると実務でも大きな強みになります。
一見すると複雑に思えても、手順が同じであることを確認し、一つずつ計算できれば正しい答えに辿り着けます。
問題10(難易度:★★★★★)
問題
次の問いに答えなさい。
ある金属加工工場で、異なる含有率の合金を溶かして新しい合金を作成する。成分Xを15%含む合金300g、25%含む合金200g、40%含む合金100gを混ぜ合わせた場合、できた合金における成分Xの含有率は何%になるか。
選択肢
正解:C
「濃度」が「含有率」という言葉に変わっても解法は同じです。
①各合金に含まれる成分Xの質量を求めます。
・15%の合金:300×0.15=45g
・25%の合金:200×0.25=50g
・40%の合金:100×0.40=40g
②合計を計算します。
・成分Xの合計:45+50+40=135g
・全体の質量:300+200+100=600g
③含有率を計算します。
135÷600×100=22.5(%)
よって、22.5%が正解です。
水溶液が金属に代わっただけで、考え方は濃度問題と同じです。
まず各合金に含まれる「成分X」の質量を出し(300g×15%、200g×25%、100g×40%)、それらを合計します。次に、全体の質量600gで割って100を掛ければ、成分Xの含有率22.5%が求められます。
「濃度→含有率」「溶液→合金」のように表現が変わっても本質は同じと見抜けるかがポイントです。用語が変わっても、共通する構造をつかめる人は応用力が高く評価されやすい傾向にあります。
練習問題が解けたら、次はSPI模試に挑戦して実力をチェックしてみましょう。
SPI 濃度算を対策する際のポイント
SPIの非言語に関する記事
◇非言語の対策
SPI非言語は対策すれば怖くない! 出題傾向や例題を徹底解説
SPIに関する記事
◇解答時間
SPIの解答時間を受検方式別に解説! 時間切れを防ぐコツ10選も
◇勉強法
効率抜群なSPIの勉強法|出題形式と頻出問題を踏まえた対策を伝授
◇勉強時間
SPIの勉強時間をプロが解説! おすすめの進め方や重点ポイントも
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





アドバイザーからワンポイントアドバイス
百田 千穂
プロフィールを見る濃度算は問題のパターンごとの型をつかむことがポイント
今回コメントを寄せた6問は、いずれもSPIの「濃度・割合」分野の中核を成すタイプの問題です。
③④は「希釈の基本」で、中学生の割合応用レベルでしょう。一度理解すれば、ほとんどの濃度調整問題に対応できます。⑦⑧はその逆方向である「濃縮問題」です。高校初期レベルですが、実はやることは希釈と同じため、型をつかめば難易度は大きく変わりません。
⑨は複数混合で、情報整理力が必要な分、やや難しめですが中学数学の延長線上で十分対応できます。⑩は表現を変えた応用問題であり、「含有率=濃度」と見抜けるかがポイントです。
どんな問題もまずは「条件を整理する」ことから始めよう
SPI全体に共通するコツは、「数値を恐れず与えられた条件を整理する」ことです。
公式暗記より、溶質量の「合計・全体量・変わらないもの」を見極める練習が圧倒的に効果的です。同系統の練習を10〜20問繰り返せば、自然と「型」が身体に入り、本番でも落ち着いて解けるようになります。