富士通はやばい? やめとけ? 激務や大企業病の噂をプロと紐解く

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  • 国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Kazuyoshi Masuda〇教育研修サービス会社等での勤務を経て独立。キャリア相談、就職支援のほか、大学でキャリアデザイン講座を担当。ミッションは「自分とかかわる人の可能性を信じる」こと。

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  • キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表

    Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う

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  • キャリアコンサルタント

    Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味

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本企画について

「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。

「富士通はやばい」「富士通はブラックだ」

富士通を検討するなかで悪い評判を目にし、不安になる人もいるのではないでしょうか。ただし、そのような声は偏見や単なるイメージで出されているケースも多くあります。

この記事では、富士通への就活を検討している人に向けて、「やばい」「やめとけ」といわれる理由と、企業の実態、入社の判断基準等について、富士通出身の硯里さんを含むプロの意見を交えながら解説します。

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1分でわかる富士通

富士通とは

1935年に富士電機製造(現富士電機)の電話部所管業務を分離し、富士通信機製造((現富士通)が誕生。役所や医療・教育機関、民間企業など幅広い組織のシステムを、5GやAIなどの最新技術を活用し開発、管理。

理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」は計算速度世界1位を獲得。電子カルテは大手病院でトップシェアを誇る。

会社名富士通株式会社 (Fujitsu Limited)
従業員数(連結)112,743人(2025年3月31日現在)
本社所在地神奈川県川崎市
主な事業・サービスソリューション
・ハードウェアソリューション
・ユビキタスソリューション
売上収益(連結)3兆5,501億1,600万円(前年同期比1.02%増)(2025年3月31日現在)
営業利益(同)2,650億8,900万円(同77.5%増)(同期間)
企業HPhttps://global.fujitsu/ja-jp
採用HPhttps://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/
企業情報

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「富士通はやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く

「富士通はやばい」と言われる理由を客観的なデータから紐解きます。富士通出身者含めたキャリアコンサルタントが読み方も解説するので、自身とマッチするかを考えながら読み進めてください。

①激務・残業時間が多いと言われるから

富士通の残業時間は約20時間(※1)です。全国の所定外労働時間の13.5時間(※2)と比べるとやや多いですが、過労死ラインとされるのが80時間(2〜6カ月平均)であるため、激務とは言い切れません。

また、年を追うごとに残業時間が改善されていることがわかります。健康経営の取り組み「Health well-being」を通し、社員の心と体を守ることに注力しており、一つの成果として残業時間の削減につながっている可能性があります

2019年度23.4 時間
2020年度22.0 時間
2021年度22.0 時間
2022年度21.0 時間
2023年度20.2 時間
富士通の残業時間

※1 富士通サステナビリティデータブック
※2 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報

残業時間は部署やプロジェクトにより大きく異なるケースがあるので、OB・OG訪問などで具体的に聞いてみましょう。

アドバイザーのリアル・アドバイス!残業の覚悟は必要? 社会を支える富士通の重責

国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

増田 和芳

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富士通は、システムインテグレータ(SIer)と呼ばれ、企業のITシステムを企画、設計、開発、運用、保守等をトータルで手掛けています。

特に金融、公共など、大規模に影響を及ぼす業界のITシステムにかかわる多様な業務を担っているため、高品質のサービスの提供が要求されます。

また、障害が発生すると多方面に悪影響を及ぼす可能性があり、緊急での対応が要求されます。こうした業務特性上、残業時間が長くなる可能性もあるでしょう。

重責の先にある達成感・やりがい

ただ、社会全体を支えるシステムにかかわる業務を担っているため、人々が日々の生活を送るためには欠かせない仕事です。

大きな責任は伴いますが、社会や顧客からの信頼がなければ担えません。一つの業務を終えた後の達成感は大きく、やりがいを感じられる仕事であるといえます。

②働きやすさに懸念が残っているから

富士通の口コミを見ると、「良くも悪くも体育会系」「意思決定のスピードが遅い」と評価するものもあります。

働きやすさの指標の一つである離職率を見ると、2~3%程度となっています。全国平均は12.1%(※1)で、一般的には一桁台で低いと言われているので、富士通の離職率は低いことがわかります

ただ、離職する人が少ないということは、企業の流動性が低いともいえます。そのため、古い文化が残りやすい、企業に依存している社員もいるなどの可能性があり、事前に調べておくのがおすすめです。

2020年度2.44%
2021年度2.94%
2022年度2.60%
2023年度2.50%
2024年度3.07%
富士通の離職率の推移(※2)

※1 企業HP「サステナビリティ」
※2 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報

アドバイザーのリアル・アドバイス!構造的に堅実な社風になっている

キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表

野村 芳克

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富士通の社風は、「堅実で組織的」「プロセスやルールを大切にする大企業らしい文化がある」と言われることが多いです。

近年はDX企業への変革を掲げ、若手にも挑戦機会を広げようとする動きも進んでいます。

一方で、「縦割り」「意思決定が慎重」との声もありますが、社会インフラや大規模システムを担う企業である以上、影響範囲の大きさから合意形成やリスク管理を重視するのは自然な構造です。

安定性×専門性志向の人は合う可能性が高い

就活生の皆さんは、「安定した環境で専門性を深めたいのか」「スピード感や個人裁量を最優先にしたいのか」を明確にしましょう。

前者の人には相性が良い一方、後者の人は、配属部門の規模や意思決定プロセス、若手の裁量事例を具体的に確認することが大切です。噂ではなく、自分の価値観との相性で判断してください。

③数千人規模の早期退職があったから

3,000人超の早期退職や、大幅な人事制度改革があったことから、安定を求める社員から不安の声が上がっている可能性もあります。

富士通の人事制度改革

  • 2022年3月:グループ外での新たなチャレンジを応援する「セルフ・プロデュース支援制度」の拡充(※1)
    →50歳以上の幹部社員を対象とした早期希望退職に3,031人の応募
  • 2026年度:新卒一括採用を廃止し、ジョブ型人事制度を採用することを発表(※2)

「セルフ・プロデュース支援制度」により、黒字(業績が好調な状態)でのリストラが実施されています。東京商工リサーチによると、2025年にリストラを実施した企業の7割は黒字リストラをしており(※3)、パナソニックや三菱電機など大手企業でも同様の動きが見られています。

こういった大幅な転換も、安定を求める社員からは脅威としてとらえられ、ネガティブな声が上がっている可能性があります。

※1 企業HP プレスリリース
※2 企業HP プレスリリース
※3 東京商工リサーチ TSRデータインサイト

アドバイザーのリアル・アドバイス!評価の正当化・変化への順応のための構造改革

国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

増田 和芳

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企業に長年勤務していれば賃金が上昇していく終身雇用や年功序列型賃金制度ですが、仕事で成果を出していても、正当に評価されない可能性が出てきます。

また、急激な外部環境の変化にも対応できなくなるリスクが高まります。

こうした背景から、多くの企業で実力主義型の人事制度が導入され、在籍年数に関係なく、仕事の成果に対して評価をする動きが出てきました。

変化に自発的に対応する姿勢が必要

近年はDX化やAIの普及など、外部環境の変化は激しく、対応できない企業・人材は取り残されるでしょう。

仕事で成果を出すために必要な知識やスキルは自発的に身に付け、ITやAIなどのリテラシーを高めるなど、外部環境の変化に対応できるために必要な準備を進めていきましょう。

④システム障害等のトラブルが発生していたから

富士通グループが手がけたシステムにトラブルが発生し、ニュースとなったこともやばいと言われる理由と考えられます。コンビニ証明書交付サービス(※)、英国の郵便局システムトラブルなどのニュースは、技術力やトラブルに巻き込まれることへの懸念を生む可能性があります。

ただ裏を返すと「古くなり複雑化したシステムの刷新」という難易度の高い課題に立ち向かった企業と解釈もできます。

企業HP お知らせ

アドバイザーのリアル・アドバイス!誰もが避ける困難に挑む! 求められる覚悟とは

キャリアコンサルタント

高尾 有沙

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相次ぐシステム障害のニュースがあるのは、富士通が「日本社会の心臓部」を担っていることの裏返しでもあります。

彼らが手がけるのは、止まれば国が混乱するような公共・金融のミッションクリティカルなシステムです。

数十年かけて複雑化した「レガシーシステム」を、動かしながら最新技術へ移行させる作業は、外科手術を行いながらマラソンを走るような難易度です。

この「誰もが避けたがる、けれど誰かがやらねばならない困難な課題」に真正面から向き合っているのが富士通という会社です。裏を返せば、ここに入社するなら、単なるITスキル以上の「覚悟」が問われることになります。

数千万人の生活を背負う重責とやりがい

たとえば泥臭い調整への覚悟。華やかな開発だけでなく、予期せぬエラーに深夜まで向き合い、多方面のステークホルダーと調整しきるタフさも求められるでしょう。

また、社会的責任への覚悟も必要になります。自分の書いたコードや下した判断が、数千万人の生活に直結するというプレッシャーを「やりがい」に変えられる気概がある人は強いです。

「失敗しない環境」ではなく、失敗が許されない重責の中で、社会を支える誇りを求めている人にとって、これほど鍛えられる環境はなかなかありません。

⑤待遇が非常に良いから

富士通の平均年収は929万円(平均年齢43.1歳)と好待遇で、以下のような充実した福利厚生もあります。

年度平均年収平均年齢
2020年度865万1,494円43.8歳
2021年度859万4,757円43.6歳
2022年度878万9,575円43.7歳
2023年度965万4,460円43.6歳
2024年度929万1,084円43.1歳
富士通の年収の推移(※2)

※2 富士通統合レポート

特徴的な福利厚生・休暇(一例)

  • ファミリーアシスト給付(家族手当)
  • 福利厚生ポイント制度(カフェテリアプラン)
     ※多様な福利厚生メニューの中から社員が希望するものや必要なものを選んで利用できる
  • スポーツクラブ利用費用補助
  • 婦人科健診費用補助
  • 積立休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 産前産後休暇
  • 出産育児サポート休暇
  • 子の看護休暇 他

安定した大手企業で人気だからこそ、良い意味で「やばい」と言われることもあるようです

IT業界・技術職出身の野村さんのアドバイス

野村 芳克

プロフィール

富士通の待遇水準は大手企業として総じて高いと言えます。

ただし、年収は職種や配属、評価によって差がありますし、福利厚生も「あること」と「実際に使いやすいこと」は別です。

就活生の皆さんは、金額だけでなく、自分が希望する職種の働き方やキャリアパス、制度の利用実態まで具体的に確認することが大切です。

「富士通はやばい」という噂を信じすぎず自分の目で見よう

激務、システム障害のニュースなどで、「やばい」と言われているケースはありますが、その背景や、企業の取り組みを確認すると、実態がわかります。企業が公表している一次情報を参考に、自分とマッチするかを自分の頭で考えることが大切です。

プロのアドバイザーはこう分析!富士通という大きな船を動かす野心と好奇心の高さはあるか

キャリアコンサルタント

高尾 有沙

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富士通は今、「安定を求める人」には少し厳しく、「実力で勝負したい人」にはこれ以上ないほど面白い環境になっていると言えるでしょう。

この会社に向いているのは「大きな船」のエンジンを自分で回したい人。

富士通という巨大なリソース(顧客基盤・技術・資金)を使い倒して、日本や世界のDX(デジタルトランスフォーメーション)をリードしたいという野心があるなら最高です。

それだけではなく複雑性を楽しめる人にもおすすめです。大企業特有の調整や、大規模システムの難解さを「面白いパズル」と捉えられる人には向いているでしょう。

一方で「なんとなく一生安泰」を求めている人には一概におすすめできません。ジョブ型人事制度の導入や黒字リストラに見られる通り、会社にぶら下がるだけの社員には厳しい環境になりつつあります。

また、スピード感に欠ける環境が耐えられない人にも、必ずしもおすすめできません。改革中とはいえ大企業です。スタートアップのような即断即決を全場面で期待すると、想定とのギャップに苦しむでしょう。

今の富士通を徹底的に調べよう

また、企業研究においては、過去の「パソコン・サーバーの富士通」ではなく、現在の注力領域であるFujitsu Uvanceなどのサービス事業を徹底的に調べてみてください。

2026年現在の彼らが「何の課題を解決して稼ごうとしているのか」を理解したうえで、そこに自分のどんな専門性をぶつけたいかを語ることが、内定への最短距離になります。

会社が積み上げてきた良さと、あなたの「挑戦したい」という気持ちがどんな化学反応を産むか、きっと面接担当者も楽しみにしていることと思います。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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