本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「過酷な現場に配属される可能性がある」
「給料が安く報酬面に満足できない」
そんな評価を耳にし、就職先としての選択を躊躇してしまう人もいるかもしれません。しかし、単なる噂や憶測が真実味をもって伝わってしまったり、事実に基づかない情報が拡散してしまうケースも少なくありません。
この記事では「やばい」「やめとけ」といわれる理由やツリーベルの実態をつまびらかにし、入社を判断する際のポイントについてもプロの視点も加えつつアドバイスします。
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1分でわかるツリーベル
ツリーベルとは
1988年にソフトウェアの開発・販売を手掛ける会社としてツリーベルを創業。1990年にシステム開発事業をスタート以降は、多くの分野でITシステムや関連サービスを提供し、SIer(システムインテグレーター)とSES(システムエンジニアリングサービス)の両面を備えたIT企業として事業を展開。
近年は、「社員一人ひとりが、ごきげんに働ける場所」を意味する商標登録済みのキーワード「ごきげん場」を掲げ、快適な職場環境づくりにも取り組む。
| 会社名 | 株式会社ツリーベル(Treebell Co.,Ltd.) |
| 従業員数(単体) | 800人(2025年8月現在) |
| 本社所在地 | 東京都新宿区 |
| 主な事業 | ものづくり、金融、医療などの業種を対象に生産管理システム、組込制御システム、ネットワーク構築、金融システム、医療情報システムの5つのセグメント別に事業展開。 また各セグメントでシステム設計や開発を手掛けるのと同時に、インフラ設計・構築、運用設計、システム運用保守、サポートおよびヘルプデスクといったITインフラサービスも提供し、公共機関や流通、通信など幅広い分野におけるIT活用を下支えする役割を担う。 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 年商 | 59億円(2025年8月現在) |
| 企業HP | https://www.treebell.co.jp |
| 新卒採用HP | https://www.treebell.co.jp/recruit |
「ツリーベルはやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「ツリーベルはやばい」と言われる4つの理由
「ツリーベルはやばい」といわれる理由を、できるだけ客観的なデータとともに紹介します。キャリアコンサルタントのアドバイスも合わせて説明していますので、ここで取り上げた企業とのマッチングの判断材料に役立ててください。
①配属先が過酷な現場の可能性があるから
ツリーベルが公表している平均残業時間は月間8.0時間(※1)で、平均有給休暇取得日数は年間11.0日(※1)です。情報通信業界の平均は、月残業時間が16.5時間(※)、有給休暇取得日数が12.5日(※)のため、全体としては過酷な労働環境とは言い切れません。
しかし、これらの数字はあくまでも平均値である点は頭に入れておく必要があります。SIerやSESでの働き方はクライアント企業への客先常駐といった形も多く、出向先の労働環境や担当する仕事の内容次第で過酷さが変わってくることは避けられません。その意味で配属先次第ということも言えます。
また、ツリーベルの一般事業主行動計画(※4)を見ると、各月ごとの残業と休日出勤の合計時間数を40時間未満とする目標が掲げられています。これは残業・休日出勤が月40時間以上のケースが存在することを示唆しており、配属先によって過酷な勤務形態があり得るのかもしれません。
※1 同社採用ページ「キーワードで知るツリーベル」
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
※3 厚労省 令和6年就労条件総合調査の概況
※4 厚労省「しょくばらぼ」
プロのアドバイザーはこう分析!配属先の良し悪しは数字だけでは決まらない
どのような側面で判断するかにもよりますが、配属ガチャのリスクがあることを前提に会社がどれだけ負荷を軽減してくれるのかという観点で見ると、業界平均レベルだと言えるでしょう。
先述の通り、平均残業時間は月間8時間・平均有給休暇取得日数は年間11日という点を見ると、営業段階で炎上案件や激務案件を引く確率は業界平均からしても低めだと考えられます。
しかし、確率が低いだけで過酷な現場に絶対当たらないかと言うとそうとは言い切れず、現場からヘルプを出したときに会社が即座に撤退や異動をさせてくれるかは、営業担当者の手腕に左右されやすいという事実があります。
給与と釣り合わないと感じる可能性がある
さらに、基本給や賞与が低めの水準であるため、ハズレ現場を引いた際に「これだけ辛いのに給与が見合わない」と見返りの少なさを感じ、精神的な過酷さを強く感じやすい構造です。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
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➁給料が安く報酬面が不十分だと思えるから
口コミサイトでは年収300~400万円といった数字が取り上げられていますが、給与額や年収に関する同社の公表データはありません。
新卒社員の初任給に関しては大学卒で26万331円とされていますが、ここに含まれている19時間分の固定時間外手当分(3万3,539円)を差し引くと22万円台まで下がります(※1)。
また、社員の約半数が派遣労働者として働いており(※2)、同社の派遣労働のマージン率は事業所によって41.5%から50.6%(※2)で、一般的なマージン率とされる30%程度より高くなっています。
派遣元としての会社の取り分には福利厚生や教育訓練の費用も含まれるので、マージン率が低ければ良いわけではありません。専門的なスキルが求められるIT系ではマージン率が高くなる傾向もありますが、会社側の説明は聞いておくべきでしょう。
※1 同社採用ページ 新卒募集要項
※2 同社HP マージン率等に係る情報提供
アドバイザーからワンポイントアドバイス未経験でも安心して働ける補助が整っている
最大50.6%というマージン率は、IT派遣・SES業界全体で見ても確かに高めの部類に入ります。
一見すると「自分の稼ぎの半分近くを会社に持っていかれている」とショックを受ける就活生もいるかもしれませんが、ここには正社員型派遣というビジネスモデルの構造的な裏側があります。
というのも、ツリーベルは文系や未経験者を積極的に採用し、社外専任講師を招いて数カ月に及ぶ手厚い研修を受けさせています。
この初期の教育コストや、常駐先が決まるまでの「待機期間」の給与保証、さらには「ごきげん場」を掲げる福利厚生の維持費が、このマージンから賄われているのです。
つまり、わかりやすく言うと未経験からエンジニアになるための「授業料と安心のサブスク代」が含まれているとも解釈できます。
マージン率の高い内にスキルを吸収しにいこう
ただし、これはあくまでキャリア初期のとらえ方です。あなたがスキルを身につけ、一人前になってからも高いマージンを引かれ続けるとすれば、それは物足りなさに変わるはずです。
この数字を「手厚いサポートの対価」として受け入れられる最初の数年間で、どれだけ貪欲に技術を自分のものにできるかが勝負の分かれ目と言えるでしょう。
③評価制度に納得感が得られないから
ツリーベルは評価制度を随時改善しており、外部のシステムを利用した公平な人事評価制度を導入していると説明しています。基本となるのは結果にかかわる数値目標と、プロセスにかかわる行動目標という2つの絶対評価で、相対評価ではないのが特徴とされています(※1)。
数値目標については営業職は売上目標達成率等を評価し、技術職の場合はITSS(ITスキル標準)のテスト受検に基づく点数等が評価されます。年2回の評価が年1回の給与査定に反映されます(※1)。
「評価制度があいまい」「仕事の成果が給与に反映されない」といった不満が口コミサイトに見られることは事実です。しかし、そうした不満は過去のことになりつつある可能性があります。
※1 同社公式note
プロのアドバイザーはこう分析!評価制度はわかりやすいが給与への反映度合いには注意しよう
ツリーベルの評価制度は、同じSES・SIer業界の中では、「評価の考え方が比較的明文化されている会社」と見て良いでしょう。
数値目標と行動目標の両方を用いた絶対評価を採っている点は、「何を頑張れば評価されるのか」が見えやすく、制度面では一定のわかりやすさがあります。これは、現場任せになりやすい同業他社と比べると良い点です。
一方で、「実力が給与にどこまで反映されやすいか」という点では、やや慎重に見たほうが良いです。SESや派遣を含む業界では、本人の努力だけでなく、配属先の仕事内容や評価されやすい業務かどうかに左右されやすいからです。
そのため、制度が整っていても、「頑張った分がすぐ給与に表れる」と実感しにくいことはあり得ます。
評価制度は給与への影響も加味して確認しよう
就活生としては、「制度があるか」だけでなく、評価結果が昇給・賞与にどうつながるのか、配属先が違っても公平に運用されるのかまで確認することが大切です。
制度の明確さは比較的良い一方、給与反映の実感には差が出やすい会社、と理解するとわかりやすいでしょう。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④キャリアの将来設計に不安があるから
ツリーベルの平均勤続年数は6.0年(※1)であり、情報通信業界の平均が11.9年(※2)であるため、同社は長く勤務する職場にはなっていないようです。
また、新卒入社とキャリア入社の在籍比率は37%対63%(※3)ですから、新卒入社でキャリアを積み重ねるというより、一定期間でキャリアチェンジしながらステップアップしていくのに適していると見ることもできます。
一方で理系や情報系の学部卒でなくてもエンジニアになりたい人には、研修体制が魅力になり得ます。
新人研修は、社外専任講師による1カ月間の全体研修、配属部門別の1~2カ月間の研修があり、入社1年間はメンター制度があり先輩社員のフォローが受けられます。資格取得支援も受けられ、実務に直結するサポートがあります(※4)。
もちろんツリーベル内で昇進やキャリアアップを目指す選択肢が否定されているわけではありません。役職者のうち50%が20~30代で占めており(※3)、ツリーベルには、早期からチャンスがたくさんあると期待できそうです。
※1 厚労省「しょくばらぼ」
※2 厚労省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
※3 同社採用ページ「キーワードで知るツリーベル」
※4 同社採用ページ「よくある質問」
プロのアドバイザーはこう分析!経験豊富な人たちと学びを得られる環境である
キャリア入社率が高い会社は、いわゆる大人なカルチャーになる場合が多いです。
年功序列で長く在籍していれば評価されるのではなく、実際のパフォーマンスでフラットに評価される傾向が強いです。
メリットは、「多様なバックグラウンドを持つ人材から、多角的な知見や他社の優れたノウハウを学べる点」です。
さまざまな業界・会社で経験を積み上げてきた人たちを中心に構成される組織となるため、良い意味で会社のナレッジが固定化されないのも特徴です。
自立した人間が多い環境ならではのデメリットもある
一方でデメリットは、「手厚い教育体制が期待しにくい点」です。各々が自走できることが前提に組織が動いているため、マニュアルや研修が未整備なことが多く、待ちの姿勢だと十分に学ぶ機会が得られない可能性があります。
また、メリット・デメリットが表裏一体ではありますが、適度な距離感のドライさがあるために組織としての一体感が育ちにくい側面もあります。
会社の総合的な評価と自分のキャリア観をすり合わせが重要になる
生活にすぐに影響を及ぼす給料や待遇といった要素と、将来的なキャリアへの影響という不明確な要素を天秤にかけるのは難しい作業です。
それでもキャリアをスタートするに当たって避けては通れませんから、じっくりと総合的に自分なりの答えを見つけてください。
アドバイザーのリアル・アドバイス!経験や年齢に関係なく成長したい人には向いている
ツリーベルをファーストキャリアに選ぶべきなのは、ずばり、文系や未経験からでも、リスクを抑えてIT業界のスタートラインに立ちたい人です。
同社の最大の強みは、理系・情報系の知識がなくても、1年間のメンター制度や丁寧なステップアップ研修を通じて、社会インフラを支えるITインフラや運用の基礎を「給料をもらいながら学べる」環境にあります。
また、役職者の半数が20〜30代というデータが示す通り、社歴に関係なくやる気次第で早くからチームを率いるマネジメント経験を積めるチャンスも転がっています。
自主的な成長志向を持って職場環境を活用しよう
一方で、「最初から高年収を稼ぎたい」「最先端の自社開発だけで勝負したい」という人にはミスマッチになる可能性が高いでしょう。
この会社は、手厚い初期教育を最大の「踏み台」ととらえ、その教育を自分のものにし、早期に実務経験という名の市場価値を自ら作り出しにいく、そんな自走力や能動性の高い人にこそ最適です。
会社に「ごきげん」にしてもらうのを待つのではなく、この環境を賢く使い倒してキャリアの1歩目を切り拓く、そんなしたたかな覚悟を持って臨むのがおすすめです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント
Chiharu Hatakeyama〇SI企業へシステムエンジニアとして新卒入社。その後、ベンチャー特化型人材会社に転職し、キャリアアドバイザーとして求職者と向き合いながら企業の採用支援にも携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細