海運業界を徹底解説! 理解必須のトレンドから志望動機例まで紹介

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役

    Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/Koyoriキャリアワールド代表取締役

    Chieko Kimura〇2度のアメリカ留学、20年以上の外資系IT企業勤務を経て、現在は留学生向け就職支援をおこなう。また、企業のキャリア支援や新入社員のクラウドコーチングなどにも幅広くたずさわる

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表

    Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績

    プロフィール詳細

この記事のまとめ

  • 海運業界を志望する場合は幅広い業界理解が必須
  • 3つの魅力から海運業界は就活生に人気の業界
  • 海運業界の選考を勝ち抜くためには4つの対策がある
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日本の物流を支える海運業界。興味があるものの、海運業界は身近ではないため、具体的なイメージが湧かないと悩んでいる人もいることでしょう。「海運業界ってどんな仕事があるんですか」「海運業界で働くにはどうしたらいいんだろう」と多くの就活生から疑問が寄せられています。

海運業界は歴史が長い大手企業がシェアを占めているので、企業の特徴をしっかりと理解し、業界全体の流れに合わせたアピールができるかが、選考通過のポイントです。
 
この記事では、キャリアアドバイザーの鈴木さん、木村さん、渡部さんのアドバイスを交えつつ解説します。海運業界に興味をもっている人は参考にしてくださいね。

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海運業界はイメージしにくいからこそ業界理解が必須

海運業界に興味があるが、業界の動向など全体像がわからず、知識不足なまま就活を進めてしまう学生がいます。そのような進め方は非効率で、就活を頑張っても内定につながらない、内定を獲得できたが入社後にミスマッチを感じる、などの後悔が残る結果になることも。

この記事では海運業界のビジネスモデルから、近年の傾向を網羅的に解説します。さらに、海運業界の魅力や海運業界の主要な企業、海運業界で活躍できる人の特徴を紹介。就活をうまく進めるための3つのコツと志望動機例5つも取り上げます。

この記事を参考にすれば、自信をもって海運業界を志望して、就活もスムーズに進められるでしょう。

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海運業界のビジネスモデルを知って業界の全体像を掴もう

海運業界を理解するには、まずはビジネスモデルを理解することが欠かせません。ビジネスモデルがわかれば業界の全体像が見えてきます。

渡部 俊和

プロフィール

どのようなサービスを誰に売って収益を得ているか、何のために事業をおこない、どのような価値を生んでいるか。こうした要素がビジネスモデルに含まれています。これを理解していなければ志望動機の根拠が全く無くなってしまいますね。

海運業界は陸上輸送・航空輸送とともに、日本の物流を支える業界です。国土交通省の外航海運の現状と課題によると、日本の貿易量の99.6%を海上輸送が占めています。

日本は島国で、食品などさまざまなものを輸入に頼っています。さらに海外で作った製品を輸入したり、日本から自社工場に部品を輸出したりする企業も多いです。海上輸送の場合、時間がかかる分、輸送費用が抑えられます。そのため、海運業界は重要な役割を果たしているといえるでしょう。

ビジネスモデル①船舶の賃貸と売買

海上輸送に必要なのが物資を運搬する船舶です。保有する船舶の量は海運業者の事業規模にも大きく影響します。そのため、できるだけ多くの船舶を用意する企業のほうが、競争力が高くなります

しかし、自社で保有できる船舶の数には限りがあることも。そのような場合に、船舶の賃貸や売買をおこなう会社を利用して、一時的に船舶の数を増やしています。船舶のリースのようなビジネスモデルで、安定した収入を得ている海運業者の企業もあります。

ビジネスモデル②物資輸送

海運業界の2つ目の事業は物資輸送で、船舶を使って物資を運びます。日本国内の海での輸送を「内航海運」、海外の海での輸送を「外航海運」といいます

日本内航海運組合総連合会の「内航海運の活動」令和3年度版によると国内の輸送量に占める内航海運のシェアは7%・輸送活動量は42%です。 これは、内航海運が長距離で大量輸送に適していることを示しています。

国土交通省の外航海運の現状と課題によると、外航海運は、日本の貿易量の99.6%を占めており、輸出入貨物の輸送比率を見ると日本商船隊(日本の外航海運企業が運航する2,000総トン以上の外航商船全体)が66.9%・6億1,483万トンを担っています。

鈴木 洵市

プロフィール

海運業界は日本に欠かすことのできないビジネスです。日本は四方を海で囲まれており、何をするにも海運が重要な役割を担っています。

扱う物資によって船の種類が変わる

海上輸送では、扱う物資によって使用する船舶の種類が変わります。海運業界を志望するうえでは、一般的な知識なのであらかじめ押さえておきましょう。

船舶の
種類
船舶の種類特徴
コンテナ船日用品・電化製品・スチール製の巨大な専用箱に詰めて、たくさんの荷物を運ぶ
・一般的な荷物を運ぶ手段として最も利用される
・定期船は公表された運賃とスケジュールに従って輸送する
LNG船液化天然ガス・LNGはLiquefied Natural Gas(液化天然ガス)の略称
・-162℃に冷やして液化した状態で輸送する・専門的な知識が求められる
バルク船鉄鉱石、石炭・梱包されていない状態で輸送するために設計された貨物船
セメント専用船セメント・工場で作られた粉状のセメントを運ぶ
オイルタンカー石油・事故が起きた際に原油の流出を抑えられるよう二重化構造になっている
・重大な事故につながる可能性があるので細心の注意が必要
穀物船小麦など、穀物・ばら積みされた穀物をそのままの状態で輸送
・複数の種類を一度に運べるものもある
自動車専用船自動車・完成した自動車を輸送する
・多層構造になっており、一度に500~1,500台者自動車を運べる
木材専用船木材・木材を甲板上に積めるように甲板が丈夫な構造になっている
ケミカルタンカープラスチックや化学繊維の原料・貨物の腐食や汚染を防ぐため、特殊な材質でできている
船の種類による特徴

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受けるなら理解必須! 海運業界の特徴とトレンド

海運業界を志望するなら、業界の特徴とトレンドをしっかりと理解しておくことが必要不可欠です。業界の現状を知っておくと、海運業界とほかの業界との比較がスムーズにいきます。また、海運業界の中で志望する企業を絞り込みやすくなるでしょう。

さらに今後の方向性を理解しておくと、海運業界で求められる人材がわかるので、自分の強みのアピールの仕方が明確になりますよ。

海運業界の市場規模

海運業界の業界規模は2021年時点で3.7兆円(66位/190業界)です。成長率は-12.1%(179位/190業界)となっています。(引用:業界動向サーチ

2021年時点では、コロナで輸送量が急減したことを受けて、大きなダメージを受けました。2021年3月時点の決算では各社の売上高が減収となりました。日本郵船が前年比3.6%減、商船三井は14.2%減、川崎汽船は14.9%減で、世界貿易に依存する海運業界全体が影響を受けています。

2017年以降売上は減少傾向にある

なお、海運業界の売り上げは、2012年から2017年までは増減を繰り返していましたが、2017年以降、減少が続いています。このトレンドは、海運業界大手の3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)で共通です。

2017年以降減少傾向が続いた原因は、米中の貿易摩擦や船の燃料となる原油価格の上昇です。それ以外にも、自動車の生産や販売が減少したことで、自動車船の輸送台数が落ち込んだことなど、世界各地の製品や荷動きの影響を受けています。

海運大手3社ともコロナで活況

一方、2022年3月の業績は大手3社とも、記録的な利益水準となりました。たとえば日本郵船の純利益は1兆91億円で、これまでの過去最高だった前年の1392億円の7.2倍です。

商船三井は7088億円、川崎汽船は6424億円の純利益を計上し、それぞれ過去最高額の3.7倍、5.9倍になりました。

コロナ禍で、世界的な需要が「もの」に集中し、アフターコロナ・ウィズコロナが定着した地域では、ものの輸出入が増加しています。それに加えて、労働者の感染症対策で積み下ろし作業が進まず、コンテナが不足する事態から、船の運賃が世界的に上がったことが影響しています。

このような復調の影響を受け、海運業界の株価も急激に上昇している状況です。

世界情勢や原油価格に左右されやすい

海運業界は、世界にまたがって仕事ができる魅力のある業界です。その反面、世界情勢に大きく影響を受ける業界であることは理解しましょう。世界的な経済の変動で業績が大幅に変動しやすいです

就職した際には好調な状態であってもすぐに不景気になることもあれば、逆に景気の悪い時期に入社してもすぐに好転することもあります。

たとえば、近年では米中間の関係は深刻化しており、改善の目途が立っていません。会社の業績を把握するうえで、日本国内の経済的な動向はもちろん、海外の経済や政治について情報を収集する必要があります。

ほかにも原油価格の上昇から、輸送コストが増えていることも深刻な問題です。コストが増える分、企業としての利益が小さくなってしまうからです。

安定性を求めるのであれば、海運業界を目指すのはあまり良くないのでしょうか?

渡部 俊和

プロフィール

「安定性」という考え自体を見直してみよう

ウイルスの蔓延やウクライナ侵攻のように急激な変化が起こる時代です。海運業界に限らず、安定性という基準自体がもう幻想ではないでしょうか。

高度情報化や物流の発展によってあらゆる分野で世界中が影響し合っています。自分にとっての「安定」とは何か、それが現代のおいてどのように実現できるのか、まずはしっかり考えてみましょう。

コンテナ不足と運賃高騰が響く

新型コロナウイルス感染症による巣ごもり需要で、家具や家電などを輸送するために海上輸送の需要が増しています。一方、コロナ禍で港での労働者が不足し、コンテナの積み下ろしがスムーズにいかないという事態が発生し、企業の輸送スケジュールが遅延している状況です。

コンテナは世界中の船で共有しているので、新しく荷物を積むための空のコンテナが必要ですが、人手が足りずコンテナも不足しています

物流の量が増えているにも関わらず、コンテナ不足が拍車をかけて、運賃は高騰。2022年3月期決算では、運賃高騰の影響を受けましたが、今後もコンテナ不足は続く見込みで、さらなる影響が懸念されています。

市況の変動に左右されにくい事業にも注力

海上業界の世界情勢の変動を受けやすいという特徴に対して、各社は市況の変動に左右されない業界へも力を入れ始めました。

たとえば、日本郵船は海の上に風車を設置して発電をおこなう「洋上風力関連事業」に注力しています。日本は四方を海に囲まれているので、大きなポテンシャルをもつ再生可能エネルギーとして注目されています。

商船三井や川崎汽船も、洋上風力や洋上風力支援船に力を入れており、各社いずれも、変化の大きい業界の動向に対応できる新しい事業を模索しているといえるでしょう

M&Aが進んでいる

人材の確保や基盤強化、新規顧客の獲得やノウハウの取得・業務効率化といったさまざまな目的のもと、M&Aが進んでいます

木村 千恵子

プロフィール

海運業界は人材の高齢化が課題の根底にあり、グローバル化とデジタル化の両面からさまざまな業界とのM&Aが進んできています。

最近の新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻の影響により、今後もいろいろな形のM&Aが加速していくと推察されます。

2018年には商船三井がオランダのAzalea社を100%出資子会社としました。長年培ってきた、欧州での人員の確保と育成の経験とノウハウを目的としたM&Aです。これにより、船員の供給体制を強化するという狙いがあります。

ほかにも、2017年7月に海運大手3社によるコンテナ船事業「OCEN NETWORK EXPRESS社(ONE)」が設立されました。背景には、欧州や中国で大手海運会社のM&Aが相次ぎ、コンテナ船市場のシェア争いが激しくなったことがあります。3社で共同し、シェアを拡大することでコンテナ船事業の収益確保に努めています。

あなたが海運業界に向いているか確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

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環境保全への取り組みをおこなっている

船の燃料には重油や石油を使用しており、長年地球温暖化や大気汚染の原因になる物質を排出していることが問題視されていました。

2020年1月以降、国際海事機関(IMO)から船舶燃料の硫黄化合物(SOx)や温室効果ガス(GHG)などに対して環境規制が設定され、環境への配慮が義務付けられています。

世界一律でおこなわれる規制に対応するため、海運業者は燃料の変更や基準を満たした船舶への買い替えが必要になっていく可能性があります

また、SDGsが重視される現代では、企業のスタンスとしてもどれだけ環境に配慮しているかをアピールすることが求められるでしょう。

省エネ性能をアップさせコスト削減

一度に大量の物資を運ぶ海上輸送では、移動にかかるエネルギーも莫大になります。船が大きくなればなるほど、輸送できる荷物も、一度の航海で使用するエネルギー量も多くなります。

原油価格高騰している状況のなか、できるだけ少ない燃料で効率良く船を動かせるとコスト削減も可能です。燃費効率を上げ、省エネ性能をアップすることが各社の今後の課題となるでしょう

省エネ化のひとつの取り組みとしては、次世代燃料と呼ばれるLNGやアンモニアを使った輸送の研究も進んでいます。

日本郵船では、アンモニア燃料タグボートの実用化に向けた共同研究開発を進めており、船体や燃料供給システムの研究・設計をおこなっています。確立できれば、海運の脱炭素化に大きく貢献することが期待できるでしょう。

渡部 俊和

プロフィール

たとえば商船三井はインドネシアのマングローブ再生事業に参画していますし、大手以外でもほとんどの海運業者がSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを表明しています。硫黄分の少ない次世代燃料船の採用なども進んでいます。

デジタル化への対応が進む

社会全体で進むデジタル化の流れは、海運業界にも及んでいます。デジタル機器を活用して作業負担を減らしたり、高速コンピューターを使って貨物の積み方を最適化したりと、デジタル化の動きは活発になっています。

海運業界のデジタル化は他の業界に比べて遅く、海上は陸に比べて通信環境が10年遅れているといわれるほどです。

その分、デジタル技術を活用する余地は多く、さまざまな目的を達成するために技術の活用を図る流れが進んでいます

鈴木 洵市

プロフィール

デジタル化のおかげでさまざまな生活の変化や働き方の環境変化が起こっています。海運業界が遅れているのであればなおさら変化が速く進むかもしれません。一般的なデジタル化の知識は持っておきましょう。

サイバー攻撃への対応

衛生技術が発達したことで、船舶のインターネット常時接続が普及しています。また航データを陸上でモニタリングするなど、船と陸との間でデータを共有する事が増えている状況です

船舶の内外からウイルスに感染したりサイバー攻撃にさらされたりするリスクが高まっています。実際に、アメリカやヨーロッパ、中東の企業が集中的に被害を受けているという報告があります。

GPSなどのナビゲーションシステムが乗っ取られると、船は指針を失い、座礁したりほかの船舶と衝突したりする恐れもあるでしょう。安全な運航を続けるために、サイバー攻撃に対する安全管理システムへの対応が求められます。

デジタルトランスフォーメーションの推進

慣性的な人手不足や高齢化に対応するため、消費燃料の削減を目的として、海運業界各社はデジタルトランスフォーメーションを進めています

商船三井は、高速の衛星通信や人工知能を活用した、商戦の運航効率化や乗務員の業務負荷削減、環境負荷低減につながるサービスを各社と共同して始めています。

日本郵船では、デジタルデータを活用した運航に取り組み、船舶運航データを収集・船陸間で共有するシステムを構築しました。システムが陸上の運航担当者と船長に速度やエンジンの回転数、運行ルートを提案することで、2012年度から2014年度までで約600億円の燃料費削減を達成しています。

アドバイザーコメント

歴史的背景と将来の変化で海運業界を捉えよう

海運業界は仕事のスケールが大きく、国際情勢に左右されたり地球規模の課題ともつながったりする業界です。そのため、小刻みな変化よりも大きな大局観に沿って、時間をかけて変化していく業界であると言えます。

企業選びや選考対策においては、過去と未来、つまりこれまでの歴史的背景と、これから来る大きな変化への対応の2点で考えましょう。

相手国とのかかわり方からも業界や企業の特徴が見えてくる

また、かかわりの大きな国や物資との関連で企業間の比較をしていくこともポイントです。外航海運のシェアが貿易の99.6%とということは、その企業の得意とする物資やサービスが、そのまま我が国の貿易の実態を反映するものになるわけで、責任や影響が大きい仕事です。相手国の経済や生活とも密接に関連しています。

そこにあなたの関心がどのくらい高く持てるかという事を、企業選びや選考対策の切り口にしてみてはどうでしょうか。特徴のはっきりしている海運業界は仕事のやりがいもわかりやすく、志望動機の材料も多いはずです。

違いを押さえよう! 海運業界の5つの大手企業

海運業界の5つの大手企業

  • 日本郵船
  • 商船三井
  • 川崎汽船
  • NSユナイテッド海運
  • 飯野海運

海運業界の2021年売上高上位5社を紹介します。売上は企業の財務力・ビジネスの規模を示しています。売上高の大きい企業のほうが金融機関からの融資を受けやすいので、企業の資金調達力がわかるでしょう。

海運業界の各企業はそれぞれ異なった歴史や強みがあります。それぞれの特徴を知り、企業選びに活かしていきましょう。

鈴木 洵市

プロフィール

海運業界内での就職を希望する場合は、以下の有名企業各社の企業分析を十分におこない、企業ごとの特徴を押さえ、強み弱みを把握したうえで自分にあった企業選択をしましょう。

①日本郵船

従業員数35,165名(2022年4月1日現在)
設立年月日1985年9月
2021年売上高22,807億円
日本郵船

日本郵船は、海上輸送に加えて、陸上輸送・航空輸送も展開している総合物流の会社です。2021年のセグメント別売上高の構成比率は海上輸送が50.9%、陸上輸送が37.1%・航空輸送が7.8%と海上輸送以外も柱とする経営体制です。

「Bringing value to life.」を企業理念に掲げ、変化の激しいグローバルな舞台で活躍できる多角的な人材に成長できる人材戦略をおこなっています。仕事を通して「包容力と柔軟性」「マネジメント力」「リーダーシップ」の3つのスキルを身に付けることを社員に求めているので、これまでの経験を振り返り、アピールポイントを見つけていきましょう。

②商船三井

従業員数1,098名(陸員769名 海員329名)(2022年3月31日現在)
設立年月日1884年
2021年売上高12,693億円
商船三井

商船三井は外航海運事業を核とし、資源やエネルギー原材料などの物資輸送をおこなっています。商船三井のLNG船保有隻数は世界第1位の98隻(2021年3月時点)、運航隻数は世界第3位の809隻(2021年5月時点)です。海外の拠点も多く、43ヵ国に186名の駐在員を派遣しています

求める人物像として、自立自責型の素養をもつ人材を掲げており、次の要素を挙げています。

商船三井の求める人物像

  • バイタリティ
  • コミュニケーション力
  • 問題解決力
  • リーダーシップ

③川崎汽船

従業員数単体:769名 (陸員565名 海員204名)
連結:6,080名(2021年3月31日現在)
設立年月日1919年4月
2021年売上高7,569億円
川崎汽船

川崎汽船は海上輸送に加えて、陸上輸送や航空輸送など、幅広く物流サービスを提供しています。1970年に日本初の自動車専用船を建造したり、1983年に日本初のLNG船を竣工したりと、時代の一歩先を行きビジネスチャンスをつかんできた企業です

川崎汽船には「自主独立」「自由闊達」「進取の気性」という3つの指針が掲げられています。これまでの川崎汽船の歴史や社風を体現する精神といえるでしょう。

今後も、時代の先駆けとなり、新しい価値を提供できる柔軟性のある人材を求めています。

④NSユナイテッド海運

従業員数212名(陸員162名 海員50名)
(2021年3月31日現在)
設立年月日1950年4月
2021年売上高1,959億円
NSユナイテッド海運

NSユナイテッド海運は、鉄鋼原料輸送や資源エネルギーの輸送、不定期船サービスや近海水域サービスなどの外航海運事業とグループ会社による内航海運事業を展開しています。

海外に7つの拠点をもち、5〜10年目の社員の50%が海外駐在を経験したことがある、グローバルな企業です。また、社員同士のつながりを大切にするウェットな文化が根付いています。

経営理念の中に「人を育て活かす」ことを掲げており、仕事を通して、人を育てることに注力している企業です。入社後も研修の機会が多いため、向上心をアピールできると効果的です。

鉄鋼原料の輸送をしていると紹介がありましたが、鉄鋼業とは何か疑問に思った人もいるかもしれません。次の記事で鉄鋼業界について解説しているので、チェックしてみてくださいね。
就活で鉄鋼業界を視野に入れないのは損! 業界知識まで完全解説

⑤飯野海運

従業員数単体 166名(陸員110名海員56名)
連結 659名(2021年3月31日時点)
設立年月日1899年7月
2021年売上高1,041億円
飯野海運

飯野海運は海運業と不動産業の2つの事業を展開しています。市況や為替変動の影響を受けやすい海運業と、変動が少なく収益が安定した不動産業を両輪とすることで、安定的な収益を確保しています。売上高は、外航海運業が77.9%、内航・近海海運業が9.6%、不動産業が12.5%という割合です。

飯野海運は、企業力の違いは人材力にあると捉え「改革・自立・不屈・外向性・建設的」の5つを求める人物像に設定しています。これらのキーワードに関係のあるエピソードを盛り込むと良いでしょう。

企業の大まかな特徴はわかりました。より詳しく企業の内情を知るための効果的な方法があれば教えてください。

木村 千恵子

プロフィール

第三者が発信する情報をもとに多面的に理解しよう

自社のHPで広報が発信する内容は、基本的に自社について前向きなコメントや情報に限定されるでしょう。

一方、同じ事柄についてメディアや外部の第三者が発信する内容は、必ずしもその企業に対して好意的な見方ばかりとは限らず、それぞれの立場からの批判的な視点での記事や情報となるケースもあります。たとえば、その企業の動向に言及している業界誌のバックナンバーや業界新聞の記事などです。

また従業員の口コミが掲載されているサイトの情報も、匿名性のため全ての情報を鵜吞みにするのは避けるべきですが、ある程度参考にできます。

このように、多面的な情報を収集して、よりリアルな実態を掴むことをおすすめします。

海運業界の職種を知って仕事内容をイメージしよう

海運業界にも、ほかの業界同様に人事や総務・経理などの職種がありますが、海運業界ならではの職種を海上職陸上職にわけて紹介します。

海上職と陸上職で採用の窓口がわかれていることが多く、日本郵船のように入社後に職種を変更できない企業や飯野海運のように陸上職から海上職への異動はない企業もあります。

海運業界に限らず、そもそも世の中にどんな職種があるかわからない人は、こちらの記事も併せて確認しましょう。
職種の種類一覧を徹底解説! 業種・業界・職業との違いも押さえよう

海上職

海上職とは、海技者として船に乗り、エネルギー・資源の海上輸送に携わる職種です。航海士や機関士・通信士・船員といった仕事があり、それぞれのメンバーがチームワークを発揮して、安全に荷物を輸送します。

海上職の職場は船上のみではありません。基本的に若いうちは船上で経験を積みますが、その経験を活かして海技者のスペシャリストとして、船や荷物、顧客のニーズに応える技術的なサポートを陸上でおこなうこともあります。その他、海上職の育成や新しい技術の開発などにもチャレンジできます。

一方で、船上の仕事の場合は、勤務スタイルは不規則になりがちです。また、海上職は、船舶職員養成課程修了者が取得できる資格が必要なため、陸上職に比べて給与水準が高くなります。

海上職の主な職種

  • 航海士
  • 機関士
  • 通信士
  • 船員

航海士

航海士は航路の策定や船の操船、貨物の安全な輸送を担います。貨物ごとの技術を磨き、船上での経験を活かした陸上勤務をおこなう場合もあるのが特徴です

航海士の基本的なキャリアステップ

  1. 三等航海士(約3年):消火や救命設備の整備、福利厚生にかかわる諸業務を担当
  2. 二等航海士(約5年):航海計器を担当し、海図の改正を担うこともある
  3. 一等航海士(約7年):航海士と甲板部員への指示や労務管理、荷物の積み下ろし監督を担う
  4. 船長:船の最高責任者で全責任を負う。進路の決定や会社との連絡、対外的な交渉も担う

機関士

船のエンジンルームで、船内のあらゆる機器の保守整備をおこないます。エンジニアとしての高度な専門知識をもとに、多種多様な機械や設備の維持管理を担って安全な航海を支えます

機関士のキャリアステップ

  1. 三等機関士(約3年):空調関連などの機器整備を担当する
  2. 二等機関士(約5年):発電機やボイラーなどの整備を担当する
  3. 一等機関士(約7年):機関士と機関部員への指示、労務管理や主機(エンジン)を担当する
  4. 機関長:機関室の全責任を担い、機関士の統括をする

通信士

無線通信を使って陸上と連絡をとります。通信に使う機器の整備も担当する職種です。通信士になるには無線従事者免許という資格が必要ですが、受験資格が不問の国家試験なので、大学在学中に試験を受けて取得することも可能です

ただし、今は海事衛星通信という陸上と船舶の通信や船舶同士の通信に利用できる人工衛生が導入されたため、船長や航海士でも通信士の資格があれば、連絡を取れます。専任の通信士が船に乗りこまない場合もあるでしょう。

船員

航海士や機関士・通信士以外の職種は船員として船に乗り込みます。船員は主に甲板部・機械部・司厨部にわかれており、それぞれの仕事内容は次の通りです。

船員の仕事内容

  • 甲板部:航海士の指示を受けて、貨物の積み荷や積み下ろしをおこなう。舵取りや停泊中の見張りをすることもある
  • 機械部:機関士の指示を受けて、機器の整備や点検をおこなう
  • 司厨部:乗組員の食事を作る

船の数によって多少の人数の違いがありますが、乗組員はおよそ20名程度で運航しています。船内では、外国人クルーと共に仕事をすることもあります。

渡部 俊和

プロフィール

船員は、安全とチームワークに加え、決められたことを確実にこなすことが求められます。一つひとつの責任が大きいため、リスクに対する感受性を強く持っておきましょう。予防できるエラーやミスを極力起こさないようにすることが重要です。

陸上職

陸上から海上輸送のビジネスをけん引する職種としては、事務職や技術職・営業職といった職種があります。貨物の輸送を望む顧客に対して船を提案したり、用意したりと陸上から海運事業を支えているのです。

海上職との違いは勤務体系です。一般的な会社員としてイメージが湧く、朝出勤して夜帰宅するスタイルをとります。入社時点では専門的な資格が求められないので目指しやすい職種ともいえるでしょう。ただし、入社後は貿易や関税に関する知識が求められます

また、企業によっては、海外赴任の可能性もあり、日本郵船では、陸上職の5人に1人が海外で勤務しています。

陸上職の主な職種

  • 事務職
  • 技術職
  • 営業職

事務職

陸上総合職とも呼ばれる事務職の業務内容は主に次の3つです。

事務職の業務内容

  • 船舶調達:案件ごとにどのような船を手配するのが良いかを見極め、手配する
  • 運行管理:貨物・燃料補給や、寄港地など、航海計画を自分の担当船に指示する。寄港地での入港手続きもおこなう
  • 管理部門:財務・経理・総務・経営企画など、企業戦略をねったり、船を建造する際の資金を調達したりする

顧客の貨物を運ぶために必要な業務をすべて担い、船の円滑な運航の管理をおこなう職種といえます

社内の関係者と情報のやりとりを密におこなうため、コミュニケーション能力が求められます。また、自分の仕事以外にも関係者の仕事まで幅広く考慮して動く姿勢が必要な職種です。

木村 千恵子

プロフィール

海運業では、運行管理や経理などの一般企業と同じ名称の職種の管理業務であっても、一貫して天候や国際情勢(石油取引価格、為替のリスクなど)に敏感に状況判断していく必要があります。

扱う輸送対象の量が膨大であるため、これらの状況判断を誤れば大きな損害につながってしまうからです。

事務職を志望する人は、他の業界の事務職と異なる点として押さえておきましょう。

技術職

陸上職の技術系は船の一生にかかわる職種です。実際に船を運航する海運会社の目線で、造船や保守運用に携わります。具体的な仕事内容は次の通りです。

技術職の業務内容

  • 新造船の建造:環境負荷の低い船や安全性の高い船、コストの安い船など船の基本用の策定や設計、図面承認や船価交渉などをおこなう
  • 運航船保守の技術支援:運航戦から得られる技術情報を収集・蓄積・分析し、運行船のトラブル対策や保守・修繕・改造支援に活かす
  • 技術開発:船の性能や信頼性・コスト評価をおこなう、海運業界の技術革新を推進する

実際に船を作るのは造船会社ですが、具体的な船の仕様や搭載する機器の種類を検討して、造船会社が作った船の図案を確認するのは技術職の仕事です。実際に船が完成したら船のパフォーマンスを確認したり、メンテナンスをしたりすることもあります。

営業職

船に乗せる貨物を集めるために、資源・エネルギー会社など各種メーカーなどに営業をかけます。新規の運送契約を獲得したり、既存契約の更新をしたりと顧客との交渉の窓口になります。担当する船のスケジュールや状態を把握したうえで、どのように荷物を運ぶのが良いかを顧客に提案する場合も。

ときには数十年の長期契約や、数億円にのぼる大口の契約になることもあり、大きな責任を負っている職種といえます。長いスパンと大きな視野で採算性を考える力が求められますが、その分やりがいが大きいでしょう。

アドバイザーコメント

海運業界はどの職種でも専門性を極めることが重要

海運業界においては、その業務内容から、どの職種でも専門性が求められることが多いという特徴があります。

特に海上勤務においては、専門職ごとに仕事の内容が組織分担され、一隻の船で運ぶ仕事について、専門職種の多職種が連携して業務を遂行します。つまり、海運業界では、自分が就職した後の職種における専門性を高めていくことが非常に重要なポイントです。

逆に地上職については、専門性が高い職種の場合であってもそのスキルを活かすことで他の業種に転換することも可能なことが多い印象です。特に営業職においては、専門知識やネットワークの構築ができる人材であれば、他業界からも一目置かれて商社などに転職する人もいます。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

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迷っている人必見! 海運業界で働く魅力

海運業界で働く3つの魅力

  • 世界を舞台に働ける
  • スケールの大きい仕事ができる
  • 物流で人々の生活を支えられる

海運業界の現状と職種について紹介したので、業界についての理解が深まったことでしょう。一方、海運業界の市況の変動を受けやすい点や、海上職の場合勤務体系が不規則になりやすいといったデメリットを知り、志望しようかどうか迷ってしまった人もいるかもしれません。

海運業界には、この業界だからこそ感じられる魅力があります。海運業界に興味をもったなら、業界で働く魅力についても理解したうえで、志望するかどうかを決めていきましょう。

世界を舞台に働ける

海運業界では、貨物を通して日本と世界をつなぐ仕事ができます。海上職に就けば、船に乗って日本と海外を行き来できます。寄港地では上陸できる場合もあり、自由な時間を楽しめるでしょう。また、なかには海外出身の乗組員がいることもあり、普段の仕事のなかでグローバリズムを味わえます。

陸上職の場合でも、海外勤務できる機会が豊富です。また、日本国内での勤務でも海外支社の社員や海外の取引先と外国語でコミュニケーションを取ることがあります。世界を相手に仕事をしているという実感がもちやすい業界といえるでしょう。

スケールの大きい仕事ができる

海上輸送は、大きな船にたくさんの貨物を載せます。陸上輸送や航空輸送と比べてもスケールの大きい輸送方法です。そのため、1つの案件で多額の資金が動くこともあります。

たとえば、コンテナ船の契約形態では、1年ごとの契約更新を1〜3月にかけておこないます。3ヶ月間で次年度1年間の輸送量や収支が決まるなどの非常に重要な交渉をすることもあります。

たった1つのミスや失敗で大きな損害が出ることもある大きな仕事だからこそ、うまくいったときには大きな達成感を得られるのが魅力です。

物流で人々の生活を支えられる

物資の輸送は人々の暮らしに欠かせない大切な産業です。物流業界のなかでも特に規模の大きい海運業界では、人々の暮らしを支える社会的な役割を果たせます。

とくに、外航海運は国と国を結んで必要な物資を届けており、海上輸送がストップすると世界経済に大きな影響を与えることが予想できます。物流は経済発展の一要素なので、その一役を担える実感がもてるのもやりがいにつながるでしょう

船は壊れながら航海するという言葉があるように、機器がトラブルを起こしたり、運航中に予期せぬトラブルが発生したりすることは避けられません。ただし、商船は数時間遅れただけで多額の損害が生まれてしまうので、予期せぬトラブルにもすぐ対応し、スケジュール通り輸送する責任のある仕事です。

アドバイザーコメント

日本を支えるやりがいを得られることも魅力の1つ

日本は島国で資源に乏しい国なので、海外からの輸出入が無くては日本に暮らす私たちの生活は成り立ちません。そのため、物資を一度に大量に輸送できる海運事業は、誰もが影響を受けている重要な産業なのです。

海運業は海外との取引だけではありませんが、やはり天候という自然を相手に、どうやって予定通りに物資を顧客に届けることができるかということに対して、業界のさまざまな立場の企業や個人が、国際情勢を読み、ルールを守り、連携し、工夫し、一定の緊張感を持ちながら日々取り組むのが海運業界の仕事です。

海運業界は周囲と協力して大きな仕事を成し遂げる醍醐味がある

企業一社や個人ひとりの力ではどうにもならない海上輸送は、さまざまな個性を持った人たちがチームとして大きなプロジェクトに取り組み達成することで、仕事の規模の大きさとその醍醐味を味わえるのが海運業界の魅力と言っても良いでしょう。

海外との取引の臨場感や大きなチームの一員として日本の生活基盤を支える役割を担ってみたい人は、海運業界にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

選考でアピールしよう! 海運業界で求められる力

海運業界で求められる力

  • 分析力
  • リーダーシップ
  • 責任感
  • 向学心
  • 円滑なコミュニケーション能力
  • 英語力

海運業界はグローバルな環境だという点が目立つため、語学力をアピールしようと考える学生も多いでしょう。しかし、各社の求める人物像や企業理念を見ると、語学力以外にも共通して求められる力があります。

海運業界を志望する際には、企業が求める人物像をしっかりと理解し、それに合ったアピールをすることが大切です。海運業界で求められる6つの力について解説します。

自己分析をして把握した自分の強みになるポイントと求められる力を照らし合わせながら志望動機を考えると、採用担当者にも響くアピールができます。

分析力

海運業界は常に先を見通しながら業務を進めるため、分析力が必要です。2022年時点では業績が好調だったため、さらに船の数を増やせば増収が見込めると考える人もいるかもしれません。

しかし、船の設計から完成までには時間がかかるので、変化の激しい海運業界では3年後も今と同じように業績が好調とは限らないのです。もしも、必要以上の船を抱えることになれば、それは企業にとって大きな負担になります。

さまざまな状況を幅広く観察し、常に数年先の状況を見越した選択ができる分析力がある人が活躍できる業界です。

鈴木 洵市

プロフィール

海運業界では、今目の前にある仕事ももちろん重要ですが、世界情勢や地域課題、その他海運にかかわる情報収集をし、仮説・見通しを立てられる人物が企業にとって必要な人材となります。

リーダーシップ

日本郵船と商船三井は採用ページで社員に求める力、求める人物像としてリーダーシップを挙げています。海運業界では、それぞれの社員が自分の与えられた役割を理解し、チーム全体の成果に貢献する働きが求められるでしょう

とくに、船長や機関長になれば、その船に乗っている乗組員を監督して、一つの仕事を果たすことが必要です。周囲の状況をよく観察し、関係者をひっぱっていく素質があると、経験を積むごとに活躍の幅が広がります。

これまでのサークル活動や部活動のなかで、中心的な役割を果たしたエピソードがあれば、具体的に書き出してアピールの材料にしましょう。

これまでの学生生活ではあまりリーダーシップを取る方ではありませんでした。選考のアピールとして弱くなってしまうのでしょうか?

鈴木 洵市

プロフィール

自分なりのリーダーシップをアピールできればOK

学生生活でのリーダーシップというと、先頭に立って物事を推進できる人物だと思う人も多いでしょう。しかし、リーダーには複数のリーダー像があります。そこを意識すればアピールしやすくなりますよ。

たとえば、周囲の意見を聞いて調整する能力が高いリーダーや、人に頼みごとをしながら目的を達成するようなリーダーなど、物事の進め方や得意分野は人それぞれです。

些細なことでも構わないので、自己分析をして人とかかわった経験を思い出してみましょう。そして、自分ならではのリーダーシップの取り方を考えてみてください。

責任感

海運業界は少数精鋭で働くことが多いため、自分に与えられた役割をきちんと果たす責任感が求められます。また、危険物を運ぶこともあり、物資と乗組員の安全を守るためにどんなときでも手を抜かない姿勢が必要です。

運航業務にあたってはさまざまな状況下で自分の知識や経験を最大限に活用してそのときに最善な判断をしなければなりません。航海終了後に、自分の判断を振り返りスキルアップし続けることも重要です

今まで、困難な状況でもやり遂げた経験があれば、そのときの経験を掘り下げると責任感があることを伝えられるでしょう。

責任感をアピールする方法はこちらを参考にしてみてください。
責任感の自己PRは要注意! 失敗例と絶対響く6例文で徹底差別化

向学心

海上職として働くためには、海技士免許が必要です。以前は専門学校に通って免許を取得するのが主流でしたが、最近では自社養成コースを設けている企業があります。大学を卒業して入社した後に2年間の養成コースに通い、免許を取得したら乗船できます。

もちろん、船に乗ってからも専門的な知識を身に付けるため、常に勉強が必要です。また、船員や陸上職は、必須な資格はありませんが、海運業界で業務をおこなうためには、海や船・気象や関税などについての専門的な知識が求められます。

自主的に学びを進めることが得意という人は、具体的なエピソードでアピールすると向学心があることが伝わります。

円滑なコミュニケーション能力

海上輸送にかかわるうえで、日本国外の関係者とやりとりをすることも多いでしょう。頻繁に顔を合わせられず、メールや電話でのコミュニケーションが中心になります。

直接顔を合わせるコミュニケーションよりもお互いの意思が伝わりづらくなってしまうことも。トラブルを発生させないように、円滑なコミュニケーションをおこなえる力が求められます

ときには、社内の人間に対してもネガティブな点を指摘せざるを得ないこともあります。そのようなときに相手に丁寧に説明をして、同時に代替案や対策を提案するといった工夫をすることで、良好な信頼関係を構築する努力が求められるでしょう。

渡部 俊和

プロフィール

コミュニケーション能力は伝えることが難しいスキルの1つ。単に話しやすいという事では説得力がありません。

文化や環境の異なる人々と共に行動した経験を伝えましょう。異なる考えを理解できること、許容できることなども含まれます。

英語力

海運業界で働く場合、メールや電話、書類作成など英語で海外の取引先とやりとりをします。英語に触れる機会はほかの業界に比べて多いです。実際の業務を円滑に進めるためには英語力は欠かせません。

業務のなかでは世界経済や世界情勢の動向を瞬時に察知して、早急な対応が求められる場合もあるので、英語を速く正確に読む力や情報を正しく伝えるライティング力が求められます。これらの英語力は専門用語を中心とするビジネス英語です。

また、ただ単に英語ができるというよりは、文化の違う相手に対して相手の主張に落ち着いて対応したり、こちらの要望を相手にわかるように伝えたりという臨機応変さも求められるでしょう。

就活時には高い英語力は求められない場合もある

英語を日常的に使用することから、帰国子女など語学力に自信のある学生が海運業界を志望することが多いです。しかし、入社前の語学力の基準は設けていない企業もあります。

たとえば、日本郵船では、採用の基準として語学力を重視していないことを明記しています。その分、入社後に社員の語学力向上をバックアップする体制を整えています。

入社の時点では英語力に自信がなくても問題ありませんが、実際の業務で英語を使うことには抵抗がない、英語力を身に付けるための努力ができる、という気持ちは必要です

海運業界に限らず、就活で英語力が必要かどうか気になる人はこちらの記事を参考にしてください。TOEICなども目安も解説しています。
英語力は就活への影響大! 求められるケースとレベルを徹底解説

アドバイザーコメント

海運業界では「決断力」も重要

海上・陸上共に、世の中で必要とされている仕事が海運業界です。そのなかでたくさんの能力がありますが、緊急時には決断する力が求められます。ここまで挙げた能力を活かしながらもなお、決断するということをしなければ、仕事を動かすことができません。

この決断力については、ただ決めるということではなく、たくさんの要素を複合的に判断してから決断するということになります。そして、そのステージごとに決定の大きさや重さは変わってきます。

あなたの今までの経験を自己分析で洗い出し、自分の中での決断してきたことを思い出してみてください。意外に多くの転機を決定してきたことに驚くかも知れません。これまで発揮した決断力やその背景、工夫などを選考でアピールできると良いですね。

海運業界に就職するために必要な対策

海運業界に就職するために必要な対策

  • 業界の動向をしっかり把握する
  • 各企業の違いを押さえる
  • 国際性や志望度をアピールできるよう語学力を鍛える
  • 責任感や実行力を発揮したエピソードを用意する

海運業界を志望したいと思ったら、その業界に合わせた対策が必要です。業界研究をおこなうのはもちろんのこと、就活のなかで押さえておきたい4つの対策を紹介します。

これらのポイントを押さえておくと、面接やESの作成がスムーズに進むでしょう。

木村 千恵子

プロフィール

ウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症の影響もあり、近年の海運業界を取り巻く状況は過去にも増して見通しづらくなっています。

日々のニュースなどから、常に国際情勢、日本国内の情勢、自分の身近な状況の3つの視点で多面的に捉える習慣をつけて、念入りに対策を進めましょう。

業界の動向をしっかり把握する

業界研究の一環として、海運業界の動向は常に最新の情報を収集するようにしましょう。たとえば、同じコロナ禍であっても2021年と2022年の海運業界の業績は真逆といえます。変化が激しい業界だからこそ、動向をしっかり把握しておくことは就活対策の基本です。

燃料費の高騰や、環境面への配慮、政治や経済と海運業界の関係性など、さまざまな要素が影響を与える業界なので、幅広く動向を掴みましょう

しっかりと動向を追えていれば、説明会や面接、グループディスカッションで話題を理解しやすくなります。選考過程でも的確な発言ができて、採用担当者に良いアピールができるでしょう。

業界の動向をいろいろ調べるのは難しく感じます。手っ取り早い方法があれば教えてください。

鈴木 洵市

プロフィール

OB・OGに直接話を聞いてみよう

業界の動向は、その業界で実際に働いている人に対してアクションを起こし、実際にどのような業界なのかを聞き取りすることが一番早いです。

特に学校のキャリアセンターでは、卒業生の就職先について管理されていることが一般的です。キャリアセンターからOB・OGの紹介をしてもらって、直接話を聞いてみましょう。

各企業の違いを押さえる

企業研究はどの業界でも必須ですが、海運業界を志望する場合は特に力を入れて対策しましょう。その理由は、海運業界は創業から100年以上の歴史のある企業が多く、創業から現在に至るまでの歴史には各社の特色が表れているからです。歴史に裏付けられた社風を理解することで、各社の魅力や強みを深く理解できるでしょう

企業の採用ホームページ(HP)にこれまでの変遷がまとめられているので、志望の企業はもちろん、ほかの企業の変遷と比べてみましょう。各企業の違いを理解しておくことで、なぜその企業を選んだのかを自分の言葉で伝えられるようになります。

木村 千恵子

プロフィール

たとえば日本郵船は従業員数も3万5千人以上と海、陸、空の輸送を手掛ける総合的な物流会社で、海運以外にも興味がある人には魅力的な企業です。

一方対照的な規模のNSユナイテッド海運は、従業員数こそ212名と少ないもののグローバルに展開し、人材育成に力を注いでいる点が特に魅力的な企業と言えます。

国際性や志望度をアピールできるよう語学力を鍛える

海運業界は日常的に英語を使ったり、海外へ駐在したりとグローバルな環境で働く機会が多いです。入社時点では語学力は求められないものの、入社後に必須な力なので、学生のうちから勉強をしておくのが望ましいでしょう。

現時点で英語力が高くないからといって、志望を諦める必要はありませんが、ES提出前にTOEICで高得点を獲得できれば、選考のアピール材料になります。直接的な語学力をアピールすることもできますし、業務に必要な知識や能力を事前に身に付ける努力ができるほど、志望度が高いことがアピールできるでしょう。

渡部 俊和

プロフィール

英語力の目安として、TOEICやTOEFLの点数が多少なりとも有効な企業であれば、TOEICで850点以上、TOEFLなら80点以上くらいからがアピールになると思います。ただしビジネス英語とは異なる部分もあり、評価に占めるウェイトは大きくはありません。

責任感や実行力を発揮したエピソードを用意する

海運業界では、自分の仕事をきちんと果たす責任感と、計画を立てたことをきちんと完遂する実行力が求められます。

責任感には、「自分に与えられた仕事はすべて自分の責任である」という自責と「責任範囲を広げて自分事として考える」という当事者意識の2つがありますが、少数精鋭の海運業界ではいずれも必要なものです。

これまでの経験から、社会人に求められるレベルで責任感や実行力を発揮したエピソードを用意しておくと、具体例として説明できて説得力が増します

アドバイザーコメント

海運業界だからこそ求められる「外交官的センス」を磨こう

海運業界の企業は、その事業の性質上、国際情勢に影響を受けることがめずらしくありません。だからこそこの業界を志望するにあたっては、企業規模の大小にかかわらず、外交官的なセンスが暗に求められる部分があります。

些細なことでも国際問題になり得るからこそ大局的な視点が必要

たとえば、仮に企業規模が小さい場合でも、一旦海上にでれば海外の船舶・業者とのトラブルや交渉が発生する可能性もあります。自社の事業がルールに従っておこなわれていても、相手も同じ認識で事業をおこなっているとは限らず、時には予想外の難題が持ち上がる可能性もあります。

当事者にとっては些細なトラブルであったとしても、不用意に感情的な対応をしてしまうと、些細な問題では済まされず、意図せずに国際問題に発展してしまう可能性もあります。

そのような意味で、海上という自然と国外の業者とを相手にした事業であることから、外交官的なセンスを持った人材であることは、重視される点の一つです。現場の課題を解決する視点だけではなく、大局的な視点とセンスを養うために、情報収集は欠かさないようにしましょう。

海運業界の志望動機で盛り込みたい3つの要素

海運業界の志望動機で盛り込みたい3つの要素

志望動機は書類選考のなかでも特に重視される項目の1つです。企業への熱意を伝えて、ほかの学生との差別化を図るために盛り込むべきポイントを押さえて作成しましょう。

また、ESに書いた志望動機は参考資料として面接でも活用されます。面接で矛盾が発生しないようにESの段階から作りこむのが大切です。限られた時間で採用担当者の目を引く志望動機を作成するコツを理解しましょう。

鈴木 洵市

プロフィール

採用担当者は志望動機で、あなたの今までの経験と熱意が自社でどのように活かせるかという点を複合して見ていることが一般的です。

海運業界に限らず、基本的な志望動機の考え方を知りたい人は、まずこちらの記事を確認しておきましょう。
面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG

①なぜ海運業界を志望するのか

まずは、なぜ海運業界を志望するのかを明記しましょう。同じ物流の陸上輸送や航空輸送ではなく、海上輸送に魅力を感じた理由を明確にしてください。

業界を志望する理由を伝えることで、業界への理解度や志望度の高さを印象付けられます。まずは、自分が海運業界を目指すようになった理由を箇条書きで書き出してみましょう。

一つひとつの理由だけでは、ほかの業界に通じる内容でも、組み合わせることで海運業界でなくてはならない理由になります。

海運業界を志望する理由の例

  • 世界を舞台に働きたい
  • 物流で人々の生活を支えたい
  • 語学力を活かしたい

インパクトを残せる志望動機の書き出しはこちらの記事で解説しているので、併せて参考にしましょう。
例文8選|本気度が伝わる志望動機の書き出しで差別化する方法

②なぜその企業を志望するのか

業界の志望理由が明確になったら、その企業独自の志望理由を考えましょう。ここで、ほかの企業にも通じるような志望動機だと、採用担当者は「本当に自社を志望しているのか」「他社が第一志望なのでは」と感じてしまう可能性もあります

海運業界は、柱としている事業に違いがあったり、強みのある貨物の種類が異なったりします。同業他社ではなく、その企業を志望する理由や、ほかの企業と比べて志望企業ならできると感じたことを盛り込むと、具体性が増すでしょう。

OB・OGの話を聞くのも、企業の特徴を知るうえで有効な方法です。

OB・OG訪問の具体的なやり方はこちらの記事を参考にしてください。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅

志望企業独自の理由を見つけるのは難しく感じます……。考えるコツを教えてください。

渡部 俊和

プロフィール

企業ごとの差別化ポイントを見つけてみよう

海運業界は他業界に比べ特色が明確です。国際間の貿易の重要性は言うに及ばずですが、地球環境の保全、国力や経済力との関連など、長い歴史を紐解けば志望動機の材料はたくさんあります。

その中で、大手は業界全体の課題や実績とリンクしていますし、中小は専門分野を磨いて大手との違いを武器に生き残っているはずです。その「差別化」の部分が考えるコツです。

もし、調べても理由を見つけるのが難しいとしたら、そもそも自分の関心が高くないのかもしれません。そのままでは就活自体うまくいかない可能性が高いので、しっかり研究しても志望企業の特徴が見えてこない、関心がわかない、という場合は、業界選びから再検討した方が良いでしょう。

③入社後どう活躍できるか

企業は採用した学生が自分の企業にとってプラスの働きをするかどうかを見極めています。選考で必要なのは、ほかの学生を採用するよりも自分を採用したほうがメリットがある、と自分自身を売り込むことです

そのため、企業に入社したらどのような貢献ができるかを志望動機でアピールしましょう。なお、職種によって求められるスキルは異なります。海運業界では、就活時に希望職種を選択する必要があるので、なぜその職種を選んだのかを自分の強みとかけ合わせて説明しましょう。

具体的に活躍のイメージが伝えらえると、採用担当者にも入社後の姿を想像してもらいやすくなります。

アピールにつながる志望動機の締め方はこちらを参考にしてみてください。
志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介

アドバイザーコメント

一貫性のある志望動機を意識しよう

志望動機を考えるにあたって特に気を付けたいのが、内容に一貫性があるかという点です。志望動機は、自分がなぜその企業に入社して働きたいか、自分の今までの経験やスキルをどのように活かせるかという内容を端的にまとめたものですが、ここに一貫性がなければ大きな懸念となりかねません。

海運業界は、仕事の一つひとつが積み重なって、チームで大きな仕事を達成していくことになります。そのような業界において、考え方の違いがあって議論があることは歓迎されますが、一貫性がないような話であれば「この人と仕事をして本当に大丈夫なのか?」と思われてしまいます。

これは海運業界に限らないことでもありますが、特に海運業界については志望動機に一貫性をもたせた内容にすることが重要です。

第三者視点で志望動機をチェックしてもらおう

志望動機に一貫性を持たせるコツとしては、キャリアセンターや就活アドバイザー、キャリアコンサルタントに第三者の視点で志望動機を見てもらい、指摘してもらうことです。自分ではよくできたと思っていても、第三者からすれば違和感が残るケースはよくあります。一貫性のズレも含めて添削してもらいましょう。

海運業界の志望動機例文5選

ESや面接で使える海運業界の志望動機について、例文を用いて解説していきます。

アピールしたい強みや志望理由ごとに5種類の例文を紹介していきます。ここで紹介したものを参考にして、すでに作った志望動機をブラッシュアップしたり、新しく志望動機の内容を考えたりしてみてください。

ESでの志望動機の提出を控えている人はこちらの記事を参考にしましょう。ESの志望動機の書き方を解説しています。
例文12選|受かる志望動機をエントリーシートに書く4つのステップ

例文①コミュニケーション能力を活かしたい

コミュニケーション能力を活かしたい

私は、貴社で日本だけでなく世界の人々とかかわりあいながら仕事を進めたいと思っています。

私の長所は論理的に事象を整理して、自分にとっても相手にとってもWin-Winの提案ができるコミュニケーション能力です。

私は、演劇部の広告担当として、ビラの制作を担当しました。ビラの内容と価格調整が初めはうまくいかず、予算を超えてしまいましたが、繰り返し広告会社との交渉を続けました。

大学の部活として、今後も継続的な依頼ができることや、他の部へ広告会社のあっせんができることを伝え、予算内で引き受けてもらうことに成功しました。

相手が納得できるような交渉ができるコミュニケーション能力は、貴社の営業職として、取引先との調整に活かせると思っています。

鈴木 洵市

プロフィール

Win-Winの関係を築けるコミュニケーション能力というよりも、交渉力が大きな強みになると感じました。物事を達成する力として交渉力が高いということをアピールできると良いですね。

例文②規模の大きい仕事をしたい

規模の大きい仕事をしたい

私は、自分の開発した船で日本や世界の物流を支えたいという夢をもっています。

海沿いの町で育ち、実家が漁業をしていたため、小さいころから海や船は身近な存在でした。親の漁業を継ごうと考えたこともありましたが、船が与える環境への大きさから、いつしか環境に優しい船を設計したいと思うようになりました。

貴社は、脱炭素化に向けたクリーンエネルギーの開発に注力しており、日本だけでなく世界各国の海運業界のトレンドを変えるような大きな開発に携われることに魅力を感じています。

私は、困難な状況であっても粘り強く取り組める強みがあります。貴社の技術職として、自ら自主的に学び続け、諦めずに造船の開発をおこなう所存です。

木村 千恵子

プロフィール

育った環境と将来の夢が漁業でつながっているエピソードは、業界の志望理由がわかりやすく語られていて良いと思います。

更にもう一歩説得力を持たせるために、「環境にやさしい船の設計」とはたとえばどのように環境にやさしい船を設計したいのか、もう少し具体化できると良いですね。

例文③船を通して社会貢献したい

船を通して社会貢献したい

私は、海運業界の仕事を通して、社会貢献をしたいと思っています。

私は学生時代、ボランティア活動の一環でさまざまな国を訪問しました。そのなかで、食料が不足しがちな発展途上国では、物資を運ぶ海運会社の存在が生活の基盤であることに気づきました。

日本と海外を船でつないで、貧しい国の生活を影で支える人材になりたいと思い、海運業界を志望しました。

貴社は、私がボランティア活動で訪れたアフリカ方面への輸送に強みがあり、発展途上国の支援を積極的におこなっており、私のこれまでのボランティア経験が直接的に活かせると感じています。

渡部 俊和

プロフィール

社会貢献という言葉は具体性が乏しい印象になりかねませんが、ボランティアでさまざまな国を訪れたり、物資の輸送が生活の基盤であることなどに触れていて、大きな方向性や価値観が業界とマッチしていますね。初期段階で好印象を与えられると思います。

例文④英語力を活かしたい

英語力を活かしたい

私は、持ち前の冷静さと語学力を活かして、海上輸送を円滑におこないたいと思い、貴社を志望しました。

私は、大学時代、アメリカの姉妹校へ一年間留学に行き、現地での生活を通して、日本と海外の文化の違いを数多く感じました。

自分が当たり前と思っていることでも、相手はそうは思わないことを知り、コミュニケーションのミスマッチが起きそうなときでも冷静に相手の言葉を受け止め、自分の気持ちを伝える力を身に付けました。

貴社は外航海運を事業の中心に位置付けており、海外駐在の機会も多いと伺っています。異なる文化を背景とした人とのコミュニケーションが数多くおこなえる環境にあり、自分の留学経験が活かせるため、志望しました。

自分とは違う常識や価値観があるという広い視野で考え、業務を円滑に進めていきたいです。

鈴木 洵市

プロフィール

自分の留学という経験から、異文化とのコミュニケーションの取り方・考え方における違いを受け入れる力がある学生だと想像することができます。海運業界に親和性が高い人物だと伝わり、良い内容です。

例文⑤分析力を発揮したい

分析力を発揮したい

私が貴社を志望する理由は、時代の先駆けとして海運業界をリードしたいからです。

大学では国際経済を学びました。研究を通して、情報を的確に整理して自分の考えを導くスキルを磨きました。そのなかで、海運業界は日本と世界の人々の生活を支える基盤となっている業界であると、魅力に感じました。

貴社は、他社に先駆けてデジタルトランスフォーメーションに取り組み、コストの削減を図るなど、一歩先を行く企業戦略をおこなっており、先を見通した業務に携われると感じています。

入社後は、常に最新の国際情勢にアンテナを張って、先を見越した行動で貴社にとって新しい提案ができるように貢献したいと思います。

渡部 俊和

プロフィール

戦略、国際情勢などという言葉が個人の要素と結びついていない印象なので、もう少し実体験とリンクできると説得力が増すと思います。

他の物流業界の志望動機が気になる人は、こちらの記事で物流業界の志望動機の作り方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
例文8選|物流業界の志望動機は2つのコツで差別化しよう

海運業界の全体像を理解して就活を進めよう!

海運業界は、世界の経済の影響を大きく受けるものの、人々の生活には欠かせない業界です。今後も成長や発展を続ける魅力のある業界といえます。海運業界の全体像を理解したことで、海運業界を志望するか判断材料が増えたのではないでしょうか。

変化の激しい業界だからこそ、状況の変化を柔軟に受け止める力や、常に先を見通す分析力が必要です。規模の大きな仕事にかかわるからこそ、やりがいを感じることもできるでしょう。

ぜひ、海運業界を志望したい学生は、動向を把握したうえで、選考対策を進めていきましょう。

アドバイザーコメント

今後大きな変化が予想できるからこそ業界・企業分析が大切

海運業界は、ウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症の影響、さらには高齢化が進む業界の人材など、さまざまな要因により、今後大きな変化がもたらされる可能性が高い業界です。

こうした不確定要因をリスクとして敬遠するのか、逆にチャンスととらえて大きなチャレンジをするのかは、業界の各企業にとっても判断が分かれるところでしょう。その点に関して、興味を持った会社が今後どのような方向に進もうとしているのか、自分なりの仮説が立てられるぐらいの分析ができると望ましいですね。

自分で行動を起こして気になる企業の今後を探ってみよう

今後の企業方針によっては自分の理想とする働き方ができない可能性もあり、不安に思う人もいるかもしれません。しかし、不確実な未来を抱えているのは、どの業界も同じです。

海運業界に興味があり、新しい業界の未来を創ることにかかわってみたい人は、ぜひ業界の採用担当者と話す機会を持ってみて、できるかぎり自分で可能性を探ってみることをおすすめします。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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