本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「不祥事やリストラが発生」
「部署によって残業も多い」
フジクラに関する情報を集めていると、そんな口コミ情報を目にします。ただし、客観的な裏付けのない噂や単なるイメージで発信された情報の可能性もあります。
この記事では、フジクラへの就活を検討している人に向けて、「やばい」「やめとけ」と言われる理由と、企業の実態について、プロの意見を交えながら解き明かします。
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1分でわかるフジクラ
フジクラとは
1885年に創業者の藤倉善八が、銅・絹巻線の製造を開始。1910年に電線事業を分離し藤倉電線を設立。1949年に東京証券取引所に上場。1970年から光ファイバの取り組みを進め、1975年からは電電公社と共同開発。1976年に極低損失ファイバを開発。
1992年にフジクラへ社名変更。電子材料や光システム分野にも進出。電線事業主体から多角化へ舵を切る。現在はトップブランドとして世界へ光ファイバを供給。
| 会社名 | 株式会社フジクラ(Fujikura Ltd.) |
| 従業員数(連結) | 50,586人(2026年3月時点) |
| 本社所在地 | 東京都江東区 |
| おもな事業 | 光ファイバや光ケーブル、通信部品等の情報通信事業、プリント配線板や電子ワイヤー等のエレクトロニクス事業、自動車ワイヤハーネスや電装品の自動車事業、電力ケーブルや通信ケーブル等のエネルギー事業などを主力事業部門としている。AI向けデータセンターで使われる光ファイバの供給企業として世界的な注目度が上昇中。 |
| 売上高 | 1兆1,823億5,800万円(前年同期比20.7%増)(2026年3月期) |
| 経常利益 | 1,994億8,100万円(同45.4%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.fujikura.co.jp |
| 新卒採用HP | https://www.fujikura.co.jp/recruit |
「フジクラはやばい」と言われる4つの理由|プロが解読
「フジクラはやばい」と言われる4つの理由
なぜ「フジクラはやばい」と言われてしまうのか、客観的なデータを見ながらその理由を考えます。自分に適した会社なのか、キャリアコンサルタントのアドバイスも参考に考えてみてください。
①品質管理に関する不祥事があったから
製造業にとって製品の品質管理は最重要課題です。そこでの不正や不適切事案は決してあってはなりません。
フジクラでは、品質管理にかかわる不適切な対応があったとして問題になりました。防衛省や電力会社など重要インフラ系に納入された製品も多かったためメディアでも大きく報道されました。
実態として、1987年から約30年間にもわたり、虚偽のデータを記載する不正な品質検査が常態化していたのです。この問題が最初に公表されたのは2018年であり、不適切事案にかかわったのはフジクラ本体や子会社を含む国内外の十数拠点で、事案数は152件にのぼりました(※)。
プロのアドバイザーならこうアドバイス!就活生がフジクラの不祥事に留意するべき理由
就活生としては、フジクラの不祥事はかなり気に留めるべき事案だと思います。特に今回気になるのは、不適切な検査が長い期間続いていたことと、防衛や電力など社会的に重要な分野の製品にもかかわっていたことです。
ものづくり企業にとって品質は信頼の土台なので、ここで問題が起きたことは小さなことではありません。技術力が高い会社であっても、品質を守る仕組みや組織風土に課題があれば、就職先として不安を感じるのは自然なことです。
トラブルとの向き合い方に表れる企業体質を見極めよう
ただし、企業を見るときは「不祥事があった」という事実だけで判断しきらないことも大切です。
就活生として確認したいのは、その後に会社がどこまで事実を公表し、再発防止や組織風土の見直しに本気で取り組んでいるかです。不祥事は大きなマイナス材料ですが、その後の向き合い方には会社の体質が表れます。
説明会や面接では、品質管理体制がどう変わったのか、現場でどのような再発防止策が取られているのかを確認し、自分が納得できるかで判断するのが良いと思います。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
自分に合う職業・合わない職業を知ることは、就活において非常に重要です。しかし、見つけるのが難しいという人も多いでしょう。
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②たびたびリストラをしているから
フジクラのリストラに関する口コミのなかには、業績が落ち込めば人員を削減して、上向けば採用を増やす場当たり的な経営に不満を示す社員の声も見られます。
同社は2020年3月期決算に、純損失385億円という過去最大の赤字を計上したことを受けて、事業再生に向けた「100日プラン」を策定し、人員体制の見直しを含めた合理化に乗り出しました(※1)。管理職などの希望退職を募り、国内で200名規模の人員削減を図るリストラでした(※1)。
さらに、事業再生フェーズに目途が付いた2022年にも最適な人材配置と人員体制を実現するとして、120名程度の希望退職を募りました。結果的に募集人員を上回る215名の応募がありました(※2)。当時のフジクラ(単体)の従業員数の約1割近くが希望退職したことになります。
※1 同社HPプレスリリース
※2 同社HPプレスリリース
プロのアドバイザーはこう分析!リストラは必然? 事業への依存と固定費が招いた構造的危機
リストラの頻度に差が出る決定的な要因は、特定の事業への依存度と、市況悪化時に固定費を即座に削らざるを得ない生産構造の性質にあります。
同業他社に比べて特定の通信・電子部材への依存度が高かった同社は、市場の激しいボラティリティをまともに受ける不安定さを抱えていました。
公式の開示データを紐解くと、2020年3月期に385億円の巨額赤字を計上した際、固定費が重く身動きが取れなくなった結果として、人員適正化を含む「100日プラン」の構造改革を断行せざるを得なかった背景があります。
改革が最高実績を生んだ! 生成AI特需に乗る圧倒的V字回復の裏側
しかし、日本経済新聞の直近の決算報道によれば、この痛みを伴う不採算事業の徹底的な排除が現在の強固な高収益体質への転換をもたらし、現在は生成AI特需を背景に過去最高益を達成しています。
就活生は、単に「リストラが多い」という結果の印象だけで一概に判断するのではなく、その企業がどのような事業リスクを抱え、それを克服するためにどう組織の新陳代謝を図ってきたかという経営体質の変化の本質を見極める視点が重要です。
③部署によって残業が多いから
部署や時期によって残業時間に差があるのは、あらゆる職種や配属先がある大企業では不自然なことではありません。問題は、その程度でしょう。フジクラの場合、平均残業時間は23.2時間(2025年度)です(※1)。
これはあくまでも平均であり、10時間程度の部署や30時間程度の部署があっても不思議はありません。同社の一般事業主行動計画でも各月30時間未満を維持することを目標に掲げています(※2)。
製造業の平均は14.6時間(※3)であるため、激務とまでは言わないにしても、フジクラの社員が残業を重荷に感じてしまう可能性がある水準だと思われます。
※1 同社HP有価証券報告書2026年3月期
※2 厚労省「しょくばらぼ」
※3 厚労省「毎月勤労統計調査2025」
アドバイザーのリアル・アドバイス!平均残業時間の罠! 数字だけで企業を判断してはいけない理由
残業時間については、やや多いが、一概に多すぎるとは言い切れない水準です。
近年は働き方改革の影響で、大手企業を中心に月15〜20時間程度に抑える動きが広がっており、その水準と比較すると20時間超えは相対的にやや高い印象を与えます。
ただし、重要なのは平均値だけで判断しないことです。実際の残業時間は、職種や繁忙期によって大きく変動します。
たとえば、開発部門や生産現場では月30時間前後になる傾向があると言われる一方、管理部門では比較的低く抑えられるケースが多いとされています。
したがって、求職者としては「平均23時間」という数字だけで判断するのは得策ではありません。
納得のいく意思決定は現場をリアルに把握することから生まれる
配属予定の部署における実際の働き方、36協定に基づく時間外労働の上限と運用実態、有給休暇の取得率といった情報を多角的に確認することが重要です。
提示された数字はあくまで入口に過ぎません。最終的な意思決定は、希望する職種の実態を正しく把握したうえでおこなうことを勧めます。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④若手が定着せず離職率が高いから
フジクラが公表している離職率は3.7%です(2022年度)(※1)。同じ年の製造業の平均離職率は10.2%(※2)なので、フジクラの離職率は低い水準だと考えられます。
また、同社の若手の離職率(3年前入社の離職率)は2022年度が20.3%(※3)のため、製造業界の平均21.2%(※4)を下回っており、若手が際立って定着しない会社とまでは言えないでしょう。
※1 採用HP「数字で見るフジクラの特徴」
※2 厚労省「令和4年雇用動向調査」
※3 同社HP「ESGデータ集」
※4 厚労省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
アドバイザーのリアル・アドバイス!一部の企業を基準にするのは危険! 定着率のリアルな測り方
ホワイト企業と呼ばれる会社のなかには、若手離職率が一桁台のところもあるため、フジクラの数字だけを見て「かなり定着が良い会社」とまでは言い切りにくい面はあります。就活生として、そこに引っかかりを覚えるのは自然です。
ただ、記事にある数字を見る限り、フジクラを「若手が定着しにくい会社」と断定するのも難しいです。
就活では、一部の理想的な企業だけを基準にするのではなく、同業界や大企業全体のなかでどうなのかを見ることが大切です。その比較では、同社の離職率は極端に悪い水準ではありません。
数字だけではわからない若手が辞める本当の理由を見つけよう
就活生として本当に大事なのは、離職率の数字だけで決めないことです。若手が辞める理由には、残業時間、配属先の忙しさ、上司の育成姿勢、異動の多さ、現場の雰囲気など、数字に表れにくい要素が多くあります。
したがって、離職率は参考情報の一つと考え、説明会や面接、口コミなども使いながら、自分がその職場で続けられそうかを具体的に見ていくことが大切です。特に若手の配属先や育成の実態は、できるだけ確認しておきたいポイントです。
苦境からの立ち直りで技術力の高さを見せるフジクラの未来
フジクラは光ファイバなどの技術力が高く、将来的にデータセンター需要なども取り込める可能性が高く、企業としての強みがあります。
その反面、不祥事のあった過去や残業時間の実態なども知ったうえで、企業と自分との適性をよく考えてみることを勧めます。
プロのアドバイザーはこう分析!生成AIの特需や莫大な投資によるフジクラの生存戦略
変化の激しい市場環境において、人員体制の見直しが起こりうる企業に身を置く際の心構えについては、会社への依存度を下げ、個人のキャリアを自律的に築く生存戦略の視点からとらえる必要があります。
ロイター通信が報じた最新の中期経営計画によれば、同社は生成AI市場の急拡大を追い風に日米で最大3,000億円の投資を計画しています。
日本経済新聞の直近の報道でも、2027年3月期の連結純利益を一転して2,290億円へと過去最高益を更新する上方修正を発表しており、足元の雇用リスクが極めて低いのは事実です。
しかし、先端インフラを担うメーカーである以上、外部環境の変化に合わせた迅速な組織再編や不採算事業からの撤退の可能性は常に内包されています。
市況変動に負けない柔軟なマインドセットが求められる
したがって、就活生は中長期的な環境の変化や多様な外部要因があることを意識する必要があります。
その環境においても、会社にキャリアを委ねるのではなく、この大規模な投資環境をレバレッジに自ら専門性を磨き続け、どのような市況変動にも柔軟に適応できる高い個人価値を確立する心構えを持つことが重要です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC
Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり
プロフィール詳細