就職活動において「これだけは譲れないもの」を決めておくことは、最終的な企業選択の判断をするうえで、非常に重要になってくると考えています。

数多くの企業のなかから、自身にとって本当に合う一社を見つけ出すためには、明確な判断基準が必要となるからです。

では、その「譲れないもの」をどうやって見つければ良いのでしょうか。

まずは、自身が「働く」ということを具体的にイメージしたうえで、仕事を通じて大切にしたい価値観や、働くうえで絶対に外せない条件などを、思いつく限りすべて書き出してみてください。

たとえば、「成長できる環境」「社会貢献性の高い仕事」「ワークライフバランスの取れる働き方」「風通しの良い社風」など、何でも構いません。

優先順位を明確に！ 一人で思いつかない場合はプロの視点も参考にしてみよう

次に、書き出した項目に優先順位をつけていきます。

「これがかなうと嬉しい（ベター）」なのか、「これは絶対にかなえたい（マスト）」なのか、自身のなかで重要度を明確にすることで、企業選びの軸が定まってくるはずです。

もし、なかなか「譲れないもの」が思い浮かばないという場合は、普段の生活のなかからヒントを探してみるのも良いでしょう。

たとえば、「どういうときに楽しいと感じるか」「どのような活動をしているときが自分らしいと感じるか」「これだけは時間をかけたくないと思うことは何か」などを振り返ることで、自身の価値観が見えてくることがあります。

また、私たちのようなキャリアの専門家に相談して、対話を通じて自身の考えを整理していくというのも、有効な手段の一つです。

私自身、新卒で就職活動をしていたころは、ベンチャー企業など比較的ハードな環境も視野に入れていました。そのときの私の「譲れないもの」は、「入社1年目から裁量権を持って、主体的に仕事に取り組める環境であること」でした。

当時は、大手企業などでは入社後数年間は研修期間というケースも少なくなかったです。私は研修よりも早くから現場でさまざまな経験を積みたいと考えていたため、業界を広く見て企業を選んでいました。

就職活動において、「これだけは譲れないもの」、いわゆる「就活の軸」を持つことは、自身に合った企業選びをするうえでとても重要だと思います。

明確な軸を持つことで、数多くの企業のなかから自身に本当に合った企業を選び出すためのしっかりとした基準となり、入社後のミスマッチや後悔を防ぐことにつながるからです。

「譲れない軸」を見つける方法としては、まず、「働くうえで何を最も大切にしたいか」という点を、自己分析を通じて深掘りしましょう。

たとえば、給与や待遇、成長できる環境、社会への貢献度、働きやすさ、職場の人間関係など、さまざまな要素が考えられます。

何に興味を持ち、どのようなことにやりがいを感じるのか、どのような強みを持っているのか、そして逆に、どのような環境や働き方は避けたいのか、といったことを深掘りしてみてください。

他人と比べる必要はない！ 自分と深く向き合い出てきた答えを大切にしょう

ちなみに私自身も、その時々の状況や自身のキャリアステージに応じて、大切にするものが変わっていくことを感じてきました。

それはたとえば、企業の理念への共感であったり、給与水準、具体的な業務内容、あるいは一緒に働く仲間といったものです。

そのため、まずは自身が大切にしたいと感じる条件を複数書き出したうえで、それらに優先順位をつけていくのが効果的だと思います。

そして、最も大切なのは、周囲の意見や一般的な価値観と比較するのではなく、自身の内なる価値観に正直になることです。

それが、あなたにとって本当に意味のある「譲れない軸」を見つけるためのポイントと言えるでしょう。