この記事のまとめ
- 自分史は自分の半生を書き綴ったもの
- 自己理解が深まる自分史の作り方をフォーマット付きで解説
- 自分史は就活での企業選択と自己アピールの強化に役立つ
- 自己分析ツール
たった3分で面接で使える"あなたの強み"がわかる!
この記事を読んでいる人におすすめ
先輩やキャリアセンターの人などから、自分史の作成をすすめられた学生は多いのではないでしょうか。「自分史ってそもそも何?」「作成方法がよくわからない」と思った人もいますよね。
いざ実際に作ってみても、就活でどのように活用したら良いのかわからないという人もいるでしょう。
この記事ではキャリアアドバイザーの三好さん、富岡さん、吉田さんのアドバイスを交えつつ、自分史の作り方や活用方法を徹底解説します。ポイントを押さえて自分史を作成すれば、就活に役立つこと間違いなしです。記入例も参考にして、自分史の作り方を習得してくださいね。
自分史とは自己理解を深めて就活を成功させるための重要なツール
そもそも就活において成功とは何を指すのでしょうか。自分に合った企業を見極めること。その企業の選考を突破すること。この2つが成功の条件ではないでしょうか。
自分に合った企業を見つけ、効果的なアピールをして内定を獲得するためにも、自分のことをよく理解する必要があります。そのために有効な手段が自分史の作成です。
記事ではまず、自分史を作成する目的別におすすめのテンプレートを紹介。そのうえで自分史の作り方を解説していきます。上級者用の作成方法も紹介するので、凝った自分史を作りたい人やとことん自己理解を深めたい人はぜひ参考にしてくださいね。
そして記事終盤では、自分史の活用方法を解説します。自分史は作成するだけでも過去を振り返るきっかけになり有意義ですが、活用方法を押さえることでさらに自己理解を深めることができます。自分史を作る目的を意識しながら作成に取り掛かりましょう。
- 学生が自分史を作ることに本当にメリットはあるのでしょうか。
転機を迎えた今だからこそ自分史を作る意味がある
「自分史」を作ることは、学生だけでなくすべての人にとって意味があることです。
これまで生きてきた自分の人生のすべてを経験しているのは自分たった一人。自分が作らない限り、ほかの誰も作ってはくれません。
そして「就職」は、その自分史に刻むべき人生の一大イベント。転機です。今は見えない未来の自分史は、これまでの自分史の延長線上にあります。
「就活」という転機に直面している今だからこそ、自分史作りを通して今までの自分を振り返り、これまでどのような人生を歩んできたのかを確認することに意味があります。
過去の自分が教えてくれる気づきはきっと、未来に広がる可能性を検討するうえで力強い材料になるはずですよ。
あなたの弱みや性格から受けない方がいい職業がわかります!
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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弱みや性格を理解し、自分がどんな仕事に適性があるのかまずは診断してみてください
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自分史とは? まずは作成するメリットを理解しよう
自分史とは
自分の半生を書き綴ったもの。自分が経験したことや感じたことを文章に起こす
自分史は、元々は個人が自分の半生を文章に書き起こしたもののことを指しますが、就活では自己分析のツールとして活用されています。
自分の特徴や価値観をただ思い付く限り書き出す方法でも自己分析はできますが、それでは時間がかかってしまいあまり効率的とは言えません。また、せっかくアピールできる魅力やエピソードがあっても忘れてしまっている可能性があるため、それではもったいないことになってしまいます。
自分史を作成することで時系列順に過去の出来事を網羅的に振り返られるため、効率的かつ網羅的に自己分析をすることができるのです。
自分史を作成するメリット
- 自分に向いている仕事が見極められるようになる
- 選考で説得力のある自己アピールができるようになる
上記に挙げたメリットからわかるように、自分史で網羅的に自己分析をすることで、自分に向いている仕事や合っている企業を見極められるようになります。
また、自分の強みや得意なことをエピソードから探すことでアピールの材料を集められることから、選考で説得力のある自己アピールができるようにもなるので、しっかりと活用して自己理解を深めていきましょう。
自分史を作成してみると、たとえば人と協力して何かを成し遂げるときに幸せを感じる、難しい課題にチャレンジしクリアしたときに達成感を感じるといったように、自分の価値観が見えてきます。
この部分が見えると、企業の社風や理念、事業と照らし合わせることで、自分に合っている企業かどうかを判断することができるようになりますよ。
自分史以外にも自己理解を深める方法は多数あります。自分に合った方法を見つけましょう。以下の記事を参考にしてくださいね。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
自分史と併せて、マインドマップやシートを使った自己分析の方法もおすすめです。
マインドマップ
マインドマップで自己分析を極めよう! 活用方法や注意点を徹底解説
自己分析シート
簡単15分! 自己分析シートのフォーマット6選
テンプレ3選! 目的別でおすすめの自分史の作成方法を紹介
テンプレ3選! 目的別でおすすめの自分史の作成方法を紹介
- 経験別の自分史:自己PRに使える強みを見つけたい人
- 年代別の自分史:過去から網羅的に人生を振り返りたい人
- 感情別の自分史:面接の深掘り質問に備えたい人
就活で作成する自分史はこれまでの情報を整理することが重要であるため、表にしてまとめるのが一般的です。
その際、自己流で表を作って深掘りするのも良いですが、目的に合わせて自分史の作成方法を変えることで、効果的に活用することができます。
ここでは、目的別でおすすめの自分史の作成方法を紹介します。テンプレートも用いて紹介しているので、ぜひ活用しながら作成してみてください。
自分史とは、これまで生きてきた自分の歴史です。
皆さんの場合、20年ほどの人生を振り返ることになるので、情報量は膨大となり、それらを一つひとつ丁寧に分析していたらキリがありません。
そこで目的を明確にし、効率的に自分史を作成することが大切になるのです。目的に合わせて自分史を作成することで、効率的に自分を振り返ることができます。
①経験別の自分史:自己PRに使える強みを見つけたい人
エントリーシート(ES)や面接用の自己PRを用意するために自分史を作成しようとしている人は、今までの経験別でテーマを決めて振り返る方法をおすすめします。
「部活」「勉強」「ゼミ」「アルバイト」などの経験別に努力したことや得意なことを書き出し、取り組みや考えていたことを振り返ってみましょう。
この方法で自分史を作成することで、各経験での共通点や自分の行動傾向を見つけやすくなります。傾向を見つけ出すことで自己PRでアピールする強みの根拠にもなるため、自信を持ってアピールすることが可能です。
また経験別で自分史を振り返る方法は、「苦手なことは何か?」「学生時代に頑張ったことは何か?」といった質問に対する回答のエピソードを用意する際にも活用できます。面接で聞かれやすい質問に関して、過去を丁寧に振り返って回答を用意したいという人はぜひ活用してみてください。
経験別に自分史を振り返る方法は、特に自分の活躍のフィールドをイメージしたい人におすすめです。人は環境との相互関係で「自分らしさ」を無意識に使い分けているため、場面ごとの「自分らしさ」を発見できるからです。
経験別に振り返ることで、たとえば元気な自分が出やすい環境や静かな自分が出やすい環境が見えてきたり、環境に左右されない強みが見えてきたりするでしょう。
②年代別の自分史:過去から網羅的に人生を振り返りたい人
自分史を作成する方法として、時代別にさまざまな項目を振り返るものもあります。
こういった方法では今まで起こった事柄に対して時系列で書き出していくため、漏れなく過去を書き出すことができます。また年代順に振り返っていくことで、今まで忘れてしまっていた思い出や経験を思い出すきっかけにもなるでしょう。
年代別で自分史を振り返る際は、各年代について「努力したこと」「楽しかったこと・嬉しかったこと」「得意だったこと」「嫌だった・苦手だったこと」などを書き出してください。ほかにも振り返りたい項目があれば追加しても構いません。
この方法ではこれまで経験したさまざまな事柄に関して網羅的に振り返ることができるため、面接で問われる頻出質問の回答を用意する際に役立ちます。新卒採用ではポテンシャル採用が多く人柄が重視される傾向にあり、面接では性格や過去に関連した質問をされることが多くあるからです。
自分の人生を網羅的に振り返ることで、頻出質問への回答を用意することにつながります。さまざまな質問に対してまとめてエピソードを用意できるため、頻出質問への回答を一気に用意したいという人はぜひ活用してみてください。
- 小中学生など昔の出来事はあまり印象に残っていません……。
テーマごとに単語で振り返って自分史を作成してみよう
部活・習い事・学校の行事など、テーマごとに振り返ってみてください。
マインドマップのように一つの単語から連想していくと、「こんなことを頑張っていた」「あんなとき嬉しかった」というような記憶が蘇ってくるでしょう。
それでも思い出せない人は、家族や友人に聞いてみてください。皆さんの成長を近くで見守ってきた家族や、日常の姿を知っている友人であれば、自分では覚えていないエピソードがいくつも聞けるかもしれません。
自己分析をするなら自己分析ツールが一番おすすめ!
自分の弱みはわかっていても、強みは思いつかないものですよね。「それ、強みって言えないよ」と思われたくない人も多いはず。
そんな時は「自己分析ツール」を活用しましょう。このツールを使えば簡単な質問に答えていくだけで、あなたの強み・弱みが簡単にわかります。
無料で使えるので、自分の強みを確かめたい人は今すぐ診断しましょう。
・自己PRや志望動機に使える長所を知りたい人
・自分にあった仕事を知りたい人
③感情別の自分史:面接の深掘り質問に備えたい人
面接では、一つの事柄に対して2回、3回と深掘りしてさらに質問を重ねられることがあります。このような質問は対策をしていないとその場で考えて回答することになってしまいますが、面接準備の段階で一つの場面に対してさまざまな視点から振り返ることで、対策することができます。
多方面から振り返る場合は、一つの場面に対して「嫌だったこと」「嬉しかったこと」「つらかったこと」「楽しかったこと」など、感じたことのある感情に分けて自分史を作成してみましょう。
感情別に過去を振り返っていくことで、一つの経験についてさまざまな角度から当時の思いや考えを整理することができるので、面接で「〇〇で成果を挙げたと言っていたが、困難や挫折は一度もなかったのか?」というような難しい質問をされた場合でも、話の一貫性を保ちながら回答することができます。
ほかにも、「家族」と「恋愛」をテーマにして自分史を作成する方法もおすすめです。
家族はあなたが長い時間一緒に過ごしてきた存在であり、良い面も悪い面も一番大きく影響を受けています。家族からどのようなふうに育てられ、逆に反面教師にしてきたことは何かを確認してみましょう。
恋愛を振り返ると、自分の人への向き合い方が見えてきます。片思いでも失恋でも、良い思い出も悪い思い出も振り返ってみて、どのような向き合い方をしていたのか整理してみてくださいね。
6ステップで自分のことがよくわかる! 自分史の作り方
6ステップで自分のことがよくわかる! 自分史の作り方
- 時代を区切る
- 共通して掘り下げることを決める
- 各時代の自分にタイトルをつける
- 各項目を昔から順番に埋める
- モチベーションの変化をグラフ化する
- モチベーションが変化した要因を書き込む
ここからは自分史の作り方を順を追って解説していきます。自分史と聞いて「作るのが難しそう」と感じている人もいるかもしれません。しかし作り方は決して難しくはなく、手間もかかりません。手順に従って、まずはフォーマットを作ることから始めましょう。
あなたが受けない方がいい職業を確認して下さい
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
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①時代を区切る
まずはフォーマットを作るためにも、どのように時代を区切るか決めましょう。上記の画像のように、「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」のように、進学するタイミングで区切るケースが一般的です。
小学生から中学生というように、環境が切り替わると集団における自分の役割が変わったり、物事に取り組むモチベーションも変化するので、学校が切り替わったタイミングで時代を区切っていくのがおすすめです。
上記のように小学校、中学校、高校、大学で区切るのがわかりやすいです。たくさん書けそうだなという人はそれぞれ学年ごとに区切ってみると、忘れていた記憶やエピソードまで思い出すことができます。
②共通して掘り下げることを決める
次に各時代で共通して掘り下げる項目を決めましょう。「特に頑張ったこと」「うれしかったこと」などポジティブなことだけでなく、「苦しかったこと」「コンプレックスだったこと」などネガティブな出来事も掘り下げられる項目を考えましょう。
多角的に掘り下げることで、今まで自覚していなかった自分の性格や価値観に気づける可能性が高まります。
自分史で共通して掘り下げる項目の例
- うれしかったこと
- 楽しかったこと
- 自信を持っていたこと
- ハマっていたこと
- 感動したこと
- 影響を受けた人や出来事
- 努力していたこと
- 苦しかったこと
- 納得できなかったこと
- 気が合った人
- 苦手だった人
時代の区切り方と掘り下げる項目が決まったら、それらを表の縦列か横列にそれぞれ記載していきましょう。
- 掘り下げる項目はどのように選べば良いですか。
思い出しやすいものを優先的に選ぼう
掘り下げる項目は、自分にとって思い出しやすかったり書き出しやすいものから掘り下げていきましょう。
過去の思い出は、思い出し始めるとキリがありませんし時間がどれだけあっても足りません。まずはパッと出てきたものからどんどん書き出していきましょう。
また、掘り下げる際のコツは「時間を決める」ことです。1項目5分なら5分、10分なら10分と時間を区切ってやりましょう。逆に時間を過ぎてから出てくるものは、あなたにとってあまり重要な思い出ではない可能性が高いです。
まずは自己分析ツールで自分の強み・弱みを確認しよう!
・自己PRや志望動機に使える長所を知りたい人
・自分にあった仕事を知りたい人
③各時代の自分にタイトルをつける
最初に区切った時代ごとに自分のタイトルをつけましょう。小説や教科書でも、各章ごとにタイトルがつけられていて、タイトルを見れば読んでいなくても内容が想像できますよね。
自分史でも同じように、他人が聞いたときに各時代の自分の姿がイメージできるようなタイトルを考えましょう。
自分史で各時代の自分につけるタイトルの例
- 周囲の優しさに助けられ続けた小学生時代
- 何をやってもうまくいかないことばかりの中学生時代
- 努力で目標を達成した中学生時代
- チャレンジし続ける大学生時代
④各項目を昔から順番に埋める
次は、最初の方で決めた共通して掘り下げていく項目を昔から順に埋めていきます。
昔から順に埋めていく方が自分の成長や考えの変化に気づきやすいですが、思い浮かばない場合は書けるところから埋めて問題ありません。
些細なことでも書き留めて、企業選びや自己アピールの材料となる情報を増やしましょう。また、項目を埋めるときは下記2点を意識するようにしてくださいね。
各項目を埋めるときの注意点
- 感情や考えたことも書き込む
- その出来事を選んだ理由を深く掘り下げる
年代ごとに項目を埋めていくとき、「どこから書くか」は自由です。時系列で古い順から、項目は上から、などどうしても問われている順番通りに考えてしまいがちですが、思い出したところから、書けるところからでOKです。
感情や考えたことも書き込む
起こった出来事や当時の状況などの事実を書きこむと同時に、そのときの自分の感情や考えていたことも書きこむようにしましょう。
たとえば、中学生のときにうれしかったことが「期末テストで学年1位をとったこと」だとして、そのときにはいろいろなことを感じたり考えたりしたはずです。「頑張りが報われて安心した」「次のテストでも負けられないと思った」など、感情や考えたことも書き込むようにしましょう。
意識的に感情も書き込むようにすると、自覚していなかった自分の価値観に気づきやすくなりますよ。
その出来事を選んだ理由を深く掘り下げる
「高校時代に頑張ったこと」の項目で、「部活動」が思い浮かぶ人もいますよね。すぐに思い浮かぶほど強く記憶に残ることだったとしても、なぜ頑張ろうと思ったのか、なぜ途中で辞めずに頑張れたのか、少し掘り下げてみるとすぐには答えられない人が多いです。
頑張ったこと以外にも、「ハマったこと」であればなぜハマったのか、どんな点に魅力を感じていたのか。「苦手な人」であればどんな言動が嫌だったのか、なぜ嫌だと感じるのか。すべての項目を掘り下げてみてください。
すべての項目を掘り下げてみると、自分の根幹にある価値観が見えてきて、本当に自分に合った仕事を見極めやすくなります。それだけでなく、面接で同じような質問をされたときの論理的な回答として用意しておけますよ。
掘り下げることで、あなた自身のコアが明確になってきます。コアとは、大切にしたい価値観や追い求めたい喜びのことを指します。
コアを明確にすることは、それを満たせる仕事や業界は何だろう、と志望企業を明確にするための「モノサシ」になるので、就活を進めていくにあたってとても重要なアクションとなります。
⑤モチベーションの変化をグラフ化する
掘り下げる項目と併せて、時代を通したモチベーションの変化を記載する項目も設けるのがおすすめです。上記のグラフのように縦をモチベーションの高さ、横を時系列としてモチベーションの推移を記載します。
自分史にモチベーショングラフも記載することで、各時代の自分がどのような状況にあったかが一目でわかるようになります。
⑥モチベーションが変化した要因を書き込む
モチベーショングラフを作成したら、その時代のモチベーションの理由を書き込みましょう。この後詳しく解説しますが、企業選びの軸を決めるためにも、自分のモチベーションが上下するメカニズムを突き止める必要があります。
たとえば、中学時代のモチベーションが小学生時代よりも落ち込んでいたなら、「周りと比較して自分が劣っている部分ばかりが気になっていた」のように、前後の時代と比較してモチベーションが変化した要因を書き込むようにしましょう。
モチベーショングラフは書いて終わりではなく、そこから自分を読み解くことが大事です。
モチベーションが高いときを理解することも大切ですが、谷から上がるときの経験の方が人生の糧になることが多いです。自分の強みがわかったり、経験をもとに仕事で取り組みたいことも見えてくるので注目してみましょう。
上級者編! さらに自己理解が深まる自分史の作り方
上級者編! さらに自己理解が深まる自分史の作り方
- 時代を細かく区切る
- 掘り下げる項目を増やす
- 家族や関係者にヒアリングして情報を増やす
自己分析初心者の人や効率重視の人は、ここまで解説した自分史の作り方でも、就活での有用性は十分に期待できます。一方、時間をかけてでもとことん自己理解を深めたい人もいますよね。
ここからは上級者編として、さらに自己理解が深まる自分史の作り方を解説します。
時代を細かく区切る
自分史の時代の区切り方は、「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」のように、数年単位でまとめて区切る方法が一般的です。この時代を「小学1年生」「小学2年生」などと細分化すると、当然ですがさらに多くの過去のエピソードを書き込むことができます。
「小学1年生」と「小学2年生」は同じ小学校に通っていたとしても、クラスが変わって係が変わったり仲良くしていた友人が変わった人も多いでしょう。そうすると「ハマったこと」や「楽しんでいたこと」も異なるはずです。
時代を細かく区切ることで、より自分の成長のきっかけや、今につながる価値観や強みが形成された過程を正確に把握できるようになります。
掘り下げる項目を増やす
掘り下げる項目の数は人によって異なりますが、より多くの項目を掘り下げると、自覚していなかった強みや弱点に気づける確率が高まります。掘り下げる項目が思い浮かばない人は、下記の項目を参考にしてくださいね。
上級者編! 掘り下げる項目の例
- 得意科目
- 苦手科目
- 褒められた経験
- 怒られた経験
- 好きだった本や映画
掘り下げる項目に入れてほしいのは、モチベーションが上がる過程で頼ったり利用したりした人、モノ、情報、サービスなど。それらはあなたの重要な「資源」といえるものです。そこには「自分自身の強み」も入ります。
あなたはどのような「資源」を活用してモチベーションを上げてきましたか。ぜひ掘り下げてみてください。
家族や関係者にヒアリングして情報を増やす
家族や友人など自分がこれまでかかわった人にも、各時代ごとに印象に残っている自分のエピソードや出来事をヒアリングしてみると、自分では忘れかけていた情報を得られる可能性があります。
より多角的な視点で自己理解を深めるためにも、家族や関係者からの協力を得ながら自分史を作成すると良いでしょう。
他者に自分の特徴をヒアリングし自己理解を深めることを他己分析といいます。ヒアリング相手や質問内容を決めるときは、こちらの記事を参考にしてくださいね。
他己分析の質問例20選|やり方から選考への活かし方まで徹底解説
アドバイザーコメント
富岡 順子
プロフィールを見る複数のモチベーションをグラフ化するのがおすすめ
私は自分史の中でも感情面が可視化できるモチベーショングラフがおすすめです。複数のモチベーションを一枚に書いてみる方法をぜひやってみてください。
自分史を作成してみると、学校、家庭、習い事、部活、趣味、アルバイトといったようにいろいろな役割やコミュニティがあることがわかります。年齢によってそれぞれのモチベーションは異なることも多いので、まずカテゴリーごとにそれぞれの年代で何があったか振り返っていきます。
「ワーク」だけでなく「ライフ」も併せて分析しよう
私の例で言えば小学校から中学校までは勉強も頑張り、良い成績を取れていたのでグラフは高くなるのですが、高校では一気に低くなり、大学でまた上がります。
一方で、小学校から始めたソフトテニスは各年代でスランプを挟みながら大学まで大きな波を繰り返します。また自分の好きだった音楽や人間関係も重ねていくと、何かが低くても何かが高かったおかげで日々頑張ることができたことが理解できます。
学生の皆さんもワークライフバランスという言葉をよく耳にすると思います。就職しても仕事だけが人生ではないので、自分にとってどんなコミュニティ、趣味があると幸せでいられるのか、ライフの部分も一緒に考えてみてください。
自分史を作るうえで守るべき4つの鉄則
自分史を作るうえで守るべき4つの鉄則
- 事実のみを記載する
- 情報を整理できるフォーマットにする
- 見栄えを気にしすぎない
- 作成して満足せず活用する
自分史を作成することで自己理解が深まると解説しましたが、ただ過去の出来事を書き並べるだけでは就活に活きる効果は期待できません。仕事選びや自己アピールに役立たせるためにも、ここで挙げる4つの鉄則を守って作成しましょう。
①事実のみを記載する
選考対策を意識しながら作成すると、成果を誇張してしまったり自分の正直な感情とは異なる内容を記載しがちです。
嘘の記述をしてしまうと自己理解を深められないどころか、誤った解釈をしてしまい、企業とのミスマッチを引き起こすことにもつながりかねません。
選考対策を意識して作成することは大事ですが、事実のみを記載することを徹底しましょう。
②情報を整理できるフォーマットにする
自分史を作成する際は、あらかじめフォーマットを決めてから作成しましょう。
フォーマットを決めずに漠然と振り返ると、記憶に強く残っていることしか思い浮かびませんが、フォーマットに沿って過去を振り返ると、さまざまな角度から掘り下げるため、自分が忘れていたエピソードに気づきやすくなります。
また、自分史は過去を思い出して終わりにするのではなく、アウトプットした内容から分析して企業選びや自己アピールに活用していくことが重要です。後から見返してもすぐに確認できるように、情報を整理しやすいフォーマットにして書きこんでいきましょう。
フォーマットは、自分のことがよくわかる! 自分史の作り方の中で画像付きで解説します。
自分史を作成する際には、「好きなこと・楽しかったこと」「悔しかったこと・満たされなかったこと」をそれぞれ理由とともに整理するようにしましょう。
そこからそれぞれの共通項を見出すことで、あなた自身の価値観や人生を通じて大事にしていきたいものが見えてくるようになります。
③見栄えを気にしすぎない
自分史を企業や学校に提出する目的で作成する以外は、見栄えを気にしすぎる必要はありません。もちろん後で見直しやすいように丁寧に作成することは大事ですが、見栄えを気にしすぎて、記載する情報が少なくなったり内容が薄くなっては本末転倒です。
自己理解を深めるためにも、見栄えよりもなるべく多くの出来事や感情を書き込むようにしましょう。
④作成して満足せず活用する
フォーマットを作って項目を埋めると、自分史を作成したことに満足してしまうかもしれません。しかし重要なのは、作成した自分史から得られる気づきを就活に活用することです。
具体的な活用の仕方は記事後半で解説しています。自分史を作ることはゴールではなく、自己理解を深める手段であることを忘れないでくださいね。
アドバイザーコメント
三好 真代
プロフィールを見る今と未来の自分のためにもありのままの自分と向き合うことが大切
自分史を作るうえでもっとも重要なことは、「ありのままの自分」をそのまま投影するように作成すること。
そのためには「誰かに見せる事」を前提にせずに作りましょう。ほかの誰のためでもなく、今の自分と未来の自分のために取り組むのです。
「自分の人生のすべての責任は自分にある」という意識と覚悟が、これから社会で役割を果たしていくうえで大切な「行動指針」となっていきます。
自分史に浮かび上がる自分自身の姿に興味関心を持ち、自分と対話をして、自分の中にある言葉を純粋に感じて表現してみましょう。自分の過去に起こったことに、「いいこと」も「悪いこと」もありません。すべてが、今の自分を形成する材料に過ぎません。
「感情」に対して多角的に検証しよう
もし振り返りたくない事実がある場合。その事実を振り返りたくないと思っているのは、「感情」が一緒になっているからです。
「事実」をなぜそのような「感情」で捉えているかを「思考」「環境」「背景」などの側面から検証することも有効です。大事にしていること、価値観、捉われなどに気づくことができ、これからの人生の選択の指針としていきたいことが浮かび上がってきます。
自分史の活かし方①企業選びの軸を決める
自分史の活かし方①企業選びの軸を決める
- モチベーションが上下する要因を突き止める
- モチベーションが上下する要因を仕事に置き換える
ここからは、自分史を作成した後、活用の仕方を詳しく解説していきます。
自分史からは、企業選びの軸を決めるうえで必要な情報を得ることができます。情報の見つけ方を解説するので、自分史を作成し終えた人はすぐに実践するようにしてくださいね。
軸を定めるメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。軸の具体例も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
①モチベーションが上下する要因を突き止める
掘り下げた項目のうちポジティブなものに目を向けると、モチベーションが上がる要因が見えてきます。たとえば、頑張ったことやうれしかったことなどを各年代ごとに見て、共通した条件を見つけましょう。
たとえば、「競争相手がいるときの方が頑張れる」「得意なことを活かせるとうれしい」など、ポジティブな感情が起こる要因を突き止めます。「苦しかったこと」「苦手な人」などネガティブな項目も同じように分析し、ネガティブな感情が起こる要因を突き止めます。
②モチベーションが上下する要因を仕事に置き換える
モチベーションが上下する要因が突き止められたら、仕事に置き換えてみましょう。競争相手がいる方が頑張れる人であれば、個人個人の成績が可視化される環境の方が本領を発揮しやすいと予測できます。
結果を出してもすぐに評価されない環境が苦痛だった人は、年功序列を重んじる企業よりは実力主義の企業の方が向いているといえます。このように、モチベーションが上下する要因から企業選びの軸を見つけることができます。
「企業選びの軸はありますか?」と面接で質問されることもあります。納得感のある回答のコツをこちらの記事で解説しています。
意欲が伝わる「企業選びの軸」の回答例50選|見つけ方も解説
自分史の中でも、特に「モチベーションが一番高くなったとき」の要素が、志望したい企業や業界で満たせるかどうかがポイントです。
モチベーションが高いと結果が出しやすかったり、幸福度が高まります。その状態を実現できるかどうかは企業選びで重要な判断軸となります。
逆に、その要素が満たせなかったり、モチベーションが低いときの要素が共通している企業や業界は、あなたにとっていくべきではない進路だとも言えます。
自分史の活かし方②面接での質問に備える
自分史の活かし方②面接での質問に備える
- 今の価値観や強みが形成された時期を特定する
- きっかけとなったエピソードを簡潔に説明できるようにする
- 価値観や強みがその後活かされた場面も特定する
- 強みや価値観ごとに整理してまとめる
自分史は選考対策にも活用できます。特に、面接での深掘り質問に備えるのであれば、自分史を活用するのが有効です。活用の仕方を詳しく解説していきます。
「説得力がある」とは、聞いている相手が「ああそうか、だからそのように言えるのだね」と「納得感」を感じている状態です。
「今の自分」を形成するさまざまな経験・環境要因などは膨大にありますが、選考では何を根拠としてどのように相手に伝えるかが問われます。自分史の作成を通して「言語化」することで、相手に伝えるその「手段」を得ることができるのです。
面接を受けたことがない人や経験が少ない人は、まずこちらの記事で面接での頻出質問を把握しましょう。
就活の面接の質問70選! 完全攻略できる準備や回答方法を解説
面接では想定外の質問をされることもありますが、回答には一貫性を持たせることが重要です。さまざまな質問項目とそれぞれの回答方法を、こちらの記事でチェックしてくださいね。
本当にあった面接でのおもしろい質問50選! 印象アップする答え方を解説
こちらの記事では、就活でのアピールポイントとなる強みを一覧で紹介しています。「自分の強みがわからない」という人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
強み一覧付き|自分の強みが必ず見つかる方法9選とアピール方法
①今の価値観や強みが形成された時期を特定する
価値観や強みは、生まれたときから身に付いているのではなく、成長過程で形成されたり変化していくものです。企業にアピールしたい強みが決まったら、その価値観や強みが形成された時期は自分史で特定できます。
たとえば、忍耐力があることを強みだと自覚している場合、忍耐力が身に付いた時期を自分史で特定します。
まずは最近の出来事から振り返ります。高校生の時点で忍耐強く取り組んだ経験があれば、中学生時代を見てみましょう。
中学生のときに忍耐力が発揮できたエピソードがなければ、高校生のときの経験がきっかけで忍耐力という強みが身に付いたと考えられます。
このように自分史の各項目に記載したエピソードを確認しながら、どの時点から備わってきたのか見ていくと、形成された時期が見えてきますよ。
②きっかけとなったエピソードを簡潔に説明できるようにする
今の価値観や強みが形成された時期が特定されたら、形成されたきっかけとなったエピソードを説明できるように文章化します。面接では、「何をきっかけにしてそのような価値観を持つようになったのですか」のような説明を求められる場合もあります。
その場で他人に向けてわかりやすい説明を考えるのは困難という人もいますよね。自分史に記載した内容を参考にしながら、簡潔に説明できるようにしておきましょう。
- 自分史が活かせるのは面接でどんな質問をされたときでしょうか。
解像度の高い回答ができる
自分史を作成すると、自分の価値観や強みをエピソードとともに振り返ることができます。
定番の「自己PR」や「ガクチカ」、「長所」を聞かれた際には、解像度を上げて答えられるようになります。
また過去を知ることによって、今後自分がどんな仕事をしていきたいか、働き方をしたいかまで考えることができるので、「志望動機」「キャリアビジョン」の質問に対しても自分の軸を示しながら話せるようになります。
③価値観や強みがその後活かされた場面も特定する
次に価値観や強みがその後活かされた場面も特定します。形成された後、何らかの場面で発揮されて周囲に利益をもたらしたり、意思決定の際に影響したことがあるはずです。
自己PRやガクチカなどのアピールでは、エピソードを根拠として説明することになります。説得力のあるアピールをするためにも、価値観や強みがその後活かされた場面も特定しておきましょう。
④強みや価値観ごとに整理してまとめる
計画性を強みとしてアピールしたい場合、計画性が発揮された経験を抜き出します。併せてリーダーシップも強みとして伝えたいなら、リーダー経験を自分史からピックアップしましょう。
このように各強みや価値観ごとにエピソードをまとめておくと、自分の記憶にも整理した状態で残すことができます。それぞれのエピソードは、どの強みや価値観をアピールするのにもっとも効果的なのかを押さえながら整理しましょう。
アドバイザーコメント
吉田 隼人
プロフィールを見る自分史は今後の人生を設計する「ライフビジョン」にも活かせる
自分史をしっかりと作成できると、自分自身の軸が明確になり、今後のビジョン、そして等身大の自分を把握することに活かせます。
これからのビジョンとは、就活における今後の「キャリアビジョン」もそうですが、一度しかない人生をどのように過ごしたいのかという「ライフビジョン」も含まれます。
自分自身はこれから何を手に入れたいのか、どんな人でありたいのか、社会にどのような影響を与えたいのか、そのためにどんなことをやってみたいのか。
こういった自分自身の望む未来を言語化できるようになると、そのビジョンが自分の行きたい業界や企業で実現できるのかどうかを判断できるようになるため、就活で業界や企業を選ぶことに迷わなくなっていきます。
また、等身大の自分を把握することも重要です。等身大の自分とは、自分自身の強みや弱み、そして今の自分に足りないものを把握するということです。
自分で自分を成長させたいときに自分史が使える
望むビジョンを実現するために、どんな強みが活かせるのか、どんな弱みを乗り越える必要があるのか、そしてそもそも何が足りていないのか。それらを自覚し、実践しながら自分自身を向上させていくことが大切です。
就活は人生において一大イベントですが、ゴールではありません。これからの人生をどうしたら幸せに過ごせるのか、そのためにどんな仕事を選ぶ必要があるのか。それを考えるうえで、自分史作りが大切になってくるでしょう。
人生の岐路に立つ今自分史を作成してキャリア形成に存分に活かそう
就活で自分史を作成しようとしているということは、今人生の岐路に立っているといえます。ここでどんな選択をするのかによって人生は変化していきます。
後悔しない選択のヒントは自分の過去にあります。自分の過去を整理してまとめた自分史を作成して、キャリア形成に存分に活かしましょう。
アドバイザーコメント
富岡 順子
プロフィールを見る自分史の作成は早めにとりかかるとメリットが大きい
自分史の作成と聞くと、「面倒くさそう」「時間がかかる」「やって意味があるのか」と思う人も多いと思います。しかし、早い段階でやっておくと就活はより充実したものになります。
人生は選択の連続です。誰かに決めてもらうのではなく、自己決定できる人生は自分の選択に責任を持ち、その後何か困難があったとしても人のせいにすることなく乗り越え、成長していくことができます。そして幸福度の高い人生を送ることができるようになります。
「自分」を探求すると将来が具体的に見えてくる
まずは自分で納得して選択するためにも、自分という人間がどういう人間なのか、自分史を作ることで探究してみてください。
自己と対話しながら進めていくので、難しい本を読んだり、人に気を使うということもありません。誰かに話すわけではないので、言いたくないことやつらい経験などは自分の中にしまっておいてOKです。
知っているようで知らなかった自分に気づけると、これから先はどうありたいのか、もやもやしていた将来が見えてきます。何のために就活をするのか、今までの点の経験がつながってストーリーが見えてくるとワクワクした気持ちで活動できるようになるので頑張ってください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/atWill代表
Masayo Miyoshi〇幅広い領域においてキャリアコンサルティングの経験を積み、行政や企業向けのキャリア研修PG開発、講師業などにも携わる。対個人・対組織の支援を両輪でおこなっている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Junko Tomioka〇南箕輪村のキャリア教育推進コーディネーターに就任後、独立。現在は地方中高生やベトナム人留学生の就活支援、企業内キャリアコンサル、地方就職のサポートをおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/就活塾「我究館」講師
Hayato Yoshida〇東証一部上場の人材会社で入社2年半で支店長に抜擢。これまで3,000名以上のキャリアを支援。現在はベストセラー書籍「絶対内定」シリーズを監修する我究館でコーチとして従事
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