他己分析の質問例20選|やり方から選考への活かし方まで徹底解説

質問例20選! 他己分析を適切におこなって自己理解を深めよう

この記事にコメントしたアドバイザー

  • 遠藤 美穂子

    近代マネジメント所属 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16130197)/2級キャリアコンサルティング技能士(第12S17401156号)

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  • 平井 厚子

    Officeまいとれいや代表 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号18050998)/2級キャリアコンサルティング技能士(第13S17405190号)/産業カウンセラー(第S0801178号)/教員免許 SNS:X(旧Twitter)/Instagram

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  • 柴田 登子

    libero firm代表 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16034907)/2級キャリアコンサルティング技能士(第21S17401472号)/公認心理師(登録番号:55348)/トーストマスターズインターナショナル日本語スピーチコンテスト全国1位(2013、2019年) SNS:Facebook

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この記事のまとめ

  • 他己分析は自己理解を深めるのに有効
  • 他己分析をする際は頼む相手に適した質問をしよう
  • 他己分析の結果を内定獲得に活かすことが大切
  • この記事を読んでいる人におすすめ

  • 自己分析ツール

    たった3分で面接で使える"あなたの強み"がわかる!

就活を進めていると「他己分析をやった方がいい」と耳にしたことはありませんか? 「自己分析はよく聞くけど他己分析はどうやれば良いのかわからない……」と悩む人もいると思います。

そこで、今回は自己理解に役立つ「他己分析」のやり方を徹底解説していきます。

就活では、自分の持つ特徴を企業へ効果的にアピールすることで、高い評価を得ることができます。最大限自分をアピールするには、まず自分自身が自己を多面的にかつ深く理解することが重要です。他己分析は、自己理解を深めるのに大きく役立つため、就活を進めるうえで上手く活用していきたいところです。

記事では、キャリアアドバイザーの遠藤さん、平井さん、柴田さんと、他己分析をおこなう目的や具体的な方法、質問すべき項目について詳しく解説します。他己分析を実践できるように、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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他己分析は自己理解を深められる! 客観的な視点で自己分析に活かそう

主観的な視点による自己分析に、客観的な視点の他己分析をアプローチすることで、より自己理解を深めることができます。

記事では、まず他己分析の考え方を自己分析と比較しながら解説します。後述しますが、他己分析は自分1人でおこなうのではなく、身近な人を始め、誰かに協力してもらう必要があるのです。そこで、他己分析を頼む人や具体的な方法についても詳しく解説します。

さらに、他己分析でより自己理解を深めるためには、協力してくれる人に合わせて適切な質問を選択することが重要です。この記事でも協力する相手ごとに聞きたい質問例を紹介します。これらを参考にしつつ、現在の就活・自己分析の状況を冷静に振り返り、適した質問をしましょう。

最後には他己分析で得られたことを、内定獲得へ活かす方法まで徹底解説します。これらを実践すれば、他己分析を適切に活用し、内定へぐっと近づくことができますよ。

平井 厚子

プロフィール

他己分析をすれば、自分を客観視できるようになります。これは「メタ認知」ともいいます。

メタ認知とは、自分が見ている物事を、より高い次元から客観的に見ることです。

他者から指摘された自分の特徴を「なぜそう見えるのか」「どうすればそれを強みにできるのか」など説明できるようにしておきましょう。

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そもそも他己分析とは

そもそも他己分析とは一体どのようなものなのでしょうか。ここからは他己分析についてわかりやすくかみ砕いて説明していきます。

他己分析とは、「他者に自分の特徴をヒアリングし客観的な視点を取り入れ、自己理解を深めること」です。

多くの学生は面接で自分をアピールするために、自己分析をおこないます。もちろんこの自己分析は、就活においてもその後のキャリアを築くうえでも非常に重要で、時間を掛けておこなうべきものです。

しかし、自己分析は1人で内省しているため、やや主観的になりがちです。そこで、他己分析をうまく活用し、客観的な視点を取り入れていきましょう。

他己分析と自己分析の違いや共通点

ここからは、他己分析について自己分析と比較しながらその違いや共通点などを解説していきます。

他己分析と自己分析の大きな違いは、「自分自身だけで完結するかどうか」です。自己分析は、過去・現在・未来から自分を分析することが特徴的です。一方、他己分析は他者が抱く自分の特徴を把握するためのものであり、相手に聞くことが必須で自分1人では完結しません。

では、他己分析・自己分析両者の共通点について見ていきましょう。両者の大きな共通点は、「おこなう目的」です。どちらも「自分の特徴や価値観を知る、自己理解を深めるため」にあります。分析する方法は異なるものの、自己理解を深めるための方法という点では共通しています。

「そもそも自己分析のやり方がわからない」という人は、こちらの記事をチェックしてください。自己分析は他己分析をおこなううえでの土台となるので、この記事を読んで土台を固めていきましょう。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説

柴田 登子

プロフィール

他己分析の特徴として、他に「自己分析で浮き彫りになった要素に裏打ちをする」というものがあります。

自己分析で強みを挙げたとき「本当にそれを強みと述べて良いのかな」と不安になっても、他己分析により同じ内容を言ってもらえれば、自信を持ってそれをアピールできるようになります。

他己分析をおこなう3つの目的

他己分析をおこなう3つの目的

  • 自分では気づけない自身の特徴を発見するため
  • 自己分析の精度を上げるため
  • 客観的な視点を持つため

他己分析に限ったことではありませんが、するべきことに対して何のためにおこなうのかという目的を考えることが非常に重要です。

限られた時間の中で、内定獲得のために上手く時間を活用して就活を進めていく必要がありますよね。そのためには、常に目的を考え、その目的を満たすためにどうすれば無駄なく行動できるかを考えることが大切なのです。

他己分析をおこなう目的は大きく3つあります。以下で一つひとつ詳しく見ていきましょう。

①自分では気づけない自身の特徴を発見するため

自己分析をおこなっていて、自分の強みや価値観が思いつかず、「私は良いところや自分らしさのない人間なのかな……」と悩んだことはありませんか? しかし、人は必ず強みや弱み、人生の指針となるさまざまな価値観を持っています。

たとえば、「私は緊張しやすく人前で話すのが苦手」だと思っている人がいたとします。そんな中、友人から「いつも丁寧な資料で誰よりも説明がわかりやすいよね」と言われたら、自分では気づけなかった自身の強みを発見することができるでしょう。

この例だと、自己分析の段階では「人前で緊張する自分」に焦点が当たり、それ以外の側面から自分を客観視できていませんでした。人前での発表は緊張するからこそ、発表の準備段階での用意周到さや説明力を磨く自分という新たな視点に目を向けることで、自身の強みを発見することができたのです。

このように他己分析は、自分では気づけない自身の特徴を発見するためにおこないます

遠藤 美穂子

プロフィール

就活生の多くはとても謙虚です。「自分には良いところがない」と言うのですが、一人ひとりが違った良いところをいくつも持っています。自分と違う視点を持つ他者から見てもらうことで、自分に対する見え方が変わってきますよ。

②自己分析の精度を上げるため

自分を振り返って自身の特徴を見出したあとに他己分析をおこなうことで、自己分析の精度を上げることができます。自己分析はどうしても主観的になりやすいです。

他己分析で、自分の考える特徴に対して他者から同じ意見が挙がればその特徴はより強固なものとなるでしょう。一方、自分の考えていた特徴とまったく逆の意見や異なった特徴を提示されたのであれば、その特徴について再考してみることが必要です

このように他己分析で得た発見を自己分析に掛け合わせることで、より自己分析の精度を上げるという目的があります。

平井 厚子

プロフィール

強みと弱みは表裏一体です。自己分析で「飽きっぽい」「集中力がない」「ころころ変わる」と弱みばっかり思いついたとしても、他人の眼からは「好奇心旺盛」「活動的」「臨機応変」と見えることもあります。

このように他己分析では違った目で自分を見つめ直すことができるのです。

③客観的な視点を持つため

ジョハリの窓

過去にあったエピソードなどの客観的事実に基づいて考えていても、自己分析はどうしても主観的になりやすいです。それもそのはず、人間には自分で気づききれない部分が必ず存在するからです

これは、1955年に心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリ・インガム (Harry Ingham)が提唱したジョハリの窓という心理学モデルからも理解することができます。

ジョハリの窓

人間の自己理解領域を、以下4つの象限に分けて表したもの。

・開放の窓:自分も他人もわかっている
・秘密の窓:自分はわかっているが他人はわかっていない
・盲点の窓:自分はわかっていないが他人はわかっている
・未知の窓:自分も他人もわかっていない

他人の視点を取り入れることで、「盲点の窓」が開き、客観的に自分を知ることができるのです。

柴田 登子

プロフィール

自分の弱みや欠点について熟知できていても、強みや特性を認識し自信を持って伝えられる人はあまりいません。

しかし面接で一番確認したいのはやはり「強み」です。自分で言い切るのが難しいのであれば、他己分析による客観的な評価を得てアピールにつなげたいものです。

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他己分析は大学3年3月前までに終わらそう

他己分析に目処をつけるタイミングについても把握しておきましょう。必ずこのときまでにと決まっているわけではありませんが、日系企業の選考エントリーが3月から始まるため、目安として大学3年3月前までに終わらせておきましょう。そして、エントリーするときには自分の特徴に合った業界や企業にエントリーできる状態にしてくださいね。

また、他己分析で得た発見を就活がより良い方向へと導くように活かすことが大切です。そのためには、他己分析で得たことを自己分析による理解と照らし合わせ振り返る必要があります。エントリーが開始すると、会社説明会の日程調整や書類提出、面接練習などゆっくり振り返る時間を確保することが難しくなります。

大事な自己理解をおざなりにしないために、他己分析は大学3年3月前までに余裕を持って終わらせましょう。

いつまでに何をするべきなのかを把握するには、就活のスケジュールの全体像を把握しておくことが大切です。一般的に就活はどのようなスケジュールで進めていくのか把握していないという人は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
就活はいつまで続く? 一般的な時期や長期化させない方法を解説

遠藤 美穂子

プロフィール

早い人は3年生の夏のインターンに応募する頃から自己分析を始めます。秋から冬にかけて自己PRの下書きに着手する人も多くいます。

こうしたタイミングで周りの人に他己分析をお願いし、それを踏まえて自己PRの内容を考えていくと良いでしょう。

他己分析の相手に適している人の特徴

他己分析の相手に適している人の特徴

  • お世辞ではなく本当のことを伝えてくれる人
  • 自分のことを親身になって考えてくれる人
  • 仕事や業界、働くことに関する知識のある人
  • 就活を経験したことがある人

他己分析では、自分の特徴を聞くために誰かへ頼む必要があります。せっかくお互いの時間を確保しておこなうのであれば、有益な発見が得られる人にお願いしたいものですよね。

自分の気づけなかった特徴を把握し価値のある他己分析とするためには、誰に他己分析をお願いするかが非常に重要です。ここでは、他己分析をお願いするのに適している相手の特徴について解説します。

①お世辞ではなく本当のことを伝えてくれる人

他己分析では、自分の強みや長所のみならず短所や改善するべきことについても聞くことで、自分のマイナス面を改善し、内定獲得へと近づけることができます

そのため、自分のマイナス面についても伝えてくれたり、自分の考えている強みや長所について「それは○○さんの長所ではないんじゃないのかな」と異なる意見でも本音ベースで教えてくれたりする人が良いでしょう。

言われたときは少しショックを受けてしまうかもしれませんが、自分の内定獲得をするための有益な情報源と考えられます。

②自分のことを親身になって考えてくれる人

自分のことを親身になって考えてくれる人は、他己分析でまるで自分のことのように真剣に向き合ってくれます。そのため、自分とのさまざまな出来事や情報源から多くのアドバイスをしてくれるでしょう

自分のことを親身になって考えてくれる人は、家族や親友など身近にいるのではないかと考えられます。普段から自分のことをよく考えてくれているなと思う、信頼を寄せている人にぜひお願いしてみましょう。

平井 厚子

プロフィール

気が合う、親しい、というのは、共通点が多いともいえます。同質性の高い相手からの意見だけでは、新しい視点が得られにくいものです。

指摘されたことが想定内のことであれば、「ありがとう。他には何かある?」と何度か繰り返して聞いてみるのも良いでしょう。

③仕事や業界、働くことに関する知識のある人

この後に詳しく解説しますが、他己分析で得た発見を面接時や働くうえで活かしていくことが重要です。そのためには、仕事や業界、働くことに関する知識のある人に聞くことで、「働く」という視点から自分の特徴について教えてもらうことができるでしょう

さらには、その特徴を働く際にどう活かせるのかというアピール方法まで教えてもらえるかもしれません。

この点では、ビジネスパーソンとして実際に企業で働くOB・OGや採用にも熟知しているキャリアアドバイザーなどに聞くのがおすすめです。

④就活を経験したことがある人

就活を経験したことがある人は他己分析の重要性や他己分析を就活にどう活かすのか、面接で評価されやすいポイントを把握しています。他己分析の説明をしなくてもお願いすることもでき、手間を省くこともできるでしょう。

就活を経験している人だからこそわかる視点で、自分の特徴やそれを面接で効果的にアピールする方法について教えてくれるでしょう。自分の志望度の高い企業へ入社したOB・OG、就活を上手く進めていた先輩などにお願いしてみてくださいね。

アドバイザーコメント

他己分析はキャリアコンサルタントに依頼するのもおすすめ

周囲の人に他己分析をお願いしても、常に適切なコメントが返ってくるとは限りません。であれば、専門家にお願いするというのはいかがでしょうか。手前味噌ではありますが、キャリアコンサルタントによる他己分析をぜひおすすめします。

キャリアコンサルタントとは、働く人一人ひとりに自己分析・自己理解を促し、そこから見出した特性を活かし、将来へのキャリアプランを構築するサポートをする人のことです。

専門的なカウンセリングから自覚していなかった自分の個性を知れる

専門の訓練によって培ったカウンセリング力を活用し、これまでの経歴や趣味特技、休日の過ごし方などさまざまな質問により、自分では気づかなかった魅力を引き出してくれます。

また、就職活動に関する知識も豊富なので「あなたのこういうところが志望先の業界ではこのように活かせますよ」といったプロならではの的確なコメントももらえます。

大学のキャリアセンターには国家資格を持つキャリアコンサルタントが必ずいます。また有料になりますが個別面談を受け付けているフリーランスのキャリアコンサルタントもいるので、ネットで検索してみてください。

自己分析をするなら自己分析ツールが一番おすすめ!

自分の弱みはわかっていても、強みは思いつかないものですよね。「それ、強みって言えないよ」と思われたくない人も多いはず。

そんな時は「自己分析ツール」を活用しましょう。このツールを使えば簡単な質問に答えていくだけで、あなたの強み・弱みが簡単にわかります。

無料で使えるので、自分の強みを確かめたい人は今すぐ診断しましょう。

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頼める相手がいなくても大丈夫! 他己分析の依頼先がないときの対処法

他己分析の依頼先がないときの対処法

  • インターンに参加する
  • OB・OG訪問をする
  • 自己分析ツールで客観的視点を得る

ここまで他己分析をお願いするのに適している相手の特徴について具体例を交えながら解説してきました。しかし、「1人暮らしでなかなか家族に聞くことができない」「就活の相談をおこなうほどの仲の深い友人・先輩がいなくて困っている」という人もいるでしょう。

ここからは、他己分析を頼む相手が見つからないときの対処法について解説していきます。身近に他己分析を頼む相手がいない人は、その代替方法を以下で紹介するのでぜひ取り組んでみてくださいね。

①インターンに参加する

インターンのプログラム内容には他己分析ワークを取り入れている企業があります。そのようなインターンに参加することで、同じく就活をおこなう学生から他己分析をしてもらうことが可能です。

短期的なインターンは、夏・秋・冬に多くの企業で開催しています。事前にインターンの内容を確認し、他己分析ワークがおこなわれる企業のインターンに複数社参加することで自己理解を深めましょう

また、1Dayインターンをはじめとした短期インターンのみならず、長期インターンでも他己分析を頼む環境が整っています。長期インターンでは業務を通じて自身の強みや弱みを見つけやすいです。さらに、インターン先の社員やインターン生に自分の特徴を聞くことで他己分析をおこなうことができますよ。

「そもそもインターンってどんなものがあるの?」「いつ頃参加すればよいの?」という人はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
インターンはいつから参加? 応募から選考までのスケジュールを解説

②OB・OG訪問をする

会社の最前線で働いているOB・OGは、企業で求められる人や活躍している人の特徴をよく知っています。このような視点を持っている人に他己分析をお願いすることで、その業界・企業と自分の持つ特徴や素質、価値観が合っているかを見極めるのに役立ちます

自分の志望する業界や企業が明確な人はその業界や企業で働くOB・OGに他己分析をお願いしてみましょう。志望業界や志望企業にOB・OGのつてがないという人は、以下のサイトでOB・OGを探すことができますよ。

OB・OG訪問の流れやマナー、質問すべきことがわからない人はこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてくださいね。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅

自分のことをよく知らないOB・OGに他己分析を依頼する意味ってあるのでしょうか?

平井 厚子

プロフィール

初対面の人から見た自分の印象は就活で重要

初めて会ったOB・OGからの他己分析はあなたの第一印象に基づくもので、面接での印象に近いものがあります。

自己分析や身近な人からの他己分析で準備した内容でOB・OGに接してみてフィードバックを受けると、自分がこんな意図でとった行動が、初対面の人にはこういう風に受け取られるのか、という発見があります。

まさに、ジョハリの窓でいう「盲点の窓」を開くことです。また、応募先企業の価値観であなたを見てもらいフィードバックを受けることで、応募先の欲しい人材像とのすり合わせもできますね。

③自己分析ツールで客観的視点を得る

他己分析は、自分で気付けない客観的な視点を取り入れ、自己理解を深めるのに役立つと解説してきました。この客観的な視点を取り入れるという観点から、自己分析ツールを活用することでも補うことができますよ。

自己分析ツールとはさまざまな設問に対して回答を進めることで、自分の強みや弱み、価値観、傾向性など自身の特徴を把握できるツールです。

自己分析ツールは無料と有料のものがあります。もちろん有料の方がサービスが充実していますが、無料でも精度が高く十分有効活用できます。以下に無料のおすすめ自己分析ツールを紹介します。

しかし、自己分析ツールはあくまでその人の傾向を示しているものに過ぎません。他己分析同様に、出た結果をそのまま鵜呑みのするだけでは自己理解につながりません。

自己分析ツールから得られた自分の特徴からそれを裏づけるエピソードを振り返り、そのときの感情・行動などを深掘りしていくことが大切です

アドバイザーコメント

他己分析はさまざまな人に依頼してみよう

他己分析を誰に依頼するか迷いますよね。社会人になってからは360度評価というものがあり、直属の上司以外に、他の部署の人、後輩などさまざまな角度から自分を見てもらう機会があります。

就活生の他己分析も同じように、親しい人以外の目で自分を見てもらうと良いでしょう。たとえばアルバイト先の店長や先輩、同期、後輩は、働く時のあなたの様子をよく知っています。

「顧客から褒められた」とか、「新人指導を熱心におこなっている」といった良いところや、こういうところはもうちょっと頑張ってほしいという注文などエピソード付きで教えてくれるでしょう。

異なる関係性の人から多角的な視点で自分を分析してもらおう

また、ゼミの先生や友人は、半年や一年を通じて、継続的に学びに向き合うあなたの様子を知っています。丁寧に発表の準備をしている、視点が面白い、説明がわかりやすいといったことや、ゼミ生の中での立ち位置などコメントをくれると思います。

キャリアセンターのキャリアカウンセラーに自己分析を一緒にやってほしいとお願いすると、色々な角度で話を引き出してくれるので、他己分析をしてもらうのと同じように自分を客観視することができますよ。

他己分析の具体的なやり方3選

他己分析の具体的なやり方3選

  • 対面で直接質問する
  • 他己分析ツールを利用して頼む
  • 他己分析回答フォーマットを自作して頼む

他己分析についての理解も深まってきたところで、いよいよ他己分析をおこなう具体的なやり方について解説していきます。

そこで、今回は他己分析をおこなう3つの方法を紹介していきます。それぞれの方法を押さえてどの分析方法が自分に適しているのかということを考え、自分に合った他己分析を進めていきましょう。

①対面で直接質問する

まず多くの人が想像する、頼む相手と対面し、質問を通じておこなう他己分析があります。

この場合は、まず他己分析の目的と正直に答えてほしい旨を相手に伝えると良いでしょう。本音を引き出しやすくなります。さらに、スムーズに質問できるように事前に質問内容を考えておくと良いですよ。

また、質問はより具体的におこないましょう。具体的な質問の例は記事の後半で紹介しているので、併せてチェックしてくださいね。

質問に答えてもらった後は、自身の特徴に関するエピソードや詳細な情報も追加で質問するとより理解が深まります

現在ではオンラインでも話しやすい環境にあるので、オンライン活用もしながらできるだけ対面で直接質問してみましょう。

②他己分析ツールを利用して頼む

他己分析ツールを利用すると、自分で他己分析をおこなうための準備を削減することができます。時間に余裕のない学生はぜひ積極的に利用してみましょう。

お願い! 他己分析リクナビ他己分析は質問項目に対して選択肢の中から相手に回答してもらう他己分析です。URLをLINEやメールに送信することで簡単に回答してもらうことが可能です。

ジョハリの窓Webアプリは、その場にいる4〜8人でお互いの特徴をチェックして他己分析をおこなうことができます。大学の空きコマ時間に友人とやってみると良いでしょう。

③他己分析回答フォーマットを自作して頼む

他己分析ツールはすでに質問項目が用意され、頼む相手に共有するだけで良いため、時間のない学生には便利なツールです。

しかし、独自で考えた質問を聞いて自己理解を深めたいという人もいますよね。そのような人は、他己分析の回答フォーマットを自分で作成してみましょう。

他己分析回答フォーマットを作成するのにおすすめしたいツールがGoogleフォームです。Googleフォームは、Googleアカウントを持っている人は無料で利用でき、アンケートの作成や回答の収集、管理を一括してできます。アンケートでは、選択式や記述式など回答形式も自分の好みに合わせて作成できますよ

柴田 登子

プロフィール

他己分析は、やはり直接周囲の人に聞くのが1番でしょう。アセスメントツールを用いるのも良いのですが、人によっては回答が恣意的になり、客観的な自分を見出しづらいこともあります。

自分をよく知っている人だけでなく、物事を俯瞰して判断できる人などに頼んでみるとより有用なコメントが得られます。

相手別で紹介! 他己分析で聞きたい質問リスト

相手別で紹介! 他己分析で聞きたい質問リスト

  • 両親、兄弟に聞きたい質問リスト
  • 友人や恋人、教授に聞きたい質問リスト
  • 先輩や社会人、キャリアアドバイザーに聞きたい質問リスト

他己分析は、頼む相手によって質問項目を適切に選択することが大切です。なぜなら、相手ごとに自分との関係性が違うと、自分について知っていることも異なるからです。

全員に同じ質問をしても、その内容によっては相手が答えづらく、抽象的な答えしか返ってこないこともあるでしょう。

他己分析をお願いする際は、まず相手との関係性や今までどのような時間をともに共有してきた人なのかということを振り返ります。それらをもとに相手に適した質問をしましょう。

①両親、兄弟に聞きたい質問リスト

両親や兄弟は、幼少期から現在に至るまで自身の成長を1番近くで見守ってきてくれた存在です。自分の良い面だけではなく、弱さも知っています。また、両親の「こういう子に育ってほしい」という育て方に対する考えが自身の形成に影響を与えていることも多いです。

他己分析をお願いすればきっと自分のことのように親身になって、良い面も悪い面も教えてくれるはずです。自分が最も成長したことや自身の価値観・考え方、長所・短所など自分のさまざまな特徴を質問してみましょう。

両親、兄弟に聞きたい質問リスト

  • 私が普段何気なくおこなっているルーティンは何か
  • 私が人生で1番変わったタイミングとその内容は何か
  • 学校の先生からどんな生徒だと言われることが多かったか
  • 私が幼少期に最も真剣に取り組んでいたことは何か
  • 私がつらそうな顔をしているのはどんなときか
  • 私を育てるうえで大切にしてきたことは何か

②友人や恋人に聞きたい質問リスト

自分の思い通りばかりにはいかない家庭環境以外の場面では、知らず知らずのうちに一定の緊張感を持って行動しているはずです。このような環境における自分の立ち振る舞いは、企業で働く自分の特徴について知る手がかりになります

友人や恋人は、自分を好意的に感じ、一緒にいてくれる・つながり続けてくれる存在です。そんな友人・恋人に自分に対してなぜ自分と一緒にいてくれるのかを聞くことで、自身の強みを発見することができますよ。

また、アルバイト先の仲間は「働く自分」を知っているため、アルバイトをしている人は他己分析をお願いしてみましょう。

友人や恋人に聞きたい質問リスト

  • 私がここ数年で最も成長したのはどんなことか
  • 集団内において自分はどんな役割を担うことが多いか
  • 最も印象的だった私とのエピソードは何か
  • 私について第三者に説明するとしたらどう伝えるか
  • 今でも私と一緒にいてくれる理由は何か
  • 私が直した方が良いことは何か
  • 私はどんな人と仲良くしているイメージか

③先輩や社会人、キャリアアドバイザーに聞きたい質問リスト

就活や採用について理解のある先輩や社会人、キャリアアドバイザーは他己分析の活かし方までアドバイスしてくれるでしょう。特に、キャリアアドバイザーは採用側の視点を熟知しています。以下のような面接官の視点に関する質問を積極的にしてみると良いですよ。

先輩や社会人、キャリアアドバイザーに聞きたい質問リスト

  • 第一印象と今話している時の印象にギャップはあるか、またそれはどんなギャップか
  • 外見に対してどんな印象を抱いたか
  • 私に向いていると思う職種や業界は何か
  • どんな社風の企業が合いそうか
  • 将来どんな姿になっていそうか
  • 私の話し方に癖はあるか
  • 話すスピードやあいづちなどに気になる点はないか

アドバイザーコメント

「ジョハリの窓」を使って聞いたことを整理してみよう

もらったフィードバックで、自己分析と一致していたら「開放の窓」に入ります。ここにたくさんフィードバックがくる人は、自分の思っている自分と周りから見た自分に大きな違いはないでしょう。

自分では思っていないことを言われたら「盲点の窓」です。ここに入るフィードバックをもらったら、そう思う具体的なエピソードや根拠を尋ねてみてください。自分の意図とは違う受け取られ方をしている部分が見えてきます。

4つの象限を一つひとつを確認しよう

自己分析で思い付いたのに他者からのフィードバックがなければ、「秘密の窓」です。「私って〇〇なとこもあると思うけど、どうかな?」と具体的なエピソードをつけて、尋ねてみましょう。自分の思っている自分と他者が見ている自分の違いがわかります。

「未知の窓」は一緒に検討してみてください。「ジョハリの窓」の図を一緒に見ながら、「ここに入ることってなんかあるかな?」と検討して、もしあれば、それは「開放の窓」が広がったことになります。

あなたが受けない方がいい職業を確認して下さい

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

自己理解を深めよう! 他己分析の精度を上げる3つのコツ

他己分析の精度を上げる3つのコツ

  • 質問は具体的にする
  • 関係性の異なる複数人に頼む
  • 頼む人によって質問内容を変える

ここまで他己分析の具体的なやり方や質問例を解説してきました。ここからはさらに他己分析の精度を上げるコツを3つ解説していきます。

これらをおこなうことで、他己分析の効果をさらに高め、自己理解を深めることができますよ。

①質問は具体的にする

他己分析は通常、自分から質問をして相手に回答を促しますよね。この質問をする際に具体的におこなうことがポイントです。なぜなら、質問が具体的であればあるほど、回答も具体的になりやすく、回答に対する理解や深掘りに役立つからです。

たとえば、「私の長所は何ですか?」と聞くよりも「私がグループワークをしているときにどのような立ち位置で力を発揮していると感じますか?」といったように、状況やテーマを絞った具体的な質問を心掛けましょう。

人は状況によって立ち振る舞いが異なり、さまざまな特徴を持ち合わせています。そのため、多面的な場面・状況から自分を理解していくことが重要です

自分のおこなう質問が具体的であるかどうか以下の項目をチェックしてみましょう。

具体的な質問かどうかのチェック項目

  • 多くの人に共通する質問ではなく相手だからこそ答える意義のある質問か
  • 細かい状況設定がされているか
  • オープンクエスチョンになっているか

具体的な質問の例

  • 部活で部長を務める私は周囲にどのような影響を与えていたか?
  • 不安なことを感じている私は、どのように解決していたか?
  • 面識のない人に私のことを説明するとき、どう説明するか?

また、具体的な質問をすることは相手への配慮にもなります。抽象的な質問をされると、相手は回答をするのに戸惑ってしまいます。「私の長所は何ですか?」と聞かれると、いろいろあるはずなのに、なぜかすぐに出てこないといったことはよくあることです。

一方、細かく状況が設定されていると、その状況に焦点を当てた長所を考えれば良いので、相手は答えやすいのです。

②関係性の異なる複数人に頼む

他己分析はできるだけ関係性の異なる複数人に頼んでみましょう。前述したとおり、人は状況やかかわる相手によって、発揮する力や接し方は異なります。

たとえば、アルバイト先でリーダーを務めている場合、アルバイト先の店長や仲間から「リーダーシップがある、チャレンジ精神が高い、周囲の状況をよく観察している」といった自分の特徴をヒアリングしたとします。

一方、大学のゼミの友人からは「コツコツと進める、縁の下の力持ちとしてチームを支える存在」といったアルバイト先の人とは異なった自分の特徴を得ることもあるのです。

このように同じ自分であっても、状況によって自分が周囲に与えている印象や取っている行動が異なる場合があります。そのため、自己理解を深めるには、関係性の異なるさまざまな人に他己分析を依頼し、多面的に自分を見つめ直すことが大切なのです。

他己分析は何人くらいの人に頼めば良いでしょうか? 目安の人数が知りたいです。

柴田 登子

プロフィール

目安は2~3名で適度に意見が出そろったと感じたら止めよう

何人に聞けば良い、というのは人によって差があると思いますが、少なくとも2~3名から得ておく方が良いでしょう。

誰もが他己分析を得意とするわけではありませんし、正しい分析ができるとも限りません。複数名の意見を聞いて腹落ちするもの、満遍なく出てきたコメントを採用すると効果的です。

しかし、客観性を持たせるためにと5名以上など大人数からコメントをもらうと、内容にばらつきが出てまとめにくくなるかもしれません。最初から人数を決めるのではなく、適度に意見が出そろったと感じた人数で止めるのも良いでしょう。

③頼む人によって質問内容を変える

頼む人によって適切な質問内容を選択していくことが非常に重要です。繰り返しになりますが、状況・各コミュニティによって自分の取るべき行動や自身の存在、相手に与える印象は異なるからです。

また、自分との関係性によっても相手が回答しやすい質問とそうでない質問があります。極端な例ですが、初めて会うキャリアアドバイザーに自身の幼少期についての質問をしても答えられません。むしろ、初めて会ったときの第一印象を聞いて、それがどう面接で評価されるか、改善点のアドバイスはあるかということを聞く方が適しているといえるでしょう。

質問内容を相手によって変えるには、まず質問する相手とともにこれまで取り組んだことや関係性を整理してみましょう。その中で自分の知りたい特徴や価値観について選定し質問を考えると良いですよ。

分析して終わりではない! 他己分析結果を就活に活かす方法

他己分析結果を就活に活かす方法

  • 自己分析での認識との違いや共通点を見つける
  • 面接の質問に対してどう活かせるかを言語化する
  • 自身の特徴から向いている職種・業界を書き出す

他己分析をおこなっただけで満足しても意味がありません。分析で得た発見や気づきを自身の就活に活かし、志望する企業からの内定獲得へと導くことが重要です。

他己分析は手間がかかるからこそ、やって満足してしまう人が多いのも現状です。そのため、分析の結果を活かす方法を把握し、きちんと実践することで、他の学生と差別化することができます。

何より面接というアピールの場で、深く自己理解できている学生は評価されやすいです。以下で 他己分析結果を就活に活かす3つの方法を解説していくので、一つひとつ確実に実践していきましょう。

遠藤 美穂子

プロフィール

他己分析で自分の良いところが意外とあることがわかった、元気が出たということで終わりではなく、自分が考えていたアピールポイントとの相違点やエピソードを確認し、自己PRの伝え方に反映させていきましょう。

①自己分析での認識との違いや共通点を見つける  

自己分析での認識との違いや共通点の見つけ方

他己分析で得た発見を自己分析の認識と照らし合わせ、両者の違いや共通点を見つけていきましょう。

さまざまな人に他己分析をお願いした人は、得られた自分の特徴の共通項をグルーピングし、情報を整理します。そのうえで、自分の感じていた特徴との共通点や違い・自分では気づかなかった特徴に分類してください。共通点は自分を表わす特徴として信頼性が高いものの表れなので、自信を持ってアピールしていきましょう

自分の認識との違いは、自身になかった視点によるものです。このような気づきは新たな自分の可能性を発見し、職種・業界選びの幅を広げるのにも役立ちます。すでに職種・業界、面接でアピールする自己PRを決めていたという人も、他己分析の結果を活かし、視野を広げてみましょう。

平井 厚子

プロフィール

他己分析で指摘されたことが自分的に納得できない場合もあります。

そんなときはまず受け入れてみて「そんな面もあるのかな」と考えてみます。該当するエピソードがないか、思い出してみましょう。

そうやって耳の痛いことを受け入れて自分の成長につなげたこと自体が、就活に活きてきますよ。

②面接の質問に対してどう活かせるかを言語化する

他己分析をおこなって自己理解を深めているつもりになっていても、それを面接でのアピールに活かせなければ、本来の他己分析の価値を見出すことはできません。

面接官は学生を理解するために、さまざまな視点から質問をしますが、入社後活躍できそうか、一緒に働きたいと思える人柄かを知るために聞いています

そこで、強みや志望動機、企業選びの軸などを聞かれた際には、他己分析から得られた自分の強みや価値観をそのまま伝えるのではなく、どう仕事で貢献できるかという視点を持って伝えましょう。

面接の質問に他己分析の結果を活かす例

他己分析の結果:フットワークが軽いうえに傾聴力もあり、人脈が広い

面接の質問:「あなたの強みは何ですか?」
→回答:フットワークの軽さと傾聴力です。これらを活かした人脈力で、新規顧客獲得を伸ばし利益に貢献します

このように、他己分析で得られた特徴を入社後にどう活かせるかという視点を持ってアピールすることが、就活を成功に導く一つの方法になるのです。

実際に、「他人から〇〇と言われます」と伝えた時、面接官側はどんな印象を持ちますか?

柴田 登子

プロフィール

説得力を持たせるための補足材料とするのがベスト

特に強みやアピールポイントを伝えるときには、他人の意見として述べるだけでは不十分です。大切なのは自分自身がそれを強みだと感じている、アピールすべきポイントだと認識していると伝えることです。

そのため、まず「自分の強みは〇〇です」と自分の言葉として述べた後、それをサポートする具体例を述べます。

最後に「周囲からも〇〇という評価をいただいています」というように、説得力を持たせるための補足材料として他己分析の結果を挙げておくと良いでしょう。

面接の自己PRの作り方、伝え方はこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
例文12選|面接必勝の自己PRはエピソードが最重要!

③自身の特徴から向いている職種・業界を書き出す

他己分析で得られた回答内容からどんな職種・業界が自分に向いているのかを考えましょう。「将来、やりたいことがない」「自分に向いている仕事がわからない」という人は、自分の持つ特徴に合わせて職種・業界を選択していくことで、適職を発見できますよ。

特に、自分では気づかなかった他己分析から得られた特徴をもとに、どんな職種・業界が向いているのかを思いつく限り書き出すと自身の働くことに対する選択肢が広がります。

たとえば、他己分析から「責任感が強い、計画性がある、誠実性が高い、発想力などのクリエイティブ系は苦手」などの特徴が得られたとします。これらの特徴から向いている業界や職種として以下のものが挙げられるでしょう。

向いている業界や職種の例

  • 金融業界
  • 医療・福祉業界
  • 公務員
  • NPO職員

自分の持つ特徴と、各職種・業界で求められる素質やスキルを書き出し両者を見比べることで、自分の特徴とマッチした仕事を発見することができます

このように、自分の特徴からどんな職種・業界が自分に向いているのかを思いつく限り書き出すためには、職種や業界をきちんと理解している必要があります。

職種や業界の知識が浅いという人は以下の記事を読んでそれぞれの知識を深めていきましょう。

業界
就職活動で役立つ業界一覧|仕事内容から動向まで各業界を徹底解説!

職種
職種の種類一覧を徹底解説! 業種・業界・職業との違いも押さえよう

アドバイザーコメント

他己分析は「周囲の人が客観的に見た自分」について知る機会

他己分析によって、自分が考えていた以外のアピールポイントを見つけることができます。

たとえば部活動のエピソードで目標に向かって努力する姿勢をアピールしたいと思っていた場合。

1人で練習を頑張ってきた話ももちろん良いのですが、他己分析でチームメイトから「部員皆の気持ちをまとめてくれた」「落ち込んでいる時に励ましてくれて頑張ることができた」という話が聞けたとしたら、人に働きかける力、周りを元気づける力もあることに気付きます。

アピールポイントの中から自分らしいものや仕事に活かしやすいものを選ぼう

自己分析と他己分析で見つかった自分の良いところのうち、どれが一番自分らしいかで選んだり、応募する企業や職種での仕事に活かせそうなものを選んだりすることができます。

また、他己分析でいろいろな角度からの自分を知っておけば、エントリーシート(ES)で「周囲に働きかけた経験」を聞かれたときや、面接で「周りからどのように言われることが多いですか」と聞かれたときにも自信を持って答えることができますね。

他己分析をおこなう際の3つの注意点

他己分析をおこなう際の3つの注意点

  • 他己分析の回答に一喜一憂しない
  • 他己分析をおこなっただけで満足しない
  • かえって自分を見失わないようにする

最後に、他己分析をおこなう際の3つの注意点を解説します。

他己分析は自己理解を深めるための有用な方法です。しかし、以下で解説する注意点を押さえずにおこなうと、かえって自己理解を阻む要因へとつながります。さらには周囲の人間関係に悪影響をもたらしてしまうことにもなりかねません。

以下で解説する注意点まできちんと把握し、他己分析を上手く活用していきましょう。

①他己分析の回答に一喜一憂しない

他己分析をおこなっていると、ときには「自分の弱み」や「自分では強みだと思っていたこととは反する意見」をもらうことがあるでしょう。また、自分の強みや魅力を聞いてもなかなか思いつかず答えるのに困る相手の姿を見てショックを受けるときもあるかもしれません。

しかし、自分に対する弱みや改善点を提示してくれるのは自分のことを真剣に考えてくれる相手の優しさだと受け止めましょう。

他己分析で得られた回答はあくまで自己分析の補足に過ぎません。また、ある人にとっては魅力に映ることも他の人から見れば欠点と思えることもあり、人の評価はぶれるものです。

他己分析の回答に毎回一喜一憂するのではなく、それらをきちんと受容し、どう就活に活かせるのかという視点を持つことが大切なのです

柴田 登子

プロフィール

たとえあなたが信頼した相手に他己分析を頼んだとしても、実はその人があなたのことをよく知らなかったり、的確な指摘ができなかったりする場合もあります。

そのため、その内容に一喜一憂せず、コメントの一つひとつについて取り上げるべきか否かを検討するのはとても大切です。

②他己分析をおこなっただけで満足しない

他己分析をおこなって自分の中で理解を深めただけでは内定獲得へつながりません。

他己分析をおこなう最大の目的は、納得のいくキャリアを見つけるために自己理解を深めることです。これを成し遂げるために、他己分析で得られた発見や気づきを振り返り、面接での受け答えに活かしましょう

③かえって自分を見失わないようにする

他己分析をしていると、自分の認識とは異なった意見をもらったり、他己分析をお願いする相手によって回答が異なり、自分を見失ってしまう人をよく見かけます。

しかし、これは人によって感じ方や考え方、判断基準が異なるため、当然のことなのです。異なるさまざまな自分の特徴を受け止めたうえで、過去の出来事や経験を振り返りましょう。

そもそも自己理解に答えというものは存在しません。そして終わりも存在せず、生涯に渡り答えのない自分を見つめていくことになるのです。そのため、あまり深く考えすぎず、異なる意見についても「こういう一面が自分にもあるんだな」という認識にとどめ、まずは自分の感情や認識を最優先にして自己理解を深めていきましょう

アドバイザーコメント

弱みを指摘された場合は分析してアピールに活かそう

他己分析は自分を客観視するのにとても効果的ですが、「盲点の窓」に該当する意見をもらうと、混乱するかもしれませんね。

「あれっ?」と思うフィードバックをもらったときは、そう思った根拠や具体的なエピソードまで教えてもらってください。そのエピソードを思い出して、「ああ、他者にはそう見えることもあるのだな」と、まずは受け入れましょう。

そのうえで、相手がそう受け取った理由を考えてみます。これは自分の行動を多面的にみる練習です。

他己分析の結果は強みを補強したり内容を深めたりして活かせる

もらったフィードバックが自己分析の強みとつながることなら、強みを補強する材料に使います。「周りからも~と言われます」と付け加えれば、好印象になります。

逆に、自分は強みと思っていた同じエピソードで弱みを指摘されたとしたら、そのことを取り入れて自己分析に深みを持たせます。「私の強みは〇〇です。たとえば~。しかしこれは〇〇ととられることもあるので、気をつけています」といったように伝えましょう。

友人の他己分析は全力でおこなおう

他己分析で面接に活かせる有益な自分の特徴・情報を得たいと思うのであれば、友人の他己分析を全力でおこなってあげましょう。

「全力で」というのは、友人が持つ強みや弱み、面接でのアピールポイントを自分のことのように熟考し伝えてあげるのです。自分が内定を獲得するためによく自己分析をおこなうときのように真剣に相手に寄り添って考えてみてください

人間の持つ「返報性の原理」により、誰かから与えられたことに対して人は「お返しをしなくては」と思うようになります。つまり、友人に対して自分の就活であるかのように他己分析を全力でおこなうことで、その友人も自分の他己分析を真剣におこなってくれる可能性が高まるのです。

友人から他己分析をお願いされたのですが、いつも答えに戸惑ってしまいます。どのように答えたら良いでしょうか? 答えるときのコツやポイントはありますか?

遠藤 美穂子

プロフィール

本人が前向きになれるような回答を意識しよう

まずはその友人の良いところをできるだけたくさんあげます。ありふれた言葉しか出てこないとしたら、具体的な場面を添えて答えてあげましょう。

良いことだけでなく悪いことも言ってほしいと言われたら、「こうだったらもっと良い」「たまにこういう時がある」というような点を伝えてみましょう。

友人と、自分や他の友人との違う点を探してみるのも良いですね。

他己分析は自己分析の精度を高めるのに重要! 早いうちから取り組もう

他己分析を始めるタイミングが早ければ早いほど余裕を持って自己理解を深めることができます。自己分析をおこなう学生は多い中で、正しい他己分析を実践している人はそう多くありません。

この記事を読んでいるあなたは他の学生より一歩リードすることができています。記事で解説した他己分析の質問例や就活に活かす方法を確認し、注意点を参考に他己分析をおこない、就活に活かしていきましょう。

アドバイザーコメント

勇気を出して他己分析を実施してみよう

誰でも他人に自分のことをあれこれ言われるのはためらわれます。「どんなことを言われるのだろう」と不安になりますし、内容によっては傷つくかもしれないと思うものです。

しかし、他己分析で得られるものはたくさんあります。恐れているように自分の知りたくない一面を見せつけられますが、それが就職活動を始める前であればあるほど、余裕を持って改善につなげられます。

また、その取り組みは「強み」のエピソードとして活用することもできます。

早いうちに他己分析により強みや弱みをコメントしてもらえば、自分が志望する業界や職種が適切かどうかを確認し、場合によっては方向転換の一助となります。

客観的な視点は企業とのマッチ度を測るうえでも必要不可欠

洋服を買うときに自分が好きなデザインが自分に似合うとは限りませんよね。

それと同じで自分で選んだものが実は自分にはマッチしていない、というのはよくあることです。自分の姿が自分で見えないからこそ、他者の客観的な視点で「似合わない」と言ってもらうことは大切です。

就職後に「何か違った」と後悔しなくて済むように、他己分析も参考にしながら就活のプランを立ててください。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了
全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-220824001-02942)
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