この記事のまとめ
- 転職で給料が下がる6つのケースを解説
- 給料が下がる転職をする際の判断基準を把握して後悔しない決断をしよう
- 年収が下がっても価値がある転職をキャリアコンサルタントが解説
「新しい職種や業界に転職すると給料が下がる気がする」「物価が上がっているのに給料が下がると、今後の生活が苦しくなる」と転職に関して不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
新卒入社の会社で定年退職まで働き続ける終身雇用が日本では一般的でしたが、現在は転職をする人が増加しています。総務省統計局労働力人口統計室の「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」によると、就業者のうち転職者は325万人で、1年前の調査と比べると12万人増加しています。
この記事では、キャリアコンサルタントの瀧本さん、谷所さん、若林さんのアドバイスを交えつつ、転職で給料が下がるケースや判断基準を解説します。転職を検討しているものの、給料面でためらっている人は、ぜひ参考にしてください。
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転職によって給料が下がる場合は判断基準を明確にすることが重要
転職によって給料が下がることは、必ずしも悪いことではありません。未経験の分野で経験を積んで将来的には市場価値を高められたり、労働時間を減らして生活と仕事のバランスを調節したりできる可能性があるためです。
ただし、転職で給料が下がることによって後悔する人がいるのも事実です。そのため、後悔しないためには、給料が下がる転職をする際の判断基準を明確にすることが重要です。
この記事では、給料が下がる転職をしている人の割合を説明した後、 転職で年収が下がる6つのケースを紹介します。まずは自分が転職によって給料が減る可能性があるかを把握しましょう。
また「給料を下げずに転職したい」という人のために、年収を下げずに転職する際に役立つポイントを解説します。自分の判断基準を明確にして、悔いが残らない転職を実現できるようにしましょう。
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事実を確認! 約3人に1人は転職によって給料が下がっている
転職によって給料が下がるケースや、判断基準を理解する前に、まずは転職者の年収がどのように変化しているか把握しましょう。
厚生労働省「令和4年雇用動向調査 」によると、転職によって賃金が減少した人の割合は33.9%です。約3人に1人は転職によって給料が下がっていることがわかります。その中でも賃金が1割以上減少した人は25.2%と、転職者の4人に1人は大きく年収が下がっているのです。
一方で、34.9%の人は転職によって給料が上がっていて、賃金が低下する人と同様、約3人に1人が該当します。変化なしの人の割合も29.1%なので、転職による給料の変動はおおよそ均等に分かれていることがわかります。
約3人に1人の給料が減少しているのに対し、同じくらいの割合で給料が上がる人もおり、転職にはリスクとチャンスが共存しているといえます。
成功する転職もあれば、経済的に不利な結果に終わるケースもあり、検討する際には慎重な判断が必要です。
事前に知っておこう! 転職で給料が下がる6つのケース
先述の調査から約3人に1人は給料が下がっていると解説しましたが、賃金が低下する転職にはいくつかのパターンがあります。
賃金を重視していないのであれば問題ないですが、今の給料が生活するための最低ラインという人もいるのではないでしょうか。厳しい家計状況で暮らしている人が給料の下がる転職をすると後悔する可能性が高いため、賃金が低下しやすい転職パターンを把握しておくことが重要です。
そこでここでは、転職で給料が下がる6つのケースを解説します。自分の状況と一致するものがないか、確認しながら読み進めてください。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
①未経験の業界・職種への転職
求められるスキルや経験が不足していたり、育成に時間がかかったりすることから、未経験の業界・職種への転職は給料が下がりやすい傾向にあります。
たとえば、これまで営業職として働いていた人が経理職にキャリアチェンジすると、転職先で経験を積みながら知識やスキルを身に付ける必要があります。即戦力として企業に貢献することは難しいため、転職後は給料が下がってしまうのです。
なお、金融や製薬、コンサルティングファームへの転職であれば、高い能力やスキルが必要とされるので、平均年収が高く未経験の分野でも年収が増えることもあります。ただし、基本的には未経験の業界・職種に転職すると、給料が下がる傾向にあることを把握しておきましょう。
未経験の業界・職種へ転職する場合、経験者のライバルもいるので入念な対策が必要です。以下の記事では業界・職種ごとに対策方法をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
未経験の業界でも年収アップが見込めるものは、保険や不動産業界など、インセンティブが大きい営業職が多い印象です。
私の友人でも、専業主婦から就職して高所得者になった人がいますが、離職率が高い職種でもあるため、向き不向きがある業界ともいえます。
②役職・階級が下がる転職
役職が付いたり、階級が上がったりすると責任が重くなるため、基本給の上昇や役職手当の支給によって年収がアップします。一方で、役職・階級が下がる転職をすれば、給与ダウンの可能性が高いです。
また、管理職やリーダーのポジションとして仕事をしていた場合、転職先に同様のポストが存在しないケースもあります。仕事内容が似ていても現職よりは役職が低くなり、給料も下がる恐れがあるのです。
既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
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③賞与や福利厚生の確認が足りていない状態での転職
転職先の給料が現職よりも高く見えても、賞与や福利厚生を含めたトータルの収入では逆に減少するケースがあります。特に賞与を十分に確認していなければ、結果的に年収が下がるかもしれません。
たとえば、基本給が30万円で年間ボーナス150万円の企業から、基本給40万円でボーナスなしの企業に転職する場合、30万円も年収が下がっています。
また、家賃補助や住宅手当、確定拠出年金といった福利厚生が充実していなければ、年収が上がっても手取り額は減少します。月給だけを見るとトータルの収入が低下する恐れもあるため、ボーナスや福利厚生にも注目して手取り額が減るのか増えるのかを見極めましょう。
ボーナスの有無が気になる人はこちらの記事も参考にしてみてください。ボーナスのない会社の魅力やメリットを詳しく解説しています。
関連記事
なぜボーナスのない会社がある? 隠れた魅力や転職の基準を解説
ボーナスを支給しない会社と聞くと、年収や業績を心配する人もいるかもしれませんが、実はボーナスがないことで社員が得をすることもあるのです。記事ではボーナスのない会社の本音や、ボーナスを軸にした会社の見極め方をキャリアコンサルタントとともに解説します。
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④都市部から地方への転職
都市部から地方への転職は、生活コストの低下と引き換えに給料が下がることが一般的です。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、全国計の318.3 千円よりも賃金が高かったのは栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の5都府県です。
最も高かった東京都は368.5千円なのに対して、最も低かった青森県は249.9千円と、両都県には約120万円の差が開いていて、地域によって年収に大きな差があることがわかります。
地方では生活費が安くなる分、給料が減っても問題ないように感じるかもしれません。しかし、収入の減少が生活水準や心の安定に大きな影響を与える可能性があるため、地方への転職を考える際には、総合的な生活コストと収入のバランスを考慮しましょう。
一般的に基本給などの給与体系は変わりません。だたし、配属先が転居を伴う転勤であれば、地方赴任手当、住宅手当や家賃補助、引っ越し手当など、転勤に伴う費用の負担を軽減するために、別途手当を支給する企業があります。
⑤給与の交渉をしない転職
転職の面接では、給与交渉によって年収が上がるケースがあります。「前職でマネジメント経験があるため、プレイヤーとして貢献しながらプロジェクト管理も実行できます」のように根拠を伝えれば、給料が上がって前職の年収を超える可能性があるのです。
しかし、交渉によって必ず年収がアップするわけではありません。しつこく交渉するとマイナス評価につながって選考に落ちる可能性があるため、粘り過ぎないようにしましょう。
また、「そもそも自分の市場価値がわからないためどのように交渉すべきかわからない」という人もいるのではないでしょうか。そのような人は、転職に関する幅広いサポートを提供しているエージェントに相談するのがおすすめです。求人紹介や応募書類の添削だけではなく、希望条件を伝えれば企業とあなたの間に立って給与の交渉をおこなってくれます。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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⑥残業時間が短くなる転職
働き方改革によって、残業時間を減らそうと努める企業が増えています。基本給が同じでも残業代の減少によって、収入が低下するケースもあるのです。
ただし、残業時間が短くなると家族との時間や趣味の時間を確保しやすくなります。そのため、年収が下がっても必要な水準を超えていたり、十分な資産があったりする人は、残業時間が短くなる転職によって生活の質が高まるでしょう。
また、空いた時間に副業に取り組めば収入アップも目指せます。転職を検討する際は労働時間の変化が収入に与える影響を考慮しつつ、自分の生活スタイルや収入とのバランスを考えて転職するかどうかを決断しましょう。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見るライフスタイルを重視する人にとっては移住による給料の減額は悪いものではない
上記のような事例以外にも、コロナ禍以降増えていると感じるのは、移住による転職です。自分で事業を興す人もいますが、移住先によっては観光業・農業・漁業など、職種が限られているケースもあります。フルリモートの会社に転職し、移住するケースもありますが、これも給料が下がってしまうケースがあるようです。
ただし、このような転職は移住という目的のためであるため、給料が下がってもライフスタイルを重視したい人にとってはより豊かな生活が送れるのではないでしょうか。
転職で給料が下がるのは、一見悪いことに思えるかもしれませんが、転職の目標を明確にすると、違ったものが見えてきます。
<あなたはなぜ転職したいですか?>
・新しい仕事に挑戦したい
・会社の待遇に不満がある(給与や待遇など)
・社内の人間関係がうまくいかない
・肉体的、精神的に今の仕事や会社が辛い
転職理由は、上記のような回答が上位を占めます。心身の健康を保てる、新しい挑戦ができる転職は今後のチャンスにつながる
人間関係や待遇への不満なら、給料が下がっても精神的な健康が保たれる可能性があります。また、新しい仕事への挑戦は、今の給与は下がっても、将来的に上がるチャンスもあるでしょう。
このように多角的な視点を入れて、転職の目的を明確にすることも大切です。
迷ったらチェック! 給料が下がる転職をする際の判断基準
給料が下がる転職をする際の判断基準
- 生活できる給与水準か
- 給料が減ること以上の魅力があるか
- 将来的に収入が増えるか可能性があるか
- 給料の減額は年収の1割程度に収まっているか
給料が下がる転職をして生活の質が高まる人もいるため、「給料が下がる転職=悪」ではありません。それでも、「転職して後悔するかもしれない」「給料が下がることへの不安が大きい」という人もいるのではないでしょうか。
給料が下がる転職で後悔しないための秘訣は、転職をするかどうかの判断基準を把握しておくことです。基準に沿って決断すれば、悔いが残る決断を避けやすいためです。
そこでここでは、給料が下がる転職をする際の判断基準を紹介します。納得したうえで決断できるように、転職時の指針を明確にしてくださいね。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
職業選択においてやりたいことはもちろんですが、その中でも適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうため適職への理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業と低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみよう!
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生活できる給与水準か
今の暮らしを維持できれば給料が下がっても大きな問題はないため、まずは転職後の給与が生活できる水準に収まっているか確認しましょう。生活費や固定費、ローンの返済額などから月の支出を算出し、転職後の給料でまかなえるか確認してください。
また、「3年後に恋人と結婚」「5年後に第一子誕生」のように、将来的なライフイベントの考慮も大切です。なぜなら、大きなライフイベントにはまとまったお金が必要で、直前に用意するのは難しいためです。
生活が苦しくなると後悔する恐れがあるため、転職後の収入で問題なく暮らせるかをシミュレーションしましょう。
5年から10年先を見据えてシミュレーションをするのが理想的です。特に20代はキャリアの初期段階にあたるため、短期的な目標とともに長期的なキャリアビジョンを持つことが重要です。
これにより、転職先での成長や将来のキャリア展望をより明確に描きやすくなります。
給料が減ること以上の魅力があるか
たとえ賃金が低下するとしても、給料が減ること以上働き方やキャリア形成などに魅力を感じていれば、転職に対してネガティブな感情を抱く可能性は低いです。なぜなら、給料よりも重視する要素を満たした企業に転職することで、満足のいくキャリアを描けたり、理想の将来像をかなえたりすることができるからです。
たとえば「満員電車の通勤が嫌だからリモート勤務やフレックスタイム制を採用している企業で働きたい」「残業時間を短縮して家族との時間を楽しみたい」と考えていて希望を実現できれば、給料が下がる転職をしても問題ないでしょう。
年収が下がる転職をしても生活できる給与水準を超えている場合、賃金以上の魅力があるかどうかを見極めることが大切です。
将来的に収入が増えるか可能性があるか
転職後の収入が一時的に下がったとしても、知識やスキルの習得によって将来的な収入が前職を上回るケースがあります。特に金融や製薬、コンサルティングファームといった給与水準の高い業界への転職であれば、未経験で給与が下がった場合でも、キャリアアップするにつれて年収が増えていきます。
また、転職先がAI(人工知能)やITなどの成長市場に属していれば、将来的な年収アップの可能性が高いです。有価証券報告書や中期経営計画から過去の業績や将来のビジネス戦略を確認し、その企業が今後も成長し続ける見込みがあるかを調べましょう。
なお、高年収を目指せる業界については、こちらの記事で解説しています。興味のある業界や経験のある業界がないか、確認しながら読み進めてくださいね。
関連記事
2024年最新版! 新卒の年収や高収入を目指せる業界をチェック
新卒の平均年収は約240万〜300万円ですが、学歴や業界によっては300万円以上も十分狙えます。この記事では、学歴別や企業規模別での新卒平均年収について説明します。高年収を狙える業界8選の特徴も解説するので、年収を重視した就活を目指す人は参考にしてください。
記事を読む
- 成長産業ではあるものの、本当に年収が増えるか不安です……。将来的に年収が増えるかどうかを事前に確認する方法はないのでしょうか。
応募先のキャリアパスや求人情報から将来的な収入を見極めよう
応募企業のキャリアパスを確認してみましょう。キャリアパスで昇進や昇格の可能性があれば、能力を発揮することで年収が増える可能性は高いでしょう。
一方、キャリアパスが曖昧な企業では、将来像が描きにくく、年収が増えない可能性があります。
また求人情報に記載されている年齢や役職のモデル年収から、将来の給与水準を見極めることもできますし、内定後に昇給制度について採用担当者に確認をすることもできます。
給料の減額は年収の1割程度に収まっているか
生活できる給与水準か、給料が減ること以上の魅力があるか、将来的に収入が増えるか可能性があるかといった条件を満たしていても、給料の減額が年収の1割程度に収まっていない転職には注意が必要です。一般的に年収が1割以上減額すると、今の生活を維持するのが難しいとされているためです。
そのため、年収の減額は1割を目安に考えつつ、生活費や貯金、将来的な資金計画を踏まえて給料が下がる転職をするかどうかを決断しましょう。
- 異業種・異職種へのキャリアチェンジをしたく、給料が大きく下がってでも早めに転職すべきか、まず現職で年収を上げるべきか迷っています……。
転職によるキャリアアップの可能性を見極めて転職を判断しよう
まず、長期的な視点で自分のキャリア目標を明確にすることが大切です。異業種への転職は、未経験からのスタートとなるため、年収が減るリスクもあり、将来的に得られる経験やスキルがその後のキャリアに大きく関係する場合もあります。
もし、現在の仕事で年収アップが見込めるなら、そのキャリアをもう少し積んでから転職を検討するのも一つの手です。特に、現職でスキルや実績を積んでおくことで、転職先でも高い評価を受けやすく、年収を下げずに転職できる可能性が高まります。
一方で、年収ダウンを受け入れてでも転職する場合は、その後のキャリアアップの可能性や、新しい職場で得られるスキルや経験が、自分にとってどれほどの価値があるのかを考慮してください。
キャリアコンサルタントに質問! 年収が下がっても価値がある転職とは
転職の判断基準を参考に転職するかどうかを決断しようとしても、「本当に転職しても大丈夫なのか」「転職した後に後悔したらどうしよう」と悩む人もいるのではないでしょうか。
そこでここでは、転職希望者に向けてさまざまなアドバイスを提供してきたキャリアコンサルタントに、年収が下がっても価値がある転職について聞いてみました。転職して後悔しないために必要な考え方にも言及しているので、ぜひチェックしてください。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る理想をかなえられる転職は年収が下がっても価値がある
現在の年収はこれまで積み上げてきた成果であるため、実績がない転職先企業では、年収が下がることもあります。年収が下がっても転職する価値がある企業は、かなえたいことが実現でき、キャリアパスが明確な企業です。
叶えたいことが実現できる企業であれば、高いモチベーションで仕事ができます。キャリアパスが明確な企業で能力を発揮すれば、昇進や昇格に伴い昇給も期待できます。
転職は、企業が求める職務能力や経験が異なるため、期待されていることは何なのかを見極めて、叶えたいことが実現でき活躍している姿をイメージできれば、転職する価値があるでしょう。
現職の不安を解消するための転職は後悔する可能性が高い
後悔するパターンは、前職の労働環境や待遇、人間関係などに不満を持ち、前職の不満だけで辞めてしまう人は、後悔するパターンが多いです。
前職の不満だけで辞める人のなかには、今度は不満がない企業に転職をしようと、転職先企業に完璧を求めることがありますが、完璧な企業などはなく、また転職をすれば、前職の不満が必ず解決されるわけでもありません。
転職する目的が前職の不満であっても、転職をしてどういったキャリアを実現したいかを考えて転職をしなければ、新たな不満を抱き転職を後悔するでしょう。
転職で年収を下げないためのポイント4選
転職で年収を下げないためのポイント
- 経験やスキルを活かせる業界を選ぶ
- 成長している業界・会社に転職する
- 交渉をサポートしてくれる転職エージェントを活用する
- 複数企業の選考を受けて自分の市場価値を把握する
環境を変えたい人や新しい分野に挑戦したい人は、一時的に年収が下がるのを受け入れる必要があるかもしれません。
しかし、給料アップを目的に転職活動を進めている人もいると思います。年収を下げずに転職するためには、いくつかポイントがあります。ここでは転職で年収アップもしくはキープするためのポイントを解説しているため、給料を重視して転職活動をおこなっている人はぜひ参考にしてください。
①経験やスキルを活かせる業界を選ぶ
前職での経験やスキルを活かせる業界の企業を選択すると、転職後に価値を提供できる可能性が高くなります。そのため、即戦力として認められやすく、年収を下げない転職が可能になるのです。
また、別の業界でも職種が同じなら売上に貢献しやすいため、前職よりも良い待遇で働けるチャンスがあります。たとえば、不動産業界で営業をしていた人が、金融業界の営業職を選択すると、前職で培ったコミュニケーション能力を活かして顧客と良い関係性を築ける可能性が高いです。
年収を重視する人は、経験やスキルを活かせる業界・職種から転職先を選びましょう。
- その業界・職種での経験がなくても年収を増やせる方法はあるのでしょうか?
転職先の評価方法が自分に合うかどうかを調べよう
これまでの経験やスキルを活かさない業界や業種への転職は、どうしても一時的には年収が落ちてしまう可能性が高いです。
ただし、業界や業種によっては、入社後に取得したスキルや能力によって評価が上がり、しばらく経ってから年収が上がることはありえます。
ポイントは、その会社がどのような評価方法であるかを事前にしっかりと調べておくことです。いくら転職して能力が上がっても、なかなか給与が上がらない会社なら年収アップは見込めません。
逆に能力主義で、評価がはっきりとしている会社なら、年収アップを目指す人には向いているかもしれませんね。
②成長している業界・会社に転職する
市場が拡大している業界や業績が伸びている企業は、社員の給与や待遇面でも優れていることが多いです。そのため、転職で給料を下げたくない人は、成長している業界・会社を選択しましょう。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、平均年収が最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の747万円でした。次いで656万円の金融業・保険業、632万円の情報通信業と続きます。
一方で宿泊業・飲食サービス業は268万円と、高年収の業界と比較すると約400万円の違いがあります。このように年収が大きく異なるため、給与を重視する人は成長している業界・会社に転職しましょう。
しかし、「そもそも伸びている業界・会社がわからない」という人もいるのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、業界研究や企業研究です。それぞれの方法は以下の記事で解説しているので、自分で成長している業界・会社を選べるようにしましょう。
③交渉をサポートしてくれる転職エージェントを活用する
求人紹介や応募書類の添削のほか、給与交渉もおこなう転職エージェントがいます。交渉によって年収が高くなるケースもあるため、給与交渉に関するサポートを提供可能な転職エージェントを活用しましょう。おすすめの転職エージェントは以下の通りです。
キャリアパークエージェント | 1人当たり平均5回以上の面談を実施していて、給与が下がる転職をすべきどうかの相談にも乗ってもらいやすい |
リクルートエージェント | 経験豊富なエージェントが多くて内定前に直接給与交渉をおこなってくれる |
マイナビエージェント | 年収を含んだ待遇面の交渉を代行でおこなってくれる |
自身で交渉をすると折り合いを付けにくかったり、説得力のある提案ができずに提示額から変わらなかったりするケースがあります。そのため、年収ダウンを防ぐために給与交渉を考えている人は、転職エージェントの活用がおすすめです。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見る計画を練ってベストなタイミングで適切な数値の増額を交渉しよう
20代の転職者が給与交渉をする場合には、計画的なアプローチと適切なタイミングをはかることが大切です。給与交渉は転職者の権利でもあるので適切におこなえば、その後のキャリアの成功と長期的な満足感に大きく貢献することにつながります。
交渉を始める前には、自分のスキルや経験が市場でどの程度の価値を持つのかを調査し、希望する給与に合理的な根拠を持たせることが重要です。一般的には前職の給与から5から10%の増額を目標とします。
自身のスキルや成果に見合った金額の交渉が重要
最適な交渉のタイミングは、内定後や労働条件の詳細が提示される前となります。この時期の交渉であれば、企業もあなたの希望に応じやすいです。特に初回面接や重要な役員面接では給与の話を避け、まだその段階では早すぎると考えられます。
交渉時には自分の具体的なスキルや成果を前面に出し、それに見合った給与を求めるべきです。また、希望給与には交渉幅に余裕を持たせ、柔軟な対応が可能となるよう配慮することが望ましいです。最終的には冷静かつ給与相場の現実に即したアプローチで交渉に望み、自分の要望を明確に伝えることが重要です。
④複数企業の選考を受けて自分の市場価値を把握する
そもそも自身の市場価値がわからないために、年収が下がる企業に転職する人もいます。そのような人は、まず複数社の選考を受けて自分の経験やスキルに見合った年収を把握しましょう。複数のオファーを比較することである程度の自分の市場価値を把握でき、最も良い条件の企業を選択できます。
また、複数の条件を見ることでより良い条件を引き出す交渉材料にもなります。他社のオファーを伝えれば、実際の数字を使って納得感のある交渉ができるでしょう。
複数の企業から提示を受けて、提示された年収の平均値が概ね自分の市場価値だといっても良いでしょう。
会社によって提示額が大幅に変わることもありますが、高い値だけを参考にすると市場価値と自分の感覚の間に齟齬が生じる可能性があります。
どうしても下がってしまう人必見! 会社の給料に左右されない生活術
未経験の業界・職種を選択したり、労働時間を減らして家族との時間を確保したりする転職をすることで、年収は下がる可能性が高いです。判断基準やポイントを踏まえたうえでの選択であれば、仕方がない部分も多いでしょう。
しかし、「給料が下がると今後の生活が心配」「本当に転職をしても良いのか」と悩む人もいるのではないでしょうか。そこでここでは、年収が下がる転職をせざるを得ない人に向けて、会社の給料に左右されない生活術を紹介します。
固定費を見直す
固定費は一度見直すと長期的に節約効果が期待できるため、給料が下がる転職をする際の対策としておすすめです。給料が下がる転職をする際に見直すべき固定費は以下のとおりです。
給料が下がる転職をする際に見直すべき固定費
- 住居費:家賃や住宅ローン
- 通信費:スマートフォンやインターネットの料金プラン
- 保険料:生命保険や医療保険
- 光熱費:電気やガス、水道の契約会社
たとえば住宅ローンの借り換えをして金利が低くなれば、完済までに支払う金額が小さくなります。また、通信費や保険料も見直すことで、長い期間にわたって支出を減らせるのです。
なお、節約する際にこまめに電気を消したり、スーパーをめぐってなるべく安いところで購入したりする人もいますが、継続が難しくおすすめできません。変動費を削るのは継続的な努力が必要になるので、まずは少しの手間で長期的な効果を得られる固定費から見直しましょう。
収入源を増やす
本業以外で収入を得られるようになれば経済的に安定します。そのため、給料に左右されない生活術として収入源を増やすのも効果的な方法です。
ライドシェアドライバーとして退勤後に乗客を運んだり、ブロガーとして閲覧回数に応じた報酬を得たり、フードデリバリーのドライバーとして食べ物を運んだりなど、収入源の増やし方はさまざまです。
転職先企業の副業を禁止していないことが前提ですが、時間の制約が比較的少ないネット通販、オークションサイトの出品、フードデリバリーなどはおすすめです。
また動画編集やプログラミングのスキルがあれば、副業として需要があります。
就業促進定着手当を活用する
転職をして給料が下がった場合、就業促進定着手当を受けられる可能性があります。
就業促進定着手当とは
再就職手当を受けた人が、同じ事業主に6か月以上にわたって雇用された場合に、その機関の賃金が離職前の賃金よりも低いときに受け取れる手当。(離職前の賃金日額−再就職後6か月間の賃金の1日分の額)×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数(一般的な正社員なら暦日数)で計算できる。
もし、再就職手当を受けたうえで転職によって給料が下がった場合は、就業促進定着手当の受給条件を満たしているかどうかを、厚生労働省のホームページ(HP)で確認しましょう。
悩んでいる人は多い! 転職にまつわる読者のQ&Aを紹介
記事を読んでいくなかで、ほかの転職希望者が抱える悩みを知りたい人も多いのではないでしょうか。
ここではPORTキャリアに寄せられた転職にまつわる4つのQ&Aを紹介します。転職者へのサポート経験が豊富なキャリアコンサルタントによるアドバイスが掲載されているため、転職に関する悩みがある人はぜひご覧ください。
給料が下がる転職は自分の条件を満たすかを見極めて納得して判断しよう
自分で決めた条件を満たしていれば、転職後に後悔せずに済むため、給料が下がる転職をするかどうか迷った場合、自分なりの条件と照らし合わせることが大切です。
給料が下がることに対して抵抗がある気持ちもあると思います。しかし、思い切った決断をすることによって将来が明るくなるケースもあります。ライフプランや価値観と転職先の待遇を比較して、納得して転職できるか判断しましょう。
また、やむを得ず給料が下がる転職をする場合は、対処法を実践して満足のいく暮らしができるように備えてください。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見る多くの人が満足のいく転職を実現できている
少し古いデータになりますが、令和2年転職者実態調査の概況(厚生労働省発表)のデータによると、年齢や性別によって割合には差がありますが、主な転職理由は以下のとおりです。
・満足のいく仕事内容ではなかった
・賃金が低い、労働条件がよくなかった
・能力や実績が正当に評価されなかった
・人間関係がうまくいかなかった
・会社の将来に不安を感じた
人によって転職理由は違いますが、多くの人が「今いる会社よりもいい環境、いい給料で働きたい」と考えているようですね。
スキル・能力が身に付けば数年後に年収アップも可能
労働条件や環境に起因する転職も多いですが、能力が活かしきれない、満足のいく仕事ができないといった仕事自体に不満を感じる転職者もたくさんいます。
新しい仕事に挑戦したい、キャリアアップしたいといった目的の転職では、どうしても最初は年収が下がってしまいがちです。ただし、転職後に新たなスキルを身につけ、能力が発揮できれば年収アップのチャンスもあります。
今すぐに年収を上げるのも大切ですが、10年、20年と長期的なキャリアプランも考えて転職を検討しましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事
Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修
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