この記事のまとめ
- 音楽にかかわる仕事を24選紹介
- 未経験でも4つの方法を意識すれば音楽業界への就職が可能
- 音楽業界で求められている4つのスキルで周囲と差別化できる
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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作曲家やシンガーソングライターなど、憧れの職業に音楽にかかわる仕事を挙げる人も多いと思いますが、実際に就職するには専門の知識やスキル、実務経験がないと目指すことが難しい職業も多くあります。
しかし音楽にかかわる仕事の中には、「音楽に触れることが好き」という気持ちを最大限に活かせる仕事も存在します。
本記事ではキャリアアドバイザーの高尾さん、古田さん、加藤さんのアドバイスを交えて、音楽にかかわる仕事の就職先や就活で周囲と差を付けられるポイントなどを詳しく解説します。音楽が好きで、仕事にも興味がある人はぜひ参考にしてください。
実は職業が豊富! 音楽にかかわる仕事は工夫次第で誰でも目指せる
音楽にかかわる仕事は音楽を作るのみでなく、音楽を取り扱ったり楽器に触れる仕事だったり、さまざまな種類の仕事があります。
しかし「音楽にかかわる仕事」という大きなくくりでは、どのような職業があり仕事内容は難しいものであるかなど、わからないことも多いでしょう。
本記事での前半では、音楽にかかわる仕事の就職先や職種ごとの細かい内容を紹介します。まずは前半で音楽にかかわる仕事の概要を知り、やってみたいと思える仕事を探してみましょう。
後半では音楽業界の将来性から就職方法、求められるスキルについて紹介します。最後まで読むことで音楽にかかわる仕事の解像度が深まり、本当に目指したい職業が見つかりやすくなるでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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・楽しく働ける仕事がわからない人
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
音楽にかかわる仕事が未経験でも目指しやすい理由とは
音楽にかかわる仕事が未経験でも目指しやすい理由
- 深刻な人手不足で引く手あまたのため
- 未経験の分野でも好きな気持ちや情熱が評価されやすいため
- 基本的に文系でも理系でも就職に大きな差がないため
音楽にかかわる仕事は、実務経験がなくても目指せる業種です。歌手や楽器演奏者などスキルが求められるものは、「音楽を聴くことが好き」の気持ちのみでは就職が難しいですが、どの職業でも共通して求められていることは「音楽が好き」であることです。
ここからはなぜ音楽にかかわる仕事が未経験でも目指せるのか、詳しく解説します。
深刻な人手不足で引く手あまたのため
音楽業界は現在深刻な人手不足に悩まされています。憧れが強い業界である反面、古い体制の企業では長時間労働の慣習化や不規則な就業時間など昔の慣習が続いていて、体を壊して退職する人も少なくありません。
特に音楽イベントにかかわる仕事は、現在も人手不足が続いていることがニュースでも話題になりました。2023年10月には、アーティストの全国公演ツアーが人手不足を原因に一部中止となっています。
現在音楽にかかわる仕事もオペレーションをITに切り替えている職種が多いですが、イベントや販売スタッフなど人員が必要になる場面も多くあります。各求人サイトにも「未経験歓迎」や「音楽が好きなら誰でもできる」といった求人募集があり、未経験や音楽関連のスキルがない人でも就職しやすくなっています。
ツアーやイベントは週末や祝日に開催されることも多く、そもそも人手を確保するのが難しいです。
さらに会場の設営準備や後片付け、そのほか開催に必要な準備物の手配、各業者への連携など、イベント開催中以外におこなわなくてはならない業務も多岐にわたるため、多くの人手が必要という背景もあります。
未経験の分野でも好きな気持ちや情熱が評価されやすいため
音楽にかかわる仕事のなかには、好きという気持ちよりもスキルや経験が必須になる職業が多くなります。しかし歌手や作曲家など特定の業種を除き、音楽業界は全体的に「音楽が好き」という強い気持ちを評価します。
しかし音楽業界は憧れを持たれやすい一方で、楽な業界ではありません。だからこそ、音楽に対して時間や体力を注げる情熱がある人が長続きしやすく、企業も積極的に採用したいと思っています。特に未経験OKの求人に応募する際は、経験よりも音楽が好きという気持ちがアピールしやすい部分になるでしょう。
基本的に文系でも理系でも就職に大きな差がないため
音楽にかかわる仕事は、文系・理系を問わず就職を目指しやすい業種です。
ただしまったく関係ないとは言えず、製造業関連は業務内容に設計が含まれるため理系人材を重視することもあります。しかし楽器メーカーの求人募集内容は設計のみでなく、販売員や営業などさまざまな分野で募集されているため、特定の業種のみ文系・理系の差が生まれることを把握しておきましょう。
音楽にかかわる仕事では、文系・理系にこだわるよりも、自分の特徴や強みをアピールすることのほうが重要です。以下の記事では自分の強みの探し方とアピール方法を紹介しているため、ぜひ併せて参考にしてみてください。
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就活で自分の強みを何て答えれば良いかわからない、そもそも自分の強みが浮かばない人に向けて、キャリアコンサルタントが自分の強みを見つける方法やアピールのコツを解説していきます。強みを伝える例文も紹介するので、参考にしてください。
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音楽業界は人手不足のため、情熱や好きな気持ちが評価されやすい傾向にあります。そこに加え、業界の求めるコミュニケーション能力や柔軟性、行動力などといったスキルを持ち合わせていれば、未経験であっても採用の可能性は十分あります。
しかし、長時間労働や不規則な勤務が一般化している実情についての理解は必要です。業界の現状に対する理解を深め、自分に合うか検討しましょう。
また、未経験からスタートする場合、最初は補助的な業務から始まり、だんだんとスキルや知識を身に付けていくことになるので、地道な努力を続ける覚悟が不可欠です。
さらに、音楽に関する知識やスキルを自主的に学び、業界のトレンドや動向を把握するなどの自己研鑽も求められます。好きという気持ちを活かしながら、努力を続けていきましょう。
幅広い就職先を知ろう! 音楽にかかわる仕事に就ける業界4選
音楽にかかわる仕事に就ける業界4選
- 音楽・芸能プロダクション
- イベント会社
- 楽器メーカー
- 音楽関連のメディア
音楽にかかわる仕事は、おもに4つの業界から成り立っています。
音楽関連の求人情報を見ていると、さまざまな職業で募集されていることがわかります。たとえばざっくりと「楽器関連の仕事に就きたい」と思っていても、楽器の作成や楽器メーカーの営業職、バックミュージシャンなど、まったく異なる仕事で募集されています。
まずは業界の構造や特徴を理解して、音楽業界におけるそれぞれの役割を把握しましょう。
音楽にかかわる仕事は、教育業界、医療業界、ゲーム業界など幅広い業界に存在します。
音楽に関する業務の割合は少なくなるものの、たとえば警察や自衛隊には音楽隊があり、仕事として楽器を演奏する機会もあります。そのようなシーンでは吹奏楽部出身の人も多く活躍しています。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
就職先①音楽・芸能プロダクション
音楽・芸能プロダクションでは、アーティストやタレント、アイドルなどのマネジメント業務がおこなわれます。
いわゆる「芸能事務所」と呼ばれる企業であるため、新たに売り出すアーティストを探すことから制作・広告会社への営業活動といった業務など、幅広い業務内容が特徴の就職先です。そのため配属先によっては就業時間や休日が不規則になることもあるでしょう。
ほかの職業と同じように求人サイトで募集している企業も多く、応募後に面接や筆記試験などの採用試験を経て内定となることが一般的な就職方法です。音楽現場により深くかかわりたい人にはおすすめの就職先といえます。
音楽・芸能プロダクションで働く魅力は、音楽やエンターテインメント業界の最前線で活動しながら、アーティストやタレントの成長を直接サポートし、彼らの成功に貢献できることです。
音楽制作やイベント企画に携わり、クリエイティブな業務を通じて自分のアイデアを活かせます。また、さまざまなスキルを身に付け、業界内のネットワークを広げることもできます。
仕事の成果が目に見える形で表れるため、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
就職先②イベント会社
イベント会社とは、コンサートやフェスライブなどの音楽イベントの企画・運営に携わる就職先です。
たとえば音楽イベントではリーダー的な役割の舞台監督から始まり、照明や立ち位置などを考える舞台設計スタッフ、音響を担当するPAスタッフ、楽器管理を担当するローディーなど、舞台一つとってもさまざまな役割が存在します。フェスライブであればフードやグッズ販売の出店管理も必要で、現場の施工や芸能プロダクションとの打ち合わせも求められるため、「音楽現場を担っている」といったやりがいを感じられます。
イベント会社は特に現在も人手不足に悩まされている業界の一つであり、未経験でも入社しやすいことが特徴です。
就職先③楽器メーカー
楽器メーカーでは楽器の製造からリペア作業、顧客に届けるための営業・販売など楽器にかかわる業務全般をおこないます。
音楽好きが高じて、音楽を聴くことから自分で楽器を演奏することにシフトした人も多いでしょう。楽器メーカーは直接曲とかかわる機会は少ないですが、音楽には必要不可欠である楽器を扱うことで、間接的に音楽に深くかかわる仕事といえます。
楽器教室を運営する楽器メーカーも多いため、楽器を作り販売するのみでなく、楽器を指導したい人にもおすすめの就職先です。
- 楽器メーカーに憧れがあるのですが、就職は難しいのでしょうか?
勉強する意欲を見せることができれば可能
楽器の製造やリペアなどの仕事は専門学校などで知識を学んだうえで応募する方が有利になると思います。
営業や販売などは、楽器が好きで携わりたいという思いがあれば、未経験からでも応募先によっては受け入れてくれるでしょう。
ただし、顧客に楽器の説明やご案内をする必要があるため、一生懸命勉強して知識を最速で身に付けることが必要です。
就職先④音楽関連のメディア
音楽関連のメディアとは、音楽配信サービスを提供している企業や音楽・アーティストを紹介するメディアなどが当てはまります。たとえばレコード会社によるプロモーション業務や、音楽ライブを配信するアプリの対応業務なども音楽関連メディアの仕事内容です。
音楽を作るよりも音楽をさらに広めるという仕事であり、音楽を聴くことが好きな人に向いています。イベント会社と同じく、音楽に関するスキルや経験よりも「好き」である気持ちをアピールできる業種が多いため、未経験でも就職しやすいといえるでしょう。
音楽関連のメディアは、記事執筆やSNS運用、イベント企画・運営などを通じて、音楽の魅力を多くの人に伝えています。そのため、特に音楽を聴くことが好きで、情報発信が得意な人が向いているでしょう。
また、音楽のトレンドに敏感で、新しい情報をキャッチするのが得意な人にも適性があります。コミュニケーション能力が高く、チームで協力してプロジェクトを進めることが好きな人におすすめの職場です。
音楽にかかわる仕事24選を一挙紹介! 目指し方も同時にチェック
これまで見てきたように、音楽にかかわる仕事の就職先は4種類に分類できますが、ここから仕事のジャンルがさらに枝分かれします。
音楽業界に転職したい未経験の人は、とりあえずスキルが求められない職種のみを探しがちですが、まずは一度音楽にかかわる仕事を一覧で確認して、自分の興味のありそうな分野を探してみてください。意外な部分で「挑戦したい!」と思える仕事と出会えるかもしれません。
まずは24種類の職業をチェックして、自分が何を目指したいか漠然と考えてみましょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
表舞台に立つ音楽の仕事
表舞台に立つ音楽の仕事
- シンガーソングライター
- 歌手
- 楽器演奏者
- バックミュージシャン
- ラジオDJ
普段からテレビや雑誌で見る表舞台に立つような音楽の仕事は、未経験からいきなり就職することはできません。しかし今は未経験でも今後専門学校でスキルを磨いたり、音楽と近い業種に就職してつながりを構築したりすれば、表舞台に立てるチャンスもあります。
誰にでもできる仕事ではありませんが、世間に自分の歌や演奏を届けたい人にとっては特にやりがいを感じられる職業といえるでしょう。いつもメディアで見ているシンガーソングライターやバックミュージシャンなど表舞台に立つ仕事はどのようにして目指せるのか、ぜひ参考にしてみてください。
シンガーソングライター
シンガーソングライターは作詞から作曲、歌唱などすべて自分で担当するアーティストです。楽器演奏に関しては、ギターやピアノの弾き語りができて、自分の歌を一人で演奏できれば問題ありません。
音楽を学んだあと音楽プロダクションに就職することも一つの方法ですが、音楽活動を続けて作品を作りつつ、自分で曲を売りこんだり音楽プロダクションに見つけてもらったりなどがおもな就職方法です。
そのため音楽のセンスと自己プロデュース力が問われます。シンガーソングライターを目指す人は、まず積極的に自分の曲や活動を売り込んで、どんどん活動を広める機会を作っていくことが重要です。
歌手
歌手はシンガーソングライターと違い自分で楽曲を作らずに、歌うことがメインになる仕事です。しかし歌手でも自分で曲を作り歌うこともあれば、シンガーソングライターでも他者の曲を歌うこともあるため、活動内容の境界は絶対的なものではありません。
ライブやコンサートでアーティストとして活動することはもちろん、CMソングの歌唱やコーラスのみを担当するといった、歌を使った仕事全般が業務内容です。シンガーソングライターにも当てはまりますが、人前に立ち歌うことは非常に体力を使うため、音楽スキル以外にも常日頃の体調管理やトレーニングが求められます。
歌手を目指すには自分で歌声を売り込む以外に、音楽や声楽などの知識を身に付けて、音楽レーベルに就職する方法があります。
テレビや人気のミュージカルなどの表舞台に出て活躍するには、きわめて狭き門を突破しなくてはなりません。
私の知人に、結婚し子どもを育てながらも、シンガーソングライターとして活躍している女性がいます。テレビなどの表舞台に出ることは少ないですが、イベントやラジオ番組のMCをしながら自分の曲も併せて紹介しています。
いろいろな活動の仕方があるので、自分の好きなことをどのように仕事にできるか、視野を広げて考えてみてください。
楽器演奏者
楽器演奏者とは、その名の通り楽器を演奏して音楽を表現する仕事です。求められるスキルは楽器の演奏技術や音楽知識ですが、個性を出すためのパフォーマンスや練習を怠らない精神力が必要となります。
いちアーティストとして作曲し演奏することもありますが、舞台・演劇や交響楽団など団体で活動する仕事もあり、目指すならまず最初に活動の方向性を考えることになるでしょう。
楽器演奏者が目指しやすい仕事
- 生演奏バンドメンバー
- バックミュージシャン
- 音楽教室の講師
- オーケストラ楽団員
- 陸上自衛隊音楽隊
イベントやライブで活躍する生演奏バンドやバックミュージシャンのメンバーになる場合は、2人から10人程度による演奏が一般的な活動です。一方で大人数による合奏を仕事にしたい場合は、オーケストラ楽団員や陸上自衛隊音楽隊など楽団への応募が就職方法に挙げられます。
バックミュージシャン
バックミュージシャンも楽器演奏者に含まれますが、楽団で合奏ではなく、アーティストやCMソングのレコーディングの演奏を担当する仕事です。演奏技術とコミュニケーション能力が必要な仕事ですが、自分の担当する楽器の作曲・編曲アイデアを求められるため、音楽センスや知識があるとより信頼されるバックミュージシャンになれるでしょう。
アーティストと同じくレコード会社に所属する方法もありますが、アーティストとの直接的なつながりで依頼されてフリーランスとして働く方法も一般的です。バックミュージシャンとして活動しながら、専門の楽器のレッスン講師として働く人も多いです。
- 楽器演奏者やバックミュージシャンになるには、音大出身でないと難しいですか?
実力重視の世界なので自力で実績や業界への影響力を築くことも可能
確かに、音大出身者は高度な音楽教育を受けていて、高い技術や豊富な知識を持っている傾向にあります。さらにOB・OGが音楽業界に多数在籍するため、業界での就職にも有利でしょう。
しかし、楽器演奏者やバックミュージシャンになるために音大出身であることは必須ではありません。いくつかの方法を解説します。
まず、音楽業界では実力が最も重要視されます。そのため、自力で技術を磨き、ライブや地域の音楽イベントに参加して経験を積むことで、実力を証明することができます。また、SNSやYouTubeで世間に自分の演奏を広めることも効果的です。
さらに、書籍やオンラインコースなどを利用して音楽理論や作曲法への学びを深め、自分の音楽に独自のカラーを加えることで差別化を図ることも可能でしょう。
これらに加えて、コミュニケーション能力やネットワーク構築も重要です。人脈形成が仕事の獲得につながります。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
ラジオDJ
ラジオパーソナリティーとして働くラジオDJは、ラジオリスナーからのメールやお便りを読んだりゲストとトークを交えたりといった業務内容となります。リスナーには音声しか聞こえないため、ラジオDJに求められるスキルは聞き取りやすい発声とトーク力といえます。
ラジオDJになるにはラジオ局にアナウンサー志望で入社したり、ラジオDJ募集のオーディションに応募したりなどの方法が挙げられます。
また、同じく「DJ」がつく職業にクラブDJが挙げられますが、クラブDJはクラブで流す曲を選びミキサーを操作してフロアを盛り上げるといった役割があり、ラジオDJとはまったく別の職業です。
表舞台に立つには、最終的にその人の光る個性、つまりは独自のキャラクターや飛びぬけた能力などを持っていることが重要となってきます。
とはいえ、すでに世に認知されている人のバックコーラスやバックダンサーとして舞台に立った経験があれば、就職では有利になるでしょう。
音楽を作る仕事
音楽を作る仕事
- 作曲家・作詞家
- 編曲家
- サウンドクリエイター
音楽を作る仕事は表舞台に立つ仕事と同じく、専門スキルが求められるため、誰でも簡単に就職できる仕事ではありません。
しかし趣味の延長で作曲を仕事にしたり、インターネット上で音楽を聴いた企業がスカウトしたりなど、趣味として音楽を続けていれば就職の可能性があります。
まずはそれぞれの特徴や就職方法について確認してみましょう。趣味で音楽を作っている人はぜひ参考にしてみてください。
作曲家・作詞家
作曲家・作詞家はいずれもクリエイティブな業種で、自分で音楽を作る仕事です。作曲家は曲全体を作り、作詞家は作詞メインで曲作りの一部を担当します。魅力的な音楽を作るために、音楽の基礎知識はもちろん、作曲家であれば音源として利用する楽器の知識、作詞家であれば語彙力や表現力が必要とされます。
フリーランスとして依頼主の要望通りの曲を作ったり、企業に就職して必要とされる曲を作ったりなどがおもな仕事です。就職先は音楽制作会社や芸能・音楽プロダクションが多く、音楽関連の専門学校や大学で学びつつ活動することが近道になるでしょう。
作曲家や作詞家はフリーランスが多いですが、音楽制作会社、レコード会社、音楽プロダクション、広告代理店、映像制作会社、ゲーム会社などからも求人募集が出されています。
具体例を挙げると、ユニバーサルミュージックやバーニングプロダクションなどの大手企業が定期的に求人を出しているので、確認してみてください。
編曲家
編曲家とは、作曲家が作成した曲のアレンジをする仕事であり、「アレンジャー」とも呼ばれます。曲を一から作るのではなく、既存の曲の演奏メロディーやパート編成などを編集して、曲をさらに良く仕上げるために必要な仕事です。
楽譜用のピアノ・ギター用音源を作ったり、飲食店で流れているようなオルゴール音源を作ったりなども編曲家が担当する業務です。そのため作曲家やシンガーソングライターと同じく音楽の幅広い知識が求められるほか、楽曲の編集はほぼすべてパソコンのソフトでおこなわれるため、編集ソフトを駆使できるスキルも重要です。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターも作曲家と同じく、音楽を作るという点では同じ仕事です。映画やドラマ、ゲームなどで使用される曲を作るため、就職先は映像制作会社やゲーム会社など音楽を扱う企業全般にわたります。雇用形態により年収は大きく変わりますが、一般的な会社員よりも技量が評価されやすい業界であるため、曲の人気度やクリエイターの知名度でも給与は変動します。
オリジナルの楽曲を一から作るというより、映像やゲームの世界観を理解して、その作品に違和感のないような曲を作るため、作曲の知識のみでなく、どんな依頼でも対応できるよう幅広い楽器の知識を備えることと、想像力が求められる仕事といえるでしょう。
サウンドクリエイターのおもな就職先は、サウンド制作会社や映像コンテンツ制作会社、ゲーム会社といった会社になります。選考に音楽知識の試験や審査を設けている会社もあるため、企業研究や準備はしっかりおこないましょう。
裏方で音楽を支える仕事
裏方で音楽を支える仕事
- レコーディングエンジニア
- 楽器クラフトマン
- 楽器リペアマン
音楽はレコーディングエンジニアや楽器を作る人など、裏で音楽を支える人がいるからこそ成り立ちます。
音楽にかかわる裏方の仕事にはイベントスタッフやラジオ局も当てはまりますが、ここからは音楽制作時に裏方で支える職業を3つ紹介します。
直接音楽を作らなくても、作曲の現場を間近で支えたい人はぜひ参考にしてみてください。
レコーディングエンジニア
レコーディングエンジニアは、おもにCDの作成現場で作曲家やシンガーソングライターが作った曲の音源を調整しながら録音する仕事です。パートごとの音源を聴きながら別の楽器を追加したり、録音終了後には音量・トーン調整したりなど、音楽の深い知識が必要になります。アーティストや現場関係者との意思疎通も必要であり、時に場をまとめるコミュニケーション能力も求められます。
レコーディングエンジニアは趣味で始めることが難しい職業であるため、興味があっても始めにくい職業ではありますが、短期大学や専門学校の電子系・音響コースなどで知識を学べます。知識を学んだあとはレコード制作会社やテレビ局、レコーディングスタジオが一般的な就職方法です。
就職に必須な資格はないものの、音楽制作の要となる役割で、経験のあるレコーディングエンジニアは重宝されるため、本気で目指したい人は音響工学や録音技術を学べる音響の専門コースの受講がおすすめです。
- 未経験からレコーディングエンジニアを目指すには、まず何から始めたら良いでしょうか?
基礎知識を学んだら現場で経験を積んで磨きをかけよう
未経験からレコーディングエンジニアを目指すには、まず基礎知識を身に付けることが重要です。
レコーディングエンジニアは音楽の録音、編集、ミキシングに関する専門的な知識と技術が求められるため、効率的に学ぶためには短期大学や専門学校の音響コースを利用するのも良いでしょう。
そして、現場での経験も重要です。機材の使い方やアーティストとのコミュニケーション方法、実際のレコーディングの流れを学ぶだけでなく、人脈を広げるきっかけにもなります。
レコーディングスタジオやライブハウスでのインターンシップ、アルバイトなどで現場経験を積みましょう。
さらに、自宅でも手頃な機材を使って自主練習を重ね、自作した音源をポートフォリオとして持っておくことも大切な準備の一つです。
楽器クラフトマン
楽器クラフトマンは楽器を作ることを業務とする、いわゆる「楽器職人」です。製図から使用する材質、演奏後の軽微な調整など細かい工程を経て楽器を作り、売り出します。
特にギターやベースなどの楽器は製図から塗装、完成後の微調整まですべて手作業でおこなうオーダーメイドに対応したメーカーも多く、専門性の高さから就職が難しい職業でもあります。
楽器クラフトマンになるには、楽器製作が学べる音楽系の専門学校にてデザイン工学や工芸学などを学びます。就職に特別な資格は必要なく、専門知識を身に付けた後はリペア工房や楽器メーカーへの就職が一般的な流れです。
両方とも専門的な仕事ですが、理系だから有利ということはないでしょう。いずれも仕事に従事するために必要なスキル・知識を専門学校などで身に付けたうえで応募することが必要となります。
楽器リペアマン
楽器を修理する楽器リペアマンも楽器クラフトマンと同じく、音楽と楽器が好きな人に向いている仕事です。すべての楽器の知識を網羅する必要はなく、自分の担当である楽器に精通していれば問題ありません。
「楽器の調子が悪い」とざっくりした内容で持ち込まれても、その原因を探して修理する、いわば楽器の医者のような役割です。楽器を直すだけでなく、日々のメンテナンス方法や扱い方なども指導できるような詳しい専門知識が求められます。
楽器リペアマンも楽器クラフトマンと同じく、専門学校で音楽の基礎や工芸学を学んだのち、楽器販売店や楽器製造業に就職することが一般的です。
イベントで活躍する音楽の仕事
イベントで活躍する音楽の仕事
- ステージスタッフ
- ローディー
- PAスタッフ
コンサートやライブ、ロックフェスなどの音楽イベントは、ミュージシャンのみでなく多くの職業がかかわっています。音楽イベントに参加したことのある人であれば、スタッフが忙しそうにしている光景も見たことがあると思います。
イベントで活躍する音楽の仕事は音楽にかかわる仕事の中でも現場に立つ仕事であり、音楽を楽しんでいるお客さんの顔を直接見たい人にとってはやりがいを感じられる仕事です。ここからは音楽イベントには欠かせない職業を3つ紹介します。音楽イベントが好きな人は、ぜひここで目指し方や必要なスキルをチェックしてみてください。
ステージスタッフ
ステージスタッフとは、イベントステージ全般のスタッフを指します。専門知識を必要とするスタッフ以外の業務を担当する意味合いで使われることが多く、会場設営や機材の搬入、顧客の誘導まで担当するため、イベント開催に欠かせない人員です。
大人数が必要になる仕事でありアルバイトの募集も多く、リーダー的役割になると施設責任者や出演者との打ち合わせもあり、アルバイトを管理する側に回ります。
イベントスタッフになるにはアルバイトから長く続けることも方法の一つですが、広告代理店やイベント企画会社など「イベントスタッフ募集」の求人を出している会社に応募する方法が挙げられます。
ローディー
イベントの際、アーティストの楽器や機材の管理を担当するローディーは、「ミュージシャンアシスタント」とも呼ばれ、なくてはならない仕事です。ライブやコンサートではステージスタッフのように機材の運搬やセッティングをおこない、時には専門技術で機材トラブルを解決し、よりミュージシャンやバンド全体に寄り添った存在として活躍する職業です。
ローディーは細かな気遣いや丁寧な作業ができる人に向いている仕事で、楽器の調整も担当することから音楽知識と演奏技術も必要になります。就職先は芸能プロダクションやマネジメント会社が挙げられますが、経験を積んでアーティストに信頼されるようになると、アーティストから「ツアーに参加してほしい」と誘われることもあり、ダブルワークで活躍するケースもあります。
またローディーはミュージシャンのツアーに同行することも多く、ミュージシャンの送迎や機材車の運転が求められることから普通自動車免許が必須といわれています。
- ローディーはアーティストに直接雇用されれば高収入を稼ぐこともできますか?
雇用契約の内容やスキル次第で高収入の見込みあり
アーティストによっては専属のローディーを雇用することもあります。バンドであれば、楽器ごとにローディーがいることもあります。
報酬は雇用契約の内容によるところが大きいため、相場は明確ではありません。とはいえ人気のアーティストともなると、ツアーのたびにローディーを同行させることもあるため、直接雇用されている場合は高収入になる可能性は十分あるでしょう。
また、持っているスキルや経験値といった腕次第では金額交渉ができるケースもあります。交渉の結果次第で高額の報酬を得られるかもしれません。
PAスタッフ
PAミキサーやPAエンジニアと呼ばれるPAスタッフは、おもにイベント会場の音響を担当する専門技術者です。「PA」とは「Public Address(パブリック・アドレス)」の略語で、マイクやアンプなど音響機器全般を指す言葉です。PAスタッフは音響機器の専門家といえる職業になります。
PAスタッフの種類と仕事内容
- 会場に流れる音を操作する「ハウスエンジニア」
- 舞台上で聞こえる音を操作する「モニターエンジニア」
- 会場全体の音響特性を調整する「システムエンジニア」
会場を最高の音質に調整して臨場感を高める重要な役割があり、就職には音響工学や電子工学の知識が求められるため、文系よりも理系のほうが新たに学びやすいといえるでしょう。音響専門会社以外にも、イベント制作会社や音楽プロモーション会社への就職でPAスタッフを目指せます。
またPAを目指すのであれば国家資格の舞台機構調整技能士や、民間資格の音響技術者資格、サウンドレコーディング技術認定試験(JAPRS)などの資格取得がおすすめです。特に未経験から業界に飛び込む場合は、このような形として証明できるものが好印象につながります。
PAは、音響工学や電子工学の知識が求められるため、理系の背景を持つ人のほうが学びやすいでしょう。音響設備の設置や調整、音の伝送、トラブルシューティングには物理学や電子工学の知識が役立ちます。
加えて、理系の知識があれば、資格取得や機器の操作、音響解析がスムーズにおこなえる可能性が高いので、技術的な課題にも迅速に対応できるでしょう。
経験や実力を活かす音楽の仕事
イベントで活躍する音楽の仕事
- プロデューサー
- ピアノ調律師
- 音楽療法士
- 音楽教師
- 音楽教室の講師
- ボイストレーナー
経験や実力を活かす仕事では、これまで培ってきた知識や経験が重要視されます。音楽業界の中には音楽を作り広めるのみでなく、自分の経験を活かして人に指導したり、音楽を志す人を引っ張って表舞台に立たせたりなどの、音楽業界にとって重要な役割を持つ業種が数多くあります。
ここからは大学や専門学校への進学が必要な職業や、経験や実力が求められる音楽の仕事を紹介します。未経験から目指したい人は、まずどのような学校に進学するべきかぜひ参考にしてください。
プロデューサー
プロデューサーとはさまざまな現場の決定権を持つ重要な人物を指す言葉です。音楽業界ではアイドルや歌手を世に売り出したり、イベントの開催を決定したりなどがプロデューサーの仕事内容に挙げられます。たとえばアイドルのプロデューサーであれば、アイドルのビジュアルから歌わせる曲など基本的な方針を決めて、音楽商品としての企画も取引先と打ち合わせます。
新たな人材を発掘することもプロデューサーの仕事であり、観察眼と機敏に動ける才能が必須です。音楽に関する知識はもちろん、各メディアが世間にどのような影響を及ぼすのか学ぶほか、経営学や組織マネジメントなど人に対して活かせる知識の習得が求められます。
就職して最初からプロデューサーになることはできず、レコード会社や音楽事務所で経験を積み、任命されるといった流れが一般的です。
プロデューサーを目指すにあたって、必ずしも音楽系の学校を出る必要はありません。それよりも実際に音楽業界に身を置いて、コミュニケーション能力や、今後のトレンドを見極めるセンス、新しいアイデアを生み出す能力を磨くと良いでしょう。
ピアノ調律師
ピアノの医者ともいえるピアノ調律師は、繊細な音の変化を聞き取れる聴力が重要な職業です。ピアノは繊細な楽器で、温度や湿度の影響で音が狂ってしまう複雑な構造をしています。そのためピアノ調律師はただピアノが好きというだけで簡単になれる職業ではなく、ピアノの正しい音を聞き分けて細かい調整・整音を繰り返す仕事であり、聴音力と細かな作業ができる器用さが求められます。
調律師になるために大学や専門学校で音楽とピアノを学ぶ際は、国家資格のピアノ調律技能検定試験の取得を目指すことになるでしょう。資格取得後はピアノメーカーや楽器販売店、音響メーカーへの就職を経てピアノ調律師として働けます。
音楽療法士
音楽を用いてQOL(Quality of Life)を向上させる音楽療法士は、音楽にかかわる仕事ではありますが、医療・福祉・教育現場など幅広い企業に就職できる貴重な職業です。
QOLとは生命・生活・人生の質を向上させて満足度を得る意味があり、音楽療法では子どもの発達支援から病気・事故後のリハビリ、リラクゼーションといった心のケアでQOLを向上させます。
音楽療法士は現在国家資格がありませんが、日本音楽療法学会では認定校にて日本音楽療法学会認定音楽療法士の取得が目指せます。音楽療法以外にも福祉や心理学など関連する分野の知識が必要であり、認定校に入学しなくても音楽療法士への就職は可能です。しかし専門性の高い仕事であるため、求人募集では未経験でも資格を持っている人に限るものも多く見られます。
就職先は病院や高齢者福祉施設、児童福祉施設などで、学んだ分野により適した就職先を選べます。
音楽療法士は、誰かからの支えや助けを必要とする人に対して、役に立ちたいと心から思える人に向いています。他者の幸福を優先できる心を持ち、助けを求める人の立場になって物事を考え、接することが自然とできる人などにおすすめの仕事です。
仕事で心理学を活かしたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。おすすめの資格もまとめています。
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心理学を活かせる仕事に就くには、職業に合わせて適した資格を取得する必要があります。この記事では、心理学を活かせる仕事やスキルを活かす方法をキャリアコンサルタントと解説します。持っている知識を存分に活用できる職業を探しましょう。
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音楽教師
生徒に音楽を指導する音楽教師は、音楽知識のほか教育職員免許状が必要です。教育学部や音楽学部で小学校や中学校、高校に対応した教員免許を取得して先生となります。教員免許を取得した後は、学校の採用試験を受けることが一般的な就職方法です。
「音楽が好きになったのは、音楽の先生が楽しい授業をしてくれたから」という人も多くいるように、子どもの音楽への関心を高めるチャンスを作る重要な役割があります。
音楽教師には音楽知識のほか生徒の管理や指導力といった教師としての能力も必要で、常にアップデートされた知識のもと、適切な指導が求められます。生徒一人ひとりの能力を観察して、どのようにして指導していくか考えるなど授業以外の業務も多々ありますが、生徒の成長を目の前で見守れる仕事です。
音楽教室の講師
音楽教師の講師は、ギターやベースなどの手に取りやすい楽器から、トランペットやサックスといった管楽器までさまざまな楽器の講師が当てはまります。教室のレベルは経験者がスキルを高めるための教室から、初心者でも通いやすい教室まで幅広く、自分の専門分野である楽器の講師として働きます。
教員免許が必要な音楽教師と違い必要な資格はなく、就職方法も全国展開している音楽教室に就職したり自宅で教室を開いたりなど、幅広い選択が可能です。音楽教室に就職する場合は書類選考と面接のほか、実技でどの程度の演奏技術を持っているかたしかめる企業が多いです。
- 音楽教室の講師になるなら、企業に勤めるか自分で教室を開くかどちらのほうが良いでしょうか?
安定性と自由度のどちらを優先したいか考えて決めよう
企業に勤める場合、安定した収入と福利厚生が期待できます。研修や教育プログラムが設けられているので、指導スキルも磨きやすいです。また、企業が集客をおこなうため、自ら生徒募集をする必要はありません。
そのため、安定性を重視する人は企業への就職をおすすめします。
一方、自分で教室を開く場合、指導方針やカリキュラム内容、勤務時間から教室の場所まですべてを自分の裁量で決められます。ただし、初期投資や運営コストがかかるうえ、生徒集客のためのマーケティングも必要なので、収入が不安定になる可能性があります。
リスクを理解したうえで自由度を求めるのであれば、自分で教室を開くという選択肢を取るのも良いでしょう。
自分の状況や目指すキャリアに合わせて、どちらの選択肢が自分にとってベストなのかを検討してください。
ボイストレーナー
ボイストレーナーは歌唱法や発声法を指導する声の先生です。口やのどの使い方や歌う際の呼吸法などを指導し、生徒が目指している歌声に近づけるように手助けします。
音楽教室の講師と同じく、指導のレベルは初心者向けのカラオケ教室から、アナウンサー、ボーカリスト志望など本格志向の内容まで幅広いため、自分のやりたい内容で教室が開けることも魅力的です。
ボイストレーナーはフリーランスとして活動しているイメージが強い職業の一つですが、自分で教室を開く以外にも、ボーカルスクールやミュージックスクール、劇団への就職を目指せる職業です。
ただし未経験からの活動が難しく、就職や開業にはトレーナー本人が声楽や歌唱をプロから学んだ経験やこれまで積んだ実績が求められます。本人の経験や実績があることで、ボイストレーナーとして外部から呼ばれたり生徒が申し込んだりといった仕事の獲得につながります。
未経験でも「好き」をアピールしやすい音楽の仕事
未経験でも「好き」をアピールしやすい音楽の仕事
- 音楽ライター
- CDショップのスタッフ
- 楽器販売店のスタッフ
- テレビ局・ラジオ局のスタッフ
国家資格の取得や実務経験などがなくても、音楽と近い場所で働くことは可能です。
これまでは経験やスキルが求められる仕事を多く紹介しましたが、専門学校で学んだり仕事として経験を積んだりすることが難しい人には、就職段階で資格や経験が求められにくい音楽の仕事がおすすめです。
ここからは専門職ではなく、選考で「音楽好き」をアピールしやすい仕事を4つ紹介します。
音楽ライター
音楽ライターの仕事は、まさに音楽を聴くことが好きな人にはぴったりの仕事です。雑誌やインターネットに掲載される音楽関連の記事を書き、時にはアーティストに直接インタビューするといった、趣味で新たな音楽を発掘している人にはやりがいのある仕事です。
音楽の知識も一定以上求められますが、そのほかにも日々最新の音楽情報を追って、記事を読む人たちに発信できる表現力が重要です。就職先は音楽雑誌出版社や編集プロダクションで、学歴は不問としている求人募集も多く見られます。
就職前は校正技能検定やMIDI検定などの資格を取得していると、熱意が伝わりより合格に近づけるでしょう。就職後は正しい日本語で記事を書くための日本語学や、音楽にかかわるビジネスを学ぶことで、さらなるキャリアアップを目指せます。
- 音楽を聴くことが好きなだけでも、音楽ライターになれますか?
情報を発信できるほど音楽を聴いているならば強みにできる
音楽ライターは、音楽好きの人に対して音楽に関する最新情報を発信する立場です。そのため、どのレベルで「音楽を聴くことが好き」なのかによって答えが分かれます。
「ジャンルを問わずさまざまな音楽を探究して聴くことが好き」「1つの分野を徹底して聴いているので、昔の曲から最新の曲まで頭に入っている」といったレベルであれば、「音楽を聴くことが好き」という強みを武器にできるでしょう。
CDショップのスタッフ
CDショップでは、音楽や映像作品など店舗で取り扱う商品の仕入れや陳列、販売などがスタッフの業務内容です。大きな店舗ではアーティストを呼んでイベントを開催することもあり、身近で音楽と触れあえる職業ともいえます。
取り扱うものは音楽関連の商品ですが、仕事内容は販売業を担当することも多く、最初は音楽の知識よりもレジやパソコンのスムーズな操作が求められるかもしれません。5年・10年など長く経験を積んでいけば、店長などへの昇格や本社異動といったキャリアを目指せるのが一般的です。
学歴や資格が重要視されにくい職種であるため、数ある音楽にかかわる仕事のなかでは比較的転職しやすいこともメリットです。
楽器販売店のスタッフ
楽器販売店のスタッフは、音楽のなかでも特に「楽器が好き」という人におすすめの仕事です。
一般的な楽器販売店ではさまざまな種類の楽器が売られていて、分野ごとにスタッフが振り分けられています。就職の際は担当を希望する楽器を弾けることが前提となっていて、就職後はプロのミュージシャンからの質問にも答えられるように知識を深める必要があります。
そのため学歴は不問である求人も多いですが、担当したい楽器を専門で学んだ経験があるとより良いアピールになるでしょう。アルバイトの正社員登用を採用している企業も多いため、アルバイトから始めて正社員登用を狙うことも就職方法の一つです。
- CDショップや楽器販売店では、選考でどのような点が見られるのでしょうか?
音楽が好きであることは大前提であるため、「音楽が好き」だけでは志望動機として弱いでしょう。
面接では、普段どのような音楽を聴くかだけでなく、ダウンロードがメインの時代に販売店で何がしたいのか、将来像やコミュニケーション能力の有無など、広範囲で質問されます。
また、CD販売は縮小傾向ですが、クラブやDJの影響で円盤を扱うお店も出てきています。そのため、そういったはやりに敏感であるかどうか、幅広い知識を備えているかどうかが見られます。
楽器販売も、プロ並みのテクニックや知識がある顧客に対応するための勉強は欠かせません。普段どのようなことを心掛けているかも重要視されるでしょう。
テレビ局・ラジオ局のスタッフ
一見かかわりが薄く思えますが、テレビ局やラジオ局のスタッフも音楽にかかわる仕事に分類されます。たとえばテレビ局にはアナウンサーのみでなく、カメラ撮影やマイクのセッティングを担当する技術職や、番組のデザイン・セットの設計といった美術職など、さまざまな職業が必要です。
特に技術職は放送や回線が正しく送受されるか確認する担当や、新しいシステム導入のための設計など専門的な業務も多く、理系出身の人が活躍しやすいといえます。
テレビ局やラジオ局に就職した場合、まず初めに「AD」と呼ばれるアシスタントディレクターとして着任することが一般的です。リサーチや編集など地道な業務を経て、のちにディレクターやアシスタントプロデューサーに進みます。映像や音響について学んだ経験があれば選考も有利になりやすいですが、一方で学歴や経験は不問とする求人も多く見られます。
テレビ・ラジオ局の仕事は、放送まで長い期間をかけておこなう制作の準備など、確かに大変な部分も多いです。しかし番組を完成したときの達成感や視聴者からの嬉しい反響や声などは、制作に携わった人しか味わえないやりがいでしょう。
テレビ局の倍率は非常に高く、実際に就職する際は選考対策を念入りにしなくてはなりません。こちらの記事ではテレビ局に就職する方法を詳しく紹介しているため、テレビ局への就職を検討している人はぜひ参考にしてください。
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キャリアコンサルタントに聞いた! 音楽にかかわる仕事の魅力と大変なこと
これまで紹介した24種類の音楽にかかわる職業は、いずれもやりがいがあって魅力的な仕事ばかりです。しかしほかの職業と同じく、続けるうちに労働環境の悪化や仕事自体の難しさなどの悩みも出てくるものです。
ここからは、音楽にかかわる仕事の魅力と働くうえで大変だと思うことをキャリアコンサルタントが解説します。実際に働いたり身近で話を聞いたりしなければわからないことも多いため、ぜひここで生の声を参考にしてください。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見る音楽業界はアーティストの活躍を間近で支えられる
以前、芸能事務所のマネージャーの人からキャリアについて相談を受けた際、「新人アイドルがデビューからファンを増やし、大きなライブでパフォーマンスをする姿が感動的だった」という話を聞きました。
音楽業界ならではの魅力的な部分として、一人のアーティストが成長し成功する過程を間近で見守れる点があるといえます。また、クリエイティブな仕事が多く、自分のアイデアを活かせる点も大きな魅力でしょう。
労働環境の厳しさや求められるハードルの高さには課題もある
一方で課題として、労働環境が厳しいことが挙げられます。たとえば、イベント会社でディレクターを務める、30代前半の相談者から「休みが不定期で土日は休めず、給料も上がらないので、子育てとの両立に悩んでいる」という声を聞いたことがあります。
音楽業界は不規則な勤務時間や長時間労働が多く、競争も激しいため、安定した収入を得るのが難しい場合もあります。トレンドの変化が激しく、常に最新の情報をキャッチアップする必要があり、人間関係も重要になることから、続けていくのが大変な側面は否定できません。
気になる音楽業界の将来性は? 最近の動向を把握しよう
実際に音楽業界への就職を目指すなら、音楽業界全体の将来性についてチェックしておきましょう。特に最近はCDの売り上げ減少や、音楽イベントに必要な人員が不足してイベント自体が中止になるといったマイナスなニュースも聞くため、本当に就職して良いか事前に調べることは重要です。
音楽業界への転職を考えるのであれば、まず音楽業界の最新の動向をチェックしておきましょう。
シンガーソングライターや作曲家などクリエイティブな職業は個性が重視されるため将来性が高いといえますが、音楽関係以外でも将来性のある仕事を探しているのであれば、こちらの記事でも13種類の職業を紹介しています。
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ライブエンターテインメントは右肩上がり
ライブエンターテインメントの醍醐味は、生の音楽が楽しめることです。しかし新型コロナウイルス感染症が広まってからは自粛により、ライブイベントがほぼ中止になり音楽業界にも大きなダメージが残りました。
その後は音楽業界でも動画サイトやSNSによる活動が盛んになり、ライブもオンライン上に移行して、現在はライブイベントとオンラインイベントどちらも開催されている活発な市場となりました。その結果、感染症が流行した2020年から2024年のデジタルライブエンターテインメントの市場規模予測も右肩上がりで、今後も伸び行くことが期待できます。
アフターコロナへの移行が本格化してきており、今後も市場は拡大すると予想されます。ライブ配信も並行しておこなわれていますが、会場に足を運び、生音の迫力や観客同士の一体感を得る体験は何物にも代え難いでしょう。
CDの売り上げ減少・音楽配信の売り上げ増加が目立つ
現在はスマートフォンの普及により、CDよりもSNSや動画サイトで音楽を聴く機会が増えました。特に月額料金を払って音楽が聴き放題になるサブスクリプションに加入している人も多いのではないでしょうか。
CDの売り上げは1998年をピークとして現在まで減少が進んでいますが、一方で音楽配信の売り上げは2013年から現在にかけて右肩上がりに伸びています。そのため音楽業界全体はまだまだ将来性があり、転職しても問題ないと考えられるでしょう。
- 音楽業界に転職しても、本当に将来性は安心ですか?
どの業界も将来性は保障されていないのでまずは気持ちを整理しよう
先が見えないことに対して不安になる気持ちもわかります。ただ、今は変動が激しく先の見えにくい時代でもあるので、どの業界も将来性が約束されているわけではありません。
もし就職を目指すうえで迷いがあるのならば、改めて音楽業界に身を置きたい理由や気持ちを整理してみましょう。
それでも音楽業界で働きたい・頑張ってみたい気持ちよりも、業界の将来性への心配が勝るのであれば、将来も安全だと思える、ほかの業界へ進む道も考えた方が良いかもしれません。
好きを仕事にするなら! 音楽にかかわる仕事に就くおもな4つの方法
音楽にかかわる仕事に就くおもな4つの方法
- 専門学校に入学する
- なりたい職業に関する資格を取得する
- 音楽活動を続ける
- 未経験でそのまま就活する
実際に転職したい職業が見つかったら、どのようにして選考を乗り越えるか考える必要があります。音楽業界では専門的な知識や資格が必要とされることも多く、特にクリエイティブな仕事や楽器に触れる仕事などは、未経験から業界に飛び込むことが難しい職業といえます。
そのなかで音楽にかかわる憧れの仕事に就くためには、どのような方法で企業に自分をアプローチするか考えることが重要です。
また音楽業界に就職する具体的な方法については、こちらの記事でも詳しく説明しています。音楽業界に就職するメリットやデメリット、志望動機の例文について解説しているため、本格的に音楽にかかわる仕事への就職を目指したい人はぜひ参考にしてください。
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「音楽が好きだから」という理由で音楽業界への就職を目指す人もいるでしょう。しかし、音楽業界に就職するには徹底的な対策が必要です。この記事ではキャリアコンサルタントとともに音楽業界に向いている人の特徴や対策方法などを解説しています。
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方法①専門学校に入学する
就職するために一番チャンスをつかめるのは、就職したい職業の知識が学べる専門学校や大学に入学することです。
働きながら学校に通うことは難しいですが、学校は知識をつける以外にも、業界関係者とのつながりを構築しやすく、実際に働いている人の声も聞きやすいため、就職するために必要なことがほぼすべてそろっていると言っても過言ではありません。
特定のスキルを伸ばすためには専門的な知識といつでも学べる環境が必要であるため、特に歌手やレコーディングエンジニア、PAスタッフなどを目指すのであれば専門学校で学ぶことが近道といえるでしょう。
学校で得られる知識や経験だけで就職できるわけではありません。企業の担当者は考え方や価値観など、応募者の人間性の部分も含めて選考しています。学校さえ卒業すれば必ず就職できるというわけではないことを念頭に置いておきましょう。
方法②なりたい職業に関する資格を取得する
音楽にかかわる仕事のなかには、資格がないと就けない職業も存在します。たとえば音楽教師は音楽の知識以外にも教育職員免許状が必要で、ピアノ調律師もピアノ調律技能検定試験への挑戦が必須となります。
資格を取得しないとなれないといった国家資格以外にも、関連資格を保有していることは一定のスキルを有していると判断され、選考にも有利に働きます。
実務は未経験でも知識があれば採用されやすくなるため、まず独学で取得できる民間資格を目指してみることも就職する方法の一つです。
- 実際に働きながら音楽関連の国家資格を取得することは難しいですか?
時間の調整とモチベーションの確保ができれば十分可能
働きながら資格を取得することは可能ですが、自分でしっかりと仕事とプライベート・勉強時間の確保の調整を行なうことが前提になります。また、現在の仕事が、取得したい資格の知識を活かせるものであれば、働きながら試験勉強ができることにもなります。
仕事をしながら国家資格を取得することは大変なように感じるかもしれません。しかし「何のために資格を取得するのか」という目的が明確であるほど、勉強が自分の将来の目標をかなえることだと感じられるので、働きながら勉強をすることは想像ほどの苦ではなくなりますよ。
方法③音楽活動を続ける
音楽を作る仕事に就きたい場合は、少しずつでも音楽活動を続けましょう。音楽にかかわる仕事のなかでもアーティストやサウンドクリエイターなどクリエイティブな職業に就く場合は、SNSや動画サイトに載せて人々に知られる環境を作ることが近道です。
音楽そのものではなく、音楽に合わせてミュージックビデオ(MV)を作ることも音楽の近くで働く職業です。自分で作品を作りたい人は、別の仕事をしながらでも時間を作り少しずつ活動を続けて自分を売り出すことがポイントです。
また作曲や動画編集などのクリエイティブ職は就職のみでなく、自分で仕事を請け負う人も多いため、フリーランスとして活動する選択肢もあります。就職を目指す場合も、まずはフリーランスとして実績を積んでからのほうが、選考時の印象に残りやすくなるでしょう。
方法④未経験でそのまま就活する
未経験のまま別業種からの転職で音楽業界に挑戦することも可能ではあります。もちろん知識や経験がある方が選考でも優遇されますが、企業もすべての条件を満たした人材がなかなか見つからないことは理解しています。
そのため「音楽が好き」という気持ちと、入社してから積極的に学ぶ姿勢を面接でアピールできれば選考で好印象を残せるため、未経験で就活することも決して無駄ではありません。
特に音楽ライターやCDショップのスタッフといった資格が求められない職業であれば、未経験でも比較的就職しやすいといえるでしょう。一方で音楽療法士やボイストレーナーなど、就職に資格が必須ではなくても、関連資格を保有しているほうが圧倒的に有利になる職業もあるため、目指す仕事に適した就職方法を見極めることが必要です。
- 未経験で音楽業界に飛び込むためには、どのような分野・職種がおすすめですか?
未経験者は販売職で現場経験を積みつつ知識を蓄えよう
仕事として比較的入りやすいのは販売です。接客に必要なコミュニケーション能力とある程度の音楽知識があれば、取り扱う商品の知識は入社後でも学べます。
とはいえ、今はインターネットの時代です。ちょっとした知識は誰でもすぐに得られるため、顧客の簡単な質問に答えられないと、「この店は何も知らない店員がものを売っている」と言われかねません。
音楽業界は人並みの「好き」以上の強みがないと入るのが難しい業界です。楽器の演奏テクニックでも音楽の歴史といった知識でもかまいません。ジャンルを絞って、何か一つ得意分野を掘り下げてみましょう。それが音楽業界に入るきっかけになるかもしれません。
音楽にかかわる仕事の就活は周りとの差別化を意識しよう
音楽にかかわる仕事を見て、「今からでも目指したい!」と思える職業が見つかったら、次にすべきことは周りとの差別化です。同じ仕事を目指す人に負けないように、現職で働きながら転職に向けてできることを探してみましょう。
たとえば専門学校に進むことは難しくても、民間資格の取得を目指したり同じ業種のアルバイトを経験したりなどの努力をすれば経験者に近づけます。
大学や専門学校で学んだ人と比較すると知識や経験では勝てないことも多いですが、少しでも自分にできることを探して努力を続けることが、選考時のアピールポイントになるでしょう。
おすすめの民間資格は「日本音楽能力検定」「音響技術者資格」「サウンドレコーディング技術認定試験(JAPRS)」「音楽療法士」などです。
音楽検定は基礎知識をカバーできます。音響技術者資格はPAエンジニアに有用です。サウンドレコーディング技術認定試験はレコーディング技術を証明でき、音楽療法士は福祉施設や病院で活用が可能です。これらの資格は就職活動でのアピールポイントになります。
音楽にかかわる仕事で求められる4つのスキルとは
音楽にかかわる仕事で求められる4つのスキル
- コミュニケーション能力
- 柔軟性のある考え方
- 機敏な行動力
- 職種に適した専門的なスキル
音楽にかかわる仕事では知識や経験のみでなく、4つのスキルを磨くことが求められます。この4つのスキルは音楽業界への就職において、「採用してもしっかり働いてくれるかも?」と思われやすいものであり、自己アピールに活かせます。
音楽業界が必要とするスキルをあらかじめ知ることで、入社後に「思った業務内容と違って対応できない」と適性が合わず、泣く泣く退職してしまうことも防げるでしょう。ここからは音楽にかかわる仕事をするなら身に付けたいスキルを4つ紹介します。
①コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は音楽業界に限らずどの職業でも求められることですが、音楽業界でキャリアを積むには縦や横のつながりが非常に重要です。曲を1曲作ってリスナーに届ける過程も、ただ曲を作り、歌い完成ではなく、関係者との綿密な打ち合わせが至る場所でおこなわれていて、多くの人数を巻き込んでリスナーに届きます。
特に芸能プロダクションやイベント会社、営業部署では、社内のみでなく取引先とのコミュニケーションも求められるため、面接ではコミュニケーション能力を活かしたエピソードがあると評価されるかもしれません。
音楽業界には、業界ならではの専門用語が多くあります。コミュニケーション能力の一つとして、専門用語を知らない人に対してもきちんと伝わるように言い換えられる語彙力が必要とされるでしょう。
自己PRの際にコミュニケーション能力に関する要素を入れたいのであれば、こちらの記事がおすすめです。例文の作り方や言い換えの方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
自己PR コミュニケーション
例文12選|コミュニケーション能力の自己PRを3ステップで解説
コミュニケーション能力 言い換え
コミュニケーション能力は12個の言い換えで勝負しよう! 例文つき
②柔軟性のある考え方
柔軟性のある考え方とは、トラブルの際にマニュアルや主張のみに縛られない臨機応変な対応力を指します。業務すべてがマニュアル通りに進むことは良いことではありますが、音楽業界、特にイベントや楽曲に直接かかわる職業ではマニュアル通りに進まず、トラブルの頻発が予想されます。
そんなときはマニュアルに記載がないことを理由に対応できなくなるよりも、柔軟性のある考え方で臨機応変な判断を下せる力が重要になります。
自己PRで柔軟性をアピールする際は、面接時の質問に対してスムーズに答える必要があります。想定外の質問が投げかけられて沈黙時間が長くなると、面接官にも「本当に柔軟性があるのかな?」と疑問に思われかねません。
柔軟性を自己PRに利用したい場合は、こちらの記事で書き方や伝え方を解説しています。例文も13種類紹介しているため、面接に進む前にはぜひ参考にしてください。
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13例文|柔軟性の自己PRで理解必須の注意点と伝え方のコツ
柔軟性の自己PRで気を付けたいのは、マイナスイメージを持たれがちなところです。記事では、キャリアコンサルタントと柔軟性の自己PRでしっかり魅力を伝える方法を解説します。
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③機敏な行動力
音楽にかかわる仕事のなかにはデスクワークも多くありますが、イベント会場や音楽のレコーディングなど音楽シーンの「現場」で働く職業も多いです。その際は指示があればいつでも動ける機敏な行動力が求められます。
音楽イベントにかかわる業務では、朝から晩まで動きっぱなしになったり力仕事が求められたりなども珍しくないため、行動力に加えて体力も備わっているとなお良いでしょう。
また音楽ライターや音楽教室の講師など、常に知見を広げることが求められる職業では、新しいことに対して積極的に行動できるチャレンジ精神も評価されやすいです。
特に機敏な行動力が求められるのは、イベント・コンサートスタッフです。常に本番で、やり直しが利かない現場だからです。パフォーマーの最高のパフォーマンスを観客に提供していくためには、機敏な行動力が欠かせません。
また、シンガーソングライターやバックミュージシャンなど、表舞台に立つ人も、いつイレギュラーが起こるかわからないので臨機応変な対応や機敏な行動力が必要です。
④職種に適した専門的なスキル
未経験で就職する際は、応募する前に職種に適した専門的なスキルを身に付けるのも効率的な方法です。実際に現場で体験してみなければわからないことも多いですが、好きなことを「好き」な気持ちのみで終わらせず、資格や実績といった形で証明ができれば、未経験でも努力とやる気、そして基礎知識が身に付いていることが認められます。
たとえばPAスタッフや照明スタッフの就職を目指す場合は、知識のみでなく、アシスタントとしてアルバイトしていた経験も重視されるでしょう。芸能プロダクションや音楽関連のメディアに就職する場合はマーケティング能力や企画力、営業力などが求められます。
就職したい職業に必要とされているスキルは何か、ぜひ一度考えてみてください。
音楽業界の面接ではまず、コミュニケーション能力、柔軟性、機敏な行動力、専門的なスキルが重視されます。これらに加え、「体力があるか」「音楽に対する情熱があるか」も重要です。
音楽業界は競争が激しく、実際の仕事現場では体力仕事を担うこともあるので、それらに耐えうる強い意欲と情熱が評価されます。
就活で有利な武器に! 経験しておきたいアルバイト一覧
経験しておきたいアルバイト一覧
- 楽器店のスタッフ
- イベントスタッフ
- 音楽スタジオのスタッフ
- ライブハウスのスタッフ
就活では同じ業種でアルバイトしていた経験が非常に強い武器となります。たとえ正社員でなく、イベントスタッフのような期間が決まっているアルバイトでも、未経験と経験者の差は大きいです。
副業として働いたり、在学中であればアルバイトで入社したりなど、なるべく就活に進む前に経験を積むことを意識しましょう。
楽器店のスタッフ
楽器店のスタッフでアルバイトする際は小売業の担当になることが多いですが、レジ打ちや品出しのみでなく、担当の楽器売り場にて顧客の質問に答えて適切な楽器を紹介することもあります。楽器販売店にはリペア工房や音楽教室を構えている店舗もあり、楽器リペアマンや音楽教室の講師を目指す人にもおすすめのアルバイトです。
また楽器販売店は、数ある小売業の中でも顧客の数が比較的穏やかであり、副業や学生のアルバイトも働きやすい環境です。楽器の購入や商品の比較に悩んでいる顧客に対してマンツーマンで接客するため、接客業が初めてという人にも始めやすいアルバイトといえるでしょう。
イベントスタッフ
イベント会社に就職したい場合は、まずイベントスタッフとしてアルバイトで参加してみると現場の流れや仕事内容が把握できます。イベントごとに仕事の流れは異なりますが、正社員はどのようなイベント現場でも適切な指示を出し、進行がスムーズに進むように手配します。
アルバイトのスタッフとしてさまざまな音楽イベントの現場に赴くことで、就活時のアピールポイントにもなるでしょう。
またイベントスタッフは短期や1日限定のアルバイトも多いため、在職中でも気軽に参加しやすいことがメリットです。
イベント会社でアルバイトをすると、イベントの準備段階では会場への機材の搬入を手伝います。イベント中は現場責任者から指示された細かい雑務を任されるでしょう。
イベントが終了すると同時に現場の片付けが始まるため、機材の撤収作業や清掃なども手伝います。
音楽スタジオのスタッフ
音楽スタジオのスタッフは、楽器販売店と比較すると機材の知識が求められます。専門知識とまではいかずとも、機材や置いてある楽器の基礎知識が学べるため、イベント会社や芸能プロダクション、マネジメント会社などアーティストと直接触れあう場面のある企業への自己PRに活かせるアルバイトです。
特に音響や録音など、音楽に直接かかわるような職業を目指すのであれば、音楽スタジオのスタッフ経験は良いアピールになります。
ライブハウスのスタッフ
ライブハウスも音楽スタジオと同じく楽器や機材の扱いがありますが、ライブハウスのアルバイトは比較的顧客やアーティストとのコミュニケーションが重視されます。
機材の搬入や開演中の照明、音響操作などライブに必要な作業から、受付業務やドリンク提供などの接客まで幅広い仕事があり、状況に合わせて担当する業務が変わります。専門知識が必要な照明、音響に関しては正社員が担当、もしくは外部委託してアルバイトのスタッフは担当しない店舗も多いです。
ライブハウスではさまざまなジャンルのライブがおこなわれるため、好きな音楽の幅が広がりやすいこともメリットです。力仕事や接客も必要になりますが、楽しみながら取り組めるアルバイトを探している人にはおすすめです。
撮影アシスタントなどのメディア関係のアルバイトや、CDショップ、レコード店、仮歌やバックコーラスのアルバイトなど、自身が身を置きたい仕事に近いアルバイトを経験していると有利になるでしょう。
未経験でも「好き」をアピールして音楽にかかわる仕事で活躍しよう!
音楽にかかわる仕事は音楽を作るのみでなく、アーティストのマネジメントや楽曲の録音、音楽イベントにかかわる仕事など、多種多様な職業があります。
スキルや経験が求められる職業も多く存在しますが、実務は未経験でも資格を目指して知識をつけたり同じ業種のアルバイトを経験したりなどのアピールポイントがあれば、選考突破のチャンスがあります。
今回の音楽にかかわる仕事24選を見て、挑戦してみたい職業が見つかった人は、ぜひ記事後半で紹介した求められているスキルや経験しておきたいアルバイトを参考に、就活に活かしてください。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見る音楽関係の仕事がしたい人はどうかかわりたいかを明確にしよう
音楽に携わる仕事は種類が多く、内容も多彩で、挙げればキリがありません。自分に音楽の才能がないと感じていても、音楽を支える裏方の仕事も多くあるので、何かしらの形で音楽にかかわる仕事に就くことは可能です。
音楽を作る人になりたいのか、音楽を演奏する人になりたいのか、音楽を支える人になりたいのか、音楽を広める人になりたいのか、音楽を教える人になりたいのか、音楽とどのようにかかわりたいのかを明確にすることで、自ずと進路が決まるでしょう。
まずは自己分析と業界研究から始めよう
その第一歩として、まずは自分のことを理解するために、やりたいこと、できること、仕事に何を求めるのか、自分にとって仕事とは何なのか、そういったことも知っておく必要があります。それらを踏まえたうえで研究を進めていき、就きたい職種を選び、それを実現できる企業を選ぶと良いでしょう。
「好き」だけで入るのは厳しい業界かもしれませんが、その分やりがいもあります。最後まで諦めずに、少しでも後悔が少ない選択をしてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細