SPIの「長文読み取り計算」は、非言語分野で出題される、長文の内容を元に設問を解く問題です。テストセンターで出題されるケースがほとんどですが、ほかの形式で出題される可能性もゼロではないので対策しておくと良いでしょう。
この記事では、専門学校でのSPI指導の経験を持つ田中さんとともにSPIの「長文読み取り計算」の解き方を解説していきます。長文の中から必要な情報を素早く見つけ出すコツも解説しているので、この分野に苦手意識がある人は参考にしてください。
記事の後半には「長文読み取り計算」の練習問題を5問用意しています。文章を素早く読む力は演習によって養われるので、ぜひ最後まで取り組んでいきましょう。
よりSPIの本番をイメージして対策したい人は、SPI対策模試にも挑戦してみてください。
SPI「長文読み取り計算」の概要
- 問題パターン:数値計算、内容一致
- 1問あたりの時間:1分程度
- 形式ごとの出題頻度:テストセンター(中)ペーパーテスト(出題無し)Webテスティング(出題無し)
- 長文読み取り計算の解き方をわかりやすく教えてください!
キーワードを見つけてその周辺に注目しよう!
長文読み取り計算は、計算自体は中学レベルですが、「必要な数字だけを早く見つける力」が求められます。
基本は、設問を先に見てキーワード(対象名/項目/年度/条件)を決め、本文はその周辺だけを拾い読みします。
数値を見つけられたら、「倍率=新÷旧」「増減=差」「正誤判定=基準値を作って比較」といった計算式の型に当てはめるのがコツです。慣れてきたら、拾う情報をさらに絞って読む量を減らせると良いでしょう。
解く際のヒントになる! キーワード一覧
長文読み取り計算を解く際、文章中の特定のキーワードに着目することで、設問を解くうえでの重要な手掛かりを見つけ出すことができます。
そのようなヒントとなるキーワードを表にまとめたので、確認してみましょう。
長文読み取り計算の注目キーワード
| 注目キーワード | 意味/役割 |
|---|---|
| ただし / なお | 後ろにルールの変更や追加条件などの重要な要素が来る可能性が高い。 |
| ~を除き / ~以外は | 計算対象が全員・全個数ではないことを示している。 |
| その後 / 続いて | 事前に提示された条件がリセット、あるいは更新される。 |
| 当初は / 最初は | 「最終的にどうなったか」との対比で使われる。 |
| もし~なら / 仮に | 計算するうえで非常に重要な仮定・条件が提示される。 |
| ~の場合は / ~に限り | 特定の条件に合致するものだけを抽出するという合図。 |
| ~ごとに / ~につき | 計算するうえでの単価やペースを示す重要なキーワード。 |
| 一律で / 固定で | 個数や回数に関係なく足すべき数字を示す。 |
| 合計で / 全体の中で | 割合に関する問題の可能性が高い。 |
| ~以上 / ~未満 | 特定の数字を含むか含まないかを示す重要なキーワード。 |
| 残りの / 余った | 全体から既出の数を引いた数字に着目する合図。 |
SPI「長文読み取り計算」の練習問題5問|田中さんの解説付き!
ここからは、SPI「長文読み取り計算」の練習問題を5問紹介します。実践で緊張して時間をかけすぎてしまわないよう、演習を積んで長文読み取り計算に慣れておきましょう。
また今回「長文読み取り計算」の問題に初めて取り組む場合は、先に「問題を解く前に確認! 長文読み取り計算の解答のコツ」に目を通すことを推奨します。
問題1(難易度:★★★☆☆)
問題
次の文章を読み、後の問いに対する答えとして、最も適切なものを一つ選びなさい。
2015年以降、A国における電子商取引の市場規模は急速に拡大している。特に、スマートフォン普及率の上昇にともない、2015年には125億ドルであった市場規模は、2023年には864億ドルとなった。また、購入品目の内訳も変化しており、2015年には衣類が42.5%、家電が57.5%であったが、2023年には衣類が61.2%、家電が38.8%となった。特に、B社からの衣類購入額は、限定商品の展開により、8億ドル(2015年)から92億ドル(2023年)へと大幅に増加し、C社からの家電購入額は、市場競争の激化により、22億ドル(2015年)から14億ドル(2023年)へと減少した。
2015年から2023年にかけて、A国におけるB社からの衣類購入額は約何倍になったか。最も近い数値を以下の選択肢から選びなさい。
選択肢
正解:C
文章の最後にB社からの衣類購入額に関する数値の記載があるので、これを用いて倍率を計算する。
B社の衣類購入額は、2015年には8億ドル、2023年には92億ドルである。「2023年の数値÷2015年の数値」で倍率を求めると、92÷8=11.5となる。
よって、正解はCである。
この設問は、「B社・衣類・2015→2023の倍率」だけあれば解くことができます。
いきなり本文を読むのではなく、まずは設問を読んでキーワード(B社/衣類/2015年/2023年)を確認。次に文章中の該当箇所をチェックして数値(8→92)を拾ってください。
倍率は「新÷旧」で求めましょう。
問題2(難易度:★★★☆☆)
問題
文中で述べられている内容と一致するものは、次のア、イ、ウのうちどれか。論理的に最も適切なものを選択肢の中から一つ選びなさい。
2015年以降、国内の電子機器需要が高まり、タブレット端末の生産が拡大している。特に、2020年以降のリモートワーク普及の影響を受け、2015年には4,500万台であった総生産量は、2023年には7,800万台となった。また、生産の内訳は家庭用からビジネス用へとシフトしており、2015年には家庭用65.0%、ビジネス用35.0%であったが、2023年には家庭用42.2%、ビジネス用57.8%となった。特に、A社のビジネス用受注は、1,200万台(2015年)から3,850万台(2023年)へと大幅に増加し、B社の家庭用受注は、2,400万台(2015年)から1,300万台(2023年)へと減少した。
ア 2015年と比べて、2023年のタブレット端末の総生産量は3,000万台以上増えた
イ 2015年と比べて、2023年のA社のビジネス用タブレット端末の受注台数は3倍以上になった
ウ 2015年と比べて、2023年のB社の家庭用タブレット端末の受注台数は半分以下になった
選択肢
正解:D
ア、イ、ウの記述を検証する。
アについては、総生産量は4,500万台から7,800万台に増えており、その差は3,300万台である。したがって、3,000万台以上増えたという記述は正しい。
イについては、A社のビジネス用受注は1,200万台から3,850万台に増加している。1,200万の3倍は3,600万であるため、3倍以上という記述も正しい。
ウについては、B社からの家庭用受注は2,400万台から1,300万台になった。2,400万の半分は1,200万であり、1,300万は半分より多いため、この記述は誤りである。
よって、正しいのはアとイの2つである。
この設問では「ア・イ・ウの正誤判定」に必要な数値だけを素早く見つけ出す必要があります。
今回であれば、総生産量/A社ビジネス受注台数/B社家庭用受注台数が必要になるので、該当箇所を確認して数値を抜き出します。
数値を持ってくることさえできれば、あとは単純な計算で正誤を判定することができますよ。
問題3(難易度:★★★★☆)
問題
次の文章を読み、後の問いに対する答えとして、最も適切なものを一つ選びなさい。
2010年以降、D地域における再生可能エネルギーの発電量は著しく増加している。環境意識の高まりにともない、2010年には1,420万kWhであった総発電量は、2022年には4,850万kWhとなった。また、発電方式の内訳も変化しており、2010年には風力が35.2%、太陽光が64.8%であったが、2022年には風力が18.4%、太陽光が81.6%となった。特に、E発電所の太陽光による発電量は、最新パネルへの交換により、12万kWh(2010年)から158万kWh(2022年)へと大幅に増加し、F発電所の風力による発電量は、設備の老朽化により、45万kWh(2010年)から21万kWh(2022年)へと減少した。
2010年から2022年にかけて、E発電所の太陽光による発電量は約何倍になったか。最も近い数値を以下の選択肢から選びなさい。
選択肢
正解:C
文章中から、E発電所の太陽光による発電量についての数値を抜き出して倍率を算出する。
E発電所の発電量は、2010年には12万kWh、2022年には158万kWhである。「2022年の数値÷2010年の数値」で倍率を求めると、158万÷12万=13.166……となる。小数点第2位を四捨五入すると約13.2倍となる。
よって、正解はCである。
設問に「2010年から2022年にかけて、E発電所の太陽光による発電量は約何倍になったか」とあるので、文章中に記載のある箇所を探して数値(12万→158万)を見つけます。
最も近い数字を選べとあるので、計算して出てきた数値が選択肢になくても慌てないようにしましょう。
問題4(難易度:★★★★☆)
問題
文中で述べられている内容と一致するものは、次のア、イ、ウのうちどれか。論理的に最も適切なものを選択肢の中から一つ選びなさい。
2012年以降、国内のインバウンド需要が急増し、外国人観光客数は増加傾向にある。特に、2015年以降のビザ緩和政策の影響も受け、2012年には830万人であった外国人観光客数は、2022年には2,500万人となった。また、来日目的は団体旅行から個人旅行へとシフトしており、2012年には団体44.5%、個人55.5%であったが、2022年には団体18.2%、個人81.8%となった。特に、アジア圏からの個人旅行者は、格安航空路線の拡大により、320万人(2012年)から1,650万人(2022年)へと大幅に増加し、欧米圏からの団体旅行者は、体験型観光への移行により、110万人(2012年)から48万人(2022年)へと減少した。
ア 2012年から2022年の10年間で、観光客数は3倍以上になった
イ 2012年と比べて、2022年のアジア圏からの個人旅行者は6倍以上になった
ウ 2012年と比べて、2022年の欧米圏からの団体旅行者は半分未満になった
選択肢
正解:E
文章中に提示された数値を計算し、各記述の正誤を検証する。
【アの検証】 2012年の外国人観光客数は830万人である。これを3倍すると、830×3=2,490(万人)となる。2022年の外国人観光客数は2,500万人であり、2,490万人を上回っている。よって、3倍以上になっており、この記述は正しい。
【イの検証】 2012年のアジア圏からの個人旅行者は320万人である。これを6倍すると、320×6=1,920(万人)となる。2022年のアジア圏からの個人旅行数は1,650万人であり、1,920万人を下回っている。よって、6倍以上にはなっておらず、この記述は誤りである。
【ウの検証】 2012年の欧米圏からの団体旅行者は110万人である。これの半分は、110÷2=55(万人)である。2022年の欧米圏からの団体旅行者は48万人であり、55万人を下回っている。よって、半分未満になっており、この記述は正しい。
以上より、正しいものはアとウであるため、正解はEである。
ア・イ・ウの正誤の判定には観光客数/アジア圏からの個人旅行者数/欧米圏からの団体旅行者数の3つが必要です。
選択肢を先に読み必要な情報を事前に把握しておくことで、文章を読む時間を短縮できます。
問題5(難易度:★★★★☆)
問題
文中で述べられている内容と一致するものは、次のア、イ、ウのうちどれか。論理的に最も適切なものを選択肢の中から一つ選びなさい。
2018年以降、世界的に環境規制が強化され、電気自動車(EV)の販売台数は急増している。特に、2020年以降の各国政府による補助金制度の影響を受け、2018年には24,500台であった特定の市場での販売台数は、2024年には68,200台となった。また、車種の内訳はセダンからSUVへとシフトしており、2018年にはセダン40.0%、SUV60.0%であったが、2024年にはセダン25.5%、SUV74.5%となった。特に、メーカーAのSUV販売は、新型モデルの投入により、8,200台(2018年)から43,500台(2024年)へと大幅に増加し、メーカーBのセダン販売は、ラインナップの縮小により、3,400台(2018年)から1,200台(2024年)へと減少した。
ア 2018年から2024年にかけて、電気自動車(EV)の販売台数は45,000台以上増えた
イ 2018年と比べて、2024年のメーカーAのSUV販売台数は5倍以上になった
ウ 2018年と比べて、2024年のメーカーBのセダン販売台数は1/3未満になった
選択肢
正解:B
文章中の数値を計算し、各記述の正誤を確認する。
アについては、販売台数の増加量は68,200-24,500=43,700(台)である。45,000には届かないため、記述は誤りである。
イについては、メーカーAのSUV販売は8,200台から43,500台となった。8,200の5倍は41,000であるため、5倍以上という記述は正しい。
ウについては、メーカーBのセダン販売は3,400台から1,200台となった。3,400の3分の1はおよそ1,133.3であり、1,200はそれより多いため、1/3未満という記述は誤りである。
よって、正しいのはイだけである。
こちらの設問もいきなり本文を読むのではなく、ア・イ・ウの文章を先に読むことでおおよその必要な情報を絞り込むことができます。
今回必要なのは2018年と2024年のEV販売数なので、本文中から記載がある場所を探し出し、あとは単純な計算で正誤を確認しましょう。
練習問題が解けたら、次はSPI模試に挑戦して実力をチェックしてみましょう。
専門家が教えるSPI「長文読み取り計算」の対策ポイント
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長文読み取り計算以外の練習問題も解いてみよう!
SPIは多くの分野に分かれています。練習問題を繰り返し解いて、苦手を攻略しましょう。
各分野の問題が解けたら、最後にSPI模試に挑戦してみましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





アドバイザーからワンポイントアドバイス先に設問を読むことで必要な情報だけを抜き出そう
ジョブカード作成アドバイザー
田中 直香
プロフィールを見るおすすめの練習方法は、「先に設問から必要情報を確認→本文に戻り必要情報だけ読む→計算する」を毎回同じ手順で回すことです。
まず設問で、何を求める問題か(倍率・差・正誤判定など)と単位を確認し、探すキーワードを絞ります。次に本文に戻りそのキーワード周辺へジャンプして数値を拾い、式に落としこみます。
よく出題される計算式はインプットしておくのがおすすめ
①倍率=新÷旧
②増減=差
③○倍以上・半分未満・1/3未満=基準値を作って比較
上記のような頻出の計算式は型を覚えておくと迷いにくいですよ。
よくあるミスは、「基準(分母)の取り違え」「差と倍率の混同」「単位・端数処理の見落とし」です。時間に余裕がある場合は、これらの点を意識して見直しをしてください。