本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
富士ソフトについて、上場が廃止になったことや、配属先によって激務と言われていることなどから、「富士ソフトはやばい」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。
この記事では、富士ソフトへの就職を検討している人に対して、「やばい」といわれる理由と、どのように企業情報を読み解くべきか、プロの視点で解説をします。
1分でわかる富士ソフト
富士ソフトとは
1970年に創業した「IT×OT×AI」を軸とするIT企業。主力のシステム構築事業では、自動車分野などの組込・制御系ソフトウェアや、さまざまな業界の業務系ソフトウェア開発を手掛ける。また、プロダクト販売や運用保守もおこない、顧客のDX推進を支援する。
| 会社名 | 富士ソフト株式会社 FUJI SOFT INCORPORATED |
| 従業員数(連結) | 19,669名(2024年12月末時点) |
| 本社所在地 | 神奈川県横浜市 |
| 主な事業 | ・システムインテグレーション(SI)事業:組込系/制御系ソフトウェア開発、業務系ソフトウェア開発 ・プロダクト・サービス事業 ・アウトソーシング事業 ・ファシリティ事業およびその他事業 |
| 売上高(連結) | 3,174億8,200万円(前年同期比6.2%増)(2024年12月時点) |
| 営業利益(同) | 220億3,300万円(同6.5%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.fsi.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.fsi.co.jp/recruit/recruit/info6.html |
あなたが業界大手に向いているか確認してください
自分に合う職業・合わない職業を知ることは、就活において非常に重要です。しかし、見つけるのが難しいという人も多いでしょう。
そんな人におすすめしたいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、自分の強みや性格に合った職業がわかります。
今すぐ診断を受けて、自分に合う職業・合わない職業をチェックしてみましょう。
「富士ソフトがやばい」と言われる3つの理由|プロが読み解く
「富士ソフトがやばい」と言われる3つの理由
「富士ソフトはやばい」と言われる理由を客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントが説明するデータの読み解き方を参考にしながら、企業の実態と自分の適性について考えてみましょう。
①上場が廃止されたから
富士ソフトはKKRに買収されて子会社となったことで、2025年5月16日に上場廃止となりました(※1)。上場の有無を企業選びの指標としている人にとっては、上場廃止になった事実は不安を感じてしまうものです。
富士ソフトは上場廃止後の会社の成長を以下のように肯定的に述べており(※2)、上場廃止が決してマイナスではなく、成長戦略の一環としての選択だということがわかります。
富士ソフトによる見解
また、国内及び海外企業を中心に豊富な投資実績及び知見・ネットワークを有しているKKRのサポートのもと、当社の事業戦略推進を強化することで、当社の中長期的な企業価値の向上の実現可能性を高めることができる可能性があると判断いたしました。
加えて、本公開買付けを通じた非公開化によって、安定した株主構成を確保し、新中期経営計画の実現に向け邁進することで、新中期経営計画の実行性を高め、当該目標達成の確度を高めることができると考えました。
富士ソフトの上場廃止は、株主との対立を解消するための選択であり、また強力なパートナーであるKKRを付けて長期的な利益を確保するための改革です。
しかし、上場廃止からはまだ1年も経っていないため、これからの事業展開は注意して見ておく必要があります。
プロのアドバイザーはこう分析!「上場廃止=経営が悪化した」ではない!
今回のように、米投資会社であるKKRによる買収を受けて非公開化したケースでは、短期的な株価の変動にとらわれにくくなり、中長期の成長戦略に集中できるという利点があります。
たとえば、新事業への投資やDX推進、人材育成などに、より思い切った判断がしやすくなります。一方で、収益性の向上や成果への責任がこれまで以上に明確になり、組織体制や評価制度が見直される可能性もあります。
上場の有無で就職先を決めるのは避けよう
「上場かどうか」という一点だけで判断せず、応募企業が今後どの分野に力を入れていくのか、その会社がどのような成長を目指しているのかを確認しましょう。
そのうえで、自分が変化の多い環境で挑戦したいのか、安定した環境で着実に力を伸ばしたいのかという軸で考えることも大切となります。
※1 富士ソフト「当社株式の上場廃止に関するお知らせ」
※2 富士ソフト「FK 株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」
②配属先によっては激務になると言われているから
富士ソフトのエンジニアは、自社内だけでなく、客先常駐で働くこともあります。そのため、「配属先の客先との相性が悪かったらどうしよう」と悩む人がいることも考えられます。
IT企業が含まれる情報通信業界の月平均残業時間が16.5時間(※1)であるのに対して、富士ソフトは年間で24.3時間(※2)と公表しているため、激務とまではいかなくても、仕事が忙しくなりがちだとは言えます。
ただ、富士ソフトでは在宅中心の社員が40%(※1)を超えており、テレワーク先駆者百選にも認定されています(※1)。また、フレックス制度も積極的に導入されており、社員が働く環境への改革が実施されていることも事実です。
しかし、働く環境への改善が図られていても、客先については完全に自分の希望で選択できるわけではありません。そのため、配属のモデルケースについて、説明会等で社員に聞くことで、激務という噂とのギャップを確かめましょう。
プロのアドバイザーはこう分析!富士ソフトにも激務と感じる瞬間がある
富士ソフトで「激務」と感じやすいのは、プロジェクトの納期直前やトラブル対応が重なったときです。
IT業界はプロジェクト単位で業務が進むため、リリース前など特定のタイミングで業務量が増えることがあります。
とらえ方が大事! 残業の詳細を確かめよう
ただし、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、情報通信業の月間実労働時間は約157時間程度で推移しており、極端に長い水準ではありません。
つまり、常に激務というより、プロジェクトの山場で一時的に忙しくなる働き方と理解すると現実に近いでしょう。
配属部署によって働き方は異なるため、面接などで残業の実態を確認することも大切です。
※1 厚労省「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」
※2 富士ソフト 働く環境について
③離職者が多いと言われているから
離職率が高いという評判も、企業を調べる際の懸念の一つとなり得ます。
情報通信業界の平均離職率は9.8%(※1)となっていますが、富士ソフトでは7.0%(※2)と、業界の水準よりも低いことがわかります。
| 年度 | 離職率 |
|---|---|
| 2021年度 | 6.8% |
| 2022年度 | 6.7% |
| 2023年度 | 7.0% |
口コミやSNSで見かける情報は、企業に対して不満がある人の意見が多いため、実態を知るには業界の平均値と比較することや、数年単位の推移を確認することは大切です。
アドバイザーのリアル・アドバイス!配属先とのミスマッチは退職につながりやすい
富士ソフトでほかに考えられるおもな退職理由としては、「配属後の仕事内容とのミスマッチ」が考えられます。
富士ソフトは事業領域が広いため、金融、製造、流通、通信、社会インフラなど幅広い業界に加え、業務系システム、組込み・制御、インフラ、運用保守など配属先によって担当業務も変わりやすい会社です。
事前に仕事内容を確認してミスマッチを防ごう
そのため、金融がやりたいのに社会インフラに配属された、開発を希望していたのに保守運用が中心だった、在宅勤務を想定していたのに客先常駐が多かったなどの理由が考えられます。
配属前のイメージとのズレが生じると、退職理由につながることがあるため、説明会や面談で具体的な配属先や働き方をしっかり確認することが大切です。
※1 令和6年雇用動向調査結果の概況
※2 富士ソフト 統合報告書2024
評判の実態は具体的なデータと照らし合わせてみて見よう
富士ソフトは上場廃止や激務という情報が先行してしまいがちですが、大切なのは情報から先を予想することや、実態を調べることです。
実際に離職率が低かったように、企業が出している正式なデータをもとに、正しい情報を見極めましょう。
アドバイザーからあなたにエール自分がどこに携わるのかが企業研究のポイント
富士ソフトへの就職を検討する際は、まずどのような分野のプロジェクトにかかわれるのかを確認することをおすすめします。
IT企業は同じ会社でも、金融・製造・公共など担当する領域によって経験できるスキルやキャリアの広がりが大きく変わります。
また、教育制度や若手の育成方針、どのようなエンジニアが活躍しているのかも企業研究の重要なポイントです。
企業に聞きに行く姿勢が未来の自分につながる
説明会や面接では、配属の考え方やキャリア形成の支援についても積極的に質問してみてください。
就職活動は不安も多い時期ですが、自分が成長できる環境を選ぶことが大切です。ぜひ前向きに挑戦してください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Gaku Baba〇製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事する傍ら、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。幼児教育事業も展開するなど、幅広い年代のキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント / システムエンジニア
Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている
プロフィール詳細