この記事のまとめ
- 新卒から経理職に就くためには2つのルートがある
- 新卒で経理になりたいなら4つの準備をすることがおすすめ
- 経理職の書類作成で特に気をつけるべきは誤字脱字
資格を活かして活躍できることから、毎年学生から人気の経理職。「経理職に就きたいけれど新卒から挑戦できるの?」という疑問は、多くの学生が抱く悩みでもあります。
経理職は一般的に経験者の採用枠がメインとなるため、新卒で経理を目指すルートに関しては情報が不足しがちです。また実務経験が求められるイメージから、そもそも新卒から経理職に就けるのか、疑問に思っている人もいるかもしれません。
具体的に、新卒から経理職に就くには、直接経理部門に配属されるか、または別の職種から経理部門へ異動するかの2つの主要なルートがあります。また、適切な資格を取得することにより、異なる職種からでも経理職へとキャリアを進める可能性が高まります。
この記事では、キャリアコンサルタントの大場さん、加藤さん、谷所さんの専門的な意見をもとに、新卒から経理職に就くための具体的なルートとその選択が将来のキャリアパスに与える影響について詳しく解説します。
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新卒で経理職に就きたいなら徹底した情報収集がマスト
新卒で経理職に就きたいならまずは、新卒で経理部門への道を切り拓くためのステップを理解しなければなりません。その中でも経理になるための入り口となる情報収集を徹底し、就職を実現させましょう。
この記事では、まずは新卒採用市場での経理職の求人にどうアプローチするか、新卒から経理部門で働くための戦略を解説します。
また記事の中盤では、経理の基本業務の再確認から、会計や財務との職務の違いまでをキャリアコンサルタントの視点で解説。経理職を目指すライバルは多いからこそ、通常の対策ではインパクトに欠ける可能性も。ほかの職種との内容の違いをしっかりと理解したうえで、経理職の就活対策につなげましょう。
記事では新卒で経理部に入るための具体策として4つのポイントを提供していますが、必ずしも配属の希望が通るとは限りません。そこで、万が一経理部門へ配属されなかった場合の対処法も提案します。
さらに経理職の将来性や、なぜ新卒で経理に就くことが「もったいない」と言われるのかについての専門家の見解も紹介します。新卒から経理職を目指す方法は多岐にわたります。この記事でその道筋を明確にし、適切な準備とアプローチで目指すキャリアを手に入れましょう。
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新卒で経理部に入る方法は?
新卒採用で総合職としての入社を目指す場合、具体的な部署の選択は難しいことが多いです。規模の小さい企業などでは、希望の職種を選択することができるケースもありますが、一般的には人事が適性を鑑みたうえで学生を各部署に配属するため、希望が通らないことも珍しくありません。
経理部門に入りたいと考える場合は、2つのアプローチ方法が考えられます。この章では、その2つの方法を説明しながら、新卒で経理部に入る方法を解説します。
①経理募集の求人に応募する
経理部への新卒配属は競争率が高く、一般的に総合職採用からの配属はライバルも多いことを覚悟しておく必要があります。
そのため、経理部への新卒配属を目指す場合、まずは職種別採用をおこなっている企業を見つける方がよりスムーズに経理部に入れる可能性が高いです。
とはいえ、最初のステップとなる情報収集に苦戦する学生も多いもの。なぜなら、職種別採用をおこなっている企業は限られ、新卒を対象とした経理職の職種別採用の求人を見つけること自体が簡単ではないからです。
リクナビやマイナビの「企業検索」機能を使って絞り込み、数百社の情報を精査しても、経理職の募集はわずか数社しかないことも珍しくありません。
職種別採用を探すのであれば、限られたチャンスを逃さないように慎重に探す必要があります。自分で情報を集めるほかにも、効率的な情報収集方法として就職エージェントを利用することも一つの手です。プロの就活アドバイザーの支援を受けることで、情報収集の効率が格段に向上することが期待できます。
新卒の学生におすすめの就活エージェントの例
- 経理の新卒の求人を見つけるコツを教えてください。
中小企業を軸に3つの方法を試してみよう
大手企業の場合、新卒採用は総合職の求人がほとんどですが、中小企業であればそうとも限りません。
経理職に就けるケースとしては、①人材コーディネーターによる働きかけ②ハローワーク担当者による働きかけ③自分で企業に交渉する、といったことが挙げられます。
これらを実現するために、以下の3つの方法を活用して、経理職を探してみてください。
①第二新卒・若手人材に特化した人材紹介会社を利用する
②ハローワークを利用する
③新卒求人サイト以外の求人サイトから経理職を探す
②所属する会社で部署異動する
新卒で経理部に入るためには、入社後に経理部への異動を目指す方法もあります。
経理業務では「実務経験」が重視されることが多く、スキルのない新卒が経理部への配属を叶えるのは難しいかもしれません。しかし、働きながら簿記の勉強をしたり、社内の人へ経理職への熱意を伝え続けることで、異動できる可能性が広がります。
ただし、若いうちに異動できるかどうかは企業の社風によっても左右されます。たとえば、若手にいろいろなチャンスを与える風通しの良い企業や、ジョブローテーション制度を採用している企業は、異動のチャンスも多いかもしれません。
一方、社員数が少ない会社で分業化や頻繁にポジションを変更できる余裕がない場合などは、部署移動も少ない可能性があります。
また、採用選考で経理部への熱意をアピールすることも、配属を決める際にプラスに働く可能性があります。詳しくは後ほど説明しますが、学生のうちに経理職に必要なスキルを身に付けておくことで、ほかの学生よりも一歩リードできますよ。
入社前から「異動を視野に入れている」と企業に伝えてしまうと、希望通りの部署への異動が叶わなかったときに、すぐに転職してしまうのではないかという懸念を持たれるかもしれません。
ゆくゆくはこんな業務にも携わってみたいというレベルの表現に留めましょう。
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新卒から経理になるのは難しい? キャリアコンサルタントが実態を解説
企業によって状況は異なりますが、経理部門の人員はかなり限られていることが一般的です。
経理職に就くためには、パソコンの基本操作はもちろん、文書作成や表計算などのソフトも扱える必要があります。そのため、専門的な会計の知識や資格を持っている人を中心に、少数精鋭の経理チームを作る会社が多いのです。
現実的に、新卒から経理になるのは厳しいのでしょうか。就活のプロの見解を聞いてみましょう。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見る経理に関する資格を保有していると新卒で経理職に就ける可能性がある
新卒で経理の仕事に就く難易度は、企業によって異なるものの、簿記などの経理業務に必要な資格を持っていると易しい傾向にあります。
資格を持っていると総務部などの管理部門に配属され、新卒から経理に関する業務に携われる可能性が高くなるのです。
企業は新卒採用をする際、原則的には採用した人材を会社の売り上げなどを作る「直接部門」に配置します。事業を継続していくためには、資金を生み出す必要があり、人員配置の優先度が高いのです。
一方で、直接部門とは反対の立場にいる「間接部門」の事務職は、必要最小限の人員で運営する企業が多くなっています。
そのため、新卒採用の段階で間接部門を目指す場合は、簿記などの経理業務に直結する資格を保有していると、有利に働くのです。
税理士事務所に勤めると複数企業の経理の仕事に携わることもできる
経理の仕事に携わるほかのルートとして、税理士事務所に就職するというのも挙げられます。
税理士事務所は、外部から企業の経理部門をサポートし、経理業務の代行・税にかかわる相談・コンサルティングをおこなっています。そのため、税理士事務所に就職すれば、税理士の事務サポートをすることで、経理職にかかわることができるのです。
税理士の先生の事務サポートとして、複数企業の経理の仕事に携わるという道もありますよ。
税理士を志望している人は以下の記事を参考にしてみてください。税理士事務所の志望動機の書き方と税理士の将来性をまとめています。
志望動機
例文4選! 税理士事務所の志望動機を具体化する3つの準備
将来性
税理士に将来性はある? 替えの利かない人材になるための4つの行動
改めておさらいしよう! 経理の仕事とは?

経理の業務は、会社の財務を支える非常に重要な役割を果たしています。経理部門の主な責任は、資金の流れを正確に記録し、管理することです。
しかし、新卒で入社した場合には、まずは先輩の仕事を見ながら、経理の基礎となる業務から学んでいくことになる可能性が高いです。
この記事では、経理の業務内容について、さらに詳しく見ていきましょう。
- 会計や財務と経理はどのような違いがあるのでしょうか?
経理は日常的なお金の出入りを管理する仕事
会計は、企業のお金や備品などの資産全般の出入りを管理する仕事で、経営状態を把握することが目的です。
財務は、企業が存続するために資金を管理し、どれくらいの資金をどのように調達するかという運用と予算管理を担います。
経理の主な業務は、月次や日次でのお金の出入りの管理になります。
具体的には、現預金の管理にともない伝票の記帳・管理をしています。現金は手提げ金庫、預金は銀行口座の残高と突き合わせて、誤りがないかを日々確認しているのです。
また、毎月の伝票データをもとに月次決算書を作成したり、1年を通した年次決算書の作成もおこないます。
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①給与・保険の管理
経理の仕事といえば、「お金の流れを把握する」イメージまでは理解できている学生もいると思いますが、具体的には給与・保険の管理が仕事に含まれます。各従業員に対して公正な給与が支払われるよう、勤怠状況や各種手当を正しく計算することが経理の仕事です。
また、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料や所得税、住民税などの公的負担も適切に計算し、差し引く必要があります。最近の給与計算では、効率性を考えクラウドアプリや専門のシステムが用いられるケースがほとんどですが、それでも細心の注意が求められる業務であることに変わりはありません。
経理部門は、会社の社員すべての給与額を計算するだけでなく、これらを適切に管理・記録し、報告をおこなう責任があるのです。
給与・保険の管理に分類される仕事で、新卒が任されやすい仕事としては、先輩のサポート業務のほか、書類や提出物の確認業務が挙げられます。それらの仕事を通して、仕事の流れを徐々に覚えていく形が多いのです。
仕事に慣れてきたら、外部の社労士の人と連携しておこなう業務や、社会保険の入退社手続き、給与振込に関する業務を任されるということが多いですよ。
②税金の納付
経理の仕事には、給与などの企業が個人に支払うお金だけではなく、国に納める税金の支払いも含まれます。会社が支払うべき税金額を確認し、法定の期限内に納税する役割です。
一般的に、会社は年に1回、法人税を申告します。具体的には年度末後、通常は2カ月以内に法人税を計算し、必要な金額を支払います。たとえば、3月に会計年度が終わる場合、3月31日から最長で5月31日までに納付しなければなりません。
法人税以外にも、事業税や住民税など、会社の収益に基づいて計算される税金が存在し、各企業によって異なります。学生には金額の規模がイメージしにくいかもしれませんが、税金だけで、会社の利益の約30%を占めると言われることも。税制は複雑で変更が頻繁にあるため、最新情報を把握し続けることが求められます。
税金の納付にともなう経理の仕事は、企業全体のお金の流れを把握しながら専門的な知識を活かしておこなうやりがいのある仕事です。
税金の納付処理を誤ると、修正申告や是正申告をおこなう必要があり、企業イメージを損なうこともあるため責任の重い仕事になります。
③売上管理・仕入れ管理
企業は販売数を正確に把握し、データに基づいた適切な仕入れをおこなわなければ、売り上げを最大限に上げて利益を得られません。経理の業務には、企業がどれだけ利益を得たのかを記録する売り上げと仕入れの管理も含まれています。売上管理とは、売上台帳を使用して取引での売り上げを正確に記録する仕事です。
この作業は、確定申告や給付金申請などの法的目的だけでなく、売上分析にも役立ちます。記載には細心の注意が必要であり、ミスを防ぐために正確におこなう必要があります。
一方、仕入管理では、事業で使用する材料などの費用に関する記録がおこなわれます。仕入れの記帳方法は複数あり、それぞれに基づいた適切な勘定科目や仕訳が必要です。経理担当者は、計上基準や原価を正確に理解し、それに基づいて仕訳をおこなう必要があります。
売上管理・仕入れ管理の仕事では、簿記の知識があると仕訳について理解できるため、強みになります。
そのほか、売上管理では、分析し対策を講じるための多角的な分析力が活き、仕入れ管理では、商品の発注を管理する際の正確かつ慎重な判断力も活かせるでしょう。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
④決算書作成
経理の仕事の中で、最も重い責任がかかる仕事といっても過言ではないのが、決算書の作成です。決算書の作成とは、会社の決算時に提出される複数の書類からなる「財務諸表」の作成を指します。日々の経理業務で作成した帳簿をもとに、全取引をまとめた損益計算書や貸借対照表などの決算書類を作成する仕事です。
この決算書は、株主や関係者に会社の1年間の経営状態を報告する重要な資料であり、税金の確定申告にも利用されます。
決算書を作成する目的は多岐にわたりますが、おもに企業の事業内容や財務状況を明確にすることだと覚えておくとわかりやすいかもしれません。決算書の内容をもとに、企業の財務状況が、定時株主総会などで株主に報告されます。
決算書作成の中でも特に、年間の業績や財産状況を集計する年次決算を作る業務はとても重要です。
また、決算書の作成・提出、納税の申告には期限があり、新卒の社員は期限までに決算業務を遂行するために、サポート業務を任されることが多くなります。
アドバイザーコメント
大場 美由紀
プロフィールを見る経理の仕事は1日・1カ月・1年単位でルーティンワークがある
経理の仕事は、年度末に決算をおこない財務諸表を作成するために、1日、1カ月、1年という単位でルーティンワークを繰り返していきます。この経理の仕事を、日次、月次、年次に分けてもう少し具体的に整理しておきましょう。
まず日次の業務として、現預金の入出金と残高照合、伝票作成などの帳票への記録、社員の経費精算、社員への仮払金の入金や精算があります。
次に月次は、買掛金の支払いや売掛金の入金確認、取引先への領収書や請求書の発行、棚卸資産の管理、社員の給与計算、源泉徴収税や社会保険料の納付が業務内容です。
最後に年次の業務では、社員の賞与計算、決算書類の作成と確定申告、法人税や法人事業税・法人地方税・消費税などの各種税金の納付があります。
任された仕事を几帳面にこなしていくことが企業への貢献につながる
簿記の知識がないと不安になるような言葉が並んでいると感じるかもしれませんが、すべての業務を一人でこなすわけではありません。自分の任された業務を責任を持って几帳面にこなしていくことで、経理業務に貢献することができます。
特に日次の業務は、毎日の記帳業務などのルーティン業務は地味に思えるかもしれませんが、それを正確におこなっていくことがすべての仕事の土台となり、大切なことなのです。
新卒が経理になるために必要なスキル
新卒が経理になるために必要なスキル
- ミスなく情報を扱う注意力
- 財務状況を把握できる分析力
- 目の前の仕事に向き合い続ける根気強さ
経理になりたいのであれば、中途採用の場合は実務経験がものを言いますが、新卒の場合は実務経験は基本的には不要です。では新卒として経理部門を目指すためには、どんなスキルが求められるのでしょうか。
この章では新卒が経理になるために必要なスキルを解説します。
ミスなく情報を扱う注意力
経理業務では、常に正確な数字を扱うことが求められます。誤った数字で書類を作成してしまうと、会社にとって大きな問題を引き起こす可能性があるからです。最悪の場合、従業員とのトラブルになるだけでなく、会社として顧客からの信頼を失う可能性もあります。
たとえば、給与計算の際には、従業員の勤務時間や手当などの情報を丁寧に確認し、誤りがないように気をつけなければなりません。同様に、税金の申告書を作成する際にも、注意を払い、正確な数字を提出することが必要です。
このように、経理には正しく資料を作成できる注意力が求められているのです。
数字をミスして誤った請求や支払いの処理をおこなってしまうと、顧客からの信用を失うだけではなく、企業イメージの悪化につながってしまうのです。また、社員の給与に関してミスしてしまった場合は、社員から不信感を持たれることもあります。
そのため、経理業務はミスなく資料作成や事務処理をおこなう注意力と責任感が求められます。
財務状況を把握できる分析力
経理の仕事では、数字だけでなく、その背後にある意味や傾向を理解する能力が必要です。経理の仕事では、会社の財務状況にかかわる資料を読み解くことになる場面が多々あります。
たとえば売り上げの管理では、単に「数字を正しく記録する」ことだけでなく、売り上げデータから市場の変化を分析し、商品やサービスの需要の変動を把握することを求められるケースも。
経理が作成する決算書、特に財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー表)は正確な作成にとどまらず、IR情報として外部に公開するにあたり、会社の収益性や成長性などを把握、分析して経営陣に説明する必要があります。
また財務諸表を通じて企業の財務状況を理解し、将来のビジネス戦略を策定するための分析をおこなうこともあるかもしれません。
会社にまつわるお金の動きを把握するためには、こういった財務状況を把握できる分析力が不可欠です。
経理は決算書の作成、特に財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー表)を正確に作成することだけに留まらず、IR情報として外部に公開するにあたって、会社の収益性や成長性などを把握・分析したうえで、経営陣に説明する必要があります。
目の前の仕事に向き合い続ける根気強さ
経理の仕事は一朝一夕で完了するものではなく、日々のコツコツとした作業の積み重ねによって成り立っています。
そのため、業務がルーティン化しやすい傾向にあり、人によっては飽きてしまったり、多くのデータを処理することに疲れを感じたりすることもあるかもしれません。それでも目の前の数字に粘り強く向き合い、資料を作成する必要があります。
先ほど説明した決算書も、日々のデータ処理の積み重ねによって完成する資料の一つといえます。コツコツと作業を続ける根気強さは、経理の仕事に欠かせない資質です。
経理の仕事を目指すなら粘り強さの自己PRが効果的です。一方粘り強さはマイナスなイメージを与えてしまう危険性もあるため、アピール方法を押さえておく必要があります。次の記事で注意点を押さえておきましょう。
例文11選|粘り強い性格の自己PRで知らないと損する注意点
決算書は日々のデータ処理の積み重ねによって完成する資料です。つまり、日々使った経費の領収書の入力やチェック作業、毎月の売り上げの集計など、根気強く積み重ねていく力がないと成り立たない仕事ともいえますね。
所要時間はたったの3分!
受けない方がいい職業を診断しよう
就活で大切なのは、自分の職務適性を知ることです。「適職診断」では、あなたの性格や価値観を踏まえて、適性が高い職業・低い職業を診断します。
就職後のミスマッチを避けたい人は、適職診断で自分に合う職種・合わない職業を見つけましょう。
- 自分に合う職業がわからない人
- 入社後のミスマッチを避けたい人
- 自分の強みを活かせる職業を知りたい人
新卒で経理部に入るためにやっておくべき4つのこと
新卒で経理部に入るためにやっておくべき4つのこと
- 最低でも簿記2級は合格しておく
- 会計事務所や企業の経理部門でアルバイトをしておく
- 経理職に就いている先輩に話を聞く
- 経理関連の本で勉強する
繰り返しにはなりますが、新卒での採用活動は学生のポテンシャルや伸び代を評価しておこなわれます。そんなポテンシャル採用だからこそ重要になるのは、経理に適性があると企業に思ってもらうことです。
ここでは、新卒で経理部に入りたい学生に向けて、入るための準備として押さえておくべき4つの要点を解説します。
①最低でも簿記2級は合格しておく
簿記の知識は経理職においての基本となります。経理部に入る場合、簿記2級は最低限の資格と見なされることが多いです。
あくまで目安ですが、簿記2級は企業の採用活動で評価される最低限の基準ともいえます。簿記2級によって、経理の基本的な仕訳や取引の処理方法についての知識を持っていることが証明されるからです。
新卒の場合、基本的には資格を求められることは少ないですが、簿記2級の資格を取得しておけば、面接でのアピールポイントとなります。また、資格の勉強を通じて、経理の業務に必要な財務諸表や経理処理に関する基本的な理解を深めることができるため、取得しておいて損はありません。
経理業務は実務経験を求められることが多く、新卒で配属されることが少ないため、新卒で経理を目指しているならば簿記2級を取得しておくと良いです。
簿記3級でも簿記の基本を理解していることはアピールできます。一方で、簿記2級であれば経理で必要な商業簿記、工業簿記も試験範囲になるため、実践的な簿記の知識をアピールできるのです。
可能であれば簿記1級や税理士の科目合格を目指す
簿記2級は経理の入口としての資格ですが、より専門的な知識を習得するためには、簿記1級や税理士の合格を目指すことがおすすめです。
簿記1級は、経理の知識をさらに深める資格として位置づけられています。この資格を持っていれば、難易度の高い取引や複雑な帳簿処理にも対応できる能力を持っているとみなされます。税理士の合格も同様に、税務に関する高度な知識や理解を示す資格として重視されます。
企業側から見れば、これらの資格を取得していることは、新卒であっても業務で実践的に使える経理職のスキルを持っている証しと捉えられ高評価につながる可能性もあるのです。
- 経理といえば簿記のイメージがありますが、そのほかにとっておくと差別化につながるおすすめの資格はありますか?
経理職につながる6つの資格を取得するのがおすすめ
簿記以外の経理職への就職や業務に役立つ資格としては、以下の6つの資格が挙げられます。経理に関するすべての業務で、実践的に役立つ資格です。
①ビジネス会計検定
②ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)
③電子会計実務
④経理・財務スキル検定(FASS検定)
⑤経理事務パスポート検定(PASS)
⑥消費税法能力検定
また、会社によっては経理ソフトなどを導入していないという会社もあるため、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)やExcel表計算処理技能認定試験などの資格保有も差別化につながるでしょう。
そのほかにも就職に有利になる資格や取りやすい資格をこちらの記事で解説しているので、併せてチェックしてみてくださいね。
就職に有利になる資格
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説
取りやすい資格
取りやすい資格25選|取得から就活でのアピールの仕方まで解説
②会計事務所や企業の経理部門でアルバイトをしておく
経理職として正社員で働くことはできなくても、アルバイトであれば「経理スタッフ」や「経理事務の補佐」という形で未経験からでも経理の仕事に携われる場合があります。
会計事務所や企業の経理部門でアルバイトをしておくことで、簿記の知識をより実践的な視点から理解することができます。企業の会計処理や財務報告の実際の流れを学ぶことができるからです。
ポテンシャル採用が中心の新卒採用とはいえ、実務経験があると経理職の仕事内容に活かせるアピールポイントが今までより増えます。周りの学生と差別化を図るためにも、ぜひ挑戦してみましょう。
③経理職に就いている先輩に話を聞く
新卒から経理職に就いている先輩や、経理経験者からの話は非常に参考になります。先輩たちのキャリアや経験を通して、経理職で求められるスキルや知識、直面した困難などを知ることができるからです。
おすすめはOB・OG訪問ですが、難しい場合には企業の公式サイトに掲載されている社員インタビューも、その企業の経理部門での業務内容や雰囲気を知る手がかりとなるかもしれません。
OB・OG訪問の基本的な流れや訪問先の探し方などを知りたい人は、こちらの記事を確認してみてくださいね。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
OB・OG訪問をした後には丁寧にお礼をするとより好印象になります。以下のQ&AでキャリアコンサルタントがOB・OG訪問のお礼のメールの書き方を解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
- 経理職に就いている先輩とコンタクトをとるときに、マストで聞いておいた方が良い質問はありますか?
具体的な業務内容とキャリアパスを聞こう
経理職は、入力業務や資料作成などさまざまな仕事があり、業務を一部外注している企業もあるので、具体的な業務内容とキャリアパスについてはマストで聞いておきましょう。
また、経理の仕事は月末や年度末など、特定の時期に忙しくなることが多いので、繁忙期の期間や業務量について確認しておくと良いですね。
さらに経理職で必要な知識やスキルについても聞いておきましょう。
ESで悩んだら就活準備プロンプト集がおすすめ!
『就活準備をもっと効率よく進めたい...!』と思っていませんか?「就活準備プロンプト集」は、生成AIを活用して自己PRや志望動機をスムーズに作成できるサポートツールです。
簡単な入力でプロが使うような回答例が出せるため、悩まずに就活準備を進められます。生成AIを活用して効率良く就活準備を進めたい人におすすめです。
- 自己PR、ガクチカ、志望動機作成プロンプト
- チャットを使用した、模擬面接プロンプト
- 自己PRで使える強み診断プロンプト
④経理関連の本で勉強する
最新の会計基準や税制など経理に関する情報は多岐にわたりますが、法律や制度の改訂によって業務が少しずつ変わっていくこともあります。そのため、仮に簿記の資格を取得したとしても、経理職では習得した知識を常にアップデートしていく姿勢が必要です。
経理職を目指すのであれば基本の知識を押さえたうえで、常に学び続けなければならないということです。
新卒で経理を目指すのであれば、まずは経理関連の専門書から、基本の知識を勉強しましょう。インターネットで勉強する方法もありますが、本の方がさまざまな人の目を通した信頼性のある情報が掲載されている可能性が高いためおすすめです。
経理の勉強におすすめの本
経理配属にならなかった場合はどうすればいい?
新しいキャリアをスタートさせる際、経理職への配属希望がかなわないと大きなショックを受けるかもしれません。しかし、希望と異なる部署に配属されたからといって、経理への道をあきらめる必要はありません。
この章では、最初の配属で経理になれなかった場合を想定し、改めて経理のポジションを目指す方法を解説します。
ジョブローテーションで経理配属を狙う
ジョブローテーションとは
社員が企業全体の業務を理解するためや、多様なスキルを身に付けるための取り組み
最近では多くの企業で、新入社員や若手社員に対して、ジョブローテーションが取り入れられています。
ジョブローテーションの際、経理部門への転属や、経理に関連する業務を経験するチャンスが訪れることも考えられます。そのため、意向を上司や人事部門に適切に伝え、経理部門への転属を希望することが大切です。
必ず希望が通るとは限りませんが、熱意が上司に伝われば、あなたの想いを汲んでくれる場合もあるかもしれません。
ジョブローテーションを導入している企業は実際には5割ほどで、正社員が多い企業ほど導入割合が高い傾向にあるようです。ジョブローテーションを期待するならば、企業研究でしっかり確認しておく必要があります。
第二新卒で経理部門へ転職する
もう一つは、第二新卒の枠を利用して経理部門へ転職する方法が挙げられます。つまり新卒で入社した会社を退職し、転職活動で経理職を目指すルートです。
第二新卒は、 一般的に「新卒で入社してから3年以内のビジネスパーソン」を指す言葉です。第二新卒での転職では、新卒採用よりも実務経験が求められるケースはあるものの、配属先を「経理職」に限定した求人も増える傾向にあります。
そのため第二新卒として経理部門への転職の際は、前述した簿記の資格取得や経理に関する勉強、そして実務経験が有利に働くケースが多くあります。転職活動の際、これまでの経験や学びを活かし、経理部門での活躍をアピールすることで、再度経理職を目指すことができます。
第二新卒で未経験で経理にチャレンジする場合、新卒で経理を目指す学生と同様に、簿記2級は最低限取得しておきましょう。
企業の選び方としては、年収は一時的に下がっても、経理職未経験者を歓迎している企業がおすすめです。特に書籍購入制度や資格取得支援制度がある企業なら、未経験でも経理に必要なスキルを独学で補いやすいかもしれません。
第二新卒で転職を考えている人は、以下の記事で第二新卒での転職を成功させる方法を解説しています。自分が納得のいく道を見つけるための再スタートを切れるよう、ぜひチェックしてみてください。
第二新卒の転職必勝法|納得のいくキャリアを見つける3つのコツ
新卒採用の対象者には、第二新卒も含まれているケースがあります。詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
新卒はいつまで? 企業における定義や実態をデータをもとに徹底解説!
新卒で経理はもったいないって本当? 経理の将来性をキャリアコンサルタントが解説
この先、会計業務のクラウド化が広がり、経理の仕事の一部がAI(人工知能)に置き換わる時代とも言われています。
この状況下で新卒のキャリアとして、経理を選ぶのは賢明なのでしょうか。キャリアコンサルタントが、経理のキャリアの将来性について詳しく解説します。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る経理経験を活かしたキャリアビジョンならもったいなくない
経理経験を活かした将来を考えているならば、もったいないことはありません。
たしかに経理の仕事の一部がAI(人工知能)に置き換わりつつありますが、経理だけでなくほかの多くの業務でも同じことが予想されます。経理資料を活用した経営にかかわる仕事はAIに置き換えることはできません。
経理業務を自社の経営状況を管理して、経営をサポートする仕事だと捉えれば、経営層と同じ視点で会社を見ることができ、企業の経営や将来を担っている業務といえますよ。
経理経験を積んで長期にわたって活躍する人も多い
新卒で総合職として採用されると、経理などの管理業務に配属されることが少なく、多くは営業や販売などの経験をしたうえで管理業務に就くことが多いでしょう。そのため未経験者が応募できる経理職へ、第二新卒として転職するケースもあります。
新卒で経理に配属になったものの、入力業務など変化が少ない経理の仕事が合わず、営業職へ転職した人がいる一方、経理経験を積んで自社の経営企画として活躍している人もいます。また経理職で仕事をしながら公認会計士の資格を取得して転職した人もいるのです。
経理経験を活かして、どういったキャリアを歩んでいきたいのか考えてみると良いでしょう。将来財務や経営にかかわる仕事がしたいならば、新卒から経理に携わることは間違った選択ではありません。
これからの社会を生き抜くには、なくならない仕事の特徴を押さえることが重要です。次の記事で将来性のあると言われる仕事が何かを知っておきましょう。
10年後もなくならない仕事8選! 就活のプロがその理由も徹底解説
具体性が命! 経理の志望動機の書き方
具体性が命! 経理の志望動機の書き方
- まずは結論を述べる
- 経理の仕事に結びつく強みや過去のエピソードを具体的に書く
- 入社後の経理としての活躍への意気込みで結ぶ
志望動機はあなたの意欲や情熱を伝える重要な要素です。特に経理のポジションを目指す際は、その具体性が成功の鍵となります。
この章では、明確で説得力のある経理の志望動機を書き上げるための3つのコツを伝授します。
まずは結論を述べる
志望動機を述べる際には、まず結論から入ります。あなたが経理職を希望する理由を簡潔に述べることで、面接官に話の内容が伝わりやすくなるからです。
志望動機を作る際は、文章構成のフレームワークであるPREP法を活用しましょう。PREP法を用いながら具体的かつ論理的に経理職への志望動機を記述することで、採用担当者に自身の能力や熱意を論理的に伝えることができますよ。
PREP法のフレームワーク
- Point:「御社の経理職を志望している」という結論
- Reason:その企業を志望した理由
- Example:経理職につながる具体例やエピソード
- Point:再び結論を強調
特に経理職の志望動機の場合は、具体的な資格名などを入れることが多いため、誤った文章構成で書き進めてしまうと意図が伝わりにくく、説得力に欠ける可能性もあります。まずはシンプルに冒頭をまとめ、採用担当者を話に引きこみましょう。
経理の仕事に結びつく強みや過去のエピソードを具体的に書く
自己の強みや過去の経験がどのように経理の仕事に結びつくのかを具体的に記述します。具体的な数字を扱った経験、チーム内でのお金の管理、簿記資格の取得など、経理職に直接関連する経験を詳細に述べましょう。
また、学生時代にクラスの会計を任された、あるいはアルバイトでの売上管理が評価されたなどのエピソードも有効です。ただ単にエピソードを挙げるのではなく、それがどのように経理職に役立つのかの「つながり」を強調するようにしましょう。
- 良い印象を残せる経理にまつわるエピソードを教えてください。
簿記資格を取った経緯や学生時代に経理を担った経験を話そう
経理の業務に結び付くようなエピソードが興味を持ってもらえるのは言うまでもありません。
たとえば、簿記の資格取得のエピソードであるならば、資格取得までの取り組みが計画的であり反復練習の中で達成できたことをいうのも良いですが、なぜ簿記の資格を取得したかったのかも重要です。
なんとなく役に立ちそうだからというのではなく、数字を扱うことが好きで経理の仕事に就きたいという思いから勉強したと言う方が良いでしょう。
また、サークルなどで経理を任されていたというエピソードなら、責任を持っておこなったことだけでなく、数字によるエビデンスをもとに提案し、活動をより活発にすることができたなどの、プラスαがあるとより良いでしょう。
入社後の経理としての活躍への意気込みで結ぶ
志望動機の締めくくりには、入社後にどのようにして会社のために貢献できるか、その意気込みを表現します。
たとえば、「入社後は、既存の経理プロセスの効率化を提案し、コスト削減に貢献したい」や「最新の会計ソフトウェアを用いたデータ分析によって、より精度の高い財務予測をおこないたい」といった具体的な目標を設定することをおすすめします。
ポイントは、あなた自身の経験や強みを通じて、具体的に会社のどのような問題を解決できるかを示すことです。経理職への熱意だけを伝えるのではなく、組織にとって実際に価値をもたらす人材であることをアピールしましょう。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る企業研究をもとにその企業で貢献する方法を伝えよう
経理職の志望動機の締めで差別化するためには、応募企業でどのような貢献ができるかを具体的に述べると良いでしょう。そのためには、企業研究が不可欠です。
企業研究をするときは求人情報、企業説明会、OB・OG訪問などを通じて、経理職に期待されていることなどを把握しましょう。そして選考では、自分の経理としての強みや適性をアピールし、貢献していきたいことを伝えるのが重要です。
迅速かつ正確な経理資料作成が求められているならば、経理知識やパソコンスキルを活かして貢献していくことをアピールしてみましょう。
志望動機の締めで入社の意欲と入社後の貢献方法を強調するのが大切
簿記の資格を活かしたいと伝えるだけでは、不十分な志望動機です。たとえば、簿記2級を取得しているので、商業簿記や工業簿記の知識を活かして短期間で戦力になり貢献していきたいと具体的に伝えることが大切です。
面接官は、志望動機の回答から経理職に就きたい熱意や意欲だけでなく、具体的にどのように活躍できる人材かを見極めています。
特に志望動機の締めは、面接官の記憶に残る部分なので、応募企業で貢献していきたいことを志望動機の締めで伝えて、経理職として活躍する姿をアピールしましょう。
志望動機が書けない人には4つの原因が考えられます。次の記事を参考に「志望動機が書けない」から脱出しましょう。
「志望動機が書けない」から確実に卒業する3ステップ|例文付き
実際の面接では、発言の内容だけでなくマナーも重要になります。合格のために身に付けておくべき就活マナーを次の記事で勉強しておきましょう。
絶対に落とせない面接のマナー! 「即不合格」にならないための作法
アピール内容別! 経理の志望動機例
アピール内容別! 経理の志望動機例
- 資格をアピール
- インターンの経験をアピール
- 経理という仕事への熱意をアピール
- 会社への熱意をアピール
経理の仕事への熱意と適性を伝えるには、志望動機を丁寧に作り込む必要があります。経理においては、数字を扱うスキルに加え、組織に対する貢献や問題解決への取り組みを示せるような志望動機が理想です。
ここからは、アピール内容別に経理の志望動機を紹介します。
資格をアピール
新卒として入社する際には、経理職への熱意と将来に対する明確なビジョンを示す志望動機が求められます。特に資格は、その準備と決意を表す強力な証拠になります。
まずは、資格をアピールする例文を見てみましょう。
資格をアピールする例文
資格をアピールする例文
私は経理部門への強い関心を持っています。理由は、業界を牽引する安定した経営と、革新的な事業への取り組みに魅力を感じたからです。また、社員のキャリア形成に注力する姿勢も、私の成長願望と一致しています。
私は日商簿記1級の資格を取得し、大学で会計学を専攻していました。この学びは実務知識を磨き、貴社の精密な財務分析や会計処理に対する理解を深めるために身に付けた知識です。
まずは日々の取引記録の正確な記入から、四半期報告書の作成、年次決算の準備に至るまで、基本的な仕事から貴社の安定した経営に貢献したいと考えています。
そして、将来的には経理部門を率いるリーダーとしてチームを引っ張っていきたいと思っています。
中長期的には、経理の専門知識を活かして予算計画の策定やコスト削減の提案など、会社の財務健全性に直接貢献する役割を担い、将来的には経理部門のリーダーとしてチームを牽引できるようなキャリアを築きたいです。
資格を活かしてどのように貢献していきたいと考えているのか、また、中長期的にどのようなキャリアを構築していきたいと考えているのかを、具体的に記載できている点はとても良いです。
改善点としては、経理部門へ強い関心を持っている理由を説明している文章からは、経理部門のどこに関心を持っているのかがわかりづらく、どうして経理部門のリーダーになりたいのかが見えにくいので、その部分を見直すと良いでしょう。
インターンの経験をアピール
インターンの経験がある学生は、簡易的な実務経験として志望動機に盛り込むことをおすすめします。単なるデータの取り扱いを学んだのではなく、その仕事からあなたが何を感じたのかをメインに文章を組み立てましょう。
以下は、インターンの経験をアピールする場合の参考例文です。
インターンの経験をアピールする例文
インターンの経験をアピールする例文
御社の経理部で働くことで、インターン時代に磨いた専門性とチームでの仕事の経験を活かしたいと思っています。私は御社でのインターン経験をきっかけに、経理の魅力に目覚めました。
昨年の夏、御社の経理部門にて、データ入力から財務分析に至るまでの幅広い業務に携わり、専門技能を高めるとともに、正確さが求められる仕事のやりがいを学びました。資金の流れを通して企業の活動を読み解く経理の役割の重要性を理解し、会計業務への憧れがいっそう強くなりました。
さらにインターンでは、会計ソフトウェアの操作やチーム単位でのプロジェクト実施など、技術的な能力だけでなく、チームで働くことの重要性と、それに必要なコミュニケーション能力の向上にも注力しました。
インターンで得た貴重な経験を活かし、経理部門の一員として、御社のさらなる発展に貢献できる機会をいただければと願っています。
どの企業でも当てはまるような漠然とした経理の志望動機の場合、インターン経験を活かしていないと判断されてしまいます。
インターン経験を通じて把握している経理業務を踏まえ、より具体的にやりたいこと、やるべきことを志望動機として伝えましょう。
経理という仕事への熱意をアピール
精密な財務データの分析から戦略的な意思決定への貢献まで、経理はビジネスの核心を成す仕事です。そんな経理という仕事への熱意を志望動機でアピールするのも一つの手です。
以下は経理という仕事への熱意をアピールした例文です。
経理という仕事への熱意をアピールする例文
経理という仕事への熱意をアピールする例文
私が御社を志望する理由は、経理が企業の核心を成す役割を担っているという認識に基づいています。
毎日数字に向き合うことは、私にとって単なるデータ入力を超えた行為です。それは御社の財務状態を正確に把握し、経営陣の決断を支える情報を提供する、非常に責任のある任務だからです。
私は、昨年御社の開催したセミナーに参加し、そこで経理部門がいかに会社の経営戦略において中核的な役割を果たしているかを学びました。特に印象的だったのは、御社が経理部門の効率化のために独自のシステムを開発し、業界内でその優れた成果を達成している点です。
入社後は、御社の経理部門で起きている日々の課題に対処し、御社のさらなる発展に貢献したいと強く感じています。
セミナーで感じた経理部門の魅力を肌で感じながら、この先の業界を牽引するような経理の在り方を仕事を通じて模索していきたいです。
志望企業のセミナーに参加した際に学んだことや印象的だったことを述べ、経理部門への意欲を示したのは良いです。経理の役割についての一般論の部分も簡潔にまとめてありわかりやすいです。
会社への熱意をアピール
経理という職務は単なる数字の追跡にとどまらず、その会社が描くビジョンと密接につながっています。具体的な会社のビジョンを盛り込めば、説得力のある志望動機を作成できるのです。
気を付けなければならないのが、経理職に対する熱意をアピールするあまり、結果としてどの企業にもあてはまる内容となってしまうことです。
これはよくある失敗パターンとして、頭の中にとどめておきましょう。つまり経理の志望動機こそ、その会社ならではの内容にする必要があるのです。
次の例文は、会社への熱意をアピールする内容になっているので参考にしてくださいね。
会社への熱意をアピールする例文
会社への熱意をアピールする例文
私が御社を志望する理由は、御社の「革新的技術で社会に貢献する」というビジョンに共感を抱いたからです。
私は大学で情報技術と会計を専攻し、プログラミングスキルで会計データ解析ツールを開発するプロジェクトに取り組みました。また会計学の勉強として日商簿記1級を取得し、学内財務分析コンテストで優勝経験もあります。
御社に入社後は、こうした知識とスキルを活かし、御社の経理部門での月次・年次決算業務、内部統制整備に貢献し、プロジェクトでの戦略的な財務支援をおこないたいと思っています。
大学で培った経験をもとに、御社のさらなる成長とビジョンの実現に貢献できるよう、経理部門でのチャレンジを楽しみにしています。
会社の描くビジョンを実現するためにも、財務・経理が担当するお金の管理はとても大切な部分です。
縁の下の力持ちとして、会社のビジョンをどのように経理の仕事を通して支えていきたいと考えているのかが伝わるよう意識して志望動機を作成しましょう。
経理職の書類作成は誤字脱字にくれぐれも注意しよう
経理職の就活において、誤字脱字は特に厳重に注意してください。誤字脱字があると真摯さや丁寧さを欠いている印象を与えかねないからです。
特に経理職は、正確性と注意深さが求められる仕事なので、就活における書類作成においても十分な注意を払うことが必要です。
誤字脱字を減らすために、具体的には次の5つを意識して書類を作成することをおすすめします。
誤字脱字を減らす方法
- 下書きを作成する
- スペルチェックツールを使用する
- 時間を置いて読み返す
- 音読する
- 他人に校正してもらう
正確な情報の記載と丁寧な文章によって、面接官の信頼をつかみ、経理職としての適性をアピールしましょう。
特に経理職は正確な情報の記載が求められる仕事なので、誤字脱字があると正確性や注意力が欠けていると企業側は感じることが多いでしょう。正確な事務処理が必要な仕事のため、誤字脱字がないようにしっかり確認をしましょう。
丁寧に書類を作成したいなら下書きは必須です。次の記事ではミスを防ぐ書き方5ステップを解説しています。
履歴書の下書きの正しい手順|跡を残さず美しく仕上げるコツとは
新卒で経理を目指すなら「経理ならでは」の対策が必須
多くの学生が経理職を希望している現状を考えると、新卒で経理職を目指す場合には、ほかの競争者と差をつけるためにも、経理職ならではの独自の対策が欠かせません。
経理職はほかの職種に比べて、数字の取り扱いや財務データの管理など、特有のスキルが必要とされます。一般的には新卒採用は将来性を重視されますが、実務経験や資格を有していると、ほかの応募者と差をつけることができるため、大きなメリットとなります。
希望の職種で働くということは、自身のモチベーションを維持するうえでも非常に重要です。経理ならではの対策を着実におこない、就職を目指しましょう。
アドバイザーコメント
大場 美由紀
プロフィールを見る経理はコミュニケーション能力も必要な仕事
経理を志望する理由として、コミュニケーション力には自信がないけれど、数字を扱うのは得意で几帳面なことを挙げる人もいるかもしれません。
しかし、経理の仕事は数字と向き合っているだけではありません。他部署とかかわることは日々の業務の中で出てきます。
そして、たとえ他部署の人に対しても、毅然として言わなければならないことをきちんと伝えていく必要があります。
たとえば他部署の社員が、立替金の精算のための領収書を提出してきたとします。その領収書を見て使途や金額が、経費計上するうえで問題があると判断した場合、それをきちんと説明する必要があるのです。
正しいと思うことを主張できずに言われるままに処理してしまっては、後で修正を要し迷惑をかけることになります。
ルーティン業務だが決算期には残業も多いので注意しよう
また、経理は事務職ではあるので定時に退社できると思う人もいるかもしれません。日常的には、ルーティンワークが多いので、計画的に業務を進められたとしても、決算期はそうはいきません。
たとえ新入社員でも、残業や休日出勤もあるので、こんなはずではと思わないための心構えをしておきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/フィナンシャルプランナー
Miyuki Oba〇大学などでカウンセリングや講義、企業や行政における新人研修・セミナーなどに多数登壇。ファイナンシャルプランナーおよび小論文講師としての知見も加味したアドバイスをおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
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