あがり症の人の面接対策|精神科医が伝える緊張しても崩れないための準備方法

この記事の執筆者 精神科医として活躍する日浦先生が書き下ろしました
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日浦 悠斗
精神科医/産業医
Yuto Hiura〇大学院修了後、製薬会社で研究職として数年間勤務、その後医学部に途中編入。精神科医師として研鑽を積み、現在は産業医や訪問診療医としても幅を広げている。保有資格:医師免許、精神科専門医、精神保健指定医、日本医師会認定産業医

面接であがり症が出るのは自然な反応

面接で頭が真っ白になる、声が震える、手汗が出る、表情が硬くなる。こうした「あがり症」の反応が出ると、「自分は面接に向いていないのではないか」「社会人として評価されないのではないか」と不安になる学生は少なくありません。

しかし、医師として不安や緊張に悩む方と接している立場から見ると、面接であがること自体は決して特別な異常ではありません。面接は自分が評価される場であり、失敗できないと感じやすい場です。つまり、面接には心身が緊張する条件がそろっています

あがり症とは、簡単に言えば「人前で評価される状況に対して、身体と心が過剰に反応してしまう状態」です。動悸、発汗、声の震え、赤面、胃部不快感、思考停止などが出ることがあります。これは本人の性格が弱いからではなく、自律神経が強く反応している状態と考えると理解しやすいです。

本コラムのコンセプト

生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画する専門家に寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。

あがり症の学生ほど「失敗してはいけない」と考えすぎている

面接であがり症が強く出る人には、共通して「完璧に話さなければならない」「変に思われてはいけない」「一度詰まったら終わりだ」と考える傾向があります。

もちろん、面接では準備が大切です。ただ、準備を重ねるほど、「準備した通りに話せなかったらどうしよう」という別の不安が強くなることもあります。これは真面目な学生ほど起こりやすい印象です。

私が臨床でよく伝えるのは、不安をゼロにすることを目標にしないということです。不安を消そうとすると、少し緊張しただけで「また出てきた」「まずい」と焦り、さらに症状が強くなります。むしろ、「緊張は出る前提で、それでも話を続けられる形を作る」ことが現実的です。

面接官も学生が多少緊張することは想定しています。評価されるのは、緊張しているかどうかだけではありません。緊張しながらも自分の言葉で伝えようとする姿勢が、誠実さとして伝わることもあります。

面接中にあがり症が出たら、まず「止まっても良い」と考える

面接中に頭が真っ白になったとき、一番避けたいのは、焦って早口で話し続けようとすることです。焦るほど呼吸が浅くなり、さらに言葉が出にくくなります。

その場でできる対処法としては、まず一呼吸置くことです。沈黙が怖い学生は多いですが、面接で数秒考えることは不自然ではありません。「少し考えさせてください」と言ってから答えても問題ありません。

また、緊張が強い場合は、最初に「本日は少し緊張していますが、よろしくお願いいたします」と一言伝えるのも有効です。これは言い訳ではなく、状況を自分で説明する力でもあります。緊張を隠そうとするより、軽く言語化したほうが落ち着きやすいことがあります。

回答に詰まったときは、完璧な文章にしようとせず、「結論から申し上げると」「一番お伝えしたいのは」といった短い型に戻ると良いです。話す内容をすべて暗記するより、困ったときに戻れる言い出しのフレーズを持っておくほうが実用的です。

面接であがり症が出る人に覚えておいてほしい言葉

  • 「少し考えさせてください」
  • 「本日は少し緊張していますが、よろしくお願いいたします」
  • 「結論から申し上げると……」
  • 「一番お伝えしたいのは……」

言い出しのフレーズのほかにもPREP法という枠組みを用意しておくのも対策の一つです。以下の記事ではPREP法の解説に加え、よくある質問に対しての解答例を掲載しています。覚えるのが一言だけでは不安という人はぜひ確認してみてください。

あがり症には面接で活かせる点もある

あがり症は就活において不利に見えるかもしれません。確かに、言葉が詰まる、表情が硬くなる、自己PRが弱く見えるといった点はあります。特に第一印象が重視される傾向にある面接では、本人の本来の力が伝わりにくくなることがあります。

一方で、あがり症のある学生には、準備を丁寧にする、相手からどう見えるかを考えられる、慎重に言葉を選ぶという強みもあります。緊張しやすい人は、無神経なのではなく、むしろ場の重要性や相手の反応を敏感に受け取っていることが多いです。

あがり症の強みになりうる点準備が丁寧
相手の反応に誠実
言葉選びが慎重
あがり症の人が抱きがちな悩み言葉が詰まりがち
表情が硬くなりがち
自己PRが弱く見えることがある

大切なのは、あがり症そのものを「欠点」と決めつけないことです。面接で伝えるべきなのは、堂々とした自分だけではありません。自分なりに考え、準備し、不安がありながらも行動できることも、社会人として重要な力です。

中長期的には「慣れる」よりも「条件を分析する」

あがり症への対処として「場数を踏めば慣れる」と言われることがあります。これは一部正しいのですが、ただ面接練習を繰り返すだけでは改善しない人もいます。むしろ、失敗体験を重ねると「やっぱり自分はだめだ」と不安が強化されることもあります。

中長期的には、自分がどの条件であがりやすいのかを分析することが重要です。たとえば、集団面接が苦手なのか、年上の面接官が苦手なのか、最初の自己紹介で崩れやすいのか、想定外の質問で止まりやすいのか。あがり症と一言で言っても、引き金は人によって異なります。

人によって異なるあがり症の原因の例

  • 面接の待ち時間や控え室
  • 面接マナー
  • 集団面接
  • オンライン面接(機材トラブルへの不安など)
  • 面接官の属性(年次が高い、役員、人事部など)
  • 面接官の人数
  • 面接官の反応(反応が薄い、フレンドリーすぎるなど)
  • 最初の自己紹介
  • 想定外の質問や深掘り質問
  • 逆質問

そのうえで、苦手な場面をいきなり克服しようとするのではなく、少し負荷を下げた練習から始めると良いです。友人との模擬面接、録音、オンライン面接練習、短い自己紹介の反復など、段階を分けて身体を慣らしていくほうが現実的です。

また、睡眠不足、空腹、カフェインの摂りすぎ、直前までスマートフォンで情報を詰め込むことなども、緊張を強める要因になります。面接当日の実力は、直前の気合いだけで決まるものではありません。前日から身体のコンディションを整えることも、立派な面接対策です。

あがり症を克服するためにおすすめの準備方法

  • 友人と模擬面接をする
  • 録音してみる
  • オンラインで面接練習をする
  • 話す内容を反復する
  • 前日にしっかり睡眠をとる
  • 朝ご飯をきちんと食べる
  • カフェインを控える
  • 直前に就活情報を詰め込みすぎない
  • 面接官を味方にする

あがり症の人が面接官を味方にして面接を乗り越える方法は以下の就活QAで解説しています。

「緊張しない自分」ではなく「緊張しても伝えられる自分」を目指す

面接時のあがり症に悩む学生に伝えたいのは、緊張しない人になる必要はないということです。目指すべきなのは、緊張が出ても大きく崩れず、自分の考えを最低限伝えられる状態です

そのためには、話す内容を丸暗記するよりも、伝えたい要点を3つ程度に絞ることが有効です。多少言葉が乱れても、要点さえ戻れれば面接は続けられます。面接官は、暗記した文章を聞きたいわけではなく、その人が何を考え、どう行動してきたのかを知りたいのです。

あがり症は、一朝一夕で完全になくなるものではありません。しかし、症状が出る条件を知り、当日の逃げ道を用意し、少しずつ成功体験を積むことで、面接での崩れ方は変えられます。

「緊張するからだめ」ではなく、「緊張する自分でも、どうすれば伝わるか」を考える。その視点を持てるだけで、面接への向き合い方は大きく変わるはずです。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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