本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
日本全国に支店を広げており、就活生に人気の企業として名前が挙がるクスリのアオキですが、ネガティブな噂があることも事実です。「誰でも受かる」「離職率が高い」と聞くと不安になるものですが、本当のところはどうなのでしょうか。
そこで、クスリのアオキがやばいのかどうか、小売業界への知見があるキャリアコンサルタントとともに、客観的な視点で読み解いていきます。最後まで読んで、企業研究の参考にしてみてください。
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1分でわかるクスリのアオキ
クスリのアオキとは
明治2年に石川県で創業した薬種商を前身とする企業。「健康と美と衛生を通じた社会貢献」を経営理念に掲げる。
医薬品や化粧品のほか、日用雑貨、生鮮食品などの生活必需品を豊富にそろえたドラッグストア事業と、地域に密着した「かかりつけ薬局」を目指す調剤薬局事業を広く展開。2025年5月期時点で1,036店舗(うち調剤併設670薬局)を運営。
| 会社名 | 株式会社クスリのアオキ |
| 上場 | 東京証券取引所スタンダード市場 名古屋証券取引所メイン市場 |
| 従業員数(連結) | 5,627人(2025年5月時点) |
| 本社所在地 | 石川県白山市 |
| おもな事業 | 医薬品・化粧品・日用雑貨などの近隣型小売業、調剤業務 |
| 売上高(連結) | 5,014億7,000万円(前年同期比14.8%増)(2025年5月期) |
| 経常利益(連結) | 275億1,300万円(同36.9%増)(同期間) |
| 平均年収 | 526万477円(2025年5月期) |
| おもな福利厚生 | 出産・育児支援 看護休暇 介護休業・休暇 サマーバケーション制度 休日制度 社宅制度 |
| 企業HP | https://www.kusuri-aoki.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.kusuri-aoki-recruit.jp/sougou/ |
「クスリのアオキはやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く
「クスリのアオキはやばい」と言われる5つの理由
クスリのアオキがやばいと言われる理由を5つにまとめています。それぞれの理由について、根拠となる情報と併せて確認しましょう。また、キャリアコンサルタントからのアドバイスも参考にしながら読み進めてみてください。
①就職難易度が低く誰でも受かるから
クスリのアオキは新卒採用を積極的におこなっており、2023年に675人、2024年に600人、2025年度には841人(※1)の新卒社員が入社しています。その採用人数の多さから「誰でも受かる」という噂が流れているようです。
マイナビが実施する人気企業ランキングの専門店業界で2位、文系総合で20位に入るなど(※3)、就活生からの人気が非常に高い企業のため、同社が求める人物像を深く理解していないと、内定を掴むことは難しいと言えるでしょう。
クスリのアオキの求める人物像
- 主体性
目標達成に向けて、自ら考え、積極的に行動できる人 - 挑戦心
現状に満足せず、より良い方法を見つけるために試行錯誤ができる人 - 責任感
何事にも当事者意識を持って真摯に向き合い、最後までやり遂げられる人 - 協調性
チームワークを重視し、周囲との積極的なコミュニケーションができる人 - 誠実性
地域貢献のために、誠意を持って仕事に取り組むことができる人
※1 マイナビ2027 クスリのアオキ
※2 クスリのアオキ 総合職採用サイト 数字で見るアオキ
②買収を繰り返しているから
クスリのアオキは2021年5月期より、生鮮MDの強化や好立地物件の確保を目的とした買収(M&A)を進めています。2025年5月期までに19社のM&Aを実施したことで、933億円の売上高の創出、134店舗の拡大などにつながりました(※)。
| 年 | 社名 |
|---|---|
| 2020年 | 株式会社ナルックス(子会社化) 株式会社フクヤ(子会社化) |
| 2021年 | 有限会社サン・フラワー・マリヤマ(吸収合併) 株式会社スーパーマルモ(吸収分割) |
| 2022年 | 株式会社一二三屋(吸収合併) 株式会社ホーマス・キリンヤ(吸収合併) |
| 2023年 | 株式会社サンエー(事業譲受) 有限会社中尾(事業譲受) 株式会社三崎ストアー(事業譲受) |
| 2024年 | 株式会社スーパーよどばし(事業譲受) 株式会社ウッドペッカー(子会社化) 有限会社木村屋 株式会社ママイ、株式会社ムーミー 株式会社ハッピーテラダ |
| 2025年 | 株式会社ヨシムラ 有限会社ハッスル 本間物産株式会社 株式会社トップマート 株式会社ミワ商店 |
会社がM&Aを繰り返すことに不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、同社は近年の連続したM&Aによって、業績を伸ばし、会社の規模を拡大することに成功しています。
売上高は5,014億7,000万円、経常利益は275億1,300万円とともに過去最高を記録しました。また、社員数は前年から892人、店舗数は366店と大幅に増加しています。そのため、M&Aは会社の将来性を高めていくためのポジティブな選択ととらえられるでしょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!買収は成長のため! メリットとデメリットを知っておこう
基本的にチェーン経営の小売業は出店拡大によって成長していきますが、新規出店よりも早く成長するための経営戦略がM&Aです。
買収先は経営状態が芳しくない企業も含まれますが、出店用地、即戦力人材、異業種の経営ノウハウや取引先などが一度に手に入るというメリットがあります。
一方、デメリットとしては、買収先が保有する価値のない資産や負債などもすべて引き受けるリスクがあることが挙げられます。
また、出身企業が異なる社員が混在することで、価値観の共有や教育の体系化が難しくなることなどがあり、企業文化の醸成にとっては一時的にマイナス要因になることがあります。
過去最高益の裏に潜む低い利益率! 企業の将来性を見るポイント
現在、売上高と経常利益高は過去最高で、第二次成長期にあたるためあまり目立っていませんが、買収の影響は経常利益率の低さに表れています。
今は効率よりも拡大を優先していると考えて良いですが、ライバル企業も出店攻勢をかけていますので、どこかで成長は鈍化します。
成長が鈍化すれば投資余力は急速に低下するため、成長している間に人材育成やシステム投資など、内部の充実をはかれるかどうかに着目しましょう。
③離職率が高いから
クスリのアオキは離職率を公開していません。離職率が高いと噂される理由について、M&Aによる店舗数増加で負担がかかっていることや、転勤が頻繁にあることなどが挙げられているようです。
同社では過重労働を防止するための対策について、安全衛生委員会にて議論がされています(※)。話し合いがあった内容は定期的に社内で配信されており、労働環境の向上に努めているようです。
また、社員の定着率を高めるための仕組みの一つとして、マイスター資格制度(※)を導入しています。社員のスキルレベルに応じて初級・中級・上級の3段階を設定したうえ、各級の認定者に資格手当を支給しています。
プロのアドバイザーはこう分析!離職の原因は合併前後の変化や働き方のギャップが考えられる
離職理由としては、思っていた仕事と違った・転勤や異動が難しいといったギャップが考えられます。
特にクスリのアオキは出店やM&Aを積極的に進めているため、会社が大きくなるなかで、役割や人間関係、働き方が変わることもあるでしょう。
合併された会社側の社員であれば、これまでの会社との違いに戸惑うこともあるかもしれません。
また、ドラッグストアのイメージで入社したものの、食品や生鮮の比重も大きく、「思ったよりスーパーに近い仕事だった」と感じる人もいそうです。
本部で仕事をしたいと思っていても、現場経験が長く続き、今後のキャリアが見えにくくなるケースも考えられます。
チャンスが負担になることも! 自身の理想と照らし合わせて考えよう
さらに、資格者の配置や出店状況によっては、転勤や異動が頻繁に発生することもあります。若いうちから責任ある仕事を任されることも、チャンスと感じる人もいれば負担に感じる人もいるでしょう。
ただ、こうした悩みはクスリのアオキだけに限りません。自分が何を大切に働きたいのかを考え、仕事内容や異動、将来のキャリアを確認しておくことが大切だと思います。
④人手不足で業務量が多いから
クスリのアオキは2025年5月期までに19社ものM&Aを進めたことで店舗数が急拡大したために、人手不足や業務量増加が起こっているという声があるようです。
実際に同社は、2026年7月28日に発表された「従業員の不満投稿が多いブラック企業ランキング(小売部門)」(※)で2位に入っており、人手不足に関する口コミが目立ったことがランキング入りの理由と考えられます。
ただし、四国のように2024年に初めて店舗ができた地域もあるため、既存の拠点と状況が異なることもあります。そのため、自分が希望するエリアの状態を企業に確認しておくことが推奨されます。
※ ダイヤモンド・オンライン 従業員の不満投稿が多いブラック企業ランキング【2026年上半期・小売ワースト10完全版】…イオン、西友、コメリは何位?
プロのアドバイザーはこう分析!運営が逼迫する理由はドラッグストアの特徴にあった
ドラッグストアは、医薬品と日用品と生鮮品が混在している店舗であることで管理が難しい面があります。
ホームセンターなどのハードグッズを売る店と比較するとわかりやすいでしょう。腐らない商品をほぼセルフ販売で扱う店は、極端に言えば「商品を店頭に並べてレジを動かすだけ」で売上がつくれます。
店舗運営も一人当たりの守備範囲が広く少ない人手で運営ができ、単価の大きいものも扱うため、陳列や値下げの作業もそれほど多くはありません。その代わり景気変動の影響などは受けやすいです。
それに対し、ドラッグストアは医薬品を売る登録販売者や薬剤師は接客がメインになり、日用品は単価の低いものが大量に動くため、忙しさの質が違います。
また、生鮮品は鮮度落ちが早く売れ残りの管理に伴い値下げの作業が頻繁に発生するため、商品の状態に注意を払わなくてはなりません。
強みがそのまま「弱点」に? 競争優位性と過酷な現場のジレンマ
複数の業種が同じ店舗内に含まれることが、ドラッグストアの競争優位性なのですが、それが作業負担が大きいという理由にもなっています。
購買頻度の高い生活必需品はコンスタントに良く売れて、景気変動の影響を受けにくいという利点がありますが、その分、商品の補充、鮮度管理、値下げなどの作業量が多いわけです。
特に出店が多く採用が追いついていない店では、一日中、品出しなどの作業に追われることになり、想定した仕事と違うと感じることもあるでしょう。
⑤転勤があるから
クスリのアオキでは転勤が発生することがあり、働き方の面で懸念を抱く人もいるようです。全国に本社を含めた支店があるため、異動する先によっては社員のキャリアに大きく影響する可能性があります。
しかし、同社は社員の働きやすさを確保するために3つの働き方(※)を整えています。全国転勤型に加えて、転勤範囲を制限した形式や、転居を伴わない距離での勤務が可能なものまで、キャリアプランに合わせたパターンが毎年選択できます。
クスリのアオキにおける3つの働き方
- ①ナショナル社員
全国勤務型。昇格のチャンスが多く、キャリアアップに非常に有利。 - ②リージョナル社員
転勤範囲に制限があり、本拠地から車で高速道路を使用して片道4時間以内のエリアが勤務先となる。 - ③ローカル社員
本拠地からクルマで下道を利用して片道60分以内のエリアが勤務先となり、転居は伴わない。
さらに、社宅制度も整備されており、本拠地から65km以上先での勤務となるケースにおいて適用されます。ナショナル社員とリージョナル社員が対象で、会社が家賃の7~8割を負担するため、遠方の勤務でも安心して過ごすことができると言えます。
| 赴任形態 | 家賃の負担割合 | 家賃の上限 |
|---|---|---|
| 独身者赴任 | 会社80%:個人20% | 60,000円 |
| 単身赴任 | 会社80%:個人20% | 60,000円 |
| 家族帯同赴任 | 会社70%:個人30% | 80,000円 |
アドバイザーのリアル・アドバイス!説明会で必ず聞くべき! 入社後のリアルを引き出す質問
説明会では、異動の頻度、辞令から赴任までの期間、配属に本人の希望が反映されるかを質問しましょう。
社宅についても、物件の条件、家具・家電、駐車場代や水道光熱費、引っ越し費用の自己負担、退去期限まで調べておくと安心です。
店舗勤務はシフト制で、地域によって気候や交通事情も異なります。配属される可能性のある地域について、車通勤の必要性や帰省のしやすさなども把握しておきましょう。
また、結婚、育児、家族の介護などで生活環境が変化した場合、勤務区分の変更をいつ申請でき、いつから反映されるのかも尋ねておくことが大切です。
勤務区分によって、転勤範囲だけでなく給与や昇格機会も異なるため、制度の利点だけで判断せず、将来のキャリアや生活設計への影響を考える必要があります。
機会に合わせた質問を意識! 転勤をどうとらえるかが企業選択の鍵
店舗見学や社員訪問では、赴任先で困ったことや、地域による店舗運営、客層、働き方の違いなどを尋ねましょう。
転勤を成長の機会として受け入れられるか、自分の生活設計と照らし合わせ、家族とも事前に話し合ったうえで選択することが、入社後のギャップを防ぐポイントです。
クスリのアオキに向いているのは○○な人
クスリのアオキは5つの理由からやばいと言われているようですが、実態とは異なる内容も含まれており、誤解されている部分もあることがわかりました。そのため、企業や信頼のおける機関から出されている情報をもとに、企業の正しい姿を確認しましょう。
そして、企業についての理解度が深まったら、適性を見極めることが大事です。最後に同社に向いている人・向いていない人の特徴を載せているので、企業選びに役立ててください。
向いている人の特徴
・主体的に「挑戦」と「成長」を楽しめる人
・自律的に考えて行動できる人
・継続して専門性やスキルを磨き続けたい人
・ライフステージに合わせた柔軟な働き方をしたい人
向いていない人の特徴
・指示待ちの姿勢で、主体的に動くことが苦手な人
・継続的な学習や自己研鑽を好まない人
プロのアドバイザーならこうアドバイス!店舗運営で必要となる3つの力! 幅広いスキルが求められる
ドラッグストア業界への就職を考えているなら、主体性、調整力、変化対応力は大切です。
店舗運営が仕事の中心になるため、自分で現場の課題を見つけ、「もっとこうしたら良くなるのでは」と改善していく力が求められます。
顧客が何を求めているのかを考え、売場づくりや商品の提案につなげる視点も必要です。店舗のなかでは、一人ひとりが小さなマーケターのような存在になることが大切です。
また、社員だけで店舗は回りません。特に地域のことをよく知っているパートなど、さまざまな立場の人と協力する必要があります。人間関係を築きながら、うまく調整していく力も意外と重要です。
資格や適性も大事! 変化をどうとらえるかでも向き不向きがわかる
さらに、登録販売者の資格は必須です。働きながら取得を目指す場合は、自分で計画的に勉強する必要があります。
エリア制や転勤の範囲、シフト勤務や土日祝勤務なども、自分の希望する働き方と合っているか確認しておきましょう。店舗を動き回る仕事なので、意外と体力も必要です。
新店の立ち上げや業務改善を「大変そう」と思うか、「面白そう」と思えるかも一つのポイント。変化を楽しみながら成長したい人には、挑戦しがいのある仕事だと思います。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





プロのアドバイザーはこう分析!ただの販売員ではない! 地域密着の店舗運営に必要な適性
キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
谷所 健一郎
プロフィールを見るクスリのアオキへの応募を考える際は、店舗をただの医薬品の販売場所ではなく、食品、ドラッグや調剤を組み合わせて地域の暮らしを支える拠点ととらえましょう。
入社後は接客や品出しに加え、発注、売上管理、売場づくり、スタッフの指導などを担い、一般的には3~5年で店長に昇格します。
選考では、接客への適性に加え、数値を意識して改善する力や、周囲を巻き込みながら店舗を運営する資質も見られるでしょう。
働き方やビジョンを明確に志望動機を語ろう
企業研究では、2030年5月期に売上高8,000億円を目指し、「フード&ドラッグ+調剤の進化」を進めている点や、3つの勤務区分を確認します。
志望動機では、「身近だから」「成長企業だから」で終わらせず、店舗見学で気づいた品ぞろえや売場、接客をもとに同社で実現したいことを具体化してください。
面接では、アルバイト、部活動、学業から、課題を見つけて改善した経験や、意見の異なる相手と協力した経験を、状況・行動・結果の順で説明することがポイントです。
希望する働き方や転勤への考え、将来目指す役割に一貫性を持たせ、具体的な理由を添えて伝えることも大切です。