看護師という職業は、人の命を扱うからこそ、働く目的にはただ金銭を稼ぐだけでなく使命感や情熱が必要とされます。看護師を目指す新卒学生にとって、志望動機は自分の夢や目標を伝える重要な一歩です。
しかし実情としては、多くの学生が「志望動機をどのように締めくくれば良いかわからない」「どう表現すれば自分の熱意が伝わるのか」と頭を悩ませています。
この記事では、キャリアアドバイザーの板谷さん、若林さん、田邉さんのアドバイスを交えつつ、魅力的な看護師の志望動機の作成方法を解説します。志望動機に行き詰まっている看護学生は、ぜひ記事の5つの視点を参考にしてみてくださいね。
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新卒看護師の志望動機には病院ごとの特徴を盛り込むべし
新卒看護師としてのキャリアをスタートさせるうえで、志望動機は自分をアピールする重要な手段です。新卒看護師の志望動機でライバルと差別化するためには独自性が必須となります。病院ごとの特徴を踏まえた独自性のある志望動機を作成していきましょう。
記事ではまず、病院ごとの特徴を踏まえた志望動機の作成方法を紹介。病院の規模や形態、理念、特に力を入れている分野などを理解し、それを自分の志望動機に反映させることの大切さを解説します。希望する病院の独自性をリサーチし、それらを内容に織り交ぜることで、志望動機の質が大きく変わりますよ。
次に、新卒看護師の主な就職先とその特色を解説します。総合病院やクリニック、保健所などさまざまな就職先を理解したうえで、自分が目指す看護師像や看護観がどんな場所で活かせるのかを考えてみましょう。
また看護師の志望動機には、含めるべきでない点もあります。知らないまま志望動機に盛り込んでしまうと、せっかく考えた内容が台なしになってしまう可能性もあります。記事を読んだうえで、自分の志望動機にNGな要素が入っていないかを振り返りましょう。
病院の面接でよくある質問は以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
病院を志望している人の中には待遇面や福利厚生の良さで選んでいる人もいると思います。しかし志望動機でそのままを伝えてしまうのは危険です。以下の記事では病院の志望動機の書き方をまとめているので参考にしてみてください。
病院の志望動機は適性の高さを示すのがコツ! NG・職種別例文も
病院の面接対策も知りたい人は以下の記事も併せて参考にしてみてください。頻出質問やマナーについて詳しく解説しています。
病院の面接の頻出質問と回答例 | マナーや対策方法も併せて解説
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志望動機を作成する前に押さえておきたい3つの要素
志望動機を作成する前に押さえておきたい3つの要素
- 病院の規模や形態
- 理念や方針
- 病院が特に力を入れている分野
履歴書や面接での志望動機では、応募した病院や施設を選んだ理由を説明しなければなりません。採用担当者は、多くの選択肢の中からなぜその病院や施設を選んだのか、その背景を知りたいと考えています。
そのため、志望動機を作成する際には、病院や施設のホームページ(HP)、求人票、パンフレットなどから、その病院や施設に関する情報をしっかりと収集することが肝心です。
採用担当者は、志望者が病院や施設の特徴を理解しているか、そして病院側との間に認識のズレがないかを確認したいと思っています。「病院の規模や形態」「理念や方針」「病院が特に力を入れている分野」の3つから、共感できる点を具体的に挙げることで、あなたが病院や施設の特徴を十分に理解していることを伝えられます。
病院の規模や形態
区分 | 要件 | 特徴 |
---|---|---|
特定機能病院 | ・厚生労働省承認 ・病床数400床以上 ・16以上の診療科 | ・高度医療の提供 ・研究・研修実施 ・大規模病院 ・最先端医療と多様な症例を学べる |
地域医療支援病院 | ・都道府県知事承認 ・病床数200床以上・紹介患者中心 | ・かかりつけ医の後方支援 ・地域の中核病院 ・他機関と連携し地域医療が学べる |
一般病院 | ・病床数20床以上 | ・専門から総合まで多様 ・病院ごとに特徴や患者層が異なる |
病院の規模や形態によって、仕事内容に違いがあり、仕事の進め方や必要なスキルは変わります。そのため、志望動機も病院の規模や形態に合わせて考える必要があります。
たとえば、病院とクリニックは診療科や病床数で大きく異なります。志望動機を書く前に病院の規模や形態を正しく理解し、盛り込む情報に誤りがないようにしましょう。
病院の機能によって、患者の重症度や学べる症例の幅が異なります。医療法に基づいて、病院は上のように分類されます。
総合病院
- メリット:幅広い看護が学べる
- デメリット:希望する科に配属されない可能性あり
専門病院
- メリット:専門的に学べる
- デメリット:他の分野の看護は学べない
幅広い領域を経験したい人は総合科を、特定の分野を深く学びたい人は専門科を選ぶと良いかもしれません。学びたい分野と志望動機の内容にズレが生じないよう、まずは自分がどのような病院で働きたいのかを明確にしましょう。
病院選びでは、緊急外来の有無、診療科の種類、立地条件、駐車場の完備状況の確認をしておきましょう。また、一人の看護師が担当する患者数や、口コミや評価を通じた病院の実際の評判に関しても参考にすることをおすすめします。
理念や方針
志望動機の具体性を増すために、応募する病院を絞ったら、HPなどをよく見て当該病院の情報を集めましょう。
病院の理念や施設方針は、その病院がどのような価値観を大切にしているかを示しています。病院の基本的な信念や患者に対する姿勢、医療サービスの質に対する考え方などが含まれることが多いです。理念を理解することで、病院が目指す医療の方向性や、自分がその理念にどう共感し、どのように貢献できるかを考えることができます。
たとえば「患者と家族を中心にしたケアを提供する」という方針であれば、その病院は患者を支える家族を含めた包括的な心理ケアを重視していると推測できるかもしれません。施設方針はその病院がどのような環境であり、志望動機を書くうえで何を重視すべきかを考える材料になります。
理念や方針の部分で、何度も繰り返し出てくるワードはしっかりと拾っておきましょう。
「緩和ケア」「地域医療」「ホームケア」など、特に伝えたいワードは何度も出てくる場合が多いですよ。病院のHPはなるべくすべてをチェックした方が良いのですが、特に診療の流れなどは診療科や病院によって異なるので見ておくと良いでしょう。
企業理念を題材にする志望動機の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてくださいね。
例文9選|志望動機で企業理念への共感を伝えて唸らせる4ステップ
病院が特に力を入れている分野
看護師としてのキャリアを考える際、入職前に配属先の希望を出すこともあります。そのため志望動機を書く段階で、病院が特に力を入れている分野である診療科を絞る必要があります。
看護師が働く病院の診療科は、細かく分けると60種類以上あるといわれていることから、リサーチを怠ると志望動機と病院の専門分野が噛み合わないリスクもあります。
自分に向いている診療科がわからない学生は、次の4つのタイプから自分がどれに当てはまるのかを考えてみましょう。
向いている診療科
- 幅広い経験を積みたい人
救急科やICU・HCUは、多様な症例に対応できるためスピード感や判断力を養える。常に緊張感のある環境が苦手な人には不向きな可能性がある。 - キャリアの幅を広げたい人
内科や外科、循環器科では、看護師としての汎用性の高い経験が積める。特に循環器科での心電図や血液・酸素の流れの知識は、どの診療科でも役立つ。 - 患者とじっくりかかわりたい人
内科や精神科では、ほかの診療科に比較して長期的な看護が可能。ただし精神科では医療処置に関する看護技術を学ぶ機会が少ない点に注意が必要。 - 幅広い年齢層とコミュニケーションをとりたい人
整形外科や皮膚科、眼科では、患者の年齢層が幅広く、幅広い年齢層の生活に密接した看護がおこなえる。
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3ステップで完成! 基本の看護師の志望動機の作り方
3ステップで完成! 基本の看護師の志望動機の作り方
- 希望する病院の独自性を調査する
- 看護師になりたいと思う理由を具体化する
- その理由を構成に取り入れて言語化する
看護師の志望動機の作り方には、ある程度決まった順番があります。施設や病院の種類にもよりますが、看護師の志望動機は「憧れ」をベースにした内容になりがちであることから、内容が似通ってしまう傾向にあります。
ここでポイントになるのが、志望動機の独自性です。その病院らしさとマッチしたオリジナリティのある内容を書けると、ほかの学生と一気に差を付けられる志望動機になりますよ。
ここからは基本の看護師の志望動機の作り方を紹介します。志望動機の軸となる「病院の独自性」のヒントを探すつもりで読んでみてくださいね。
①希望する病院の独自性を調査する
看護師の就職活動では、病院ごとの独自性を詳細に調べることが志望動機の差別化につながります。情報収集のために、病院が主催する見学会や説明会へ積極的に参加しましょう。病院の日常の様子やスタッフの働き方を直接目にできると、実際の体験に基づいて志望動機を書けるため、説得力が増します。
また実際に病院を訪れて、外来の環境や医師、看護師の態度、患者の流れなどを観察することでわかる要素もあります。可能であれば、志望動機を書く前に病院を訪れて、次のポイントを確認しましょう。
病院見学でチェックすべきポイント
- 外来の雰囲気
受付の対応や待合室の環境、患者の流れや待ち時間など。 - 医師と看護師の対応
患者とのコミュニケーションスタイルや医師と看護師のチームワークなど。 - 病院の清潔さと整頓
清掃状況、整理整頓された環境かどうかなど。 - 医療設備の先進性
最新の医療技術や機器の導入、研究施設の有無など。 - 教育研修制度
看護師のスキルアップやキャリア形成をサポートする制度があるか、研修の内容と頻度など。 - 寮や施設の環境
寮の設備があるかないか、駅から病院の距離など。
さらに、看護師就職合同説明会やキャリアフェアに参加することで、多くの病院から情報を一度に得るだけでなく、病院同士の比較もしやすくなります。ほかの病院にはないその病院独自の魅力を見つけるためにも、イベントには積極的に足を運びましょう。
- 病院見学のどんな内容を志望動機に盛り込めば良いですか?
患者さんへの接し方や協働している姿を志望動機に盛り込もう
志望動機をつくるために、職場のどのようなことに注目しどう盛り込めば良いか、働いたことがない学生だとイメージがしづらいですよね。
病院内で見るべきことがわからない学生は、「どのような言葉を発しているか」や「どのような行動をしているか」に着目するのがおすすめです。
たとえば、「病院見学で患者さんの目線になって丁寧にお話を聞いている姿を見て、患者さんを大切にする姿勢に共感しました」などと伝えると、ほかの病院には当てはまらない志望動機がつくれますよ。
②看護師になりたいと思う理由を具体化する
学生が看護師を目指す理由にはさまざまな背景がありますが、具体的な動機を持たずに漠然とした憧れだけで志望していることも少なくありません。単なる憧れは志望動機としては不十分です。
看護師は、患者の痛みや苦しみに共感し、医師の治療を支援する重要な役割を果たす職業です。そのため「人の役に立てる職業」として看護師を志望している学生もいるかもしれません。しかし、人の役に立たない仕事はないという観点から、さらにもう一歩踏み込んだ言語化が必要になることは覚えておきましょう。
たとえば自分自身や家族が病院で看護師の世話になった経験が、看護師を目指すきっかけになることもあります。また、家族や親戚に看護師がいる場合、その影響で看護師を目指すケースもあるかもしれません。
志望動機を書き始める前に、まずはあなたが看護師になりたいと思う理由を具体化しましょう。
看護師は、深夜勤務や亡くなった方への対応など、肉体的・精神的に過酷な面を併せ持っているのが現実です。
憧れの要素が強すぎてしまうと、職業理解が欠如していると捉えられてしまう懸念や長期的に働くことができないのではないかと不安を感じさせてしまう可能性があるので注意しましょう。
看護師になりたいと思う理由を具体化するには、自己分析が役立ちます。自己分析がうまく進まないという人はこちらの記事を参考にして自己分析を進めていきましょう。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
③その理由を構成に取り入れて言語化する
最後に、ここまで整理してきた情報をフレームワークに当てはめながら志望動機としてまとめていきます。
看護師になりたいと思う動機を面接や履歴書で説明する際は、PREP法を活用すると良いでしょう。
PREP法とは
「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(再結論)」の頭文字を取ったビジネス上のコミュニケーションの基本
この方法では、まず結論を述べ、次にその理由を説明し、具体的な事例を挙げた後、最後に再び結論で締めくくります。PREP法を使うことで、論理的でわかりやすい説明が可能になります。以下にPREP法を使った志望動機の例を紹介します。
PREP法を使った志望動機
P(ポイント、結論): 「私が看護師になりたいと思う理由は、人々の健康と幸福に直接貢献したいという強い願望があるからです」
R(理由): 「この願望は、看護師が患者のケアを通じて直接的に人の生活に良い影響を与えることができる職業であると感じているためです。患者一人ひとりのニーズに応えることで、彼らの生活の質を高め、回復を支援する役割を果たすことが、私にとって大きなやりがいとなります」
E(例、具体例): 「昨年、私の祖母が終末期医療を受けていた際、看護師の方々がどのように患者とその家族に寄り添い、支えてくれたかを目の当たりにしました。その経験から、看護師として患者とその家族に最高のケアを提供したいと強く感じるようになりました」
P(再度ポイント、結論): 「私が看護師になった際は、患者一人ひとり健康と向き合いながら、その家族をも幸福にできるような医療を届けたいです」
このようにPREP法を使って構成することで、看護師になりたいという動機を明確かつ論理的に伝えることができます。
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新卒看護師の主な5つの就職先と特色を押さえよう
新卒看護師の主な5つの就職先
看護師といえば、まず真っ先に病院での勤務を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は看護師にはさまざまな就職先があります。看護師としてのキャリアをスタートさせるにあたって、どのような医療機関で働くかは、あなたの看護師生活に大きくかかわってきます。
病院やクリニック、専門病院など、それぞれの職場では働く環境や得られる経験が異なるので、志望動機を書くにしても就職先によってアピールポイントが変わります。就職先ならではの看護の特色を押さえておくことで、あなたの志望動機を、病院や施設独自の要素と絡めてアピールすることが可能になるのです。
ここからは新卒看護師の主な5つの就職先を紹介します。
総合病院・大学病院
総合病院や大学病院は、多様な医療分野をカバーし、看護師として幅広い経験を積むことができます。特に大学病院では、最新の医療技術や研究に触れる機会も多く、専門的な知識や技術を高めることが可能です。
総合病院では、さまざまな科での勤務が期待できるため、多岐にわたる患者のケアを経験することができます。ただし病院によっては、患者数が多く忙しい環境であることへの覚悟も必要です。
総合病院では病院内での配置換えも多いため、いろいろな診療科の看護について学びたい人に向いています。救命救急やICUなどの大病院ならではの看護業務に就くこともできるため、キャリアアップを目指したい人にもおすすめですよ。
専門病院
専門病院は、特定の医療分野に焦点を当てています。たとえば、心臓病専門、がん専門、小児科専門など、特定の領域に特化しているため、その分野に深い知識と経験を積むことができます。
専門病院で働くことは、特定の分野における専門性を高めたい看護師にとって理想的な環境といえます。
注意点としては、範囲が専門分野に限定されるため、他分野の経験を積む機会は少なくなることです。そのため専門病院は、希望の診療科のみに焦点を当てて就活をしたい人におすすめです。
- 専門病院に行くと将来的なキャリアの選択肢を狭めることになりますか?
選択肢を狭めるともいえるが自分にとって最善の選択をすることが一番
専門病院で働くと、前段で述べられているように、ほかの分野での経験を積む機会は少なくなる可能性があります。そのため、「専門病院に行くと将来のキャリアの選択肢が狭まる」という見方も一理あります。
しかし、特定の専門分野に深くかかわりたいという強い願望がある場合、特定分野での知識と経験を積みたいと考えることは自然です。そのような場合には、専門病院でキャリアをスタートするのが適していると考えられます。
一方で、幅広い医療分野の経験を望む場合は、異なる医療分野へのローテーションがある総合病院を検討してみましょう。
実務経験を積むうちに意見が変わることもあり、家族の転勤にともない数年ごとに異なる地域の病院で働くといった環境の変化が生じることも考えられます。長期的な可能性を視野に入れつつ、状況に応じて自分にとって最善の選択をしていくことが大切です。
クリニック・診療所
クリニックや診療所は、規模が小さく、患者との距離が近い環境での勤務が特徴です。一般的には、比較的落ち着いた勤務環境であり、患者一人ひとりとじっくり向き合うことができます。クリニックや診療所は、地域密着型の医療に重点を置いていることが多く、患者の日常の生活背景を踏まえたケアが求められます。
総合病院や大学病院に比べると、設備の充実度に欠けることがありますが、その分各患者に丁寧な医療を届けることができます。
診療所やクリニックは、定期的に来院する患者が多い特徴があります。ある程度の期間をかけて患者とかかわることで、生活習慣の改善などにも貢献できますよ。さらに、経過を確認できることからやりがいを肌で感じられるメリットもあります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、高齢者の看護や介護に特化した施設です。ここでは、高齢者の日常生活のサポートやリハビリテーションの補助、健康管理などが主な仕事となります。
老年看護の専門知識やコミュニケーションスキルが身に付き、長期的なケアを通じて患者と深い関係を築くことができます。また、家族との協力も重要となるため、看護師として家族支援の経験を積むことも可能です。
介護老人保健施設での仕事は、利用者やその家族から直接感謝される機会が多いため、やりがいを感じる人は多くいるでしょう。
多様な施設が存在していて選択肢が豊富なことから、高齢化が進む現代の日本において需要が高く、ほかの施設と比較して仕事を見つけやすいというメリットがあります。
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「この職種に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか学生時代に培ったスキル・経験を踏まえて伝えるのに苦戦する学生は多いです。
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(IT業界の場合)
保健所・保健センター
保健所・保健センターにおける看護師の仕事は地域住民と直接かかわりながら、幅広い年齢層や背景を持つ人々の健康を支えることです。予防医療や地域医療に関心がある看護師にとって、やりがいのある職場といえるでしょう。
予防接種や健康相談、感染症対策など、地域住民の健康増進にかかわる多岐にわたる活動をおこないます。公衆衛生看護師として、健康教育プログラムの企画や実施、疫学調査などに携わることもあります。
保健所・保健センターの業務では、自治体にもよりますがマタニティ教室や新生児訪問などで助産師と一緒に母子のケアにあたる場合もあります。
一人ひとりに向き合い、じっくりと看護することができ、地域医療に貢献できるのもメリットです。
看護師になりたいと思う理由を明確にする5つの方法
看護師になりたいと思う理由を明確にする5つの方法
志望動機において最も大切なことは、その仕事に対する熱量を感じられるかどうかです。看護師としてのキャリアを進める第一歩として、志望動機を作成する前に看護師という職業への情熱をわかりやすく言語化できるようにしておきましょう。
また、看護師になりたいと思う理由を明確にすることは、志望動機の作成に役立つだけでなく仕事におけるやりがいを見つけるためのヒントにもなります。この章では、看護師になりたいと思う理由を明確にするための方法を紹介するので参考にしてくださいね。
①看護師を目指したきっかけを振り返る
看護師を目指す最初のきっかけは、人それぞれ異なります。個人的な看護の体験や身近な人の影響、または社会的な問題への関心など、その理由は多岐にわたります。
この「初めて看護師になりたいと思った瞬間」を振り返ることで、看護師になるための原動力や情熱の源を再認識することができます。
看護師を目指したきっかけを振り返るためには、以下の3つの質問に回答してみましょう。
看護師を目指したきっかけを振り返るための3つの問い
- 看護師になりたいと初めて思ったのはいつで、その時何があなたを動かしたのか?
- 初めて(または印象に残っている)の看護体験はいつか?
- 印象的な看護師との出会いはあったか? またそれはいつ・どこでの出会いか?
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見る看護師になって何を実現したいかを言語化しよう
志望動機をつくろうと思っても「昔からの夢や憧れ」という理由で、ほかの学生との差別化ができずに悩んでいるのではないでしょうか。とはいえ、ほかの理由で志望動機をつくるのも難しいと感じてしまいますよね。
看護師の志望動機に悩む学生は「看護師になって何を実現したいのか」を考えてみると、ほかの学生と差別化ができてアピールにつながりますよ。
きっかけは「昔からの夢」であっても、実現したいことは人によって異なりますよね。さらに、看護師として働くことが前提の志望動機なので、前向きな姿勢をアピールすることができるのです。
具体性を含めて志望動機をつくろう
下記の例文のように、志望理由として看護師に憧れたエピソードを具体性を含めて語ることで、差別化しやすくなります。
「看護師になることで地元である◯◯市の健康促進の一助になりたく貴院を志望します」
看護師を目指したきっかけを振り返るだけでなく、看護師になって実現したいことも考えてアピールしましょう。
②実習中に感じたことを整理する
看護師になりたい理由は、実務経験の中で生まれる人もいます。現場で実際に働く中で、看護師の仕事の魅力や楽しさに気が付くパターンです。看護師を目指したきっかけをうまく思い出せない人は、実習中に特に印象深かった経験や学んだことを振り返り、それらを整理してみましょう。
まず、実習先での記憶に残る出来事をリストアップしてください。そして、その出来事を次の4つの視点から掘り下げてみましょう。
実習中に感じたことを整理するための4つの視点
- 自分は患者をどのように看護したのか?
- 自分は患者の家族にどのように接したのか?
- 他の看護師・医師とどのようにかかわったのか?
- その出来事から何を学んだのか?
さらに、実習中のうれしかったことややりがいを感じたことなどもピックアップしておくと、看護師を目指したきっかけのヒントが見つかりやすくなります。
志望動機が思いつかない人は、ツールを使うのが一番オススメ
・業界・職種ごとの志望動機がわからない人
・アルバイトやゼミで忙しい人
③自分が目指す看護師像を考える
看護師を目指すきっかけは、理想の看護師像の中に隠されていることもあります。現実の世界の具体的な人物から影響を受けることもあれば、ドラマや映画などのフィクションのキャラクターから看護師への憧れを抱いた人もいるかもしれません。
自分が目指す看護師像を考える際には、自分が目指したい看護師が持っている特徴や資質を考えてみてください。看護師にもさまざまなタイプがあります。たとえば、患者に対する深い共感力を持つ看護師もいれば、卓越した専門技術を持ち合わせる看護師も存在します。
自分が尊敬する、または憧れる看護師像を明確にすることで、自分自身がどんな価値観やスキルを身に付けたいかがはっきりします。
看護師としての自分の理想像を定めることは、看護師になりたいと思う理由を具体的にするだけでなく、看護師として今後のキャリアの中で磨くべきスキルを明確にすることにもつながります。
実際に働く人に話を聞くなら、OB・OG訪問がおすすめです。詳しいやり方はこちらの記事を参考にしてください。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
④自分の看護観について考える
看護観とは、看護に関する自分の考え方や姿勢を表現したものです。簡単に言えば、これは「自分がどのような看護師であることを望むか」ということを意味します。別の言い方をすれば、「自分の理想とする看護師の姿」や「看護師としての信条」とも言い換えられるかもしれません。
たとえば、看護観が「患者の不安や悩みに寄り添う看護を提供する」というものであれば、困難を抱える人々を支援することへの強い願いが、看護師になるための動機となっていると考えられます。
また、患者の健康を支援し病気を治療するだけでなく、「患者が安心して過ごせる環境を作り出すこと」に重きを置く考え方もあります。看護観を深く掘り下げることは、自分が看護師になりたい理由を明確にするうえで欠かせません。
あなたが看護師として何を患者に提供したいのかを考えると、看護師になりたいと思う理由が明確になるはずです。
- 自分の看護観が思いつきません……。
先輩看護師に話を聞いたりなりたい理由を深掘りしよう
家族や知人に看護師がいるなら「その人のどういった点が好ましいと感じているのか」、さらにそれが難しいなら、「なぜ看護師になりたいと思ったのか」を出発点に掘り下げていくと良いですよ。
出発点が決まれば、あとは連想ゲームのように考えていくと棚卸しがしやすくなります。
⑤病院や施設の理念との共感点を見つける
看護師になりたいと思う理由を言語化できない場合、病院や施設の理念との共感点を探ることも一つの有効な方法です。
看護師になりたいという明確なきっかけが見つからない場合、病院や施設が掲げる理念や目標、価値観を探ることで、自分の内面に響く言葉や思いを見つけ出すことができるかもしれません。病院や施設が大切にしている理念は、その医療機関の基本的な姿勢や看護に対するアプローチを示しています。
理念の内容は、患者中心のケア、医療の質の向上、地域社会への貢献など、病院によって多岐にわたります。これらの理念を深く読み解くことで、あなたが大切にしたい看護の価値や目指すべき方向性が見えてくるかもしれません。
構成に沿って看護師の志望動機を作成してみよう
憧れの看護師への志望動機となると、つい熱量が高くなり情報量が多くなってしまう人もいるかもしれません。志望動機に限らず、就活のアピールは論理性が命です。どんなに熱量があっても、内容がわかりにくければ良い志望動機とは言えないものです。
看護師の志望動機は構成に沿えば簡単に書けます。記事を読みながら、必要な情報をメモして内容を整理しましょう。
志望する病院とその理由を述べる
看護師としての仕事を探す時、志望する病院を選んだ理由をはっきりと伝えることが大切です。その病院が、あなたの目標や看護に対する考え方にどのように一致しているのかを明確にしましょう。
加えて、志望する病院で働きたいという理由を具体的に述べることで、あなたがその医療機関の特徴や強みを深く理解し、そこでどのように貢献しようとしているかを明らかにすることができます。これは、あなたが単に「看護師になりたい」という動機で面接を受けているのではなく、その病院での勤務に関心を持っていることへのアピールにもつながります。
一方で、理由が不十分な場合、志望動機が抽象的であると捉えられ、その病院について十分に理解していないと見なされるリスクがあります。最悪の場合、あなたがその職場に興味を持っているかどうかを疑問視される原因にもなりかねません。
志望動機の書き出しの考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。インパクトを残すために非常に重要な部分となるので、併せて参考にしましょう。
例文8選|志望動機の書き出しで本気度を見せ差別化する方法
具体的なエピソードを挙げる
看護師を志望する際に、実体験に基づいた具体的なエピソードを挙げることは、あなたの熱意を論理的に伝えることに役立ちます。
看護師のエピソードは具体性が命ですが、その分情報量が多くなりがちな傾向にあります。病院の専門分野や実習での学びも含め、対策なしに話をまとめようとすると、情報量が多すぎて収集がつかなくなる可能性が高いです。そのため、エピソードは次の3つのテーマからざっくり1つに絞るとわかりやすくなります。
実習経験
看護学生としての実習では、多くの貴重な経験を積む機会があります。この実習期間中に遭遇した特定の挑戦や成功体験は、あなたの看護師としての能力と適性を明確に示すのに役立ちます。
たとえば、患者とのコミュニケーションの重要性を学んだエピソードや、困難な状況での迅速な意思決定を経験した話などは、あなたが現場での実務に対してすでにある程度の理解を持っていることを示せるエピソードでもあります。
実習を通じて特に関心を持った医療分野や病気について伝えることもおすすめです。
志望動機に書く実習体験のエピソードは、実習中に看護師から学んだことや言われたことなどを交えるのがおすすめです。実習先と応募先が同じときには、ほかの職場には当てはまらないため志望する熱意がより伝わりやすくなりますよ。
看護師からのサポート体験
看護師の思いやりのあるケアが心に残り、それが看護師を目指すきっかけになった人もいるかもしれません。あなた自身が入院した話でなくても、家族への看護師のケアが心に沁みたという人もいるはず。
たとえば、病院で不安を感じている中、家族に適切なケアをしてくれた看護師との出会いから医療のプロにサポートされている安心感を得られたエピソードなどです。病気やケガに関する知見がないからこそ感じる不安を、看護師の配慮や何気ない言葉が和らげてくれた経験がある人は多いのではないでしょうか。
このように、施設や病院内での看護師のサポートに関する具体的なエピソードを通じて、あなたが看護師のどんな姿に感銘を覚えたのかを志望動機に盛り込むことができます。
身近な人の看護経験
もし身近な人が看護師であれば、その人の日々の経験からあなたが感じたことを志望動機に盛り込むのもおすすめです。
家族や友人の看護師としての体験談や、仕事に対する姿勢から学んだ教訓を共有することで、看護師という仕事に対するあなたの考え方を伝えることができます。憧れの看護師として身近な人を挙げ、エピソードと絡めながら自分の看護観を語るのも一つの手です。
ただし身近な人の看護経験を盛り込む場合は、あくまで話の主体はあなたであり「自分がどう感じたのか」ということを説明することを忘れないでください。
入職後の活躍について具体的に述べる
看護師としての仕事を求める時、面接で自分が入職後にどのように活躍するかを具体的に話すことが大切です。志望動機の締めのパートは、採用担当者にあなたがその病院での仕事に真剣に取り組む準備ができていることを示すメッセージでもあります。
入職後の活躍について話すときは、自分がどのように看護師として成長し、病院に貢献したいかを具体的に説明しましょう。たとえば、特定の医療技術を学ぶ計画や、患者のケアをどう改善したいかなどを話すのが有効です。
また、患者一人ひとりのニーズに合わせてどのようなケアを提供するか、信頼関係をどう築くかなどでまとめるのも良いかもしれません。
志望動機の締めでは、自分がその病院で具体的にどのような役割を果たし、どのように成長していきたいかを伝えましょう。文字数や時間に余裕があれば、看護師として学び続け、スキルアップするための意欲を示すことも効果的です。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見る過去の経験を含めた理想の将来像をアピールすることで差別化が図れる
「患者さんに寄り添った看護をしたい」「患者さんの家族を支えたい」といった「想い」の部分も重要であり、具体的に述べることができるならそれでも良いと思います。
しかし、学校で学んだことや自分で研鑽を積んで得た知識などを踏まえ、自分がどのように活躍したいと思っているかを伝えるのも大切です。
・BLSやACLSなどの資格を取得し、救急看護の場で活躍したい
・自分や家族の経験から、緩和ケアを学び認定看護師になって活躍したい
このような資格取得を掲げるのも一つの方法です。
それぞれの病院の特色に沿った志望動機で熱意を示そう
病院の特色に合わせた志望動機を記載するのも良いでしょう。
私は仕事柄多くの病院を訪れていますが、総合病院でも個人病院でもその特色はさまざまです。
最近訪れた病院では以下の特徴がありました。
・SDGsの中でも特に環境に特化し、地域医療と環境保全に努める病院
・患者さんが癒される環境としてアートに特化した病院
こうした特色を押さえておくと採用担当者にも好印象です。
総合病院を希望する人は、具体的に希望する診療科を挙げて「なぜその科を希望するのか」「どのように活躍したいか」も示すことで他者より高い熱意をアピールでき、配置のミスマッチを防ぐ意味でも有効ですよ。
BLSとは
Basic Life Supportの略称。心肺停止、呼吸停止への一次救命処置
ACLSとは
Advanced Cardiovascular Life Supportの略称。二次心肺蘇生法であり、高度な処置を指す
志望動機の締め方はこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介
要注意! 看護師の志望動機に含めるべきでない内容は?
要注意! 看護師の志望動機に含めるべきでない内容は?
- 特定の診療科への配属希望を強調しすぎる内容
- 看護師への憧れにフォーカスしすぎた内容
- 立地や福利厚生に焦点を当てた内容
看護師としてのキャリアを目指す際、志望動機は重要な役割を果たしますが、適切でない内容を含めてしまうと、あなたの印象を損ねる可能性があります。
どんなに熱意がある志望動機だったとしても、実際の看護業務への理解がともなっていないと、浅はかな印象を与えかねません。この章では看護師の志望動機に含めるべきでない内容について解説します。
特定の診療科への配属希望を強調しすぎる内容
看護師として自分の希望する診療科で働くためには、はっきりと自分の意向を伝えることが必要です。面接や入職前の面談の際に、どの診療科で働きたいかを明確に話しましょう。
専門性の高い診療科で働きたい場合は、その分野に特化した専門病院を選ぶという選択肢もあります。ただし希望を伝えたとしても、必ずしも希望通りの診療科に配属されるわけではありません。
そのため、下記のような特定の診療科への配属希望を強調しすぎる内容は、要望が通らなかった時にミスマッチになることを懸念されるかもしれません。
特定の診療科への配属希望を強調しすぎるNG例
私は子どもが大好きなので、絶対に小児科で働きたいと思っています。子どもたちの笑顔を側で見ることができる仕事に就くことが、私の昔からの夢でした。医療を通じて病気に苦しむ子どもたちにできる限りのことをしたいという想いから、小児科で働くことを強く希望しています。
異なる診療科に配属された場合でも、ポジティブな姿勢で取り組むことが重要です。どの診療科でも、看護師として必要な基本的なスキルや経験を積むことができ、新人看護師にとって価値ある学びになると捉え、特定の部署を強調しすぎないことが無難です。
- どうしても希望の診療科があります。上手に伝える言い回しやフレーズはありますか?
将来的にチャレンジしたいことを伝えよう
希望が強すぎるとマイナス印象になるとわかっていても、希望を伝えたうえで採用されたいと思いますよね。希望する診療科がある学生は、「将来的には◯◯科で経験を積みたい」とアピールしましょう。
ただし、始めに伝えると希望が強すぎると捉えられてしまいます。志望動機の最後で、「採用された際には、将来的にチャレンジしたい」と伝えると自然にアピールができますよ。
看護師への憧れにフォーカスしすぎた内容
看護師になりたいという憧れを志望動機として挙げることは、確かに一つの有効なアプローチですが、この点にのみ焦点を当て過ぎることは避けた方が良いでしょう。
看護師としての仕事に対する夢や憧れを語るだけでは、具体的な職業への理解が欠けていると見なされかねません。「看護師になりたい」という一言には、それを実現するための具体的な計画や現実の看護業務への準備がともなっているべきです。
看護師への憧れにフォーカスしすぎたNG例
小さい頃から看護師に憧れていました。白衣の天使と呼ばれる看護師の姿がとても素敵に見えて、自分もそうなりたいとずっと思ってきました。ドラマや映画で見るような、患者さんと深い絆を結び、感動的なエピソードを作るのが私の夢です。
看護師として働くことを夢見るのは素晴らしいことですが、その夢を現実のものにするためには、看護業務の具体的な側面を理解し、それに対して自分がどのように取り組むかを明確に示す必要があります。
どのような医療現場でどのような役割を果たしたいのか、自分の看護観や専門性をどのように病院や患者のために活かせるのかを具体的に考えることで、憧れだけでなく現実的な看護師像を描くことができます。
待遇面に焦点を当てた内容
志望動機を述べる際には、待遇面だけに焦点を当てることは避けるべきです。
待遇面に焦点を当てたNG例
・給与が良いから
・休日が多いから
・残業が少ないから
・家から近いから
上記のような内容は確かに就職先を選ぶうえで重要な要素ですが、あなたが給料や労働条件のみに興味を持っているように見え、「他にもっと良い条件の病院があればそちらに入職するのではないか」などと懸念されることがあります。
どうしても待遇に関する要素を志望動機として伝えたい場合は、それが看護師としてのキャリアや専門性を向上させるための一環であることを明確にしましょう。
たとえば、「この病院は家から近く、自己研鑽の時間を確保できるため、長期的なキャリア構築に適していると感じた」といった形で表現すると、あなたが看護師としての成長を意識した、熱意のある学生だということが伝わります。
- 選考に落ちてしまう看護学生の志望動機にはどんな特徴がありますか?
病院の特色に沿った内容がゼロだと印象は薄くなる可能性がある
エントリーシート(ES)に含めないことで即不採用につながるわけではありませんが、病院の特色が含まれていないと、同じ内容を複数の病院に送っていると捉えられ、評価されにくくなるケースがあります。
看護師だけではありませんが、就活のESの中には企業の特徴にマッチした内容を記載するようにしましょう。
例文10選! 病院や施設の特色に合わせた志望動機を書こう
例文10選! 病院や施設の特色に合わせた志望動機を書こう
看護師の志望動機で書くべき内容やテンプレートがわかっても、いざ書こうとすると筆が進まない学生もいるかもしれません。また、実際に書いてみたもののこれで良いのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。
看護師の志望動機を書くときは自分の希望する施設や病院の内容を調べながら、例文を参考にブラッシュアップをすることが大切です。自分ならどういう内容になるか考えながら、アドバイザーのコメントと併せて確認しましょう。
総合病院・大学病院の例文①
総合病院・大学病院の例文①
私が貴院を志望する理由は、患者さんたちのために丁寧なケアをおこなう貴院の看護師の献身的な姿に深い感銘を受けたためです。
特に印象深かったのは、一人の患者さんが手術後に抱える心理的・身体的な不安を軽減するため、細やかなケアと励ましの言葉がどれほど重要かを学んだことです。貴院が提供する多岐にわたる医療サービスと、患者さん一人ひとりに寄り添うケアの実践は、私が目指す看護師像と完全に合致しています。
貴院の心臓外科での実習経験を通じて、患者さんの複雑なニーズに対応する深い理解を得ました。
この経験から、貴院のような多様な医療ニーズに対応できる環境で働くことが、私の専門性を磨くために不可欠であると強く感じています。
将来的には、貴院での経験を活かして、急性期から回復期までの患者ケアにおいて、より効果的な介入と支援を提供する看護師になることを目指しています。
総合病院や大学病院は設備が整っていることや先進的な医療に携われることがメリットです。このようなメリットがなければ実現したいことが達成できないという内容を伝えると、ほかの病院には当てはまらない志望動機がつくれますよ。
総合病院・大学病院の例文②
総合病院・大学病院の例文②
私が貴院を志望する理由は、母が長年看護師として勤めてきた経験に大きな影響を受けたからです。
母は看護師としてさまざまな病棟で働き、多くの患者さんとその家族のケアに情熱を注いできました。
彼女の話から、看護師の仕事がただの医療行為以上のものであること、患者さん一人ひとりに対する深い理解と共感が不可欠であることを学びました。特に母が小児科で働いていた時の話は、私に強い印象を残しました。
私は実習の中で、子どもたちが直面する特有の課題と、それに応える看護師の役割の重要性を痛感しました。そのため貴院のような大学病院で働くことで、母のような質の高い看護を提供し、患者さんとその家族に安心とケアをもたらす看護師になりたいと思っています。
貴院での経験を通じて、看護師としての専門性を高め、母が私に示してくれたような献身的なケアを実践したいと考えています。
母親が看護師であったことから自身が看護師を目指すというストーリーは具体性があり、説得力がありますね。
実習について触れていますが、説明がやや抽象的なため、読み手に強く印象付けるためにこちらにも具体的なエピソードを盛り込むと良いでしょう。
専門病院の例文①
専門病院の例文①
私が看護師として貴院を志望する理由は、看護学生時代におこなった老年看護の実習経験がきっかけです。私は実習の中で、ある高齢の患者さんのケアに携わりました。彼女は認知症を抱えており、日々の生活に一貫性と安心感を提供することが必要でした。
私は彼女の過去の趣味や好きな音楽を取り入れたケアプランを作成し、それが彼女の日常に穏やかな安らぎをもたらすことを目の当たりにしました。
私は、完治へのサポートももちろん大切ですが、看護師に必要なのは病気の辛さに寄り添う心と個性に応じたケアだと考えています。この経験から、認知症の患者に特化した貴院での勤務は、私が追求したい看護の道であり、ここで私の専門知識と技術をさらに深めたいと考えています。
実習や私生活で専門分野に関する経験があれば、その点を含めてアピールしましょう。
もしなければ、なぜ目指そうと思ったのかを「憧れ」ではなく、具体的に記載するのが大切です。憧ればかりが見える志望動機は、現場に入った際のギャップから離職につながると思われてしまう可能性があります。
専門病院の例文②
専門病院の例文②
私が専門病院での勤務を希望しているのは、がん看護に対する深い関心からです。私は大学での学びを通じてがん患者さんへのケアに関する知識を深め、特に若年層の患者さんへの精神的サポートの重要性に焦点を当ててきました。そして実習中、ある若い女性がん患者さんとのかかわりが、この分野への情熱をいっそう強めました。
彼女が治療の不安と闘っているのを見て、私たちは彼女の感情を支えるために、定期的なカウンセリングセッションを設け、彼女の不安を軽減するためのストレス管理テクニックを共有しました。
また先輩看護師に助けてもらいながら、彼女の家族との関係をサポートするために、家族向けのセッションをおこなったことも学びになりました。この経験から、がん看護においては当事者だけでなく、家族のケアも重要であることを痛感しました。
先進的ながん治療を提供し続けている貴院であれば、がん患者さんへのより専門的で個別化されたケアを支援できると思っています。大学での学びを活かして、貴院の一員としてがん治療へのケアに向き合っていきたいです。
実習での経験が具体的に書かれているだけでなく、採用された後に実現したいことが明確に書かれている良い例文です。
より差別化を図るなら「ストレス管理テクニック」などを具体的に説明すると、経験したことの説得力が高まります。可能な限り具体化することを意識しましょう。
クリニック・診療所の例文①
クリニック・診療所の例文①
私がクリニックでの勤務を希望する理由は、以前怪我をした時に診療所で受けた看護の経験が大きく影響しています。
その時、担当だった看護師が私の心配や疑問に対して、親身になって耳を傾け、治療の各ステップを丁寧に説明してくれました。この経験から、個々の患者に寄り添い、彼らの不安を軽減する看護の力を実感しました。
クリニックでは、このような細やかなケアを日々の実践に移し、患者さん一人ひとりに合った治療計画を提供できると考えています。将来的には、貴クリニックでの経験を活かし、患者さんの生活全般にわたるケアを提供し、地域の健康支援にも積極的にかかわりたいと考えています。
事前にクリニック・診療所について十分理解していることを示しておくと、好感が持てる内容になります。上記の例文では長期的な視点でキャリアを捉えていることが伝わり、良い印象ですね。
クリニック・診療所の例文②
クリニック・診療所の例文②
私がクリニックや診療所での勤務を選ぶ理由は、幼少期に受けた近所のクリニックでの経験に由来します。
子どもの頃、喘息でたびたび診療所を訪れる機会があり、そのたびに看護師の方々が示す温かいケアとサポートに心を動かされました。特に、発作で苦しい時も看護師が私の症状を詳細に聞き取り、安心できる説明をしてくれたことは今でも鮮明に覚えています。
このような経験から、患者さんとの密接な関係を重視するクリニックの環境で働くことが、私の看護師としてのキャリアにおいて理想的だと感じています。
貴クリニックでの勤務を通じて、一人ひとりの患者さんに合わせたパーソナライズされたケアを提供し、長期的な健康管理と疾患予防のサポートに尽力したいと考えています。
経験から感じたこと、それを踏まえて自分がどういった看護がしたいのかまで明確に記載されていて、良い例文だと思います。
自分の経験を理想化するのではなく、このようにしっかりと現実に落とし込む文章は好印象ですよ。
介護老人保健施設の例文①
介護老人保健施設の例文①
私が介護老人保健施設での勤務を志望するのは、大学での老年看護学の講義と、それに続く実習経験が深い影響を与えたからです。講義では、高齢者の方々が直面するさまざまな健康問題、特に認知症や慢性関節炎などの疾患に対する看護のアプローチを学びました。
実習では、ある先輩看護師の認知症の患者さんとのかかわりが印象的でした。先輩の日々のケアは、患者の記憶力の低下に対応しながら、患者の尊厳を守り、穏やかな日常を提供するようなケアでした。
この経験から、私は高齢者の方々の心身の健康を支えることに情熱を感じるようになりました。貴施設での勤務を通じて、患者さん一人ひとりに合ったケアを提供し、彼らの生活の質を高めることに貢献したいと考えています。
介護老人保健施設の志望動機では、患者にどうなってほしいのかが明確だと好印象になりますよ。応募した施設のビジョンに合った実現したい内容であれば、ほかの施設に当てはまらない志望動機になり、より好印象が与えられます。
介護老人保健施設の例文②
介護老人保健施設の例文②
介護老人保健施設での勤務を希望するのは、祖母が老人保健施設で過ごした時の経験が大きな影響を与えているからです。祖母は施設で過ごす間、看護師やケアスタッフの方々の献身的なケアによって明るい毎日を送ることができました。
看護師の皆さんの優しさが祖母の心身の健康を支えていたことはもちろんですが、看護師の方々のおかげで私たち家族も安心することができました。祖母の様子が不安定な時にも励ましの言葉をかけてくれたことで、ネガティブな感情にとらわれずに介護と向き合うことができたと思っています。
この経験から、私は高齢者の方々に寄り添い、彼らの健康と幸せを支える看護師になりたいと強く願うようになりました。貴施設では、このようなケアを日々の実践に移し、高齢者の方々の人生の晩年を充実したものにするために尽力したいと思います。
個人的な経験をもとにわかりやすい言葉で述べられていて、理解しやすい文章になっていますね。看護師として、この施設の理念や方針にどのように貢献できるか実例や具体的なケアについても言及できるとさらに良くなると思います。
保健所・保健センターの例文①
保健所・保健センターの例文①
保健所で働くことを志望する理由は、大学の公衆衛生の講座で地域の健康支援に対する課題に取り組んだことがきっかけです。講座の中で、高齢者の健康をテーマにした地域イベントでのボランティアをおこないました。
それまでは、病院やクリニックでの勤務を希望していたのですが、適切な健康情報と地域に根付いたサポートが子どもたちや高齢者の生活の質をいかに改善できるかを実感しました。
保健所での仕事は、病院やクリニックとは異なる角度で公衆衛生に携われる仕事だと思っています。大学卒業後は地域住民の健康促進活動を展開し、特に高齢者や若い世代への予防接種プログラムや健康教育に取り組みたいと考えています。
保健所や保健センターは予防看護が中心で、研修の実施やアドバイスをすることが求められます。これらの資質があることを伝えるために、自ら勉強会を実施したことやアドバイスをしたことを盛り込むと好印象になりますよ。
保健所・保健センターの例文②
保健所・保健センターの例文②
私が保健センターでの勤務を希望するのは、母子が心から安心して生活できる環境を作りたいという願いからです。
実習で訪れた地域の母子保健センターで、妊婦や新しい母親たちに栄養と健康に関するアドバイスをおこなった経験が、私の看護観に影響を与えました。そこで触れたのは「子どもの成長に寄り添いたい」というさまざまなバックグラウンドを抱えたお母さんたちの想いでした。
看護師はさまざまな患者様に寄り添いますが、そこでの経験から、私が本当に携わりたいのは、母子を守る予防医療や健康教育であることに気がつきました。
保健センターで働くことが決まった際には、母子で参加できる健康教育活動をさらに発展させ、特に子どもとその家族の健康管理に焦点を当てたプログラムを実施していきたいと思っています。
おおむね良い文章だと思いますが、実習の際の母親や実習先の人の生の声やエピソードが加われば、より具体的で伝わりやすい文章になります。
この例文は少し一般的で誰にでも当てはまる印象があるので、より具体的なエピソードを絡めて自分の考え方が伝わるようにしましょう。
志望先の病院らしさが伝わる志望動機で看護師を目指そう
ここまで、看護師の志望動機を作るうえで理解しておきたいことを網羅的に解説してきました。看護師の志望動機で大切なのは、あなたがなぜ看護師を目指したのかを徹底的に深掘りし、内容にオリジナリティを出すことです。
大学の講義や実習、個人的な体験など、具体的な経験を反映させた志望動機は、きっと病院や施設から見ても魅力的に映るはずです。
志望動機の作成は、あなたの夢を叶える第一歩でもあります。病院や施設の特色や方針を確認しながら、「看護師になりたい」という強い想いを、文章で丁寧に伝えていきましょう。
アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見る自分と真摯に向き合って志望動機を作成しよう
「看護師になりたい!」と初めて思ったのはいつでしょうか? その想いを実現させていくために、学校選びや、学校での講義・実習などさまざまな学びや経験を積み重ねてきたことだと思います。
志望する病院や施設によって働く内容には幅があります。働く場所の特色を押さえながら、丁寧に志望動機を書いてみてください。
1日の中で働いている時間はとても多くを占めるため、仕事は自分の人生を変化させる大切なものでもあります。日々の忙しさの中から立ち止まって今までを振り返り、これからの未来やキャリアに想いを馳せて、志望動機と向き合ってみてください。
志望動機を一通り書き終えたら、ぜひ声に出して読んで、自分の耳にじっくり自分の声を聞かせてあげてください。いつだって自分の1番の味方は自分自身です。
自分がしっくりくるかどうか、心の奥底の声に耳を澄ましながら納得いくまで向き合ってみてください。世の中には多くの病院や施設、活躍の場があります。ぜひ、納得のいく環境で活躍してください。
作成した志望動機は立ち止まったときに振り返る原点になるはず
念願の看護師として働き始めてからも、手術の緊迫した瞬間や、亡くなる人に向き合うこと、夜勤やたくさんの覚えることなどに囲まれ、肉体的にも、精神的にも大変な場面と向き合う日が来るかもしれません。
そんなときは、折に触れ、今回作成した志望動機を読み返してもらえたらと思います。志望動機は病院や施設だけでなく、過去の自分から未来の自分へのメッセージになりますよ。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事
Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
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