貿易事務の志望動機を書きはじめたときに、「自分の経験と強みを活かした志望動機がうまく書けない」「誰でも書けそうな内容になってしまう」などと悩んだ人も多いのではないでしょうか。
英語が得意で、ただ語学力を活かせる事務の仕事をしたいだけの志望動機では、面接官へあなたの熱意は十分に伝わりません。志望動機は、実際の仕事を理解したうえで、自分のスキルや今までの経験をアピールするようにしましょう。
記事では、キャリアアドバイザーの古田さん、沖さん、高尾さんのアドバイスを交えつつ貿易事務の志望動機の書き方について解説します。貿易事務の志望動機に何を書けば良いか悩んでいる人はぜひ読んでみてくださいね。
就活対策おすすめツール・資料ランキング
貿易事務の志望動機は実務の理解と語学力のアピールが重要!
志望動機では、採用担当に入社後の活躍イメージを持たせるためにも、貿易事務の仕事を通して企業にどう貢献できるのかを伝える必要があります。そのイメージが具体的であるほど再現性が高いと判断され、より採用に近付くことができるでしょう。
そのため、「英語を使った仕事がしたいから」という気持ちだけをアピールしても、書類選考は突破できないでしょう。なぜ貿易事務を選んだのか、企業への関心や入社後に貢献できることをしっかりと伝える必要があります。
記事では、最初に貿易事務の仕事内容を詳しく説明します。まずは志望動機を書くうえで必要な基礎知識を身に付けましょう。その後に自分の強みや、熱意が伝わる志望動機の書き方について例文を使って説明します。
この記事を読むことで、周りと差別化できる志望動機が書けるようになるので、事前に確認して貿易事務の選考を突破してくださいね。
そもそも貿易事務とは? 働く環境別のおもな仕事内容
まずは貿易事務の仕事内容を確認して、志望動機の内容を考える準備をしていきましょう。
仕事の中身を把握していないと熱意が伝わる志望動機にはならないので、仕事内容を細かく確認し、より説得力のある志望動機が書けるようにしましょう。
商社:商品の輸出入/関連する契約業務
貿易事務の就職先として、一つは商社が挙げられます。商社とは、売り手と買い手の会社の取引仲介役をおこなう仕事です。商社で働く貿易事務の仕事内容は以下の通りです。
商社における貿易事務の3つの仕事内容
- 商品を海外メーカーから日本に輸入
- 商品を日本から海外へ輸出
- 輸出入の契約手続き業務
商社で働く貿易事務の最大の特徴は、業務の幅が比較的狭いことです。特に大企業だと、仕事内容が細かく分類されていることも多く、書類作成のみ・商品の輸出入のみなどの場合も多くあります。
しかし、商社は取り扱う商品の数や顧客数も多いため、マルチタスクは少なくても仕事自体は忙しいところが多いでしょう。1つの仕事に集中して取り組みたい方は、業務が細分化され自分のスキルを活かしやすく会社の規模が大きい商社がおすすめです。
沖 英子
プロフィール総合商社に就職した場合、会社としての業務は企業の規模によってとても広くなりますが、一社員の業務範囲は、何の商材を扱うか、どこの国を担当するか、何の業務を担当するかなど、限定される可能性が高いです。
商社に特化した志望動機の対策法が知りたい人は以下の記事もおすすめです。仕事のプロであるキャリアコンサルタントが商社の人事を唸らせる志望動機の書き方を解説しています。
総合商社・専門商社別の志望動機例文10選|必須の対策4選も解説
総合商社への就職を考えている人は以下の記事も参考にしてみてください。詳しい仕事内容から7大商社との違いまで解説しています。
総合商社の仕事が丸わかり! 7大商社の違いと就活術もプロが解説
AIツールなら業界・業種に合わせた
志望動機が簡単に作れます!
「この職種に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのかを明確な根拠をもとに考え、伝えることが苦手な学生は多いです。
無料の「AI志望動機作成ツール」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、志望する業界・職種ごとに選考通過率が高い志望動機が作れます!
たったの3分で作成可能なので、まずは試してみてください
メーカー:自社製品の輸出入/在庫管理
商社のほかにも、貿易事務の就職先としてはメーカーも一般的です。メーカーとは製品を生産・製造する企業のことで、メーカーで働く貿易事務の仕事内容は以下の通りです。
メーカーにおける貿易事務の5つの仕事内容
- 自社製品の輸出
- 工場への出荷依頼
- 商品の在庫管理
- 輸送手段の手配
- 海外輸出のための許可取り
メーカーで働く貿易事務の最大の特徴は、国境を超えたやり取りが多い点です。海外メーカーで作られた自社製品を日本へ逆輸入し他国に輸出したり、資材の輸出入をしたりなど多くの国とのやり取りが必要になります。
他国とのやり取りが多い分、英語でのコミュニケーション能力が求められるため、英語に自信がある人はメーカー勤務に向いているといえるでしょう。
メーカーの貿易事務は、モノづくりの現場に非常に近い立場で、グローバル展開するビジネスの最前線を経験できるというやりがいがあります。
一方で、正確な業務遂行力と迅速な判断力、高い語学力が求められ、ときに緊急対応なども必要となる、責任の大きな仕事でもあるのです。
メーカーを志望しようと考えている人には以下の記事がおすすめです。多くの就活生の志望動機を見てきたキャリアコンサルタントがメーカーの志望動機を魅力的にする方法を徹底解説しています。
16例文付き! メーカーの志望動機が誰でも作れる5ステップを解説
物流:商品の運送/書類作成
「貿易」という言葉からも想像できるように、物流会社も貿易事務の就職先の候補の一つです。物流とは商品が消費者の元へ届けられる「モノの流れ」を指します。物流で働く貿易事務の仕事内容は以下の通りです。
物流における貿易事務の3つの仕事内容
- 関連会社同士の調整や交渉
- 商品の輸送手段の手配
- 貨物の数量や価格などの書類作成
物流で働く貿易事務の特徴は、輸出入に伴う貨物輸送の最善ルートの提案まで担う点です。そのため、ほかの企業の貿易事務に比べてスケジュール調整力やイレギュラーへの対応力がより求められます。
また、ベストなルートで輸出入を円滑に進めるためには、ルートの改善や提案のようなコンサルティングの役割も担わなくてはなりません。正確な作業や作業の効率化が得意な人はより現場で重宝されるでしょう。
たとえば、東日本大震災のときには、すべての輸送機関に影響が出るなど、物流は天候や災害、国の情勢などの影響を受けやすい部分があります。そのため、トラブル予測が欠かせない、一般事務にはない感覚が求められます。
物流業界の志望動機についてより詳しく対策したい人は以下の記事を参考にしてみてください。あらゆる就活生をサポートしてきたキャリアコンサルタントが物流業界の人事に刺さる志望動機の書き方を解説しています。
例文8選|物流業界の志望動機は2つのコツで差別化しよう
貿易事務を目指す中で、海運業界の動向を詳しく知りたい人は以下のQ&Aがおすすめです。海運業界への就職を目指す人に対してキャリアコンサルタントがわかりやすくアドバイスしています。
まだ志望動機で悩んでいる人はAIツールを活用して完成させよう!
「この業界に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか相手により伝わるように説明できないと悩む学生は多いです。
そのなときは無料の「AI志望動機作成ツール」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、納得感のある志望動機が完成します。
ぜひ活用して、志望業界の選考を突破しましょう。
貿易事務を目指すうえで持っておきたい基本スキル
貿易事務のおもな就職先での仕事内容を把握しましたが、実際にどんなスキルが現場では役に立つのか疑問に思う人も多いと思います。
結論から言うと、語学力やコミュニケーション能力はどんな企業の貿易事務でも必須となるスキルです。志望動機を考えるうえで、エピソードとしてアピールする人も多いので、より具体的に、自分だけの言葉で書けるように参考にしてみてくださいね。
語学力
海外とのやり取りが多い貿易事務では、語学力が必須です。企業で取り扱う書類業務は英語で書かれていることが多く、顧客対応の電話やメールも英語が必要となる場面が多いからです。
たとえば、語学力が備わっていないと書類や提出物がすべて英語で記載されていた際に意味が理解できずに、業務が滞ってしまう場合があります。
中には英語をあまり必要としていない企業もありますが、基礎的な語学力が備わっていないと、どうしても就職先が限定されてしまうのも事実です。
また、会社によっては応募条件としてTOEICの点数を重要視している会社も多いので、貿易事務の仕事では語学力は必須となるでしょう。
- どのくらいのレベルなら語学力があるとアピールして良いのでしょうか?
TOEIC800点以上の英語力や語学留学などがアピールとして有効
ビジネスレベルの英語力が最低条件となるため、TOEICの点数でいうと、最低700点以上、できれば800点以上が望ましいでしょう。
読み書きだけでなく、リスニング・会話力も重要になるため、TOEICを受験する際には、「TOEIC Listening & Reading Test」だけではなく、「TOEIC Speaking & Writing Tests」を受験し、アピールすることも有効です。
また、英語だけではなく取引先の現地語ができることもアドバンテージになりますので、基礎会話から読み書きまでできる中級レベルであればアピールポイントになるでしょう。
実践力の証明として、語学留学の経験などもアピールポイントになります。
コミュニケーション能力
貿易事務は交渉方法や契約形式などが異なる海外企業の人や、社内の営業担当者、通関業務を代行するフォワーダーなど、さまざまな立場の人と話す機会が多いためコミュニケーション能力も必須です。
特にコミュニケーション能力の中でも、輸出入ではスケジュール管理や臨機応変さ、現場では交渉力も重要視されます。
海外での売り上げが全体の売り上げの半数以上を占める企業も多く、より海外企業との取り引きが多くなるため、異なる価値観を受け入れつつ臨機応変な対応ができるコミュニケーション能力が重要です。
特別な動機がなくても大丈夫!
ツールを使えば魅力的な志望動機が作れます
「この職種に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか学生時代に培ったスキル・経験を踏まえて伝えるのに苦戦する学生は多いです。
無料の「志望動機作成ツール」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、自分の強みをいかして採用したいと思わせる志望動機が3分で完成します。
ぜひ活用して、志望企業の選考を突破しましょう。
(IT業界の場合)
自分の強みと照らし合わせよう! 貿易事務に向いている人の3つの特徴
貿易事務に必要な基本スキルを理解したうえで、併せてどんな人が貿易事務に向いているのかも把握しておきましょう。
ここでは、貿易事務に向いている人の特徴を3つ紹介します。自分の強みや性格と照らし合わせながら、貿易事務に向いているのか確認していきましょう。
①スケジュール管理が得意な人
貿易事務は複数の仕事を同時に進めることが多く、それぞれに厳密な期限が決められているため自分でスケジュールを管理しなければなりません。
仕事のスケジュール管理ができないと、期限までに提出する資料が間に合わず、輸入や輸出が滞ってしまうだけでなく、取引企業からの信頼もなくなってしまいます。
このように仕事を計画的に滞りなくおこなうためには、綿密に計画を立てて優先順位をつけられるスケジュール管理能力が必要になるのです。
②几帳面な人
貿易事務に求められる几帳面さは、各種資料のデータ入力などを丁寧にこなす能力です。荷物の個数や納期のデータを入力しなければならないため、ケアレスミスが生じてしまうと大きなトラブルにつながる可能性があるからです。
細かい仕事や単純な仕事は、小さなミスが生じてしまいやすいですが、どんな仕事でも丁寧に責任を持ってやり抜ける人が貿易事務に向いているでしょう。
- 几帳面をうまくアピールできず、ネガティブな方に捉えられてしまいます……。
伝え方を工夫してマイナスな印象を回避しよう
几帳面さをアピールする際にネガティブな印象を持たれてしまう原因は、神経質すぎたり、こだわりが強すぎたりする内容になってしまい、「協調性に欠けるのでは?」と思われてしまう点にあるように感じます。
ネガティブな印象を与えないようにするためには、主観的な意見だけでなく、客観的な意見として、「几帳面なおかげで助かったと言われたことがある。」など、第三者の評価を伝えるようにしてみましょう。
また、几帳面な人は仕事が丁寧ゆえに遅いと思われてしまうこともありますので、仕事では時間の管理に対しても几帳面であるというエピソードもあるとよいでしょう。
③先読み力のある人
貿易事務の仕事をするうえで、輸出・輸入間でのトラブルや悪天候によるトラブルの発生は十分に考えられます。
そのためトラブルがあった場合のことを考慮し、起こりうるリスクを想定しながら仕事を進められるような人は、より現場で能力が活かされるでしょう。
また先を読んで行動することに加えて、予測したトラブルを避けてリスクヘッジができる人は、より選考でもアピールできますよ。
キャリアコンサルタントに聞いた! 貿易事務で評価されやすい素養って何?
貿易事務に向いている人の特徴として、スケジュール管理が得意な人や几帳面で先読み力のある人が挙げられました。
とはいえ、この3つが本当に貿易事務の実務で活かせる能力なのかも気になりますよね。今回はキャリアコンサルタントの高尾さんに、貿易事務の実務で活かせる能力について伺いました。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見るコミュニケーション能力や計画性などさまざまな素養が求められる
貿易業務は、企業の製品や商品の出荷に直結する重要な役割を担っています。
遅延やミスが許されないことや、輸出入に関する法規制遵守の必要性、トラブル発生時には迅速な判断と適切な対処が求められること、納期やリードタイムに遅れが出ないよう対応する必要性などから、高い緻密さや計画性が求められる業務です。
一方で、さまざまな立場の間での利害関係の調整が求められ、さまざまな立場の人と円滑にコミュニケーションをおこなう柔軟性も求められます。大きな金額を調整するうえでは、クライアントだけではなく、社内での円滑なコミュニケーションも必要になるでしょう。
自分自身で仕事への捉え方を工夫してやりがいを見つけよう
自分の業務がグローバル展開する企業の信用に直結していることを自覚し、常に高い緊張感と責任感を持って業務に当たる必要があります。
そうしたプレッシャーのなかでも楽しさを見いだしたり、やりがいのある仕事と捉え、前向きに取り組めるかどうかも、非常に重要なポイントです。
志望動機に盛り込みたい貿易事務ならではの3つのやりがい
これまで貿易事務に向いている人の特徴や実務に活かせる素養について解説しました。しかし、自分の強みとはマッチしていても、「貿易事務だけの価値」がわからないという人もいるのではないでしょうか。
貿易事務だけの魅力がわからないのは、やりがいが想像できていないからかもしれません。その仕事だけのやりがいを入れ込むことで、志望動機に深みが出るうえに、企業にも「モチベーションが高い人」という好印象を残せる可能性もあります。
貿易事務を目指す人にとって今後の心構えにもなるので、ぜひ参考にして志望動機に入れ込んでみてください。
①貿易の専門知識を業務の中で磨ける
貿易事務の仕事は一般の事務と比べて輸出・輸入に関わる書類作成や語学力など専門的な知識が得られ実績を積めます。
また、実績を積むことで、「通関士」という専門性の高い仕事に就くことができることも魅力の一つです。仕事を通して得られる専門知識で、資格取得やキャリアアップが狙えるのも大きな魅力といえます。
②国際ビジネスの最前線で働くことができる
商品の輸出入をおこなう貿易事務の仕事を通じて、世界のさまざまな国や地域と取り引きをおこなうことで、独自の文化や価値観に触れることができます。
またビジネスの場だからこそ、ただコミュニケーションを取るだけでなく、国際情勢にもアンテナを張る必要があるため、よりグローバルな視野を持って活躍できる環境です。
また、他国との大きな取り引きの成立で、自分の自信にもつながりますし、信頼関係を構築できるとよりやりがいを持って仕事ができますね。
沖 英子
プロフィール実感は必ず得られます。問題は自分の求めている国際業務なのかということです。
英語を使った書類チェック、海外とのやり取り、海外に出張、海外に駐在等、自分の希望に合っていれば実感は得やすいでしょう。企業ごとの貿易事務の範囲を確認して応募してくださいね。
③ビジネスで通用する語学力が身に付く
貿易事務で扱う資料は外国語が多いため、働きながら自然に英語やその他の語学スキルを磨けるでしょう。実務の中で語学力が身に付けられると、単なるコミュニケーションのための英語だけでなく、資料やメールの作成などのビジネス英語も自然と上達していきます。
ビジネスで通用する英語を身に付けることができれば、貿易事務の仕事の幅も徐々に広がっていくので、業務の範囲をどんどん広げていきたい人にとっては大きな魅力といえます。
簡単4ステップ! 貿易事務への熱意が伝わる志望動機の書き方
貿易事務の仕事内容やどのような人に向いているか把握できたら、あなたが貿易事務として働きたいと感じた理由を整理しましょう。そして実際に志望動機に落とし込んでみてください。
ここでは貿易事務の志望動機を作るための4ステップを解説していきます。一つずつステップを実践し、自分の経験に基づいた志望動機を作成してくださいね。
ステップ①なぜ貿易事務を志望したのか明らかにする
まず志望動機を述べる際には、数ある職種の中でなぜ貿易事務の仕事を選んだのか、端的に述べる必要があります。これは、その後に続く話の内容をより採用担当者が理解しやすくするためです。
理由を述べる際は、「〇〇の理由から、貿易事務を志望しました」のように端的に述べましょう。
貿易事務を目指す理由を長々と説明しても、面接官は理解しづらくなってしまうので、より理由を端的にわかりやすく伝えて、あなたの仕事に対する熱量を伝えましょう。
なぜ貿易事務を志望したのかを述べる例
私が貿易事務を志望した理由は、貿易を通して世界中の人々の生活を豊かにしたいと思っているからです。
人気職種である中、端的かつ自分らしい志望理由を伝えることで、その後の面接官の期待感も高まるだけではなく、貿易事務への適性を示すことにつながります。さらに、企業と個人のミスマッチがないかを判断する材料にもなるのです。
ステップ②貿易事務を志望したきっかけのエピソードを述べる
次に、最初に伝えた貿易事務を志望したきっかけにエピソードを付け加えることで、より説得力が増すでしょう。
ただ、貿易事務に興味を持った出来事をすべて入れ込むと長くなってしまう場合もあります。どのような経験をしたからこそ、応募先企業を志望することになったのか要点を絞って伝えることが大切です。
貿易事務を志望したきっかけのエピソードの例
海外旅行先で、日本の製品が置いてあったのを見て、驚いたのと同時に安心感がありました。同時に、もっと日本の質の高い製品を世の中に広めたいと思うようになり、貿易事務の仕事に興味を持ちました。
ステップ③応募先の企業を選んだ理由を述べる
貿易事務を目指したきっかけに加えて、なぜ数ある企業の中から応募先を選んだのかを述べることで、より面接官に志望度の高さを理解してもらえるでしょう。
ここでは企業の理念や社風など、企業に共感できる点や魅力を感じる点を述べることで、よりあなたが企業を志望した理由の本気度が伝わるでしょう。
大前提として、企業を選んだ理由をしっかり述べるためには、企業のホームページ(HP)を見たり、求人票に目を通しておくなど企業情報を確認して、業務範囲を正しく理解しておくことが重要ですね。
応募先の企業を選んだ理由を述べる例
貴社は全国に拠点を置き、顧客の要望や要求に応えられるように対応しており、業界トップクラスの業務を担っていることに魅力を感じました。
- その企業だけの価値がいまいち具体的にわかりません……。
沖 英子
プロフィール投資家向けのIR情報や説明会などの就活イベントをうまく活用しよう
これは貿易事務だけの話ではないのですが、大企業の場合、HPを隅から隅まで読むだけでも大変です。おすすめは、上場企業であれば投資家向けのIR情報を見てみることです。
その会社の財務状況だけではなく、会社の理念、方針や中長期計画等をわかりやすくまとめてくれています。
また、上場や非上場に関わらず、説明会やインターンシップ等に積極的に参加して会社の人が何を強調しているのかにしっかり耳を傾けてみましょう。
当然ですが、学生に自分の会社の良さを真剣にアピールしているはずです。また社風というのは文字ベースではなく、会社と接する機会が多ければ多いほど、またその会社のより多くの人と会うことで感じるものだと思います。
ステップ④企業への関心やどんな貢献ができるか伝える
最後の締めくくりとして、より入社後のイメージを明確にしてもらうためにも、入社後に自分が会社へ貢献できることを述べましょう。
貢献できることを伝える際は、ただ自分のスキルを述べるだけでは面接官に伝わりません。どのような場面で自分の能力が役立つのか具体性を述べる必要があります。
語学力など目に見えるスキルのほか、コミュニケーション能力のような目に見えないスキルも十分なアピールになります。自分が学生時代に磨いてきたスキルをどう活かすのかしっかりアピールしましょう。
企業への関心やどんな貢献ができるか伝える例
学生時代に始めたTOEICの勉強を通し、目標に向かって細かく計画を立てる能力を身に付けました。貿易事務は、マルチタスクの多い仕事のため、自分の強みである計画性を活かして効率的に業務をおこないます。
志望動機の作り方や構成についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてみてください。就活のプロであるキャリアコンサルタントが魅力的な志望動機の作成法を解説しています。
志望動機の構成について
志望動機はこの構成で決まり! 盛り込む6要素と伝える順番を解説
志望動機全体の作り方について
志望動機の作り方大全|就職支援のプロが好印象を残すコツを解説
アピールしたい強み別! 貿易事務の志望動機6選
貿易事務の志望動機の盛り込みたいポイントや、書き方の流れに関する理解が深まってきたでしょうか。
ここでは、今まで解説してきたことを踏まえた貿易事務の志望動機例文6選を紹介していきます。スキルや企業の種類別に紹介するので、自分ならどのような志望動機を作成するかを照らし合わせながら見ていきましょう。
自分の経験やスキルを志望動機に活かした例文
まずは、貿易事務に向いている自分の経験やスキルを活かした志望動機を作ってみましょう。
以下の例文は、志望動機の書き方のところで述べた順番で記載しています。ぜひ参考にして、企業の特徴とあなたの経験を結びつけた一貫性のある内容になるように意識しましょう。
例文①コミュニケーション能力を活かしたい
例文①コミュニケーション能力を活かしたい
私が貿易事務を志望したのは、学生時代に培ったコミュニケーション能力を活かせると思ったためです。
私は1年間オーストラリアに留学していました。現地の学生と話す中で、慣れない外国語で相手の言葉を理解するのはもちろん、自分の主張をわかりやすく簡潔に伝えることの重要さを学びました。
コミュニケーションが必須な職種はたくさんありますが、立場の異なる方たちと多くかかわれるのは貿易事務の特徴だと思います。その中でも貴社なら、国外の取引先や物流業者などと広くかかわりを持っており、フォワーダーとして私の強みでもあるコミュニケーション能力を活かせると思いました。
入社後は、顧客や供給業者などと適切な文書や情報を円滑にやり取りできるように積極的にコミュニケーションを交わし、貴社に貢献していきたいと思っています。
この企業への志望理由は「国外の取引先~広く関わりを持っている」ところが大きいでしょう。「立場の異なる方たち→国外の方たち」の方が、留学で培ったコミュニケーション能力を活かすことに説得力を持たせられます。
例文②几帳面さを活かしたい
例文②几帳面さを活かしたい
私が貿易事務を志望した理由は、几帳面さを活かせる仕事だと思ったためです。
大学時代のゼミでは、資料を提出する際、データ入力で記入漏れや入力ミスがないように、自分でダブルチェックをして、一度プリントアウトして確認する作業をおこなってきました。
その作業で小さな記入ミスを防げ、「あなたのレポートはいつも誤字脱字がない丁寧な文章で読みやすいよ」と教授からも高い評価をいただきました。
貴社では、輸出や輸入に関する仕事が主となり、貿易書類を作成する機会が多いかと思います。ミスが許されない書類だからこそ、私のダブルチェックの習慣や丁寧に見直せる几帳面さが活かせるのではないかと思っています。
入社後はこの几帳面な性格を活かし、計画を立てながらどのような仕事でもきっちりこなせるように遂行していきたいと考えております。
沖 英子
プロフィール「几帳面」のプラス面をエピソードからうまく証明できています。また貿易事務の仕事をイメージしながら「几帳面」であることをどう活かしたいのかもしっかり書かれていますね。
ただ「神経質」「融通が利かない」などと思われないようにほかの質問や、面接時の表情等でバランスを取りましょう。
例文③海外と関わる仕事がしたい
例文③海外と関わる仕事がしたい
私が貿易事務を志望した理由は、貿易を通して世界中の人々の生活を豊かにしたいと思っているからです。
私は大学で国際コミュニケーション学部を専攻し、英語を勉強してきました。その後、英語を活かしてカナダに1年間留学し、留学先で海外の文化や習慣に興味を持ちました。
日本とはまったく違う部分もあり最初は戸惑いましたが、その違いも自分にとってはおもしろく、お互いの文化の良いところを見つけるのも楽しかったです。
貴社は特に競合他社に比べても世界各国との取り引きがあるので、貿易事務の仕事でも習慣の違う多国籍の担当者の方とかかわる機会が多いと思います。その中でも、文化の違いから生まれる新しい発見やコミュニケーションに触れたいと思っています。
入社後は、自分の語学力やグローバルな視点を活かして、互いの良い点を見つけつつ貴社に貢献していきたいと思っています。
学習の内容や留学など、具体的な経験を伝えられている点は良いでしょう。もっと良くできる改善点は2点です。一つは「思います」「楽しかったです」など、感想レベルに留まっている点です。
稚拙な印象を与える可能性があるため、文末はなるべく言い切りにするよう心掛けましょう。
さらに成果への意識を伝えるためには、定量あるいは定性的な成果を記載できると良いですね。たとえば、留学によって英語力がアップした、など留学中に学んだ成果などが挙げられます。
企業の種類別の志望動機例文
次に企業別の志望動機の例文を紹介します。企業によって仕事内容や特徴も変わってくるため、志望する会社の理念や特徴をしっかり把握したうえで、志望動機を作成していきましょう。
例文④メーカーを目指す場合
例文④メーカーを目指す場合
私が貿易事務を志望した理由は、国内シェアが高い製品の流通に携わりたいと思ったためです。
学生時代、あるECサイトで商品を購入した際に、商品が1週間ほどで自宅に届いたことに驚きました。その頃から、流通の便利さと画期的さに興味があり、自分で調べるうちに貿易事務という仕事にたどり着きました。
また、私自身貴社の美容機器を愛用しており、素晴らしい貴社製品を国内へもっと広めたいという思いから、貴社で働きたいと感じております。
入社後は、まずアシスタントとして貿易事務の仕事に力を注ぎ、いずれは社内外の方に頼られる存在として、貴社に貢献したいと考えております。
メーカーは、海外工場で製造した家電製品を逆輸入して国内外で販売したり、海外工場に別の国から資材を納入したり、クロスボーダーな輸出入業務にあたることもあります。企業研究の重要性が伝わる例文だと思います。
例文⑤商社を目指す場合
例文⑤商社を目指す場合
商社として日本の食材や調味料を海外へ輸出し、世界中の人々に日本の素晴らしい食材を提供している貴社に魅力を感じ、応募しました。
私は、日頃から料理やお菓子を作ることが趣味で、食材や食品選びにこだわりがあります。特に国産の商品はやはり品質が高く、品質を求めるなら国産以外の選択肢はないほどでした。その中で、この日本の素晴らしいお菓子や調味料をたくさんの人に知ってほしいという思いが芽生え、商社の貿易事務に興味を持つようになりました。
貴社では、日本のお菓子や調味料を海外へ輸出し、世界の人々に新しい食文化を提供しているので、自身の食材や食品の知識を活かしてその強みをもっと伸ばしていくことに貢献したいと思い貴社を志望しました。
大学では、国際留学部にて海外留学生の対応をしておりました。現在TOEICスコアは720点で、貿易に関する用語を英語で覚えたりしながら英語力を向上させています。
入社後は、自身の英語力を活かして貴社の商品が全世界へ広まるように貢献したいと考えております。
沖 英子
プロフィール上記の例文は少し弱いかなと感じます。「食材や調味料」にこだわるのであれば、「精密機械」など幅広い商品を扱う総合商社ではなく「専門商社」の方が良いかもしれません。
総合商社が良いのであれば、この企業でなければならない理由をもう少し明確に打ち出す必要があると思います。
例文⑥物流会社を目指す場合
例文⑥物流会社を目指す場合
私は、効率的な配送でいち早く顧客のもとに荷物を届けられるように手配する仕事に魅力を感じ、貴社に応募しました。
大学生の頃からゼミで物流をテーマに研究しておりました。そこでは、物流網の整備方法や生産管理の体制方法などを研究しており、最適な物流システムの構築は経済を動かすうえでも重要であることを学びました。
貴社を志望する理由としては、自社倉庫や自社独自の流通網を持ち、低コスト、高品質の輸送を実現していることに魅力を感じたからです。
入社後は、より効率的な配送ができるように書類作成や配送業務をスムーズにおこない精進していきます。
物流に対する理解を示すために、物流・貿易事務の職務が直面する具体的な課題や業界のトレンドについても言及するとより良いでしょう。
また、「精進する」といった漠然とした目標ではなく、「何に貢献したいか」「どのように実現するか」に触れられるとGoodです。
貿易事務の志望動機でマイナスの印象につながりやすいNG例文
貿易事務の志望動機の書き方について例文を通して紹介しましたが、ミスを防ぐためにNG例文も確認しておきましょう。
NGパターンとして共通するのが、「なぜ」の視点を持って深掘りできていないことです。自分の志望動機に当てはまっていないか照らし合わせながら、見ていきましょう。
例文①「英語を使いたい」というだけの志望動機
例文①「英語を使いたい」というだけの志望動機
私は1年間オーストラリアで学んだ英語力を活かしたいと思い、業務で英語を必要とする貿易事務に就きたいと思い志望しました。
留学中は、異文化を学ぶために積極的に多国籍の方とコミュニケーションを取り勉強をしてまいりましたので、日常会話に困らないレベルの英語力を身に付けました。身に付けた英語力を活かして、貴社の貿易事務の即戦力になりたいと思っています。
「スキルを活かしたい」は応募者の自己満足です。そのスキルが会社にどんな結果をもたらすことができるのか、win(自分)-win(会社)な関係を築けることをアピールしないと、一緒に働きたいとは思ってもらえないでしょう。
例文②応募した企業をなぜ選んだのか熱意を述べていない志望動機
例文②応募した企業をなぜ選んだのか熱意を述べていない志望動機
私は以前から、多国籍の方とコミュニケーションが取れる貿易事務に興味があり志望しました。
私は学生時代に留学を経験し、多国籍の方と積極的にコミュニケーションを取り相手の持つ背景や文化を理解してまいりました。
貴社に入社することで、さまざまな立場の方とコミュニケーションを交わして、私の得意とするコミュニケーション能力を発揮できると思います。
沖 英子
プロフィール率直に言って「どこの企業でも良いんじゃないの?」と勘ぐってしまいます。
せめて多国籍の人々とコミュニケーションを取るために努力したことや、コミュニケーションを取るときに気を付けていることなどが具体的に書かれていれば、自分の会社で活躍してもらえそうな学生かどうかの判断はできると思います。
貿易事務の志望動機では熱意やスキルを魅力的にアピールして選考を突破しよう!
貿易事務の志望動機を作成する際には、貿易事務の仕事内容を理解したうえで、自分のスキルや経験のアピールがとても重要になります。
この記事では、貿易事務の詳しい仕事内容や、熱意が伝わる志望動機の書き方を4ステップで紹介しました。貿易事務ならではのやりがいも踏まえて、説得力のある志望動機にしましょう。
最後に紹介したOK・NG例も参考にし、ほかの人と差別化できる志望動機を作成して、自信を持って貿易事務への選考に挑んでくださいね。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見る貿易事務はやりがいや将来性のある素敵な仕事
志望動機を作成する際、まずは自分のことを知らないと、何を売り込むかが定まりません。次に、応募しようと考えている企業が何をしている会社なのかを知らないと、売り込んだスキルや経験が意味を持たなくなってしまいます。
自分は何がしたくて何ができるのか、それをどこなら必要としてくれるのか、これを理解していないと志望動機は書けないでしょう。
自分のやりたいこととできることを明確にすることが志望動機のポイント
貿易事務に限ったことではありませんが、まずは自己理解と自己分析をしっかりおこない、どんな仕事、どんな企業なら自分を活かすことができるのか、仕事理解と企業研究をおこなうことが大切です。
AI導入により事務の仕事がなくなる心配をしている人も多いかも知れませんが、貿易事務が担っている調整業務などはAIに取って代わることが難しく、今後もニーズがある職種といわれています。
通関や輸出入手続きの知識を極めて国家資格である通関士を取得すれば、キャリアチェンジなどの新たなキャリア形成にも役立つでしょう。
やりがいがある仕事ですので、迷わずチャレンジしてみてくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/大学キャリア・アドバイザー
Hideko Oki〇大学卒業後、都市銀行のマーケット部門で勤務。その後夫の海外赴任に伴って台湾へ。帰国後は外国人留学生の支援に従事。また複数大学のキャリアカウンセラー及びセミナー講師としても活動
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細