この記事のまとめ
- 医療業界の志望動機は書く前に3つの準備が必要!
- 医療業界の志望動機を魅力的にする基本の書き方を解説
- 医療業界の志望動機では見落としがちな3つの注意点にも目を向けるベし
- 志望動機作成ツール
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この記事を読んでいる人に
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就職活動においては、志望動機の完成度が合否を左右することも少なくありません。よく練られた志望動機は、面接官に対して学生のモチベーションや仕事に対する真剣さを伝える効果的な手段となります。
特に医療業界の志望動機では、専門的な知識や技能だけでなく、患者への共感やケアに対する情熱も重要視されます。ありきたりな内容の志望動機では、医療業界の就職活動を突破することは難しいといえるのです。
この記事では、キャリアアドバイザーの杉原さん、小関さん、板谷さんのアドバイスを交えつつ、医療業界で内定をとるための志望動機の書き方を解説します。病院やクリニックへの就職を目指す学生はもちろん、医療機器や製薬会社の志望動機を作成したい人も参考にしてみてくださいね。
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医療業界の志望動機は基本の構成にプラスアルファの要素が必要
病院やクリニック、製薬会社など、医療業界は、志望先ごとに仕事内容が大きく変わります。実際に患者と対面する職種もあれば、研究や開発によって医療技術の発展に貢献している職種もあります。
医療業界では、職種に応じた専門性や適性が特に重視されるため、この基準を理解し、それに合った志望動機を作成することが求められます。
そこでこの記事では、まず医療業界特有の、志望動機の作成に必須ともいえる3つの準備を詳細に解説します。
続いて、新卒で医療業界を目指す学生のおもな3つの就職先を解説。さらに、それぞれの業務内容に合わせて志望動機で盛り込むべきポイントについても紹介します。詳細に解説する各ポイントを丁寧にフォローすることで、あなたの就職活動の成功率は大きく向上するかもしれません。
また「第一志望の医療関連企業に絶対に落ちたくない!」という人に向けて、基本の構成に加えてほかの学生との差別化を図るための注意点も解説しています。記事のアドバイスを活用し、企業側に強い印象を残すためのプラスアルファの要素を志望動機に盛り込みましょう。
医療業界の志望動機を書く前に3つの準備をしよう
医療業界の志望動機を書く前に3つの準備をしよう
- 医療業界の中で希望の職種を絞る
- 希望する職種で求められるスキルを身に付ける
- 企業や施設の情報を集める
ただ単に「この病院(施設)で勤務したい」という思いを押し出すだけでは、医療業界の志望動機として不十分です。医療業界は勤務先が多岐にわたることから「その病院や施設ならでは」のアピールポイントを用意しておく必要があるからです。
そのため、まずは志望動機を書く前の情報収集から徹底して対策する必要があります。ここでは、医療業界への就職を目指す前におこなうべき3つの重要な準備について説明します。
①医療業界の中で希望の職種を絞る
医療業界には、医師、看護師、薬剤師、医療技術者、医療事務、臨床心理士など、多様な職種が存在します。そのため、自分がどの職種に興味を持っているかを明確にすることが、医療業界の志望動機を作るための第一歩になります。
たとえば、人と直接かかわることが好きなら看護師や臨床心理士が適しているかもしれません。また、化学的な研究に興味があれば、医療技術者や薬剤師は良い選択肢ともいえます。
最初の段階で、自分の適性や興味に基づいて職種を絞り込むことで、目標に向かって効率的に進むことができます。具体的な志望動機を書くためにも、まずは職種を明確に定めることで、医療業界の就活のスタートラインに立てますよ。
病院は病床数でクリニック、病院、総合病院に分けられ、役割と規模が違うので当然働き方は異なります。また内科、眼科など専門科が違うと、患者層も違ってきます。
そのため、志望先が決まっていないのに志望動機から書こうとすると、使い回しは難しくなるでしょう。
②希望する職種で求められるスキルを身に付ける
医療業界では、看護師、医師、薬剤師など多くの職種で国家資格が必要とされます。資格を取得するためには、専門的な知識と技術が求められるため、長期的な準備が必要です。
よって医療業界の新卒採用では、ポテンシャルも評価されますが、前提として基本的な資格を持っていることが狭き門をくぐるための最低条件となります。
つまり、どんなに良い志望動機を書いたとしても、資格がなければ不合格となってしまう職種もあるということです。そのため、希望する職種に必要な資格を取得し、関連するスキルを積極的に身に付けることが、医療業界で成功するための欠かせないステップになります。
③企業や施設の情報を集める
医療業界での就職を成功させるためには、さまざまな企業や施設に関する情報を集めることが不可欠です。徹底した企業研究をしなければ、具体性のある志望動機を書けないからです。
まず、医療業界の合同説明会やイベントに参加しましょう。特に合同説明会は、多くの病院や医療関連企業についての情報を一度に得る絶好の機会になります。医療業界の場合、学校からの紹介も貴重な機会となるので、大学のキャリアセンターに相談するのもおすすめです。
気になる企業を見つけたら、インターンシップに参加してみましょう。応募先の企業や職種にもよりますが、一般的にインターンはホームページ(HP)からエントリーできます。実際に業務に携わることで、日常の業務の流れや職場の雰囲気、チームワークを肌で感じることができます。
さらに、業界で働くOB・OGとの交流も、現場のリアルな声を聞くうえで非常に有効です。先輩たちの経験談を聞けば、職場の実情や業界の動向を理解できるだけでなく、キャリア形成におけるアドバイスや、就職活動における具体的なヒントを得ることができます。
志望動機を書く前に、自分の目指す医療業界でのキャリアに向けて、効果的な情報収集をおこないましょう。
いざOB・OG訪問をはじめたくても「どのように進めていけば良いかわからない」といった悩みを抱える人は多くいるかと思います。次の記事では、OB・OG訪問の探し方や準備、当日の流れなどを解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
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アドバイザーコメント
小関 珠緒
プロフィールを見るまずは分野を選り好みせず全体の情報収集をしてみよう
医療業界は病院やクリニックなど医療機関のほか、製薬会社、医薬品卸などの薬関連、医療機器メーカーなど、さまざまな分野があります。
希望の分野があっても選り好みをせず、まずはそれぞれの分野の特性や課題をリサーチしましょう。よくよく調べてみると、自分が興味のある分野や、自分に合っている仕事があるかもしれないからです。
自分の足で情報収集することがおすすめ
簡単なのはネット検索ですが、OB・OG訪問、医療業界の合同説明会、企業のセミナーに出向くなど、自分の体を動かして積極的に情報を求めていき、体感していくことをおすすめします。
リアルな声が聞けることもあり、実際に働くイメージがつきやすくなるでしょう。志望動機に納得感・臨場感も出しやすくなります。
また、なぜ医療業界を目指しているのか、自分は何を大切にしているのか、どの点で貢献したいのかなどを深掘りしていきましょう。本当の気持ちを掘り出すことで、説得力のある志望動機が書けるようになります。
業界リサーチをしていく中で気になる企業が出てきたら、企業研究を徹底的におこない、共感できる点・心に響く点を探します。それも志望動機に盛り込んでいきましょう。
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新卒で医療業界を目指す学生のおもな3つの就職先は?
新卒で医療業界を目指す学生のおもな3つの就職先
- 病院・クリニック
- 製薬会社
- 医療機器会社
医師や看護師のような診療関連の専門家は、日常でかかわる機会も多いことから、仕事内容も一般的によく知られています。
しかし、医療業界でのキャリアはこれに限定されません。医療従事者への道を目指すのは素晴らしいことですが、医療業界ではそれ以外にも多様なキャリアパスが存在し、さまざまな形で貢献する機会があるのです。そのため、まずは医療業界でどんな就職先があるのかを知っておきましょう。
この章では、新卒で医療業界を目指す学生のおもな3つの就職先を紹介します。
病院・クリニック
病院やクリニックでは、患者の健康と福祉を直接支える役割を担う多くの専門職が活躍しています。病院やクリニックで働くことは、日々の医療現場で直接的な人命救助や健康支援にかかわることを意味し、高い専門性が求められます。一般的に国家資格が求められる職種がほとんどなので、就活の対策にも時間を要します。
病院・クリニックの職種の例
- 医師
- 看護師
- 助産師
- 保健師
- 救急救命士
- 作業療法士(OT)
- 理学療法士(PT)
- 言語聴覚士(ST)
- 歯科医師
- 歯科助手
- 歯科衛生士
- 歯科技工士
- 診療放射線技師
- 臨床工学技士
- 視能訓練士
- 臨床検査技師
- 細胞検査士
- 心理カウンセラー
- 臨床心理士
- 産業医
- 獣医師
- 愛玩動物看護師
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製薬会社
製薬会社では、新しい医薬品の開発や既存医薬品の改良に従事することができます。製薬会社での仕事は、研究開発からマーケティング、品質管理に至るまで多岐にわたり、医薬品が社会に与える影響を深く理解することが求められます。
製薬会社の職種の例
- 薬剤師
- MR(医薬情報担当者)
- 登録販売者
- 治験コーディネーター
製薬会社で研究員として薬の開発に携わる場合、研究者としての資質が必要なのはもちろんのこと、開発中のことについてささいなことでも決して漏らさない口の堅さが求められます。各社とも新薬開発にしのぎを削っているためです。
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医療機器会社
医療機器会社では、医療現場で使用される機器や技術の開発に携わることが可能です。医療機器会社での職種は、革新的な医療機器の開発や営業、それらを支える事務職など、多方面にわたります。医療機器の進歩は医療現場に大きな影響を与えるため、この分野で働くことは医療業界における重要な役割を担います。
医療機器メーカーの職種の例
- 医療機器メーカーでの営業職・開発職・事務職
医療機器メーカーの例
- オリンパス
- キヤノンメディカルシステムズ(キヤノングループ)
- フクダ電子
- テルモ
- オムロン
医療機器業界は人の生命や健康にかかわる機器を扱うため、倫理観や正義感、責任感、誠実さが他業種よりも求められます。また顧客、医療従事者や他部署との連携も多いため、コミュニケーション力も重視されます。
医療機器業界に求められる強みの自己PR法は以下の記事で詳しく解説しているので、医療機器業界志望者は併せてチェックし、選考でアピールしてみましょう。
責任感
責任感の自己PRは要注意! 失敗例と絶対響く6例文で徹底差別化
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は12個の言い換えで勝負しよう! 例文つき
誠実さを強みに持つ人は、以下のQ&Aで誠実さの自己PRの考え方・伝え方を解説しているので、併せて確認してください。
施設の魅力と絡める! 病院・クリニックの志望動機で盛り込みたい要素
病院・クリニックの志望動機で盛り込みたい要素
- 病院・クリニックならではの施設方針への共感
- 自分の看護や医療に対する倫理観
- その施設環境だからこそできること
病院によって特化している治療があったり、規模の違いによっても方針が異なったりするのはよくあることです。だからこそ、 病院・クリニックの就活ではありきたりな志望動機では面接官に刺さらない可能性があります。
病院・クリニックの志望動機では、その病院ならではの施設環境や患者とのかかわり方を中心に内容を展開しましょう。「何を書けばいいのかわからない」という学生は、次の3つの盛り込みたい要素から、自分に合うものを選んでみてください。
この章では、病院・クリニックの志望動機で盛り込みたい要素を解説します。
病院・クリニックならではの施設方針への共感
病院やクリニックには、それぞれその病院ならではの特定の施設方針があります。
簡単にいえば、学生にも強みがあるように、病院にも「アピールポイント」があるのです。施設方針からは、病院が取り組む患者中心のケア、先進的な治療方法、地域社会への貢献など、その病院が何に力を入れているのかがわかります。
志望動機には、あなたがその施設の何に共感し、志望理由にどのように影響しているかを盛り込んでみましょう。
たとえば、「私は、『患者様一人ひとりの生活品質の向上を最優先とするケア』という方針に深く共感しました。この考え方は、私が看護師として目指すべき姿勢と完全に一致しており、こうした環境で専門性を深め、貢献していきたいと強く感じています」と具体的に述べると良いでしょう。施設方針はおもに病院のHPで確認可能です。
アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見る国立・公立・公的・大学・一般病院がどのような形態なのかを確認しよう
志望先の病院がどのような形態であるかどうかを確認し、それぞれの病院形態の特徴を捉えて志望動機の中で触れることが大切です。
①国立病院
国立病院は独立行政法人国立病院機構が運営し、休日や評価制度・業務内容などは厚生労働省をはじめとする国の指定したものになります。国立病院は教育機関という立場もあり専門性に長けた経験を積むことができます。
②公立病院
公立病院は運営母体が都道府県・市町村などの自治体です。公立病院職員は基本的に地方公務員で安定しています。また、一般診療に加え救急・災害医療、高度・先進医療などの民間医療機関では限界のある医療の提供をおこなうことができます。
③公的病院
公的病院は厚生労働省が定めた公的団体を運営母体とする病院で、職員は地方公務員やみなし公務員です。
④大学病院
大学病院は最先端の臨床実験が数多くおこなわれています。 治療が難しい病気や稀少な疾患に対応できる特徴があります。
研修医を受け入れ教育する医師の育成大学病院の役割を担っている病院もあります。救急で入ってくる患者さんが多いため仕事がハードである一方で研修制度が充実していたり、寮などの福利厚生が整ったりしていることが多いです。
⑤一般病院・クリニック
一般病院・クリニックに関してはそれぞれの特色があります。
自分がどのような医療従事者になりたいかということを考慮に入れながら、多角的に病院やクリニックの情報収集をおこなっていきましょう。
自分の看護や医療に対する倫理観
命を扱う医療業界で働くうえで、意思決定の根幹となる学生の倫理観は、面接官の知りたい部分でもあります。また、学生にとっても自分の看護や医療に対する倫理観を志望動機に盛り込むことで、自分がどのような軸を持って医療や看護の現場と向き合ってきたのかをアピールできます。
たとえば、患者の尊厳を保ちながら最善のケアを提供することへのこだわりや、憧れから生まれた自らの看護観などを強調すると良いかもしれません。
また、現在の医療業界ではさまざまな倫理の問題を指摘する声も上がっています。診断で陽性が認められた人の多くが人工妊娠中絶を選択している出生前診断や安楽死の是非についてなど、万が一志望動機を掘り下げる中で意見を問われた場合にも、答えられるよう準備しておきましょう。
- 医者や看護師以外の職種はどのように看護観を考えれば良いですか?
「患者への対応」以外の視点で考えてみよう
医療事務などでよく「患者様のために働きたい」という志望動機を見ますが、医師や看護師以外で治療に直接かかわれる職種は限定されます。
せいぜい受付や会計時に、わかりやすく説明する、笑顔で対応するといったことが医療事務のできる限界ではないでしょうか。
では、本当に何もできないのかというとそんなことはありません。
チーム医療という言葉があります。ドクター一人で治療をするのではなく、看護師、技師、理学療法士、薬剤師など多くの人が一つになって患者に対して最高の医療を提供する考え方です。
医師や看護師などをしっかりと支えて治療に専念してもらえば、医療事務であろうと間接的に患者に貢献できます。組織の中での役割を認識し、患者以外にも目を向けてみましょう。
特別な動機がなくても大丈夫!
ツールを使えば魅力的な志望動機が作れます
「この職種に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか学生時代に培ったスキル・経験を踏まえて伝えるのに苦戦する学生は多いです。
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(IT業界の場合)
その施設環境だからこそできること
医療業界の就活では資格が必要となるケースが多いと説明しましたが、そのうえで、新卒の学生に対してこれからの伸び代を評価している病院や施設がほとんどです。そのため、これからの自分のキャリアへの意欲を伝えるためにも、その施設環境だからこそ実現できることを将来のビジョンとして志望動機に盛り込みましょう。
あえてその病院や施設でしか経験できないような特殊なケースの医療に触れ、専門性を高めたいという志望動機は良い例です。たとえば、特定の医療技術を学ぶチャンス、あるいは研究や教育への関与など、その施設ならではの機会を志望理由として挙げるのもおすすめです。
製品への理解はマスト! 製薬会社の志望動機で盛り込みたい要素
製薬会社の志望動機で盛り込みたい要素
- 法規制に対する関心
- 会社の製品や理念への共感
- 職種ごとに求められる役割を全うする意気込み
製薬会社の志望動機では、法規制や製薬会社の製品など業界知識に触れつつ意欲を伝える志望動機が理想です。
製薬会社では、職種が異なれば医療との携わり方も大きく変わります。また、資格が不要なポジションもあることから、文系理系問わず多くの学生がライバルになる可能性も考えられます。学生にとってなじみのない領域の話もあるかもしれませんが、ほかの学生との差別化を図るためにも次の3つの要素は押さえていきたいところです。
ここでは、製薬会社の志望動機で盛り込みたい要素を紹介します。
法規制に対する関心
製薬会社の仕事では、薬機法をはじめとするさまざまな法規制を意識しなければなりません。必ずしも現段階ですべてを覚える必要はありませんが、規制への理解と関心を志望動機に反映させることで、製薬会社での仕事に対する真剣な姿勢と専門性をアピールすることができます。
たとえば製薬会社では、薬機法が医薬品の品質保証の基礎となります。
薬機法とは
医薬品などの製造や販売などに関するルールを定め、保健衛生の向上を図ることを目的とした法律。薬機法では、研究開発から製造、販売、流通に至るまでの各段階での規制が定められている。
また医薬品製造業界では、地域環境の保護も大きな責任です。水質汚濁防止法、下水道法、大気汚染防止法などは、製造業全般にかかわる法規制であり、製薬会社にも遵守が求められています。
こうした法規制への関心を自分ごととして志望動機に絡められれば、製薬会社の業務への真剣な熱意が伝わる可能性が上がります。
薬機法以外にも、製薬会社が遵守すべき医薬品製造管理および品質管理の基準であるICH-Q7 GMPや、患者や治験参加者への個人情報の取り扱いに必要となる個人情報保護法など、製薬会社での仕事をする中で押さえておくべき法規制は多岐にわたります。
会社の製品や理念への共感
製薬会社の場合、その企業ならではの独自性が最も反映されやすいのが会社の製品や理念です。可能であれば理念を調べたうえで実際に製品を手に取ってみて、あなたがその企業に対して共感した点を言語化しましょう。
たとえば、ある特定の疾患に対する治療薬を開発している会社に対して、その疾患があなたの個人的な関心と結びついている場合、その共感は強い動機になり得ます。また、会社の理念が「患者に寄り添った医薬品の提供」や「持続可能な医療の追求」といったものであれば、これらの価値観に共鳴したことを強調するのも良いかもしれません。
製品の魅力、あるいは会社の理念が自分の価値観とどのように一致するかを具体的に述べることができれば、周りの学生と志望動機で一歩差をつけられるはずです。
製造者の視点として製品への共感を盛り込むには、製品の社会的有用性を考えてみると良いと思います。たとえば、片頭痛について考えてみましょう。製薬会社の全国調査によると、患者数は約1,000万人。市販の鎮痛剤を服用している人も多いはずです。
そうした人たちにとって、薬は日常生活の助けになっているのではないでしょうか。
職種ごとに求められる役割を全うする意気込み
製薬会社内では多様な職種が存在し、それぞれに特有の役割があります。たとえば、同じく医薬品の特徴を伝える役割を担う職種でも、営業職とMR(医薬情報担当者)では、その役割は大きく異なります。
2つの職種はともに「コミュニケーション能力が求められるポジション」といえますが、その仕事内容を比較してみると、志望動機の締めとなる意気込みの内容も変わるはずです。
営業職とMRの違い
- 営業職:営業職のおもな役割は、医薬品の販売促進と顧客との関係構築です。営業職では、市場のニーズを理解し、医薬品の特徴を顧客に効果的に伝えるコミュニケーション能力が求められます。
- MR:MRは医療従事者に対して製品の化学的な情報を提供し、適切な使用を促進する役割を担います。製品の専門知識はもちろん、医療従事者のニーズを理解し、信頼関係を築くコミュニケーション能力が求められます。
営業職については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて確認してください。志望動機の書き方も説明しているので、営業ならではの内容に精度を上げることが可能です。
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例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ
営業職の志望動機では、仕事内容を理解したうえで、採用メリットまで伝えることが重要です。営業職の種類や仕事の流れ、求められる力を理解しましょう。この記事では志望動機の書き方や採用担当者を惹きつけるコツをキャリアコンサルタントが解説します。
記事を読む
MRの就活対策方法は以下のQ&Aで説明しています。MR志望者は併せてチェックしてください。
志望動機では、自分が目指す職種の役割を正しく理解したうえで、どのように貢献できるかを意気込みとして具体的に述べましょう。
競合との差別化は必須! 医療機器会社の志望動機で盛り込みたい要素
医療機器会社の志望動機で盛り込みたい要素
- 志望企業の医療機器の強み
- 医療機器と自分の接点
- 業界内での志望企業のポジションや特徴
医療機器会社の志望動機を書くときには、それぞれの医療機器の特徴を押さえておくことが最優先です。医療機器を使ったことがなくても、最低限、機器の名前やどんな環境で役に立つものなのか、利用の事例などは調べておきましょう。
志望動機の中で、固有名詞を出せる状態まで企業研究を進めておくことが理想です。詳しくは後ろで解説しますが、実際に医療機器を使った人にヒアリングをしながら志望動機を作ることも視野に入れましょう。
ここからは、医療機器会社の志望動機で盛り込みたい要素を紹介します。
志望企業の医療機器の強み
医療機器会社への志望動機では、その企業の医療機器が持つ独自の強みを深く理解し、それに対するあなたの意見を明確にしましょう。製品がどのように医療現場のニーズに応え、患者や医療従事者の利益に貢献しているかを具体的に述べることで、あなたが企業に向ける熱意が伝わりやすくなる可能性があるからです。
たとえば、会社が開発した最先端の技術を活用した製品、特定の治療分野で革新をもたらす機器、またはユーザーフレンドリーなデザインを持つ製品など、市場での差別化につながっている要素を強調しましょう。
自分がその会社の製品にどのように興味を持ち、またそれを通じて医療業界にどのように貢献したいかを示すことで、採用担当者に対して企業の製品に対する理解度の高さを伝えられます。
- 志望企業の医療機器の強みはどのようにして研究することが可能ですか?
製品紹介ページやIR情報をくまなく見ることが重要
志望企業の医療機器の強みを研究するには、企業の公式ウェブサイトの製品紹介ページやIRの項目をよく読み込んでみましょう。IR情報は企業のビジョンや今後の方針が掲載されていることが多く、企業の方向性をつかむことができます。
また、会社四季報の企業情報では今までの業績や業績予想、企業の強みや特色に関してコンパクトにまとめられていますよ。
医療機器と自分の接点
医療機器会社の志望動機で差別化を図るのであれば、実際にその企業の機器と自分の接点について語ることが最も効果的です。自分自身がどのようにしてその医療機器と接点を持ち、関心を持つようになったのかを語りましょう。
医療機器と自分の接点をまとめる際には、次の3つの視点から考えてみることをおすすめします。
接点をまとめる際の3つの視点
- 実際の使用経験:医療機器を使った実際の経験や、その中で感じた機器の特性、改善点
- 関連分野での研究や仕事の経験:機器に関連する医療分野や技術分野での研究、または仕事での経験を通じて、どのようにその機器に関心を持ったか
- 自分の周囲の体験:機器に関連する身近な人の体験や、それによって引き起こされた興味
実際に医療機器を使った経験があれば志望動機を作成しやすいところですが、そのような経験がない場合でも問題ありません。機器を使った経験がない場合、機器を使った研究資料や機器を使ったことがある人の取材記事、可能であれば生の声を頼ってみましょう。
業界内での志望企業のポジションや特徴
医療機器会社の就活では、その分野で競合となる企業との比較を踏まえた意見が求められるケースもあります。その中でも企業が気になるのは「なぜうちの医療機器会社を選んだのか」という点です。志望動機の中で競合他社との違いを述べることで、企業研究の成果を伝えつつ、その企業への熱意をアピールできます。
自分で着眼点を見つけるのが難しい学生は、次の3つの視点を参考にしてみてください。
志望企業のポジションを見定めるための着眼点
- 特定の治療分野での活躍:志望企業が特定の治療分野、たとえば心臓病治療や整形外科用デバイスなどでどのように業界をリードしているかについて述べます。なるべく国が出している一次情報か、医療従事者や患者からの評価をもとにしているデータを参考にしましょう。
- 持続可能な製品開発への取り組み:近年は医療業界でも、環境問題への取り組みに注目が集まっています。リサイクル可能な素材の使用、エネルギー効率の高い製造プロセス、廃棄物の削減などの取り組みなどに、企業がどのように向き合っているのかを書き出しましょう。
- 企業独自の技術:志望企業が独自に開発した技術や、その技術が業界にもたらした進歩などを考えてみましょう。特許技術、競合他社と比較して優れた点、またはその技術が市場や患者ケアにどのような影響を与えているかなども、企業の特徴につながります。
医療機器業界全体において、志望する企業がどのようなポジションを占めているか、またその企業が業界内でどのような特徴を持っているかについての理解を示しましょう。
医療業界の志望動機の基本の書き方を押さえよう
医療業界の志望動機の基本の書き方
- なぜ医療業界か
- なぜその病院・企業か
- 入社後にどのように貢献したいか
志望動機は、あなたの熱意と医療業界への深い理解を示すためのキーポイントとなります。とはいえ学生の中には、志望動機に何を盛り込めばいいのか、ピンとこない学生もいますよね。
書き方がわからない学生は、まずは基本の構成に沿って、必要な要素を箇条書きで書き出してみましょう。志望動機の文字数が限られている場合でも、これから伝える構成に従って重要なポイントを押さえれば、説得力のある内容にできます。
ここからは、医療業界の志望動機の基本の書き方を紹介します。
①なぜ医療業界か
まず、医療業界を選んだ理由を明確に述べましょう。最初に結論を述べることで、聞き手を引きつけやすくなるだけでなく、話を論理的に展開しやすくなる効果もあります。
たとえば、「家族の病気経験から医療に興味を持った」「特定の疾患に対する研究や治療に貢献したい」という例などが挙げられます。製薬業界や医療機器業界など、目指すべき方向性がすでにはっきりしている場合には、その旨を伝えても良いかもしれません。
志望動機の冒頭に当たる部分なので、あくまで簡潔に一言でまとめましょう。
過去の経験を振り返る方法として、自己分析が挙げられます。次の記事では、自己分析のメリットや具体的な方法、うまくできないときの対処法について解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
自己分析は就活の明暗を分ける重要なポイント。自己分析をするメリットや自己分析のやり方、注意点などをキャリアコンサルタントが解説します。自分に合った自己分析方法を見つけて選考や企業選びに活かしましょう。
記事を読む
志望動機の書き出しは「なぜ医療業界なのか」という結論から話しましょう。そのためには、自己分析をして医療業界を目指した理由を明確にしておくことが大切です。
理由は複数あっても良いですが、わかりやすく、端的にまとめておくと良いでしょう。
②なぜその病院・企業か
たくさんの選択肢がある中で、なぜその病院・企業を選んだのかは面接官にとっても気になるポイントです。そのため魅力的な志望動機を書くためには、志望先を選んだ根拠が明確でなければなりません。
特定の病院や企業を選んだ理由を伝えるときには、その施設の特徴や強み、理念に対する共感を強調しましょう。たとえば、先進的な治療技術、特定の分野における専門性、地域社会への貢献など、その施設が持つユニークな点に魅力を感じた理由を説明します。
この段階では、その施設の具体的な取り組みや成果に言及し、その施設を選んだ理由を示しましょう。
志望先に合わせてオリジナルな要素を盛り込もう
志望動機を作成する際には、自身のユニークな経験を盛り込むほか、その医療が抱える課題に対する見解を反映させることでもオリジナリティが出せます。
たとえば、過去のボランティア活動や関連する専門知識などから、あなた独自の視点で施設や企業に新たな価値をもたらす提案を盛り込むことで、志望動機はより個性的で印象深いものになるかもしれません。志望する職種で取り上げられる問題や課題についても、ニュースなどで学んでおきましょう。
たとえば、医療業界全体に対する課題としては次のような要素が挙げられます。
医療業界全体に対する課題の例
- 人手不足:医師、看護師、そのほかの医療従事者の不足は、多くの国で深刻な問題となっています。特に、地方や過疎地での医療従事者の不足は、患者への影響が大きく、医療サービスの質に影響を及ぼしています。
- 医療費の増加:高齢化社会の進展、新しい医療技術の導入、慢性疾患の増加などにより、医療費は増加の一途をたどっています。これにより、政府や保険システムへの負担が大きくなっています。
- 医療技術の進歩とその適用:遺伝子編集やAI(人工知能)を利用した診断ツールなど、医療技術は急速に進歩していますが、これらの新しい技術の適切な利用や規制、倫理的な問題などが課題となっています。
例として、「私は過去におこなったボランティア活動を通じて、特に地方の医療機関での人手不足の深刻さを実感しました。貴社がおこなっている遠隔医療支援サービスに大きく共感したことから、さらにその展開を促進し、地方の医療問題の解決に貢献したいと考えています」といった具体的な内容を加えることが可能です。
志望先企業の取り組みと医療業界の課題を結びつけることで、オリジナリティのある「その企業を志望する理由」が完成します。
病院や企業固有の福祉活動や地域貢献活動、災害対策や屋上庭園などの取り組みに対して、自分自身のこれまでの経験やアイデアを踏まえてどのように貢献できるかを具体的に示すと、オリジナリティを出すことができますよ。
③入社後にどのように貢献したいか
企業は、志望動機を通じて学生の入社後の働き方をイメージしたいと考えています。
医療業界の場合、あなたの専門知識や技術をどのように活用するか、チームワークやコミュニケーション能力をどのように発揮するか、さらには患者ケアの質をどのように向上させるかなどが問われています。
たとえば、「入社後、私は最新のリハビリテーション技術を活用して、特に高齢患者の生活の質を向上させるプログラムの開発に貢献したいと考えています」「患者さんとその家族とのコミュニケーションを重視し、一人ひとりに合ったケアプランの提案をおこなうことで、チームワークを活かした質の高い患者ケアの実現を目指します」という具体的な目標を示しましょう。
過大な目標である必要はありません。自分の経験や学んできた知識を活かしつつ、具体的に何を成し遂げたいのかを明確に伝えましょう。志望動機の締めとして入社後に実現したい具体的な目標を提示することで、企業側にあなたの将来のビジョンとその企業での働き方をイメージさせることができます。
志望動機は志望度や意欲を測るために面接で聞かれます。次の記事では、エントリーシート(ES)や履歴書などの書類よりも一歩踏み込んだ面接ならではの対策を解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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医療業界の志望動機を作るときの注意点
医療業界の志望動機を作るときの注意点
- 「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」は避ける
- 複数の職種に当てはまる書き方をしない
- 倫理観のない内容にしない
せっかく医療業界の志望動機を作るのであれば、避けられるミスは事前に知りたいところですよね。医療業界の志望動機では、思わぬ言葉が避けた方が良い言葉もあります。また、複数の職種で使い回せるようなあいまいな内容の場合、人事の視点から見るとマイナスな印象になることもあります。
そういった意外なミスを防ぐためにも、この章では、医療業界の志望動機を作るときの注意点を解説します。医療業界の志望動機を作るときに注意するポイントは、おもに3つです。避けるべきポイントを踏まえて、あなたの熱意がしっかりと伝わる志望動機にしましょう。
「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」は避ける
「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という気持ちは、素晴らしいものです。しかし、医療業界での就職を目指す多くの人が、社会貢献や人の役に立ちたいという動機を持っています。そのため、志望動機としてはこれらの表現はあまりにも一般的であり、特定の施設や職種を望む理由としては弱いといえます。
「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という思いの根底にあるより具体的な動機や、自分がなぜその施設で働きたいのかを明確にしましょう。
どうしても「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という思いを軸にしたい学生は、エピソードを挙げたうえで「医療技術の進展を通じて、より良い未来を創造したい」「命と向き合う仕事を通じて、最前線で影響を与えたい」とまとめるなど、伝え方を工夫しましょう。
- 「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という思いがどうしても強いので、避けるのが難しいです……。
自分の思いのきっかけを探ることが効果的
「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という思いは、いつ、どんなことをきっかけに生まれたのでしょうか? 思いつく限り、たくさん書き出してみましょう。
「小さいときに自分が医療従事者に助けられた」、「医療系で働く家族や知人がいて、その働き方や生き方に感銘を受けた」など、個人的な体験が出てくるかと思います。
その体験を盛り込んで、「社会貢献がしたい・人の役に立ちたい」という思いにつなげると説得力が出ます。面接官に好印象を残せるはずですよ。
社会貢献をしたいと伝える志望動機は、書き方を気を付けないと企業に熱意がうまく伝わらないため、注意が必要です。「社会貢献」の志望動機は4ステップで作成して差別化しましょう。
複数の職種に当てはまる書き方をしない
医療業界では、職種によって必要とされるスキルセットや対応が大きく異なります。そのため、職種に特化した志望動機を書くことが望ましいです。さらに、同じ職種であっても病院の規模によって仕事内容が若干異なる場合もあります。
グループ病院の中での使い回しを前提にして志望動機を作成している学生もいるかもしれませんが、企業研究が不足していると捉えられるリスクから、あまりおすすめできません。
「高齢者ケアに特化した看護を通じ、看護師として患者の心と身体の両面を支えたいです」「最新の薬学知識を活用し、患者の安全な薬物治療に貢献したいです」というように、看護師、医師、薬剤師など具体的な職種を念頭に置いた、その職種特有のスキルや経験に基づいた志望動機を述べましょう。
職種によって役割と仕事内容は違います。「患者に寄り添いたい」は気持ちの部分であり実行すべき行動(職務)が伝わりません。こうした抽象的な書き方をしてしまうと、仕事を理解していないと捉えられてしまう可能性があります。
倫理観のない内容にしない
医療業界では、人の命を扱う仕事だからこそ、倫理観が非常に重要視されます。患者の尊厳、プライバシーの保護、公正な治療の提供など、医療にかかわる倫理的な問題への配慮を示すとともに、自分の考えを持つことも大切です。
繰り返しにはなりますが、医療における倫理観については、別途意見を聞かれる可能性もあります。志望動機を書く前に、次のようなテーマに対しては自分の意見も準備しておきましょう。話の流れで志望動機から深掘りをされる可能性もあるので、油断は禁物です。
医療業界にまつわる倫理的な問題
- 延命治療についての問題
- 安楽死に関する問題
- 臓器移植における死の定義の問題
医療業界の志望動機では、このような倫理を問われる問題を踏まえたうえで、どのように患者や社会に貢献したいかを考えなければなりません。あくまで一例ですが、志望動機に盛り込むときは次のように自分の意見を丁寧に伝えましょう。
倫理的な問題に触れる場合の志望動機の例(看護師)
私は、患者の尊厳とプライバシーを守りながら、心のケアも大切にする看護を実践したいと考えています。特に、倫理的な判断が求められる延命治療や安楽死に関する議論にも、患者とその家族の意向を尊重する姿勢で臨みたいです。
倫理的な問題に触れる場合の志望動機の例(薬剤師)
医療業界における倫理観を深く理解し、患者一人ひとりに寄り添う薬剤師として、安全で効果的な薬物治療の提供を目指します。
特に、臓器移植にともなう薬物管理では、患者の生命と品質の両方を尊重した倫理的な判断を心掛けたいです。
職種別に解説! 医療業界の志望動機の例文
志望動機について一連の書き方は理解したものの、実際に書くとなるとなかなか指が動かない学生もいるのではないでしょうか。医療業界の志望動機は、病院名や治療法などで固有名詞が多くなりがちですが、情報を詰め込めば良い志望動機になるわけではありません。実際の例文を参考にしながら、構成に沿って志望動機を言語化していきましょう。
ここからは、医療業界の志望動機の例文を職種別に解説します。自分の希望する勤務先の志望動機例文を探してみてくださいね。
病院・クリニックの例文①
病院・クリニックの例文
私が看護師として病院での勤務を選んだ理由は、人々の健康と福祉に直接貢献したいという深い願望からです。中でも貴院を志望する理由は、貴院が患者中心のケアを重視し、特に急性期から慢性期まで幅広い医療サービスを提供している点に魅力を感じたためです。
看護学校での学びと臨床実習を通じて、看護師の役割が患者さんの生活の質を向上させるうえでいかに重要であるかを実感しました。特に、患者さんとその家族に寄り添い、心のケアも含めた包括的なサポートを提供することの重要性を学びました。
今後のビジョンとしては、病院での勤務を通じて、患者さん一人ひとりに合わせた質の高い看護を提供することです。具体的には、患者さんの身体的なケアだけでなく、精神的なサポートも重視し、患者さんが安心して治療を受けられる環境を作ることを目指します。
貴院での経験を通じて、看護師としての専門性をさらに深め、患者さんの健康と福祉の向上に貢献したいと考えています。
病院・クリニックの志望動機では、この病院・クリニックの「どういった点に共感したか」、「魅力を感じた・感動したか」など、心を動かされた点を伝えましょう。できれば、それが自分の価値観や仕事観と近いと良いと思います。
病院・クリニックの例文②
病院・クリニックの例文
私は、医療現場でのサポート役として医療事務職として病院での勤務を希望しています。患者さんと医療チームの間で円滑なコミュニケーションと業務の効率化を図りたいからです。
また、貴院を志望する理由は、貴院が高い医療水準を維持しつつ、患者さんに対して親切で丁寧なサービスを提供している点に大きな魅力を感じたためです。
医療事務の専門学校での学びを通じて、医療事務の重要性と、患者さんの治療過程におけるスムーズなサポートの役割を深く理解しました。特に、受付から会計、保険手続きに至るまでの一連のプロセスが、患者さんの満足度に直結することを学びました。
今後のビジョンとしては、病院での勤務を通じて、患者さんの受付、会計処理、保険請求などの医療事務業務を迅速かつ正確におこない、訪れた人の病院体験をより良いものにしたいと思っています。また、医療チームとの連携を強化し、患者さんの治療がスムーズに進むようサポートすることも目指しています。
貴院での経験を通じて、医療事務職としての専門性をさらに深め、患者さんと医療チームの双方に貢献したいと考えています。
この例文では、医療事務が患者さんの満足度にどのように貢献するのか仕事理解をしていることや貢献意欲を感じることができます。
これまでの経験がどのように医療事務での業務に活かしていけるのか、過去の個人的なエピソードを盛り込むことでさらに説得力を高められるでしょう。
製薬会社の例文①
製薬会社の例文
製薬業界を目指すようになったきっかけは、大学での生命科学の講義と研究室での経験にあります。特に印象深かったのは、薬学の授業で学んだ、がんに対する新薬の開発プロセスでした。
貴社を志望する理由は、貴社が革新的な医薬品の開発に注力しており、特に抗がん剤に関する取り組みに大きな魅力を感じたためです。会社説明会で見た薬が市場に出るまでの長い道のりと、それが患者さんの生活にもたらす変化の大きさに、深い感銘を受けました。
また、大学の研究プロジェクトで、がんの治療法に関する文献調査と実験をおこなった経験は、私のキャリアにおける重要な転機となりました。実験の結果が期待通りにならないことの多さや、それでも一つの成功がもたらす喜びは、研究の厳しさとやりがいを同時に教えてくれました。
私は、貴社の研究開発チームの一員として、新しい医薬品の開発や既存医薬品の改良にかかわり、患者さんの治療選択肢を広げることに貢献したいと考えています。貴社での経験を通じて、製薬業界における専門知識と技術をさらに深め、がん治療の分野でのイノベーションに貢献したいと思っています。
- 製薬会社の志望動機の差別化のコツを教えてください!
製薬会社の主力商品の動き・売り上げに着目することが差別化につながる
2022年国内製薬会社の売上高トップは武田製薬です。この会社の主力はエンティビオで、近年患者数が増加傾向にある潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬です。5位の中外製薬は、新型コロナウイルス感染症治療薬ロナプリーブの販売が好調のようです。
薬が売れるということは、その薬を必要としている人が多いことを示しています。日本が抱える健康課題がそこから見えてくると思います。企業はそれをどのように考えているのかや、研究開発費にも着目してみると良いでしょう。
こうした財務指標を活用すれば、その会社の方向性がわかるはずです。志望動機の差別化にきっと役立ちますよ。
製薬会社の例文②
製薬会社の例文
私は大学での生物学と化学の研究をきっかけに製薬業界を目指すようになりました。特に、薬剤の配合と効果に関する研究プロジェクトに参加したことが、私のキャリアの方向性を決定づけました。
貴社を志望する理由は、貴社が製品の品質管理と安全性に関して業界をリードしていること、そして革新的な技術を用いて製品の安全性を高めるという貴社の取り組みに共感したからです。
また、大学のインターンで貴社の品質管理部門を訪れた際、製品の安全性と品質を保証するプロセスの複雑さと重要性に深く感銘を受けました。私は貴社の品質管理チームの一員として、製品の安全性と効率性を確保するための研究開発に貢献し、消費者に安心して使用してもらえる製品を提供することを目指しています。
貴社での経験を通じて、製薬業界における専門知識を深め、製品の品質向上に貢献したいと考えています。
この例文では、製薬業界への強い関心と志望企業に対する理解を示している点やインターンでの経験を伝えている部分が具体的で良いですね。
改善点としては、品質管理チームの研究開発の中で自分がどのようなスキルや知識を持ち寄れるか、もう少し詳しく触れることが望ましいでしょう。
医療機器会社の例文①
医療機器会社の例文
医療機器業界を目指すきっかけとなったのは、私自身の聴覚障害の治療です。幼い頃、私は重い聴覚障害に苦しんでいましたが、先進的な聴覚補助装置のおかげで、通常の学校生活を送ることができました。この装置が私の人生に与えた影響は計り知れず、医療機器が人々の生活をどれほど変えることができるかを身をもって体験しました。
貴社を志望する理由は、貴社が患者中心の医療を追求し、人々の生活の質を向上させるための医療機器を開発している点に深く共感したからです。私は大学でのバイオメディカルエンジニアリングの学びを通じて、医療機器の技術的側面と臨床への応用について深く理解しました。
今後のビジョンとしては、貴社での勤務を通じて、革新的な医療機器の開発に携わり、ほかの人々の生活にも同様のポジティブな影響を与えることです。具体的には、患者のニーズを深く理解し、それを製品設計に反映させることで、より効果的で使いやすい医療機器の開発に貢献したいと考えています。
医療機器会社の志望動機では、「医療機器業界を目指すきっかけ」を盛り込みましょう。小さなことでも構わないので、今までの人生を振り返って書き出してみてください。
「命が助かってありがたいと思った」「健康になって安心して暮らせるようになった」など、その経験にまつわる感謝や感情を盛り込むと良いかと思います。
医療機器会社の例文②
医療機器会社の例文
医療機器業界への強い関心は、私の家族が経験した出来事から生まれました。数年前、私の父が心臓病で倒れ、その治療には先進的な医療機器が用いられました。
貴社を志望する理由は、貴社が心臓病治療に関連する医療機器の開発で業界をリードしていること、そして患者の生活の質を向上させるための技術革新に注力している点に大きな魅力を感じたためです。
特に、心臓のモニタリングと治療に使われた装置の精度と機能性には、家族一同が大きく感銘を受けました。この経験は、医療機器が患者の生命を救い、家族に希望を与える力を持っていることを実感させてくれました。
今後のビジョンとしては、貴社での勤務を通じて、心臓病治療に関連する医療機器の開発に貢献し、より多くの患者とその家族に希望を提供したいと考えています。私の家族が経験したような困難な状況にある人々を支援するために、医療機器の開発と改善に尽力したいと思っています。
この例文は、これまでの経験を医療機器業界への強い関心と志望理由に結びつけていて、説得力があって良いですね。家族が直面した心臓病とそれを乗り越えた経験から、医療機器の重要性と影響力を実感した点が強調されているのは、オリジナリティあるアプローチです。
これまでの学びや経験が、医療機器業界で働くうえでどのように役立つかをもう少し具体的に示すことでより良くなるでしょう。
職種ごとの独自性が光る志望動機で医療業界の就活を突破しよう!
医療業界での就職活動は、各職種の特性を理解し、それぞれの独自性を反映させた志望動機を書けるかどうかが成功の鍵です。医師、看護師、薬剤師、医療技術職など、それぞれの職種には独自の役割があります。これらの役割を深く理解し、自分自身の経験や価値観、そして職種への思いを志望動機の中でアピールしましょう。
医療業界は、今後の社会にとっても不可欠な分野です。その中で働くことは、大きな意義とやりがいがあります。自分の強みと職種の特性をつなげた志望動機を作成し、医療業界での夢を実現させましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る専門的な学校を出ていなくても医療業界を目指すことは可能
おそらく志望動機で困るのは、医療系以外の一般的な学校や学科から、製薬会社や病院、医療機器メーカーなどに就職したいと思っている人ではないでしょうか。一般的な学校であっても医療業界で活躍できるチャンスは大いにあります。
製薬会社でいえば、さまざまな法律をクリアしたり海外企業と契約を結んだりするので、法律を学んだ人、外国語が堪能な人、扱う金額も大きいので財務・会計の知識も必要です。決して医療系の資格を持っている人だけが働く業界ではありません。
大切なのは業界・企業研究を深めて仕事を正しく理解すること
業界研究・企業研究をおこなってそこでの仕事をしっかりと理解し、自分の持っている知識がそこで役立つことをアピールしましょう。
また、医療技術の側面を考えることも大切です。医療技術・医療機器の進歩は目覚ましく、今やがんは不治の病ではなくなりました。またITとの融合も進んでおり医療の効率化や高度化が図られています。iPS細胞のような研究開発中のプロジェクトの実用化が進めば、医療はさらに発達し私たちの社会は大きく変化します。
人助けだけでなく、医療技術が世の中を変えることも考えてみてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ヒトノビ代表
Tamao Koseki〇就職時は準備不足で苦労するも大手企業に入社。転職して実用書の編集者を10年経験し、独立。キャリアコンサルタント資格を取得し、現在は強みを引き出して活かす人材育成をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
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