構造的把握力検査は、SPIの能力検査における論理的思考力を問う実施科目の一つです。提示された文章や計算問題と構造が近いものを選択肢の中から選ぶ問題が出題されます。
この記事では、学生へのSPI指導の経験を持つ田中さんとともに構造的把握力検査の解き方を解説していきます。企業から指定された場合のみ受験する科目ですが、問題を解くなかで論理的思考力を養うことができるため、受験が必要でない人もぜひ対策をしておきましょう。
記事の後半には練習問題を5問用意しています。「言語」と「非言語」の2つの出題パターンを用意しているので、構造的把握力検査の対策に役立ててください。
企業が構造的把握力検査を実施する目的など、より詳しい解説は以下の記事でおこなっています。
構造的把握力検査って何? 勉強方法やコツを例題付きで解説!
よりSPIの本番をイメージして対策したい人は、SPI対策模試にも挑戦してみてください。
SPI「構造的把握力検査」の概要
- 問題パターン:言語問題、非言語問題
- 1問あたりの時間:40秒~1分半程度
- 出題頻度:テストセンター(高)ペーパーテスト(出題無し)Webテスティング(出題無し)
- 構造的把握力検査を解くときのコツをわかりやすく教えてください!
抽象化してとらえる視点で正答率を上げよう!
この検査の難易度自体は中学数学や日常会話レベルなので、高度な知識は不要です。
出題頻度は通常のSPIより低く、商社や広告など一部の人気企業に限られるため、対策の優先順位はそこまで高くありません。ただし、初見だと戸惑う形式なので、一度は触れておく必要があります。
攻略の基本は、「計算式の形」や「文末表現」だけを見ることです。さらに応用として、具体的な数字や単語を無視し、「速さ」も「1日の読書量」も同じ「単位量」として抽象化してとらえる視点を持つと、一気に正答率が上がります。パズル感覚で取り組みましょう!
覚えておきたい! 構造的把握力検査のよくある出題パターン
構造的把握力検査の問題において、よくある出題パターンを紹介します。
言語と非言語でそれぞれ確認しておきましょう。
言語問題【論理関係のパターン】
- 肯定と否定
- 過去と未来
- 事実と推測
- 主観と客観
- 順接と逆説
非言語問題【問題パターン】
- 四則演算の問題 →「和」に着目するのか「差」に着目するのか
- 割合の問題 →「全体から一部を導き出す」のか「一部から全体を導き出す」のか
- 組み合わせの問題 →「並べる」のか「選ぶだけ」なのか
SPI「構造的把握力検査」練習問題5問|田中さんによる解き方の解説付き!
ここからは、SPI 「構造的把握力検査」の練習問題を田中さんの解説付きで5問紹介します。少し特殊な問題にはなりますが、コツさえつかめば高得点を取りやすい科目なのでしっかりと演習を繰り返していきましょう。
「構造的把握力検査」に初めて挑戦する人は、「問題を解く前に確認! 構造的把握力検査の解答のコツ」を読んでから、取り組むようにしてください。
問題1(難易度:★☆☆☆☆)
問題
次のアからエのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを一つ選びなさい。
ア 定価3,000円のシャツが、クーポン利用により2,100円で購入できた。クーポンの値引率はいくらか。
イ あるクラスの生徒数は40人で、そのうち風邪で休んでいる生徒は全体の10%である。出席している生徒は何人か。
ウ ある数に0.8を掛けたら480になった。ある数はいくつか。
エ 消費税10%が含まれた商品の価格が1,100円のとき、この商品の税抜価格はいくらか。
選択肢
正解:E
各問題が「何を求めているか」という構造に着目して分類する。
アは、「全体(元の量)」と「部分(結果の量)」がわかっており、そこから「割合」を求める問題である。
「部分÷全体=割合」の割り算をおこなう構造である。
イは、「全体(元の量)」と「割合」がわかっており、そこから「部分(結果の量)」を求める問題である。「全体×割合=部分」の掛け算をおこなう構造である。
ウとエは、「部分(結果の量)」と「割合」がわかっており、そこから「全体(元の量)」を逆算して求める問題である。「部分÷割合=全体」の割り算をおこなう構造である。
よって、同じ構造を持つのはウとエの組み合わせであるため、正解はEである。
選択肢のウ・エはどちらも「元の数(全体)」を求める問題です。どちらも構造は「部分÷割合=全体(元の数)」という割り算(逆算)になります。
「結果から元をたどる」パターンは頻出です。具体的な計算はせず、「=(イコール)」の右側がわかっていて、左側のXを求める形だ、と気付けば一瞬で解くことができます。
問題2(難易度:★★☆☆☆)
問題
次のアからエのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを一つ選びなさい。
ア 12kmのハイキングコースを、時速4kmで歩き通すときにかかる時間は何時間か。
イ 時速60kmで走る自動車が、2時間で進むことのできる距離は何kmか。
ウ 300ページある小説を、1日あたり15ページずつ読むと、読み終わるまでに何日かかるか。
エ 100mを12秒で走る人の速さは、秒速何mか。
選択肢
正解:B
計算の構造に着目して分類する。
アは、「距離(全体)」と「速さ(単位量あたりの大きさ)」から「時間(数量)」を求める構造である。式は「全体÷単位あたりの量=数量」となる。 ウは、「ページ数(全体)」と「1日の読書量(単位量あたりの大きさ)」から「日数(数量)」を求める構造である。文脈は異なるが、計算構造はアとまったく同じである。
イは、「速さ」と「時間」から「距離(全体)」を求める掛け算の構造である。 エは、「距離」と「時間」から「速さ(単位量あたりの大きさ)」を求める割り算の構造である。
よって、正解はBである。
文章が少し長めですが、テーマ(ハイキングや読書)に気を取られないことが時短のコツです。
アの「時速」もウの「1日あたりの読書量」も、抽象化すれば「単位量」です。構造は「全体÷単位量=かかる数(時間・日数)」となり、まったく同じロジックです。
「速さ・時間・距離」の公式を思い出すよりも、「全体を1回分で割って、回数を出す」というイメージを持つほうが早く分類できます。
問題3(難易度:★★★☆☆)
問題
次のアからオの会話で、Yの発言は論理的に間違っている。「間違い方」でPグループ(2つ)とQグループ(3つ)に分類したとき、Pグループに分類されるものはどれとどれか。選択肢の中から当てはまるものを一つ選びなさい。
ア:X「A社は社員の離職率が高いことで知られている」Y「A社に勤める彼も、すぐに辞めるつもりでいるに違いない」
イ:X「Bさんは最難関の資格試験に一発で合格したそうだ」Y「Bさんはどんな仕事でも要領よくこなすに違いない」
ウ:X「Cさんの住む地域は芸術家が多く住む街だ」Y「Cさんも芸術的なセンスがあるに違いない」
エ:X「Dさんは毎朝欠かさずジョギングをしている」Y「Dさんは仕事でも粘り強いに違いない」
オ:X「Eさんはプレゼンテーションの声が大きくて聞きやすい」Y「Eさんは自信に満ちあふれた性格に違いない」
選択肢
正解:B
Yの発言の根拠に着目して分類する。
アとウは、所属する組織や居住する地域の性質を根拠に、個人の性質を断定している。アは企業の傾向を社員個人に、ウは地域の傾向を居住者個人にそのまま当てはめている。これらは「集団の属性」が「個」にも無条件に当てはまるとみなすタイプであり、この二つがPである。
一方、イ、エ、オは、個人の特定の行動や特徴を根拠に、他の能力や性格を推測している。これらは「個人の一部の事実」から、飛躍して「他の能力・性質」を関連づけてしまうタイプであり、この三つがQである。
よって、Pに分類されるのはアとウの組み合わせであるため、正解はBである。
会話文が5つあるため読むのに時間がかかりますが、全文を丁寧に読む必要はありません。「Yの発言の根拠」だけをまずは拾ってください。
Pグループ(ア・ウ)は「A社」「街」という「大きな箱(属性)」を根拠にしています。Qグループ(イ・エ・オ)は「一発合格」「ジョギング」という「個人の具体的な行動」を根拠にしています。
「外側を見ているか、中身の動きを見ているか」という視点で分類しましょう。
問題4(難易度:★★★☆☆)
問題
次のアからエのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを一つ選びなさい。
ア 300gの食塩水がある。この食塩水に食塩が15g含まれているとき、食塩水の濃度は何%か。
イ 原価に3割の利益を見込んで定価をつけたところ、定価が3,900円になった。この商品の原価はいくらか。
ウ ある中学校の全校生徒のうち40%が自転車通学をしており、その人数は120人である。この中学校の全校生徒は何人か。
エ 定価2,000円の商品を、セール期間中に2割引で販売した。売値はいくらか。
選択肢
正解:C
「元になる量(全体)」を求めるのか、「比べられる量(部分)」を求めるのかに着目する。
イは、「定価(部分)」と「利益率を含んだ割合(1.3倍)」から、「原価(全体)」を割り戻して求める問題である。 ウは、「自転車通学者数(部分)」と「その割合(40%)」から、「全校生徒数(全体)」を割り戻して求める問題である。 これらはどちらも「部分÷割合=全体」という逆算の構造を持つ。
一方、アは「全体」と「部分」がわかっており、そこから「割合」を求める割り算の構造である。
エは、「全体」と「割合」から「部分」を算出する掛け算の構造である。
よって、正解はCである。
「利益を見込んで」「割引で」といった言葉が入ると少し混乱しやすいですが、ここも落ち着いて「何を求めるか」だけに集中します。
イは「定価(結果)」から、ウは「40%の人数(結果)」から、それぞれ「全体(元の大きさ)」を逆算して求めています。
「全体」か「部分」かを意識するだけで、式を立てる時間をカットできますよ。
問題5(難易度:★★★★☆)
問題
次のア~オを「文の構造」によってAグループ(2つ)、Bグループ(3つ)に分類するとき、Aグループに分類される組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
ア. DXの推進に注力したため、業務効率が大幅に改善された。
イ. 原油価格が高騰していることから、今後は輸送コストが上昇するはずだ。
ウ. 株価が急落したため、投資家の間で先行きへの不安が広がっている。
エ. 大規模なプロモーションを展開したことから、認知度は高まるものと思われる。
オ. コンプライアンス違反が発覚したため、企業の社会的信用が失墜した。
選択肢
正解:C
各文の前半と後半の関係性、および文末表現に着目して分類する。
ア、ウ、オの三つの文は、前半の原因によって後半ですでに起きた「客観的な事実」や「進行中の現象」を述べている。「改善された」「広がっている」「失墜した」はいずれも事実の報告である。これらがBグループである。
一方、イとエの二つの文は、前半の根拠をもとに、後半で話し手の「推測」や「予測」を述べている。「上昇するはずだ」「高まるものと思われる」は、まだ確定していない事象に対する主観的な判断である。これらがAグループである。
よって、Aグループに分類されるのはイとエの組み合わせであるため、正解はCである。
ここは時間を「貯金」するボーナスステージです。文章の中身は一切読まず、「文末」だけを見てサクっと解いてください。
Bグループ(ア・ウ・オ)は「改善された」「失墜した」など、すでに起きた「事実(過去・現在)」で終わっています。対してAグループ(イ・エ)は「はずだ」「思われる」といった「推測・予測(未来)」で終わっています。
接続詞に惑わされず、文末の形だけで判断すれば、1問20秒以内で通過できます。
練習問題が解けたら、次はSPI模試に挑戦して実力をチェックしてみましょう。
SPI「構造的把握力検査」を対策する際のポイント
SPIの非言語に関する記事
◇非言語の対策
SPI非言語は対策すれば怖くない! 出題傾向や例題を徹底解説
SPIに関する記事
◇解答時間
SPIの解答時間を受検方式別に解説! 時間切れを防ぐコツ10選も
◇勉強法
効率抜群なSPIの勉強法|出題形式と頻出問題を踏まえた対策を伝授
◇勉強時間
SPIの勉強時間をプロが解説! おすすめの進め方や重点ポイントも
構造的把握力検査以外の練習問題も解いてみよう!
SPIは多くの分野に分かれています。練習問題を繰り返し解いて、苦手を攻略しましょう。
各分野の問題が解けたら、最後にSPI模試に挑戦してみましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





アドバイザーのリアル・アドバイス!答えを導くのではなく分類する視点を持とう
ジョブカード作成アドバイザー
田中 直香
プロフィールを見る構造的把握力検査の最大のコツは、「問題を解こうとせず、分類すること」です。答えの数値自体には何の意味もありません。「足し算か、割り算か」「事実か、推測か」という「骨組み」だけを抽出するパズルだと割り切ってください。
おすすめの練習法
この検査に限っては、問題を一から解くよりも「問題集の解説や分類一覧を先に読んでしまう」ほうが効率的です。「速さと仕事算は同じ構造になる」といったパターン自体を暗記してしまいましょう。
重点ポイントと注意点
多くの学生が混同するのは非言語の「割合・逆算」です。「定価を求める(掛け算)」構造と、「原価を割り戻す(割り算)」構造の違いは、頻出かつ間違えやすいので重点的に練習してください。
どうしても苦手な人は、言語系の「文末判定(~だ/~だろう)」だけは完璧にし、難解な計算系は直感で選ぶ戦略も有効です。
最大の敵は「無意識に計算を始めてしまう癖」です。練習時はあえてペンを持たず、目で見て構造を仕分けるというのも効果的な対策です。