公務員試験「法律科目」の練習問題22問と解法! 元公務員が解説

公務員経験のある専門家がこの記事を監修しました
木原 渚
木原 渚
国家資格キャリアコンサルタント/1級キャリアコンサルティング技能士/Gallup認定ストレングスコーチ/MBTI認定ユーザー
Nagisa Kihara◯放送・行政・人財開発など多様な職種を経験する中でキャリア支援に興味を持つ。一人ひとりが楽しく働き、豊かに生きられる社会を目指し、現在はカウンセラーや研修講師として活動中

公務員試験「法律科目」は、教養試験とは別に「専門科目」として出題される分野です。職種によって「択一式」や「選択式」、あるいはその両方が出題されますが、この記事ではおもに対策のベースとなる「択一式」の問題を扱います。

元公務員の木原さんによる解説付きなので、法律科目でどんなジャンルが出るのか知りたい人や、本格的な対策を始めたい人は、各科目の重要度や無駄のない学習順序を理解することから始めましょう。

記事の後半では、択一式の練習問題22問を用意しています。一通り解いて、公務員試験「法律科目」で確実に得点するための基礎力を鍛えていきましょう。

例題をこなす前に確認しよう! 公務員試験「法律科目」の解答のコツ

公務員試験「法律科目」の概要

  • 問題パターン:憲法、民法、行政法、刑法、労働法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法
  • 1問当たりの時間:1~2分
  • 出題頻度:テストセンター(なし)ペーパーテスト(高)Webテスティング(なし)
公務員試験の法律科目を解くコツを教えてください!

キャリアコンサルタント/1級キャリアコンサルティング技能士

木原 渚

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消去法と背景理解が鍵! 憲法・民法・行政法を集中対策しよう

公務員試験の法律科目は、法学部出身者でなくても十分に得点できるレベルです。難易度としては、基本的な条文知識と判例の結論を押さえていれば解ける問題が中心で、大学教養レベルといえます。

ただし、似た数字や手続きの微妙な違いを問う問題も多く、正確な知識の定着が求められます

出題される確率と優先順位については、憲法・民法・行政法の3科目に集中することが合格への最短ルートです。

基本の解き方は「消去法」です。5つの選択肢のうち、明らかに誤りとわかるものから消していき、残った選択肢を比較して正解を絞り込みます。

条文や判例の結論を丸暗記するだけでなく、その背景にある「なぜそのルールが存在するか」を理解しておくと、初見の問題にも対応できる応用力が身に付きます。

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公務員試験「法律科目」の概要

公務員試験「法律科目」は、多くの職種において専門科目の4割以上を占める分野です。そのなかでも特に「憲法」「民法」「行政法」は出題数が多いため、優先して対策すべき科目といえます。

対策の優先順位としては、まずすべての法律のベースとなる「憲法」と「民法」から学習を始め、その後に「行政法」、そしてその他の科目を対策していくのがおすすめです。また、地方公務員を志望する場合は、行政法のなかでも「組織法」がよく出題されるため、重点的に学習しておきましょう。

なお、この記事では「刑事訴訟法」や「民事訴訟法」の例題は掲載していませんが、警察官や消防官、裁判所職員などを目指すのであれば、対策は必須です。

以下に各科目の頻出分野と、職種別の出題形式をまとめているため、まずは志望先の試験制度を確認し、学習の優先順位を立てるのに役立てましょう。

①頻出分野

頻出分野
憲法基本的人権の精神的自由、統治機構の国会・内閣・裁判所
民法総則、債権総論
行政法救済法(多くの職種)、組織法(地方公務員にて頻出)
刑法刑法総論や刑法各論
労働法個別的労働関係、集団的労働関係
商法会社法
刑事訴訟法頻出分野の特定不可
民事訴訟法頻出分野の特定不可

②法律分野が出題される場合

必須選択
国家一般職なし【択一】憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親族・相続)、行政法
※上記含む16科目から8科目選択
国税専門官A民法・商法【択一】民法・商法、憲法・行政法
上記含む5科目から4科目選択
【記述】憲法、民法
※上記含む5科目から1科目選択
国税専門官B【択一】民法・商法なし
裁判所事務官【択一】憲法、民法【択一】刑法、行政法
※上記含む3科目から1科目選択
地方上級(全国型)【必須】憲法、民法、行政法、刑法、労働法なし
東京都なし【記述】憲法、行政法、民法
※上記含む10科目から3科目選択
東京特別区Ⅰなし憲法、民法(総則・物権)、民法(債権・親族・相続)、行政法
※上記含む55問から40問選択

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公務員試験の「法律科目」練習問題22問|木原さんによる解き方の解説付き!

ここからは、公務員試験の「法律科目」の練習問題を元公務員の木原さんによる解説付きで22問紹介します。憲法・民法・行政法などの必ず押さえるべき科目から、刑法・労働法・商法まで、頻出ジャンルの択一式問題を用意しているので、法律科目の幅広い出題形式を対策できます。

法律科目の対策に初めて取り組む人は、「例題をこなす前に確認しよう! 公務員試験「法律科目」の解答のコツ」で各科目の目安となる解答時間や学習のポイントを理解してから練習問題に挑戦しましょう。

問題1(難易度:★★★☆☆)

問題

公務員、未決拘禁者、受刑者の人権に関するア~エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.管理職的地位にない国家公務員が、職務とまったく無関係に、公務員による行為と認識し得ない態様でおこなった行為については、職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められない限り、国家公務員法が禁止する政治的行為に当たらない。

イ.未決拘禁者が新聞紙、図書などを閲読する自由は、表現の自由を保障した憲法21条の規定の趣旨から保障されるべきであるが、刑事施設内の規律および秩序の維持のため、管理者に広汎な裁量が認められており、制限に際しては相当の蓋然性までは必要とされない。

ウ.喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権の一つに含まれるとしても、あらゆるとき、ところにおいて保障されなければならないものではなく、刑事施設内の規律および秩序を維持し、火災などの危険を防止するために一律に禁止することは、憲法13条に違反しない。

エ.受刑者が親族以外の者と信書の発受をおこなう自由については、刑事施設内の規律および秩序の維持、受刑者の改善、更生などの目的がある場合、管理者の主観的な判断にもとづき、特段の蓋然性を要することなく広範に制限することが認められる。

選択肢


正解:B
ア:〇  猿払事件後の堀越事件などの判例により、管理職にない職員が職務外でおこなう行為などは、政治的中立性を損なう実質的なおそれがない限り、禁止される政治的行為に当たらない。
イ:× 未決拘禁者の閲読制限は、施設内の規律維持に放置しがたい障害が生ずる相当の蓋然性がある場合に限られる(よど号事件)。管理者の裁量のみによる制限は許されない。
ウ:〇 喫煙の自由は憲法13条の下で保障されるとしても、火災防止や証拠隠滅の防止という目的から、刑事施設内での禁止は合憲とされる。
エ:× 受刑者の信書発受の制限も、規律維持などに相当の蓋然性が認められる場合に限られる。

問題2(難易度:★★★☆☆)

問題

学問の自由に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

A.学問の自由は、学問研究、研究発表および教授の自由を内容とする。憲法23条は大学の自治を不可欠の付随的保障としているが、学問の自由そのものの保障の対象は、大学における教授や研究者に限定されるものであり、国民一般の精神的自由の一つとして保障されるわけではない。

B.大日本帝国憲法においては、学問の自由を保障する明文の規定が置かれていた。しかし、その保障は絶対的なものではなく、当時の法体制の下では天皇機関説事件などの学問的弾圧を防ぐことができなかったため、現行憲法ではこれを見直し、さらに強力な保障を確立することとなった。

C.大学における学問の自由を担保するための大学の自治は、大学が学術研究の中心として真理を探究する場であることにもとづく。判例によれば、学生の集会が実社会の政治的活動にわたる場合であっても、それが大学の施設内でおこなわれる限り、憲法23条による大学の自治の保障を全面的に受ける。

D.子どもには教育を受ける権利があり、その教育内容は教師の自由な意思に委ねられるべきである。そのため、判例によれば、普通教育の場においても教師には完全な教授の自由が認められており、大学教育における教授の自由と同程度の自由を小、中、高校の教師に認めることが憲法の要請であるとされる。

E.教科書検定制度は、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎず、学術研究の結果をほかの形態で発表することを禁止するものではない。したがって、判例によれば、教科書検定が憲法23条に違反し、個人の学問の自由を侵害することはないとされている。

選択肢


正解:E
A:× 学問の自由は、個人の精神活動としての性格を持つため、大学の研究者に限らず国民一般に対しても広く保障される。
B:× 明治憲法には、学問の自由を明文で保障する規定は存在しなかった。
C:× 大学の自治は、学問の研究や教授の自由を保障するためのものである。学生の集会が実社会の政治的活動にわたる場合は、大学の自治の保障は及ばないとされる。
D:× 判例によれば、普通教育の教師にも一定の自由はあるが、大学と同程度の自由が認められるわけではない。
E:〇 判例によれば、教科書検定は「教科書」という形態での発表を制限するのみであり、ほかの手段による発表を禁じていないため、憲法23条には違反しない。

問題3(難易度:★★★☆☆)

問題

国会に関するア~エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.衆議院が解散されたとき、参議院は同時に閉会となる。国に緊急の必要があるときは、内閣は、参議院の緊急集会を求めることができる。

イ.各議院において、議員の資格に関する争いを裁判するときは、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。しかし、議院の秩序を乱した議員を除名する場合には、出席議員の過半数の議決があれば足りる。

ウ.国会議員が議院でおこなった発言により、特定の国民の名誉を毀損した場合であっても、憲法51条の免責特権があるため、当該議員が個人的に法的責任を負わないだけでなく、国が国家賠償法上の損害賠償責任を負うこともまったくない。

エ.両議院の会期の延長について、両議院の議決が一致しないとき、または参議院が議決をおこなわないときは、衆議院の議決をもって国会の議決とする。

選択肢


正解:C
ア:〇 憲法54条2項。衆議院解散中に緊急の必要があるとき、内閣は参議院の緊急集会を求めることができる。
イ:× 憲法58条2項。議員の除名には、資格争訟の裁判と同様に、出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要である。
ウ:× 判例によれば、免責特権があっても、職務上の権限の趣旨に明らかに背いて行使されたときなどは、国が国家賠償責任を負うことがある。
エ:〇 国会法13条。会期の延長について議決が一致しないときなどは、衆議院の議決が優先される。

ウに関して、免責特権(憲法51条)は議員個人の民事・刑事責任を免除するものの、国の賠償責任とは別問題です。

判例(最判平9年)は、発言が「その職務とはかかわりなく違法または不当な目的をもってなされた」など特段の事情がある場合、国家賠償法1条にもとづく国の賠償責任が生じうると示しています。

よって、「まったくない」と断言するウは誤りです。

問題4(難易度:★★★☆☆)

問題

内閣総理大臣に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができるが、内閣の連帯責任を定めた憲法の趣旨に照らし、罷免権の行使には、あらかじめ閣議においてその決定を経ることが必要である。

イ.参議院において内閣総理大臣問責決議案が可決された場合、憲法69条の規定にもとづき、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、または総辞職をしなければならない法的義務を負う。

ウ.予算に計上された予備費は、国会の事後の承諾を条件として、内閣総理大臣がその責任において支出を決定し、各省大臣の同意を得ることなく執行することができる。

エ.内閣総理大臣は、行政各部を統轄調整する地位にあって、閣議によって決定された方針が存在しない場合であっても、少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について指導、助言などの指示を与える権限を持つ。

オ.法律および政令に主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することは、その執行責任を明確にする趣旨のものであり、署名または連署を欠く法律が官報により公布されたとしても、そのことのみをもって当該法律が無効となるわけではない。

選択肢


正解:E
ア:× 内閣総理大臣は、国務大臣を任意に罷免できる(憲法68条2項)。罷免にあたって閣議の決定は必要ではない。
イ:× 衆議院の不信任決議には憲法上の法的効果があるが、参議院の問責決議には解散や総辞職を強制する法的効果はない。
ウ:× 予備費の支出は、内閣総理大臣単独ではなく、内閣の責任においておこなわれるものである。
エ:〇 判例によれば、内閣総理大臣は閣議決定の方針がないときでも、内閣の意思に反しない限り、行政各部に対して指導などの指示を与える権限を持つ。
オ:〇 署名や連署は執行責任を明確にするためのものであり、これを欠くことで法律や政令が当然に無効となるわけではない。

イについて、憲法69条が定める不信任決議は衆議院のみに認められた権限です。参議院の問責決議は憲法上の根拠を持たず、政治的効果にとどまります。

「69条にもとづき」という文言が誤りを見抜く手掛かりです。

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問題5(難易度:★★★☆☆)

問題

財政に関する次の記述のうち、判例、通説に照らし、最も妥当なのはどれか。

選択肢


正解:D
A:× 予算には法律案のような再議決(3分の2以上)の規定はない。衆議院の優越により、両院協議会でも一致しないときなどは、30日の経過によって衆議院の議決が国会の議決となる。
B:× 憲法91条は、国会および国民に対して、国の財政状況を少なくとも毎年1回報告しなければならないと定めている。
C:× 地方公共団体は、憲法および法律の範囲内で条例によって地方税を課すことができる。これは憲法84条に違反するものではない。
D:〇 憲法87条の規定である。予備費の設置にはあらかじめ国会の議決が必要であり、その支出については事後に国会の承諾を得る必要がある。
E:× 憲法85条。国費の支出および国が債務を負担するには、すべて国会の議決にもとづく必要がある。例外は認められていない。

問題6(難易度:★★★☆☆)

問題

制限行為能力者に関するア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.未成年者が、負担のない贈与を受けるような、単に権利を得、または義務を免れるべき法律行為をおこなうときは、法定代理人の同意を得ることを要しない。

イ.家庭裁判所は、被補助人について後見開始の審判をする場合、その者にかかる補助開始の審判を取り消さなければならない。

ウ.精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族などの請求により、保佐開始の審判をすることができる。

エ.制限行為能力者の相手方は、その者が成年者となった後、その者に対し、1カ月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することができる。この場合において、その者が期間内に確答を発しないときは、その行為を取り消したものとみなされる。

オ.被保佐人と契約した相手方は、1カ月以上の期間を定めて、被保佐人に対して保佐人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人がその期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは、当該契約を追認したものとみなされる。

選択肢


正解:A
ア:〇 民法5条1項ただし書。単に権利を得、または義務を免れる法律行為は、法定代理人の同意を要しない。
イ:〇 民法19条1項。異なる制限行為能力の審判をするときは、家庭裁判所は従前の審判を取り消さなければならない。
ウ:× 保佐開始は能力が「著しく不十分」なときであり、「不十分」なときは補助開始の対象となる。
エ:× 行為能力者となった本人への催告に対し、期間内に確答がないときは、追認したものとみなされる。
オ:× 被保佐人への催告に対し、期間内に通知がないときは、取り消したものとみなされる。

ウについて、3類型の判断能力の程度を整理すると、「著しく不十分」は保佐、「不十分」は補助、「欠く常況」は後見です。「不十分」な者に保佐開始を認めるウは類型を一段階誤っています。

エ・オは、催告の相手方と「みなし」の方向が逆になる点が頻出の引っかけなので注意を払いましょう。

問題7(難易度:★★★☆☆)

問題

占有権に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.Aは、Bに寄託していた自己の所有する動産甲をCに売却した。このとき、AがBに対して以後Cのために甲を占有することを命じ、Bがこれを承諾したときは、Cは、甲の占有権を取得する。

イ.Aから土地を賃借して占有していたBが死亡し、Bの唯一の相続人であるCが、当該土地はBが所有していたものと信じて相続により占有を承継した。このとき、Cは、新たな権原にもとづき占有を開始したわけではないが、当然に自主占有を取得する。

ウ.占有者が、特定の二つの時点において占有していたことが証明されたときは、その間、占有は継続したものと推定される。

エ.Aが占有する動産甲をBが盗み、これを善意かつ無過失のCに売却して引き渡した。このとき、Aは、Cに対して占有回収の訴えを提起して甲の返還を求めることはできない。

オ.善意の占有者が、本権の訴えにおいて敗訴したときは、その判決が確定したときから悪意の占有者とみなされ、それ以後に収取した果実を返還する義務を負う。

選択肢


正解:B
アは指図による占有移転の説明であり、民法184条にもとづき妥当である。
イは、相続が新たな権原に当たらないとする判例により、当然には自主占有にならないため妥当でない。
ウは186条2項の占有継続の推定であり妥当である。
エは200条2項の規定により、善意の特定承継人には訴えを提起できないため妥当である。
オは189条2項により、訴えを提起したときから悪意とみなされるため妥当でない。以上より、ア、ウ、エが正解となる。

問題8(難易度:★★★☆☆)

問題

相続に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.相続人が、自己の相続分を増やす目的で被相続人の遺言書を破棄し、相続欠格者となった場合であっても、当該相続人の子は、代襲相続人として被相続人の資産を相続することができる。

イ.被相続人が遺言によって遺産の分割を禁じていない限り、共同相続人は、相続の承認または放棄をすべき期間内であっても、その協議によって、遺産の全部または一部を分割することができる。

ウ.遺産の分割が終了した後に、認知によって相続人となったものが現れた場合には、すでに完了した遺産分割は当然に無効となり、そのものを含めたすべての相続人で遺産を再分割しなければならない。

エ.配偶者が、被相続人の所有する建物に相続開始のときに居住していなかった場合であっても、遺産分割協議または遺贈によって配偶者居住権を取得すれば、当該建物に居住することができる。

選択肢


正解:A
アは887条2項および891条による。相続欠格は代襲相続の原因となるため、欠格者の子は相続することができる。
イは907条1項による。被相続人が遺言で禁じたときを除き、共同相続人はいつでも協議で分割ができる。
ウは910条による。分割後に認知されたものは価額の支払を請求しうるにとどまり、分割のやり直しは請求できない。
エは1028条1項による。配偶者居住権は、相続開始時に被相続人の建物に居住していることが要件である。(ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合はのぞく)よって、正解はAとなる。

問題9(難易度:★★★☆☆)

問題

国の行政機関に関するア~エの記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア.内閣法にもとづき、内閣には内閣官房のほか、内閣の事務を助けさせるために必要な機関を置くことができる。これらの機関には、内閣法制局、安全保障会議、内閣人事局などが含まれるが、人事院や会計検査院は、内閣の事務を助けるための補助機関には当たらない。

イ.内閣総理大臣は、内閣府の重要政策に関して施策の統一を図るために特に必要がある場合には、特命担当大臣を置くことができる。特命担当大臣が置かれたときは、関係する各省大臣は、当該重要政策に関連する事務について一切の権限を喪失し、自ら総合調整をおこなうことはできない。

ウ.国務大臣は、各行政機関の長として行政事務を分担管理する行政大臣となるのが原則であるが、各行政機関の長ではなく、特定の行政事務を分担管理しない国務大臣を置くことも認められている。

エ.国の行政組織法上の外局として置かれる委員会および庁は、省または内閣府に置かれるものである。委員会は、複数の委員の議論により意思決定をおこなう合議制の機関であり、庁は、能率的に事務を処理するために置かれる独任制の機関である。

選択肢


正解:E
アは不当。人事院は内閣の所轄の下に置かれるが、内閣法15条にもとづき内閣に置かれる「事務を助けるための機関」ではない。
イは不当。特命担当大臣が置かれても、各省大臣の分担管理原則は維持され、権限を完全に喪失することはない。
ウは妥当。国家行政組織法に基づき、省の長ではない国務大臣(いわゆる無任所大臣)を置くことができる。
エは妥当。委員会は合議制、庁は独任制の外局であり、国家行政組織法3条3項に定められている。
したがって、妥当なものはウとエである。

問題10(難易度:★★★☆☆)

問題

行政不服審査法に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。

選択肢


正解:B
Aは7条2項により、固有の資格で受ける処分には同法の規定が適用されないため妥当ではない。
Bは18条1項により、3カ月の期間制限および正当な理由による例外の規定があり、最も妥当である。
Cは25条2項および3項により、上級行政庁以外の審査庁は職権で執行停止をすることができないため妥当ではない。
Dは49条3項により、不作為庁が審査庁であるときは自ら処分をおこなうため妥当ではない。
Eは23条2項により、最初の提出のときに審査請求があったとみなされるため妥当ではない。

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問題11(難易度:★★★☆☆)

問題

労働時間に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。

選択肢


正解:C
Cが妥当である。フレックスタイム制の清算期間は、2019年の法改正により1カ月から3カ月に延長された。
Aは不当。裁量労働制であっても深夜や休日の割増賃金は支払う必要がある。
Bは不当。企画業務型は労使協定ではなく、労使委員会の設置と委員の5分の4以上の決議および所轄の労働基準監督署長への届出が必要である。
Dは不当。1カ月単位の変形労働時間制は、労使協定だけでなく就業規則によっても導入可能である。
Eは不当。管理監督者であっても深夜労働の規定は適用され、割増賃金を支払わなければならない。

Aについて、裁量労働制の「みなし」効果は所定労働時間の算定にのみ及びます。

深夜(22時〜5時)や休日労働は、時間帯と日の問題であり、みなし制とは別次元のルールです。裁量労働制適用者であっても深夜・休日割増賃金の支払義務は残ります

「みなし→すべて免除」という短絡的な論理は誤りの典型です。

問題12(難易度:★★★☆☆)

問題

株式会社の設立に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.株式会社は、設立時役員等が選任され、会社としての実体が形成された時点において成立するが、発起人は、会社成立後であっても、錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができる。

イ.発起人は、設立に際して発行する株式を一つ以上引き受けなければならない。発起人が出資に係る払込みを仮装したときは、当該発起人から当該株式を譲り受けた者は、悪意または重大な過失があるときを除き、仮装された出資額の支払がされていなくとも、設立時株主の権利を行使することができる。

ウ.発起設立において、発起人が出資の履行の完了後に設立時取締役を選任するときは、定款に別段の定めがある場合などを除き、出資の履行を完了した設立時発行株式一つにつき一つの議決権を数え、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

エ.現物出資財産の会社成立時における価額が定款に記載された価額に著しく不足するときは、裁判所が選任した検査役の調査を経ていれば、当該現物出資をおこなった発起人は、定款に記載された価額との不足額を会社に対して支払う義務を免れる。

オ.株式会社の設立無効の訴えを認容する判決が確定したときは、当該会社の設立は設立時に遡ってその効力を失うが、この訴えは、株主および取締役のほか、会社の債権者も提起することができる。

選択肢


正解:C
アは会社法49条により、設立登記によって成立するため不当である。
イは25条2項および52条の2第5項にもとづき妥当である。善意無重過失の譲受人は権利を行使できる。
ウは40条1項にもとづき、株式数に応じた議決権の過半数で決定するため妥当である。
エは52条2項1号ただし書により、現物出資者は検査役の調査を経ても免責されないため不当である。
オは828条1項1号により債権者は提訴できないため不当である。

アについて、株式会社の成立時点は「設立登記時」(会社法49条)であり、役員選任・実体形成時ではありません。また、会社成立後は設立時発行株式の引受けの取消しができません(102条の2第2項)。

よって、「実体形成時に成立」「成立後も取消可」の2点が誤りです。

オは、設立無効の訴えの原告適格(828条2項1号)は株主・取締役・監査役等に限られ、債権者は含まれません。また、設立無効判決の効力は将来に向かってのみ生じ、遡及効はありません(839条)

「遡及して無効」とする点も誤りなので、二重に誤った選択肢だといえます。

問題13(難易度:★★★★☆)

問題

職業の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、最も妥当なのはどれか。

A. 公衆浴場法による公衆浴場の適正配置規制は、国民の日常生活において不可欠な施設の偏在を防ぐ目的がある。しかし、現代社会において公衆浴場の利用者が減少していることに鑑みると、当該規制の必要性はすでに失われており、合理的な根拠を欠くため、憲法22条1項に違反する。

B. 薬局等の適正配置規制について、最高裁判所は、既存の薬局に一定の独占的地位を与えて経営の安定を図るという、積極的な社会経済政策上の目的が当該規制の主たる趣旨であると解した。そのうえで、医薬品の供給の適正化を期する手段として、距離制限を課すことは合理的であると判断した。

C. 職業の自由を制限する消極的・警察的目的による規制が憲法上是認されるためには、そのような制限を課さなければ国民の生命や健康に対する危険を生ずるおそれがあることが、合理的に認められることを要する。薬局の距離制限について、最高裁判所は、距離制限を設けないことが直ちに不良医薬品の供給につながるという合理的な根拠は認めがたいとして、当該規制を違憲とした。

D. 酒類販売業免許制度のように、酒税の確実な徴収を目的とする財政目的の規制は、国民の職業選択の自由そのものを制限する強力な規制である。したがって、立法府には広い裁量は認められず、裁判所は、より制限的でないほかの選び得る手段が存在するかを具体的・実質的に審査しなければならない。

E. 小売市場の距離制限のような社会経済政策的な目的による規制については、個人の職業の自由を制限するものである以上、消極的な目的による規制と同様の厳格な基準が適用される。そのため、立法府による政策的な判断が尊重される余地はなく、裁判所は規制の必要性を厳しく判断すべきである。

選択肢


正解:C
A:× 公衆浴場距離制限事件判決では、配置規制は国民の保健衛生を維持するための社会経済政策的な制限であり、著しく不合理であることが明白でない限り合憲とされる。
B:× 薬局距離制限違憲判決では、規制目的は不良医薬品の供給防止という消極的な目的(警察目的)であるとされた。
C:〇 判例の核心。消極的目的による制限には厳格な合理性の基準が適用され、具体的な危険のおそれが合理的に認められない限り違憲となる。
D:× 酒税徴収のような財政目的の規制については、立法府に広い裁量が認められ、明白性の基準が適用される。
E:× 小売市場の距離制限などの積極的目的による規制は、明白性の基準により、著しく不合理でない限り立法府の判断が尊重される。

問題14(難易度:★★★★☆)

問題

参政権に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.憲法15条1項にいう公務員を選定罷免する権利は、国民の固有の権利として保障されている。この権利には、投票する機会を平等に保障されることも含まれるため、国籍を保持したまま国外に居住する国民に対し、国政選挙の投票をすることを認めていないことは、それを是認しうるだけのやむを得ない事由がない限り、憲法に違反する。

イ.憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を指す。したがって、国が法律によって、地方公共団体の長や議員の選挙権を、永住外国人などのうちの一定の者に付与する措置を講ずることは、憲法の定める国民主権の原理に反し、許されない。

ウ.労働組合が、組合員が特定の立候補をしようとすることに対し、これを断念するよう説得することは組合の統制権として認められる。しかし、当該組合員がその説得にしたがわずに立候補したことを理由として除名処分をおこなうことは、組合の統制権を逸脱し、立候補の自由を著しく制限するものであるため、無効である。

エ.選挙犯罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられた者について、一律に選挙権および被選挙権を停止することは、国民にとって極めて重要な権利である参政権を奪うものである。そのため、個別の事情や情状を審理する余地のない一律の停止規定は、法の下の平等を定める憲法14条に照らし、常に違憲である。

オ.衆議院議員選挙の定数配分規定が、選挙権の平等の要請に反する程度に達している場合、判例によれば、選挙を無効とすることによって生じる社会的混乱を避けるため、違憲であると宣言しつつ、選挙そのものは無効としないとする事情判決の法理を適用することは認められない。

選択肢


正解:B
ア:〇在外邦人選挙権制限違憲判決によれば、選挙権は投票の機会においても平等に保障されるべきであり、やむを得ない事由がない制限は違憲とされる。
イ:×地方参政権について、判例は、法律で永住外国人に選挙権を付与することは憲法上禁止されていないとしている。
ウ:〇三井美唄労組事件によれば、勧告・説得は認められるが、立候補を理由とした除名処分は統制権の逸脱として無効となる。
エ:×選挙犯罪者について、選挙の公正を確保するために、一律の停止期間を定めることは合理的差別として許容される。
オ:×衆議院議員定数不均衡訴訟において、最高裁は行政事件訴訟法の事情判決の法理を類推適用し、選挙を無効としないことが可能であるとしている。

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問題15(難易度:★★★★☆)

問題

司法権に関するア~エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰は、それが議員の権利行使に重大な影響を及ぼすものであるとしても、議会の自律的な運営に委ねられるべき事柄であるため、裁判所は、原則としてその適否を審理判断することができない。

イ.憲法の最高法規性を確保するため、法律などが憲法に適合するかを判断する違憲審査権は、最高裁判所にのみ認められた特権的な権能である。したがって、下級裁判所は、具体的な事件の解決に憲法判断が必要なときであっても、自ら違憲の判断をおこなうことはできない。

ウ.裁判の対審および判決は、公開の法廷でおこなわれる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪、または憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、公の秩序を害するおそれがあると裁判官の全員一致で認めたときであっても、常に公開しなければならない。

エ.裁判官は、公の弾劾による場合、または心身の故障のため職務を執ることができないと司法裁判所の裁判により決定された場合を除いては、罷免されることはない。また、司法権の独立を保障するため、行政機関が裁判官に対して懲戒処分をおこなうことは禁止されている。

選択肢


正解:E
ア:× 以前の判例では出席停止を司法審査の対象外としていたが、令和2年の最高裁判決により、出席停止も議員の権利行使に重大な影響を及ぼすため、司法審査の対象となると判例が変更された。
イ:× 下級裁判所も違憲審査権を有しており、具体的な事件を解決するために必要があるときは、法律などの合憲性を判断することができる。
ウ:〇 憲法82条2項ただし書により、政治犯罪、出版に関する犯罪、国民の権利が問題となる事件の対審は常に公開される。
エ:〇 憲法78条により、裁判官は弾劾または司法裁判によらなければ罷免されない。また、行政機関による懲戒処分も同条により禁止されている。

問題16(難易度:★★★★☆)

問題

物上代位に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.抵当不動産の所有者が賃借人に対して有する賃料債権に物上代位できる場合であっても、賃借人が転借人に対して有する転貸賃料債権については、賃借人を所有者と同視すべき特段の事情がない限り、原則として物上代位権を行使することができない。

イ.賃料債権が差し押さえられた後に、賃貸借契約の終了により抵当不動産が明け渡されたときであっても、賃料債権が敷金の充当によって当然に消滅することはない。

ウ.抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者による賃料債権の差押えに対抗することができない。

エ.物上代位の目的債権について、一般債権者による差押えおよび転付命令が確定したときは、抵当権者はもはや自ら差し押さえて物上代位権を行使することができない。

オ.物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた場合であっても、抵当権者は、自ら目的債権を差し押さえることによって物上代位権を行使することができる。

選択肢


正解:E
アは最判平12.3.14により、賃借人を所有者と同視できるなどの事情がない限り転貸賃料への物上代位はできないため妥当。
イは最判平14.3.28により、敷金充当による債権の消滅は抵当権者の差押えに優先するため不当。
ウは最判平13.3.13により、登記の後に取得した債権による相殺は対抗できないため妥当。
エは最判平10.2.10により、転付命令確定後でも行使できるため不当。
オは最判平10.1.30により妥当。
以上よりア、ウ、オが妥当となる。

問題17(難易度:★★★★☆)

問題

債権譲渡に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.当事者が債権の譲渡を禁止し、または制限する意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

イ.譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされたことを知り、または重大な過失によって知らなかったときであっても、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができない。

ウ.将来発生すべき債権を譲渡する場合において、その譲渡の意思表示のときに債権が現に発生していないときは、その後に債権が発生したとしても、譲受人はその債権を取得することはない。

エ.指名債権の譲渡を債務者に対抗するためには、確定日付のある証書によって、譲渡人が債務者に通知をし、または債務者が承諾をする必要がある。

オ.債務者は、対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が対抗要件具備時より前の原因にもとづいて生じたものであるときは、その債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。

選択肢


正解:B
アは466条2項により、譲渡制限の意思表示があっても債権譲渡は有効であるため妥当。
イは466条3項により、悪意または重過失の譲受人に対しては履行を拒めるため不当。
ウは466条の6第1項により、将来債権の譲渡も有効であり、発生時に当然に取得するため不当。
エは467条1項により、債務者への対抗に確定日付は不要であるため不当。
オは469条の2第1項により、対抗要件具備前の原因にもとづく債権での相殺は可能であり妥当。

問題18(難易度:★★★★☆)

問題

契約の解除に関するア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.契約の解除は、相手方に対する意思表示によっておこなうが、この解除の意思表示は、相手方に到達した後は、原則として撤回することができない。

イ.債務の不履行が、その契約および取引における社会通念に照らして軽微であるときであっても、債権者が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、債権者は契約の解除をすることができる。

ウ.債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めて催告することなく、直ちにその一部の解除をすることができる。

エ.当事者の一方が数人ある場合において、そのうちの一人について解除権が消滅したときであっても、ほかの者の解除権は当然には消滅せず、依然として解除権を行使しうる。

オ.当事者の一方が解除権を行使し、その原状回復として金銭を返還するときは、その契約を解除したときから利息を付さなければならない。

選択肢


正解:A
アは540条2項。解除の意思表示は撤回することができないため妥当である。
イは541条ただし書。債務の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なときは、催告をしても解除をすることができないため不当である。
ウは542条1項2号。債務の一部の履行拒絶のときは、催告することなく直ちに解除できるため妥当である。
エは544条2項。一人について解除権が消滅したときは全員について消滅するため不当である。
オは545条2項。金銭返還の利息は、解除のときではなく受領のときから付す必要があるため不当である。

問題19(難易度:★★★★☆)

問題

行政行為の瑕疵に関するア~エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア.課税処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤があり、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を考慮してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として納税者に不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情がある場合には、当該処分は当然無効となる。

イ.青色申告についてなされた更正処分における理由付記の不備という瑕疵は、その後の審査請求に付随する裁決において処分の具体的な根拠が明らかにされたときは、これによって治癒される。

ウ.青色申告による法人税の更正処分の取消訴訟において、課税庁は、更正通知書に記載した更正の理由とは異なる事実を処分の適法性の根拠として主張し、その適法性を立証することができる。

エ.情報公開条例にもとづき公文書の非公開決定をおこなった実施機関が、当該決定の取消訴訟において、決定通知書に付記しなかった別の非公開事由を、当該決定が適法であることの根拠として主張することは許されない。

選択肢


正解:E
アは最判昭48.4.26により、徴税行政の安定を考慮してもなお不利益が著しく不当と認められる例外的な場合には、当然無効となるとされているため妥当である。
イは最判昭37.1.18等により、審査裁決の段階で根拠が示されても理由付記の瑕疵は治癒されないため不当である。
ウは最判昭56.1.27により、青色申告の更正では理由の差し替えは認められないため不当である。
エは最判平11.2.11により、当初提示しなかった事由の追加は許されないため妥当である。

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問題20(難易度:★★★★☆)

問題

未遂犯に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア.Aは、深夜、窃盗の目的で他人の住居に侵入し、懐中電灯で室内を照らして盗むべき財物を物色し始めたが、家人に気付かれたため、何ら財物に触れることなく逃走した。この場合、Aに窃盗罪の実行の着手が認められる。

イ.Aは、保険金詐取の目的で火災保険に加入し、自己の所有する建物に放火してこれを全焼させたが、保険金の支払請求をおこなう前に逮捕された。この場合、Aに詐欺罪の実行の着手は認められない。

ウ.Aは、Bを殺害するために睡眠薬を飲ませて昏睡させ、その後に首を絞めて窒息死させる計画を立てた。Aが計画通りにBに睡眠薬を飲ませたが(第1行為)、第2行為に移る前の時点で、Bが第1行為により死亡していた。この場合、第1行為に成功したときにそれ以降の殺害計画を遂行するうえで障害となるような特段の事情が存しなかったとしても、第1行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手は認められない。

エ.Aは、Bが所有する高価な花瓶を壊そうと考えて石を投げたが、石は花瓶に当たることなく地面に落ちた。器物損壊罪には未遂罪を罰する規定はないため、Aが器物損壊未遂罪で処罰されることはない。

オ.Aは、強盗をおこなうために凶器を準備して実行を計画したが、着手する前に自らの意思で計画を断念した。この場合、強盗予備罪には中止未遂の規定が準用され、その刑が必ず減軽または免除される。

選択肢


正解:D
アは窃盗の目的で物色を開始した時点で実行の着手が認められる(最判昭23.4.16)。
イは詐欺罪の着手は相手を欺く行為を開始した時点であり、放火は予備にとどまる(最判昭28.1.30)。
ウは第1行為が第2行為に密接し、計画遂行に障害がないときは第1行為時に着手が認められる(最判平16.3.22)。
エは器物損壊罪に未遂規定はなく不可罰である。
オは中止未遂の規定は実行の着手後に適用され、予備罪には準用されない。

オについて、中止未遂(43条ただし書)は「実行に着手した後」に自らの意思で中止した場合の規定であり、着手前の予備段階には適用されないものです。

強盗予備罪(237条)に中止未遂は準用されておらず、任意の断念は量刑上考慮されうるにとどまります。

「必ず減軽または免除」という断定表現が誤りを見抜く手掛かりです。

問題21(難易度:★★★★☆)

問題

横領罪に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.Aは、自己とは無関係なBが所有する未登記の乙建物について、権限なくA名義の所有権保存登記をおこなったうえで、これをCに売却して登記を完了させ、代金を着服した。この場合、AとBとの間に委託信任関係がないため、Aには横領罪は成立しない。

イ.Aは、Bから依頼されてCに対する貸付金債権の証書を預かって保管していたが、自己の借金を返済するために、無断で当該債権をDに譲渡してその代金を着服した。この場合、無体物である債権そのものを客体とする横領罪が成立する。

ウ.Aは、自動車販売業者Bから自動車甲を、代金を10回の分割払いとし、完済までは所有権をBに留保する特約で購入した。Aは、甲の引渡しを受けたが、代金を2回分しか支払っていない時点で、Bに無断で甲をCに売却した。この場合、Aには横領罪が成立する。

エ.Aは、家庭裁判所から未成年の孫Bの未成年後見人に選任され、Bの預金を管理していたが、これを自己の借金の返済に充てた。この場合、業務上横領罪が成立するが、AとBは直系血族であるため、親族間の犯罪に関する特例(刑法第255条の準用する同法第244条第1項)により、その刑は免除される。

オ.Aは、Bから委託を受けて管理する土地について、自己の借金の返済のため、Bに無断でCを抵当権者とする抵当権を設定してその登記を完了させた。その後、さらにBに無断で当該土地をDに売却して所有権移転登記を完了させた。この場合、Dへの売却行為は不可罰的事後行為として横領罪は成立しない。

選択肢


正解:B
アは、占有が委託にもとづくものといえず、委託信任関係が認められないため妥当である。
イは、横領罪の客体は「物」に限られるため、債権という無体物を客体とする横領罪は成立せず不当である。
ウは、所有権留保付売買の買主による処分は委託の任務に背く行為として横領罪が成立するため妥当である。
エは、未成年後見人という公的な立場にある者が業務上横領をおこなった場合、親族間の特例による刑の免除は適用されないため不当である。
オは、先行する抵当権設定に続く売却行為も所有者に対する新たな法益侵害となるため不当である。

オについて、抵当権設定時に横領罪が既遂となるものの、その後の売却行為は「同一法益に対する新たな侵害」として別途横領罪が成立します。不可罰的事後行為にはあたりません。

不可罰的事後行為となるのは新たな法益侵害をともなわない場合に限られる点を押さえましょう。

問題22(難易度:★★★★☆)

問題

不当労働行為に関するア~オの記述のうち、判例および労働組合法の規定に照らし、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.使用者が不当労働行為禁止の規定に違反したときは、労働組合または労働者は、労働委員会に対し救済の申立てをおこなうことができる。この申立ては、不当労働行為があった日(継続する行為にあっては、その終了した日)から1年以内におこなわなければならない。

イ.労使関係について専門的知識経験を有する労働委員会は、使用者の行為が労働組合法上の不当労働行為禁止規定に違反するかどうかを認定することについて広範な裁量権を有するから、その認定に不合理な点がない限り、裁判所はその判断を維持しなければならないとするのが判例である。

ウ.団体交渉において、使用者が自己の主張の根拠について具体的に説明せず、必要な資料の提示も拒むことは、誠実交渉義務に違反し、団体交渉の拒否に当たる。この場合、交渉事項について合意の成立する見込みがなかったとしても、労働委員会は、使用者に対して誠実に団体交渉に応ずべき旨の命令を出すことができるとするのが判例である。

エ.使用者には憲法上の表現の自由が保障されており、使用者の言論が労働者の団結権を不当に抑圧するものでない限り、使用者が組合の弱体化を意図して組合員に脱退を勧奨するような発言をおこなったとしても、支配介入の不当労働行為となることはないとするのが判例である。

オ.使用者による解雇が不当労働行為に該当する場合、それは労働組合法が保障する団結権を侵害する違法な行為であるが、労働委員会による救済命令の制度があるため、当該解雇が私法上当然に無効になるわけではないとするのが判例である。

選択肢


正解:B
アは労働組合法27条2項の規定により、申立期間は行為の日(継続する行為は終了した日)から1年以内であるため妥当である。
イは、不当労働行為の成否の認定は裁量ではなく法的判断であり、裁判所の全面的な審査に服するため不当である。
ウは不当労働行為における誠実交渉義務に関する判例に照らし、説明や資料提示の拒否は不当労働行為を構成するため妥当である。
エは使用者の言論も、組合の弱体化を意図した脱退勧奨などは支配介入になりうるため不当である。
オは不当労働行為に当たる解雇は私法上も当然に無効とされるため不当である。以上の事から、妥当なものはア、ウである。

イについて、不当労働行為の成否は法的判断であり、労働委員会に広範な「裁量権」は認められません。裁判所は労働委員会の認定を尊重しつつも全面的な審査権を持ちます。

「専門機関ゆえに裁量が広い→裁判所は維持しなければならない」という論理が誤りの核心です。

行政裁量の広狭と専門機関性を混同させる典型的な引っかけ問題といえます。

公務員試験の「法律科目」を対策する際のポイント

アドバイザーのリアル・アドバイス!極端な表現には要注意! 頻出分野を必ず押さえよう

キャリアコンサルタント/1級キャリアコンサルティング技能士

木原 渚

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1問あたりの目標解答時間は1〜2分が目安です。

法律問題は長文の選択肢が多いものの、「キーワードで誤りを即断する」技術を磨けば大幅に短縮できます。「著しく不当」「一切」「当然に」といった極端な表現は誤りのサインである場合が多いので、瞬時に疑う習慣を付けましょう。

法律科目への時間配分は、全勉強時間の30〜40%が目安です。憲法・民法・行政法の3科目だけで多くの試験種の出題の大半を占めます。まずはこの3科目に集中しましょう。

対策の際は、それぞれの科目で以下のことを意識すると良いです。

憲法:判例の結論と理由を一体で覚える。
民法:制限行為能力・物権変動・相続が頻出で条文の文言レベルの正確さが問われること。(「過半数」か「3分の2以上」かなど)
行政法:処分性・原告適格・教示制度など手続き系の細部が狙われる。

一覧表作成で視覚的にアプローチ! ◯×トレーニングも効果的

おすすめの練習方法は「過去問を選択肢ごとに分解して◯×判断する」トレーニングです。解説を読むだけでなく、なぜ誤りかを自分の言葉で説明できるまで繰り返しましょう。

特に注意すべきなのは、数字の混同(期間・割合・人数要件)と、似た制度間の手続き比較です。一覧表を自作して視覚的に整理するのが最も効果的です。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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