この記事のまとめ
- 対面面接のマナーを6ステップで紹介
- 対面面接とWeb面接ではチェックされるマナーが変わるため注意
- 対面面接のマナーでミスした時のリカバリー方法も解説
- 面接力診断ツール
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自宅で受けられるWeb面接が浸透した今日、いざ対面面接の予定が決まったときにマナーがわからないと感じる人は多いのではないでしょうか。
「Web面接よりルールが多くて気が重い」「面接官はマナーをどこまで見ているんだろう」と、そんな不安を抱えたままでは面接本番でも実力を出しきれません。
しかし、マナーは決まり事です。企業や選考段階によって変化することのない、面接において最も対策しやすい部分ともいえます。何より初対面の人の第一印象に大きな影響を与えるものであり、マスターすれば周囲と差をつけることもできます。
この記事では対面面接のマナーの基本からWeb面接との違い、応用的なテクニックまでを、キャリアコンサルタントの野村さん、古田さん、増田さん、マナー講師の樋口さんのアドバイスを交えつつ解説します。昨今の多様化で曖昧になりつつある身だしなみなどのポイントも紹介するので、対面面接を控える人はぜひ参考にしてください。
対面面接ではマナー次第で面接官の見る目が変わる
マナーとは円滑なコミュニケーションに絶対不可欠なものであり、「これから一緒に働く仲間」を探す面接官にとって極めて重要な評価項目になります。つまり、「自社のイメージを下げるようなことをしそうだ」と面接官が思えば不合格になってしまうのです。
この記事では対面面接に焦点を当て、面接における一般的なマナーとして、受付から退室までの流れはもちろん、身だしなみ、面接前後の振る舞いといった基本的な項目を丁寧に解説します。特に受付から入退室までは流れを身体で覚えることが肝要です。加えて、後半では面接官や学生が複数人いる場合や服装指定がなかった場合など、さまざまな場面を想定していきます。
各項目でキャリアアドバイザーから面接官の視点も解説するので、過度な緊張を防ぐためにも、ポイントをしっかり押さえたうえで面接に臨めることがベストです。
あなたの魅力を存分に活かした面接で、志望企業の内定獲得を目指しましょう。
対面面接に限らないさまざまな面接でのマナーは以下の記事で詳しく解説しているので、併せて確認してください。
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面接のマナーは合否をわける重要要素。念入りな対策が欠かせません。面接時の一連のマナーから身だしなみのマナーまでキャリアコンサルタントが徹底解説します。集団面接やWEB面接のマナーも紹介するので、参考にしてください。
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一方、面接官の中にはマナーに関する小さなミスなどは気にしていない人も多くいます。
応募者がどのような人なのか知るために、短時間でも多くの対話をしたいと考えているのです。
マナーにとらわれすぎて自分を出せなくなるのは本末転倒と言えるので、その点には留意しましょう。
採用経験者が語る! ココだけは間違えないでほしい対面面接のマナーワンポイント
面接官経験者の意見も気になりますが、そもそも全国の企業は選考の中のどこを見ているのでしょうか。効率的な面接対策のためにも前提から確認していきましょう。
厚生労働省が発表した平成25年若年者雇用実態調査の概要によると、新卒採用において重視されている上位3項目は「職業意欲・勤労意欲・チャレンジ精神」「コミュニケーション能力」「マナー・社会常識」であり、多くの企業がマナーを重視していることがわかります。
とはいえ、対面面接のマナーは複雑で、完璧にこなすのがなかなか難しいことも事実です。そこで、以下ではこれまで多くの学生を見てきたキャリアコンサルタントより、対面面接のマナーで面接官が重視するポイントを解説します。面接官の着目点や、間違えると不合格になりやすいマナー、ミスが目立ちやすい箇所をしっかり押さえて対策しましょう。
採用経験を持つ野村さんからのマナーのアドバイス
対面面接では、フォーマルさと自己表現のバランスが重要になります。挨拶や身だしなみに注意しつつ、自信を持って話すことや笑顔も忘れないようにしましょう。
緊張や自己への過小評価に陥らず、自分の強みを具体的な事例や成果とともに明確に伝えることが重要です。
幅広い人材のキャリアを支援する増田さんからのマナーのアドバイス
マナーとは、相手を敬い、尊重する姿勢を態度で示すこととも言われます。面接官は、応募者の最初の印象で、社内の人とうまくやれるか、顧客にちゃんと対応できる人かを測っていることも多いです。
入室してすぐは緊張もするでしょうが、自分を良く見せようとか、反対におどおどすることなく、等身大の自分で臨むことが大切です。
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対面面接の基本マナー6ステップ
対面面接はWeb面接以上に準備するもの、練習することが多くあります。
面接官は学生を見るプロです。とりわけ対面面接ではスーツの着こなしや小物まで、準備の甘さはごまかせません。
ここからは、事前準備から当日の身だしなみ、所作、ビジネスパーソンとして求められる気遣いなど、対面面接のマナー全般を流れに沿って詳しく解説するので、一つひとつ丁寧にチェックしていきましょう。
なおここでは、一般的な身だしなみのマナーを紹介します。第一印象は非常に大切であり、身だしなみに限らず指先の動きや言葉の一つひとつまでをつぶさに気にかける学生もゼロではありません。この記事ではそういった人も安心して面接に臨めるよう、一般的なルールを詳細に解説しています。
一方で、就活に正解はありません。この記事内では身だしなみも含め、通念的な見解として男女別のマナーを解説する箇所もありますが、最も大切なことはあなたの魅力をいかに伝えるかです。この記事の情報はあくまでも自分らしい就活をするための参考として活用してください。
面接対策については以下の記事を参考にしてみてください。質問実例やマナーをプロが詳しく解説しています。
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就職活動において避けては通れない面接。この記事では面接で採用担当者を惹き付ける方法をキャリアコンサルタントとともに解説します。採用側の視点を捉えた対策をマスターして、あらゆる面接で高評価を目指しましょう。
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①事前準備
対面面接はWeb面接と異なり、全身の身だしなみをチェックされます。訪問時に何を持っていくべきかも悩ましいところです。
中には用意に時間を要するものもあります。直前に慌てたり、当日に不足があるまま面接に向かうことのないよう、ここから対面面接のマナーを守るために意識したい事前準備について解説するので、余裕を持って面接に臨むための参考にしてください。
服装
服装は基本的に落ち着いたデザインのものを選びます。黒やネイビーなどの色味を選択し、またサイズも自分の体に合う、きつすぎず緩すぎないものを選択しましょう。
服装のポイント
- シャツはレギュラーカラーにする
- 靴下は椅子に座っても肌が見えない長さにする
- コートは落ち着いた色のシンプルなデザインのものを選ぶ
また、企業側からクールビズの指定がない限り、夏でもジャケットやネクタイは着用しましょう。しかし指定があってもシャツは長袖が無難です。半袖のシャツのカジュアルさが面接官によっては場にそぐわないと映る可能性があります。同時に、シャツの下のインナーの透け、腕まくり、袖のボタンの閉め忘れにも気をつけます。
冬場でコートの選び方に迷ったり、「手持ちのPコートではダメ?」と疑問に感じた人はこちらのQ&Aを参考にしてください。就活時のコートについてキャリアアドバイザーが回答しています。
チェスターコートを持っていて、対面面接で着て良いのか迷う人は以下のQ&Aコンテンツを参考にしてください。
髪型
髪型は、目が見えるよう前髪を上げるか止めましょう。清潔感を表す大事なパーツとなるため、寝ぐせや染めムラのないようしっかり整えてくださいね。
髪型のポイント
- 髪の毛は表情がはっきり見えるよう整え、清潔感を保つ
- 長髪の場合、髪が顔を隠さないようまとめる
- 髪型は自分の好きなようにアレンジしてはダメですか?
髪型そのものより清潔感の有無が大切
髪型には厳格な基準はありませんが、ぱっと見た第一印象の清潔感が重要です。その点に気をつければ、適度な長さで整えたツーブロックや短髪も許容されます。
ただし、不潔な髪や乱れたスタイルは避けましょう。
男性の場合、整ったサイドパートや清潔なクルー・カット、女性の場合、整ったポニーテールや清潔なショートボブなど、清潔感のある印象のスタイルが好まれます。結び目や毛先の乱れを整えることも大切です。
ツーブロックが就活の場で問題ないのかは以下の記事で解説しているので、ツーブロックで行きたいと考えている人は併せて参考にしてください。
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就活でツーブロックにするのはあり? 元面接官の見解と印象を紹介
ツーブロックは就活では企業によって評価が分かれる髪型です。そのため自分が受ける業界が身だしなみに対してどのように考えているのかを知ることが大切です。この記事ではキャリアコンサルタントがツーブロックの見られ方について解説するので、どのような印象を与えたいかも考慮して髪型を選びましょう。
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地毛の色が茶髪で就活で問題ないか気になっている人は、以下のQ&Aコンテンツを参考にしてください。
地毛の色や髪質は、応募先によるとは思いますが、採用された場合、いずれどんな髪質かはわかってしまうので、基本的にそのままで良いでしょう。
ただ、学生時代に明るい髪色に染めていた場合などは、元の髪色に近い色に染め直した方が良く、癖毛のせいで髪が膨らんでしまう場合は、きちんと束ねてすっきりさせて行きましょう。
メイク
メイクは必ずしもする必要はありませんが、血色の良さが明るい印象につながることもあります。ただやりすぎると「TPOをわきまえていない」とマイナスな印象になるリスクがあるため、メイクをする場合は以下の点に留意しましょう。
メイクのポイント
- ナチュラルにまとめる
- 肌馴染みの良い色を使う
面接はビジネスの場なので、男性もマナーの範囲でメイクをするのは問題ありません。目立つ火傷や傷跡などを隠すことも相手に気遣いをさせないためには必要かもしれません。あくまでも自然に見える範囲なら良いでしょう。
すっぴんで行ってはダメなのだろうかと疑問に思う人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントがアドバイスしているので参考にしてください。
- メイクの濃さはどれくらいであれば良いですか?
メイクは健康的な印象を作るツール! 困ったときは証明写真をものさしに
実際にあったのですが、履歴書に貼付されている証明写真と面接に来た人が違いすぎて驚いたことがあります。
証明写真よりメイクが派手だと別人に見えることもあるため、基準がわからないときは履歴書用に撮影した証明写真に近いメイクを心掛けましょう。
面接はビジネスの場ですが、メイクは必須ではありません。ノーメイクでも血色が良く健康的に見えれば問題ありません。
アレルギーなどで化粧品が合わない人は、日頃のスキンケアで肌質を整え、眉の形を整えるだけでも十分です。健康的に見えるかどうか自信がない人は、表情を工夫して明るく見えるように鏡で練習してみましょう。
いずれも華美でないものを緩みなく着用することが原則になります。家を出る前だけでなく、面接前にも服装や髪の乱れ・汚れなどがないか確認するとなお良いです。
ビジネスパーソンとして人前に出ていることを意識し、目の前の相手に失礼のないよう振る舞いましょう。
学生が入室した直後から不合格だと感じたのは、靴の汚れやネクタイの乱れ、スーツパンツの折り目の消えかけ、そして入室時の立ち振る舞いの不安定さや声の小ささが気になったときです。
背筋を伸ばし、自信を持って挨拶する姿勢や、礼儀正しい態度も重要です。
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・面接でなぜ落ちたかわからない人
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持ち物
必須の持ち物
- スマートフォン
- 現金・交通系ICカード
- クリアファイル
- 履歴書・エントリーシート(ES)
あると望ましい持ち物
- 腕時計
- 身分証明書
- 筆記用具・メモ帳
- 印鑑
- 企業から配布された資料
- 成績証明書・卒業(修了)見込証明書・健康診断証明書
- ハンカチ・ティッシュ
面接時に必要なものがあれば企業側から案内があるのが一般的ですが、特段の案内がなかった場合や、暗黙の了解になっているものもあるので、上記リストを参考に準備を整えましょう。
特にスマホは必需品です。交通機関の遅延などで面接に遅れる、あるいは遅れる可能性がある場合には企業へ事前に連絡するのがマナーです。緊急時の連絡先も前日までに確認しておくとより安心です。
しかし、企業訪問中にメモを取る際にはスマホでなくメモ帳を使いましょう。フォーマルな場でスマホを使うことをマナー違反と見る面接官もいます。同様の理由で時間の確認も腕時計でおこなうことが望ましいです。
また、印鑑は対面面接ならではの持ち物です。交通費を企業が負担する場合には受領印が必要になります。インク浸透印(通称シャチハタ)は認められない場合があるので、朱肉を使う印鑑を持っていきましょう。
あまり聞き慣れない書類の成績証明書ですが重要な役割があります。以下の記事では成績証明書の取得方法や提出方法についてまとめているので参考にしてみてください。
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就活で成績証明書が求められる背景には、実は企業のいくつかの目的があります。この記事では成績証明書の重要性や必要なタイミング、提出時のマナーについてキャリアコンサルタントとともに解説します。よくある疑問にも回答するのでぜひ参考にしてください。
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面接の持ち物については、以下の記事で詳しく解説しているので併せて確認してください。
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- 普段スマートウォッチを愛用しているのですが、就活のためにアナログの腕時計を買わないといけませんか?
ツールそのものよりも相手への配慮が重要
スマートウォッチでも問題ないですが、面接中に音が鳴ったり、振動しないよう、ちゃんとセッティングして行きましょう。もしそういったことが心配であれば、アナログの腕時計を用意した方が良いですね。
いつもスマホで時間を確認している人も、面接中にスマホを見るのは失礼な行為だと受け取る面接官もいるので、時間は腕時計で確認するようにしましょう。
スマホはバッグのなかに入れておくと思いますが、途中で音が鳴ったり、振動したりしないよう、電源を切るなどの配慮が必要です。
面接時に適した腕時計の選び方や役立つ場面についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、手持ちの腕時計に不安があったり、これから購入予定の人はぜひ参考にしてください。
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腕時計は就活のさまざまな場面で役に立つので、事前に準備しておくことをおすすめします。この記事では、就活用の腕時計を選ぶ際のポイントについて、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。
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②訪問時
対面面接のマナーでは身だしなみや入退室の流れが注目されがちですが、面接が始まる前にも気をつけるべきマナーがあります。受付や待機室でも面接官以外のスタッフがあなたを見ていて、かつその情報は面接官に共有されるため、面接前でも気持ちは緩められません。
とはいえ、面接直前に最終確認をしたいポイントは多くありますよね。受付前でないとおこないにくいことと、受付後でもおこないやすいことがそれぞれあります。この区分を把握しておかないと意図せず場にふさわしくない行動を取ってしまい、企業側の心証を悪くする恐れがあります。
また、会場周辺には志望企業の関係者がいる可能性が非常に高いので、周囲の全員が面接官だと思って行動しましょう。
会場到着
会場到着時のマナー
- 15~20分前に到着する
- コートやマフラーは入場前に脱ぐ
- コートは裏返して腕にかける
- 服装や髪の乱れをチェックする
- スマホなど音の出る機器はマナーモードか電源をオフにする
余裕を持って15〜20分前には到着するようにしましょう。当日に交通機関が遅延したり、道に迷う可能性も考えられます。時間が余った場合には、身だしなみなどの最終確認にあてることをおすすめします。
加えて、もしコートやマフラーを着用しているのであれば、入場前に脱ぎましょう。裏地を表にして軽くたたみ、片腕にかけます。表面に付着したホコリなどを会場へ持ち込まない配慮が必要です。
コートのたたみ方、持ち方は動画でも解説しています。表面と裏地の色がはっきり異なるのでコートの扱いがよりわかりやすく、おすすめです。
基本的に、受付後には面接以外のことがおこなえないものと思ってください。お手洗いや髪・服装などの乱れの確認、スマホなど音の出る機器をマナーモードにするのもこのタイミングです。
受付
企業から特段の指示がない限り、面接時間の5~10分前に済ませましょう。遅刻だけでなく、早すぎる到着も相手の予定への配慮に欠ける失礼な行動に当たります。
受付では挨拶、自身の名前、来社理由を述べます。面接官に相対するのと同様に明るく簡潔に話しましょう。
受付にスタッフがいる場合
こんにちは。本日13時より面接のお約束をいただいています、〇〇大学の港 太郎と申します。人事部△△様にお取り次ぎ願えますでしょうか。
受付に内線電話しかない場合
こんにちは。本日13時より面接のお約束をいただいています、〇〇大学の港 太郎と申します。人事部△△様にお取り次ぎ願えますでしょうか。
受付の内線電話で担当者直通の番号が案内されている場合
こんにちは。本日13時より面接のお約束をいただいています、〇〇大学の港 太郎と申します。
担当者名がわからない場合には「新卒採用の担当者様にお取り次ぎ願えますでしょうか」と伝えることも可能ですが、メールの署名などを事前に確認しておくとベターです。
近年ではタブレットなどを活用した受付システムを導入する企業も増えています。臨機応変に対応しましょう。
待機中
受付を済ませると、待機室か面接会場へ案内されます。受付スタッフ、案内をしてくれたスタッフへのお礼も忘れないようにしましょう。
待機中はスマホには触らず、ESや企業研究内容をまとめたメモなど確認するなど、落ち着いて面接に臨むための準備にあてましょう。ほかにも学生が待機していたら、挨拶は一言程度にとどめ、静かに過ごします。
③入室
面接のはじまりである入室です。ひときわ緊張が高まる場面ですが、一連の所作で心掛けるべきは「ゆっくり・丁寧に・はっきりと」です。動きと言葉が重なると声が聞き取りづらく、特に挨拶の場では締まりがないと受け取られる恐れがあります。動作と発言の間に一呼吸置くと、ペースの乱れを予防できるのでおすすめです。
一番最初のノックは回数だけでなく強さと速度にも注意しましょう。ゆっくりと3回ノックしたのち、ドアの向こうにいる面接官へ届く声量で「失礼いたします」と挨拶します。万が一面接官から反応がなかったらもう一度ノックしてください。それでも反応がなければ「失礼いたします」と断ってドアを開けましょう。
室内の面接官とアイコンタクトが取れたら、流れに則ってドアを閉めて30度のお辞儀と、挨拶をします。
ドアの開閉の際、面接官に完全に背やお尻を向けず、軽く振り返
り面接官の方を気にしながら丁寧に動作するように注意をしましょう。姿勢や行動は印象に影響するので、自信を持ち、礼儀正しく接することが大切です。
荷物を置くのは面接官に着席を促されたタイミングです。15度の浅いお辞儀をしてから椅子の横にカバンを置き、コートがある場合にはカバンの上へ乗せ、それから座ります。
- カバンが倒れたりコートがずれ落ちてしまったら直しても大丈夫ですか?
場面に応じて直しても問題ない
荷物が崩れるタイミングが着席前なら、着席する前に一度直しましょう。何度も崩れる場合は、直していると面接が進まないので、2~3回試した後は諦めて着席しましょう。
着席直後は面接官が会話を始めるタイミングを見計らっているため、直さずいったん面接に集中しましょう。
面接の会話中に崩れた場合、直すときに顔が荷物の方に向いてしまうため、面接官によっては失礼な行為だと受け取る可能性があります。
もし、大きな音を立てて倒れ、面接官との会話が止まってしまった場合は「失礼しました」と謝罪し、「中断して申し訳ありませんが直してもよろしいでしょうか」と一声かけてから直しても良いでしょう。
なお、面接中お辞儀は複数回おこなう動作ですが、角度によって使い分ける必要があります。それぞれの意味を把握しておくと、各場面にふさわしいお辞儀をその場で導き出せるようになりますよ。
角度で決まるお辞儀の意味
- 15度……会釈・軽い挨拶
- 30度……敬礼・一般的な挨拶
- 45度……最敬礼・深い感謝や敬意を示す挨拶
併せてきれいなお辞儀のためのポイントも確認しておきましょう。角度と所作がばっちりと決まったお辞儀は見た目よりもずっと難しい反面、できていると非常に好印象で、周囲と差をつけられます。
きれいなお辞儀のポイント
- 背筋を伸ばして腰から身体を折る
- 首を曲げない
- 膝を伸ばす
- 姿勢はゆっくりと正す
- 顔を上げた後に面接官とアイコンタクトを取る
また、着席と自己紹介のタイミングは企業や面接官によって入れ替わることがあります。それぞれの所作は変わらないので、面接官の指示をよく聞いて対応しましょう。
- 面接官が後から入ってくる面接ではどうすれば良いですか?
基本のマナーを押さえつつ、臨機応変に対応しよう
案内してくれた人が「座ってお待ちください」と席を指定したらその席に、どこの席と言われなかった場合は会場の様子を見て、大体は入り口から一番近い席が応募者用なので、そこに座って待ちましょう。
荷物は脇に置き、姿勢を正して待ちます。スマホを見たり、室内をあちこち観察したりせずに落ち着いて、面接官が入室してきたらさっと立ち上がり、指示を待ちます。
受付で部屋の案内だけされた場合や、「こちらのお部屋でお待ちください」と座る場所を指定されなかった場合は、立ったまま待つ方が良いでしょう。
面接官が一緒に来て、「先に入ってください」と入室を促された場合は、入ってすぐの場所で立ち止まり、面接官が奥に入って指示をするのを待ちます。
入室の流れを実演した動画もあるので、自宅での練習時や面接会場への移動中の最終チェックなどで参考にしてください。
④面接中
面接中は正面から面接官に観察されています。じっと見つめられると緊張しますが、話の内容だけでなく、表情や姿勢にも常に気を払う必要があります。場合によっては「面接に来ている自覚がない」と悪印象を残してしまうかもしれない、大変重要なポイントだからです。
面接というフォーマルな場で求められる「好ましい表情」「正しい姿勢」は日常生活では意識しづらく、実践の機会も少ないので、この機会に要点を学び面接当日までに練習しておきましょう。
表情
ビジネスパーソンとして人前に出ていることを意識し、明朗な学生であることを表情から伝えましょう。自分らしさも大切ですが、あまり無表情だと接しにくい人と判断される恐れがあります。
表情のポイント
- 口角を上げる
- 目を自然に開く
- むやみに視線を泳がせない
- 面接官の目をまっすぐ見る
また、自身では明るい表情を作っているつもりでも、日頃の癖や当日の緊張から、自分の思うほど表情を作れないこともありえます。朗らかな表情は自然と緊張をほぐします。事前に鏡の前で笑顔の練習をして感覚をつかんでおくと、面接官からの印象だけでなく、当日のメンタルにも良い影響がありますよ。
姿勢
表情と同じく、姿勢は自身の心境と相互に影響しあっています。たとえば、緊張して肩が上がったり手を強く握ってしまった経験はありませんか? 反対に姿勢から心境へ影響を与えることも可能です。正しい姿勢は落ち着きをもたらし、面接官から見ても好印象です。
正しい姿勢のポイント
- 背筋を伸ばす
- 背中は背もたれに触らない
- 肩を床と垂直に落とし、胸を張る
なお、手や脚の所作については一般的に男女でマナーが異なります。面接官によっては気にするポイントになるので、知識として押さえておきましょう。
男性の着席姿勢
- 脚は肩幅程度に開く
- 手は軽く握ってそれぞれの膝の上に置く
女性の着席姿勢
- 脚は膝からつま先まで閉じてそろえる
- 膝から下をわずかに斜めにしても良い
- 両手は重ねて膝の上に置く
マナーは相手に不快感を与えないためのルールなので、背筋を伸ばして身体ごと面接官に向き合うことが最も大切です。
なお、面接中には絶対に姿勢を崩してはいけないという意味ではありません。極端な動作でない限り、プレゼン中にジェスチャーを交えることでアピールしたい部分を強調することは有効です。
そもそもジェスチャーについてよく知らない、使いどころがよくわからないという人はぜひこちらの記事を参考にしてください。使いこなせるとエピソードをより臨場感を持って伝えられるので、周りと差をつけられますよ。
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面接では身振り手振りを含めた見え方も対策をしておく必要があります。記事では、キャリアアドバイザーの遠藤さん、谷所さん、柴田さんとともに面接で身振り手振りを効果的に使う方法を解説。具体的な動作も伝授するので誰でも習得可能です。
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話し方
大きな声で歯切れ良く、かつ丁寧に話すことが基本です。
言葉づかいのポイントとしては、敬語を使うことはもちろん、目上の人を敬う言い回しも大切です。面接官から想定外の質問を受けて答えに窮したとき、黙って考えるのではなく、「少々考えるお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と断りを入れるのもその一つです。
面接官が話しているときには、うなずいたりあいづちを打つなどして、話をきちんと聞いていることを態度から示しましょう。面接官もリアクションがないと学生が話を理解できているか判断できないので、心証を下げる恐れがあります。
そこで、面接時に使いやすいフレーズを以下にて紹介します。日頃使う習慣がないと咄嗟には出てこないので、練習として日常会話に取り入れていくのも手です。
あいづち
・そうなんですね
・私もそう思います
・存じ上げませんでした
・勉強になります
お礼・挨拶
・本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます
・本日は私の面接のためにお時間をいただきありがとうございます
依頼
・少々考えるお時間をいただいてもよろしいでしょうか
・差し支えなければお伺いできると幸いです
・お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします
了承
・かしこまりました
・承知しました
・お待ちしています
タメ口は言わずもがな、「わかりました」「了解です」「なるほど」などフランクに聞こえる言い方や、「失礼しまーす」「そうなんですねー」といった間延びした話し方も面接官によっては気にするポイントなので、癖になっている人はハキハキとした話し方を心掛けましょう。
すでに成人している年齢なので、きちんとした敬語が使えることは基本です。日常的に使っていれば身に付くものなので、使い方が合っていないとマイナス評価とまではいかなくても、印象は悪くなってしまいます。
普段から、周りの大人や教授たちとの会話のなかでも意識して話し、スムーズに敬語が使えるようにしておきましょう。
⑤退室
面接の終わりは面接官が明確に言葉で示します。椅子を動かさないよう静かに立ち上がり「本日はありがとうございました」とお礼を言って45度の深いお辞儀をしましょう。自分のために時間を割いてもらった、自分の話をきちんと聞いてもらったことへの感謝を込めた角度になります。
荷物を持ち、ドアの前まで歩いて面接官に向き直り「失礼します」と再度お辞儀をします。このときは入室時と同じく30度です。
最後にドアへ身体を向けてドアを開け、退室します。ドアを閉める前に面接官と目を合わせ、お辞儀をしながらドアを閉めるとより丁寧な印象になります。
お辞儀の角度は約30度程度が適切です。過度な深さや浅さは、面接官からすると不自然に映る場合があります。
退室の流れも実演した動画があるので、参考にしてくださいね。
⑥会場退出
退室後は速やかに会場を出ます。その際、受付や案内をしてくれたスタッフに改めてお礼をしましょう。面接自体が終わっていても、企業と面接官はまだあなたを見定めようとしている可能性があります。ビジネスパーソンとしての礼節を最後まで大切にしましょう。
また、コートなどの防寒具を着用するのは会場を出た後になります。寒さが厳しくとも我慢しましょう。コート表面のちりやホコリを会場に残さないための配慮です。
その後の帰り道も気を抜けません。ビル内から面接官が観察している可能性もあるので、歩きスマホなどの社会的なマナー違反は厳禁です。メールなどの確認は立ち止まっておこないましょう。
こちらの記事では面接の入室・退室のマナーについて詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。
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面接官や学生の人数によって変わるマナー
面接によっては面接官や学生側が複数人いることもあります。話し手・聞き手が複数人いる空間では、意識を向けるべき相手がたびたび変わるため、一対一の面接とは違った気配りが必要になります。
Webであればカメラを見つめることがそのまま話し手・聞き手と目を合わせることになりますが、対面では違います。自分が話すとき、面接官が話すとき、ほかの学生が話すとき、それぞれどんな態度を取るべきでしょうか。
ポイントを押さえ、その場にいる全員に対して敬意を払うための振る舞いをマスターしましょう。
声の音量は、その場にいる全員が普通に聞こえるくらいで良いのですが、会社のなかには面接官と少し距離が取られている場合もあります。
相手が「耳を澄まさないと聞こえない」ということのないよう、語尾まできちんと、明るいトーンで話すよう心掛けましょう。
話の内容をわかりやすくするため、自然に身振り手振りを入れるのは問題ありませんが、普段そういったことをあまりしない人は、そのときだけあえてやる必要はありません。
面接官が2人以上いる場合
基本的には全員の顔を均等に見ながら話しましょう。高頻度で大げさに身体の向きを変えるなどするとかえって落ち着きなく見えますが、その場にいる全員に対して敬意を払う態度は好印象につながります。
しかしこの場合、面接官は役割を分担しながら学生を見極めようとしています。面接の冒頭に面接官からも自己紹介があるので、採用の意思決定者が誰なのか、逆質問を誰に向けるかなど、各面接官の役割を見極めるのも重要です。
たとえば、社長・現場責任者・採用担当者の3人が面接官だった場合、合否の最終判断をするのは社長の可能性が高いです。企業理念への共感や就業意欲のアピールはおもに社長へ向けるのが効果的でしょう。就職後に自分がどんなふうに働けるのかを詳しく知りたいならば、質問相手に最適なのは現場責任者です。そこで企業への理解をさらに深め、就業意欲とリンクさせると説得力のあるアピールができます。
集団面接の場合
自分が話すターンでは面接官へ顔を向けるのが前提になります。余裕があれば、ときおりほかの学生へ視線を向けましょう。面接だからといって学生の聞き手を無視して面接官だけを見つめる必要はありません。
聞く側に回った際も同様です。面接官が話しているときには面接官の目を見ましょう。ほかの学生が話しているときはその人の方向へ身体を向けます。その間に面接官の様子を伺うことは問題ないものの、視線の動きがあまりに多いと挙動不審に見られかねないので、注意しましょう。
集団面接の大きな特徴として、その場で学生同士が比較される傾向があることが挙げられます。身だしなみや挨拶などもその対象ですが、特に重要なのはコミュニケーション能力、つまり協調性です。限られた時間を全員で分け合う意識、ほかの学生が話しているときの傾聴の態度など、他者への姿勢を観察する面接官は少なくないでしょう。
どこの企業でも、応募者に協調性があるかどうかは面接のときに見極めたいと考えています。
自分のアピールだけに集中せず、ほかの応募者が話しているときも適度な相づちを打つなど、ちゃんと聞いている姿勢を保つことが大切です。
入退室の際も、最後の人が指定の場所に着くまで待つなど、ほかの応募者への気遣いを忘れないようにしましょう。
入退室時のマナーにも違いがあるので、こちらの記事で集団面接ならではのポイントをチェックし、その場で比較されるという状況を味方につけましょう。
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対面面接 | Web面接 |
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全身の身だしなみを詳細に確認される | 顔から胸程度しか相手に見えない |
公共機関や受付などの所要時間まで考慮して時間前行動をしなくてはならない | 5~10分前までに通信環境や表示される名前、背景などを整えて待機する |
受付や入退室の所作が評価対象になる | Web会議が始まると即面談に入る |
視線は面接官の目へまっすぐ向ける | 視線はカメラへ向ける |
指先の仕草まで見られているので気を抜かない | 画面越しでは情報が伝わりにくいので、表情や動作をはっきり作る |
帰路でも面接官に観察されている可能性がある | しっかりと頭を下げてから退室する |
選考フローのなかにWeb面接と対面面接の両方が組み込まれていたり、Web面接しか受けてこず今回初めて対面面接を受ける人もいるのではないでしょうか。
対面面接はWeb面接と違い、画面の制約がありません。そのため、全身がチェックの対象になります。
ここでは、Web面接と対面面接のマナーの違いについて、マナーのプロの意見を紹介します。
樋口さんは資生堂ビューティコンサルタント出身のマナーの専門家です。現在は企業や自治体にてマナーやコミュニケーションについての研修をおこなっていて、新年度には月間約1,000人の新社会人へ向けてビジネスマナーを伝授しています。専門家の意見を見てみましょう。
アドバイザーコメント
樋口 智香子
プロフィールを見る対面面接とWeb面接のマナーの違いは「伝える情報のコントロール法」
Webと対面の比較として、面接マナーを意識する際に、押さえておくべき大切な事項があります。それは「対面では、面接中の自分の姿を見ることができない」ということです。
Web面接では、カメラに写る自分の姿を見ることができます。そのため、自分の表情やリアクションの仕方を客観的にチェックすることができます。
対面ではそれができない分、よりいっそう、表情を豊かにすることや、面接官とのアイコンタクト、うなずき・あいづちなどのリアクションを意識すると良いでしょう。たとえば表情なら、Webの1.5倍くらいの笑顔を目安にしてください。
面接官以外の人への気遣いも社会人として大切なマナー
全身を見られることも、対面面接で意識したい点です。背筋を伸ばした姿勢、颯爽とした歩き方、丁寧なお辞儀など、好感を持たれる立ち居振る舞いの基本を徹底してください。
盲点になりやすいのは、手元です。緊張したときや、質問への答えを考えているときに、ついモゾモゾと動かしてしまうことがあります。落ち着きのない印象を与えてしまうので、手は自然な位置に置き、不自然な動きをしないようにしましょう。
さらには、周囲の人への心遣いができると良いですね。受付の人や、社内ですれ違う人、グループ面接ならほかの就活生など、かかわる人への挨拶を心掛けましょう。
Web面接ならではのマナーについてはこちらの記事で細かく解説しています。面接時に発生しやすい環境トラブルなども紹介しているので、事前に確認・対処しトラブルを回避しましょう。
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服装指定などがない会社での面接のマナーは? 企業に合わせたアピール法
ここまで、対面面接で求められる一般的なマナーを紹介してきました。
これらをマスターできれば無礼に取られることはまずありません。しかし企業から「私服でお越しください」と言われた場合や、個性を強くアピールしたい場合には悩んでしまいますよね。
志望する企業のカラーや業界、職種によっては、基本的なマナーから一歩踏み出したアピールが面接官に好印象を残すこともあります。自己分析や企業研究にもつながるので、自分が押し出したいポイントを整理する意味でもぜひ参考にしてください。
IT・Web業界は勤務時の服装が自由な企業が多いこともあり、学生との面接でも服装を自由とすることがよくあります。
できる一工夫としては、黒・紺・グレーといった定番カラーではないものの、オフィスカジュアルにまとまる落ち着いた色のシャツやブラウスを選ぶなどではないでしょうか。
アレンジコーデで一緒に働く姿を想像させる
近年は企業側がホームページ(HP)やSNSなどで「職場の日常」を発信することも多く、志望企業の風土を把握しやすい環境です。ほかにも業界研究をしているうちに活躍する人材の傾向をつかめてくると、面接で「自分はこんな人材なのでこの会社で活躍できます!」と企業側に寄り添ったアピールをしたくなりますよね。合格に直結するわけではありませんが、第一印象は大切です。
黒いスーツは勤勉な、ネイビーのスーツは爽やかな、グレーのスーツは落ち着いた印象をもたらす傾向にあります。柄によって遊び心を加え、軽やかさをプラスすることも可能でしょう。
男性はネクタイの持つ印象も意識しましょう。暖色なら元気な、寒色ならスマートなイメージになりやすいです。彩度を落とせば落ち着きが、明度を上げれば爽やかさが加わって見えるでしょう。
女性はレギュラーカラーとスキッパーカラーの使い分けも可能です。スキッパーカラーは快活な印象を与えやすいので、営業職などを志望する際には有効です。これらは先に紹介したベーシックなマナーの範疇なので、実践しやすい工夫でもあります。
くり返しになりますが、あくまでも就活に正解はなく、最も重要なのはあなたらしい就活ができることです。面接官の視点や社会常識などについて不安や疑問を抱えたまま面接を迎えることのないよう、一般的なマナーとして男女別のマナーを詳しく説明しています。あなた自身が納得できる就活のための参考としてください。
セルフプロデュースで差別化する
「私服でお越しください」と言われた場合や、志望企業が自由度や多様性をアピールしている場合、ベーシックなリクルートスーツでは周囲に埋もれてしまうのではと不安を覚える学生もいるかもしれません。
たとえば外資系企業や海外勤務を前提とした企業・業種の面接では、これまで解説した日本における一般的な就活のルールをそれほど重視していないケースもありえます。そのほかにも、アパレル系・デザイン系の企業の面接はファッションセンスそのものが評価項目になる可能性が高く、セルフプロデュースが有効になると考えられます。
しかし、面接はあくまでもフォーマルな場であり、社会的常識の有無も見られています。身だしなみから自身のイメージをプロデュースするのもテクニックの一つであることは間違いないとはいえ、ベースのマナーは常に念頭に置く必要があります。
アドバイザーコメント
樋口 智香子
プロフィールを見るどんな面接でも基本を守ったコーディネートで臨もう
セルフプロデュースとして、私服や個性をアピールする服装で面接に行く場合でも、身だしなみの基本原則はクリアしておきましょう。意識すべき基本原則は3つです。
①清潔感
どのような服装でも徹底すべきは、清潔感です。
汚れ・しわ・シミなどがないことが大原則なので、たとえば個性を出す場合でも、しわ加工やダメージがあるものはおすすめできません。また、グレーが混じったようなくすんだ色を顔周りに持ってくると、暗い印象になります。避けてください。
②機能的
機能的であるとは、言い換えれば、仕事に支障がないことです。実際に仕事をはじめたときに、邪魔になりそうなもの、仕事がしづらそうなものは避けてください。
たとえば、歩きづらそうな靴、長いネイル、とがったアクセサリーなどがそれにあたります。
③統一感
仕事での身だしなみは、全身を見たときに、統一感があることを大切にします。私服でも、ここは押さえてください。
コーディネートは全体のバランスが重要
おしゃれとしてのコーデには「あえて、外す」という概念があります。たとえば、スーツのようなフォーマルな服装に、カジュアルなスニーカーを履くといったことです。
しかし、これは上級テクニック。差別化するにしても、人によって評価が分かれる要素です。面接では、あえてそこに挑まなくとも良いでしょう。調和したトータルコーディネートがおすすめです。
スーツから個性を強調した服装まで、面接における服装についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、企業カラーや志望業界に応じて服装を変えたい人はぜひ参考にしてください。
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面接で服装を整えることは最低限のマナー。面接における服装の基本マナーを押さえましょう。この記事では服装の意識すべきポイントや評価に与える影響などをキャリアコンサルタントがプロの現場目線で解説します。
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もしマナーでミスしてしまっても挽回できる? 面接官経験者の意見を紹介
ここまで紹介したマナーはマスターすることが前提になるものの、やはり面接は緊張するものです。くり返しになりますが、面接は総合評価で合否が決まります。絶対に押さえておきたいポイントがあるのと同じように、ミスの後の対処次第では挽回を図れることもあります。
ここでは面接官経験のあるキャリアアドバイザーより、対面面接におけるマナーミスへの見解や、面接で実践可能なリカバリー術とその効果を紹介します。
アドバイザーコメント
野村 芳克
プロフィールを見るマナーだけでなく素直な姿勢も面接における大切なコミュニケーション
対面面接でのマナーミスは、清潔さや態度によって不合格につながることがあります。たとえば、靴の汚れや服装の乱れは面接官に不快感を与える可能性があります。しかし、誠実な姿勢や対処能力を示すことで挽回もできます。
また、事前に準備してきた回答文の記憶をたどるような思い出しながらの借り物の発言なども気になったことがあります。
どんなきれいな言葉や難しい言葉でまとめて応答するよりも、自分のなかの思いや考えを自分なりの言葉で誠実に表現する姿勢は面接官に好印象を生み、面接試験の場も和み面接官自身も力みが和らぐ場となります。
失敗を味方につけて対応力をアピールしよう
失敗した場合は素早く謝罪し、その後の行動で改善策を示すことが重要です。話す内容や態度が優れていれば、マナーミスをカバーできることもあります。
加えて、自己管理能力や自己啓発への意欲などの自身の強みをアピールし、自分の将来のビジョンを明確に伝えることが大切です。
最後に、自信を持って前向きに取り組んでください。あなたの努力と誠実さが必ず評価されます。頑張ってください!
対面面接のマナーをマスターして目が合った瞬間から面接官を惹きつけよう
マナーは就活時だけでなく社会人になってからも業界業種問わず欠かせないものです。だからこそ合否にも影響する重要な項目になっています。しかし学生のうちからマナーをしっかり学んでいれば、社会人としての第一歩をすでに踏み出しているといえます。
面接官に「この学生は自社でならこんなふうに働くだろう」とイメージさせることが内定獲得のポイントです。
今回解説したマナーをマスターし、面接官にあなたの魅力を余さず伝えて内定獲得につなげましょう。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見る短い時間のなかでもマナーや気配りのできる人かどうかは見極められる
日頃からマナーや気配りができている人とそうでない人の差は面接という短時間でもにじみ出るため、面接官には簡単に伝わります。
ドアの開閉一つ取っても音が出ないように静かに閉められる人とそうでない人、椅子に座る所作、言葉遣いや会話の受け答えに至るまで、面接で緊張していることを差し引いても、5分あればその差はわかります。
持っているスキルや経験値の近い応募者が複数いて、そのうちの1人しか採用できない場面があれば、マナーの有無は内定を左右するポイントになりえます。それほどまでにマナーは重要だとされています。
マナーはコミュニケーションの一環! 社会人になってからも必要不可欠
社会経験がある面接官も、マナーを熟知している人ばかりではないので、多少のミスはお互い様です。
とはいえ、ビジネスマナーは初対面の相手とのコミュニケーションには欠かせない要素であり、ないと信用を失うことにもつながるため、自己研鑽を怠ると以降の社会人生活にも影響が出るでしょう。
面接対策として最低限のマナーは知っておきましょう。
本コンテンツにおける編集方針
近年では「ダイバーシティー&インクルージョン(D&I=多様性と社会的包摂)」およびジェンダー尊重の重要性が増しており、PORTキャリアでは、就職活動・転職活動においてそうした取り組みを推進する立場をとっています。
本コンテンツでご紹介する就職活動、転職活動に関連するノウハウ、マナー、対策等の情報は、特定の価値観を押し付けたり個性を損なわせる目的でなく、情報提供及び選択肢の提示であることをご理解いただき、情報の取捨選択については、あくまでそれぞれの価値観ないし個性に基づいて判断いただければ幸いです。
※PORTキャリアのダイバーシティ&インクルージョンな 就活を推進する取り組みについてはこちらにて詳しく説明しています
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
4名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細マナー講師/アカデミー・なないろスタイル代表
Chikako Higuchi〇元資生堂ビューティーコンサルタント。現在は全国の企業・自治体でマナーとコミュニケーションの研修を実施。月間約1000人の新入社員に、社会人に必要なビジネスマナーを伝授
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアデザインオフィスあかつき代表
Ayako Masuda〇団体職員や子育てを経験後、行政のワーク・ライフ・バランス推進部署で勤務。現在は若者サポートステーションでキャリア支援をするほか、女性や企業向けのキャリア関連講座の講師も務める
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