この記事のまとめ
- 「貴社」は書き言葉、「御社」は話し言葉で相手の企業を指す
- 「貴社」や「御社」を使わない場合も! 業界によって使い分けよう
- 「御社」「貴社」以外にも就活生が間違えがちな言葉遣いに要注意
- 面接力診断ツール
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就活を始める際、「貴社」と「御社」の違いがわからないという人も多いはず。どちらも相手の企業を示す言葉ですが、明確な違いを知って使い分ける必要があります。
「貴社」と「御社」を間違えても選考に影響を及ぼす可能性は低いですが、言葉遣いを重視している企業からは低評価となるケースもあります。よって、就活では「貴社」と「御社」の違いをはじめとした正しい言葉遣いをすることが重要です。
この記事では、キャリアアドバイザーの隈本さん、横山さん、谷所さんのアドバイスを交えつつ解説します。「貴社」と「御社」の使い方を詳しく知りたい人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
御社と貴社の違いを知って自信を持って選考に臨もう
就活では「貴社」と「御社」をしっかりと使い分ける必要があります。さらにそれ以外の言葉遣いや礼儀作法にも気をつけたうえで、書類の提出や面接をすることが重要です。
当記事では、「貴社」と「御社」の違いを例文を使いながら詳しく説明します。その後、「貴社」と「御社」を間違ってしまった場合の対処法や、「貴社・御社」を使わないケースを紹介します。
当記事で解説する言葉遣いを身に付けると、提出書類や面接で正しい言葉遣いができるようになるでしょう。
また、「貴社」と「御社」の使い分けだけでなく、就活で悩みがちな表現や言葉遣いも紹介しています。就活での言葉遣いや礼儀について詳しく知りたい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
「御社」と「貴社」の意味や違いとは?
「御社」も「貴社」も、どちらも相手の会社を指す言葉です。これら2つの言葉の違いは、「使う場面」にあります。それでは「御社」と「貴社」の違いを詳しく見ていきましょう。
御社の意味や使い方
御社とは、話し言葉で相手の会社を示す場合に使う言葉です。御社を使うシーンは以下の通りです。
御社を使うシーン
- 面接
- 電話
- 会社説明会
- インターンシップ
- OB・OG訪問
上記のように、企業の従業員と直接顔を合わせて話す際に使う言葉です。
貴社の意味や使い方
貴社とは、書き言葉で相手の会社を示す場合に使う言葉です。貴社を使うシーンは以下の通りです。
貴社を使うシーン
- 履歴書
- エントリーシート(ES)
- メール
上記のように、相手の会社を書き言葉で表す場合に使います。
- 御社と貴社の違いはわかりましたが、面接などの緊張する場では間違えてしまいそうです……。
練習を繰り返したうえで落ち着いて面接に臨もう
基本的に「御社」の御(おん)は話し言葉、「貴社」の貴(き)は書き言葉であることをしっかりと押さえておいてください。書類を書く時にはしっかり確認しましょう。
面接などでは、御社と貴社の違いばかりに気を取られすぎてもいけません。御行(銀行)や御院(病院)など、通常耳にしないような言葉も併せて事前に確認しておくと良いでしょう。
私が学生から聞いた話では、面接官が「弊社」と言ったのにつられて、「御社」と言うべきところを間違って「弊社を希望する理由は〜」と言ってしまった、というケースがありました。
模擬面接を繰り返して、面接官とのやり取りに慣れておくようにしてください。
「弊社」や「当社」との違い
「弊社」「当社」とは、自分たちの会社を表す言葉です。よって、就活生が使うことは基本的にありません。
弊社とは、自分たちの会社をへりくだって表す際に使う言葉です。相手の会社を持ち上げる言葉のため、社外向けに使います。
一方、当社とは、自分の会社を丁寧に表現した言葉です。ビジネスシーンでは、社外の人に自社を表す場合、弊社を使うことがほとんど。そのため、「当社」は社内向けに使う人が多いことを覚えておきましょう。
「御社」を使った例文を紹介!
「御社」と「貴社」の違いがわかったところで、まずは「御社」を使った例文を就活の状況別に解説します。実際の就活でも使えるため、参考にしてください。
例文①会社説明会
それでは、会社説明会で「御社」を使う例文を紹介します。会社説明会では社員と話す時間はそこまで多くありませんが、質疑応答時などに使う例文をまとめました。
例文
- 御社で活躍されている方の共通点を教えてください
- 御社で仕事をするうえで、一番重要なことを教えてください
- 御社で働くうえでのやりがいを教えてください
説明会でのマナーは「御社」「貴社」の使い分け以外にもさまざまです。WEB説明会のマナーや準備について詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしましょう。
Web説明会参加マニュアル|服装やメール送信例まで完全網羅
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例文②面接
続いて、面接で「御社」を使う例文を紹介します。面接では、面接官からさまざまな質問をされるため、とっさに「御社」が出るよう日頃から練習しておきましょう。
下記の例でも紹介していますが、具体的には志望動機などで「御社の企業理念」や「御社の従業員」など対面で相手の企業を指す場合に使います。
例文
- 御社の人を大切にするところに惹かれ、志望いたしました
- 内定をいただいた暁には、一日も早く御社で活躍できるよう努力いたします
- 御社の強みは開発力だと存じ上げておりますが、その他にも力を入れている事業はございますでしょうか?
面接では敬語を意識した言葉遣いも大切ですが、それ以上に立ち居振る舞いや話す内容が重視されます。まずは、面接全体のマナーや質問に対する回答の準備などに力を注ぐことを忘れないでください。
面接は言葉遣い以外にも気を付けるべき点があります。面接対策について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
面接のコツ|通過率を飛躍的に上げる初心者必見の対策を解説
例文③OB・OG訪問
最後に、OB・OG訪問で「御社」を使う例文を紹介します。OB・OG訪問では、主に質疑応答の際に「御社」を使うことが多いです。
例文
- 御社を志望した理由を教えてください。
- 御社に入社して、辛かったことと嬉しかったことを教えてください。
- 御社に入社するために、学生時代におこなったことを教えてください。
OB・OG訪問を通して就活を有利に進めたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
「貴社」を使った例文を紹介!
「御社」の使い方がわかったところで、「貴社」の使い方を解説します。就活では企業と文章でやり取りする機会が多いため、しっかり確認しましょう。
例文①履歴書
まずは、「貴社」を履歴書で使う例文を紹介します。履歴書では自己PRや志望動機で「貴社」を使うことが多いでしょう。
履歴書の例文
「三方良し」という理念に共感し、貴社を志望いたしました。
貴社に入社いたしましたら、より多くの方に商品を届けられる営業部署において活躍していきたいと考えております。
失敗を恐れずに挑戦する貴社の社員に惹かれ、私も貴社の一員として働きたいと考え応募いたしました。
履歴書では自己PRや志望動機を明確に伝える必要があります。書類選考を突破する履歴書の書き方が知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
新卒用履歴書の書き方完全版|よくある失敗や受け渡しのマナーも解説
例文②メール
続いて、メールで「貴社」を使う例文を紹介します。メールでは、面接の日程調整やお礼メールで「貴社」を使うことが多くなります。
メールの例文
貴社より先日ご提案いただきました座談会の件につきまして、質問がございましてご連絡いたしました。
先日は、貴社で面接の機会をいただきまして誠にありがとうございました。
貴社のご期待に添えるよう、精一杯精進してまいります。
企業へのメールは、採用担当者からの印象を大きく左右します。書類選考結果への返信メールについて詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
返信次第で悪印象? 書類選考結果の返信メールを例文付きで解説
選考で「御社」と「貴社」を間違えるとどうなる?
「貴社」と「御社」の違いを理解していても、勘違いや緊張から間違ってしまう可能性もあるでしょう。そういった場合は選考に影響を及ぼすのでしょうか?
ここからは、「貴社」と「御社」を間違ってしまった場合に考えられるケースを紹介します。
基本的には選考結果に影響しない企業が多い
「御社」と「貴社」の間違いだけで、選考に通過できないということは少ないでしょう。面接官は基本的に、就活生の人柄ややる気を見ているため、多少の言葉の間違いは気にならないというケースもあります。
ただし、たとえば志望動機があいまいで熱意が伝わっていないなど、良い印象を残せていない場合、「言葉遣いも間違っていたしいい加減なのではないか」とマイナスに作用するかもしれません。
- 実際「御社」「貴社」の間違いを企業はどの程度気にするのでしょうか?
社外とのコミュニケーションが多い仕事は要注意
「御社」と「貴社」の間違いだけで選考に影響することはほとんどないものの、営業職や社外の人とのコミュニケーションを重視する仕事などは、厳しくチェックされていることもあります。
面接で間違いが気になり、学生の間違いを指摘する面接官もいます。指摘されてすぐ訂正すれば問題ありませんが、指摘したときの表情や態度はチェックされている可能性が高いので注意しましょう。
ミスが業務に影響しやすい業界では選考に影響する可能性がある
基本的には「御社」と「貴社」の間違いだけでは選考に影響しないことが多いと上述しましたが、小さなミスが業務に影響しやすい業界では選考に影響を与える可能性があります。
たとえば、金融業界や官公庁、伝統的なメーカーなどは言葉の間違いや言葉遣いを細かくチェックしている場合があります。こういった会社は、ミスや確認不足が業績低下につながる可能性があるためです。
そのため、細かい作業や確認が求められる業界では、小さなミスをしないよう細心の注意を払いましょう。
基本的には、常識を逸脱しない程度の言葉遣いができることが望ましいです。また営業などの対人業務はある程度敬語が重要になりますが、特に謙譲語を使いこなせるように日頃から練習してください。
また、業界によっては、外為「がいため」のような平易な漢字でも独自の読み方をするものがあるので注意しましょう。金融業界志望で、これを「がいい」と言ってしまうと内定は厳しいです。
「御社・貴社」以外のマナーにも注意が必要
正確性や礼儀を重んじている企業では、「御社・貴社」のような言葉遣いだけでなく、細かい文法や言葉遣いまで、選考に影響を与える可能性があります。
よって、尊敬語や謙譲語、丁寧語の使い分けはもちろん、文章の構成にまで気をつけましょう。また、開始前のあいさつや会社をしっかり調べてきているかなど、面接の内容よりも面接を受ける身としての礼儀作法を身に付けることも重要です。
さらに、出版・印刷など文字を扱う業界の場合は、「選考書類をPDFに直した際に見切れていないか」「改行が変になっていないか」などのレイアウトも気にする場合があります。そのため、応募書類は誰が見ても綺麗だと感じられるような状態で提出しましょう。
面接時の礼儀作法を重要視する企業を受ける人は、徹底してマナーを知る必要があります。面接時のマナーについて詳しく知りたい人はこちらの記事を確認してください。
絶対に落とせない面接のマナー! 「即不合格」にならないための作法
「御社」と「貴社」を間違えてしまった場合の対処法
「貴社」と「御社」を間違えたからといって、就活に影響を及ぼす可能性は低いと解説しました。しかし、企業によっては言葉遣いを重視しているケースもあります。そのため、できるだけ正しい言葉を使うのが重要です。
しかし、緊張から「貴社」と「御社」を間違って使ってしまう場合もあるでしょう。そこで、ここからは「貴社」と「御社」を間違えてしまった場合の対処法を解説します。
書類提出前:書き直す
選考書類の提出前であれば、一から書き直しましょう。「途中まで書いた書類を書き直すのは面倒」と思う人も多いかもしれません。しかし、間違いに気付いたまま書類を提出し、選考に通過できない可能性もあります。
また、間違いは修正ペンでなおすのではなく、書類を書き直すことをおすすめします。採用担当者の中には、修正ペンで書き直している学生は理由もなく落とすというケースもあります。
可能性の話にはなりますが、「企業から内定をもらいたい」という熱い気持ちを伝えるためにも、間違いがない綺麗な状態の書類を提出しましょう。
選考書類の提出前に気づいた場合は、書き直した書類を提出すべきです。間違いが原因で選考に通過できないこともあります。通過できなかったときに後悔しないためにも、間違いを書き直して提出しましょう。
書類提出後:面接で一言お詫びをする
提出前に間違いに気付かなかったにもかかわらず、提出後に間違いに気付いた場合は、面接時に一言お詫びをしましょう。
お詫びをしなかったからといって印象が悪くなることはあまりありませんが、お詫びをした方が丁寧な印象となります。
- ESに「御社」と書いてしまっていたことに気づきました。まだ面接の案内は来ていないのですが、こちらからお詫びのメールを送った方が良いのでしょうか?
基本的には必要ないが志望企業の特徴に応じて判断しよう
ESの選考段階では書類上の言葉遣いよりも記載されている中身の方が重視されるため、基本的にお詫びのメールまで送る必要はありません。
学歴や生年月日、連絡先など、選考試験にかかわる重大な記載に間違いがあった場合にのみ、修正とお詫びのメールを送るようにしましょう。
ただし、企業規模や業界によっては厳しくチェックしていることもあるため、応募先企業が大手企業や金融、メディア業界などコンプライアンスに厳しい業界の場合は、早めにお詫びのメールを送るようにしましょう。
面接:気付いた時点で訂正する
面接でうっかり「御社」と「貴社」を間違えてしまった場合、気付いた時点で一言お詫びをしましょう。たとえば、「これまで御社とお伝えすべきところ、貴社と伝えてしまいました。次回から気をつけます」などです。
誰でも間違いはあるものですが、その後の対応が社会人になってからも非常に重要になります。「自分の間違いに気付いて素直に謝れる」という点で、採用担当者から評価してもらえる可能性があります。
- 面接が終わってから、面接中に「貴社」と言い間違えていたことに気づきました……。お詫びした方が良いのでしょうか?
基本的に後からのお詫びは不要
選考書類で「御社」を使っている場合は、違和感を持つ担当者がいる可能性はあります。その場合は、面接時に一言お詫びをすれば印象は悪くなりません。
また、面接中に「貴社」を使ってしまった場合は、特に謝罪は不要かと思います。
私の個人的な印象ですが、口語(話し言葉)が普及したため、「御社」が日常的に使われるようになっていますが、本来、書き言葉の方が丁寧であり、「貴社」の方が格調があるように感じます。
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「御社」や「貴社」を使わないケースもチェックしよう
御社・貴社は会社を示す言葉だと解説しました。しかし、一般企業に当てはまらない場合は、御社や貴社という表現が不適切になる場合もあります。それでは、御社・貴社以外の呼称を用いるケースを確認しましょう。
学校・学園・学院
学校を表す場合は〇〇学校と表現するのではなく、下記のように表します。
学校・学園・学院の表現
- 話し言葉:御校
- 書き言葉:貴校
学園や学院の場合も、「校」を使うと覚えておきましょう。
銀行
銀行も一般企業のため、「御社」や「貴社」だと思っている人も多いかもしれませんが、以下のように表します。
銀行の表現
- 話し言葉:御行
- 書き言葉:貴行
ちなみに、一般企業の場合は「入社」と言いますが、銀行の場合は「入行」と表すことを覚えておきましょう。
信用金庫
信用金庫も銀行と同じように、株式会社での経営形態が成り立ちますが、「〇〇株式会社」とは呼びません。よって、以下のような表し方になります。
信用金庫の表現
- 話し言葉:御金庫
- 書き言葉:貴金庫
御金庫は「御庫」と言うこともできますが、御金庫のほうが一般的です。
病院
病院は医療法人で株式会社とは異なるため、御社や貴社とは言わず、以下の表し方をします。
病院の表現
- 話し言葉:御院
- 書き言葉:貴院
役所
役所は一般企業とは違い自治体なので、御社や貴社と表すのは不自然です。よって、以下のような表し方をします。
役所の表現
- 話し言葉:御庁
- 書き言葉:貴庁
「東京都庁」のように具体的な組織名で呼ぶのも良いとされています。
他にも就活で悩みがちな表現や言葉遣いに要注意!
就活で悩みがちな表現や言葉遣い
- 男女問わず一人称は「私」を使う
- 謙譲語と尊敬語を使い分ける
- 「御中」と「様」を使い分ける
- 二重敬語に気を付ける
- 「了解しました」は使わない
- 「なるほど」は使わない
- 「ら抜き言葉」に注意する
- 電話で「もしもし」はNG
- メールはクッション言葉を用いる
ここまで、御社と貴社の違いや、貴社・御社を使わないケースを確認しました。しかし、就活ではそれ以外にも気を付けるべき言葉遣いが存在します。
ここからは、就活で悩みがちな表現や言葉遣いを解説します。
①一人称は「私」を使う
応募書類や面接での一人称は「私(わたし/わたくし)」を使いましょう。「わたくし」のほうが相手にフォーマルな印象を与えることができます。
一方、「僕」という言葉は自分と同等、もしくは目下の人に対して使う一人称なので、就活では使わないようにしましょう。
②謙譲語と尊敬語を使い分ける
就活では敬語を使う必要がありますが、敬語にもいくつか種類があります。中でも尊敬語と謙譲語の違いについて知っておかなければ、正しい言葉遣いをするのは難しいでしょう。
尊敬語とは、相手を主語とし相手を立てる言葉です。たとえば、「おっしゃる」「いらっしゃる」「ご覧になる」などがあります。
対して謙譲語は、自分を主語とし、自分をへりくだることによって相手を上げる表現です。たとえば、「申し上げる」「うかがう」「拝見する」などがあります。
このように尊敬語と謙譲語の違いを身に付けておくことで、正しい言葉遣いをすることができます。
尊敬語 | 謙譲語 | |
見る | ご覧になる | 拝見する |
来る | いらっしゃる | 伺う |
言う | おっしゃる | 申す |
する | ~される | ~致す |
思う | 思われる | 存じる |
知る | ご存じ | 存じ上げる |
③「御中」と「様」を使い分ける
「御中」と「様」はどちらも相手を示す敬称になりますが、使い分けが必要です。
「御中」とは、会社や部署宛にメールや電話をする際に使う言葉です。個人に「御中」を使用すると間違いになってしまうため、個人名がわからない場合に使います。たとえば、「〇〇株式会社 御中」「〇〇株式会社 〇〇事業部 御中」のような使い方をします。
一方、「様」とは個人の名前がわかる場合に使用します。そのため、採用担当者の名前がわかる場合は「様」を使いましょう。たとえば、「〇〇株式会社 採用担当 〇〇様」「〇〇株式会社 〇〇事業部 〇〇様」という使い方をします。
また、「社長」や「部長」のような役職者に「様」をつけるのは原則間違いとされています。「社長様」と表記するのではなく、「〇〇株式会社 〇〇社長」のように表記しましょう。
④二重敬語に気を付ける
二重敬語とは、1つの文章に敬語を重ねて使うことです。たとえば、「お読みになられる」は一見正しそうに感じますが、間違いです。「お読みになる(尊敬語)」と「れる(尊敬語)」の二重敬語になっています。正しい表現は「お読みになる」です。
さらに、「伺わせていただく」も二重表現です。「伺う(謙譲語)」「いただく(謙譲語)」と一つの表現に重ねて謙譲語を使っています。
二重敬語は知らず知らずのうちに使ってしまうことがあるため、教授と話す際やバイト先などで、日頃から正しい敬語を使うよう心がけましょう。
間違えがちな二重敬語の例
- ×伺わせていただきます→〇伺います
- ×ご覧になられる→〇ご覧になる
- ×おっしゃられた→〇おっしゃる
- ×お帰りになられました→〇お帰りになりました
- ×拝見させていただきます→〇拝見します
- 敬語が苦手です。正しい言葉遣いをするにはどうしたら良いでしょうか?
適度な緊張感の中での会話に慣れよう
敬語が苦手な場合は、日常生活で尊敬語や謙譲語を意識して話すことが大切です。先輩や目上の人、初めて行くお店の店員さんなど、適度な緊張感を持って話をする必要がある人と会話するなどして訓練しましょう。
また、面接のためにあまり難しい敬語表現を覚えようとしない方が良いでしょう。苦手なのにもかかわらず難しい表現を使おうとすることで、伝えるべきことまでスムーズに話せなくなってしまいます。
ある程度の敬語表現は割り切り、必要最低限の敬語のみを覚えて丁寧に話すことを意識しましょう。
⑤「了解しました」は使わない
「了解しました」は本来同じ立場の人、もしくは目下の人に使う言葉のため、就活では使わないようにしましょう。就活で「了解しました」を使うと面接官によっては不快感を感じてしまう可能性があります。
就活で相手の言葉に同意する場合は、「承知しました」「かしこまりました」を使いましょう。
⑥「なるほど」は使わない
就活の際に「なるほど」を使うのは避けましょう。なぜなら、「なるほど」は上から目線の言葉だと受け止められてしまうことがあるからです。
目上の人への同意をしたい場合は、「そういうことですね」「おっしゃるとおりですね」を使いましょう。
また、「なるほど」を丁寧に表現しようとして「なるほどですね」と言ってしまう人もいるかもしれませんが、こちらは文法として間違いです。よって、就活だけでなく、就職後のビジネスシーンでも使わないよう注意しましょう。
⑦「ら抜き言葉」に注意する
「ら抜き言葉」とは、本来必要な「ら」が抜けた言葉のこと。たとえば、「見られる」「食べられる」などを、日常会話においては「見れる」「食べれる」と話す人も多いのではないでしょうか。
口語では「ら抜き言葉」を使っても違和感がありませんが、本来は間違っている言葉遣いであることを理解しましょう。履歴書やESを記入する際は、ら抜き言葉ではないかの確認を徹底しましょう。
ら抜き言葉になりやすい表現
- 見られる
- 食べられる
- 来られる
- 起きられる
- 決められる
- 着られる
⑧電話で「もしもし」はNG
一般的にビジネスの場面で「もしもし」は使用しません。企業から電話がかかってきた際、第一声が「もしもし」は避けましょう。正しくは「はい、〇〇(氏名)です」と名乗ることです。
また、こちらから企業に電話をかける際も「もしもし」とは言わないようにしましょう。「いつも大変お世話になっております。〇〇大学の〇〇(氏名)と申します」と、まずは自分が誰なのかを申し出ましょう。
⑨メールはクッション言葉を用いる
企業にメールする際は、クッション言葉を用いるよう心がけましょう。クッション言葉とは、相手に何かをお願いする場合や断る場合、その言葉の前に添えて使う言葉です。
クッション言葉を利用すると、相手に柔らかい印象を与えることができます。たとえば、お願いごとをする場合は、「お忙しい中大変恐縮ですが、お時間を頂戴できますと幸いでございます」と記載すると、丁寧な印象を与えられるでしょう。
社会人になると、取引先や上司に対してクッション言葉を使う頻度が多くなります。よって、就活生のうちから使えるようになっておくことをおすすめします。
代表的なクッション言葉の例
- お忙しい中恐縮ですが
- 恐れ入りますが
- お手数をおかけしますが
- 差し支えなければ
- 早速ですが
- もしよろしければ
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る丁寧さだけでなく正しい日本語も意識しよう
面接における一人称は「わたくし」もしくは「わたし」を使うようにしましょう。両親についても「お父さん」「お母さん」といった表現を使わず、「父」「母」と言ってください。
敬語を重ねて使う二重敬語では、特に「お(ご)~なる」と「れる(られる)」という二重敬語を使ってしまうパターンが多いので注意しましょう。
たとえば「お見えになられました」は「お見えになりました」が正しい使い方です。丁寧な言葉で伝えようという気持ちは理解できますが、日本語の使い方が間違っている学生だと捉える採用担当者もいます。
書類は「御中」と「様」の使い方に注意
書類を送付するときの、御中と様の使い方に気をつけてください。会社名や事業部名のみの場合は「御中」を使用しますが、担当者名などの氏名がある場合は、会社名や事業部名の後ろに「御中」は記載せず、氏名の後に「様」のみ記載します。
ESや履歴書は語尾を統一する
ESや履歴書を記載する際、語尾の使い方は統一した書き方にしましょう。「です・ます」という敬体の語尾と、「だ・である」といった常態の語尾が混在しないようにしてください。通常は「です・ます」の丁寧な文章で統一して記載します。
正しい言葉遣いで好印象! 選考の好スタートにつなげよう
ここまで「御社」と「貴社」の違いを解説しましたが、それ以外にも気を付けるべき言葉遣いや礼儀作法があります。
就活では、これまで使い慣れていない言葉遣いをしなければならないシーンが多々あります。しかし、一つひとつ確認しながら就活を進めていけば問題ありません。また、間違いに気づいた際はすぐにお詫びをすることで、選考に影響が出ない場合も多いです。
とはいえ、言葉遣いや礼儀作法を重んじる企業もあるため、今回解説した内容を復習して就活を成功させてくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/インテグラルキャリア研究所所長
Keiichi Yokoyama〇20歳後半からカウンセリングの勉強を始め、キャリアに比重をおくコンサルティング、人材育成を企業内で推進。独立後は大学のキャリアセンターで学生の就職支援にもかかわる
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
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