この記事のまとめ
- 東証一部上場は廃止されて現在はプライム市場に変更されている
- 社会的信用を重視するなら一部上場企業への入社も一つの手
- 上場企業への就職を目指すなら4つの対策が必須
- 自己分析ツール
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この記事を読んでいる人におすすめ
就活の時期は応募する企業の話をする機会も自然と増えますが、そのなかで「入社するなら上場企業が良い」「上場企業に入っておけば安心」などと聞くことも多いのではないでしょうか。
一部上場企業と聞くと、給与面や福利厚生で優れているイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしその良いイメージがあるからこそ、内定は限られた人のみがもらえるといった狭き門です。
この記事では、「東証一部上場」の意味について詳しく解説します。東証一部上場企業に就職・転職するメリット・デメリットもキャリアコンサルタントの隈本さん、板谷さん、杉原さんとともに解説するため、これから就職する企業を選ぶ人はぜひ参考にしてください。
東証一部上場企業の意味を理解して就職先の視野を広げよう
企業が上場しているか否かは、応募する企業を選ぶ際の指標の一つとなります。東証一部上場企業のみでなく、東証二部やマザーズといった株式市場の特徴を知ることで、就職先の選択肢も広がり、より自分の理想となる企業を探しやすくなります。
また「東証一部上場」に関する知識は一般常識としてとらえている人もいるため、覚えて損はない知識です。
記事前半では、キャリアコンサルタントとともに一部上場企業の現状とその他市場の基礎的な知識を解説します。ここで基礎知識をしっかり押さえましょう。
そして後半では就職する際のメリットやデメリットのみでなく、内定獲得のコツについても詳しく解説します。まだ入社したい企業のイメージがわかない人も、企業選びの軸の一つとしてぜひ参考にしてみてください。
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東証一部上場はすでに廃止? 「一部上場企業」をわかりやすく解説!
東証一部上場とは、東京証券取引所(東証)の市場第一部に上場することを指す言葉です。
東証一部上場はすでに運用されていない株式市場であり、現在は「プライム市場」という名称に変更されましたが、現在も東証一部上場の名称を聞く機会は多くあります。なお、東証一部以外にも、第二部やマザーズ、JASDAQなどの株式市場があり、いずれも東証一部と同じく廃止され、現在は別の名称に変更されています。
東証一部上場とプライム市の意味や内容はほぼ変わらないため、ここで一部上場企業の定義や条件について詳しくチェックしてみましょう。
一部上場企業の定義:以前「東証一部」に上場していた企業の名称
「一部上場企業」とは、2022年4月3日までに東京証券取引所の第一部に上場していた企業が当てはまります。名称が変更された現在でも、プライム市場を一部上場企業と呼ぶ場合もあるのです。
日本取引所グループのデータによると、市場第一部・第二部に上場するためには、おもに以下の4点について審査されます。
東証一部上場の要件
- 企業の継続性および収益性
- 企業経営の健全性
- 企業のコーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性
- 企業内容などの開示の適正性
これらの要件をどの程度満たしたかによって、東証一部や東証二部など上場できる市場が異なります。たとえば東証一部上場の場合は、ほかの東証二部やマザーズ、JASDAQなどの市場と比較して、高い流動性や継続した事業、そして安定した利益を得る基盤が特に重視されていました。
現在は市場再編により東証一部からプライム市場に名称が変更されましたが、上場する条件のみが多少変更されており、要件や定義に変更はありません。
プライム市場の企業は事業の安定性と信頼性が高く、企業経営の健全性が世界的に評価されています。資金力もあるため、福利厚生やキャリアアップの機会の充実など、ほかの企業にはないメリットが豊富です。
一部上場の条件:利益基準か時価総額基準のクリアが必要
従来は上場企業にも4つの区分がありました。たとえば東証一部への上場は、以下の項目を満たすことが条件です。
東証一部上場の条件
- 株主数が2,200人以上
- 流通株式数が20,000単位以上
- 流通株式比率が35%以上
- 時価総額が250億円以上
- 事業継続年数が3年以上
- 純資産の額が10億円以上
- 利益または時価総額が一定以上
株主数や事業継続年数についてはわかりやすいですが、一番下の「利益または時価総額が一定以上」という基準に関しては「利益基準」と「時価総額基準」で決まります。
利益基準とは、直近2年間の利益総額が5億円以上であることを基準とするものです。時価総額基準では、時価総額500億円以上もしくは直前期売上高が100億円以上のいずれかを指すもので、利益基準と時価総額基準のいずれかを満たしていれば条件のクリアとなります。
4つの区分のなかでも東証一部が一番難易度の高い審査で、東証二部やマザーズ、JASDAQなどはさらに基準が緩やかです。
一部上場のメリット:資金調達がスムーズになる
企業が一部上場する一番のメリットは、株式が証券会社で売買できるようになり、資金調達がしやすくなることです。非上場企業は証券市場による株式の売買ができず、銀行などから借り入れる必要がありますが、上場すると多くの人に認知される企業となります。
一部上場できる企業であることは、厳しい条件を乗り越えた安定している企業であることの証明にもなり、認知とともに信頼度も高まります。知名度・信頼度アップにより株式を購入する投資家も増えて、高額な資金調達も可能になるといえるでしょう。
また東証一部上場の条件には、企業を監視して適切な意思決定をおこなえる仕組みを指した「コーポレート・ガバナンス」および内部体制の整備が求められます。一部上場するということは、経営体制や財務状況の透明性も確保する必要があり、企業としての成長も見込める点もメリットといえるのです。
コーポレートガバナンスが整備されているメリットとしては、情報開示が進んでいることで企業の状況を把握しやすくなったり、労働法規の順守から労働環境が良くなったりすることが挙げられます。
デメリットは、株主を意識した四半期ごとの業績報告により短期的な利益を上げることを重視しているため、抜本的な改革をおこなうことが難しくなる側面があることでしょう。
一部上場のデメリット:買収の可能性がある
高額な資金調達が可能になる点はメリットですが、株式が自由に取引されることは、買収されて現経営者が経営権を失う可能性もあります。
株式は取得した割合によって、株主総会による決議の権利が変わります。株式を2分の1以上取得している人、または企業は普通決議を単独で可決できるため、現経営者が方針の舵を取ることはできなくなるのです。
経営権を握られない程度の株式を売却したとしても、購入した株主からは常に監視されて、損失や不祥事が起こった際は経営者による説明責任があります。ただし監視の目は財務や運営の透明化にもつながるため、株式が自由に取引されること自体は決して悪いこととは言えないということは覚えておきましょう。
- 勤めている企業が買収された場合、社員たちはどうなるのですか?
雇用は継続するが労働環境が大きく変わる可能性がある
あくまでも一般論ですが、そのまま雇用は継続します。ただし、そうは言っても労働環境は大きく変化します。
たとえば人事評価制度。どれだけ実績があっても買収した会社の基準になるので、評価が低くなる場合があり、そうなると給与も下がってしまいます。また、引き続き同じ仕事ができるかどうかは不明です。
特にスタッフ部門の場合は、人員数だけ見ると適性数でなくなることがあり、そうなると配置転換の可能性が出てきますし、部門の統廃合も考えられるので専門職であっても人員整理、つまりリストラの可能性も否定できません。
逆に、相手が大手だと自然と大手一流企業勤めとなり、ネームバリューや給与などがランクアップすることもあります。
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廃止後の東証一部は? 再編成後の3つの市場区分も併せて解説!
東証一部含む東証二部やマザーズ、JASDAQなどの市場区分は、各市場同士の基本理念が明確でないことや企業価値の向上を目指しにくい仕組みであることを理由に、2022年4月に廃止されました。その後新たな市場区分に再編成され、名称や区分内容も変更になりました。
現在の名称と区分されている基準を知ることで、より自分の理想に近い企業を探しやすくなります。従来まで4つの区分だったものが3つに振り分けられているため、どのような基準で区分されているかここでチェックしましょう。
①プライム市場:東証一部の企業が移行
プライム市場は現在の東証市場で一番厳しい条件の区分です。プライム市場は、多様な機関投資家が安心して投資対象にできる流動性があり、安定的かつ優れた収益基盤・財務状態を有することをコンセプトとしているので、ガバナンス水準も高く、持続的な成長が期待できる企業が上場の対象となります。
そのため従来の市場区分で最上位だった東証一部のなかでも、限られた企業のみがプライム市場に移行しました。
プライム市場の上場基準は以下の通りです。なお、すでに上場した企業が同じ区分にとどまるための「上場維持基準」は、新規上場とは別の基準が設けられています。
プライム市場に新規上場する企業の条件
- 株主数が800人以上
- 流通株式数が20,000単位以上
- 流通株式時価総額が100億円以上
- 売買の時価総額が250億円以上
- 流通株式比率が35%以上
- 純資産の額が50億円以上
- 収益基盤が一定以上
プライム市場では、売買の時価総額は250億円から平均売買代金0.2億円以上が基準となり、財務状態も純資産額が正であることが求められます。
- 上場企業への就職を狙うなら、プライム市場が一番良いですか?
プライム市場は安定しているがほかの市場にも魅力は溢れている
プライム市場の企業は、安定した経営基盤を持っており、グローバルな視点での成長を目指すなら最適です。しかし、ほかの市場にも魅力はたくさんあります。
スタンダード市場やグロース市場は革新的な取り組みをしている企業が多く、成長ポテンシャルが高いなどの特徴があります。
これらの企業では、新しいチャレンジや変化を楽しみながら自分のスキルや知識を大いに発揮できる環境が整っています。
自分に合った企業を見つけるためには、各市場の特徴を理解し視野を広げて選択肢を増やすことが大切です。それぞれの市場に目を向けて、自分のキャリアビジョンに合った企業を見つけてください。
スタンダード市場:東証一部/東証二部/JASDAQ企業が移行
スタンダード市場は、一定の流動性を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えた企業が対象となります。一般投資者による円滑な株式売買ができ、ある程度安定した収益の基盤を有することが基準です。
従来まで東証一部・東証二部・JASDAQに分類されていた企業のなかでも、以下の条件に適合するものがスタンダード市場に新たに分類されています。
スタンダード市場に新規上場する企業の条件
- 株主数が400人以上
- 流通株式数が2,000単位以上
- 流通株式時価総額が10億円以上
- 流通株式比率が25%以上
- 直近1年間の利益が1億円以上
- 純資産額が正であること
プライム市場と比較すると条件が緩やかになっており、多くの企業がスタンダード市場に区分されることが予想できます。
③グロース市場:JASDAQ/マザーズ企業が移行
グロース市場はプライム市場やスタンダード市場よりも、比較的規模の小さい企業が参加できる区分です。高い成長可能性を実現するための事業計画を有しており、投資対象となりうる最低限の流動性を備えていることが条件となります。
完璧なガバナンスは求められていませんが、事業規模や成長段階を踏まえた適切なガバナンスが求められるため、今後の企業成長が期待される企業が集まった区分といえます。
グロース市場の上場基準は以下の通りです。
グロース市場に新規上場する企業の条件
- 株主数が150人以上
- 流通株式数が1,000単位以上
- 流通株式時価総額が5億円以上
- 流通株式比率が25%以上
プライム市場やスタンダード市場と比較すると、経営成績や財務状態の項目がなくなっています。スタートアップのベンチャー企業が集まりやすい区分で、成長の見込みはありますが、その分投資リスクも高くなるという点は知っておきたいポイントです。
ベンチャー企業と聞くと人手不足で労働条件の待遇も良くないといった悪いイメージを持っている人もいるでしょう。実際にイメージ通りの環境が良くない企業も多々ありますが、ベンチャー企業への就職は必ずしも避けるべきものではありません。
以下の記事では、危ないベンチャー企業の避け方や優良ベンチャー企業の探し方について詳しく解説しています。
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「ベンチャー企業=危ない」という先入観を持っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、ベンチャー企業が危ないと言われる理由について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。
記事を読む
グロース市場は、創業したばかり、あるいは小規模のベンチャー企業向けの市場です。したがって、「成長」が鍵となるため自分で道を切り開きたい人には魅力的な企業です。
一方、経営が安定するまでにかかる時間をデメリットに感じる人もいます。
年収アップも目指せる! 東証一部上場は平均給与が高い傾向にある
上場している企業は非上場企業と比較して、平均給与が高い傾向にあります。東京商工リサーチの調査によると、2022年度の上場企業3,235社の平均給与は620万円4,000円でした。
一方で国税庁が発表した令和4年分の「民間給与実態統計調査」では、上場企業含む民間企業の正社員の年間給与は523万円で、上場企業の平均と約97万円の差がありました。
特に一部上場企業は企業規模も大きい傾向にあるため、実績や勤続年数により高収入を目指せるでしょう。
しかし上場企業に入社できたからといって、必ずしも民間企業より給与が高くなるとは限らないことは注意点です。平均給与は比較的高いため、将来的も見すえて給与額を重視する人は上場企業への入社を目標にすることも一つの選択肢です。
アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見る一般企業よりも高い傾向にあるが業界によって異なる
一般的に上場企業の方が、非上場企業や中小企業よりも年収が高額になる傾向がありますが、業界による違いもあります。
高収益を上げている金融や製薬などの業界の上場企業の年収は高額な傾向が強い反面、小売業やサービス業などの業界では上場でも必ずしも年収が高いとは言えません。
ベンチャー企業の中でも収益性の高い企業は、高額な報酬を提示するケースもあります。上場企業では基本給に加えて賞与の占める割合が高いということや福利厚生が充実しているという側面もあります。
業績や個人の評価・地域によっても給料に変動がある
上場企業では定期的な昇給や昇進によって給料が増えるということや、業績連動型の報酬体系を採用し、会社の業績が好調な場合には、それに連動したボーナスが支給される可能性もあります。
上場企業でも年功序列制度から個人の能力や業績への評価に変わりつつあり、個人により年収の変動が見られる場合も出てきています。地域による差もあり、東京や大阪などの大都市圏は給料水準が高くなりがちです。
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東証一部上場にあたる企業に就職・転職するメリット
東証一部上場にあたる企業に就職・転職するメリット
「一部上場企業=高給」というイメージが強い人も多いかもしれませんが、上場企業は厳しい条件をクリアして認められるものなので、収入以外の面でも労働環境や福利厚生の待遇が良い企業も多くあります。
給与以外にどのようなメリットがあるのか知って、就職・転職の企業選びの参考にしてみてください。
①社会的信用が得られやすい
上場企業に入社すれば比較的収入が安定しているというイメージから、特に一部上場企業への入社は社会的信用が得られやすいといえます。
企業が新規に上場する際は一定の条件を満たさないと審査に通りませんが、上場して維持するための条件もあり、企業側は常に安定した経営と成長が求められます。そのため社員の採用には綿密な選考が組まれて、実際に入社できるのは選ばれた人のみで狭き門とも言えるでしょう。
狭き門をくぐり入社できた人は、ローンを組む際やクレジットカードの発行、賃貸契約時などで社会的信用が高いと思われて、審査でも有利になりやすい傾向にあります。勤続年数が長くなると、さらに収入も安定してより高い社会的信用を得られるでしょう。
社会的信用が高い企業に就職すると、住宅ローンやクレジットカードの審査に通りやすくなるなど、個人の信用が必要とされるさまざまなサービスの利用が可能となります。
また、転職時やキャリアアップ時にも経歴を評価されやすくなるため、有利に働きやすいです。
②労働環境が適切に管理されている
企業が上場する際は、法令を遵守するための体制である「内部統制」についても審査されます。企業は労働基準法や労働契約法など労働にかかわる法制度を遵守していないと上場できないため、結果的に現在上場を維持している企業は、労働環境が適切に管理されているといえるのです。
しかし上場企業でも、残業があったり就業時間が不規則だったりなど、安定した環境ではない可能性もあります。ただ安定しない労働環境であっても、法令と就業規則に則った範囲に限るため、環境自体は適切に管理されていることが安心感にもつながります。
③福利厚生が整っている企業が多い
上場企業に多い福利厚生一覧
- 家賃補助
- 住宅手当
- 特別休暇
- 食事補助
- 慶弔金支給
福利厚生は民間企業でも導入されていますが、上場企業は子育て支援や住宅手当などの福利厚生のサポートが手厚い傾向にあります。
有給休暇の消化率の高さや子どもや家族の看護休暇などの制度で休みやすい環境が整っていたり、保育費用の補助が出たりなど、ライフイベントに適した休暇が取りやすい上場企業も多く、結婚・出産後も長く働きたい人にとっては適した環境といえるでしょう。
また、特別休暇の種類は企業それぞれで、慶弔休暇や介護休暇のみでなく、誕生日に取得できるバースデー休暇や記念日に取得できるアニバーサリー休暇を導入している企業もあります。
東証一部上場企業のうち、自社株を優遇された条件で購入できる「持ち株制度」や、確定給付型企業年金・確定拠出年金などの充実した退職金制度、社宅や独身寮、事業所内保育園を設置している企業もあります。
カフェテリアプランというポイント制で社員が自由に選択できる福利厚生メニューを取り揃えている企業もあります。
福利厚生が充実している企業を知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。福利厚生の基礎知識のみでなく、多くの企業が導入している福利厚生や、ユニークな福利厚生まで数多くの例を紹介しています。
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就活生向けに多くの企業で導入されている福利厚生や人気の福利厚生をランキング形式で紹介し、福利厚生に着目した企業選びについて解説します。キャリアアドバイザーによる企業側の視点も解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
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④キャリアアップ制度が整っている企業が多い
キャリアアップとは、さらなる専門知識やスキルを身に付けて、アルバイトから正社員に雇用されることや、昇進でポジションや年収が上がることを指します。
たとえば営業職の場合は、グローバルな事業展開を目指すためにTOEICで高得点を目指したり、コミュニケーション能力や課題解決能力を鍛えたりなどもキャリアアップにつながります。
一部上場企業は社員の教育にも力を入れており、キャリアアップのための制度を積極的に導入している企業も多いです。社員を育てなくては企業としての成長も難しく、社内で積極的に学べる制度や資格取得の支援まで、各社さまざまな制度を導入しています。
キャリアアップのためには、自分のなりたい姿と現在の姿を比較して目標を立てることが求められます。能力のみでなく自分の意思も重要になるため、向上心を持って仕事に取り組みたい人は、面接でもキャリアアップについて質問しても良いかもしれません。
自分のキャリアに関して自信がない人や、キャリアアップについてどう考えて良いかわからない人は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。キャリアアップについての考え方のみでなく、面接でキャリアプランを上手く伝えられる方法も解説しています。
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⑤企業規模が大きいからこその経験と実績を得られる
厳しい審査により上場した企業は、一般的な民間企業と比較して企業規模も大きい傾向にあります。継続して働けば、民間企業では実現が難しいような大きいプロジェクトを任される可能性もあるでしょう。
一部上場企業であれば従業員数も多いため、さまざまな人材の活躍を間近で見られる貴重な経験ができるのみでなく、さらなるキャリアアップのために学べる制度も多いことから、上場企業は自分を成長させやすい環境とも言えます。
独立して自分で企業と取引しなくてはならない場面でも、上場企業に勤めていた経歴は強みとなるでしょう。また独立したい人のみでなく、将来を見据えたキャリア形成を目指す人にとっても、大きなメリットになります。
大きなプロジェクトを任されたいという人は、職種を意識すると良いでしょう。スタッフ部門ではなく、ライン部門だと可能性は高いです。
新人がいきなり責任が大きい仕事を任されることはほとんどないため、大きなプロジェクトに携わりたいなら、まずは実力を付けることが先でしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
東証一部上場にあたる企業に就職・転職するデメリット
東証一部上場にあたる企業に就職・転職するデメリット
- 社内規則が厳しいケースがある
- 問題が起きた際の社会的責任が多い
- 給与が高額とは限らない
一部上場企業への就職・転職はメリットが多く、特に安定した企業で働きたい人にはおすすめですが、一方で就職を目指す前に知っておきたいデメリットも3つあります。
実際に働く際は上場企業ならではのプレッシャーもあるため、「自分には上場企業は向いていないかな?」と思ったら、非上場企業のなかから就職先を探すことも一つの選択肢です。まずは3つのデメリットをチェックして、自分に向いているか確かめてみてください。
①社内規則が厳しいケースがある
社内規則とは企業の規則全般を指す言葉で、言わば「企業の法律」のような存在です。企業・社員間の労働契約について取り決めた「就業規則」も代表的な社内規則です。
就業規則以外にも、取締役会や組織・役職管理に関する規定、内部情報管理規定、個人情報管理規定など、社内規則で定める項目は非常に多く、上場企業ではさらに徹底した管理が求められます。
法令はもちろん、この社内規定がしっかり定められており、かつ実際に機能しているか否かも上場する際の審査にかかわってくるため、どの上場企業に入社しても社内規則の遵守は避けては通れません。適切な内部統制を目指すあまり、社内規則がどんどん厳しくなっていくことも考えられます。
そのため新しいルールを覚えることが苦手な人や、自分が納得できないルールは守りたくないという人にとっては、上場企業の社内規定が窮屈に感じるかもしれません。
- 社内規則が定められているといっても、本当にその通りに守られているのでしょうか?
基本的には社内規則は守られているが職場による側面もある
多くの企業で法令遵守や安全基準などは厳格に守られている傾向が強いです。一方で、現場の実情に合わない規則は状況に応じて柔軟に解釈されたり、形骸化していることもあるでしょう。
規則の意義に関して社員がきちんと理解している場合は自発的な順守がおこなわれていても、理解不足や共感が得られなかった場合には守られない可能性が高まるとも言えます。
近年はコンプライアンスの意識が高まっているので、多くの企業で規則順守の意識が高まっているのではないでしょうか。
②問題が起きた際の社会的責任が多い
経験を積んで実績を得られることは上場企業に就職する大きなメリットですが、担当となった仕事で問題が起きてしまうと、大きな社会的な責任が発生するおそれがあります。
上場している以上、企業は株主から常に企業としての成長を求められます。企業の成長は、社員一人ひとりの活躍で成り立つものであり、企業そのものでなく社員も責任感を持ちながら仕事をしなくてはなりません。
責任感を持ち仕事することはモチベーションアップにもつながりますが、プレッシャーに弱い人は重圧を感じてしまい、ストレスになる可能性もあります。
- もし担当している仕事で問題が起きた際は、どのような責任を取らなくてはならないのですか?
問題の質や内容によって取るべき責任は異なる
基本的には、会社にどの程度の損害を与えたかで判断します。
会社の一般的な懲戒処分には、戒告・譴責、減給、出勤停止、降格(降職)、諭旨解雇、懲戒解雇があり、金銭的な損害や社会的評価への影響を鑑みて、就業規則に基づいて処分されます。これはあくまでも会社からの処分の話です。
個人レベルでの責任を言うなら、その後の仕事で失敗をリカバリーして、会社に与えた損害以上の利益をもたらすことだと思います。
辞表や進退伺いを提出する事例がありますが、会社を辞めるとなると残された社員にリカバリーを押し付けてしまうことになるため、何一つ責任を取ったことにならないと私は思います。
③給与が高額とは限らない
上場している企業は、必ずしも大手企業であるとは限りません。大手企業は定義づけられているものではなく、企業規模や各業界の知名度、シェア率の高さなどで「大手企業」と呼ばれています。そのため一部上場企業でも、従業員数が少なかったり業界以外であまり知られていない企業だったりすることもあるのです。
そして上場企業の平均給与は一般的な民間企業よりも高額な傾向にあると紹介しましたが、上場企業のなかでも上位の企業の年収が高額であるため、中には非上場企業より年収が低い企業も多くあります。
そのため企業選びの際は、「上場企業だから」で選ぶよりも、自分が求める条件をクリアしているかよく確認することで思い違いを防げます。
企業選びに自信がない人は、一度「企業選びの軸」について考えてみましょう。こちらの記事では企業選びの軸の考え方や見つけ方について詳しく解説しています。企業選びの軸を考えることで、なぜ自分がその企業に入りたいかわかるようになり、面接でも志望動機を答えやすくなりますよ。
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意欲が伝わる「企業選びの軸」の回答例50選|見つけ方も解説
企業選びの軸は就活が成功するかどうかを左右する重要な要素です。企業選びの軸の見つけ方や選考でわかりやすく伝えるための構成をキャリアコンサルタントが解説します。例文を交えて解説するので、参考にして就活を成功させましょう。
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東証一部上場にあたる企業に就職したい方必見! 内定獲得に必要な4つの対策
東証一部上場企業への内定獲得に必要な4つの対策
- 条件以外でなぜその企業に惹かれているのか自己分析を徹底する
- 企業研究をして競合企業にはない価値を見つける
- インターンシップや説明会・セミナーに積極的に参加する
- SNSや口コミサイトで選考についての情報を集める
上場企業は倍率が高く、特に高収入が期待できる東証一部上場(現プライム市場)の企業は人気で、選考に向けた対策を徹底しなければ内定が取れません。
そのため、上場企業への就職転職を目指そうと決めた人は、ぜひここで内定獲得に向けた4つの対策を参考にしてください。
大手からの内定を目指す場合は、具体的に対策を考える必要があります。こちらの記事では、キャリアコンサルタントが大手企業の内定を獲得する方法についてアドバイスしています。競争率の高い企業への内定を目指す人はぜひ参考にしてください。
企業の規模や業種によって採用倍率は変動しますが、一部上場企業(プライム市場)の求人には数千人が応募するため、採用面接の倍率は数十倍から数百倍に及ぶなど、プライム市場やグロース市場に比べて一般的に競争率が高くなります。
①条件以外でなぜその企業に惹かれているのか自己分析を徹底する
入社したい企業が見つかったら、まず企業が提示している給与面や休日、福利厚生などの条件を確認する人も多いでしょう。条件をよく確認することも重要ですが、面接時の自己アピールや志望動機では、条件のみでなく「なぜ自分がその企業を選んだのか」をアピールするようにしてください。
上場企業は同じく入社したいと思っているライバルが多いため、条件のみの情報で戦っても面接官の印象には残りにくいです。
自分だからこそ言えるようなことを選考でアピールするためには、まずは自己分析が必要です。自己分析した結果、なぜ自分がその企業に惹かれたのかを一つずつ紐解いて文章にしてみましょう。
自己分析のやり方やメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。「そもそも自己分析って何をすれば良いの?」と思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
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自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
自己分析は就活の明暗を分ける重要なポイント。自己分析をするメリットや自己分析のやり方、注意点などをキャリアコンサルタントが解説します。自分に合った自己分析方法を見つけて選考や企業選びに活かしましょう。
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②企業研究をして競合企業にはない価値を見つける
就活において企業研究は必須となりますが、東証一部上場企業への就職を目指す場合は非上場企業よりも倍率が高くなるため、さらに徹底して下調べする必要があります。
たとえば給与面や待遇面のみのアピールであれば、「同額程度の給与や福利厚生が整っている企業があれば、そちらでも良いのでは?」と思われてしまう可能性もあります。そこで社風や事業戦略、人事制度など他社との違いを伝えれば、選考でも好印象が残りやすいでしょう。
商品・サービスなどの事業内容のみでなく、売上や営業利益などビジネスに関することを調べてアピールすることも、面接官から「しっかり下調べしているんだな」と思われるポイントです。
面接官に「企業研究しているな」と思ってもらうためには、企業のプレスリリースなどの最新情報を確認して話題に出したり、経営理念や企業文化への理解を示したり、SDGsやCSRの取り組みと自身の活動の親和性についての話や企業の中長期ビジョンや将来の展望に触れたりすることでアピールすることができるでしょう。
企業分析や業界研究の方法がよくわからない人は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。まずは行きたい業界を明確にするための業界研究を進めて、次に企業分析で自分に合う企業を探しましょう。
業界研究のやり方
業界研究のやり方|業界全体を捉えたうえで気になる業界を研究しよう
企業分析のやり方
企業分析のやり方を完璧にマスターする3ステップ|よくある注意点も
③インターンシップや説明会・セミナーに積極的に参加する
就職活動では入社そのものをゴールとするよりも、自分らしく働ける環境を探すことが重要です。入社してすぐ「イメージと違った」と退職に至らないためにも、企業の雰囲気や業務内容を知れるインターンシップや説明会、セミナーへの参加をおすすめします。
インターンシップ | 実際に現場に携わり、内部から業務内容や社内の雰囲気を知れる |
企業説明会 | 業務内容や社内の雰囲気など、複数企業の話が効率的に聞ける |
就活セミナー | 採用担当者や就活のプロから、直接ノウハウを聞ける |
いずれも希望する企業への就活を目指すのであれば、参加するべきイベントです。特に上場企業への就職を目指す場合は、なるべく積極的に参加していきましょう。
上記で紹介したインターンや説明会についてもっと詳しく知りたいという人は、それぞれの記事で概要や準備しておくべきことを確認しましょう。
インターン
インターンは就活に不可欠? 8つのメリットと選び方を詳細解説
説明会
企業説明会で絶対に聞くべき質問30選! 聞かない方が良い質問も
- 合同説明会やセミナーで担当者に積極的に話しかければ、選考で有利になりますか?
担当者に積極的に話しかけることは選考で有利になる可能性がある
積極的な姿勢は評価されることが多く、企業の担当者に好印象を持ってもらえるでしょう。
ただし、話しかける態度や質問する内容が重要です。自分の名前を述べながら丁寧な言葉使いを心掛け、企業への関心とリサーチ力をアピールするために会社の最新プロジェクトや市場戦略に関する質問をすると効果的です。
一方で、コーポレートサイトなどで確認できる基本的な情報や、既に説明された内容を質問することは避けましょう。準備とリサーチをしっかりおこない、有意義な対話を目指すことが重要です。
④SNSや口コミサイトで選考についての情報を集める
上場企業は社員数や株主数も多く、企業に関する口コミも数多く投稿されています。特に元社員や現社員が書き込みする口コミサイトは比較的信憑性が高く、年収や仕事のやりがいから今後の将来性まで、参考になる内容が多くみられます。
しかし面接で「口コミサイトで〇〇と書いており~~」といった内容を伝えるのは適切ではないため、志望動機でアピールすることは控えましょう。またSNSや口コミの投稿は個人の書き込みであるため、あくまで参考程度にとらえる程度に留めることをおすすめします。
東証一部上場にあたる企業の魅力を理解して企業選びに活かそう!
東証一部上場企業は、現在はプライム市場として数多くの企業が上場しています。東京証券取引所のなかでも一部上場の審査は最も厳しいため、安定した企業を探している人にはおすすめの企業といえます。
しかし一部上場企業は人気が高く、内定獲得には企業研究や自己分析などの対策が必須です。本気で一部上場にあたる企業への入社を目指すなら、記事後半で紹介した4つの対策を参考にして、まずは企業研究からスタートしてみてください。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る大手だからという理由で就職先を選ぶのは避けるべき
行先が不透明だからこそ、寄らば大樹の陰と言わんばかりに上場企業ばかりに注目している人が多いかと思います。大手企業でネームバリューもあり、安定性抜群で倒産する心配もないため安心できますよね。
しかし、そのネームバリュー、つまり企業価値を向上させて継続的に業績を上げるのは、入社後のみなさんの仕事です。何の努力もなく経営を安定させている企業はありません。大手であればあるほど生き残りをかけた熾烈な競争に晒されているので、安定志向の人には向かないでしょう。
また、ジョブ型雇用が進んでいるので、大きな組織の中でやりたい仕事を明確にしておく必要があります。
プライム上場企業では中小企業と比較して大きな案件に携われるチャンスが多い
中小にも優秀な企業はたくさんありますが、新卒の場合、チャンスがあればプライム上場企業をすすめています。それは、中小だと受注できないような大きな案件に携わることができ、取り扱う金額も桁はずれだからです。
また、転職にしても大手から中小への転職は可能でも、中小から大手への転職はよほどのスキルを持っていない限り不可能に近いでしょう。
くれぐれも入社がゴールにならないようにしてくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
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