入社前に想定していた社風や業務内容とギャップがあった場合、「この会社で仕事を続けていけるのだろうか……」と不安を感じますよね。人によってはストレスや心身の疲れが限界に達し、退職を考える人もいるかもしれません。
しかし、「試用期間中に退職はできるのだろうか?」「角が立たない退職の切り出し方を知りたい」というような疑問や不安を持つ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、社労士の涌井さんとキャリアコンサルタントの加藤さん、高尾さんのアドバイスを交えつつ、試用期間中の退職の可否や、角を立てずにスムーズに退職しやすい退職理由の伝え方について解説します。
試用期間中の退職を検討している人や、円満な退職をしたい人はぜひ参考にしてください。
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試用期間中に退職するなら伝え方に注意してスムーズな退職につなげよう
結論からいうと、試用期間中の退職はルールに応じれば問題ありません。しかし、正しい退職の手順や伝え方に気を付けなければ、トラブルの元となるため慎重に進める必要があります。
記事では、まず試用期間制度について、雇用形態による退職に関する対処の違いを説明し、状況に応じた退職理由の伝え方を解説します。試用期間制度について理解したうえで、退職理由を伝える際の参考にしてください。
そのうえで、試用期間中に退職するメリットとデメリット、試用期間中に退職する際の心構えを解説しています。本当に退職しても良いのか今一度検討し、後悔のない選択をしましょう。
記事の後半では、退職の意思が固まった人向けに正しい退職の手順や、退職の際に把握しておくべき注意点も紹介しています。問題となるポイントをしっかりと把握し、トラブルを避けて円満な退職を目指しましょう。
既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
そもそも試用期間とは? まずはどんな制度なのか把握しよう
そもそも試用期間とは? まずはどんな制度なのか把握しよう
- 試用期間の長さ
- 試用期間の目的
- 研修期間との違い
試用期間とは、企業が新入社員の本採用前に設ける期間のことです。試用期間中であっても、労働契約が結ばれている状態であるため、一社員としてほかの社員と同様に業務に携わります。
下記では、試用期間の一般的な長さや目的について詳しく解説しています。よく比較される研修期間との違いも紹介しているため、こちらの内容を参考にして自分が置かれている状況を今一度確認してください。
試用期間の長さ
試用期間は1〜6カ月が一般的で、最長で1年程度の期間を設けている企業もあります。期間の長さや条件は企業によって異なり、試用期間の法的な義務はないため企業は試用期間を設定しなくても問題はありません。
企業が試用期間を設ける場合は、就業規則や労働契約書への記載が義務付けられています。また、以下のような試用期間を延長する合理的な理由がある場合のみ、試用期間の日程が伸びることもあります。
試用期間を延長する合理的な理由
- 病気による休業で就業日数が少ない場合
- 就業状況に問題があり、改善の猶予を与える場合
試用期間の長さは、労働者の勤務態度が不良であり、経過観察が必要である場合や、その適正に疑いがあるような場合には延長が認められます。
また経歴詐称などがあった場合にも、改めて適性を見るために延長が認められるのが一般的です。
試用期間の目的
試用期間は新入社員の能力や適性を見極め、本採用の判断をするための期間として設けられます。選考での書類審査や面接だけでは、新入社員の能力や適性を正確に判断するのは難しいためです。
特に遅刻や欠勤などの勤務態度を重要視する企業が多く、社会人としての適性が備わっているのかを見られています。能力や適性は専門的な知識やスキルだけでなく、与えられた仕事に対して真摯に向き合う姿勢なども該当します。
仕事に対して真面目に取り組んでいれば、よほどのことがない限り本採用を拒否されることはありません。限られた期間内で成果を出さなければならないわけではなく、社会人としての基本的なマナーや仕事に向き合う姿勢を見せることで能力や適性は十分アピールできます。
- 能力や適性はどのような部分から判断されるのでしょうか?
時間管理能力や報連相する姿勢、自主性などから判断される
企業が新入社員の能力や適性を判断する際、重視するのは時間の管理能力、コミュニケーション能力、問題解決能力、自主性といったものです。
たとえば遅刻や欠勤を避けることや、納期を守ることなどがこれらの能力に該当します。
また、上司や同僚との報告や相談を適切におこない、わからないことがあったら積極的に質問し、指導やアドバイスを素直に受け入れる姿勢も見られています。
わからないことに対して自主的に調べ、解決しようとする意欲があるかも重要です。これらがあることで、仕事をするうえでの適性があると評価されます。
今の仕事が自分に合っているのか悩んでいる人は次の記事もおすすめです。自分の性格や行動の傾向から今の仕事が向いているのか、どんな仕事が向いているのかを判断できます。
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研修期間との違い
研修期間と試用期間の違いは、通常業務をおこなうのか、おこなわないのかで決められます。
研修期間とは、業務を滞りなくおこなうために必要な知識やスキルを学ぶ期間のことです。社会人としての基本的なビジネススキルの習得や、実際の業務に携わりながら業務内容の理解に努めて一人前になるための学びを得ます。
対して試用期間は、通常業務を通して能力や適性があるのかを見極める期間です。すでに働いている社員と同様に業務に就いて、勤務態度や仕事ぶりから能力や適性を判断されます。
このように、研修期間は知識やスキルを学ぶ期間で、試用期間は通常業務を通して新入社員を見極める期間として区別されます。
会社で働くうえで基本的なビジネスマナーやスキルは必須条件です。以下の記事では仕事ができる人の特徴や、仕事ができる人になるためのコツを解説しているので、スキルを身に付けるための参考にしてください。
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試用期間中に退職はできる? 雇用形態による対処の違いを社労士が解説
試用期間中に退職はできる? 雇用形態による対処の違いを社労士が解説
- 無期雇用:退職希望日の2週間前までに申し出れば退職できる
- 有期雇用:雇用期間終了まで退職できない
試用期間中の退職は、契約した雇用形態によって対処に違いがあります。下記では、法律にもとづいて雇用形態別の退職について解説しています。
また社労士の見解を交え、それぞれの退職の対処法を紹介しているので、自分に当てはまる内容を把握して退職を検討する際の参考にしてください。
無期雇用:退職希望日の2週間前までに申し出れば退職できる
期間に定めのない雇用の正社員は、退職希望日の2週間前までに申し出れば退職が可能です。試用期間中であっても正社員であれば退職ができ、民法第627条には以下のように記載されています。
民法第627条:期間の定めのある雇用の解除
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する
ただし、就業規則に退職の申し出期間が定められている場合は、就業規則の内容に従って退職交渉を進めるのがおすすめです。
退職日の2週間前の申し出で退職が可能な一方、急な退職はトラブルを招く可能性もあるため、円満退職を目指すのであれば就業規則で定められた期間に従って退職の申し出をしましょう。
企業の就業規則は、退職者が出た際でもその後の業務が円滑に回ることを考慮して作成されています。
スムーズな退職をするためには、そうした背景を理解したうえで所属している会社のルールは守りましょう。
既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
有期雇用:雇用期間終了まで退職できない
雇用期間に定めのある契約社員や派遣社員、パート・アルバイトの場合は、原則として労働契約期間が終了するまで退職できません。
ただし労働基準法137条によると、契約期間の初日から1年を経過した後は、会社に申し出ればいつでも退職が可能と定められていて、以下のように記載されています。
労働基準法:第137条
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる
これは労働基準法の一部を改正する法律が確定するまでの間、一時的な処置として定められています。一般的な試用期間は6カ月〜1年であるため、有期雇用の試用期間中の退職は該当しません。
- 有期雇用でも試用期間中にどうしても仕事を辞めたい場合はどうすれば良いでしょうか?
企業の合意を得た場合や労働条件が話と違った場合は退職できる
有期雇用契約の場合には、契約から1年経過後でなければ、原則として期間中の退職はできません。
これは試用期間中であっても同じであり、就労不能になるほどの怪我を負ったなど契約を継続し難いような事情がなければ、期間中の退職はできないのです。
ただし、会社側との合意があれば退職は可能になるため、どうしても辞めたい場合にはその旨を伝え、承諾を得てください。
なお、労働契約の締結に際して、明示された労働条件が事実と異なっていた場合であれば、有期雇用期間中や試用期間中であっても即時に契約解除が可能です。
やむを得ない理由であれば即日退職が可能な場合がある
雇用期間に定めのある契約社員や派遣社員、パート・アルバイトであっても、やむを得ない理由であれば即日退職が可能な場合があります。
体調不良や家庭の事情のように、会社へ出社して勤務が難しい場合は業務に支障をきたしてしまうためです。民法第628条で以下のように記載されています。
民法第628条:やむを得ない事由による雇用の解除
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う
やむを得ない理由には、体調不良により仕事を続けるのが難しい状況や、労働契約にない仕事を強いられている状況などが当てはまりやすいです。やむを得ない理由に該当していれば、雇用期間に定めがあったとしても退職希望日の2週間を待たずに退職できます。
労働契約の締結に際して、明示された労働条件が事実と明らかに異なる場合であれば、労働者は、即時に労働契約の解除が認められます。この場合には、通常の退職申し入れのように2週間の経過を待つ必要はありません。
仕事がつらいと感じる人は次の記事も併せて読んでみてください。仕事がつらい状況を改善する3ステップや、仕事がつらいときの対処法を紹介しています。自分を大事にしながら解決方法を探し、仕事のつらさを解消しましょう。
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仕事がつらいときに自分を責めないで! 心が楽になる10の対処法
仕事が辛い原因や、対処法をキャリアコンサルタントとともに解説。退職や転職を検討している人へ、辞めるべきかどうかを見極める方法も説明します。仕事が辛い状況は必ず好転させられます。自分を信じて、状況を好転させましょう。
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状況別に紹介! 試用期間中の退職で角が立たない伝え方の例
状況別に紹介! 試用期間中の退職で角が立たない伝え方の例
試用期間中の退職を考えている人のなかには、退職理由の伝え方に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。試用期間中の退職では本音を伝えるのが大切な一方で、ストレートすぎてしまうと角が立ちトラブルにつながる恐れがあります。
下記では、状況別での試用期間中の退職で角が立たない伝え方の例を紹介しています。伝え方のポイントや例文を参考にして、スムーズな退職交渉に役立ててください。
例文①社風や業務内容が合わないとき
社風や業務内容が合わないことで退職を希望する場合は、退職理由として「自分が順応していなかった」という点を端的に伝えましょう。社風や業務内容など会社への不満をそのまま伝えてしまうと、マイナスな印象を与えてしまうためです。
また、社風や業務内容が合わないと感じた詳細を伝えるのは控えましょう。退職理由を伝えた後に、「会社に迷惑をかけたくない」という会社への配慮も加えると角が立ちにくいです。
退職理由の例文
入社前にイメージしていた社風と、実際に感じた雰囲気が異なり、私の性格では順応していないと感じました。
試用期間という立場でありながら、このようなお話をすることになり、大変心苦しいのですが、会社にご迷惑をかける前に退職をさせていただきたいと考えています。
社風が合わないというのは、その会社を否定していることにもなるので、伝えること自体あまりおすすめはしません。
もし追求された場合は、「私がまだ人間的にも未熟だからこそで恐縮ですが、」とへりくだったうえで伝えると良いでしょう。
会社の社風が合わないと悩む人は次の記事もおすすめです。自分に合う社風を知るための3ステップや、社風が合わないと感じたときにするべきことも解説しているので、解決するための参考にしてください。
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社風が良いとは? 納得して働ける企業の見分け方をプロが解説!
社風とは、企業独自の雰囲気や価値観のことです。記事では自分に合う社風を知るための自己分析のコツや、簡単にできる社風の調べ方をキャリアコンサルタントとともに解説します。志望動機への活かし方や社風が合わないときの対処法も解説するので、参考にして就活に活かしましょう。
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例文②人間関係が合わないとき
人間関係が原因で退職したい場合は、特定の社員の名前を出したり価値観や人間性の批判をしたりするのは控えましょう。担当業務の変更や部署異動の打診を提案されて、引き止めに合う可能性があります。
さらに、ほかの社員についての陰口ととらえられると、あなたの印象が悪くなり、円満退職が難しくなるかもしれません。あくまで「自分が周囲に合わせられなかった」という伝え方であれば角が立ちにくく、波風立てずに退職交渉を進められます。
退職理由の例文
正直に申しますと、職場の雰囲気になじめず悩んでおりました。自分なりに努力しましたが、ストレスを抱えながら働くのは限界との結論にいたり、退職をさせていただきたいと考えています。
試用期間中にこのようなお話をすることとなり、大変申し訳ございません。
- 試用期間中に人間関係を理由に辞めるのは甘えでしょうか?
一概に甘えといえないため自分のストレスの度合いで判断しよう
人間関係を理由に退職を考えることは、一概に甘えとはいい切れません。
職場での人間関係は非常に重要で、ストレスが大きくなると心身に悪影響を及ぼすこともあります。自分の心を守れるのは自分自身です。
言葉の暴力や過度なストレスを感じた場合は、健康や将来のために正当な選択をするべきであり、退職以外にもやハラスメント窓口への相談を検討することも一つの選択肢として覚えておきましょう。
ただし、人間関係が難しいと感じたとき、すぐに辞めるのではなく、まずは何が原因でそう感じているのかを客観的に見つめ直し、改善できる余地があるかを冷静に考えることもに重要です。
人間関係に悩み、退職を希望している人は次の記事も併せて読んでみてください。人間関係のストレスがもたらす影響や、つらい状況を抜け出す5つの糸口を紹介しています。
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仕事がつらくて辞めたい人のなかには、「この考えが甘えなのだろうか?」と考える人も多いのではないでしょうか。以下の記事では後悔しないための判断方法を解説しているのでぜひ参考にしてください。
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既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
例文③体調を崩したとき
ストレスや病気により体調を崩してしまった場合は、率直な理由を伝えて退職を申し出ましょう。無理に働き続けると体調を悪化させてしまうリスクがあり、会社側も退職理由に納得しやすいためです。
場合によっては休職を打診されるケースもあり、退職の意思が固いのであれば「会社に迷惑をかけてしまうので退職させていただきたい」のようにはっきりと断りましょう。ただし、体調不良は個人的な事情によるため、お詫びの気持ちをきちんと伝えるのも大切です。
退職理由の例文
以前より体調を崩しており、このままだと業務に支障が出てしまいかねないと考えています。病院にも通院している状況なため、退職して体調を整えたいと考えています。
試用期間中にこのようなこととなり、大変申し訳ございません。
- 医師からの診断書がないと体調を理由に退職させてもらえないのでしょうか?
診断書がなくても退職はできるがあったほうが良い
医師からの診断書がないと体調を理由にした退職ができないということはありません。
ただ退職する際に、本当は違う理由ではあるが言いづらいからと、家族のことや心身の不良を理由として退職する人、いわゆる嘘をついて退職する人も多いのが現実です。
そのため、診断書があれば本当に体調を壊しているという証明にもなり、疑われる可能性もないので、あったほうが良いとは思います。
体調不良で退職を考える人のなかには、退職理由に引け目を感じる人も多いのではないでしょうか。次の記事では、体調不良が退職理由になるのかについてキャリアコンサルタントが詳しく解説しています。
仕事のストレスは限界を迎えると私生活にまで影響を及ぼす恐れがあります。次の記事では危険な7つのサインや、ストレス過多な状況を脱するステップを紹介しています。つらいときは一人で抱え込まず、記事を参考に心のケアをおこなってください。
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例文④家庭の事情で退職がやむを得ないとき
家庭の事情で退職がやむを得ないときは、正直な事情を伝えて退職を申し出ましょう。家庭の事情はやむを得ない理由であるため、会社としても引き止めにくく納得してもらいやすいです。
やむを得ない理由であっても、試用期間中に退職することについてお詫びの気持ちはきちんと伝えましょう。また、受け入れやすいからといって嘘をつくと、バレたときに信頼を失って円満退職が難しくなる可能性があるため、嘘の申告は避けましょう。
退職理由の例文
同居している母親の体調が思わしくなく、常時介護が必要となりました。どうにかして仕事を続ける方法がないのか検討いたしましたが、頼れる兄弟や親族もいないため私が自宅で介護をするといった結論にいたりました。
試用期間中にこのようなこととなり大変心苦しいのですが、退職をさせていただきたいと考えています。
退職交渉をスムーズに進めるために、嘘の退職理由を伝えるか悩む人もいるのではないでしょうか。以下の記事で嘘をつくメリットとデメリットをしっかり把握して、本当に嘘をついて良いのか検討したうえで退職理由を考えてくださいね。
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退職理由を言いづらい場合、嘘をついても良いのか悩んでいる人も多いはず。退職理由に嘘をついても問題はありません。この記事では、スムーズに退職できる嘘の退職理由と、円満退職するためのコツをキャリアコンサルタントの知見を交えて解説します。
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結論からいうと、虚偽の申告はリスクが高いです。バレると信頼を大きく損ない、退職後のキャリアにも影響を与える可能性があります。
前職の会社から退職理由が確認された場合や、社内で嘘が広まった場合、次の職場での信頼が得にくくなるのは事実です。
嘘は短期的には便利に思えるかもしれませんが、長期的には大きなリスクを伴うため、できるだけ正直に事情を伝えましょう。
本当に辞めて良いのか考えよう! 試用期間中に退職するメリット・デメリット
本当に辞めて良いのか考えよう! 試用期間中に退職するメリット・デメリット
- メリット:心理的・身体的ストレスから解放される
- メリット:第二新卒として転職活動ができる
- デメリット:辞め癖がつく可能性がある
- デメリット:転職に不利になる場合がある
試用期間中の退職にはメリットとデメリットがあるため、それぞれを把握したうえで退職するのかを検討しましょう。
試用期間中の退職は早期離職となり、転職やキャリア形成に少なからず影響を及ぼします。安易に退職を選択するのではなく、メリットやデメリットを把握したうえで本当に退職しても良いのか今一度自分に問いかけてみてください。
メリット:心理的・身体的ストレスから解放される
退職を希望する理由によっては心や体に大きな負担がかかり、精神的に病んでしまい将来的に働くことが難しい状況に陥ってしまう恐れがあります。
たとえば、上司からのパワハラにより退職を希望する場合は、直ちに退職することで心への負担を最小限に抑えられます。長時間労働を強いられる職場だった場合は、体が限界を迎える前に退職すれば、新たな職場への転職活動も前向きにおこなえるかもしれません。
心や身体が限界を迎えてしまっては、日常生活にまで影響を及ぼす危険があります。早めに退職をすることで悪影響を最小限にできるので、心身の疲れや体調に異変を感じたら無理をせずに退職を検討するのも大切です。
心身が崩れてしまってからの退職だと、通院や完治するまでの療養期間が発生する可能性があります。
そうなると次の仕事までのブランク期間ができてしまったり、想定外の費用がかかったりする場合があるので、心身の不調の場合は早めに会社に相談しましょう。
「自分の会社はブラック企業かも……?」と感じたら次の記事もおすすめです。ブラック企業の特徴や見極め方を解説しているので、現状と比較し、ブラック企業の要素があれば速やかに転職を検討しましょう。
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「ブラック企業を避けて就職したい!」と考えている人が大半なのではないでしょうか。記事ではキャリアコンサルタントとともにブラック企業の特徴について解説します。ブラック企業かどうかを見極める方法も紹介しているので、仕事探しをしている人はぜひ参考にしてくださいね。
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メリット:第二新卒として転職活動ができる

新卒入社してから3年以内に転職する場合は、第二新卒として転職活動ができます。第二新卒の採用を積極的におこなっている企業も多く、年齢を重ねた求職者よりも採用率が高い点がメリットです。
第二新卒に該当する年齢は、4年制大学を卒業していれば25歳前後、高卒であれば20代前半です。実際、2019年に厚生労働省職業安定局が発表した中途採用に係る現状などについての調査によると、15〜24歳と25〜29歳は、30代や40代と比べて転職成功率が高い傾向にあります。
年齢を重ねるほど転職成功率は低下する傾向にあり、年齢の若さは採用にかかわる重要な部分であるといえます。第二新卒枠での採用を狙うのであれば、できるだけ早めに退職を判断することも大切です。
こちらの記事では、第二新卒のうちに転職活動をしたほうが良い人の特徴を解説しています。第二新卒が転職活動をしやすい時期も解説しているので、スムーズな転職活動をするための参考にしてください。
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転職市場でよく耳にする第二新卒という区分。社会人歴や年齢がいつまでの人を指すのでしょうか。定義や企業ごとの考えをキャリアコンサルタントとともに解説。第二新卒である期間に転職するべきなのか? 迷っている人はまず、第二新卒のリスクとメリットを把握しましょう。
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デメリット:辞め癖がつく可能性がある
試用期間中に退職をしてしまうと、次の職場へ転職しても安易な理由で「辞めたい」という気持ちが高まり、つらい状況に耐えられず退職を繰り返すというように、辞め癖がついてしまうかもしれません。
たとえば、同僚との関係が悪く退職を希望する場合は、部署異動で環境を変えることで解決する場合があります。退職したい理由を明確にして、最適な解決方法がないか十分に考えてから最終的な選択として転職を検討しましょう。
また、入社前に想定していた社風や業務内容とのギャップを感じる場合は、理想と現実とのバランスを考えながら本当に退職するべきなのかを判断するのが重要です。
条件が完璧にそろう職場を見つけるのは難しいため、妥協点を見出せなければ、辞め癖がついたまま早期退職を繰り返すことになりかねません。
入社しないとわからないことも正直多いですが、企業の社風や価値観をしっかり確認すること、企業が提供するキャリアパスや成長機会を見極めること、企業の労働環境や離職状況を確認することは、転職前に欠かさず実施しましょう。
特に社風と、直近の離職率については、事前の確認が重要です。
既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活では、限られた選択肢の中から自分に合った仕事を見つけることが重要です。しかし、本当に自分に合った仕事とは何か、見つけるのは簡単ではありませんよね?
そこでおすすめなのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの個性や強みに最適な仕事、そして、あなたが就活でアピールできるポイントが分かります。
自分に合った仕事を見つけ、自信を持って就活を進めるためにも、 ぜひ就活を始める前に「適職診断」を試してみてください。
デメリット:転職に不利になる場合がある
試用期間中の退職は、転職活動の際に「今回もすぐに辞めてしまうかもしれない」と思われることも多く、採用を懸念される可能性もあります。
採用や育成には大幅なコストがかかり、採用者の早期退職は企業にとって大きな損失となります。そのため、面接で長期的に活躍してくれる人材なのかを判断するため、前職の退職理由を問う採用担当者も多くいます。
試用期間中の退職は転職に不利になる場合もあることを理解したうえで、本当に退職して良いのかを十分に考えて判断しましょう。仮に転職する場合は、退職理由をポジティブな言葉に言い換えて仕事への熱意を伝えることで、マイナスなイメージを払拭できます。
早期離職による転職に不安を感じる人は多いと思いますが、第二新卒の採用を積極的におこなう企業は多く、内定を獲得できる可能性は大いにあります。以下の記事では第二新卒が転職を成功させるコツを紹介しているので、転職活動の参考にしてください。
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第二新卒の転職を成功させるには3つのコツがあります。記事では、後悔しない転職活動をするための方法をキャリアコンサルタントと解説します。第二新卒での転職にはポジティブな面が多くあるため、迷っているならばぜひ参考にして成功をつかみましょう。
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心構えをしておこう! 試用期間中に退職する際に覚悟しておくべきこと
ここまでの解説で、試用期間中でも雇用形態のルールに応じていたり、やむを得ない理由があったりする場合には問題なく退職できることがわかったかと思います。
しかし、雇用契約を交わしている以上、安易な気持ちで退職を選択するのは社会人として望ましくありません。退職したい理由を明確にし、退職によってどのように解決するのか、ほかに良い解決方法がないのかを十分に考えたうえで退職を検討することが大切です。
下記では、キャリアコンサルタントの加藤さんに、試用期間中に退職する際に覚悟しておくべきことを詳しく解説してもらいます。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見る早期退職はマイナスなレッテルを貼られるリスクがある
退職理由にもよりますが、やはり試用期間中の退職は在籍期間が短くなるので「次も何かしら合わないことがあればすぐに辞めてしまうかも……」というレッテルを貼られやすくなるリスクがあることは覚悟しておきましょう。
また、人はどうしても「自分ではそうではない」と思っていても、自分の視点だけで物事をとらえがちになってしまうことがあります。
そのため、本当に自分だけの視野で見ていないかを確かめる期間として、安易に退職するのではなく、落ち着いて冷静に多角的な視点から考えられるようになるまで、仕事を続けてみることも一つの策だと思います。
もしかしたら、自分の思い違いでストレスを感じすぎているだけかもしれません。
仕事や勤め先への理解には時間がかかるため衝動的な判断は避けよう
「石の上にも3年」という言葉があるように、表面的な部分だけではなく、会社や仕事を深く理解していくには、ある程度の時間が要るものです。
一時の感情だけで行動しないように注意し、自身の今後のキャリアがより良いものになるようにしっかりと落ち着いて多面的な視点で考え、選択するようにしてください。
試用期間中の退職は早期離職となってしまうため、本当に辞めても良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。次の記事では、仕事を辞めたいと感じる5つの瞬間を例に挙げ、冷静に判断する方法を解説しています。
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専門家が解説|仕事をすぐ辞めることへの迷いを解消する7ステップ
仕事をすぐ辞めるのは甘えではありません。この記事ではキャリアコンサルタントが仕事をすぐ辞めるメリットとデメリットを解説します。そのうえで、仕事をすぐ辞めることを冷静に判断するための7ステップを取り上げています。
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退職までの流れが重要! トラブルを避けて退職するポイント
退職までの流れが重要! トラブルを避けて退職するポイント
- 直属の上司にアポイントを取る
- 上司に直接退職の意思を伝える
- 書面で退職届を提出する
試用期間中の円満退職を目指すなら、正しい手順で退職交渉や手続きを進める必要があります。社会人として基本的なマナーを守ったうえで、上司や同僚が納得するような退職理由を伝えましょう。
下記では、退職の意思を伝える前~伝えた後にやるべきことを解説しています。マナーをしっかり守り、トラブルを避けて円満退職を目指しましょう。
①直属の上司にアポイントを取る
退職の意思を伝える機会を設けるために、まずは直属の上司にアポイントを取りましょう。仕事中にいきなり退職の意思を伝えるのではなく、上司に時間を作ってもらうように相談するのが社会人としてのマナーです。
アポイントを取る際に口頭で伝えるのが難しい場合は、メールや電話で伝えても問題ありません。重要な相談であるため、一対一で話せるような会議室などの場所を確保して、相談の機会を設けましょう。
アポイントの時点では上司の都合を確認する内容にとどめ、「退職の相談」のような相談の用件を伝えるのは避けるのが無難です。メールでのアポイントを取る際の例文は以下の通りです。
メールでアポイントを取る例
◯◯課長
お疲れ様です。△△です。
折り入ってご相談したいことがあり、ご連絡いたしました。
恐れ入りますが、ご都合のよろしいときに10分ほどお時間をいただけますでしょうか。
個別でご相談させていただきたく、XX会議室でお話しできると幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
なかには体調不良で出社できない人もいるかもしれませんが、その場合でも、退職の意思はメールや電話で伝えることが可能です。
上司にアポイントを取る際には、体調不良を説明しつつ「重要な相談がある」と伝え、オンラインや電話での対応を提案しましょう。
退職の申し出では、体調を理由に業務に支障をきたす恐れがあること、そして感謝の気持ちを伝えることが大切です。
誠意を持って対応すれば、出社ができなかったとしても円満退職に近づけることは不可能ではありません。
②上司に直接退職の意思を伝える
退職を切り出す際は、直属の上司に直接退職の意思を伝えましょう。退職の話はメールや電話ではなく、直接会って伝えるようにしてください。
上司よりも先に先輩や同僚に退職の意思を伝えるのは、トラブルの元となるため避ける必要があります。噂話が職場内で広がり、真実と異なる情報が上司に伝わって誤解を招く可能性もあるためです。円満退職をするためにも、退職の意思は最初に直属の上司に直接伝えましょう。
試用期間中で部署配属が決定する前で、直属の上司が明確ではない場合は会社の人事担当者に連絡するのが一般的です。
- 上司との関係が良くない場合でも、直属の上司に退職の申し出をしないといけないのでしょうか?
話しづらい相手でも私情は挟まずきちんと口頭で退職を申し出よう
答えはYesです。上司との関係性が良くない場合でも、直接、口頭で退職の申し出をしてください。
個人的な感情が入るのも人間なので当然のことであり、関係性が良くない相手に話をするのは、気が引けるのもわかります。しかし、社会人として順序は守るようにしましょう。
社会人としてのマナーや順序を守ることは、最終的には自分自身の糧となり返ってきます。
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③書面で退職届を提出する
上司から退職の承諾を得たら、必要に応じて書面で退職届を提出しましょう。退職届は就業規則に記載のある相手に対して、期日内の提出が必要です。
仮に、就業規則に「退職の2カ月前に退職届を提出する」と記載がある場合に、退職の1カ月前に提出してしまうと受理されない恐れがあります。提出のタイミングは退職の意思を伝えた際に上司に聞くか、就業規則を確認するなどしておきましょう。
就業規則により規定のフォーマットがある場合は、指定された形式で作成します。フォーマットの指定がない場合は自分で作成し、提出する必要があります。細かいルールについては会社ごとに異なるため、あらかじめ就業規則を確認しておくと安心です。
把握しておこう! 試用期間中に退職する際の注意点
把握しておこう! 試用期間中に退職する際の注意点
- 損害賠償を請求されたら弁護士に相談する
- 指導料などの要求には応じる必要はない
- 給与が支払われたかを確認する
- 短期間での離職でも転職時は必ず履歴書に記載する
試用期間中の退職では、トラブルが発生することもありえます。把握していないと転職先の会社にも迷惑をかける恐れがあるため、退職についての注意点を理解しておきましょう。
下記では、試用期間中に退職する際の注意点を4つ解説しています。万が一、トラブルが発生した場合は弁護士に相談するなどして、一人で抱え込まないようにしてくださいね。
①損害賠償を請求されたら弁護士に相談する
試用期間中の退職で損害賠償を請求された場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。退職は労働者に認められた権利であるため、試用期間中の退職だとしても違法ではありません。
労働基準法第16条では以下のように、契約の内容が守られなかった場合に違反金を定めて損害賠償を求めるような契約を企業に対して禁止しています。
労働基準法第16条:賠償予定の禁止
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない
そのため、試用期間中の退職に対して損害賠償を請求されたら従う必要はなく、トラブルを避けるためにも弁護士に相談すると良いでしょう。
ただし、無断で退職するなど法律に従った退職手続きをおこなわなかった場合は、損害賠償を請求される可能性もあるので注意してください。
退職後に損害賠償を請求される可能性があるのは、試用期間中に意図的に会社の備品を破壊するなどの行為があった場合です。
また会社のお金を横領したり、備品を盗んだりした場合にも、その損害賠償を請求される場合があります。
ただし、試用期間中の退職自体を理由とした損害賠償請求は認められないため、従う必要はありません。
②指導料などの要求には応じる必要はない
試用期間中の退職に対して、企業から指導料などを請求された場合も要求に応じる必要はありません。指導料などの支払いは違約金に該当し、労働基準法第16条で支払いを求める契約を禁止されています。
たとえ、「試用期間中に退職する場合は指導料を支払う」のように契約を交わしていたとしても、労働基準法の違反で無効となる可能性が高いです。指導料の支払いを拒否しても違法にはならないため、請求を求められても応じる必要はありません。
万が一指導料を支払ってしまった場合は、弁護士に依頼をして企業側へ返還請求をおこないましょう。
③給与が支払われたかを確認する
試用期間中の退職が完了したら、給与支払日に給与の支払いがおこなわれたのかを必ず確認しましょう。試用期間中に退職した場合でも、勤務日数や残業時間に応じた給与を受ける権利があるためです。
月の途中で退職した場合の給与は日割りとなるため、正しい計算で支払われているのかを確認するのも大切です。もし適切な給与額が支払われていない場合は、速やかに会社の人事へ問い合わせて正しい給与額の支払いを求める必要があります。
また、企業によっては試用期間中は本採用の給与より低く設定されている場合があり、雇用契約書と併せて給与額に間違いがないのかを確認しましょう。
④短期間での離職でも転職時は必ず履歴書に記載する
試用期間中に退職する場合、履歴書には書かなくても良いのではと思う人もいるかもしれませんが、転職時は必ず履歴書に経歴を記載しましょう。試用期間中であっても雇用契約を結んでいるため、記載をしないと経歴詐称につながります。
転職に不利になることを恐れて経歴詐称を働いたとしても、隠し通すことは難しく、嘘はいずれバレます。新しい職場へ転職したら、雇用保険の手続きや必要書類の提出などから前職の経歴について発覚する機会が多くあるためです。
退職の事実を隠していたことがバレると、社会的信用を失い仕事に支障をきたしかねません。履歴書は正しく記載し、面接では転職に対する前向きな気持ちや仕事に対する熱意を伝えてましょう。
面接がうまく進んで欲しい・採用されたいという気持ちが強いほど、不利な部分は隠したくなるものですが、会社と従業員のお互いの信頼関係のもと、雇用は成り立っています。
自ら信用を落とすようなことをするのは、自分の顔に泥を塗っているようなものなので、経歴詐称には十分に注意しましょう。
前職の経歴が転職に不利になると感じる人は、次の記事も併せて読んでみてください。職歴詐称がバレる理由や、職歴詐称が及ぼす影響について解説しています。履歴書は正しく書いて、トラブルやリスクを避けましょう。
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退職にまつわる疑問や悩みにプロが答えるQ&Aも併せてチェックしよう
退職についてほかの人がどのようなことに悩み、解決しているのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
下記ではPORTキャリアに寄せられた退職の悩みに関する4つのQ&Aを紹介しています。自分の悩みに関するキャリアコンサルタントのアドバイスがあれば、参考にして問題解決に役立てくださいね。
試用期間中でも退職できる! ルールを守ってトラブルを避けよう
試用期間中でもルールに応じていれば問題なく退職できます。また、雇用期間に定めがある契約社員や派遣社員、パート・アルバイトでも、やむを得ない理由であれば退職は可能です。
試用期間中に退職を申し出る際は、正直な退職理由を端的に伝えるのがポイントです。すべてを包み隠さずストレートに伝えてしまうと、トラブルのもととなるため退職理由の具体的な内容は控えましょう。
トラブルを避けるためにも正しい退職の手順で退職交渉を進め、円満な退職をかなえてくださいね。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見る「試用期間中の早期退職」という経歴は一生残ることを忘れずに
試用期間中の退職はルールに従えば可能ですが、安易に決断することには注意が必要です。
もちろん、合わない会社に入社してしまう可能性は残念ながらあるでしょう。しかし試用期間中に退職することで、今後のキャリアにおいて転職回数が増え、短期間での離職が自分の経歴に残り続けることになるのです。
この早期退職が原因で、予想以上に転職活動が難航する可能性もあります。
そのため、心身の健康や家庭の事情など、退職する理由がやむを得ないものであるかどうか、安易な理由や過度な逃げの姿勢ではないかなどを十分に考慮しましょう。
そのうえで、もし退職の意思が固い場合は、伝える際の工夫も重要です。まず、退職理由を正直に伝えることは大切ですが、すべてを包み隠さずに詳細を伝える必要はありません。
話し合いがこじれたり、余計な恨みを買わないようにするためにも、あくまで端的に伝えてください。
たとえば、社風や業務内容が合わない場合、会社への不満や批判ではなく個人的な問題として伝えることや、「これ以上会社に迷惑をかけたくない」という配慮の姿勢を見せることで、角が立たず、円満に退職できる可能性が高まります。
退職自体は悪いことではないため適切な順序で退職を検討しよう
退職したいという気持ちが高まると、どうしても不誠実な振る舞いをしたくなってしまうことがあります。しかし、「終わりよければすべて良し」と気持ちを引き締め、きちんと自分で退職の意思を伝えることが望ましいです。
もし面談が難しい場合は、メールや電話でも問題ありませんが、必ず退職届を正式に提出し、必要な手続きをおこなうことを忘れないでください。雇ってもらった感謝や、対応してくれる人への誠実な姿勢を忘れないことも、後々の自分の助けとなります。
退職に至るまでのプロセスや、手続きに関するマナーを守ることで、トラブルを避けて円満退職を実現しましょう。
退職は人生の大きな決断ですが、一生起き得ない出来事ではなく、退職自体は悪いことではありません。いずれにせよ、焦らず慎重に判断し、自分にとって最適な選択をしてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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社労士/涌井社会保険労務士事務所代表
Wakui Yoshifumi〇平成26年に神奈川県で社会保険労務士事務所を開業。企業の人事労務相談や給与計算などを請け負う。また、関与先企業の社員のキャリアプランなどに関してアドバイスをしている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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