この記事のまとめ
- 時価総額順に上場会社を5社紹介
- 上場会社と非上場会社で働く違いを就活のプロが解説
- 上場会社に就職する魅力と注意点を把握しよう
就職活動を始めてから、「上場会社」という言葉を一度は聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。上場会社とは、一般投資家が自由に株式を購入できる会社のことで、日本を代表する企業も数多く存在しています。
しかし、大規模な会社が多いことは知っていても実態がわからず、「どのような魅力があるのだろうか」「入社後にギャップを感じたらどうしよう」と悩む人もいるかもしれません。
この記事では、キャリアアドバイザーの高尾さん、杉原さん、今住さんのアドバイスを交えつつ、上場会社の基本情報や魅力、入社するためのポイントを解説します。少しでも上場会社に興味を持っている人は、ぜひチェックしてください。
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上場会社とは? 非上場会社との違いを把握して自分との相性を確認しよう
言葉を知っていても実態をあまり理解できていないという人も多い上場会社は、非上場会社との違いを把握することが大切です。それぞれの魅力や注意点を知ることによって、たくさんの種類から相性の良い企業を絞り込みやすくなります。
この記事では、上場会社の基本情報を説明した後、上場会社を時価総額順に5社紹介します。どのような企業があるのかを知って、上場会社への理解を深めてください。
また、「事前にメリット・デメリットを把握して相性を確かめたい」という人に向けて、上場会社に就職する魅力と注意点を解説します。プラス面とマイナス面を理解して、エントリー企業を絞り込む際に役立ててください。
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上場会社とは? 基本情報と特徴を解説
上場会社とは? 基本情報と特徴を解説
- 上場会社の定義
- 企業が上場するメリット
- 証券取引所の種類
まずは、上場会社の定義を把握しましょう。定義を知ることで、上場会社で働く魅力や注意点を理解しやすくなります。
また、上場会社と聞くと、東京証券取引所だけをイメージする人が多いかもしれません。しかし、日本には4種類の証券取引所があり、それぞれ審査基準や上場数が異なります。証券取引所ごとに特徴を表にまとめているので、確認して上場会社への理解を深めてください。
上場会社の定義

上場会社とは、株式を証券取引所に公開し、一般投資家が自由に株式を取引できる会社です。投資家が安全に売買できる市場を維持するために、証券取引所は上場審査を実施しています。上場審査で見られる項目は以下のとおりです。
上場審査で見られる項目
- 株主数
- 流通株式数
- 時価総額
- 売買代金
- 流通株式比率
- 純資産額
- 利益額
数字で見える項目が審査基準を満たしていれば、証券取引所はヒアリングや実地調査をおこないます。ここでは、経営状態の健全性やコーポレートガバナンスの有効性、リスク情報などの開示の適切性などを確認しています。
コーポレートガバナンスとは
組織全体で不正や不祥事を防ぎ、透明・公正な経営を行うための企業の仕組み。日本語では企業統治と呼ばれる。
証券取引所の定める基準をクリアし、誰でも自由に株式を購入できるのが上場会社です。
企業が上場するメリット
企業が上場するメリット
- 社会的に信用が向上する
- 資金調達がしやすくなる
- 優秀な人材を集めやすくなる
上場するためには、証券取引所の審査に通過しなければなりません。厳しい審査基準をクリアしたことの証明になるため、社会的信用が高まり、投資家や顧客からの信頼を得やすくなります。
また、株式市場を活用すれば、多くの投資家から効率的に資金を集められます。そのため、新規事業や設備投資の資金を素早く調達でき、スムーズに事業を進められるのです。
さらに上場して企業の知名度が高まることで、優秀な人材を確保しやすくなります。求職者から安定性や透明性がある会社だと評価されやすく、応募数が増えれば人材を厳選できるためです。このようなメリットを踏まえ、上場を目指して事業を拡大する会社もあります。
企業規模が大きくても上場していない企業の狙いは、柔軟な意思決定が挙げられます。上場していると株主の意向が強く働きますが、非上場だと経営方針や役員の変更が容易になります。
また、決算報告や情報開示の義務がなくなり、そうしたコストから解放されます。
証券取引所の種類
証券取引所 | 上場数(2024年11月時点) | 市場区分 |
東京証券取引所 | 3,957社 | プライム市場・スタンダード市場・グロース市場 |
名古屋証券取引所 | 290社 | プレミア市場・メイン市場・ネクスト市場 |
福岡証券取引所 | 106社 | 本則市場・Q‐Board・Fukuoka PRO Marke |
札幌証券取引所 | 62社 | 本則市場・アンビシャス市場 |
東京証券取引所は国内外の投資家に向けて幅広い取引機会を提供しており、上場企業数は約4,000社と国内最大です。そのため、大企業だけでなく成長中のベンチャー企業も多く上場し、多様な投資家のニーズに応えています。
工業が盛んな東海エリアにある名古屋証券取引所には、機械や電気機器などのメーカーが多く上場しています。福岡証券取引所に上場している多くは九州地方に根差した会社です。将来的な成長を期待できる会社を対象とした、Q-Board市場も提供しています。
また、札幌証券取引所には、北海道の中小企業やベンチャー企業を支援し、地元経済を下支えするアンビシャス市場があります。このように日本の証券取引所は、それぞれ特徴や役割が異なり、企業規模や地域性、成長段階に応じた上場支援をおこなっているのです。
- 地方の証券取引所に上場している会社に入社すれば、その地域では社会的信用が得られるのでしょうか?
地方では上場会社で働くことで社会的信用が高まる
大都市圏の4大メジャー証券取引所に上場している会社で働く場合と、地方の地方証券取引所に上場する会社で働く場合のステータスを比較して考えてみましょう。
大都市圏では、「上場会社」というだけではステータスを感じずらく、社名によって大きく違ってくると思います。しかし、大企業であっても知名度が低いことはよくあります。
一方、地方では「上場会社」というだけでステータスは高いです。特に地方では国立大学卒というだけで学歴ステータスが高いのと同じイメージです。
地方の上場会社の社員として働くことにより、会社だけでなく個人の社会的信用度も高まり、住宅ローンやマイカーローンなどの審査がスムーズに進むなど、プライベートでもメリットはたくさんあるでしょう。
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どんな企業があるか知ろう! 上場会社を時価総額順に紹介
上場会社の時価総額ランキング
上場会社の定義は理解できたものの、「具体的にどのような企業があるのか知りたい」という人も多いでしょう。ここからは、時価総額順に上場会社を5社紹介します。
時価総額とは
株価×発行済株式数で求められる数値。企業の価値を表す指標として使われる。
代表的な企業を把握して、上場会社のイメージをつかんでください。
①トヨタ自動車
トヨタ自動車はガソリン車やハイブリッド車、電気自動車などさまざまな種類の車を製造・販売する世界有数の自動車メーカーです。読売新聞オンラインによると、2024年上半期はダイハツ工業と日野自動車を含むグループ全体で世界販売台数が516万台を上回っており、5年連続で世界首位を獲得しています。
また、トヨタ自動車は社員の働きやすさを重視していて、福利厚生が充実しています。たとえば、駐車場完備で全室個室の社員寮、ジムやプールなどを利用できるスポーツセンター利用サービス、会社施設内のマッサージを受けられるサービスなどがあります。
さらに、平均年間給与は約899万円と、令和5年分民間給与実態統計調査による民間平均給与の460万円を400万円以上も上回っています。
②三菱UFJフィナンシャル・グループ
三菱UFJフィナンシャル・グループは、銀行業務を筆頭に信託や証券、クレジットカード、リースなど多岐にわたる金融サービスを提供する総合金融グループです。日本だけではなく世界約50か国に海外拠点を構え、アジアをはじめ北米や欧州市場でも事業を展開しています。
グループの中核を担う三菱UFJ銀行はワークライフバランスを重視していて、毎年1回は6営業日連絡休暇の取得が可能です。そして入社10年目、15年目、20年目の社員は、2週間連続して休暇を取得できます。このように休暇制度が充実しているため、海外旅行に行ったり家族とゆっくり過ごしたりして仕事の疲れを癒して業務に戻れます。
また、平均給与は約1,047万円と民間の平均給与の倍以上です。日本トップクラスの総合金融グループなので大きな責任がともないますが、高い年収を受け取りながら充実した福利厚生のもとで働ける魅力があります。
③日立製作所
日立製作所は、家電製品や電子機器などを製造・販売する総合電機メーカーです。現在はIoTの導入に注力し、生活の利便性向上や産業の生産性向上に貢献しています。
IoTとは(Internet of Things)
身の回りのさまざまなモノをインターネットに接続して相互に情報を交換するシステム
また、日立製作所は福利厚生にカフェテリアプランを導入しており、社員一人ひとりが好きな制度を活用できます。住宅ローンや子どもの教育費、旅行費用、医療費などを補助してもらえるため、働きながら生活も充実させられます。
さらに、平均給与は約935万円と高待遇です。年次や階級が上がるにつれてそれに見合った報酬が設定されるため、従業員のモチベーションの向上につながっています。
④ソニーグループ
ソニーグループは、家電製品や半導体製品などを製造・販売する総合電機メーカーです。グループではエンターテインメントや金融などの分野にも進出し、多角的な経営をおこなっています。
また、ソニーグループでは、社員寮・社宅や社員食堂、資産形成サポート、医療・健康支援などの福利厚生が充実しています。社内のカフェでは複数名で行くとドリンクが無料になるイベントが定期的に開催されていて、同僚とコミュニケーションを取りやすい仕組みが整っています。
さらに、平均年間給与は約1,132万円と民間平均を大きく上回る水準です。この高い給与水準により、社員は経済的に安定した生活を送りながら、仕事に集中しやすくなっています。
⑤リクルートホールディングス
リクルートホールディングスは、人材領域と販促領域の2つの事業を中心に多様なサービスを展開する上場会社です。人材領域では求職者と企業を結ぶマッチングプラットフォームや人材紹介サービスを提供し、個人のキャリア形成と企業の採用活動を支援しています。
販促領域では住宅、美容、旅行、飲食などの分野でオンラインプラットフォームを運営し、企業の集客や業務効率化をサポートしています。
また、社員一人ひとりが自律的かつ柔軟な働き方を実現できるよう、好きな日に年間で145日休める独自のフレキシブル休日の制度があることも魅力の一つです。
加えて、在籍3年ごとに14日〜28日の連続休暇を取得できるSTEP休暇や、年次で有給休暇を連続して4日以上を利用すると5万円が支給されるアニバーサリー手当など、ライフステージの変化に対応した特別休暇制度も整備されています。
日本全国の上場会社では、機械系やIT系、建設・工事・土木、小売・販売、製造業などが多く見られます。
たとえば、機械関連事業を中心とした商社である伊藤忠商事や、業界内でもいち早くITを活用したサービスを提供している東京海上日動火災保険、キャラクタービジネスや小売業で知られるサンリオなど、皆さんの生活に関わるところにも上場会社はたくさんあるので、是非調べてみてください。
就活のプロに質問! 上場会社と非上場会社で働く違いとは?
「非上場会社よりも上場会社の方が良い待遇を期待できるはず」「コーポレートガバナンスを意識する上場会社にはホワイト企業が多いだろう」と考えている人も多いのではないでしょうか。
就活のプロとして多くの学生のサポート経験があるキャリアコンサルタントに、上場会社と非上場会社で働く違いを質問してみましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る働きやすさや待遇では上場会社と非上場会社で大きな違いはない
社員として働くなら、上場会社と非上場会社に大きな違いはないと思っています。あるとすれば、上場会社に勤めているというステータスでしょう。名前を知らない会社でも、上場会社となれば一定の信頼があるので、「良いところにお勤めですね」と言われます。
上場する、しないはあくまでも経営判断なので、働きやすさ・待遇・やりがいとは別のものです。もちろんこれら、社員が働きやすい環境を作る、福利厚生を整え待遇をよくする、やりがいを感じられる職場を作るといったことは、組織運営という経営判断の一つであることは言うまでもありません。
上場している理由を企業研究することで企業の将来性がわかる
非上場だから福利厚生が劣ることはなく、どこに資源を投入しコストをかけるかの違いでしょう。上場企業であっても、生き残りをかけてリストラや他企業との連携や合併を進めているので、入社さえできればそれで一生安泰とはいきません。
東芝や日産を考えてみましょう。なぜ上場しているのか、しないのか、企業研究をしてみませんか。東芝は、半導体、デジタルソリューション、持続可能なエネルギー事業での今後の成長が見込まれています。
良い面を把握しよう! 上場会社に就職する5つの魅力
「上場会社にはどんなメリットがあるのか」「上場会社に就職しても大丈夫なのか」といった不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
上場会社に就職するメリットを把握することで、エントリーするかどうかの判断基準が明確になります。ここからは上場会社に就職する5つの魅力を解説しますので、上場会社をエントリー候補に加えるかどうか迷っている人は、ぜひ読んでみてください。
①知名度が高く社会的信用がある
証券取引所に株式を公開している上場会社は多くの人に知られていて、社会的信用があります。そのため、高額な住宅ローンやカーローン、プラチナカードやブラックカードといったハイステータスなクレジットカードの審査に通過しやすいです。
また、上場会社は証券取引所の厳しい審査基準をクリアしている優良企業なので、取引先や顧客からの信頼を得やすい点も大きな魅力です。たとえば上場会社のメガバンクで働いていれば、顧客に安心感を与えて信頼を勝ち取りやすくなります。
このようにプライベートと仕事の両方に影響を与える知名度の高さと信用力は、上場会社で働く大きな魅力です。
②今後のキャリアに役立つ可能性が高い
上場会社では規模の大きいプロジェクトに携わる機会が多く、特定分野における専門的な知識・スキルを身に付けて自分の市場価値を高められます。さらに、教育体制が整っている傾向にあるため、定期的に研修を受けられたり、資格取得を支援してもらえたりします。
日々の業務や研修で培った専門性は転職市場でも高評価を受けやすく、キャリアアップに役立つ可能性が高いのです。また上場会社で働く人は優秀な人材が多いため、「上場企業出身」という肩書きそのものが転職で高く評価されるケースもあります。
特に未経験の業界・業種に転職する際は、前職の企業規模は選考材料に使用されやすいです。
「上場会社出身」という肩書きを持つ転職希望者には、書類選考の時点でスキルバランスの良さを感じることができます。
会社の諸規定や企業方針などしっかり理解したうえで、コンプライアンスや個人情報など重要なルールを遵守して業務遂行できるイメージを持てるでしょう。
③待遇や福利厚生が充実している
上場会社は、家賃補助や通勤手当、確定拠出年金などの制度が整っています。社員寮や保養施設の提供、育児休暇や介護休暇といった生活をサポートする福利厚生もあり、ワークライフバランスを図りやすいのが魅力です。
また、上場会社はコーポレートガバナンスが保たれていて、残業時間や有給休暇の消化日数なども厳しく管理されています。働き過ぎて体を壊したり、休みがなくて精神的に苦しくなったりしないように工夫されているのです。
さらに定期的な昇給や業績が良ければ高額なボーナス支給など、上場会社は給与面でも優れています。
入社前に待遇や福利厚生の実態を事前に確認するのは難しいでしょう。同じ会社でも部署が違えば実態も異なり、また制度があっても、行使するかしないかは本人次第のところもあるためです。
ただ、現状がどうであれ、職場改善は社員である自分の仕事の一つだと考え、取り組んでみてはいかがでしょうか。
④社内規則が整っていて働きやすい
上場会社は多くの社員が円滑に業務を進められるよう、社内規則や業務フローが整備されています。多くの仕事がマニュアル化されているため、効率的に業務に取り組めるのです。
たとえば、パソコンやシステムにトラブルが発生した際でも、解決方法がまとめられた資料があるため迅速な対応が可能です。それでも解決できない場合は相談窓口も用意されているため、無駄な作業に時間を取られず自分の業務に集中できます。
また、多くの上場会社が注力しているのがハラスメント防止のための社内教育や対策です。このように、社員一人ひとりが安全かつ快適に働ける職場環境が整備されています。
- 上場会社でも社内規則やハラスメント防止のルールなどがちゃんとしていない会社もありますか?
急成長している企業などでは運用が不十分な場合がある
上場会社であっても社内規則やハラスメント防止のルールが十分に整っていない、あるいは機能していない会社は存在します。
上場会社は一般的に透明性が高く、コーポレートガバナンスがしっかりしているため、規則の整備や遵守が期待されます。
しかし、企業文化や経営陣の意識によっては、ルール自体は整備されていても、実際の運用が不十分だったり、徹底されていなかったりする場合もあります。
特に急成長している企業や海外展開を積極的におこなっている企業では、内部統制が追いつかないケースも見受けられます。
⑤業績が安定していて倒産するリスクが小さい
上場会社には業界トップクラスの規模を誇る大企業が多く、業績が安定している傾向にあります。規模が大きければ多様な事業分野・エリアに展開していて、特定の市場や地域の景気変動に大きく依存しないためです。リスクを分散しているので、不景気の影響を抑えて安定した利益を確保でき、倒産リスクの軽減が可能です。
また、株式市場で資金調達をしやすい分、将来を見すえた研究開発や設備投資を積極的におこなえます。研究開発に投資して新製品や新サービスを市場に投入できるだけでなく、設備投資により生産効率を向上させてコスト削減を図れます。
その結果、競争力を維持しながらさらなる成長を目指すことで、競合に負けずに業績を安定させられるのです。このように規模が大きく業績が安定していて、長期間にわたって働き続けられる可能性が高いのも上場会社の魅力です。
組織であれば、多様化・ダイバーシティ・DXなどが、個人であれば、働き方改革・リスキリング・ジョブ型スキルなどが進められています。
このように、組織も個人も変革を求められているのです。このような状況のなか、上場会社という土台があるからこそ新しい事業にも挑戦可能であるといえるでしょう。
しかし、仕掛けた新規事業、あるいは従来の事業が必ずしも順調にいくとは限らず、事業撤退縮小といった場面では安定性が揺らぐこともあります。
マイナス面もチェック! 上場会社に就職する際の3つの注意点
上場会社に就職する際の注意点
- 選考が難しい可能性が高い
- 若手には裁量がないケースも多い
- 規模の大きなプロジェクトにおけるプレッシャーや責任が大きい
待遇が良くワークライフバランスを図りやすいうえにキャリアアップも狙える上場会社ですが、もちろんデメリットもあります。良い面だけに注目して就活をすると入社後にギャップを感じ、早期退職につながりかねません。
そうならないためにも、ここからは上場会社に就職する際の3つの注意点を解説します。「魅力以外も知っておきたい」という人は、ぜひチェックしてみてください。
①選考が難しい可能性が高い
さまざまなメリットがある上場会社には、多くの学生がエントリーします。応募者が多いので筆記試験や面接、グループディスカッションなどの選考回数も多い傾向にあり、それぞれ時間をかけて対策する必要があります。
さらに、上場会社を希望するのは優秀な学生が多く、入社するためには厳しい競争に勝たなければなりません。そのため、上場会社は選考が難しく、内定獲得のハードルが高いのです。
②若手には裁量がないケースも多い
事業規模の大きい上場会社は、プロジェクトごとに分かれて業務を進めます。若手社員は企画段階から携わりたいと思っても、実際には資料作成やデータ分析といった補助的な業務に限定されることが少なくありません。頑張っても成果が直接的に見えずらいため、仕事のやりがいや達成感を感じにくいケースがあります。
また上場会社では、一定の年次を迎えるまでは責任あるポジションや意思決定にかかわるチャンスが少ないことも多いです。そのため、「若いうちから自分の意見を反映させたい」「裁量権を持って働きたい」と考える人は、窮屈に感じるかもしれません。
そのため、上場会社にエントリーする前に自己分析をおこない、このような環境が自分に合っているか確認しましょう。
自己分析の方法については以下の記事で解説しているので、ぜひチェックして効率的に自己理解を深めてください。
自己分析ノート
自己分析ノートの効果的なやり方4ステップ|就活での活用法も解説
- 説明会で「若手にも裁量権がある」と言っていた上場会社の場合は、入社してから早い段階で裁量権が与えられますか?
裁量権は与えられるが一人ですべて決められるわけではない
若手でも優秀な社員にはどんどん仕事が回ってきますが、それは仕事ができる前提があってこそです。また、いくら優秀でも経験値の低さは否めないので上司や先輩の強力なバックアップがあると考えます。
想像してみてください。入社3〜5年くらいで5,000万円のプロジェクトを完全に任されたとしたら、責任の重さに押しつぶされてしまいます。
裁量権が与えられると聞くと、モチベーションが上がります。しかし、それはその人の力量にあった裁量権だと考えましょう。一人ですべてを決めて良いということではありません。
その会社では、「自分で考えて自主的に仕事に取り組むような仕事の仕方をしていますよ」と伝えているのだと思います。
③規模の大きなプロジェクトにおけるプレッシャーや責任が大きい
上場会社はプロジェクトが大規模で、社内外に多くの関係者がいます。一つのミスによってたくさんの人の時間を奪うことになるため、大きなプレッシャーを抱えながら仕事をしなければなりません。
また新製品のリリースや大規模プロモーションに失敗すると、数億円単位の損失を出したり、顧客からの信頼を損なったりする恐れもあります。大きな責任がともなうため、プライベートでも仕事のことばかり考えてストレスが蓄積するかもしれません。
したがって、上場会社で働くなら強靭なメンタルが必要です。「大学まで約10年にわたって強豪校でスポーツを続けてきた」「訪問販売営業のインターンシップでどれだけ断られても新規開拓を続けて契約を勝ち取った」など、精神的にタフな人が上場会社に向いているといえます。
どちらが合う? 非上場会社で働く魅力も確認しよう
非上場企業で働く魅力
- チャレンジしやすい環境が整っている
- 裁量権を持って仕事に取り組める
上場会社のメリットとデメリットを把握したうえで、「非上場会社の方が自分に合っているかもしれない」と思っている人もいるでしょう。企業規模や働き方に関する価値観は人それぞれ異なるため、自分に合った環境を選ぶには非上場会社の特徴を理解しておくことも大切です。
ここからは、非上場会社で働く魅力を説明します。上場会社と非上場会社を比較して、適切な就職先を見つけるのに役立ててください。
チャレンジしやすい環境が整っている
非上場会社は組織規模が比較的小さい傾向があり、若手社員でも新しいことに挑戦しやすい環境が整っています。特に新規事業や市場開拓といったチャレンジングな業務に積極的に取り組める点が魅力です。
また、上場会社では株主の意向を考慮する必要があり、慎重な意思決定を求められます。一方で、非上場会社は社外の人からの意見が経営判断に影響を受けにくいため、規模が大きくても積極的なチャレンジが可能です。
たとえば非上場会社のSuntoryは「やってみなはれ」という精神のもと、日本では無理といわれたウイスキーづくりに成功しています。したがって、「若いうちにたくさんの挑戦をしたい」という人は非上場会社との相性が良いといえます。
上場会社だからといって必ずしもチャレンジが難しいわけではなく、企業文化や経営方針次第で、イノベーションを推進する環境を整えている上場企業も多く存在します。
一方、非上場会社でも保守的な風土の場合や部署によっては、挑戦の機会が限られることもあります。
上場・非上場より重要なのは、企業のミッションや価値観、実際のプロジェクト内容をしっかりとリサーチし、自分の成長につながる環境かどうかを見極めることです。
裁量権を持って仕事に取り組める
非上場会社は社員一人ひとりにさまざまな役割が与えられていて、若手社員でも裁量権を持って仕事に取り組む機会が多いです。たとえば、プロジェクトの立ち上げ段階から携わり、意思決定にも参加できます。そのため、自分の意見や提案が事業に反映されやすい魅力があります。
このような環境では主体性が求められますが、自分の働きが企業の成長に直結する実感を得られます。したがって上場会社よりもやりがいを感じやすく、「自分の力を試したい」「早い段階で成長したい」と考える人に向いています。
非上場企業についてはこちらの記事でも解説しているので、魅力以外の面についても詳しく知りたい人はぜひチェックしてみてください。
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非上場企業って何? 知っておきたい上場企業との違いや入社する魅力
非上場企業とは、自社の株式を証券取引所に公開していない企業のことです。この記事では、非上場企業と上場企業の違いや、それぞれで働くメリット・デメリットについてキャリアコンサルタントとともに解説します。どちらにも魅力がありますが、重要なのは自分により合った企業を選ぶことです。
記事を読む

一定の規模となると組織として仕事をすることになります。しかし、すべてが上意下達で仕事をするわけではありません。
自分の仕事は自分なりに考える必要があります。それが規模の大きい非上場会社で働くうえでの裁量権ではないでしょうか。
興味があるなら要確認! 新卒で上場会社に入社するためのポイント3選
新卒で上場会社に入社するためのポイント
- 選考難易度が高いので早めに対策を始める
- インターンシップ選考にチャレンジして現在地を確認する
- OB・OG訪問を活用して選考の傾向や事業内容を把握する
ここまでの内容を確認して上場会社に興味があるなら、選考突破に向けたポイントを把握しましょう。上場会社の選考は厳しいため、事前にポイントを押さえて計画的に対策を進める必要があります。
ここからは、新卒で上場会社に入社するためのポイントを解説します。取り組めることから一つずつ実践して、ライバルに出遅れないようにしましょう。
①選考難易度が高いので早めに対策を始める
上場会社は知名度や社会的信用の高さから、毎年多くの学生が志望します。エントリーする学生も多いため、早めの準備が成功の鍵です。上場会社が実施する夏のインターンに向けて、遅くとも大学3年生の春には自己分析や業界研究、企業分析などに取り組みましょう。
夏のインターン選考は、多くの企業が大学3年生の6月〜7月に実施します。そのため、この時期までには自己PRやガクチカ、志望動機を作成しておくとスムーズにインターン選考にエントリーできます。
筆記試験や適性検査を実施する企業も多いため、これらの対策も進めておきましょう。問題集を複数冊購入するよりも、どれか1冊に絞ってやり込むのがおすすめです。解けない問題がなくなるまで繰り返し取り組み続ければ、弱点がなくなってどのような問題が出題されても高得点が期待できます。
また、面接やグループディスカッション対策は、就活イベントや大学のキャリアセンターを活用しましょう。どちらも選考対策のセミナーや模擬練習を実施していて、本番と同じような形式で練習できます。
それぞれの選考対策の具体的な方法は以下の記事で解説しているので、ぜひチェックして選考突破を目指しましょう。
ES
ESの通過率はどれくらい? 調べる方法と通過のための6つの対策
SPI対策
SPI対策はいつから始めるべき? 計画の立て方と時期別の勉強方法
グループディスカッション
グループディスカッションの練習方法を解説! 1人でもできる方法も!
面接
面接対策の基本を就活のプロが徹底解説! 質問実例集やマナーなど
一次面接
一次面接で落ちる割合はどのくらい? 必要な対策や面接官の視点を解説
- 大学3年生の夏休みから対策を始めて上場会社の本選考にエントリーするのは無謀ですか?
将来的なビジョンやプランを明確にして選考に臨むことが大切
上場会社に限ったことではありませんが、ルールを変更して採用していることがあります。就活の先延ばしによって、不都合になったことをプラスの観点で捉えてみると良いかもしれません。
ただし、徹底的に自分のキャリアビジョン(こんな風になりたい)を描き、具体的なキャリアプラン(行動計画)をしっかり考えて活動することが非常に重要です。
一般的な就活時期から遅れた理由も答えられるようにしておきましょう。
②インターンシップ選考にチャレンジして現在地を確認する
上場会社はインターンの参加希望者が多いため、選考を実施して参加する学生を絞り込んでいます。志望企業がインターンを実施しているなら、選考を受けて自分の現在地を確認しましょう。
もしエントリーシート(ES)や面接で選考落ちしても、改善点が明確になれば問題ありません。秋・冬・春と季節ごとに実施している企業もあるため、改善点を修正して次のインターン選考に臨みましょう。
また、選考に通過してインターンに参加できれば、実際の経験から志望動機や自己PRの説得力を強められます。目的を持ってインターン選考に取り組めば良いことばかりなので、対策を進めたらエントリーして評価点と改善点を把握しましょう。
インターン選考で聞かれることが多い意気込みの作成方法は、こちらの記事で解説しています。「意気込みは熱意を伝えるだけで突破できるのではないか」と考えている人は、ぜひチェックして必要な要素を把握してください。
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例文9選|熱意が伝わるインターンシップの意気込みの作り方
企業がインターンシップの選考で意気込みを確認する理由や伝えるべき内容、必要な準備をキャリアコンサルタントの視点から解説しています。「必ず参加したいインターンがある」という人は、内容を確認して選考突破を目指してください。また具体的な内容が思いつかない人に向けて、インターンに参加する目的ごとに例文を紹介しています。
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- 上場会社はインターン選考に合格しなければ、内定獲得は難しいのでしょうか。
ほかの選考プロセスで内定を獲得できる可能性がある
インターンは確かに有効なルートですが、上場会社のインターン選考に合格しなかったからといって、必ずしも内定獲得が難しくなるわけではありません。
インターンに参加できなかった場合でも、自己分析や企業研究を徹底し、選考対策を強化することで、ほかの選考プロセスを突破するチャンスは十分にあります。
また、インターン選考に不合格だった経験をフィードバックとして活用し、改善点を明確にすることで、次回の挑戦に活かすことが可能です。
③OB・OG訪問を活用して選考の傾向や事業内容を把握する
エントリー数が多い上場会社の選考では、自己PRや志望動機がほかの学生と似ていると担当者の印象に残らない恐れがあるため、独自の要素を盛り込んで差別化を図らなければなりません。
独自の要素を入れる際に役立つのが、その企業で働く人から直接話を聞けるOB・OG訪問です。現場の社員からの話を聞くことで、自己PRや志望動機に記載する将来の貢献方法が、より具体的かつ現実的な内容に仕上がります。
またOB・OG訪問では、選考で重視されるポイントや実際の業務内容、社内の雰囲気といったホームページ(HP)や説明会では得られないリアルな情報も収集できます。
なお、より具体的な回答を得るためには事前に聞きたい内容を考えて、当日までにメールで質問内容を送付しておきましょう。OB・OGの人に回答を考える時間が生まれるため、より有益な話を聞ける可能性が高まります。
OB・OG訪問の手順や質問の考え方は以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてOB・OG訪問を効果的に活用できるようにしましょう。
OB・OG訪問 手順
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
OB・OG訪問 質問
OB・OG訪問は質問選びが鍵! おすすめ質問100選を紹介
上場会社の魅力や注意点を押さえて選考にエントリーするか判断しよう
企業規模の大きい上場会社は、福利厚生が充実していて高年収と非常に魅力的です。しかし選考突破が難しいうえに、裁量権はないものの重いプレッシャーがのしかかります。
デメリットを苦に感じない人であれば、仕事をしながらプライベートも充実させられます。一方で、魅力だけで入社するとミスマッチが生じ、過度なストレスを感じて早期離職につながるかもしれません。
入社後に後悔しないためにも、事前に上場会社の魅力や注意点を押さえて選考にエントリーするか判断してください。
アドバイザーコメント
今住 誉文
プロフィールを見る上場会社のメリット・デメリットをよく理解しよう
上場会社を志望する魅力が高まる一方で、少し心配になることもありますね。会社の社会的信用というバックボーンは、働いていくうえではもちろんのこと、日々の生活を充実させることがたくさんあると思います。たとえば下記のような内容です。
・知名度が高く社会的信用がある
・今後のキャリアに役立つ可能性が高い
・待遇や福利厚生が充実している
・社内規則が整っていて働きやすい
・業績が安定していて倒産するリスクが小さい
デメリットとしては下記の内容が挙げられます。
・若手には裁量がないケースも多い
・プロジェクトの規模が大きくプレッシャーや責任が大きい
上場会社と非上場会社のそれぞれの特徴を理解して自分に合った環境を選ぼう
また、非上場会社の魅力としては、チャレンジしやすい環境であることや、裁量権を持って仕事に打ち込めることなどがあります。こういったことは、仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
上場会社のメリットとデメリットを把握したうえで、「非上場会社のほうが自分に合っているかもしれない」と思っている人もいるのではないでしょうか。
企業規模や働き方に関する価値観は人それぞれ異なります。自分に合った環境を選ぶためにも、それぞれの特徴をよく理解しておくことが重要です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
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Yoshifumi Imazumi 〇若年から中高年の就職支援をおこなう傍らハローワークでの年間約500件ものキャリア面談を実施。行政機関を中心とした講師活動など幅広いキャリア支援に取り組んでいる
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