テクニカルサポートの仕事とは? 魅力から厳しい一面まで実態を解説

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士

    Masamitsu Uehara〇会社員時代は人事部として3000人以上の学生と面談を実施。大学でも多くの学生のキャリア支援をおこなう。独立後は、就活生からシニア層までさまざまなキャリア相談に携わる

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表

    Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績

    プロフィール詳細
  • ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士

    Takeshi Izawa◯専門学校で10年以上アルゴリズムやJava、Python、人工知能、IoT、情報セキュリティなどのIT分野の教育に従事。現在は研修講師やITコンサルタントを務める

    プロフィール詳細

この記事のまとめ

  • テクニカルサポートの現状や今後の展望を把握して入社後の姿をイメージしよう
  • 志望動機でアピール! テクニカルサポートに必要な能力をチェックしよう
  • テクニカルサポートには豊富なキャリアパスがある
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テクニカルサポートについて「仕事内容がイメージできない」「今後もテクニカルサポートへの需要はあるのか」と疑問を抱いている人もいるでしょう。

テクニカルサポートの現状や今後の展望を把握することは非常に大切です。なぜなら、業務への理解が浅いまま入社しても、ギャップを感じて働くのが苦しくなったり、早期退職してしまったりするからです。

この記事では、キャリアコンサルタントの上原さん、渡部さん、ITストラテジストの伊沢さんのアドバイスを交えつつ解説します。テクニカルサポートに興味がある人、選考を受ける予定の人は参考にしてくださいね。

目次

テクニカルサポートの現状や展望を把握して仕事分析に活かそう

「テクニカルサポートがどんな仕事をしているかわからない」という人も多いでしょう。似た仕事をおこなうヘルプデスクとの違いを把握していない人も見受けられます。

記事では、テクニカルサポートの仕事内容を把握できるよう、魅力から厳しい一面までを網羅的に説明します。その後で、テクニカルサポートに向いている人の特徴や必要な能力を解説。志望動機や自己PRで効果的にアピールできるようにします。

また、「テクニカルサポートの志望動機の作り方がわからない」という人のために、強みごとの志望動機の例文6選を解説しているので、上手にアピールしたい人は参考にしてみてくださいね。

あなたがテクニカルサポートに向いているか確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、テクニカルサポートに向いているか確認できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
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まずは押さえておきたい! テクニカルサポートとは?

テクニカルサポートは、スマートフォンやパソコンなどのハードウェアやソフトウェアの問い合わせに対応する仕事です。電話やメール、チャットを使用して顧客の問題を解決するためにサポートします。

顧客は消費者や企業の担当者などさまざまです。技術的なトラブルや不具合に対応するため、製品やサービスに関する詳しい知識が求められます。

また、オンライン上での解決が難しい場合は、現場に出向くケースもあります。

ヘルプデスクとの違い

テクニカルサポートとヘルプデスクの違い

ヘルプデスクとテクニカルサポートの最も大きな違いは専門性の高さです。ヘルプデスクは製品の操作方法からトラブル解決まで幅広い相談に対応する一方で、テクニカルサポートはヘルプデスクに寄せられた相談のなかでも専門的な技術や知識を要する問題に対応します

また、対象のユーザーによって区分けしている企業もあります。テクニカルサポートは社外のユーザー、ヘルプデスクは社内のユーザーを担当します。つまり、あなたがプライベートで使用しているパソコンが壊れたとして、技術的なサポートをするのはテクニカルサポートです。

ただし、企業によってはヘルプデスクとテクニカルサポートの役割に明確な違いを設けていないケースもあります。

テクニカルサポートの今後の展望

テクニカルサポートの今後の展望

  1. IT化にともなう需要増が見込まれる
  2. AIを活用した対応が進んでいる
  3. 能動的なテクニカルサポートが求められる

「テクニカルサポートの仕事がなくなると聞き不安」「AI(人工知能)化が進んだらどうしよう」と不安を抱えている人もいるでしょう。結論から言うと、テクニカルサポートの需要がすぐになくなるということはありません

ただ、これまでと同じように業務をこなしていると仕事が減少する可能性があります。ここでは、テクニカルサポートの今後の展望を解説します。

テクニカルサポートとして高い市場価値を得たい人は、ぜひ参考にしてください。

テクニカルサポートだけでなく、IT業界全体のトレンドや今後の展望は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せて参考にしましょう。
IT業界を徹底解剖! 押さえておきたい将来性やトレンドまで解説

IT化にともなう需要増が見込まれる

新しいIT製品やサービスはたくさん登場しており、テクニカルサポートの需要は高まっています。今後もIoTの普及やクラウド化の進行など、目まぐるしい変化が見込まれているため、テクニカルサポートへのニーズも高まると予想されています

IOT

モノをインターネットに接続する技術。Internet of Thingsの略

クラウド化

重要な情報の管理を、自社のネットワークから外部のクラウドサービスへと移すこと

需要は高まりますが、時代の変化に合わせた知識を習得しなければ問題の解決が難しくなります。市場価値の高さをキープするために、製品やサービス、技術に関する最新情報を常に収集しましょう。

渡部 俊和

プロフィール

あらゆるサービスがインターネットを介してつながるようになり、ハードウェアもそれに呼応してどんどん進化しています。

しかし人の生活はそんなに急には変わりません。テクニカルサポートはその仲立ちをして、実用化を支援する役割を担います。

AIを活用した対応が進んでいる

テクニカルサポートでは、AIを活用した業務の効率化や自動化が進められています。相談者から寄せられた質問に対して、回答を生成しチャットに自動で送信します。よくある質問に対して回答を用意し、似た質問には同じ回答を送信する仕組みです。

「AIによってテクニカルサポートの仕事が奪われるかもしれない」と考えている人もいるでしょう。しかし現状、プログラミングされていない質問には回答できません。

また、テクニカルサポートが担当するIT領域は、相手によって製品やサービスへの理解度が大きく異なります。固定の対応ではなく、相手に合わせた説明は人間の方が得意な領域であるため、テクニカルサポートの需要はすぐにはなくなりません。

能動的なテクニカルサポートが求められる

これまでのテクニカルサポートは、顧客のトラブルに対応する受動的な業務が中心でした。しかし、AIの普及が進むと質問への回答を人間がする必要が薄れていきます。

そのため、今後もテクニカルサポートとして働き続けるためには、能動的なサポートが求められています

パソコンの不具合で相談してきた顧客に対して今まで以上に使いこなすためのアドバイスをするなど、顧客が気づいていない潜在的な課題を解決するために積極的に行動する必要があります。

ユーザーは自分の課題をうまく言葉で説明できず、サポートへの相談を躊躇することもあります。そんなときにでも気軽に相談してもらえる人でいることが、テクニカルサポートにとって非常に重要です。相談する敷居が高いとユーザーに頼ってもらえません。

やりがいを把握しよう! テクニカルサポートの3つの魅力

テクニカルサポートの3つの魅力

  • ユーザーに感謝される喜びを感じられる
  • 基礎的な技術や知識を幅広く学べる
  • PDCAを回す経験を積める

テクニカルサポートへの需要が高まっていることを説明しましたが、「テクニカルサポートとして働く魅力がわからない」と感じている人もいるでしょう。

ほかの職種や業界と比較する際に、やりがいや魅力を重視する人が多いのも事実。重視していなくても、数十年にわたって続ける可能性がある仕事の喜びは事前に知っておくべきです。やりがいを知らなければ、壁にぶつかった時にモチベーションを保ちづらいからです。

ここからはテクニカルサポートの3つの魅力を解説します。

あなたがテクニカルサポートに向いているかわかります

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①顧客に感謝される喜びを感じられる

テクニカルサポートは顧客の抱えるトラブルの解決を目指します。電話やチャットで対応した顧客の問題が解決した際、「ありがとう」という言葉に喜びを感じられる場面も多くあります

顧客からの感謝はテクニカルサポートとして働くうえで大きなやりがいです。そのため、人の役に立つ仕事がしたい人や顧客の悩みを解決したい人に向いています。

人の役に立つ実感がやりがいにつながる人は、こちらの記事も参考にしましょう。人の役に立つ仕事を解説しています。
人の役に立つ仕事45選|やりがいや社会貢献を実感しやすい仕事とは

②基礎的な技術や知識を幅広く学べる

テクニカルサポートは製品やサービスに関するさまざまなトラブルへの対応が求められます。そのため、日々の業務を通じてITに関する基礎的な技術や知識を幅広く学べます

資格の取得や教材からインプットした知識は、活用しなければ習得した意味がありません。テクニカルサポートは学んだ知識や技術をアウトプットする機会があるため、より理解を深められます。

テクニカルサポートとしてIT技術や知識を学ぶことでどんなメリットがありますか?

上原 正光

プロフィール

世の中のニーズに直に触れられる

めまぐるしい技術の進歩と変化の中で、一般消費者がどのような点で苦労しつまずいているのか、ソフトやハードに何が求められどんな改善の余地があるのかが手に取るようにわかります。

IT技術を開発し世に広めていくためにはなくてはならない生きた情報と知識を得ることができます。世の中で求められているニーズに直に触れることができるのです。

③PDCAを回す経験を積める

PDCA

Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Action(改善)の頭文字を取ったもの。業務の改善を目指す技能として知られている

テクニカルサポートは顧客ごとに異なるトラブルに対応します。状況を把握して自分なりに問題の原因を突き止め、解決するための仮説を立てる必要があります

そして、提案した解決策がうまくいかない場合は、別の仮説を立ててトラブル解消を目指します。そのため、日常の業務でPDCAを回す経験を積めます。

PDCAを回して問題解決に取り組む姿勢は、テクニカルサポートにかかわらずビジネスパーソンとして重要なスキルです。テクニカルサポートとして培った経験は、ほかのキャリアパスを選択した際にも役立つ場面が多くあります。

アドバイザーコメント

ユーザーの役に立つ実感を得やすい魅力がある

テクニカルサポートとして働く最大の魅力は、ユーザーの反応が直接見えることです。ユーザーは困っているからテクニカルサポートに相談します。それは大抵の場合、業務に支障をきたしてしまうか、非効率さを感じているといったときです。

その課題は簡単に解決できるものもあれば、時間がかかるものもあります。ユーザーとコミュニケーションを取りながらさまざまな可能性を探り、解決に導いていきます。

ユーザーの反応を直接見られる機会が多い

実際にテクニカルサポートをしてみないとわからないかもしれませんが、課題が解決したときのユーザーの反応は、大体とても喜んでいるか、びっくりしています。

今までできなかったことができるようになった喜びであったり、どうして今までできなかったことがユーザーサポートの対応によってできるようになったのかわからずびっくりしていたりします。こうした課題がうまく解決したときのユーザーの反応は、とてもやりがいを感じます。

また、ユーザーサポートの過程で、ユーザーから課題解決につながる重要な情報を得られて、そこから課題の解決につなげたり、ユーザー自身が自己解決することもあります。それでもユーザーにはとても喜ばれます。

マイナス面も見ておこう! テクニカルサポートで働く際の厳しさ

トラブルを解決した際に顧客から感謝されて大きなやりがいを感じる反面、テクニカルサポートで働く際には厳しさもあります。

テクニカルサポートとして働き始める前に、マイナス面を把握しておく必要があります。入社後にギャップを感じたり、早期に退職したりするのを防ぐためです。テクニカルサポートの厳しさをチェックしておきましょう。

まずはあなたがテクニカルサポートに向いているか確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

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人材不足が続いている

需要が伸びているテクニカルサポートですが、供給が追いつかず人材不足の状況が続いています。そのため、企業によっては残業時間が長くなったり、休日出勤を求められたりするケースも。

また、製品やサービスによっては24時間トラブルに対応しているため、夜勤が必要な企業もあります。生活リズムが崩れてストレスや疲れが溜まりやすくなる人もいるでしょう。夜勤が不安な人は、アルバイトや派遣スタッフとして夜勤を経験してみるのもおすすめです。

とはいえ、AIの登場で業務の自動化や効率化が進んだり、働き方改革も進められたりしています。そのため、適切な労働環境を提供している企業に入社できれば、厳しさを感じる場面は少なくなっています。

テクニカルサポートで労働環境が整っている企業はたくさんあります。こうしたホワイト企業の見極め方はこちらの記事で解説しています。
ホワイト企業とは? 入社後に絶対後悔しない企業選びの方法を徹底解説

人材不足が続いているのであれば、選考を通過しやすい気がします。選考の対策は必要ですか?

上原 正光

プロフィール

自己分析で自分の適性を明確にすることが必要

テクニカルサポートの仕事は誰にでもできるものではなく、適性が大きく左右します。つまり、向いている人と向いていない人に大きく分かれるのです。そこでまずは、自分自身の適性をよく把握することが必要です。

そのうえで、自分に適性があることをわかりやすく説明するための対策が必要と考えます。適性とともに人と向き合う姿勢が確認されます。

自己分析のやり方はこちらの記事で解説しているので、参考にして自己理解を深めましょう。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説

クレーム対応が求められる

トラブルの解決を目指すテクニカルサポートには、顧客からの製品やサービスに対するクレームが届くケースも。そのため、クレームに対する適切な対応が求められます。

顧客の怒りを強める発言や理不尽な言動を相手にしない態度など、誤った対応をしてしまうとさらなるクレームに発展します。理不尽な言動を浴びせられることもあるため、精神的につらさを感じてしまう人もいるようです。

常に知識をアップデートする必要がある

IT業界は常に新しい技術が登場します。顧客のトラブルに対して適切な対応をするためには、最新の知識が必要です。そのため、常に知識をアップデートし続ける必要があります

古い知識が通用しない可能性もあるため、幅広い領域にアンテナを張って知識を吸収しましょう。

その他にも、ユーザーとのコミュニケーションが難しいことが、この仕事の厳しさと言えます。

ユーザーはITのプロではないので、ヒアリングする中で重要な情報が抜け落ちていたり、意図せず間違った情報を言う場合があります。それも含めて対応する必要があるのです。

テクニカルサポートで活躍できる人の5つの特徴

テクニカルサポートで活躍できる人の特徴

  • 新しい知識を身に付けるのが好き
  • 臨機応変に対応できる
  • コミュニケーションをとるのが好き
  • 相手の問題を解決することに喜びを感じる
  • コールセンターで働いた経験がある

テクニカルサポートで活躍できる人には、いくつかの共通の特徴があります。テクニカルサポートに適性があるか疑問に思っている人は、ここから解説する内容を参考にしましょう。

とはいえ、働きながら身につくケースも多いので、特徴に当てはまらなかったとしても、悲観的になる必要はありません。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。

そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

①新しい知識を身に付けるのが好き

テクニカルサポートは変化の激しいIT業界に関する幅広い知識が必要な職種です。そのため、常に知識をアップデートしながら業務に取り組む姿勢が求められます

しかし、「仕事で疲れて帰宅した後に勉強をするのは大変」と感じる人も多いでしょう。新しい知識を習得することに魅力を感じる人は、仕事後の勉強につらさを感じづらく、積極的にインプットに取り組めます。

②臨機応変に対応できる

臨機応変に対応できる人はテクニカルサポートに向いています。顧客のトラブルは事前に予測できないからです。電話やチャットで相談を受けた後、スムーズな対応が求められます

そのため、コールセンターのアルバイトや飲食店のアルバイトなど、想定外のトラブルに冷静に対応した経験がある人は、テクニカルサポートとして働くうえでも活きてきます。

臨機応変に対応できる強みは、自己PRの題材にするのも効果的です。詳しいアピール方法はこちらの記事で解説しています。
例文8選|臨機応変に対応する力の自己PRで印象に残す4ステップ

③コミュニケーションをとるのが好き

テクニカルサポートは、顧客と電話でやりとりをするケースが最も一般的です。相手の顔が見えない状況で顧客に信頼してもらうには、相手の知識に寄り添った説明が求められます。専門用語ばかり使用していると、顧客は説明の内容がまったくわかりません。

そのため、コミュニケーションをとるのが好きな人はテクニカルサポートに向いています。ITへの理解度が低い顧客には、専門用語を使わずにわかりやすい説明ができるからです

テクニカルサポートに電話をする顧客にはさまざまな人がいます。より多くの顧客の問題を解決するためには、会話の中で相手の理解度を把握し、知識のレベルに合わせた説明をする必要があります。

テクニカルサポートとして働くなら、話す力と聞く力のどちらが大事ですか?

上原 正光

プロフィール

話す力・聞く力のどちらも大事

どちらの力も極めて大事だといえます。サポートをするうえでは、顧客がどんな状況にあって、何に困っているのかを正確に把握する必要があります。

そのためには答えやすいようにわかりやすく的確に問いかける「聞く力」が求められます。相手のレベルに合わせて、根気強く親身になれるかどうかが問われます。そのうえでわかりやすく説明できる「話す力」も必要です。

コミュニケーション能力を強みに持つ人は、積極的に自己PRでアピールしましょう。詳しいやり方はこちらの記事で解説しています。
例文12選| コミュニケーション能力の自己PRを3ステップで解説

人の話を聞くのが得意な人は以下の記事を参考にしてみてください。話を聞く仕事と仕事のタイプを詳しく解説いています。
人の話を聞く仕事20選|話の深さ別4タイプから適職を見つけよう

④相手の問題を解決することに喜びを感じる

テクニカルサポートに相談をする人は、製品やトラブルが正常に作動せず困っています。そのトラブルを解決へと導けば、相談者の問題を解決することにつながります。そのため、相手の問題を解決することに喜びを感じる人は、テクニカルサポートに向いています

テクニカルサポートは、クレームや理不尽な暴言を浴びせられる可能性もある仕事です。一方で、感謝されることも多いため、顧客からの「ありがとう」が働く原動力になります。

⑤コールセンターで働いた経験がある

コールセンターは顧客のトラブルや悩みを解決する点でテクニカルサポートに似ている仕事です。そのため、コールセンターで働いた経験がある人は、その経験をテクニカルサポートで活かせます。

顧客の状況を電話で把握し、相手にわかりやすい言葉で伝える経験を積んでいるのは大きな強みです。電話越しに相手の状況をつかむのは難しいもの。入社前に経験している人は、アドバンテージを持って働き始められます。

とはいえ、テクニカルサポートで働くには、コールセンター以上に専門的な知識が必要です。IT技術に抵抗があったり、働きながら学び続けるのが苦しかったりする人は、避けておくことをおすすめします。

アドバイザーコメント

一般ユーザーの視点に立ったサポートができるかどうかが大切

たとえば、スマートフォンの原型が登場してから約25年もの期間がありますが、いまだにスマートフォンを使いこなせない人も多く、技術的なサポートはいろいろなレベルで必要とされています。

黎明期と異なり、今求められるのはマニアックな技術的知識ではなく、一般ユーザーの視点に立ったサポートや、企業向けのカスタマイズなどです。

コミュニケーション能力は大きな強みになる

このように、画期的な技術や商品は、普及のレベルに応じて求められるサービスが変わります。

しかし、IT、ICT関連のサービスは、今はほぼ市場におけるメインストリームになってきている(キャズム理論)ので、特殊な分野で働くのでない限り、たとえテクニカルサポートでも、知識や情報より「顧客視点に立てる」ことが重視されます。

この傾向はAIの普及によってさらに拍車がかかることでしょう。知識や情報はどこにでもあるので、その価値が相対的に下がる代わりに、相手のレベルに応じて適切に対応できるコミュニケーション力のほうが高い付加価値を持つのです。

世話好きの人、細かい手助けを面倒がらず面白がれる人、人助けを喜びにできる人などに適性があると思います。

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テクニカルサポートに必要な6つの能力

テクニカルサポートに必要な能力

  • 傾聴力
  • 言語化能力
  • 忍耐力
  • 問題解決能力
  • パソコンスキルや知識
  • 英語力

職種を選ぶ際、自分の強みを活かせる業界か事前に確認しておくことは重要です。自分の能力を活かせない業界や職種を選ぶと、入社後に活躍できなかったり、選考突破が難しくなったりするからです。

とはいえ、「テクニカルサポートに必要な能力がわからない」という人もいるでしょう。テクニカルサポートに求められる6つの能力を解説します。

自分に当てはまる能力があったら、自己PRや志望動機でアピールしてくださいね。

自己PRの作り方は、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。
例文12選|面接必勝の自己PRはエピソードが最重要!

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①傾聴力

テクニカルサポートは基本的に電話やメールで対応するため、傾聴力が欠かせません。製品やサービスが見えないなか、顧客の話から的確な状況をつかむ必要があるからです

上原 正光

プロフィール

相手に言いたいことを存分に語ってもらい、聞き手の先入観を捨てて相手の気持ちになって聞くことができる力が傾聴力です。そのためには、相手の立場に合わせてわかりやすく問いかけることが求められます。

顧客との会話を通じて問題を解決するコールセンターのアルバイト経験や、飲食店のアルバイトで顧客の話を上手に引き出して常連客との関係を築いた経験のある人など、傾聴力を発揮した経験のある人は積極的にアピールしましょう。

担当者は学生が入社後にテクニカルサポートとして、顧客の話を聞き出して解決へと導く姿をイメージしやすくなります。

傾聴力のアピール方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
14例文|傾聴力の自己PR作成に欠かせない必勝3ステップ

②言語化能力

言語化能力もテクニカルサポートとして役立つ能力の一つです。電話やメールでの対応になるため、顧客の機器を自ら操作できません。困っている顧客にわかりやすい表現で伝える必要があります

そのため、専門的な用語の使用は可能な限り控えて、誰でも理解できる言語化能力が求められます。

塾のアルバイトで新しい内容を小中学生にもわかりやすい表現に噛み砕いて説明した経験など、人にわかりやすく言語化した経験がある人はアピールするのがおすすめです。

③忍耐力

すぐにトラブルが解決するとは限らないため、忍耐力も非常に重要です。解決するまで顧客に寄り添った対応が求められるからです。

問題の原因がわからないうえに、自ら操作できないためもどかしさを感じるケースもあります。しかし、それでも諦めない粘り強い姿勢が大事です。

また、製品やサービスに不満を感じている顧客もいるため、クレームや理不尽な叱責を受ける可能性があります。落ち着いて辛抱強く話を聞く必要があります。話を聞く対応次第では、余計に悪い方向に進んでしまう可能性があるからです。

忍耐力を武器に自己PRを作成するための考え方を下記の記事で解説しているので、忍耐力を強みに持つ人は参考にしてみてください。
例文17選! 自己PRで企業が求める忍耐力をアピールするコツ

忍耐力の他に諦めない力も自己PRでアピールすることができます。以下の記事では諦めない力を自己PRする方法をまとめているので参考にしてみてください。
諦めない力を自己PRにするには? 注意点と差別化の秘訣を解説

④問題解決能力

顧客の抱えるトラブルを解消する問題解決能力は、テクニカルサポートとして働くために重要な能力です。顧客にこれからも製品やサービスを継続してもらうためには、スムーズな対応が求められるからです。

トラブル時の対応が悪いと、買い替えのタイミングで別の商品やサービスを使用する可能性が高まります。そのため、顧客の状況を把握したら自社製品やサービスへの知識を活用し、解決するために有効な方法を迅速に提案する必要があります

また、テクニカルサポートのキャリアパスの一つであるITコンサルタントで活躍するためには、非常に重視されるスキルです。

問題解決能力を高めるコツはこちらの記事で解説しています。
自己PR例文付き|問題解決能力を鍛えるコツと就活でのアピール方法

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⑤パソコンスキルや知識

トラブルに対して技術的な観点から対応するテクニカルサポートは、IT関連の知識が必要です。顧客が使用している製品やサービスへの理解が乏しいと、そもそも解決方法の提案ができないからです

ハードウェアやOS、アプリケーションなどIT関連の幅広い知識を身につけておきましょう。

ITの専門用語

  • ハードウェア:パソコンやキーボード、プリンターなどコンピューター関連の機械。
  • ソフトウェア:コンピューターに対して命令を出すプログラム。
  • OS:パソコン操作やアプリの使用に必要なオペレーティングシステムのこと。
  • アプリケーション:個別の目的や業務に応じて作成されたプログラムのこと。一般的にアプリと呼ばれている。
  • WAN:遠く離れたエリアとつながったネットワークのことを指すWide Area Networkの略。
  • LAN:限定されたエリアで接続できるネットワークのことを指すLocal Area Networkの略。

また、テクニカルサポートは業務で必ずパソコンを使用するため、パソコンスキルも欠かせません。

パソコンスキルや知識に自信がありません。テクニカルサポートとして働くのは難しいのでしょうか。

渡部 俊和

プロフィール

本人の業務への姿勢次第

パソコン・ITの知識や新しい情報サービスに興味を持てること、そしていつからでも学べる姿勢があるのであれば、パソコンスキルに自信がない人でもまったく問題ないと考えられます。

テクニカルサポートで働いている人も、実は毎回その繰り返しといっても過言ではありません。

出向先が変わったり、新しいソフトが開発されたり、顧客が新しいシステムを導入したら、顧客とともに自ら学びながらサポートをしていくのです。

常に顧客に寄り添いながら、半歩か一歩先をいかなければならないつらさはありますが、プロ意識を持って取り組める人ならば、仕事そのものがスキルを補ってくれるはずです。

⑥英語力

製品やサービスによっては外国人からの問い合わせを受けるケースがあるため、英語力があると活躍の幅が広がります。

また、英語ができると多くの企業から求められる市場価値の高い人材を目指せます。IT関連の詳しい知識と英語力を掛け合わせて、ほかのテクニカルサポートを志望する学生との差別化を図りましょう。

留学経験のある人やTOEIC・TOEFLのスコアが高い人は積極的にアピールしてください。

外資系の企業であれば英語力は必要です。また、テクニカルサポートとしてクラウドサービスのサポートに問い合わせをするときに、サービスによっては英語のメールでやり取りすることもあります。

ただ、翻訳サービスを利用して対応することも実際にはよくあります。

英語力が就活へ与える影響については下記の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
英語力は就活への影響大! 求められるケースとレベルを徹底解説

TOEICのスコアを取得している人は積極的にアピールしましょう。アピール方法や目安の得点はこちらの記事で解説しています。
TOEICのスコアは就職活動に影響大! 目安の点数を大公開

テクニカルサポートに役立つ5つの資格

テクニカルサポートに役立つ資格

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者試験
  • ITILファンデーション試験
  • シスコ技術者認定
  • LPIC

保有資格を社会人になってから活かしたい人もいるでしょう。時間をかけて取得した資格は有効に活用したいもの。

しかし、どの業界でも通用する万能な資格は多くありません。業種や業界ごとに効果的な資格を確認する必要があります。ここからは、テクニカルサポートに役立つ資格を紹介します。

また、アルバイトやサークルなどの一般的なガクチカでも、周りと差を付けられるのが資格です。選考で同じ程度の評価だった場合、資格の有無が選考の結果に影響を与える可能性があります。ほかの学生との差別化に困っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

こちらの記事では、幅広い業界や職種への就職で役立つ資格を解説しています。IT業界に限らず資格取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説

①ITパスポート

ITパスポートは、ITに関する基本的な知識を有していることを証明する資格です。IT関連の資格のなかでも最も難易度が低いと言われています。そのため、テクニカルサポートに求められる最低限の知識を身に付けられます

また、CBT形式を採用しているため、好きな時に近くのテストセンターで受検できます。勉強をスタートして、得点が取れるようになったら受検を申し込みましょう。試験実施日の3カ月前から前日まで予約を受け付けています。

平均勉強時間は200時間なので、2時間の勉強を3カ月程度継続すると合格のラインが見えてきます。

ITパスポートの基礎知識

  • 主催団体:情報処理推進機構
  • 資格種類:国家資格
  • 試験形式:多肢選択式
  • 試験日:希望日を選べる
  • 受検費:7,500円
  • 目安勉強時間:200時間
  • 合格率:50%

上原 正光

プロフィール

ITパスポートを取得することで、基本的なITの知識を身に付けること、そしてそのことをアピールすることが可能です。実際に仕事をするうえで資格自体が役に立つというものではありません。

②基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IT関連の知識を保有することを証明する資格です。ITパスポートと並んで基本的な知識や技術を習得できます。

ITパスポートがITを扱うすべての人向けであるのに対して、基本情報技術者試験はIT業界で働きたい人向けです。そのため、ITの専門家として顧客のトラブルを解決するテクニカルサポートにとって重要な知識を網羅的に学べます

1,000点満点の科目Aと科目Bにわかれており、どちらの試験でも600点以上を取得できると合格です。

基本情報技術者試験の基礎知識

  • 主催団体:情報処理推進機構
  • 資格種類:国家資格
  • 試験形式:多肢選択式
  • 試験日:希望日を選べる
  • 受検費:7,500円
  • 目安勉強時間:200時間
  • 合格率:40%

③ITILファンデーション試験

ITILファンデーション試験は、ITサービスマネジメントに関する知識を保有していることを証明する資格です。ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の知識が身についているかを問われます。

ITサービスマネジメント

ITシステムの提供や運用、管理を組織的におこなうこと。利用者のニーズに合ったITサービスを提供している

ITIL

イギリスの政府機関がITサービスマネジメントの成功事例をまとめた書籍

全40問で構成されており、26問以上に正解すると合格です。受検終了後すぐに合格発表がおこなわれます。ITパスポートと同様に基本的なスキルを学ぶ資格であるため、テクニカルサポートで働く予定の学生に取得を推奨している企業もあります

ITILファンデーション試験の基礎知識

  • 主催団体:PeopleCert
  • 資格種類:民間資格
  • 試験形式:多肢選択式
  • 試験日:希望日を選べる
  • 受検費:43,890円
  • 目安勉強時間:20時間程度
  • 合格率:非公開

④シスコ技術者認定

シスコ技術者認定は、ネットワークのスキルを証明する資格です。難易度によって5種類の認定レベルが用意されています。ネットワークはITの基礎となる大事な部分です。そのため、テクニカルサポートとして顧客のトラブルを解決するためにはネットワークに関する知識やスキルが必要です

シスコ技術者認定の認定レベルと経験年数の目安

  • エントリー:未経験
  • アソシエイト:1~3年
  • プロフェッショナル:3~5年
  • エキスパート:5~7年
  • アーキテクト:8年以上

また、各認定レベルでも複数の認定試験があり、テクニカルサポートを志望する学生にはアソシエイトに属するCCNAがおすすめです。CCNAはネットワークに関するさまざまな分野を取り扱っているため、幅広い知識を学べます。

CCNAに関する詳しい説明は以下の記事でしているので、ぜひ参考にしてください。
CCNAとはネットワーク技術者の資格! 内容と取得メリットを解説

シスコ技術者認定の基本知識

  • 主催団体:Ciscoシステムズ
  • 資格種類:民間資格
  • 試験形式:多肢選択式
  • 試験日:随時(月曜日~土曜日)
  • 受検費:36,960円(CCNAの場合)
  • 目安勉強時間:200時間
  • 合格率:20~30%

⑤LPIC

LPICとは、Linux技術者認定試験の略称で、Linuxに関する知識や技術を有していることを証明する資格です。

LINUX

コンピューターのハードウェアを管理しているソフトウェアの一種。MacやWindowsなどと同じOSのこと

資格を保有しているとテクニカルサポートの業務に活かせます。Linuxを導入してインターネットサーバーとして使っている企業が多いからです。

LPICの基本知識

  • 主催団体:Linux Professional Institute
  • 資格種類:民間資格
  • 試験形式:多肢選択式
  • 試験日:好きなタイミング
  • 受検費:16,500円
  • 目安勉強時間:100時間(レベル1の場合)
  • 合格率:30~40%(3つのレベルの平均)

このほかにもIT資格はあります。厳選した15種類の資格を解説しているので、就活に向けて資格取得を考えている人はぜひ参考にしてください。
厳選15選|目指すべきIT資格の見つけ方から勉強方法まで徹底解説

資格取得が大切なことは理解できましたが、全部取得するのは難しいです。どの資格から目指すべきですか?

まずはITパスポートの取得から始めよう

資格取得の学習は積み上げが大事です。簡単な資格から一つずつ合格して、自信を付けながらステップアップしていきましょう。

まずは、ITパスポート試験の合格を目指します。その後、基本情報技術者試験の合格を目指すと良いです。意外にも基本情報技術者試験は情報系の大学生の多くが持っているわけではありません。

就職先が決まってから企業から取得を奨励されて、社会人になってから初めて合格を目指す人もいます。学生時代に最低限この2つの資格を押さえておけば、就職活動で有利になります。

それ以外の資格は、就職活動時に企業に持っていた方が良い資格を聞いたうえで、受検のプランを考えましょう。

長期的な働き方を知ろう! テクニカルサポートのキャリアパス

テクニカルサポートのキャリアパス

  • ヘルプデスク
  • マネジメント職
  • セールスエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • プログラマー
  • ITコンサル

需要が高まっていると説明したテクニカルサポート。キャリアパスは一つではありません。

テクニカルサポートとしてスキルを伸ばし続けたり、経験や知識を活かしてエンジニアになったり、マネジメントスキルを磨いて管理職になったりとさまざまです。

ここでは、キャリアパスを解説するので、テクニカルサポートとしての長期的な働き方をイメージしてみてください。

キャリア形成については下記の記事で解説しているので、参考にしてキャリアビジョンを考えてみてください。
キャリア形成とは? 4ステップでこの時代を生き抜く方法を考えよう

①ヘルプデスク

テクニカルサポートとヘルプデスクを区別していない企業もあると説明しました。そのため、テクニカルサポートで経験を積んだ後、ヘルプデスクとして働くケースもあります

専門性の高いテクニカルサポートに対して、ヘルプデスクは社内の一次対応をするため、機械の操作方法や設定方法など幅広い知識が求められます。

②マネジメント職

経験を積むと顧客の対応から離れて、テクニカルサポートを管理するマネジメント職に携わる人もいます。

トラブルに対応する際に培った傾聴力や相手にわかりやすい言葉で伝える力は、マネジメントする際にも非常に役立ちます。テクニカルサポートが働きやすい環境を整えることが大切になるからです。

また、担当者が解決に困った場合に上司として対応するケースもあるため、現場から離れてもITに関する知識や技術は常にアップデートしておく必要があります。

テクニカルサポートの面接でマネジメントに携わりたいと伝えても良いのでしょうか?

渡部 俊和

プロフィール

基本的にはポジティブな印象となる

会社の規模や経営状況にもよりますが、むしろ「マネジメントに関心を持ってもらわないと困る」と考える企業の方が多いのではないかと思います。

かつて多かった、技術的なことや現場にしか関心がない、というスタイルの人材は、チームワークが苦手で周囲と情報を共有できないというケースがあるからです。

そういう人は商品やシステムが変わったときに適応が難しく、年を取るごとに孤立するケースもかなり多くなっており、シニア層の活性化問題は業界共通の課題といえるかもしれません。

経営者の見識次第かもしれませんが、一般的にはマネジメントに携わり、後進を育てることやチームワークを推進できる人材は、長期的に見るとありがたい人材と考えてもらえるはずです。

③セールスエンジニア

セールスエンジニアは、IT領域に詳しい知識を保有する営業のことです。顧客にシステムやソフトウェアの提案や販売をおこないます。IT関連の専門的な内容を知らない営業職員のサポートに回るケースもあります。

ITに関する知識と技術や提案力のほかに、テクニカルサポートで培った傾聴力も重要です。新しい製品やサービスを提案するためには、顧客の隠れた課題を引き出す必要があるからです。

テクニカルサポートをした経験があれば、ITスキルや知識は十分なレベルに達しているので、顧客に適切な製品やサービスを提案する提案力や魅力をわかりやすく伝えるコミュニケーションスキルを磨きましょう。

セールスエンジニアの詳しい仕事内容はこちらの記事で解説しています。
セールスエンジニアになるには? 仕事内容や適性がイチからわかる!

④ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計・構築・運用・保守を担当する職種です。顧客が求めるネットワークを設計したり、設計書を参考にネットワーク機器の設置や設定を担当したり、システムや機器のトラブルに対応したりします。

ネットワークエンジニアは、システムトラブルや機器の故障に対応する運用・保守からキャリアをスタートするケースが大半なので、テクニカルサポートとしての経験を存分に活かせます

またクラウドサービスを利用する企業が増えているため、クラウドサービスに関する幅広い知識が求められます。

クラウドサービス

  • SaaS( Software as a Service):クラウドにあるソフトウェアをどこからでも利用できるサービス。Googleのドキュメントやスプレッドシートが該当する。
  • PaaS(Platform as a Service):アプリケーションを開発できるプラットフォームを提供するサービス。利用者の開発工数を削減するメリットがある。
  • IaaS(Internet as a Service):クラウド上のメモリやストレージなどのリソースを活用するサービス。経年劣化によるハードウェアの交換を自社でおこなう手間を省ける。

ネットワークエンジニアの詳しい仕事内容や適性はこちらの記事で解説しています。
ネットワークエンジニアの仕事がすべてわかる! 未経験の就職方法も

⑤プログラマー

プログラミング言語を活用してシステムの開発を担当する仕事です。プログラミングを書いたり、作成した機能が正常に作動するかテストしたりします。

テクニカルサポートに必要なIT領域の幅広い知識やPDCAを回して結果を出す姿勢は、プログラマーとして活躍するためにも必要です

また、テクニカルサポートとして働いていると、顧客が不満に感じている点やトラブルが発生しやすいポイントを知っています。そのため、顧客が使いやすいシステムを開発しやすくなります。

プログラマーの詳しい仕事内容はこちらの記事で解説しています。
プログラマー志望は最初に読みたい! 仕事内容から適性まで完全網羅

⑥ITコンサルタント

ITコンサルタントは、企業が抱えている課題をITで解決する職種です。システムを導入したり、ITにかかわるトラブルを解決したりします。

IT領域の豊富な知識はもちろん、問題解決能力が必要です。IT関連の問題に幅広く対応するテクニカルサポートを経験した後、ITコンサルタントに携わる人もいます

ただ、テクニカルサポートとして働いた企業でITコンサルのポストに就くケースはレアです。ITコンサルティングファームに入社し、ITコンサルタントとしてのキャリアを歩むケースが多くなっています。

ITコンサルタントの詳しい仕事内容や就職方法はこちらの記事で解説しています。
ITコンサルタントは激務? 仕事内容・適性・就職方法を徹底解説

この他にもテクニカルサポートのキャリアパスとして、システムエンジニア(SE)が挙げられます。

SEは、ITの専門知識だけでなく、コミュニケーション能力や要件定義・設計のスキルが求められます。テクニカルサポートで得た顧客対応力やトラブルシューティングの能力が活かせます。

システムエンジニアの仕事内容や特徴はこちらの記事を参考にしてください。
システムエンジニアとは? 仕事内容から未経験の就職方法まで解説

強みごとの例文6選! テクニカルサポートの志望動機

テクニカルサポートの志望動機

  • 傾聴力
  • 言語化能力
  • 忍耐力
  • 問題解決能力
  • PCスキル
  • 英語力

テクニカルサポートの志望動機では、傾聴力や忍耐力など求められる能力をアピールするのがおすすめです。

ここでは、テクニカルサポートの選考を突破するために有効な志望動機の例文6選を、強みごとに解説します。志望動機の作成に困っている人は、ぜひ参考にしてください。

基本的な志望動機の書き方はこちらの記事で解説しています。志望動機に自信がない人は、こちらの記事も読んでおきましょう。
例文12選|受かる志望動機をエントリーシートに書く4つのステップ

IT業界に就職する際の志望動機の書き方はこちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてIT業界に刺さる志望動機を考えましょう。
IT業界の受かる志望動機の書き方|職種別の例文10選も紹介

まずはあなたがテクニカルサポートに向いているか確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、テクニカルサポートに向いているか確認できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

①傾聴力

傾聴力

私は「トラブル解決に貢献したい」という思いを持っており、テクニカルサポートを志望しています。

コールセンターでアルバイトをしていた際に、クレームに対応する機会がありました。落ち着いて顧客の話を聞くことに徹した結果、顧客は私に心を開いてくださいました。そして、商品への期待の現れがクレームにつながっていることに気が付きました。

電話に出た当初は口調の荒かった顧客が、通話を切る際には「話を聞いてくれてありがとう」と声を掛けてくれ、これまでに感じたことのない喜びを感じました。この経験から私はトラブルを解決して顧客から感謝される仕事をしたいと考えています。

入社後はアルバイトで培った傾聴力を活かして顧客のトラブルの原因を正確に抽出し、スムーズな解決に努めてまいります。

上原 正光

プロフィール

コールセンターのアルバイトで親切な対応ができ、喜びにつながったことがよく表現されています。なぜ技術サポート分野を選択したのかを加えるとなお良いでしょう。

②言語化能力

言語化能力

私は「顧客にわかりやすく説明して問題を解決したい」という思いがあります。

塾講師のアルバイトで、小学生に数学の内容を教えていました。その際に意識していたのは、難しい用語を使用しないことです。その結果、レベルの高い内容を理解してもらえて、中学受験の合格に貢献できました。この経験から専門用語を使わずに相手にわかりやすく説明する大切さを学び、以降の授業でも継続しています。

顧客のトラブルを解決するテクニカルサポートでも、自らの長所を発揮できると考え志望しています。入社後は顧客にもわかりやすい言葉を使用し、問題解決に貢献してまいります。

渡部 俊和

プロフィール

シンプルな説明ですが、テクニカルサポートの根本的な部分に近い内容で好感が持てます。なぜそのような意識に至ったのか、難しいことを簡単に説明するためにどう工夫したか、などの説明などを加えるとさらに深い内容になりますよ。

③忍耐力

忍耐力

私は「顧客に寄り添ったテクニカルサポートになりたい」という思いがあります。

大学時代にパソコンの不具合が起きてヘルプデスクに電話をかけた際、トラブルの原因がわからず解決に長い時間を要しました。しかし、その間も担当の方は熱心に話を聞いてくださり、無事にパソコンが使用できるようになりました。

大学の部活動で結果が出なかった際も諦めずに練習を続けて全国大会に出場した忍耐力を活かし、入社後は顧客の悩みの解決に粘り強く貢献したいと考えています。

上原 正光

プロフィール

ヘルプデスクの対応から仕事の重要性を感じ、自らの忍耐力を発揮していきたいという思いがよくわかります。技術分野への興味に関しても加えるとなお良いでしょう。

④問題解決能力

問題解決能力

私は、顧客の抱えている問題をスムーズに解決して信頼されるテクニカルサポートになりたいと考えています。

学生時代には、塾講師として生徒の問題点を抽出し、得点をアップさせるためのプログラムを一人ひとりに提案しました。その結果、生徒の課題は改善されて第一志望に合格することができました。

IT領域の問題を解決するテクニカルサポートでは、情報学部で4年間学んだ知識とアルバイトで培った問題解決能力を活かせると考え志望しています。

入社後はトラブルに合わせた解決策を提案し、顧客の抱える問題を解決へと導きます。

渡部 俊和

プロフィール

全体的にざっくりとまとめられているので、「どのレベルでどういう状態でどう考えたから」という具体的な行動と人物像が明確になると良いですね。個別のケースを1つ例示するとリアリティが増しておすすめです。

⑤PCスキル

PCスキル

私は「ITに関するトラブルを解決して社会に貢献したい」という思いを持っています。

大学時代、携帯電話のトラブルで困っていた際に、貴社の担当の方がとても丁寧にサポートしてくださり、「私もこの方のように顧客に寄り添った対応をしたい」と強く感じました。そのため、テクニカルサポートのなかでも貴社を志望しています。

また、これまでにIT関連の資格を3種類取得しました。専門的に顧客のトラブルを解決するテクニカルサポートでは、知識と技術を活かせると考えています。入社後はIT領域の知識とPCスキルを活用して、顧客の悩みの解決に貢献してまいります。

上原 正光

プロフィール

企業との接点がきっかけとなり志望していることが入社後の抱負とともに語られ、IT知識も保有していることも簡潔に示されていますね。とても良いと思います。

⑥英語力

英語力

私は「日本語がわからない人のサポートをしたい」と考えています。

フィリピンに留学した直後、家の水が出なくなる経験をしました。出国して間もない私は英語でコミュニケーションがとれずに困っていましたが、日本語を話せるフィリピン人のスタッフが在籍しており、問題を解決してくれました。
この経験から日本語がわからない外国人に英語でのサポートを提供したいと考え、テクニカルサポートを志望しています。

入社後は1年間の留学で学んだ英語力を活用し、IT関連のトラブルを解決したいと考えています。

渡部 俊和

プロフィール

1年の留学というだけならば、英語力のPRはあまり説得力がないので、経験だけの記載に留めましょう。異国で言葉がわからない人の力になるということへの使命感や共感、市場性を伝えるところに文字数を使うと良くなります。

テクニカルサポートに活かせる資格や能力を習得して選考に備えよう

テクニカルサポートの現状や今後を解説しました。需要の伸びに対して人手が足りないテクニカルサポート。ITに関するさまざまな知識を学べるため、IT業界を中心に豊富なキャリアパスがあります。

魅力や求められる能力などをほかの職種や業界と比較し、テクニカルサポート業界に興味を持った人は、必要な能力や資格を取得して選考に備えましょう。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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