「大学4年で就活何もしてない」人は他者との対話で自分を見つけて! プロが教える自分らしく歩むための逆転戦術

皆川さんサムネ

国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

皆川 敬 ミナガワ・タカシ

プロフィール

450名規模の介護事業を経営し、人材育成とコーチングに携わる。社外でも月に平均10〜20本の1on1を実施。クライアントに寄り添う支援がモットー >プロフィールページを見る

  • ・保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号:21010125)/産業カウンセラー(登録番号23019232)/国際コーチング連盟のICF認定 アソシエイト・サーティファイド・コーチ/経営学修士(MBA)
  • ・SNS: X(旧Twitter)/ note/ stand.fm

この記事で得られること

  • どんな人に読んでほしい?
    ①大学4年で「就活何もしてない」と焦る人
    ②「就活を何もしてない」という事実に大きな不安を感じる人
    ②就活をしなければと焦るけど何からすれば良いかわからない人
  • このオピニオン記事で得られること
    ①大学4年で「就活何もしてない」ときにまずすべきこと
    ②「就活何もしてない」状況から一歩踏み出す方法
    ③「就職はゴールではない」というキャリアの長期戦略

本コンテンツは、PORTキャリアに参画するアドバイザーによるオピニオンコンテンツです。アドバイザー自身の一次的な実体験や、これまでの具体的な支援実績に基づいた「その人にしか語れない」独自の知見をお届けします。

※ 記事内で紹介する事例は、関係者のプライバシー保護とキャリアコンサルタントとしての守秘義務の観点から、個人が特定されないよう細心の注意を払って編集・構成しています。

インタビュー・執筆:望月晨生(PORTキャリア編集部)

「大学4年なのに就活を何もしていません。どうすれば良いでしょうか」。

周りが就活を終えていくなか、このような状況の自分自身を責めてはいませんか。しかしそんなあなたの悩みは決して「甘え」ではありません。この「焦り」こそ、あなたが自立して将来を考え始めたという証なのです

周りに流されるまま就活を進め、数年で後悔する人は少なくありません。むしろ、「動き出せていない」という今の状況が、自分自身と深く向き合うための「必要な時間」につながります。

私は現在、さまざまな年代の人のキャリアをプロとしてコーチングしています。その経験から言えば、「自分としっかり向き合えた学生こそ、段々と変化を遂げ、満足いく道に進んでいる」。こういう傾向があるのです。

今回は、「大学4年なのに就活を何もしていない」と感じる人へ、今から何をすべきなのか、どのような意識を持って今後の人生を歩むべきかを解説します。自分が本当に歩みたい道と向き合えるよう、自分との「対話」を重ねましょう。

インタビューに応じる皆川さん。本音を語りつつも温かな様子でキャリアについて話してくれた

何もしてない自分を責める必要はない。そこにはあなたの「本音」が潜んでいる

大学4年生で就職活動を何もしていない状況に「自分はダメだ」と焦りを感じるかもしれません。しかし、ただの怠慢だと責める必要もないのです。なぜなら、「何もしていない」裏にも必ず理由があり、あなた自身の本音が隠れているから。

大切なのは、焦って周りの就活生と同じ道を歩むのでなく、「なぜ動けなかったのか」を深掘りすること。私が見てきた学生のなかにも、一度立ち止まって自分の本音を再確認したことで、結果的に納得のいくキャリアに進んだ人が多くいます。

「就活を何もしていない」ことに対して具体的な打ち手に入る前に、その方法を一緒に確認しましょう。

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「なぜ動けなかったのか」の深掘りから始めてみて

「そもそも動き出しが遅い人間で……」「ほかの人の様子を見ようと思っていたら遅れてしまって……」。このように、動けなかった理由は人それぞれのはずです。ここをとことん突き詰めてみてください。そうすれば、本質的な課題が見えてくるはずです

私は「就活で人生が決まる」という時代は終わっていると考えています。だって、キャリアはいつになっても変えることができるのだから。答えを急がず耐え抜き、考えていくことで本当の気持ちがわかるものです。

編集部から一言:「答えを急がずに耐える」こと

文中の「答えを急がず耐え抜き、考えていく」、これは「ネガティブ・ケイパビリティ」という考え方に基づいた言及です。詳しくは、「答えがはっきりしないなかでも、その状況に耐える力」のこと。考えがまとまらずモヤモヤしたなかで考える力が、実は自分のことを理解する近道になるのではと、皆川さんは語っていました。


大学4年で就活を何もしていないなら「対話」を通して自己理解を深めよう

「自分の奥底にある考え」と向き合えたら、その思いを言葉にして外に吐き出してみましょう。私は就活において何よりも「自己理解」が大切だと思っています。自己理解の第一歩としてほしいのが「対話」です。

特におすすめしたいのが、大学にあるキャリアセンターやキャリア支援室などで、プロの力を頼ること。そうすれば、第三者の視点が加わり、就職よりさらに先の「自分らしいキャリアプラン」の形が少しずつ見え、納得感のある就活につながるはずです。

自分だけでも自己理解はできる。けれど対話から自分の知り得ない一面を引き出せる。と皆川さんは語る

始める時期は関係ない! 大切なのは「自分の価値観を明らかにする」こと

この記事を読んでいるあなたへ、今は何月ごろでしょうか。時期によって焦る度合いも変わってくることでしょう。しかし、私は「4月でも12月でも、就活を始めるタイミングに大きな違いはない」と伝えたいです。

就活において大切なのは、「あなたの価値観を明確にすること」。この基盤が整っていない状態でいろいろなことを始めても、将来のあなたの納得感にはつながりません。だからこそ、まずは焦らずに、あなた自身のことをもう一歩踏み込んで理解してほしいのです。

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プロとの会話で「強み」や「好き」が形になっていく

大学のキャリアセンターなどの利用率は、決して高くないと聞きます。しかし、自分の価値観を明らかにするには、プロの力を借りて「対話」をするのが、一番の近道です。

プロの人と相談できる場所(編集部調べ)

正直、一人でも就活はできます。しかし、他者に対して自分の思いを吐き出すことで、その言葉から知らされることがたくさんあるのです。その対話のなかから、「これが好き」「これが向いているかも」というヒントが見つかってきます

現時点で将来の展望をきっちりと決めている必要はないのです。時が経つにつれて歩みたいキャリアは変わっても良い。けれど現時点から対話を重ねていけば、あなたが30代、40代になったときにより良いライフキャリアを築ける、そう思うんです。

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「完璧」は目指さなくて良い。スモールスタートで行動して

就活をするなら「『良い会社に入ったんだね』と言われたい」。こう思う人もいるでしょう。これは「社会的成功」と言います。しかしこれでは自分なりの納得感、つまり「心理的成功」にはつながりません。

だからこそ私は、「完璧は目指さなくて良いんだよ」と伝えたいです。小さな一歩から進めるほうが、ハードルが低いです。「とりあえず前に進む」。これを大事にして行動を起こしてみましょう。

「社会的成功」と「心理的成功」

社会的成功
「他人から評価される」という客観的な成果のこと

心理的成功
自分なりに納得感や充実感を得ている状態のこと

「まずやってみる」を許容しよう

就活を始めようとすると、目標を立てて、計画を立てて……と、順を追って動いていくことが多いでしょう。しかし、「動き出せない」という状況の人にとって、これはかなりハードルが高いのではないでしょうか。

だからこそまずはキャリアコンサルタントのところに「行ってみる」。これが大切です。行動を起こすことによって初めて見えてくることがあるはずです。

もしここでやりたいことが見つからなかったら、内定をもらった企業に「入ってみる」。これでも良いと思います。こだわりすぎて「行動しない」だと何も生まれないですからね。何も恥ずかしがることはないので、「やってみる」ことを自分のなかで許してあげてください。

編集部から一言:話す前に準備ができるとベスト!

「まずは行動を起こす」ことはもちろん大切ですが、話す前に準備をしておけるとより良いでしょう。皆川さんがおすすめしていたのが「今の自分の気持ちや考えを振り返り、言葉にしておく」こと。こうすることで、キャリアセンターの人と話がしやすくなります。必ずしも準備をする必要はありませんが、余裕がある人は、ぜひ自分の考えを整理してから行動に移してみてください。

1つの業界だけでも良いから調べてみて

価値観の掘り下げ以外に私がおすすめするのが、「調べてみる」ということです。でもこれも、小さなステップで構いません。「お菓子が好きだからお菓子の業界についてちょっと調べてみる」これで良いのです

もし、もっと具体的な行動を起こしたいのであれば「とりあえず10社応募してみる」というように、具体的な数値などを決めてしまったほうが良いと思います。まずは「大学4年で何もしていない」から「何か行動を起こす」、これが大事なのです。

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就職は「ゴール」でない。あなたのキャリアは「自由」で良い

大学4年生で「就職を何もしていない」と焦る人のなかに「就職=ゴール」と捉えている人はいませんか。私は就活を「自分の人生を自分で切り開く、『自立型人材』になるためのステップ」と考えています。

社会人は学生と違って、「自分のやりたいことに対して自分で手を伸ばし、掴んでいく」立場です。学校や親が何かを与えてくれる段階はもう終わり。これからあなたが「どう生きたいか」を自分で決める必要があるからこそ、自由で良いのです。

そう捉えると、あまり深く就活に対して悩みすぎる必要はないことがわかるはずです。

現代は「オタク的な熱意」が希少価値に変わる時代

「これだけは誰にも負けないくらい好き」「ずっとやっていられる」。もしあなたにそんな熱量があれば、それは強力な武器になります。そしてその「オタク的な好き」を突き詰めて希少価値を高めることこそ、「あなたが企業にとって必要な存在になる」ことだと思うのです

私は現在、介護事業、飲食店の運営、キャリア支援など、非常に幅広い分野に携わっています。私とまったく同じ領域の掛け算で仕事をしている人は、まずいないでしょう。つまり、自分自身の「存在価値」を明確にできているということです。

自立したキャリアを築くためのステップ

せっかく入った企業で、「その他大勢」になるのはもったいないですよね。だからこそ納得感を持って、対話を重ね、あなたの「好き」を突き詰めてください。それが、あなたの存在価値を発揮することにつながります。

編集部から一言:現代はキャリアが多様化している

皆川さんが多岐にわたる事業に携わっているように、現代はキャリアが多様化している時代です。転職の当たり前化、副業可能な企業の増加、フリーランスなど、働き方にとらわれる必要はありません。

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失敗しても良い! 理想のキャリアはいつでも書き直せる

「大学4年で就活を何もしていない」と焦るのは、「ここで今後の人生のすべてが決まる」と思い込んでいるからではないでしょうか。しかし、現代はキャリアが多様化している時代です。その考え方はもういりません。理想のキャリアの書き直しが可能なのだから。

私はキャリアに対し「どうにでもなる」と思っています。今や3割の人が新卒で入社した企業を3年で離職する時代。最初から自分にドンピシャに合う企業を見つけるのは難しいことです。

一度就職してからもう一度学生に戻る人もいるし、高校卒業後に起業する人だっています。共通しているのは、「その人なりに満足感を持ってその時々のキャリアを歩んでいる」ということ。だから別に大学4年生の今失敗しても良いのです。

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「何もしてない」今こそ「対話」で自分の価値を見つけよう

「大学4年なのに就活を何もしていない」。この状況には焦りもあるはず。しかし、就活を始める時期に遅い早いも関係ありません。何もしていないからと言って、周りの人と比較したり、焦って内定獲得を目的にしたりしないでください。

まずは勇気を持って一歩踏み出し、プロと対話をする。そこから自分自身の好きなこと、向いていることを言葉にし、「自分の価値」が発揮できることを見つけていく。これこそが、「何もしていない」から脱却するためのプロセスです。

たとえスタートが遅れても、納得感を持って選んだ道であれば、それはあなたの「正解」になります。時間をかけても構いません。自分とじっくり向き合って、輝けるキャリアを歩んでください。

編集後記●私自身、余裕を持って就活をしていましたが「内定をゴール」にしていました。だからこそ転職をし、未だ理想を追い求めている感覚もあります。皆川さんのお話を聞くと、本当に始める時期は関係ないのだと実感しました。「一人で抱え込まず、対話で引き出してもらったことから気付きを得る」。これは今後の人生においても大切にしたいです。 (望月)

「何もしていない」の脱却法を知りたい人に送るQ&A集!

この記事を踏まえ、「何もしていない」から一歩踏み出したいという人も多いでしょう。以下に実際の学生、転職者や、当社で求職者支援をするなかで寄せられた相談をもとに専門家から回答を募ったQAコンテンツを掲載しています。

よくありがちな悩みにも、キャリアのプロが解説しています。この内容を、あなたなりの面接対策法を見つけるヒントにしてみてください。

「就活何もしていない」と不安を感じる人向け
大学4年なのに3月で就活何もしてないのはヤバいですか?
3月なのに何もしてないのですが、今から就活を始めるのはもう遅いでしょうか?
大学4年の10月なのですが、何も就活をしていません。今からでも間に合いますか?
就活で2月になっても何もしてないのは手遅れですか?
大学4年の7月に、何も就活をしてないのってまずいですか……?
就活を5月時点で何もしてない場合、どうすれば良いですか?

そもそも就活に不安を感じている人向け
大学1年ですが、今からもう就活が不安です。
大学3年生ですが、今から就活が不安でいっぱいです……。

将来のキャリアについて考えられない人向け
キャリアビジョンが思い浮かばないのですが、どう考えるべきでしょうか?
キャリアプランが思いつかない女性です。キャリアプランの立て方を教えてください。
キャリア形成はなぜ必要なのでしょうか?

就活の相談先を知りたい人向け
就活出遅れはキャリアセンターで挽回できますか?
自己分析のためのおすすめの相談先はありますか?
就活の相談では何を聞くべきことは何ですか?

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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