この記事のまとめ
- 総合職と一般職の違いを理解して自分らしく働ける選択をしよう
- 管理職候補の総合職に対し一般職は総合職のサポートが主な業務
- 将来後悔しない選択には適性とキャリアプランの2つの視点が重要
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総合職と一般職という言葉は、学生の皆さんにとってあまり聞きなじみがない言葉ですよね。募集要項に記載されているのを見て、「初めて聞いた」「何が違うんだろう」と疑問に思う人も多いでしょう。
総合職と一般職は、同じ企業にいても、業務内容をはじめ異なる点が多々あります。「憧れの企業だけど業務内容がイメージしていたものと違った」などという事態にならないように、選考を受ける前に総合職と一般職の違いを理解しましょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの谷所さん、柴田さん、大場さんと、総合職か一般職で、将来後悔しない選択の秘訣を解説します。
総合職と一般職の違いを理解し自分らしく働くための選択をしよう
総合職と一般職はどちらも採用区分を表す言葉です。先に述べたように、同じ企業の社員であっても総合職と一般職では異なる点が多々あります。そのため、自分の希望に適した方を選択し、選考を受ける必要があります。
記事では、まず総合職と一般職のそれぞれの特徴や違いについて説明し、そのうえでどちらを選択するべきか、学生のさまざまな価値観と照らし合わせながら解説していきます。
この記事をきっかけに、ぜひ自身の適性やキャリアプランに向き合ってください。そして自分が選ぶべき方を見極め、社会人になっても自分らしく働ける環境作りにつなげましょう。
まずは総合職と一般職の特徴をチェックしよう
総合職と一般職を比較する前に、まずはそれぞれの特徴をチェックしましょう。
総合職と一般職と分けたからには、総合職として入社した人は総合職として、一般職として入社した人は一般職としてのキャリアを歩むことになります。つまり、総合職と一般職では、長い将来にかけて築いていくキャリアがまったく異なるということです。
それぞれの特徴を理解し、自分に適した方を選ぶことで、理想のキャリアの実現に近づけるのです。
総合職と一般職の特徴を理解しておかないと、入社後、考えていた仕事と違うと後悔するかもしれません。
特に「キャリアアップしたい」「多くの給与をもらいたい」と考えている人が一般職を選択すると、総合職にしておけば良かったと後悔する可能性があります。
総合職とは
総合職は、将来、管理職として従業員を導いていくことを期待されています。
そのため、総合職は企業の全体像やさまざまな業務について理解し、最終的には会社の中核社員として、総合的な判断力が求められることになります。
総合職の中でも、担当する業務によって、さらに事務系総合職と技術系総合職に分類する場合があります。総合職を検討している人はこれら2つの特徴についても把握しておきましょう。
総合職の分類
- 事務系総合職
- 技術系総合職
総合職に配属されると、1年目は営業職からスタートする企業が多いです。こちらの記事で営業職の適性をチェックしておくと安心ですよ。
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事務系総合職
事務系総合職は、総務、人事、経理、企画、営業など、多岐に渡る文系分野の業務を担います。
顧客との関係構築、企業経営の根幹となる業務計画の立案、社員が働きやすい環境の整備など幅広い業務を経験することにより会社全体を見渡せるようになることが求められます。
次に取り上げる技術系総合職と比べても、企業にかかわる総合的な判断力が身に付けやすいので、幹部候補生としての期待値はより高いといえます。
技術系総合職
技術系総合職は、研究、設計、開発、生産、品質管理など、理系分野の業務を担います。
システムエンジニアやプログラマーとしての活躍が期待され、特定のスキルに特化するだけでなく、企業のものづくりに関する業務全般を把握する多角的な視野が求められます。
将来的に企業のものづくりの分野におけるエキスパートとしての活躍が期待されています。
一般職とは
一般職では総合職をサポートする業務が任されます。たとえば、書類作成や電話対応、来社した顧客対応などのように定型的で補助的な仕事が挙げられます。
業務内容は限定的でマニュアルに沿った仕事の進め方を求められることが多く、細やかさや正確さが求められる場面が多くあります。
総合職ほど表に出る機会はなく、注目を浴びることも少ないですが、一般職のサポートがなければ総合職はスムーズに業務を遂行することができません。総合職と一般職は、いずれも企業にとって欠かせない役割を担っているのです。
一般職はたいていの場合、複数人の総合職のアシスタントを任されます。求められるサポートの内容やタイミングは、人によって違います。そのため、常に職場内容の状況を俯瞰し、どのようにリクエストに応えていくか、見極める能力が必要です。
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総合職と一般職を比較! 7つの違い
総合職と一般職の7つの違い
- 業務内容
- 給与
- 異動・転勤
- 昇進・昇給
- 教育制度
- 男女比
- 採用方法
総合職と一般職、それぞれの特色を押さえることができたら、さっそく、両者の違いについてみていきましょう。
総合職と一般職をあらゆる面で比較すると、7つの違いがあげられます。
ここからは、上記の項目について、総合職と一般職の違いを一つずつ解説していきます。これから解説する違いを把握することで各職への理解を深めることができるので、ぜひ7つすべての違いをチェックしてくださいね。
①業務内容
総合職は、将来、管理職として必要な判断力を培うため、営業や、労務、人事など企業内の多方面の業務を経験します。総合職は会社のリーダー的立場として、重要な場面で判断を下す仕事を任され、それにともなう責任も背負います。
それに比べると、一般職は総合職の下す判断や指示に従うことが多いため責任を伴う場面は少ないといえます。しかし、失敗やミスが軽くなるわけではありません。一般職がいかに細やかで正確な仕事ができるかによって、総合職の成果も左右することになります。
また、総合職の場合、社外とやり取りが必要な場面も多いため、相手の都合に合わせた結果、残業時間も多くなります。一方で、一般職が社外に出ることはほとんどないので総合職と比べると残業時間は少ない傾向にあります。
②異動・転勤
先に説明したとおり、総合職は多岐に渡る業務を経験するため、異動をともないます。また、勤務地を限定していない場合も多いので転勤の可能性が高いのも特徴です。
一般職は業務内容も勤務地も限定している場合が多く、異動や転勤の可能性は比較的少なくなっています。引越しの可能性がほとんどないため、住みたい土地に住み続けることができるのです。
- 総合職の異動や転勤は誰がどのように決めているのでしょうか。また、希望は出せますか。
異動は原則として企業の決定に従うが社員主体の制度もある
企業により決め方は異なりますが、一般的に総合職の異動は人事評価や配属部署上司の評価などを考慮し、人事が異動案を作ります。
そして、関係部署の責任者と協議したうえで最終的に経営者が決める、もしくは人事部長、役員などが決めます。
原則として異動について希望は出せず、拒否することもできません。ただし、異動希望を人事部に届けて異動の判断材料にする自己申告制度員や、社員自ら希望する部署に売り込みをし異動する社内FA制度などを取り入れている企業もあります。
勤務地にはこだわりたい人もいますよね。中でも、一度進学で都市に出たものの、「地元で就職したい」「実家から通いたい」というように、Uターン就職を検討している人はこちらの記事も併せて参考にしてくださいね。
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③昇進
総合職は、管理職になることを期待されて入社したため、出世はしやすくなっています。昇進には異動や転勤をともなうことも多く、当然責任は重くなります。
対して一般職は、年次が上がっても、総合職の補佐的な業務に従事し続ける場合が多く、昇進の機会は少ない傾向にあります。
一般職は昇進の機会が少ないことから、仕事のやりがいが総合職に比べて感じにくく思われがちです。
一般職は業務の責任を担って的確にこなすにはそれなりの年数を要します。総合職を支える重要なポジションであることを意識し、長く働き続けることを目標にするとよいでしょう。
④給与
業務内容の違いからわかるように、総合職は一般職に比べると責任が重い仕事を任されるため、基本給は高く設定されています。また、営業職をはじめとして個人やチームの成果を重視した評価がされる機会が多く、高い成績を出せばその分賞与に反映されやすいです。
対して、一般職は勤務地や業務内容を限定できるため、その分基本給は低く設定されています。定型的な業務が多いため、大幅な給与アップは見込めなくなっています。
総合職の方が昇進しやすいことも関係して、給与の差は入社してから年月が経つにつれて開きやすくなっています。
⑤教育制度
総合職と一般職では研修制度が異なることもあります。
総合職は、順調に昇進して最終的に管理職に就くことが期待されているため、研修は多く設定されている場合が多いです。階級が上がる節目でおこなわれる研修だけでなく、ビジネススキル研修やリーダーとして育てる選抜型研修など教育制度が充実しています。
一方で一般職は、担当する業務に絞ってスキルアップや知識を高めることが期待されているため、研修の機会は少ない場合が多いです。
部下の管理、育成、予算管理などのマネジメントに関する研修が総合職に特化した研修としておこなわれています。1つの職務を極めていくための専門スキルの研修については、一般職のみおこなわれることがあります。
⑥男女比
厚生労働省が2015年に公表したコース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)によると、総合職採用者に占める女性の割合は22.2%、一般職採用者に占める女性割合は82.1%でした。
この結果からわかるように、総合職は男性が、一般職は女性が占める割合が多い傾向があります。一般職は出産や育児などプライベートも重視した働き方がしやすいため、女性にとっては働きやすい環境であると考えられます。
しかし、キャリアアップを望む女性は増えており、総合職でも産休や育休などの福利厚生制度が整備されている場合も多いです。今後は、総合職、一般職ともに男女比の差が少なくなることが予想されます。
⑦採用方法
総合職と一般職では採用時期が異なる場合があります。一般的に、総合職の方が先に採用を始めますが、企業によっては同時に始める場合も少なくありません。年度ごとに変わることもあるので、希望する職種がいつから選考を受け付けるのか、漏れなく確認する必要があります。
倍率でいうと総合職の方が選考を突破するのは難しいとされ、転職することになったとしても前職で一般職の人が総合職として採用されるのは困難です。だからといって一般職を希望する人も少なくないので、どちらも選考対策をおこなう必要があります。
併願したい場合
総合職と一般職のどちらにも関心があって、選考を通してどちらに就くか決めたいという人もいますよね。
企業によっては併願を可能としていたり、むしろ併願を歓迎している場合もあります。募集要項で併願ができるかわからない場合は、企業の採用担当者に質問してみましょう。
- 応募先の企業で働けるなら総合職と一般職どちらでも構わないと思っています。面接で、どちらが第一希望ですか? と聞かれたら何と答えたら良いですか。
「総合職が第一志望」と答えた方が今後の可能性が広がる
どちらが第一志望かと問われ、自分の中でどちらでも良いと考えているなら「総合職が第一志望」と答えておいた方が良いでしょう。
今の段階で一般職が第一希望と言ってしまうと、総合職採用の可能性がかなり低くなってしまう恐れがあるからです。
一般的に比べると、総合職の方が狭き門であり、より高い能力を求められるため「一般職がダメだったら総合職に」というわけにいかないのもその理由です。
いずれにせよ、どちらの職種でもOKという場合は、なんとなくあいまいにしか考えていないと思われないように「職種はどうあれ何が何でもこの会社で働きたい!」という熱意をアピールするのも忘れないようにしましょう。
国家公務員の場合
国家公務員の総合職と一般職は採用試験が異なります。総合職と一般職に分けたうえで、さらに、受験者の学歴によって、総合職は「院卒者」と「大卒程度」、一般職は「大卒程度」「高卒者」「社会人」というように受ける試験が異なります。
どちらを受験するにせよ、学習するべき科目や量は変わりませんが、総合職の方が応用的な問題が多くあります。いずれの場合でも、狭き門であることは確かなのでしっかりと対策をおこなうことが重要です。
公務員を志している人の中には、民間企業との併願を考えている人も多いですよね。こちらの記事で、それぞれの選考スケジュールや対策方法を解説しているので参考にしてください。
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アドバイザーコメント
大場 美由紀
プロフィールを見る自身が希望する働き方やライフスタイルと照らし合わせて考えよう
総合職は、採用の最終面接などで、将来会社を任せることができるような人材になっていくかという幹部候補の観点から内定を出すかを見極めるので、異動や転勤で経験を積みながら高い成果を生むことが求められます。従って、成長を感じやすく、昇進が早く、給与も良いわけです。
一方、一般職は職務内容が限定的で、定型業務がほとんどであり、配属された部署内で総合職をサポートする役割を担います。ただ、昇進の機会がないわけではなく、努力次第では昇進も望めます。また、キャリアチェンジの制度があれば、一般職から総合職に職種を変えることもできます。
ルーチンワーク的な一般職とアクティブな総合職
毎日決まった場所でほとんど決まった人と接して、休憩時間もある程度決まった時間に取るような仕事の仕方が向いていると考えるのなら一般職が良く、社外の人と日々多くかかわりながら、時間的拘束にも柔軟に対処しつつ、その都度の判断で行動していく仕事が向いている人は総合職が居心地が良いかもしれません。
自身がどのような働き方やライフスタイルを希望するのかを、よく考えてみると良いでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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そもそもなぜ分ける? 総合職と一般職ができた経緯と今後
そもそもなぜ分ける? 総合職と一般職ができた経緯と今後
- かつては男女別の雇用管理がおこなわれていた
- 個人の希望を尊重する考え方へとシフト
- 近年では一般職をなくす傾向にある
日本に企業ができた当初から、総合職と一般職の採用区分があったのではなく、時代の変遷にともなってこの2つの区分を多くの企業が取り入れるようになりました。
ここからは、総合職と一般職ができた経緯と今後について解説します。これを知ることで、企業がどのような意図で総合職と一般職を設置したのかがわかり、各職に求められる人材もイメージしやすくなりますよ。
かつては男女別の雇用管理がおこなわれていた
30年以上前の企業における雇用管理は、個人の希望や能力以前に、男性か女性かによっておこなわれていました。女性は選択の余地なく、今でいう一般職の仕事を任されることが多く、昇進の機会もほとんどありませんでした。
男性の中にもライフスタイルを重視して働きたいという人もいたと思われますが、個人の希望を問わず、男性であれば、負担が大きい仕事をやらざるを得ないという状況でした。
個人の希望を尊重する考え方へとシフト
1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことをきっかけに、各企業の方針は変化します。性別にかかわらず、個人の能力や希望に応じて均等な待遇にすることが企業の義務となりました。
そうして誕生した制度の一つが、総合職と一般職という採用区分です。男女で雇用を分けずに、男性であっても女性であっても、総合職として働けば、昇進の機会が増え、キャリアアップを実現させられるように整備したのです。
つまり、採用区分を総合職と一般職に分けるのは社員の希望に寄り添った環境を用意するためといえるのです。
- 男性なのですが、一般職になりたいと考えています。しかし、ほとんど男性はいないので不安です……。
志望する理由が明確であれば堂々と働ける
キャリアや働き方は人それぞれであり、一般職にほとんど男性がいないことはあまり気にしなくて良いのですが、なぜ一般職に就きたいのかという点は整理しておく必要があります。
整理できていないと、一般職としての仕事に打ち込めず周囲の目が気になってしまうかもしれません。
リーダーよりサポートに適性がある、コツコツ積み上げていくことが好き、待遇や地位よりプライベートを重視したいなど、総合職ではなく一般職を選択した理由が明確ならば、男性が少ないことなど気にせず仕事に打ち込めます。
仕事で男女の隔たりはないので、男性が少ないことなど気にせず、一般職の仕事を極めていきましょう。
多くの企業でキャリアチェンジが可能に
総合職と一般職のどちらとして働くかは、ほとんどの場合、入社する時点で決まっています。しかし、理想のキャリアや働き方は年月が経つと変化することも当然あります。「一般職として入社したけど、働いてみたら営業のような総合職の仕事の方が向いていた」という人もいるでしょう。
このような社員の希望を叶えるために、多くの企業が、総合職から一般職、もしくは一般職から総合職へのキャリアチェンジを可能にしてきました。
入社した後でも自分のキャリアを見直せるキャリアチェンジの制度は、より社員の働きやすさに寄り添ったものになっています。
ただ、一般職から総合職へのキャリアチェンジは難しい企業も多いため、キャリアチェンジを見据えて就職する際は注意してください。
キャリアチェンジの制度がある会社であれば、本人にやる気さえあれば一般職から総合職へのキャリアチェンジは何歳でも挑戦できると思います。
ただし、チェンジした後の職務上の経験や実績が積まれていく長さを考えると、30代40代よりも20代の若いうちの方が良いでしょう。
近年では一般職をなくす傾向にある
現在の新卒採用では、一般職を募集する企業が少なくなっているというのが現状です。
その背景としては、IT技術の普及により一般職の仕事が効率化され業務量が減ったことや、即戦力となる派遣社員を雇って一般職の業務を任せるようになったことが挙げられます。
そうなると、いずれは一般職と総合職に採用区分を分ける制度は廃止されることも予想されています。今後、新卒採用は総合職の一本化になる可能性もあるのです。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る今後は総合職と一般職の採用区分を廃止する動きが活発化する
総合職と一般職の採用区分はこれから廃止の方向に動くと予想されます。その主な理由を3つ、以下に挙げておきます。
① キャリア形成の一般化
以前は総合職だけが求められた「キャリア形成」も、今では誰もが長期的な視点で考えるようになりました。入社時にはアシスタント的な業務で満足していても、経験を経るにつれ総合職への転換を希望する人も増えています。
このようなキャリアチェンジの足かせにならないように、最初からコースに分けて採用するのを廃止する動きがあります。
②同一労働・同一賃金
2020年に4月にパートタイム・有期雇用労働法が施行されてから、企業は同一労働に対し、同一賃金を支払う義務が課されるようになりました。
このことからも、明らかな労働内容の違いによる区分は正社員・派遣社員で切り分けられるようになりました。それも総合職・一般職の区分廃止につながっています。
③ 働き方・雇用形態の多様化
上述の同一労働・同一賃金も踏まえ、以前に比べて雇用形態は多様化しました。一般職の業務が派遣社員に取って代わられるだけでなく、さまざまな業務が外部企業にアウトソーシング化されつつあります。
こうした背景からも総合職・一般職の区別の必要性がなくなったのです。
適性とキャリアプランで考える! 総合職か一般職を選ぶ方法
総合職と一般職、特徴や違いを理解できたからといって必ずしも自分にとって正解である方を選べるとは限りません。将来後悔しない選択をするには、自分と照らし合わせて考えることが必要不可欠です。
ここでは、適性とキャリアプランの2つの角度から総合職と一般職のマッチ度を測っていきます。自分の価値観や理想の未来と照らし合わせながら確認していきましょう。
①適性とのマッチ度を考える
仕事を選ぶにあたって何を重視するかは人それぞれです。「プライベートを重視したいから休みが多い方が良い」という人もいれば「休みは少なくても良いから給料が高い方が良い」という人もいます。
ここでは、総合職と一般職のそれぞれに向いている人の価値観や特徴を紹介します。自分がより納得感を持って働けるのはどちらか、イメージを膨らませながらチェックしてみましょう。
総合職に向いている人
総合職に向いている人
- 仕事に打ち込みたい
- 責任が重い仕事の方がやりがいを感じる
- キャリアアップしたい
- グループ行動ではリーダーシップをとることが多い
- 給与がたくさん欲しい
- 幅広い業務を経験したい
- 転勤に抵抗がない
先に説明したとおり、総合職は仕事の負担が大きい分、給料は高く、昇進もしやすくなっています。また、責任がある方がモチベーションが高まる人にとってはやりがいも感じやすいです。
ここで注意して欲しいのは、総合職だからといって必ずしもプライベートが犠牲になるわけではないということです。「プライベートは大事だけどキャリアアップしていきたい気持ちも強い」という人も、総合職で活躍できる可能性は充分あります。
ただし、一般職と比べて高い給料をもらう分、当然それに見合った仕事が求められます。実際どこまでの業務量が求められるかは企業によって異なるので、応募企業について入念に調べることが必要となります。
また、基本的に総合職は転勤がありますが、IT企業やインフラ系などでは、転勤がない企業もあります。加えて、詳しくは後から説明しますが、エリア総合職といい、転勤がない総合職を採用している企業も増えてきました。このように勤務地に拘りが強い人も、総合職として働ける道もあります。
大きな変化が少ないルーティンワークではなく、さまざまな経験を積み柔軟な発想でこれまでにない新たなビジネスや制度を自ら構築していきたい人、問題解決能力がありストレス耐性がある人、経営に興味がある人などは、総合職に向いています。
一般職に向いている人
一般職に向いている人
- 黙々と作業をするのが得意
- サポート役に徹することが多い
- 人前に出るのが苦手
- プライベートを重視したい
- 転勤をしたくない
1つの作業に集中してコツコツと取り組み続けることができる人は一般職の適性が高いです。また、サポート役に徹することができるのも、一般職社員として活躍できる見込みがあります。
プライベートを重視したい人にとっては、総合職と比べると、転勤の可能性が低く、残業も少ないため働きやすい環境といえます。たとえ目立たない業務であっても、自分の仕事に誇りを持って取り組めるかどうかという点も重要になってきます。
他人の気持ちを読み取り、意図を汲み取ることができる人は一般職に向いていると言えます。自分がメインで仕事をするよりも周囲のサポートが業務の大半を占めるので、言われなくとも何を求められているのか察知し、先回りして行動できると良いでしょう。
②キャリアプランとのマッチ度を考える
キャリアプランとのマッチ度を考える
- 理想の社会人像を描き出す
- 理想を実現させるのに必要な条件を書き出す
- 書き出した条件をクリアできる方を選ぶ
通常、適性からマッチ度を考えることが多いですが、適性はあくまで現時点のものになります。この先、長い間社会人として働いているうちに変わっていくことも充分ありえます。
キャリアチェンジができる企業は多いですが、必ずしもスムーズに実現できるとは限りません。そこで、キャリアプランを描き、それにマッチするかという考え方が必要になります。
これから説明する3ステップに則って考えてみてくださいね。
①理想の社会人像を描き出す
キャリアプランといわれても、考えたことがない人、漠然としている人も多いですよね。難しく考えず、理想の社会人像を描き出してみましょう。
周りに「こんなふうになりたい」と思う社会人はいませんか。先輩や家族、ドラマの中の社会人など、広く考えてみましょう。
また、プライベートなことでもかまわないので、「人生でこれだけはやり遂げたい」というようなことがあれば、それも書き出してみてください。
理想の社会人像の例
- 企業説明会で出会った採用担当の人のように、採用にかかわる仕事がしたい
- フリーランスとして、自分のスタイルを重視して働きたい
- 舞台観劇や旅行など、幅広い趣味を持っている叔母のように仕事以外も充実させたい
- 自分が将来ありたい姿や、やりたいことが思い浮かびません。どのように考えれば思い浮かぶでしょうか?
理想に出会うアクションを起こそう
身近な人の中にありたい姿が見つからないのであれば、自ら情報を得るようアクションを起こしましょう。
OBやOGに、目標にしている上司や将来的に携わりたい仕事などを聞いてみるのも良いです。あるいは、企業説明会に参加した際に、説明してくれた人が目指していることを聞いてみるのも良いでしょう。
また、志望企業かどうかにかかわらず、ホームページ(HP)に掲載されている活躍する社員の様子を調べてイメージしてみるのもおすすめです。
ただ考えていても簡単に思い浮かぶものではありません。いろいろな手段を使って自分なりに考えるための材料を集めてみてください。
②理想を実現させるのに必要な条件を書き出す
次に、理想の社会人像を実現させるにはどのような条件が必要か書き出していきます。
たとえば、「企業説明会で出会った採用担当の人のように、採用にかかわる仕事がしたい」の場合、人事を担当する部署で働くことが条件になります。
また、「フリーランスとして働く母のように、自分のスタイルを重視して働きたい」と考えるなら、一見、プライベートを重視する働き方が向いているようにみえます。しかし、それよりは、まずはフリーランスとして働くに足りるスキルを磨ける環境にいる方が、最終的に理想へ近づけることが考えられます。
このように、理想を実現させるために必要なことを具体的に深掘りして書き出してみましょう。
③書き出した条件をクリアできる方を選ぶ
必要な条件が書き出せたら、自然と総合職か一般職のどちらだったらクリアできるかみえてくるかと思います。
たとえば、「企業説明会で出会った採用担当の人のように、採用にかかわる仕事がしたい」という目標は、人事への配属可能性がある総合職が条件をクリアしています。しかし②で例に挙げた「フリーランスとして働く母のように、自分のスタイルを重視して働きたい」のように、判断が難しい場合もあります。
「フリーランスとしてどの程度稼ぎたいのか」「そのスキルを身に付けるためであれば厳しい指導に耐えられるのか」というように、自分に問いかけながら慎重に考えましょう。
幅広いノウハウや人脈が必要ならば、総合職の方が叶えやすいといえますが、プライベートを重視するためのフリーランスならば、一般職の環境の方が働きやすいと感じるでしょう。
総合職か一般職のどちらを選択するかは自分のキャリア形成に影響します。こちらの記事を参考にして、キャリア形成の観点からマッチする方を選ぶという方法もおすすめですよ。
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総合職と一般職以外の選択肢もある! さまざまな職種
総合職と一般職以外の選択肢もある! さまざまな職種
- エリア総合職
- 研究職
- 技術職
採用区分は総合職と一般職だけとは限りません。企業にもよりますが、それ以外の入口を設けている企業もあります。
より自分にとって働きやすい環境で仕事をしていくためにも、その他の採用区分についてもみていきましょう。
①エリア総合職
エリア総合職は、勤務するエリアを限定した総合職です。一般的には、通常の総合職と比べると、エリアを限定する分、給与は低く設定されています。自宅から通える範囲が勤務地になりますが、エリアをどこまでと定義するかは企業によって異なります。
働く意欲が高くても、引越しをともなう転勤には強い抵抗を示す人もいるでしょう。また、家族の介護などにより、転勤はどうしても難しい場合もありますよね。エリア総合職はそのような人たちに適した制度です。
エリア総合職は一般職と比較して昇進・昇格のチャンスが多いのはメリットで、給与も高めに設定されています。
しかし総合職と違って、転勤がないことで、キャリアプランを変更したいときや人間関係の問題などで部署を離れたいときに選択肢が少ないのがデメリットといえます。
②研究職
決して多くはありませんが、新卒採用で研究職を募集する企業も見受けられます。民間企業の研究職は、その企業の商品開発に活かせる技術や知識を生み出します。
化粧品や医薬品を思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。たとえば、化粧品会社の場合、「肌荒れに効く成分」などを生み出す研究が仕事に含まれます。
大学で専攻していた研究分野への採用が一般的であり、応募資格で、学部や教育課程を細かく限定している場合もあります。メーカー業界にとって欠かせないポジションですが、全体数は少なく、ポストが空く機会も珍しいのが実情です。
募集自体が少なく、採用のハードルも高いため、選考突破は簡単ではありません。「研究職に興味がある」「選考を突破する方法が知りたい」という人は、まずこちらの記事を読んでみてくださいね。
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研究職を志望する場合は、仕事内容や適性の理解が必須です。また研究職のメリットデメリットも押さえておきましょう。この記事では研究職に向いている人の特徴や研究職に就くコツをキャリアコンサルタントが解説します。志望動機例文も紹介するので参考にしてください。
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③技術職
技術職は、理系や工学系の分野で、企業のものづくりにかかわる仕事を担います。その点、先に挙げた研究職も技術職の中に属しているといえます。
技術職は、主に製造業界や建設業界などで募集されています。理系分野の知識が必要な仕事ですが、文系の学生を歓迎している企業もあります。
新しいシステムを生み出す発想力や製品のトラブルが起こった際に素早く原因と解決策を出す分析スキルが求められます。
- 技術職のキャリアパスを教えてください。
スペシャリスト・ゼネラリスト・マネージャーなど目指す先によってキャリアパスはさまざま
技術職と一言で言っても、たとえば社内でスペシャリストを目指すのか、ゼネラリストを目指すのか、あるいはマネージャーを目指すのかというキャリアパスの選択肢はいくつかあります。
スペシャリストは、自分の属する分野に特化して専門性を高めていき、最高技術責任者のように全体をまとめることを目指すことができます。
一方、ゼネラリストは、幅広い業務を担って、広い視野からチームをマネジメントするプロダクトマネジメントを目指すことができます。
またマネージャーであれば、チーム全体のマネジメントを担い、人事評価などの企業の意思決定にかかわっていくため、経営者を目指していくことも視野に入ってきます。
総合職と一般職の違いを理解し理想のキャリアを実現させよう
就職活動をしていると、つい、企業の認知度や業界のイメージばかりを重視して、肝心の業務内容やキャリアについて理解する機会を逃してしまうことがあります。
総合職と一般職の違いを認識しないまま選考を受けると、せっかく憧れの企業に内定をもらえたとしても、入社した後で「こんなはずではなかったと」後悔することになります。
しかしこれは捉え方を変えると、あらかじめ総合職と一般職の違いを把握して入社すれば、自分の理想のキャリアや働き方に合う方をかなえられるということです。ぜひ、適性とキャリアプランを参考に、理想のキャリアを実現させられる方を選択してください。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る理想のキャリアや働き方から自分に合う方を見極めよう
総合職と一般職の特徴や違いを理解していないと、入社後思っていた仕事と違うということになりかねません。
総合職は、リーダー的立場の仕事をおこない、業務の問題解決や自ら責任感を持って決断していくことが求められます。通常異動や転勤があり、営業、人事、総務、製造などさまざまな部署を経験し昇格して、将来管理職になることが期待されています。
一方、一般職は、総合職の判断や指示で仕事をおこない、業務内容が限定されていることが多く、通常勤務地が変わらず転勤はありません。給与は総合職の方が高く、一般職は業務が限定されているため大幅な昇給は期待できません。
総合職と一般職の特徴や違いを理解しよう
キャリアアップしたい、リーダーシップを発揮したい、給与が多く欲しい、転勤に抵抗がない人は総合職が向いていて、コツコツと仕事をしたい、昇格に興味がない、サポートするほう好き、転勤したくない人は、一般職が向いていると言えます。
将来仕事で叶えたい理想のキャリアや働き方について、考えてみてください。総合職と一般職の特徴や違いについて理解をしたうえで、理想のキャリアや働き方を実現するために、自分に合った選択をしましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/フィナンシャルプランナー
Miyuki Oba〇大学などでカウンセリングや講義、企業や行政における新人研修・セミナーなどに多数登壇。ファイナンシャルプランナーおよび小論文講師としての知見も加味したアドバイスをおこなう
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