
玉手箱の「趣旨把握」は、文章を読んで筆者が最も伝えたいことを複数の選択肢から選ぶ問題です。部分的な事実や本文にない内容、筆者の意図と逆の選択肢などが含まれているため、文章全体の流れを把握したうえで筆者の主張を見極める必要があります。
この記事では、延べ200名のWebテストを支援してきた楳内さんとともに玉手箱の「趣旨把握」の解き方を解説していきます。テストセンターやWebテスティングで出題頻度が高い単元なので、読解問題で確実に得点できるよう対策しておきましょう。
記事の後半には練習問題を5問用意しています。制限時間内に問題を読み切れない人や正しい趣旨の選び方がわからない人は、解説を確認しながら筋道を立てて趣旨を把握する練習をしてみてください。
玉手箱「趣旨把握」の概要
- 問題パターン:筆者の訴えに近いものを選ぶ問題
- 1問あたりの時間:約1分
- 形式ごとの出題頻度:テストセンター(高)ペーパーテスト(なし)Webテスティング(高)
- 趣旨把握を解くときのコツをわかりやすく教えてください!
段落ごとの役割を見抜くことが効率的に解答するコツ
趣旨把握は、長文を読んで筆者が1番言いたいことを素早く抜き出す問題です。最初から全部を熟読する必要はありません。
段落ごとに「ここは主張」「ここは理由」「ここは例」と、それぞれの役割をざっくり決めながら読むと迷いにくくなります。
特に、結論が記載されていそうな段落や「しかし」「一方で」の後は、内容をチェックする必要があります。必要なら該当箇所だけ見返して、まずは大きな流れをつかみにいきましょう。
玉手箱「趣旨把握」の練習問題5問|楳内さんによる解き方の解説付き!
ここからは、玉手箱「趣旨把握」の練習問題を専門家の解説付きで5問紹介します。実際の試験と同様に、文章を読んで筆者の趣旨として最も適切な選択肢を選ぶ形式になっているので、制限時間を意識しながら解いてみましょう。
「趣旨把握」を初めて解く人や正しい趣旨の選び方がわからない人は、「問題を解く前に確認! 趣旨把握の解答のコツ」を読んでから、練習問題に取り組むようにしてください。
問題1(難易度:★☆☆☆☆)
問題
次の文章を読み、本文の趣旨として最も適切なものを選びなさい。
近年、多くの企業においてテレワークが普及したことにより、働く場所の選択肢が大きく広がった。自宅やコワーキングスペースでの勤務は、通勤時間の削減につながるだけでなく、育児や介護といった個人の生活環境に合わせた柔軟な働き方を可能にする。一方で、対面でのコミュニケーションが減ることで、情報の共有が遅れたり、孤独感を感じたりする従業員も少なくない。
こうした課題を解決するためには、単に制度を導入するだけでなく、オンラインとオフラインを適切に組み合わせるハイブリッド型の働き方を模索することが重要である。また、チャットツールやビデオ会議を活用して、業務以外の何げない会話を増やす工夫も求められる。働く場所の自由度を高めることは、個人の幸福感と企業の生産性をともに向上させるための一つの大きな鍵といえる。
選択肢
正解:D
本文では、テレワークの普及による利点と課題の両面に触れたうえで、ハイブリッド型の働き方やコミュニケーションの工夫が重要であると説いている。Dは「課題を理解したうえで、柔軟な働き方を実現することが重要」という本文の趣旨を的確にまとめている。AやCは一方的な主張であり、BやEは本文の内容と異なるか、言及されていない。
問題2(難易度:★★☆☆☆)
問題
次の文章を読み、本文の趣旨として最も適切なものを選びなさい。
食品ロスを減らすための取り組みが、世界的に注目を集めている。生産や流通の過程で廃棄される食べ物は、環境負荷を高めるだけでなく、経済的な損失も無視できない。日本では、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品が年間で数百万トンにものぼり、その削減は喫緊の課題である。この問題に向き合うためには、賞味期限の表示方法を見直すなどの企業の努力に加え、消費者の意識改革が欠かせない。
消費者は、見た目のわずかな違いや期限の近さを理由に商品を避けるのではなく、必要な分だけを購入し、使い切るという基本的な習慣を身に付ける必要がある。また、規格外の野菜を積極的に利用することも、資源を有効に使うことにつながる。社会全体の意識が変わることで、持続可能な食の仕組みを構築できるはずである。一人ひとりが自分事としてとらえ、行動を変えていくことが、未来の豊かな食卓を守ることにつながる。
選択肢
正解:E
本文は、食品ロス削減のために企業の努力と消費者の意識改革の両方が必要であることを主張している。Eは「企業の制度見直しとともに、消費者が意識と行動を変える」という要点を過不足なく説明しており、最も適切である。Aは企業の責任を否定しており誤り。B、C、Dは本文の趣旨とは正反対、あるいは本文に根拠のない内容である。
問題3(難易度:★★★☆☆)
問題
次の文章を読み、本文の趣旨として最も適切なものを選びなさい。
組織における多様性の確保、すなわちダイバーシティの推進は、もはや単なる倫理的な要請ではなく、企業の成長戦略そのものとなっている。異なる背景や価値観を持つ人材が集まることで、一つの視点では気付くことができなかった課題が浮き彫りになり、画期的な革新が生まれやすくなる。しかし、単に属性の異なる人々を集めるだけでは十分ではない。
真に多様性を活かすためには、誰もが自分の意見を安心して発言できる「心理的安全」が確保された環境が必要である。異質な意見を排除するのではなく、互いに尊重し合い、対話を通じて新しい価値を共創する文化を育まなければならない。多様性は、時として摩擦を生むこともあるが、それを乗り越えて得られる成果は、同質性の高い集団では決して到達しえないものである。組織が変化の激しい時代を生き抜くためには、多様性を力に変えるための具体的な取り組みが求められている。
選択肢
正解:C
解説文:本文は、多様性を確保するだけでなく、心理的安全性の確保や対話を通じて価値を共創する文化の重要性を強調している。Cはこのロジックを正確に反映している。AやEは本文の主張と逆であり、Bは「集めるだけで十分ではない」とする本文の内容と矛盾する。Dも本文の「成長戦略そのもの」という記述に合致しない。
問題4(難易度:★★★★☆)
問題
次の文章を読み、本文の趣旨として最も適切なものを選びなさい。
伝統的な技術を次世代へ継承することは、文化的なアイデンティティを保持するうえで極めて重要な意味を持つ。しかし、古くから伝わる手法をそのまま守り続けるだけでは、現代の需要から乖離し、産業としての存続が危ぶまれることも少なくない。伝統とは、単に過去の形を保存することではなく、その本質を失わずに時代の変化に合わせて形を変えていく、動的なプロセスであるべきである。
近年、最先端のデジタル技術を伝統工芸に導入し、生産効率を高めたり、これまでにないデザインを実現したりする試みがいたるところで見られる。あるいは、異業種との連携によって、伝統技術を現代のライフスタイルに馴染む新しい製品へと昇華させる動きも活発である。重要なのは、何を守り、何を変えるかを見極める洞察力である。伝統に根ざしながらも、しなやかに姿を変えていく取り組みこそが、真の意味での継承を実現し、地域の経済と文化を支える柱となる。
選択肢
正解:D
本文の主旨は、伝統を「過去の形の保存」ではなく「本質を維持しながら時代に合わせて変革するもの」と定義している点にある。Dは「本質を維持しつつ、変化や技術を取り入れる」という筆者の主張を正しくとらえている。A、Bは現状維持を説いており本文と異なり、Cは本質を捨てるとしている点で誤り。Eは極めて否定的な結論であり、本文の趣旨に反する。
この問題は「本質を守る」と「変化する」の両立がポイントです。
極端な保存論や全面的な変革論は誤答パターンです。本文は一方を否定しているのではなく、両立の重要性を述べています。
玉手箱ではこの「バランス型」が頻出します。選択肢に「すべて」「唯一」「完璧に」「いかなる」「許されない」などの強い断定があれば注意し、本文のニュアンスと一致しているか確認しましょう。
問題5(難易度:★★★★★)
問題
次の文章を読み、本文の趣旨として最も適切なものを選びなさい。
情報が氾濫する現代社会において、物事の本質を的確に把握し、客観的な判断を下すことは、かつてないほど困難になっている。私たちは、自分の信念を裏付ける情報ばかりを無意識に集めてしまう確証バイアスなどの心理的特性から逃れることが難しい。情報の正誤を判断する基準が個人の感情や既存の価値観に左右されるとき、真実よりも「心地良さ」が優先される危険性が生じる。
こうした状況下で、合理的かつ論理的な思考を維持するためには、自らの認識が偏っている可能性を常に考慮に入れ、あえて異なる視点からの意見に耳を傾ける謙虚な姿勢が必要である。断片的な情報にもとづいて結論を急ぐのではなく、根拠となるデータの妥当性を吟味し、複数の推論を比較検討するプロセスを欠かしてはならない。事実にもとづく思考を身に付けることは、情報の渦に飲み込まれず、不確実な未来において正しい進路を選択するための不可欠な技術といえる。知的な誠実さを持ち続けることこそが、個人の判断力を高め、ひいては社会の健全性を保つことにつながる。
選択肢
正解:C
本文は、心理的バイアスを認識し、多角的な視点やデータの吟味を通じて論理的思考を保つことの重要性を説いている。Cは「認識の偏りを自覚し、異なる視点の検討やデータの吟味をおこなう」という筆者の主張の核心を突いている。A、B、Eは本文が警告している内容を肯定しており誤り。Dは本文が「危険性」として指摘している事柄を推奨しており、趣旨に反する。
この問題は抽象度が高く、選択肢がもっともらしく見えるのが特徴となります。
解答のコツは「筆者が警告していること(確証バイアス・心地良さ優先・結論を急ぐ)と、「筆者が推奨している姿勢(偏りの自覚・異なる視点の検討・データの吟味)」を分けて読むことです。
第2段落の結論だけではなく、最終文を軸に最も広く要約している選択肢が正解となります。
玉手箱「趣旨把握」を対策する際のポイント
玉手箱に関するQ&A
玉手箱のパーソナリティってどういう検査ですか?
玉手箱の四則逆算で時間が足りないです……。どうすれば良いでしょうか?
Web-GABと玉手箱の違いは何ですか?
玉手箱の言語問題がおかしい気がします。
玉手箱の答えをエクセルで管理する方法は対策として有効ですか?
玉手箱の言語問題の答えはどこでわかりますか?
玉手箱の図形問題で答えが合わない場合、どうしたら良いでしょうか?
玉手箱の非言語問題、解答のコツは何ですか?
制限時間が35分の玉手箱の非言語問題は何が出ますか?
玉手箱とSPIの見分け方はありますか?
SPIと玉手箱のどっちから対策を始めるべきですか?
玉手箱の計数問題で時間が35分のとき、図表の読み取りと空欄推測のどっちが出されますか?
玉手箱は何割くらい正答できれば安心ですか?
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執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





アドバイザーのリアル・アドバイス!段落の役割と評価語に注目して文章構造を素早く理解しよう
キャリアコンサルタント/ワーズアンドキャリア代表
楳内 有希子
プロフィールを見る趣旨把握で必要なのは細部を一つひとつ押さえるよりも、文章の流れを追いながら構造をつかむことです。
具体的には、以下のステップで本文の内容を読み進めましょう。
①最初の段落で「何についての話なのか」を一言でまとめる
②接続語と段落の出だしに注目し、その段落が主語・理由・例のどれに当たるかを見極める
③「つまり」「要するに」「したがって」の後や最終段落の要点を先に押さえる
本文中で要点になりやすいのは、筆者の立場が出る文です。たとえば、「重要だ」「問題だ」「望ましい」「危険だ」などの評価語や、「〜と言える」という判断、「〜すべき」などの提案を含む文をチェックしておきましょう。
また、固有名詞や数字・事例が続くところは説明によりやすいので、深追いせず読み進めるのがコツです。
自分なりの結論を作ってそれに近い選択肢を選ぶのがおすすめ
設問を選ぶ際は、選択肢に引っぱられすぎないようにしましょう。本文を読みながら「結論は○○」と一文を作ってから、最も近いものを選ぶと迷いにくくなります。
途中で詰まったら粘りすぎず、結論候補だけ確定して次へ進む判断も必要です。練習は、段落ごとに「問題提起」「反対意見」「筆者結論」のように短くメモしながら繰り返し読むことで、スピードと精度が一緒に伸びていきます。