例文5選|面接で退職理由が思いつかない! 意欲が伝わる答え方とは

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー

    Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/公認心理師

    Ikuko Yoshino〇就職支援歴18年。若者就労支援NPOに勤務の後、独立。現在は行政の就職支援施設にて、学生/既卒/フリーター/ニート/ひきこもり/女性などを対象に相談やセミナー講師を担当

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー

    Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう

    プロフィール詳細

転職活動での採用面接では、「なぜ退職を決意したのか」という質問を必ずといって良いほど聞かれます。とはいえなかには、その退職理由が明確に思いつかず、答えに困ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、この退職理由を聞く質問で企業側は合否にかかわる重要な要素をチェックしているため、答え方次第では採用が遠のいてしまう可能性があるのです。

そこでこの記事では、キャリアコンサルタントの古田さん、吉野さん、永田さんの3人とともに、面接で聞かれる退職理由が思いつかないときの対処法について解説していきます。

退職理由の質問で、曖昧な回答やNG回答をしてイメージを下げたくないという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【完全無料】
大学3年生におすすめの面接対策ツール

面接力診断
39点以下は要注意!面接を受ける前にあなたの面接力を診断しましょう。

面接回答例60選
面接で頻出の質問と答え方を60通りプレゼント!面接対策が簡単にできます。

自己PRジェネレーター
簡単な質問に答えるだけ!ネタがなくても強みが伝わり、採用したいと思わせる自己PRが完成します。

志望動機作成ツール
熱意がなくても大丈夫!たった3分で選考突破率がグンと上がる志望動機が作れます。

自己分析ツール
面接の回答に使えるあなたの強み・弱みがわかります。

【大学3年生におすすめ】
就活を始めたての人におすすめの診断!

適職診断
3分で診断!あなたが受けない方がいい業界・職種がわかります

 

就活力診断
これから就活を始める人へ!たった30秒であなたの就活偏差値がわかります。

目次

面接の退職理由が思いつかないときは転職先への意欲から考えるべし

皆さんのなかには、面接で聞かれる退職理由というと前職に対する不満や思うことなどを伝えるものだと考える人もいるのではないでしょうか。

しかし実際は、転職することに対する姿勢や新しい仕事に対する思いなども確認されているため、前職への不満だけの意欲が見えない回答ではマイナスイメージを与えてしまいかねません。

そこでこの記事の前半では、企業側が面接で退職理由を質問する意図や、NGな退職理由の特徴などについて解説します。まずは企業側の視点を理解し、どんな退職理由が悪い印象を与えてしまうのかを把握しておきましょう。

記事の後半では、具体的な退職理由が思いつかないときに良い回答を見つけるための4つの手順を解説します。ネガティブな退職理由を上手に言い換えた回答例も紹介するため、ネガティブな感情だけの退職理由しか思いつかない人は参考にして、プラス評価で選考突破を目指してくださいね。

古田 文子

プロフィール

明確な理由を答えられないと、「嫌になって辞めた」「面倒になって辞めた」と受け取る面接官もいるため、「弊社に入っても、同様の理由で辞めてしまうのでは?」と採用が遠のいてしまう可能性があります。

39点以下は要注意!
あなたの面接力を診断してください

内定獲得のためには、面接での印象が大きなポイントとなります。あなたは自分の面接に自信を持っていますか?

少しでも不安に感じる人はたった30秒で面接力を把握できる「面接力診断」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、“あなたの強み”“改善点”が明確になります。

もし39点以下だった場合は要注意です。今すぐ診断で面接力をアップし、就職で失敗する可能性をグッと下げましょう。

こんな人に「面接力診断」はおすすめ
・まだ面接を受けたことがない人
・面接でなぜ落ちたかわからない人
・自信を持って、面接に臨みたい人

そもそも退職理由はなぜ必要? 企業が退職理由を聞く3つの意図

そもそも退職理由はなぜ必要? 企業が退職理由を聞く3つの意図

  • すぐに退職しそうな人材ではないか確認するため
  • 応募者の素の人柄を知るため
  • 自社との相性を見極めるため

面接で答えるべき退職理由が思いつかない人のなかには、そもそも企業がなぜ退職理由を聞いてくるのかもよくわからないという人もいるでしょう。

しかし退職理由に限らず、面接では企業側の質問の意図を理解してそれにマッチする回答ができなければ評価にはつながりません。

そこでここからは、企業が面接時に退職理由を聞く3つの意図について解説します。実際に回答を考える前に、企業が退職理由の回答からどのようなことを知ろうとしているのかを理解しておきましょう。

①すぐに退職しそうな人材ではないか確認するため

企業は、退職理由を質問することで、応募者がすぐに退職してしまわないかを確認しようとしています。

企業にとって従業員は経営を支える重要な資産といえるため、従業員に退職されてしまうとまた新たな人材を採用しなければならず、大きな痛手となるのです。せっかく採用してもすぐ辞められてしまっては、採用にかけた時間や労力が無駄になってしまいます。

特に転職希望者は、前の職場を退職した経験がある、もしくは明確に退職の意思があるわけなので、企業は応募者がどのようなことがきっかけで退職に至ってしまうのかを知ることで、自社での早期離職の可能性を見極めようとしているのです

永田 修也

プロフィール

「会社を成長させたい」など理想が高すぎたり、「休みは取れますか?」「有給を使用している人はどれくらいですか?」など最初から条件を求めすぎたりする人は、採用を見送られる可能性が高いです。

②応募者の素の人柄を知るため

面接での退職理由の答え方に迷っている人のなかには、前職への不満などのネガティブな理由で転職を決意した人もいるのではないでしょうか。

とはいえ、そうしたネガティブな理由はそのまま面接で伝えても評価にはつながりにくいため、多くの人にとってこの退職理由というのはあまり聞かれたくないものといえます。

しかし企業は、応募者があまり聞いてほしくない退職理由を質問することで、応募者の素の人柄を見ようとしているのです。

志望動機や自己PRなどの必須の質問は事前にしっかり準備できていても、聞かれたくない質問には対策が十分にできていなかったり、曖昧な答えしか思いつかなかったりする人もいるでしょう。

そのため企業は、答えにくい退職理由をあえて聞くことで、応募者のよりリアルな反応を引き出し、人間性を分析したり、準備の度合いを判断しようとしていると考えられます

退職理由に対する受け答えからどういった人間性や特徴が見られるのでしょうか?

吉野 郁子

プロフィール

自分の弱みを認められるような人間性があるかを見られている

退職理由を聞く質問ではまず、応募者が社会不適合な要素を持った人物ではないかが確認されます。トラブルメーカーであったり、触法行為をおこなったりしたことで退職したのではないかどうかのチェックです。

そして、自分の行動を振り返り、改善を図る能力があるかも見られているといえます。せっかく入社した会社を辞め、方向転換の決断に至ったのは、どんな行動や考えの筋道があったのかが問われいるのです。

このときには、自分の弱さを認めることが大切です。

たとえば、努力が思うように評価されなかったり、社内の誰かに嫌われていた事実に向き合うことは、つらいことですが、一方でそれも他者から見た一つの事実であると理解できることが重要になります。

そういった等身大の自分を理解し、受容できているかが、退職理由を通じて見られているといえるのです。

③自社との相性を見極めるため

中途や新卒にかかわらず、採用においては応募者と企業との相性は最も重視されるポイントの一つです。そのため企業は退職理由を質問する場合にも、応募者が自社とマッチしているかを見極めようとしています。

たとえば、企業側が幅広い業務を任せられる人材を求めていたとして、応募者の退職理由が「一つの仕事を極めてプロフェッショナルになりたい」といった趣旨のものだった場合、両者の相性はあまり良くないといえますよね。

退職理由からは、応募者の希望条件や仕事において大切にしていることなどを知ることができるため、企業は退職理由を質問することで、応募者の希望に添える働き方が自社でできるかどうかを判断しようとしています

本音の退職理由はネガティブな理由になる人が多い! おもな転職理由一覧

転職理由ランキング

先でも解説したように、退職理由にかかわらず面接でのネガティブな回答はマイナス評価につながってしまう傾向にありますが、そもそも本音の退職理由というのはネガティブになる可能性が高いといえます。

前の企業に対してそこまで大きな不満はなく、ただ次の企業のほうが魅力的だったという理由で退職を決めた場合であっても、100%ポジティブな退職理由にすることは難しいといえるのです。

事実、dodaが2022年7月から2023年6月の1年間に転職をした20~59歳の正社員を対象におこなったアンケート調査(※複数回答可)では、転職理由ランキングの1位は「給与が低い・昇給が見込めない」で、有効回答数825件のうちの36.9%を占めていました

そのほかにも「社内の雰囲気が悪い」「人間関係が悪い/うまくいかない」などの理由が上位にランクインしているなど、ネガティブな理由が多くの人の転職や退職のきっかけになっています。

古田 文子

プロフィール

上記のランキングのようなネガティブな退職理由を面接で伝えるのは望ましくありません。

その理由は、「不満をもらすだけで現状を打破したり課題を解決したりする能力が乏しいのでは」というマイナスな評価につながってしまう可能性があるからです。

消極的な理由しか思いつかない人は注意! 印象の悪い退職理由の特徴

印象の悪い退職理由の特徴と企業から見た印象

前述の通り、企業は退職理由から単なる理由だけではなく、応募者の人柄や今後の仕事に対する姿勢なども知ろうとしているため、消極的な理由だけを述べてしまうのはNGです。

では具体的に、どのような退職理由では企業にマイナスな印象を与えてしまうのでしょうか。ここからは、印象の悪い退職理由の特徴について詳しく解説します。良い退職理由を考えるためにも、NGな退職理由について事前に把握しておきましょう。

かんたん30秒!まずはあなたの面接力を診断してください!

内定獲得のためには、面接での印象が大きなポイントとなります。あなたは自分の面接に自信を持っていますか?

少しでも不安に感じる人はたった30秒で面接力を把握できる「面接力診断」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、“あなたの強み”“改善点”が明確になります。

約3分で面接に必要な力をどれだけ持っているのかを把握できるので、すぐに活用して万全な状態で本番を迎えましょう。

今すぐ診断で面接力をアップし、効率よく企業からの内定を手に入れましょう。
今すぐ面接力を診断してみる【無料】

こんな人に「面接力診断」はおすすめ
・まだ面接を受けたことがない人
・面接でなぜ落ちたかわからない人
・自信を持って、面接に臨みたい人

前職の企業への他責的な不満ばかり述べている

退職理由を答える際は、前職の企業の特徴や当時の状況などを説明する必要がありますが、前職に対する他責的な不満ばかりを並べたてた理由を述べてしまうと、応募先にマイナスな印象を与えてしまいます。

具体的には、「適切に自分を評価してくれなかったから」「上司に無理難題を押し付けられた」のような企業や第三者である上司などに非があるような言い方は印象を大幅に下げる可能性が高いです。

こうした理由を聞くと企業は、「この応募者は、入社後も何でも自分以外の人やもののせいにするかもしれない」「自分の都合が悪くなるとすぐに辞めてしまいそう」ととらえてしまいます

仮にも自分が従業員として働いていた企業の印象を下げるような退職理由は、同じ企業側の立場の採用担当者にとっては聞こえの良くないものといえるのです。

サービス残業やパワハラなど明らかに企業側に非がある場合でも不満を言ってはいけないのですか?

永田 修也

プロフィール

本音と建前をわきまえてネガティブな明言は避けるのが無難

そうですね。できるだけ明言することは避けたほうが良いといえます。仮にそれが事実であったとしても、面接の場で退職理由の一つとして挙げることは印象を悪くしてしまうかもしれません。

本音と建前ではないですが、日本独特の「物事をはっきり言わない」という文化があります。

明確に事実を伝えなかったとしても、同じ日本人であれば相手も「言わないけれど何か理由があったのだろうな」となんとなく察してくれる暗黙のやり取りのようなものが生じるはずです。

そのため深掘りして理由を聞かれることがない限り、自分から言わないほうが良いと思います。

体調面など退職当時の問題が現在も解決していない

新卒採用では社会人経験のない学生を企業内で戦力となれる人材に育成していく必要がありますが、中途の場合は入社当初から戦力となれる人材が求められる傾向にあります。

そのため、退職理由から応募者が何かしら問題を抱えていることが伝わってしまうと採用を思いとどまられてしまう可能性があるのです

特に、体調不良などで退職してしまった場合、その体調面の問題が現在も解決できていない状態で応募してしまうと「採用しても休みがちでは自社で活躍してもらえない」と思われてしまうかもしれません。

体調不良などの理由は仕方がない部分もありますが、どんな企業でも健康的で長く働いてくれる人材を優先して採用したいと思っていることは確かといえるのです。

通院中など現在進行形で問題解決に取り組んでいる場合でも印象は悪いでしょうか?

吉野 郁子

プロフィール

医師の診断などを伝え健康管理への意識もアピールしよう

医師の判断など、回復具合を客観評価と具体例を含めて伝えましょう。「主治医からはもう働いてOKと言われている」「体力作りに週3回スポーツジムに通っている」「毎日30分、筋トレ動画に合わせて運動している」などです。

もちろん、医師の就労許可が出ないうちは働けません。転職活動も新職場への定着も、非常に体力気力を要するものです。

療養中も、医師に相談しながら、軽い運動や生活習慣改善など、健康増進活動に取り組むと良いでしょう。するとそれが、転職面接時に健康について問われたときのアピール材料になります。

転職後の仕事や企業に対する熱意が述べられていない

先でも解説しましたが、企業は退職理由から読み取れる応募者の人間性や仕事に対する意識などから採用すべき人材かどうかを見極めます。

そのため、なぜ前職を辞めようと思ったのかという過去のことに関する回答であっても、転職後の仕事や応募先企業への熱意が感じられなければ、採用したいとは思ってもらえません。

むしろ過去の話ばかりを述べる理由では、ただ前の仕事を辞めたかっただけで安易に転職活動をしているような印象を与えてしまう可能性があります

そもそも採用というのは、これから一緒に働く人材を見つけるためにおこなわれるものです。だからこそ、これまでどんな実績を積んできたのか、どんな経緯で退職したのかなどの過去の話も重視されますが、この先の未来のことに対して前向きな姿勢を持てているかどうかも見られていることを理解しておきましょう。

皆さんのなかには前職でのミスマッチから衝動的に退職してしまい、転職面接での退職理由の答えが思いつかない人もいるのではないでしょうか。以下では同じような悩みを持つ人にキャリアコンサルタントがアドバイスしているため、参考にしてみてください。

まだ今の企業を退職していない人の中には、面接で伝える退職理由だけでなく、在籍中の企業に伝える退職理由にも迷っているという人もいるかもしれません。以下では企業をスムーズに辞めるための退職理由を紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事

転職先が決まってから退職する手順を専門家が解説|円満退社の秘訣も

転職を検討している人のなかには「転職先が決まってから退職したい」と考える人もいるでしょう。しかし、「そもそも転職先が決まってから退職して問題ないか」や「どんな手順が正しいか」などの疑問を持つ人もいると思います。この記事ではキャリアコンサルタントと一緒に、退職の正しい手順や注意点などを解説します。

記事を読む

転職先が決まってから退職する手順を専門家が解説|円満退社の秘訣も

39点以下は要注意!
あなたの面接力を診断してください

「面接に自信がない」「今のままで選考通過できるか不安」そんな就活生は自分の面接力を知ることからはじめましょう!

たった30秒で面接力を把握できる「面接力診断」がおすすめです!。簡単な質問に答えるだけで、“あなたの強み”“改善点”が明確になり、対策もしやすくなります!

こんな人に「面接力診断」はおすすめ
・まだ面接を受けたことがない人
・面接でなぜ落ちたかわからない人
・自信を持って、面接に臨みたい人

退職理由は過去の不満だけではなく未来への意欲と掛け合わせて伝えよう

退職理由を尋ねる「なぜ退職を決意したのですか?」という言葉をそのままの意味で受け取れば、過去に起きた出来事や当時の自分の心境だけを述べれば良いと思うかもしれません。

しかし応募先企業の採用担当者は、過去に起きたことの内容よりも、応募者が入社した未来についてのことを詳しく知りたいと思っています。

そのため、退職理由を聞かれた場合は質問をそのまま受け取って過去の不満や当時の環境についてを熱弁するのではなく、そうした状況を踏まえて自分の未来にスポットを当てることを意識しましょう

未来の仕事への意欲を掛け合わせることで、「長期的な視野を持って企業に貢献してくれる人材」として高評価につながる退職理由を思いつくことができます。

アドバイザーコメント

退職理由のなかにある次の転職先への期待は志望動機につながる

退職理由と志望動機の内容そのものは、多少被ってしまっても問題ないと思います。無理に差別化する必要もないでしょう。

たとえば、前職では実現できなかった「やりたいこと」を、転職先なら実現できるかもしれないと考えたことが、退職を決意させたきっかけだったとします。

この場合の「実現できそうだと思った」という点は志望動機にもつながるため、無理に別の内容を話さなくてはならないと考える必要はありません。

退職理由と志望動機が全く同じにならないように伝える範囲を工夫しよう

とはいえ、面接官に「志望動機を質問したのに、退職理由とまったく同じことを言っている」と思われてしまうと、「質問の意味を理解する能力が乏しい」「回答が的を射ていない」といったマイナス評価につながる可能性があります。

退職理由は「今の職場では、やりたいことを実現するのは難しく、限界を感じたから」までであり、「御社でなら、やりたいことが実現できると考えた」という部分は志望動機として話すなど、何をどこまで伝えるべきかの工夫が大切です。

後は、それぞれの内容をイメージしてもらいやすく伝えられるよう練習しておきましょう。

実際に考えてみよう! 好印象な退職理由を思いつくための4つのステップ

前の段落で、退職理由の回答には未来の視点が重要だと解説しましたが、具体的にどうすれば面接で使える良い退職理由が思いつくことができるのかわからないという人もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、好印象な退職理由を考えるための4つの手順について解説します。志望動機やキャリアプランなど、そのほかの質問の回答対策にも役立つポイントもあるため、ぜひ参考にしてみてください。

ステップ①前の職場を退職した本当の理由を素直に書き出す

面接で伝える退職理由を考える際にはまず、転職を決意した当時の状況を振り返って本当の退職理由を書き出してみましょう。

このときは、その理由がネガティブかポジティブかなどは一旦気にせず、素直な気持ちを思い返してみてください。

また、前の仕事を辞めたいと思うきっかけや本当の理由は一つだけとは限りません。自分が辞めたいと思った瞬間や転職を考えるに至った出来事などを細かく振り返り、何が最も大きな退職の決め手になったのかを明確にしてみましょう

自分の本当の気持ちを再確認しておくことで、そこから自分が仕事をするうえで譲れないポイントを洗い出すことができます。

面接官からの評価が点数でわかる! 本番に備えて面接力を測定しよう!

自分が面接官の目にどう映っているか、きちんと把握できていますか?

面接力診断」では、あなたが面接本番でどれほどの力を発揮できるかを100点満点で測ります。

39点以下だと実力を発揮できていない可能性が高いです。診断結果から改善策を提案するので、本番に向けて対策しましょう。

こんな人に「面接力診断」はおすすめ
  • もうすぐ初めての面接がある人
  • 自信のあった面接に落ちてしまった人
  • 面接への不安を和らげたい人

ステップ②前職への不満に対し自分にも落ち度がなかったかを考える

前述の通り、他責的な退職理由は心証を大きく下げてしまう可能性があるため、最初に書き出した不満や本音の退職理由をそのまま伝えてしまうのはNGです。

そもそも前職の企業で働くことを選んだのは自分自身であるため、自分が選んだ仕事で起きたことには自分の判断や行動が関係しているかもしれません。

だからこそ今度は客観的な視点で過去を振り返り、前職への不満や当時の状況に対して自分にも落ち度がなかったのかを考えてみましょう。

たとえば、「きちんと評価してもらえず給与に不満があった」というのが本当の退職理由だったとして、当時の自分は評価してもらえないと思ったときに何か自分からアクションを起こしたのか、評価に値する実績やスキルが十分あったのかなどを考えてみてください。

これによって、「評価される機会を待ってしまっていたかもしれない」「今思えば経験不足な部分もあったかもしれない」と他責的な思考だけでなく、自分の現状を冷静に見つめ直すことができるのです

退職理由になり得る不満が多すぎて自分の落ち度を客観的に考えられません……。

永田 修也

プロフィール

どんなことでも「物は言い様」で印象を変えられる

どんな物事であったとしてもネガティブな側面もあればポジティブな側面も存在します。つまり、退職理由となる不満にも同様にネガティブな面とポジティブな面があり「ものは言い様」で相手に与える印象も変えることができるのです。

面接の場ではネガティブな退職理由も逆にアピールするチャンスとしてとらえましょう。

客観的に考えられない場合は退職になり得る不満を思いつく限りノートに書き出すことがポイントです。そしてそれを一つずリフレーミングしてみてください。

たとえば、上司と相性が合わなかったのであれば「自分の意見を尊重してもらえる会社で仕事がしてみたい」としたり、残業続きが辛かった場合であれば「プライベートをもっと自己成長につなげたい」と言い換えたりすることができます。

言い換えの際には仕事に対して意欲的であることが伝わるように意識しましょう。

面接できちんと退職理由を伝えられないと、選考通過が難しくなる場合があるため、「転職がうまくいかない」と感じてしまうかもしれません。以下では転職のさまざまなつまずきへの対処法を解説しているため、併せて読んでみてくださいね。

関連記事

転職がうまくいかない20代必見! 状況に応じた対処法14選を解説

転職活動がうまくいかなくて悩んでいる人へ、状況に応じた具体的な対処法をキャリアコンサルタントとともに解説。うまくいかない原因を突き止めて、効果的な対策を実践しましょう。

記事を読む

転職がうまくいかない20代必見! 状況に応じた対処法14選を解説

ステップ③次の転職先でしたいことやこの先のなりたい姿を明確にする

退職を決意した当時の自分の状況や気持ちを冷静に分析することができたら、今度はそれを踏まえて未来にスポットを当て、次の転職先でしたいことやなりたい姿のイメージを膨らませてみてください。

ここでイメージする未来のなりたい姿は、本当の退職理由となった不満をクリアにすることではなく、今の課題をクリアしたうえでより長期的な視点で将来像を考えることがポイントです。

多くの企業は、自社で働くことに積極的な人材を採用したいと考えているため、「自分の前職の不満が解消できれば良い」という理由で転職しようとしている人よりも、長期的な将来のために前向きに転職を希望している人のほうが評価される可能性があります

そのため、今の自分が抱える目先の課題にばかり目を向けるのではなく、自分が将来どんな働き方がしたいか、どんな人材になりたいのかなどを前向きに考えて、自分のキャリアプランを言語化しておきましょう。

吉野 郁子

プロフィール

転職したら、良いことと悪いことの両方が起こる可能性があります。どんな悪いことが起きそうか、その場合はどう行動しようか、も含めて考えておきましょう。

「ここが実現すれば、良い転職だったことにしよう」といった自分なりの判断基準を持つことが大切です。

自分のキャリアビジョンや将来のやりたいことなどがうまく思い浮かばない人は、以下の記事がおすすめです。就職の専門家であるキャリアコンサルタントが、自分なりのキャリアを見出すコツを詳しく解説しています。

キャリアビジョンの描き方
キャリアビジョンとは|就活のプロが意義と描き方を徹底解説!

やりたいことの見つけ方
やりたいことがわからない人必見! 隠れた本心を見つける思考・行動

ステップ④ネガティブな理由をなりたい姿に応じて前向きな理由に変換する

転職後のなりたい姿が明確にできたら、そのポジティブな姿に応じて自分の本当の退職理由を前向きな表現に変換してみましょう。

仮に皆さんの本来の退職理由が「職場の雰囲気の悪さ」で、転職後のなりたい姿が「風通しの良い環境で自分の能力を活かしたい」というものだったとします。

その将来像をもとにして退職理由を考えてみると、「職場の雰囲気が悪かったから」というネガティブな理由が「社員それぞれが連携して互いに高め合える環境で働きたいと思ったから」といった前向きな表現に変換することができるのです。

このように、ただ「〇〇だったから」と過去の状況をそのまま伝えるのではなく、その状況を踏まえて自分がどうなりたいと思ったのか、という未来の視点に言い換えることで、前向きな印象を与えられる退職理由を見つけることができます

面接の不安を解消! 本番前に面接力を測って弱点を発見しよう

不安を抱えたまま面接本番に臨むと、面接官に好印象を残せず、内定が遠のいてしまう可能性があります。

そんなときこそ「面接力診断」を受けましょう。

簡単な質問に答えるだけで自分の弱点がわかり、改善方法も提案してもらえます。ぜひ活用して面接を突破してください。

こんな人に「面接力診断」はおすすめ
  • 近く面接本番を控えている人
  • 自分の面接の改善点を知りたい人
  • 過去の面接で力を発揮しきれなかった人

どうやって伝えるのがベスト? 面接で退職理由を述べる際の構成

どうやって伝えるのがベスト? 面接で退職理由を述べる際の構成

  • 自分が転職を決意した前向きな理由を述べる
  • 退職当時の自分の状況と当時の反省点を述べる
  • 転職先企業が自分の理想像にマッチしていることを述べる

ここまでの解説で、面接で使える退職理由そのものは見つけられた人も多いかもしれませんが、実際に答える際にどのように話を展開すべきなのかわからないという人もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、退職理由を答えるときの組み立て方について解説していきます。伝え方の手順までしっかりマスターして、プラスの印象を与えられる回答内容を考えてみてくださいね。

①自分が転職を決意した前向きな理由を述べる

まず退職理由を答える際には、結論として面接用に変換した前向きな退職理由を述べましょう。どんな質問の回答であっても、質問者である企業側がもっとも知りたい答えを最初に提示することが重要です

最初に結論を述べることで、話の大枠となる部分を明確に示すことができるので、その後の説明が相手にも理解してもらいやすくなります。

また、この時点でポジティブな退職理由を示すことで、転職に対する意欲の高さをアピールできるため、実際の不満などをストレートに答えてしまわないように注意しましょう。

②退職当時の自分の状況と当時の反省点を述べる

次は、退職を決意した当時の状況を説明して、先で述べた退職理由に説得力を持たせていきます。

この際、先で解説したように周囲の人や環境だけのせいであるかのように伝えてしまうのではなく、自分なりの反省点なども交えて説明することがポイントです。

何でも自分中心で物事を考えてしまう人材はどんな企業であっても評価してもらうことが難しいため、自分にも至らない点があったと謙虚に受け止める姿勢を見せて、マイナスイメージを回避しましょう

当時の状況はどの程度まで正直に答えれば良いのかわかりません……。

古田 文子

プロフィール

前職の業務の詳細や関係者については触れずに話すのがベスト

上司や先輩、同僚の個人名を出すのはもちろん、企業の機密情報に当たるような内容まで話すと情報漏洩になってしまうため、話してはいけません。

たとえば「大きなプロジェクトに参加していましたが、自分の意見がことごとく却下され、納得できないことが多くありました。今考えると、周りが見えていない独りよがりな提案ばかりしていたと反省していますが、当時は……」という感じです。

このように、企業がどのようなプロジェクトを計画していたか、誰がかかわっていたかといった詳細は話さないよう気をつけましょう。

③転職先企業が自分の理想像にマッチしていることを述べる

前向きな退職理由とその背景を伝えられた後は、転職先企業がいかに自分のなりたい姿とマッチしているかを述べ、さらなるアピールにつなげていきましょう。

ここからは、退職を決意した理由というよりは、応募先企業への志望動機に近い部分になるため、事前の企業分析などは必須です。

面接用の退職理由を考える際に明確にしておいたなりたい姿と、企業の特徴や具体的な業務内容などを照らし合わせ、どんな部分に魅力を感じたのかを伝えてみてください

そうすることで、志望動機以外の質問でも企業に対する理解の深さや入社意欲を伝えられるため、より高評価を得られる確率がアップします。

転職先企業と自分の理想像との相性を述べるためには、企業分析が欠かせません。以下は新卒向けの記事ではありますが、企業分析のコツをキャリアコンサルタントが詳しく解説しているため、やり方に自信がない人はぜひ参考にしてみてください。

関連記事

企業分析のやり方を完璧にマスターする3ステップ|よくある注意点も

企業分析には自分に合った企業が見つかるなどのメリットが多くあります。また集めた企業情報をうまく活用することで、就活を効率的に進めることができますよ。この記事では、企業分析の正しいやり方から効率化のコツまでキャリアコンサルタントとともに徹底解説します。

記事を読む

企業分析のやり方を完璧にマスターする3ステップ|よくある注意点も

④入社後にやりたいことやなりたい姿を述べる

退職理由を答える際は、ただ聞かれた内容だけを答えるのではなく、プラスαのアピールを添えることで綺麗にまとめられ、高評価にもつながります。そのため退職理由の締めくくりは、転職後のやりたいことやなりたい姿を提示して、具体的な入社意欲を示しましょう。

この最後の締めくくりについても、退職理由を考える際に洗い出しておいた将来像をもとに考えることがポイントです。

自分が実際に応募先企業で働くことを想定し、そこでどのような業務に携わりたいのか、どのような形で企業に貢献していくか、などを考えてみてください。

退職理由の回答のなかで、企業への志望意欲だけでなく、具体的な行動やキャリアプランまで示すことで、ただ退職理由を述べるだけの応募者に大きく差をつけて高評価を狙うことができます。

永田 修也

プロフィール

再現性があるかわかりませんが、私が転職をしていた際は「これから自分がいかに活躍できるか」と「退職するに至った自分の反省点」を伝えることで好印象を与えることができていました。

自分を正当化し過ぎず、また悲観的にもなりすぎずに述べることが大切です。

退職理由の締めくくりでは、その企業への入社意欲などを示すことが重要であり、これは志望動機と似ている部分でもあります。以下で志望動機の締めくくり方について解説しているため、退職理由の締めのアピールを考える際の参考にしてみてください。

関連記事

志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介

志望動機は締めくくりが大変重要であり、全体の印象を左右します。志望動機の締めくくりの基本ルールをと伝えるべき内容を押さえましょう。この記事ではキャリアコンサルタントと、すぐに使える便利なテンプレートや例文も併せて解説するので、参考にして選考を突破しましょう。

記事を読む

志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介

例文付きで解説! 面接での退職理由の言い換え表現5つ

ここまでは、面接用の退職理由を思いつくための具体的なステップと答える際の構成などについて解説してきましたが、実際の回答例を見ておきたいという人もいるでしょう。

そこでここでは、先で取り上げたdodaの転職理由ランキングを参考に、上位5つの理由を言い換えた退職理由の回答例を紹介します。退職理由の質問で、心証を下げることなく、むしろ高評価につなげたいという人は、ぜひチェックしておいてくださいね。

①給与が低い→スキルを磨いてキャリアアップがしたい

給与は、企業が従業員の仕事ぶりや能力をどう評価しているかで決まるため、給与が低いと感じる場合は、自分のスキルが低いか、もしくは適切に評価されていないかのどちらかが要因として考えられます

仮に後者の原因で給与に不満を持っていたとしても、それをそのまま退職理由としてしまっては前の企業を下げる言い方になってしまうため、「自分の評価を高めたい」という趣旨に変換してみましょう。

給与が低いことを言い換えた退職理由の例

私が退職を決意した理由は、自分のスキルを磨きキャリアアップしていきたいと考えたからです。

入社当初は定常業務を早くキャッチアップすることに注力していましたが、業務を習得していく過程でより自分の成長速度を早めていきたいと思うようになりました。

そうした心境の変化があるなかで、前職は個々の能力向上よりもチーム全体の調和を大切にする社風だったため、より切磋琢磨して高め合える環境で働きたいと考えた次第です。

こうした背景から転職活動をおこなっていたところ、御社の社風である挑戦を称え合う文化や個々の成長速度に応じた評価制度に魅力を感じ応募させていただきました。

もし採用していただけた際には、前職でのマルチタスクの経験をフルに活かして、幅広い業務に取り組み自分を成長させながら貴社の利益にも貢献していきたいです。

吉野 郁子

プロフィール

「ものたりない」という気持ちを、大人の言葉で上手に表現していますね!

スピード感のある社風で働きたい希望と、それが決して楽ではないとの覚悟がしっかり伝わってきます。「マルチタスクの経験」の部分についてはもう少し詳しく聞いてみたいです。

②社内の雰囲気が悪い→チームワークを重視する職場で働きたい

企業は複数の人と協力して一つの目的を達成しなければいけないため、社内の雰囲気が悪いと自分個人の仕事にも支障をきたしてしまいますよね。

しかしこうした周囲の環境に対する不満がもとになった退職理由も、前の企業を下げる言い方ではなく、どんな働き方を目指したいかという未来の視点に変換して表現してみましょう

社内の雰囲気が悪いことを言い換えた退職理由の例

私が退職を決意したきっかけは、よりチームワークを重視する働き方が自分に合っていると感じたためです。

前職は個人プレーの傾向が強い環境でしたが、あるときチーム内での連携が不十分だったことで対応が遅れ、先方にご迷惑をかけてしまったことがありました。私自身もチームの連携プロセスに対する具体的な改善を持ち掛けられなかったことは反省点だと感じています。

こうした経緯から、もともと私は人のために何かをすることに強いやりがいを感じるタイプだったこともあり、自分本来のスキルをチームのために最大限に発揮できる環境で働きたいと考え、転職を決意しました。

そんななかで貴社の採用ページを拝見した際に、個人の得意分野をチームに活かすことを大切にする運用方針に感銘を受けました。採用いただけた暁には、私の持てるスキルをチームメンバーのために発揮し、結果につなげていきたいと考えております。

社内の雰囲気や業務方針に不満があった際、自ら改善する行動ができていないとマイナス評価になってしまうのでしょうか?

古田 文子

プロフィール

「主体性がない」といったマイナス評価につながる可能性あり

たとえば、入った部屋が暑いと感じればエアコンをつけたり、日中に仮眠をとりたいときはアイマスクをつけたりするなど、自分が置かれている環境に不満がある場合、人は少しでも環境を良くしようと働きかけるものです。

社内の雰囲気や業務方針に不満がある際も、何もせずに受け身のスタンスでいたことがわかれば「主体性に欠ける」「課題解決能力が乏しい」といった印象を持つ面接官はいると思います。

どのような状況かにもよるため一概にはいえませんが、プラス評価になることは少ないのではないでしょうか。

③人間関係が悪い→活発にコミュニケーションを取りながら働きたい

人はそれぞれ価値観や考え方が異なるため、お互いの意図や気持ちを理解することができなければ、良好な人間関係を築くことができず、不満や悩みの種になってしまいかねません。

こうした人間関係が悪い環境は、お互いを理解するコミュニケーションが適切に取れていない状況であるといえるため、退職理由として人間関係の悪さを言い換えたい場合は、コミュニケーションの質に着目した表現に言い換えることができます

人間関係が悪いことを言い換えた退職理由の例

私が退職を決めた理由は、より活発にコミュニケーションを取れる環境で働きたいと考えたからです。

前職の環境は上司が2つの部署を管轄していたこともあり、コミュニケーションや業務の意思決定がなかなか進まなかったり、連携に不備が出たりしていました。

私自身も、上司と良好な関係を築くことで課題を改善しようと、報連相のタイミングや提案方法などを工夫してみましたが、私の力不足でうまくいかなかったため、環境を変えたほうが自分の実力を存分に発揮できるのではと考えました。

以前貴社の店舗を訪れた際に、店舗内のスタッフの方々がこまめに連携を取りながら質の高いサービスをおこなっている様子を拝見し、私の求める働き方とマッチするのではと感じました。

異業種からの応募にはなりますが、入社できた際には前職で培った提案力や行動力を活かしていち早く戦力になれるよう努めます。

吉野 郁子

プロフィール

言葉を丁寧に選び、自分が一方的な被害者であるかのように話さないように意識しましょう。

価値観やコミュニケーションスタイルの不一致はどんな企業でも起こり得ます。それをどちらかが正しい、どちらかが悪いと決めつけると、また新たな価値観の対立が生まれてしまうのです。

④尊敬できる人がいない→いろいろな人に刺激をもらいながら働きたい

企業で仕事をする際、人によっては尊敬できる上司や先輩などをロールモデルとし、その人と一緒に働くことで自己成長につなげられる人もいます。そのためそうした人にとって、尊敬できる人が近くにいない環境は働く意欲が下がり、退職を考える原因になってしまうのです。

しかし尊敬できる人がいないという不満を、「尊敬できるような優秀な人材がいない」とそのまま伝えてしまうと、前職の従業員を悪く言っているととらえられかねません。

そのため、この場合は「いろいろな人に刺激をもらいながら働きたいから」のように自分が理想とする前向きな働き方に変換して伝えるようにしましょう

尊敬できる人がいないことを言い換えた退職理由の例

私が退職を決意したきっかけは、日々の業務のなかでいろいろな人から刺激をもらいながら成長していきたいと考えるようになったためです。

前の職場は、社員間の連携が少なく個々の意識によって業務の品質のムラが異なるなど課題を感じていました。自身の成長のために先輩や上司からアドバイスを得ようと業務の提案などもおこないましたが、フルリモート制度を取り入れている部署ということもあり、なかなか円滑にコミュニケーションを取ることも難しい状況でした。

そんななかで貴社のことを知り、部署を超えたプロジェクトに参画できることや、約半数以上の従業員の方が異業種からの転職で活躍されていることに魅力を感じました。

貴社にご縁をいただいた暁には、多くの人から良い刺激をもらって成長しつつ、前職の営業力を活かして即戦力として貢献していきたいと考えております。

⑤会社の評価方法が不満→自分の実力を試せる環境で働きたい

前述の通り、給与は企業が従業員を評価する際の一つの指標ではありますが、給与以外でも自分が評価されていると感じられる機会が少なければ、やりがいが感じられず、退職を考えるきっかけになり得ます。

しかしこの評価に関する不満をただ「企業が評価してくれない」という言い方で伝えてしまうと、自分本意で他責的な印象を与えてしまうためNGです。こうした前の企業の制度に対する不満は、未来の仕事の理想的な状態に言い換えるようにしましょう。

会社の評価方法が不満なことを言い換えた退職理由の例

私が退職を決意した理由は、自分の実力を試せる環境で働きたいと考えたためです。

前職は、社会的重要度の高いサービスをおこなう業界だったこともあり、個々の挑戦よりも業務の確実性や安定的なパフォーマンスを大切にする社風でした。

しかし私自身の新卒時の自己分析が不十分だったことにより、入社して働くうちに、自分の全力が出しきれていない状況に窮屈さを感じてしまうようになりました。

そんなとき貴社の求人を見つけ、「まだ未発達な分野でなくてはならない存在を目指す」という挑戦的な〇〇社長のメッセージに感銘を受け、応募いたしました。

貴社で採用いただけた際には、前職で培った粘り強い精神でいち早く業務をキャッチアップしつつ、新たなスキルを磨いて自身の成長にも貪欲に取り組んでいく所存です。

吉野 郁子

プロフィール

上記の例文は「挑戦心」の価値観をより活かせる環境を求めているという点がわかりやすいです。

企業の成長フェーズが違えば、社風や制度にも影響があります。実力が評価される制度には、リスクや厳しさもあるので、しっかりと企業研究しておきましょう。

退職理由の類似質問として転職理由を聞くものがあります。以下の記事では転職理由の答え方を例文付きで解説しているため、併せてチェックしてみてください。

関連記事

転職理由の10例文|面接官を納得させて好印象を掴む伝え方を解説

面接で必ずと言って良いほど問われる転職理由。転職理由の考え方、伝え方、注意するべきポイントをキャリアコンサルタントとともに解説します。誰が聞いても納得感がある転職理由に仕上げて、面接で堂々と伝えましょう。

記事を読む

転職理由の10例文|面接官を納得させて好印象を掴む伝え方を解説

面接の退職理由が思いつかない際は転職の意欲に変換して合格につなげよう

面接ではしばしば退職理由を質問されることがありますが、そもそも退職理由は、前職への不満などネガティブなことがきっかけになりやすく、伝え方が難しいものです。

面接での退職理由が思いつかないのは、そうしたネガティブな理由を面接で伝えるとマイナス評価になると思いつつも、ネガティブな理由をうまく言い換える言葉を見つけられていないからかもしれません。

好印象な退職理由を考えるためには、しっかりと自分の本音と向き合ったうえで、未来に視点を切り替えて前向きな意欲や希望に変換することが重要です。

前職への不満など過去のことにとらわれて、面接で使える退職理由が思いつかないという人は、この記事の解説を参考に、マイナスを回避するだけでなくプラスの印象を与える退職理由で選考突破を目指してくださいね。

アドバイザーコメント

仕事に何の不満も抱いていないという人は多くない

「なぜ前職を退職したのですか?」と面接で何人もの採用担当者に聞かれると、あらかじめ答えを用意してあってもドキッとしてしまうものですよね。

しかし、人間である以上会社になんの不満も持たずに毎日気持ちよく働いている人はどのくらいいるでしょうか。いたとしてもきっと数%で、ほとんどの人は何かしら不満を持っていると思います。かくいう目の前にいる面接官だってその会社に不満を感じているかもしれません。

退職理由は自分の本音を否定せず対外的な理由に変換して伝えよう

仕事への不満やネガティブな感情は多くの人が持ち合わせているからこそ、自分の理由も否定せず堂々としていることが良いと私は思います。

大切なのは、本当の理由は自分の心の中にそっとしまっておいて、社会人のマナーとして対外的な理由をきちんと述べられるようにしておくことなのです。あとは面接官がどう感じるかだけなので相手に委ねれば良いと思います。

記事のなかでも伝えましたが、まず自分の本音である退職理由を順に挙げ、それを一つずつリフレーミングしていくことで「伝えられる理由」に仕上げていきましょう。

頭の中だけで考えているとモヤモヤがずっと続いてしまうので、まずは書き出してみながら考えることが大切です。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

> コンテンツポリシー

記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

> メッセージを読む

関連Q&A

カテゴリーから探す

目次

おすすめ対策ツール・資料

TOP

PORTキャリア