この記事のまとめ
- 初任給の額面だけで企業を判断するのは危険
- 初任給が高い会社には4つの特徴がある!
- 初任給と併せて注目すべき5つのポイントをチェック
就職活動中の学生にとって、初任給は大きな関心事の一つです。「同じ業界なのにどうしてこんなに差があるの?」「平均的な初任給はどのくらい?」「手取りはいくらになるの?」など、さまざまな疑問や不安を抱える人も多いのではないでしょうか。
実際、初任給は企業によって大きく異なり、その仕組みも意外と複雑です。特に最近は、働き方改革やデジタル化の影響で、従来の相場が変化している業界も少なくありません。
この記事では、キャリアアドバイザーの方のアドバイスを交えながら、初任給の基本から実践的な企業選びのポイントまで解説します。
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初任給とは「社会人になって初めてもらうお給料」のこと
「社会人になって初めてもらうお給料」を指す初任給。言葉の意味だけでなく、初任給について知っておくべきことは意外と多くあります。将来を考えるにあたり、お金にまつわる悩みごとは人生と切り離せません。初任給の基本的な仕組みから、細かな手当の種類などを理解することは、自分が望む将来を歩むための重要な第一歩でもあります。
記事ではまず、「初任給とは何か」という基本的な概念から解説。続いて、学歴や業界、企業規模による初任給の違いを具体的なデータで紹介します。そのうえで「初任給が高い会社の特徴」と「初任給が低くても魅力的な会社」について、実例を交えながら説明します。
また、学生が知っておくべき重要なポイントとして、実際の給与計算の仕組みや、手当制度の種類、さらには将来の収入アップにつながる具体的な方法まで詳しく解説します。
これらの知識は、単に今の初任給を判断するためだけでなく、長期的なキャリアを考えるうえでも重要な指針となるはずです。自分に合った企業を選ぶための具体的な判断材料として、ぜひ参考にしてください。
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初任給とは「社会人になって初めてもらうお給料」のこと
初任給とは、学生から社会人になって初めて受け取る給与のことです。新卒採用の場合、多くの企業では学歴や職種によって初任給の基準が設定されています。区分によって金額に差はあるものの、厚生労働省の「令和6年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査」によると、初任給は月額20万円前後が平均的な水準となっています。
ただし、実際に手元に届く金額(手取り)は、初任給(支給額)から税金や社会保険料などが差し引かれるため、支給額より少なくなります。たとえば、初任給が22万円の場合、手取りは17〜18万円程度になることが一般的です。また、初任給には基本給のほかに、さまざまな手当が含まれていることもあります。
初任給は、支給日も企業によって異なります。一般的には入社月の翌月末や翌々月末に支給されることが多いため、入社後すぐには給与が支給されない可能性も。そのため、入社直後の生活費については余裕を持って準備しておきましょう。
意外と知らない? 初任給と意味の混ざりやすい言葉
意外と知らない? 初任給と意味の混ざりやすい言葉
- 手取り
- 基本給
就職活動中の学生にとって、初任給は大きな関心事の一つですが、給与に関する用語は意外と複雑でわかりにくいものです。「手取り」「基本給」「総支給額」など、似たような言葉が多く、その違いを正確に理解している学生は少ないでしょう。
初任給の金額だけでなく、実際に受け取る金額や昇給の仕組みを理解することは、将来設計を考えるうえでも重要です。就職活動中の企業研究や給与交渉、そして入社後の家計管理のためにも、これらの用語の違いをしっかりと押さえておきましょう。
手取り
実際に銀行口座に振り込まれる金額のことです。給与から所得税や社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)、住民税などが差し引かれた後の金額を指します。つまり、実際に使える金額がこの「手取り」です。初任給が25万円でも、手取りは実際には20万円程度になることも珍しくありません。
注意したいのは、控除される金額は個人の状況によって変わることです。たとえば、社会保険料は会社によって加入している保険の種類や料率が異なりますし、所得税は扶養家族の有無などによっても変動します。また、住民税は前年の所得にもとづいて計算されるため、新入社員の場合、入社後しばらくは住民税が発生しないケースもあります。
新生活は、想像以上に出費がかさみます。一人暮らしをする人ならなおさらです。下記にも記載がありますが、ボーナスなども最初は満額出ませんし、そもそももらえない可能性もあります。
お金の話は知っているか知らないかが大きな差になるので、先輩や両親などに事前に相談しておくことをおすすめします。
基本給
給与の基本となる金額で、残業手当や諸手当を含まない、文字通り「基本」の給与額です。一般的に昇給の基準となり、各種手当や賞与の計算のベースとなる数字と覚えておきましょう。ただし、基本給が同じでも、実際の総支給額は会社の手当制度によって大きく変わることがあります。
注意したいのは、基本給が会社の給与体系や評価制度とも密接に関係している点です。年功序列型の会社では、勤続年数に応じて基本給が定期的に上がっていく傾向がありますが、成果主義を採用している会社では、業績や評価によって昇給額が変動することもあります。
また、職種や職位によって基本給の上限が設定されていることも多く、キャリアを考えるうえでも知らないとリスクになる可能性があります。
支給額(手取り)とともに基本給の額を必ず確認してください。ボーナスや退職金は基本給を元に計算するので大切な数字です。また、初任給の場合、労働契約書の内容と基本給の金額があっているかも確認したいですね。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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ケース別に解説! 初任給の平均目安
ケース別に解説! 初任給の平均目安
- 高卒~大卒の初任給の比較
- 企業規模の人数別の初任給の比較
- 産業・職種別の初任給の比較
- エリア別の初任給の比較
就職活動において、初任給の相場を知ることは大切な準備の一つです。相場観がないまま就職活動を進めると、実力以上に低い条件を提示されても気付けなかったり、逆に非現実的な期待を抱いてしまったりするリスクがあります。また、企業との給与交渉の場面でも適切な判断ができず、損をしてしまうケースも。
初任給は学歴や企業規模、業界によって大きく異なり、地域による差も存在します。特に近年は、働き方改革やデジタル化の影響で、従来の相場が変化してきている分野も少なくありません。
ここでは、厚生労働省の「令和6年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査」をもとに、さまざまな観点から初任給の平均額を解説します。これらの情報は、企業研究や企業選びにおいて、一つの判断材料となるでしょう。
高卒~大卒の初任給の比較
卒業区分 | 初任給(万円) |
---|---|
高校卒 | 18 |
専修学校卒 | 20 |
短大卒 | 20 |
大卒 | 21 |
学歴による初任給の差は、おおよそ3万円程度です。ただし、これはあくまでも全国平均値であり、同じ学歴でも業界や企業規模、地域によって大きな差が生じることは理解しておきましょう。特に大都市圏では、この平均値を上回る初任給を提示する企業も多く見られます。
また、近年では個人の能力や保有する資格なども重視される傾向があります。特に増えているのが、IT関連やデジタル系の職種において実務で活かせるスキルの有無が評価されるケースです。
今後ますますIT化が進んでいくことを鑑みると、資格取得や新しい技術の習得に積極的に取り組む姿勢を学歴と同様に評価したいと考える企業が多くなることが予想されます。
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既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
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企業規模の人数別の初任給の比較
※大卒の場合。千円以下は切り捨て
企業規模(従業員数) | 初任給(万円) |
---|---|
29人以下 | 21 |
30~99人 | 22 |
100~299人 | 21 |
300~499人 | 22 |
500~999人 | 22 |
1,000人以上 | 22 |
企業規模による初任給の差は、以前ほど大きくありません。近年は、中小企業でも優秀な人材を確保するため、大手企業に劣らない初任給を設定するケースが増えているからです。
ただし、従業員数が少ない企業では、基本給以外の面でも確認が必要です。たとえば、昇給の仕組み、賞与の実績、残業手当の計算方法、社会保険の内容など、給与以外の待遇も含めて検討することをおすすめします。
また、新しく成長している企業では、初任給は控えめでも、業績に応じた賞与など、別の形での待遇を用意しているケースもあります。将来の成長可能性や、自分のスキルを伸ばせる機会として、このような企業も選択肢の一つになるかもしれません。
- 人数が多い大企業は初任給も高いイメージですが、実際企業規模による初任給に大差ないのでしょうか?
初任給は企業規模ではなく業界や給与形態などの影響を受ける
確かに大企業はグループ子会社よりも初任給が高いケースが多いですが、企業規模そのものによる有意な差は必ずしも大きくありません。
実際には、業界や給与形態、企業の給与体系が初任給に与える影響のほうが大きいです。また、成果主義を採用している企業では基本給が抑えられていても、インセンティブやボーナスが充実している場合もあります。
つまり、初任給を比較する際は、企業規模だけでなく業界特性や給与の構成要素も総合的に考慮する必要があります。
産業・職種別の初任給の比較
※大卒の場合。千円以下は切り捨て
産業・職種 | 初任給(万円) |
---|---|
建設業 | 22 |
製造業 | 22 |
情報通信業 | 22 |
運輸業、郵便業 | 21 |
卸売業、小売業 | 21 |
金融業、保険業 | 22 |
不動産業、物品賃貸業 | 22 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 21 |
宿泊業、飲食サービス業 | 20 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 21 |
教育、学習支援業 | 22 |
医療、福祉 | 20 |
サービス業(他に分類されないもの) | 21 |
その他 | 21 |
業界による初任給の差は、それぞれの業界の特徴や必要なスキル、人材の需要などを反映しています。22万円が水準の建設業、製造業、情報通信業、金融業などは、専門的な知識や技術が必要とされる業界です。特に情報通信業では、デジタル化の進展により、IT人材へのニーズが高まっていることが、初任給の水準に関係していると考えられます。
一方、医療・福祉分野や宿泊業、飲食サービス業の初任給は20万円ですが、夜勤手当や資格手当など、様々な手当が充実している傾向にあります。特に医療・福祉分野では、経験や資格に応じた昇給の道筋が明確になっているケースが多いようです。
また、卸売業・小売業や運輸業などは21万円ですが、これらの業界でも最近は、福利厚生の充実や働きやすい環境づくりなど、待遇の改善が進められています。
大切なのは、初任給の金額だけでなく、その後のキャリアアップの機会や、仕事と生活のバランス、職場の雰囲気なども含めて総合的に判断することです。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
エリア別の初任給の比較
職種カテゴリ | 卒業区分 | 1級地初任給 (万円) | 非支給地初任給 (万円) |
---|---|---|---|
新卒事務員 | 大学院博士課程修了 | 27 | 26 |
新卒事務員 | 大学院修士課程修了 | 26 | 24 |
新卒事務員 | 大学卒 | 23 | 20 |
新卒事務員 | 短大卒 | 20 | 17 |
新卒事務員 | 高校卒 | 18 | 17 |
新卒技術者 | 大学院博士課程修了 | 29 | 28 |
新卒技術者 | 大学院修士課程修了 | 25 | 25 |
新卒技術者 | 大学卒 | 23 | 21 |
新卒技術者 | 短大卒 | 21 | 19 |
新卒技術者 | 高校卒 | 20 | 17 |
新卒研究員 | 大学院修士課程修了 | 24 | 25 |
新卒研究員 | 大学卒 | 24 | 22 |
令和6年職種別民間給与実態調査によると、東京23区(1級地)とそれ以外の地域(非支給地)では、大きな差があることがわかります。
たとえば大卒事務員の場合、東京23区では23万円、その他の地域では20万円と、3万円の差があります。これは都会と地方での生活費、特に家賃などの違いを考えた設定だと捉えてください。
一方で、研究員の給与は地域による差が小さく、修士課程を修了した場合はむしろ地方の方が高くなっています。これは、実際の勤務地となる研究所が地方にある企業も多いためと考えられます。
このように、職種や学歴によって地域による給与の差はさまざまで、それぞれの地域での企業のニーズや特徴が反映されているのです。
初任給はいつ・いくらもらえる? シミュレーションしてみよう
社会人としての生活を始める最初の1~2カ月は、家賃の支払いや生活用品の購入など、支出が重なる時期です。生活に必要なお金を計算するうえでは、初任給が実際にいつ、どのようなタイミングで支給されるのかも大切なポイントですよね。この章では、初任給の支給パターンを具体的なケースでシミュレーションしてみましょう。
初任給の支給パターンの例
- Aさんの場合
都内のIT企業で働く新卒社員。資格手当1万円が支給されるほか、住宅手当3万円を利用し、職場近くの賃貸マンションに住んでいます。 - Bさんの場合
地方のメーカーで働く新卒社員。地域手当2万円と職務手当1万円が支給され、車通勤のため通勤手当が月2万円支給されます。
項目 | Aさんの場合 | Bさんの場合 |
---|---|---|
基本給 | 20万円 | 19万円 |
手当 | 住宅手当3万円、資格手当1万円 | 地域手当・通勤手当各2万円 職務手当1万円 |
入社日 | 4月1日 | 4月15日 |
給与支給日 | 毎月25日 | 毎月末日 |
通勤手当 | 申請月の翌月から支給 | 申請月の翌月から支給 |
住宅手当 | 賃貸契約書提出後、翌月から支給 | – |
4月分給与 | 21万円 (内訳:基本給20万円+資格手当1万円) | 12万円 (内訳:22万円×12日÷22日の日割り計算) |
5月分給与 | 25.5万円 (内訳:基本給20万円+資格手当1万円+住宅手当3万円+通勤手当1.5万円) | 24万円 (内訳:基本給19万円+地域手当2万円+職務手当1万円+通勤手当2万円) |
このように、初任給は入社日や給与支給日によって金額が変わることがあります。また、基本給に加えてさまざまな手当が支給されますが、多くの手当は申請が必要であるため、実際の支給までにタイムラグが生じます。
住宅手当のように契約書の提出が必要なものもあるため、入社後の生活に備えて、いつどのような手当が支給されるのか、事前に確認しましょう。
初任給がいつからもらえるのかは、事前に確認しておきましょう。最大で入社してから2カ月経たないと初任給がもらえない会社もあります。
たとえば、4月に入社しても4月分の給与を当月ではなく翌月に支払う企業があります。すると、月末支払いの場合、4月1日入社でも初任給が5月31日払いとなってしまいます。
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職業選択においてやりたいことはもちろんですが、その中でも適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうため適職への理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業と低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみよう!
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どうして差がある? 初任給が高い会社の特徴
どうして差がある? 初任給が高い会社の特徴
- 会社の業績が安定している
- 業務に専門的な知識や技術が必要になる
- 業界水準が高い
- 諸手当が手厚い
就職活動中の学生にとって、初任給は重要な関心事の一つです。しかし、同じ大卒でも、業界や企業によって初任給には大きな差があります。厚生労働省の「令和6年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査」によれば、大卒の初任給の平均は約21万円ですが、業界によっては30万円を超える企業も珍しくありません。
企業によって、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。ここでは、初任給が高い会社に共通する特徴を、企業の採用戦略や業界事情の視点から解説します。
会社の業績が安定している
安定した業績を誇る企業は、人材への投資に積極的な傾向があります。特に新卒採用では、将来を見すえた人材育成の観点から、初任給を高く設定することで優秀な人材の確保を目指しているケースも。財務基盤が安定していることで、景気変動の影響を受けにくく、安定した給与水準を維持できることも、初任給を高く設定できる理由です。
このような企業では、新卒採用を企業の将来への投資と位置づけており、長期的な人材育成計画にもとづいて採用活動をおこなっています。社員の定着率の向上を図るため、業界平均以上の給与水準を設定している企業も少なくありません。
さらに、業績連動型の賞与制度を導入することで、会社の成長を社員の収入増加に直接反映させる仕組みを整えている企業も増えています。
- 初任給にかかわる会社の業績はどのように確認すれば良いでしょうか?
上場企業であれば決算書や株価から業績を確認しよう
上場企業は年4回、決算発表をしなければいけないので、決算書を見て企業の収益・経費、資産・負債など財務状況が確認できます。
売上高や利益でマイナスが続いていれば、次の業績はあまり期待できないでしょうし、プラスが続いているならその伸び率に注目してみましょう。急激な伸び率なのか、ゆるやかな伸び率なのか、企業の成長具合を示しています。
また、株式にも注目したいですね。株価はどうなっているのでしょうか。株価には企業への期待度、この企業はきっと伸びるだろう=投資したほうが良い企業という思惑が現れています。
理由があって株価は高くなっているので、その理由を探ると良いと思いますよ。
業務に専門的な知識や技術が必要になる
高度な専門知識や技術が必要とされる業界では、初任給も相応に高く設定されています。IT業界やコンサルティング業界、金融業界などがその代表例です。これらの業界では、入社時点である程度の専門性を持った人材を求めており、その対価として高い初任給を提示しているのです。
特に新しい技術やビジネスモデルが求められる分野では、専門的なスキルを持つ人材の獲得競争が激しくなっています。そのため、資格取得者や特定のスキルを持つ人材に対して、別途手当を設定している企業も多く見られます。
また、入社後も継続的なスキルアップが求められることから、資格取得支援制度や研修制度が充実している企業が多いのも特徴です。
初任給が高い職種には、高度な専門知識やスキルが求められるでしょう。たとえばITエンジニア、金融業界のアナリスト、コンサルタントなどがあります。
ただし、高給与には相応の責任や長時間労働が伴うことも少なくないため、自分の適性やキャリアプランをよく考慮することが重要です。
業界水準が高い
金融業界や商社、コンサルティング業界などは、従来から給与水準の高い業界として知られています。これらの業界では、競合他社との人材獲得競争も激しく、業界全体として高い給与水準が形成されているからです。
また、付加価値の高いビジネスモデルを持つ企業が多いため、従業員一人当たりの売上高や利益が高く、それが給与に反映されています。
特に大手企業では、業界内での人材獲得競争が激しいため、競合他社の給与水準を意識した初任給設定をおこなっています。また、グローバル展開している企業では、海外企業との競争も考慮に入れる必要があり、国際的な給与水準を意識した待遇を提供することも。
さらに、これらの業界では営業成績や業績に応じたインセンティブ制度が充実しており、基本給以外での収入アップも期待できます。
大手新聞社は、以前は高給取りで知られていました。しかし、最近は発行部数をかなり減らしているので、影響を受けていると思います。また、大手マスコミ・メディア系も高いとされていますが、すべての職種で高いとは限りません。
給料の高さは業界の平均水準によって大きく変わります。給料が高い仕事が気になる人はこちらも参考にしてみてくださいね。
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諸手当が手厚い
基本給はそれほど多くなくても、さまざまな手当を充実させることで実質的な給与を高めている企業も少なくありません。住宅手当、通勤手当、家族手当などの生活関連手当は、特に都市部の企業で手厚く設定されている傾向があります。
また、資格手当、技能手当などの職務関連手当も、社員のスキルアップを促進する意味で重要視されています。
また最近では、在宅勤務手当やテレワーク手当など、新しい働き方に対応した手当を導入する企業も出てきました。福利厚生の一環として、社員食堂の利用補助や健康診断の補助など、金銭以外の待遇も含めて総合的な処遇を考える企業が増えています。
これらの諸手当は、基本給と合わせて「総支給額」となり、実質的な収入を左右する重要な要素となります。特に社会人生活のスタート時には、住居費や通勤費などの初期費用がかかることから、これらの手当の有無や金額は、実質的な手取り収入に大きく影響します。
初任給が高すぎる会社はやばい? 考えるべき3つのリスク
初任給が高すぎる会社はやばい? 考えるべき3つのリスク
- 人手不足が深刻
- 過度な成果主義が求められる
- 残業が多い
初任給は「高ければ高いほど良い」とは一概には言えません。むしろ、業界の標準的な水準と比べて必要以上に高い初任給を提示する企業には、何らかの課題を抱えているケースもあります。高い給与に目を奪われて入社を決めたものの、想定外の労働環境に直面するといったミスマッチを防ぐためにも、しっかりとした企業研究が欠かせません。
初任給が高い会社の場合、先ほど解説したようなしっかりとした理由がある会社であれば問題ありませんが、業界水準と比較して明らかに初任給が高い場合には注意しましょう。
ここでは、初任給が高い企業を選ぶ際に考慮すべきリスクについて、実例を交えて解説します。
①人手不足が深刻
通常の相場よりも高い初任給を提示する背景には、深刻な人手不足がある可能性も。離職率が異常に高い企業や、業界内での評判があまり良くない企業が、人材確保のために初任給を引き上げているケースが見受けられます。この場合、入社後の労働環境や人間関係に課題があることも考えられます。
実際の就業環境を知るためには、企業の公開データだけでなく、より詳細な情報収集が必要です。たとえば、直近3年間の離職率データや、従業員の年齢構成、新卒採用人数の推移などをチェックすることで、職場の実態が見えてきます。また、OB・OG訪問や口コミ情報なども、働く環境を知るうえで貴重な情報源となるでしょう。
- 実際、人手不足が理由で初任給だけを高くしている会社は多いのでしょうか?
優秀な人材の確保のために初任給を引き上げる企業は存在する
実際、人手不足を背景に初任給を高く設定している企業は存在します。特に介護業界や建設業、IT業界などでは深刻な人材不足が続いており、優秀な人材を確保するために初任給を引き上げるケースが見られます。
たとえば、ITスタートアップや中小企業では、限られた人材を引きつけるために初任給を競争力のある水準に設定することがあります。
ただし、初任給が高い場合でも、労働環境や長時間労働、キャリア成長の機会など、ほかの要素も確認することが重要です。
高給与の裏にある事情やリスクを理解し、総合的に企業を評価することが求められます。
②過度な成果主義が求められる
高い初任給の代わりに、厳しいノルマや過度な成果を求められる企業もあります。特に営業職では、高い給与の見返りとして、達成困難な売上目標が設定されているケースも少なくありません。新入社員であっても即戦力として扱われ、十分な研修期間もないまま成果を求められることもあります。
このような環境では、新入社員の成長に必要な失敗や学習の機会が十分に確保されず、早期離職につながるリスクも高まります。企業説明会や面接では、評価制度の詳細や新人研修の内容、配属後のサポート体制について、具体的に確認することが重要です。また、先輩社員の定着率や昇進・昇給の実績なども判断材料にしてください。
- 高い初任給の場合、それ相応の仕事を求められるということでしょうか?
即戦力となるスキルや能力に期待されている
当たり前ですが、誰でもできる仕事は賃金は安く、スキルや能力が必要な仕事は替えが効かないため賃金は高いです。企業からすれば人件費を少しでも抑えたいので、同じ能力なら単価の安い人を雇用したいと思うでしょう。
一方、初任給から高いということは、その人の能力を高く評価しているということです。学生時代から特定の分野について、高度な知識と能力を獲得するためにずっと努力していた人に対する対価と考えてください。
注意点としては、初任給が高いからといって安易に飛びつかないことです。その賃金に見合った働きが求められていますから、それだけのスキルや能力が自分に備わっているかしっかりと自己分析しましょう。
③残業が多い
基本給に加えて残業代を含めた金額を初任給として提示している企業もあります。
後ほど詳しく説明しますが、「みなし残業代制」や「固定残業代制」と呼ばれる制度は、時間外・休日・深夜労働の割増賃金を基本給に含めて支払う方法です。
この場合、残業が前提となった労働環境である可能性が高く、ワークライフバランスが取りづらい状況が想定されます。特に、人手不足が深刻な業界や繁忙期が長い業種では、慢性的な長時間労働に陥りやすい傾向があります。
企業研究の段階で、月平均残業時間や有給休暇の取得率、フレックスタイム制度の有無など、働き方に関する具体的なデータを確認することが大切です。また、インターンやOB・OG訪問では、実際の労働時間や残業の状況について詳しく質問しましょう。
国が定めている36協定の内容や残業代の計算方法、代休取得の制度なども、事前に把握しておくべき重要な情報です。さらに、最近では働き方改革への取り組み状況も、企業選びの参考に役立ちます。
固定残業代制の企業にどんなリスクがあるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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過度な残業がある企業には特徴があります。ブラック企業の特徴も勉強しておきましょう。
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初任給が低くても魅力的な会社とは?
初任給が低くても魅力的な会社とは?
- 長期的なキャリア形成ができる会社
- 昇給や成長機会が豊富な会社
- 福利厚生が手厚い会社
就職活動では初任給の額に目が行きがちですが、長期的なキャリア形成を考えると、必ずしも初任給の高さだけで企業を判断すべきではありません。実は、初任給は比較的控えめでも、総合的に見て魅力的な企業は数多く存在します。初任給は低くとも、その後の伸び代が大きく、生涯年収としては多額の金額が手元に入ってくるパターンもあります。
就活では、「今だけ」ではなく「将来」を見すえた企業選びが大切です。初任給の数字だけにとらわれず、企業は慎重に選びましょう。ここでは、初任給が業界平均より低くても検討に値する企業の特徴について解説します。
長期的なキャリア形成ができる会社
初任給は控えめでも、体系的な人材育成制度を持つ企業は、長期的なキャリア形成という点で魅力的です。たとえば、充実した研修制度や、計画的なジョブローテーション、海外勤務の機会など、さまざまな経験を通じて成長できる環境が整っています。
特に大手企業では、入社後3〜5年程度の育成計画が明確に定められていることも。指導経験豊富な先輩社員が多く、実践的なスキルを着実に習得できる環境も魅力です。
また、自己啓発支援制度や資格取得支援制度が充実している企業では、継続的なスキルアップが可能です。最近では、専門職制度やキャリアパス制度を導入し、社員の成長をサポートする企業も増えています。
昇給や成長機会が豊富な会社
初任給は低くても、昇給制度が充実している企業は、長期的に見ると収入面での魅力が高くなります。特に、実力主義の評価制度を持つ企業では、頑張りが給与に反映されやすく、早期のキャリアアップも期待できます。
また、業績連動型の賞与制度や、ストックオプションなどのインセンティブ制度を導入している企業もあり、会社の成長とともに収入も増えていく可能性があります。
中小企業やベンチャー企業では、新規事業の立ち上げや、プロジェクトリーダーへの登用など、やりがいのある仕事にチャレンジできる機会が多いのも特徴です。経営層との距離が近く、自分のアイデアや提案が採用されやすい環境も、キャリア形成の観点からは大きな魅力になりますよ。
- ベンチャー企業などは給料の上がるタイミングが多かったり、昇給率が高かったりするのでしょうか?
ベンチャーも大手も企業ごとの方針で決められている
結論からいうと、各会社ごとに異なるので事前に確認する必要があります。給料の上がるタイミングが多く昇給率が高いベンチャーもあれば、大手企業でもそのような会社は存在します。
また、ベンチャーでも給料の上がるタイミングが少なく、昇給率の高くない会社もあります。給料の面に関しては、業界や企業規模というよりも、各社の方針によって異なるため、しっかりと事前にリサーチしましょう。
成長機会が豊富な会社に入りたいと思う学生はベンチャー企業もおすすめですよ。次の記事で読んでおきましょう。
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福利厚生が手厚い会社
初任給は業界平均以下でも、充実した福利厚生制度を持つ企業は、実質的な待遇面で魅力的です。たとえば、社宅や寮の提供、住宅手当の充実など、住居面でのサポートが手厚い企業では、実質的な生活水準を高く保つことができます。
また、社員食堂の完備や食事手当の支給、保育所の設置や育児支援制度の充実など、生活面での支援が充実している企業も増えています。
さらに、健康診断や各種保険の補助、財形貯蓄制度、従業員持株会など、将来を見すえた制度が整っている点も見逃せません。
最近では、「カフェテリアプラン」のように社員のライフステージに合わせた福利厚生の選択ができる企業も増えてきました。また、テレワーク環境の整備や、副業・兼業の許可など、多様な働き方を支援する制度も重要な検討ポイントです。
福利厚生は給与の一部として捉えることが重要です。
たとえば、住宅手当、交通費、健康保険、育児支援などは実質的な生活費を大きくサポートしますし、社員食堂やリフレッシュ施設、研修制度などは働きやすさや自己成長を促進し、長期的なキャリア形成に寄与します。
一度、これらの福利厚生を金銭的な価値に換算してみることで、実際の総収入を把握しやすくなります。さらに、福利厚生が充実している企業は、社員の満足度や定着率が高い傾向にあるため、安定した職場環境を求める人には特におすすめできます。
自分にとって最適な職場を見つけるためにも、給与のみならず、総合的な待遇を比較検討しましょう。
福利厚生がイマイチ具体的にイメージできない人は、こちらの記事を参考にしてください。
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就活生向けに多くの企業で導入されている福利厚生や人気の福利厚生をランキング形式で紹介し、福利厚生に着目した企業選びについて解説します。キャリアアドバイザーによる企業側の視点も解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
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就活のプロに聞いた! 初任給はそんなに重要?
そもそも初任給の金額は、その会社の評価制度や将来性とも密接に関係しています。高すぎる初任給にはリスクが潜んでいる可能性もありますし、逆に初任給が業界平均より低くても、長期的に見ると魅力的な企業も少なくありません。
勤務地や職種など、さまざまな条件があるなかで、初任給はどの程度重視すべきなのでしょうか。また、初任給を見る際に、特に注意すべきポイントはあるのでしょうか。
初任給を企業選びの判断材料としてどう活用すべきか、就活のプロに聞いてみました。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る初任給よりも生涯年収が人生設計において大切
初任給は大事ですが、気にすべきは生涯年収です。昇給率はどうでしょうか。そしてそれは、ライフプランと合致した曲線を描いているのでしょうか。
多くの人が結婚して子どもをもうけ、自分の家を持つことでしょう。子どもが成長するにつれ教育費がふくらみ、40代後半〜50代で家計の支出がピークを迎えます。子どもが大学に進学する時期だからです。
また、ちょうど親の介護が始まったり、自分たちの老後の資金を準備したりする時期でもあります。そのときの年収はいくらくらいでしょうか。
結婚しなかったとしても、親の介護の問題、家の修繕、固定資産税の支払いなど、大金が必要なイベントはたくさんあります。どのような人生を送りたいのか、ライフプランは明確になっていますか。
初任給が高い仕事の場合は内容をしっかり確認しよう
初任給は一時的なものです。自分のライフプランを実現するためには一体いくら必要なのか、ファイナンシャルプランも一緒に考えましょう。
なお、最近闇バイトが世間を騒がせていますが、誰でも簡単にできる楽な仕事で高額の給与がもらえる仕事はあり得ません。金額だけでなく、仕事内容もしっかり確認しましょう。
学生が初任給と併せて注目すべき5つのポイント!
学生が初任給と併せて注目すべき5つのポイント!
実際の収入や将来の待遇を判断するには、初任給だけでなく、より広い視点での企業研究が必要です。特に、長期的な収入を左右する制度や、実質的な手取り額に影響する要素については、しっかりと確認しておきましょう。
また、近年の働き方改革により、給与体系や労働時間に関する制度も大きく変化していることから、最新の情報を収集することも欠かせません。
実際の生活設計や将来のキャリアプランを考えるうえでは、より包括的な視点で企業の待遇を評価しましょう。ここでは、初任給と併せて注目すべき3つのポイントについて解説します。
①昇給制度が整っているか
昇給制度は、将来の収入を大きく左右します。そのため、定期昇給の有無や昇給額の基準、評価による昇給の仕組みなどを確認しましょう。特に、若手社員の昇給率や、役職に応じた給与体系については詳しく調べることをおすすめします。
入社後3〜5年での昇給実績や、管理職への昇進時期なども重要なポイントです。また、近年では年功序列型から成果主義型へと移行する企業も増えており、評価制度の内容も併せて確認してください。
実力次第で早期の昇給が可能な企業もあれば、勤続年数重視の企業もあるため、自身のキャリアプランに合った制度を持つ企業を選ぶことが大切です。
②ボーナス(賞与)がいくらになるか
賞与は年収を大きく左右します。多くの企業では年2回の支給が一般的ですが、支給回数や支給月数、支給条件は企業によってさまざまです。業績連動型の賞与制度を採用している企業では、過去数年の支給実績を見ておくと参考になります。
賞与の計算方法は基本給の何カ月分として設定されることが多く、評価によって支給額が変動する仕組みも一般的です。初年度は支給なしや減額支給となる企業もあるため、初任給と併せて初年度の年収をしっかり確認しましょう。
近年は決算賞与や業績連動賞与など、多様な賞与制度を導入する企業も増えています。企業研究の際は、賞与の仕組みについても詳しく調べてみましょう。
ボーナスは、すべての会社で必ず支給されるわけではありません。月々の給料を高く設定したり、年俸制にしたりしてボーナスをなくすこともあります。
また、業績悪化によりボーナスが減ったり支給されなかったりする可能性もあります。ボーナスが支払われないリスクも考慮しつつ、マネープランを考えることが大切です。
ただし、ボーナスがない会社でも魅力のある会社はあります。こちらの記事で企業選びの基準を押さえておきましょう。
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ボーナスを支給しない会社と聞くと、年収や業績を心配する人もいるかもしれませんが、実はボーナスがないことで社員が得をすることもあるのです。記事ではボーナスのない会社の本音や、ボーナスを軸にした会社の見極め方をキャリアコンサルタントとともに解説します。
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③みなし残業が含まれていないか
みなし残業とは
実際の残業時間にかかわらず、一定時間分の残業代を基本給に含めて支給する制度
みなし残業制度が適用される場合、見かけの初任給は高くても、実質的な時給は低くなる可能性があります。
企業に質問ができる機会があれば、みなし残業の有無、対象時間数、超過分の残業代の計算方法などを具体的に確認しましょう。また、実際の平均残業時間や、残業時間の削減に向けた取り組みについてもできるだけリアルな現状を知っておきたいところです。
最近では、働き方改革の一環として、みなし残業制度を廃止したり、残業時間の上限を設定したりする企業も増えています。自身のワークライフバランスを考えるうえでも、残業が含まれていないかはしっかりと確認しましょう。
④業務に必要な物品が支給されるか
業務に必要な備品や機器が支給されるかどうかは、実際の生活にも大きくかかわってきます。PCやスマートフォンなど、高額な機器が必要な職種では、個人負担が発生する可能性もあり、初期費用として考慮が必要です。
テレワークが一般化した現在では、在宅勤務時に必要な機器や通信環境の整備についても確認しましょう。たとえば、PCやモニター、Web会議用機器などの支給、通信費の補助、在宅勤務手当の有無なども、実質的な待遇を判断するポイントです。
また、ユニフォームや作業着、安全靴などが必要な職種では、これらの支給状況や更新頻度についても確認してください。特に営業職では、スーツ代の補助や着用基準なども把握しておきたい項目です。
ハイブランドのショップではもともとの値段が高いので、自社割引があったにしても購入金額はかなりの金額になるでしょう。
しかし、そうしたブランドが好きで入社している人にとっては、納得がいくのではないでしょうか。
⑤手当の種類と充実度はどうか
手当制度は、基本給とは別に支給される各種手当を指します。通勤手当、住宅手当、家族手当などの生活関連手当から、資格手当、役職手当などの職務関連手当まで、企業によってさまざまな種類があります。
よくある手当の種類
- 通勤手当:職場までの通勤にかかる交通費を補助する手当
- 住宅手当:家賃や住宅ローンの一部を補助する手当
- 家族手当:扶養家族(配偶者や子どもなど)に対する生活支援のための手当
- 資格手当:仕事に関連する資格を取得した際に支給される手当
- 役職手当:管理職やリーダー職など、役職に応じて支給される手当
特に転居をともなう就職の場合、住宅手当の有無や金額は生活に大きく影響します。たとえば、都市部での勤務では、家賃補助や社宅制度の充実度が実質的な待遇を左右することも。また、結婚や出産後の生活を見すえて、家族手当や育児支援手当などの制度もチェックしましょう。
コロナ禍以降は、在宅勤務手当やリモートワーク支援手当など、新しい働き方に対応した手当を導入する企業も増えています。将来のライフスタイルの変化も考慮に入れ、手当制度の内容をしっかり確認することをおすすめします。
初任給だけじゃない! 収入をアップさせる方法
初任給だけじゃない! 収入をアップさせる方法
- 都市部での就職を目指す
- 社内で昇進や昇給を目指す
- 手当が出る資格を取得する
- 副業が許される会社を選ぶ
新入社員として入社した後も、さまざまな方法で収入を増やすチャンスはあります。特に入社後3〜5年は、将来の収入に大きく影響する重要な時期といえます。仮に入社した企業の初任給が低かったとしても、その後の努力次第で大きく収入をアップさせることができるかもしれません。
業界や企業の特性を理解し、自身の市場価値を高めていく視点も欠かせません。ここでは、収入アップを実現するための具体的な方法について解説します。
都市部での就職を目指す
都市部、特に東京や大阪などの大都市圏では、地方と比べて給与水準が高く設定されている傾向があります。これは物価や生活費の違いを反映したものですが、同じ企業でも勤務地によって給与に差がつくケースも多くあります。
特に大手企業では、都市部勤務の場合、地域手当や住宅手当などの追加手当が支給されることが一般的です。たとえば、東京23区内での勤務では、基本給に加えて2〜3万円程度の地域手当が支給される企業も少なくありません。
また、都市部には給与水準の高い業界や企業が集中しているため、キャリアアップの機会も多く、転職による収入アップの可能性も広がります。
- 実際、都市部とそうでない場所の給与差は大きいですか?
都市部には高給与の業界が多く地方との給与差が存在する
都市部と地方では初任給に差が存在します。特に東京や大阪などの大都市圏では、IT、金融、コンサルティングなど高給与が期待できる業界が集中しており、その結果、初任給も高めに設定されています。
今後も一極集中が進むことで、都市部の給与水準はさらに上昇し、地方との差が拡大する可能性があります。
このスパイラル現象により、都市部の企業はさらに高い給与を提示し続け、地方の企業は競争力を維持するために給与引き上げに苦労する場面が増える可能性も高いです。
就職を考える際には、勤務地による給与差だけでなく、生活費やキャリア成長の機会も総合的に評価することが重要です。
社内で昇進や昇給を目指す
入社後の収入アップで確実な方法は、社内での昇進や昇給を実現することです。多くの企業では、定期昇給に加えて、評価による昇給や役職手当など、さまざまな形で収入アップの機会が用意されています。
昇進のためには、日々の業務で着実に実績を積み重ねましょう。具体的には、担当業務での成果を上げることはもちろん、資格取得や新しいスキルの習得にも積極的に取り組むことが求められます。また、社内の研修やプロジェクトにも積極的に参加し、経験を積むことで、より責任のある役職への昇進チャンスが広がります。
特に若手社員の場合、入社後3〜5年程度で最初の昇格機会を迎えることが多く、この時期にどれだけ実績を積めるかが、その後のキャリアに大きく影響します。早い段階から意識的にこれらのスキルを磨いていくことで、将来の収入アップを期待できます。
- 昇進意欲がない場合、やはり初任給が高い会社を目指すべきですか?
初任給だけでなく福利厚生や働き方などから企業を選ぼう
昇進意欲がない場合、初任給の高さだけでなく、長期的な問題も考えることが大切です。初任給が高い会社は魅力的に見えますが、その分労働環境が厳しかったり職場環境が悪かったりし、長続きしないリスクがあります。
昇進を望まなくても成果や経験が給与に反映される仕組みや、年次昇給の有無、福利厚生の充実度、残業時間といった点も確認しておきしましょう。
また、今は昇進意欲がなくても、今後昇進したいと思うようになる可能性もあります。若いうちから昇進しておけば、将来的にもっと昇進したり働き方を抑えたりと選択肢がありますが、年を重ねた後では昇進したくてもできない状況になりかねません。
自分のライフプランやキャリアプランを明確にし、昇進しないキャリアのメリット・デメリットを考えておきましょう。
手当が出る資格を取得する
資格手当の制度がある企業では、業務に関連する資格を取得することで、基本給とは別に手当を受け取ることができます。
資格手当の対象となりやすい資格には、公認会計士や税理士などの財務系資格、建築士や施工管理技士などの建設系資格、情報処理技術者試験の上位資格などがあります。これらの資格は取得に時間と努力を要しますが、手当額も比較的高く設定されていることが多く、長期的な収入アップにつながりますよ。
また、多くの企業では資格取得支援制度も設けており、受験料の補助や報奨金の支給などもおこなっています。複数の資格を取得することで、より高額の手当を得られる企業も少なくありません。資格取得は収入アップだけでなく、キャリアの幅を広げることにもつながる将来への投資といえるでしょう。
どんな資格を取ればいいのか迷っている人は、こちらの記事も読んでみましょう。
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これからの時代に役立つ資格23選! プロが注目する資格や選び方も
これからの時代に役立つ資格には、どんな特徴があるのでしょうか。この記事では、これからの時代に役立つ資格をキャリアコンサルタントとともに解説します。10年後やAI時代に生き残る資格の特徴・選び方や注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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副業が許される会社を選ぶ
近年、副業・兼業を認める企業が増加しています。働き方改革の一環として、柔軟な働き方を推進する企業では、一定のルールの下で副業を認めているケースも少なくありません。副業支援制度を設けたり、社内副業制度を導入したりする企業も出てきており、新しい働き方として注目を集めています。
副業が認められる企業では、本業に支障がない範囲で、フリーランス業務やコンサルティング、オンラインでの教育事業など、さまざまな形態で追加の収入を得られます。特にIT業界やクリエイティブ職では、個人の専門スキルを活かした副業の機会が豊富です。
ただし、副業をおこなう際は、会社の副業規定をしっかりと確認し、必要な届出や報告をおこないましょう。また、確定申告などの税務手続きも必要となるため、 副業に必要な知識を事前に身に付けておくことも大切です。
初任給や給与が低い場合に副業を検討するのも一つの選択肢ですが、私の見解ではまず本業に集中し、社内での成長機会を最大限に活用することをおすすめします。
新卒入社後は会社の文化や業務に慣れ、将来のキャリア形成を見すえてスキルを磨き、社内での昇進や昇給を目指すことで、長期的に生涯年収を増やすことが可能です。
副業に頼る前に、本業での実績を積み、評価を高めることが、結果的に中長期的に安定した収入増加につながります。
安易な副業は本業に支障をきたすリスクもあるため、まずは会社内でできることを増やし、着実にステップアップしていくほうが長期的に見て効果的です。
初任給とは何かを正しく理解して納得のいく就職をしよう
初任給は、多くの学生が気にする要素の一つです。しかし、初任給だけで企業の待遇を判断するのは適切ではありません。この記事では、初任給の基本的な知識から、評価のポイント、収入アップの方法まで、お金に関するさまざまな観点を解説してきました。
就職活動では、初任給の額面だけでなく、実質的な手取り額や将来的な昇給の可能性、福利厚生の充実度なども含めて総合的に企業を評価することが大切です。また、業界による給与水準の違いや、都市部と地方での待遇の差なども理解しておく必要があります。
注目したいのは、長期的なキャリア形成ができるかどうかです。初任給が高くても、その後の昇給がほとんどない企業もあれば、初任給は控えめでも着実な昇給が期待できる企業もあります。自身のキャリアプランに合った企業を選ぶためにも、給与に関する正しい知識を持って就職活動に臨みましょう。
アドバイザーコメント
吉田 隼人
プロフィールを見るライフプランやキャリアプランを叶えるための働き方を選択しよう
ここまで記事を読んでみて、初任給について具体的なイメージはわきましたか? 初任給をもらうのを楽しみにしている人や、初任給の高さを大事にしている人もいるのではないでしょうか。
初任給は社会人生活のスタート地点として、また、これからの生活を設計するうえで非常に重要な要素です。上記に記載しているとおり、単に金額の大小だけに注目するのではなく、長期的な安定性や職場環境、そして自分のライフプランやキャリアプランに合った働き方を考えることを大切にしましょう。
手取り額をしっかり把握し、無理のない範囲で計画を立てることで、新生活を安心して始めることができます。初任給が入ったからといって使いすぎないように!
初任給の高さだけでなく長期的に働きやすい環境の企業を選ぼう
また、ご存知のとおり、初任給の額は各企業によって異なり、業界や職種によっても違います。一見高い初任給は魅力的に感じるかもしれませんが、それが長期的な収入や働きやすさに直結するとは限りません。
初任給の高さだけでなく、年次昇給の有無や福利厚生の充実度、職場の雰囲気なども確認することが重要です。
お金はあくまでただの手段であり、自分がどのように生きていきたいか、自分がどうなりたいかといった夢やビジョンを描き、自分らしさを大切にしていくことが重要だと私は思っています。
初任給をきっかけに、お金の管理なども学び、自分らしい働き方と生活スタイルを築いていきましょう!
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/就活塾「我究館」講師
Hayato Yoshida〇東証一部上場の人材会社で入社2年半で支店長に抜擢。これまで3,000名以上のキャリアを支援。現在はベストセラー書籍「絶対内定」シリーズを監修する我究館でコーチとして従事
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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