この記事のまとめ
- スタートアップとベンチャーの違いを把握するには目的の理解が重要
- スタートアップとベンチャーの違い12個をわかりやすく解説
- スタートアップとベンチャーの共通点も把握し理解度を深めよう
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「スタートアップ」と「ベンチャー」の2つの形態を聞いた際「違いがわからない」「そもそもそれぞれどういうものなのだろう」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。言葉を知っていたとしてもどちらも「起業したての会社」というイメージしかない人も多いと思います。
たしかに、起業してから年数が経っていない会社を指しますが、スタートアップとベンチャーは目的が異なり、その影響でさまざまな違いがあるのです。
この記事では、キャリアアドバイザーの板谷さん、柴田さん、高尾さんのアドバイスを交えつつ、スタートアップとベンチャーの違いや目的について解説します。入社後に感じる部分や業界の課題など、さまざまな違いを解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
スタートアップとベンチャーの違いを知るには目的の理解が重要
スタートアップとベンチャーは、似たような意味から混同して考える人も多いはずです。しかし、2つの企業は目的と将来のビジョンが違います。
同じ意味だと思って一括りに捉えると、就活の選択肢として自身に合っているかが判断できなくなるので、違いをきちんと理解しておきましょう。
記事では、まずスタートアップとベンチャーが掲げる目的を説明します。目的の違いを理解し、各企業がどのような将来像を目指しているのかを把握しましょう。
また、目的と将来像以外にも違いがあり、企業全体で見る部分や入社後に感じる部分の違いを知れば、漠然としていた2つの違いがより明確になります。最後に、スタートアップとベンチャーに向いている人の特徴も解説するので、記事を読み進めて自身の就活の選択肢になるかどうか参考にしてください。
そもそもスタートアップとベンチャーの目的とは?
スタートアップとベンチャー企業には、それぞれ明確な目的が存在します。しかし、企業のホームページ(HP)に書いてあるわけではないため、理解している人は少ないですよね。
まずは、2つの企業の目的を知り、それぞれどのような方向性を目指しているのかを知ることで、大まかな違いが理解できます。
ここからは、スタートアップとベンチャーが目指す方向性や目的を説明します。企業選びをする前の前提知識となる部分のため、覚えておきましょう。
スタートアップ:短期間の成長を目指す
スタートアップとは、新しいアイデアを生み出して市場へ開拓し、世の中に新しい価値を提供できる企業です。
スタートアップでは創業から数年以内でビジネスを成長させることを目標にしています。今までにない技術や新しいビジネスモデルを採用していて、市場での認知度が低いためです。
このような企業は、市場に出したビジネスの結果を早く出すことを目標にし、大きなリターンを得ることを目指します。
何か新しいビジネスを始めるときは、最初は市場の認知度の低さから客層も付かず、売り上げが上がらないものです。初期段階での赤字リスクを抱えつつ、いち早く利益を上げなければなりません。
そのため、認知度の低さから売り上げを増やす戦略と成功のリスクを考慮しつつ、高いリターンを目指して短期間での成長を目指しています。
スタートアップ企業は短期間でのビジネス急成長を目指します。リスクを恐れずに急速な拡大を目指すのであれば、投資家などからの資金調達が万全であることも必要です。
そのためにも、ゴール設定が明確かつ現実的であることが求められます。
ベンチャー:中長期的な社会貢献を目指す
ベンチャー企業とは、革新的なビジネスアイデアと技術を利用して市場を切り開いていく企業です。
ベンチャーでは、利益を追求するだけでなく、社会に持続的な良い影響を与えることを目指しています。新しい市場や技術に挑戦し、堅実に時間をかけて事業を展開していくのです。
ベンチャー企業では、すでに存在するビジネスモデルをベースにしつつ、それをどのように進化させ社会に貢献できるかを探求しています。
下記のような社会貢献が例に挙げられます。
遠隔医療システムを扱うベンチャー企業の例
遠隔医療システムを開発して、地方の人々が専門医の診察を遠隔で受けられるようにする:リモハブ
AI学習教材を扱う企業の例
AI(人工知能)を活用した学習プログラムを提供して、一人ひとりの学生に合わせた教育を実現する:COMPASS
これは、すでにある医療や教育ビジネスに新しいアイデアを取り入れることで、さらなる発展を目指しています。また、環境問題への対応やほかの分野にも注目しながら、利益追求と並行して社会に貢献することもベンチャー企業の重要な目標です。
ベンチャー企業による社会貢献の事例はさまざまです。
たとえば、Plusbaseは看護師が気軽に悩みを相談できる窓口としてナースビーを提供して離職率の低下に貢献しています。
また、プレスマンはうつの人を減らすための取り組みとしてメタバース空間を活用した教育コンテンツを提供しています。
ベンチャー企業について、目的だけでなく、社風や定義も知りたい人は下記の記事に詳しく書いてあるので参考にしましょう。
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多くのAIはベンチャー企業で作られているともいわれています。こちらのQ&AでもキャリアコンサルタントがAIベンチャーの企業について解説しているので、併せてチェックしてみましょう。
就活のプロが解説! スタートアップとベンチャー企業の違いや見極め方
スタートアップとベンチャー企業の目的は理解できても、興味のある企業がどちらに該当するのかわからず「この企業はどっちなの?」と疑問に思う人もいますよね。
疑問を解決するためにも、就活のプロであるキャリアコンサルタントの高尾さんに、双方の企業の違いや見極め方を聞きました。これから就活の選択肢に入れる企業が、どちらに該当するのか判断するときの重要なポイントとなるため、参考にしましょう。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見るスタートアップとベンチャーのおもな違いは「方向性」と「経済状況」
まず、企業のビジネスモデルやミッションステートメントを確認しましょう。
スタートアップの場合、革新的な技術やサービス開発に注力していることが多く、その内容が明確に記載されています。たとえば「新しい市場の創造」や「従来の問題を解決」といったフレーズが見られます。
ベンチャー企業の場合は、「市場シェアの拡大」といった、既存の市場でのさらなる競争力強化を目指す表現が多いです。
各企業の事業進捗や市場でのポジションもチェックしよう
事業計画や資金調達状況も重要なポイントです。
スタートアップはベンチャーキャピタルからの初期投資を受けていることが多く、資金調達の成功が成長の鍵となります。シードラウンド、プレAラウンドといった言葉で表現されることが多いです。
一方、ベンチャー企業は、すでにプロダクトマーケットフィット(商品やサービスが市場に適切に受け入れられている状態を指す言葉)して一定の収益を上げていることから、ベンチャーキャピタルに加えて銀行などからも成長のための追加資金調達をおこなう場合が多いです。
Bラウンド、Cラウンドといった言葉で表現されることもあります。
ただし、スタートアップとベンチャーという概念自体は必ずしも正しく認識されておらず、名乗る企業そのものも、自身を正しく表現できていない可能性があることに留意しましょう。
スタートアップとベンチャーの違いがわかる4つのポイント
スタートアップ | ベンチャー | |
①ビジネスモデル | 独自のビジネスモデルを生み出す | 既存のビジネスモデルがある |
②資金調達法 | 投資家から資金を集める | 銀行融資や政府の助成金から資金を集める |
③成長角度 | 短期間での成長を目指す | 中長期的に着実な成長を目指す |
④収益化の速度 | 収益が遅い | 早期に収益を上げられる |
スタートアップとベンチャーは目的の違いだけでなく、さらに4つの違いが存在します。事業を展開するうえで必要なビジネスモデルや、成長の度合いなど企業全体の動きも異なります。
それぞれの違いを知ることで、自分の価値観やキャリアの目標に合っているかの判断が可能です。いずれ働く企業にするかどうかの指標になるため、読み進めて違いを理解しましょう。
①ビジネスモデル
スタートアップでは、まだ市場に出ていないような独自のアイデアで事業を始めます。一方ベンチャー企業は、既存のビジネスモデルをもとにしながら、そこに新しい要素や改善を加えて事業を展開する仕組みです。
たとえば、スタートアップが市場にAIシステムを導入したとします。一方ベンチャーはAIからヒントを得て、教育や医療現場にAIシステムを用いた事業を展開するようなイメージです。
新しいことを始める点で双方に違いはないのですが、既存のビジネスモデルがあるかないかで企業の目的だけでなく、資金や収益などさまざまな違いに影響を与えています。
②資金調達法
前述したビジネスモデルの違いは、資金調達法にも影響しています。
スタートアップは、革新的なアイデアと大きな成長の可能性を秘めた事業を展開するため、投資家から資金を集めます。伸びしろのある事業としてアピールし、投資家たちに大きなリターンがあると信じてもらい資金を調達するのです。
ベンチャーは、既存のビジネスモデルをもとに事業をおこなうため「利益が安定している」と判断されて、銀行融資や政府の助成金などから資金調達を受けやすくなります。反対にスタートアップでは、銀行からの資金調達が難しいです。
つまり、スタートアップは投資家から資金調達して大きな収益を目指すのに対して、ベンチャーは銀行融資や助成金を活用し、安定した成長と収益を目指すという違いがあります。
- スタートアップは投資家からの資金調達に頼るしかないのですか?
企業の成長につれて資金元が変わることもある
スタートアップの初期段階であれば、エンジェル投資家やVCと呼ばれるベンチャーキャピタルからの資金調達や自己資本に頼ることが多いです。
しかし、成長ステージが上がるにつれてクラウドファンディングや国や地方自治体からの補助金や助成金を獲得することもあります。
また、大企業との戦略的パートナーシップを結ぶケースや、銀行からの融資、新株の発行などによって資金調達を図る場合もあります。
③成長角度
企業の成長角度も、ベンチャーとスタートアップで違いがあります。スタートアップは、市場にいかに認知度を広めるかを大事にしていて、初期段階での急速なスケールアップを目指します。認知度を高め、短期間での成長を目指しているのです。
一方ベンチャーは、すでに世間に知られているビジネスモデルなので、認知度を高めるのではなく段階的な成長を設定しています。各成長段階での目標と戦略を設定し、リスクも管理しながら確実なステップを踏んで事業発展ができるでしょう。
このように、スタートアップとベンチャーでは、成長の道筋が大きく異なります。
キャリア目標や働き方に合った環境を選ぶには、急速な成長と変化に対応することに魅力を感じるのか、安定した成長とリスク管理をする環境で働きたいのかを考えると良いでしょう。
スタートアップは、初期段階で急速な成長を目指すため、成功すれば短期間で大きな成長を遂げることが多いです。革新的なビジネスモデルや技術が市場に受け入れられた場合にはその様子が顕著になります。
一方、ベンチャー企業は既存の市場で競争力を高めていくため、比較的安定した成長が見込めますが、成長スピード自体は緩やかです。
ベンチャー企業の取る戦略として、持続可能な収益性を追求しながら市場シェアを拡大しようとすることが一般的だからです。
④収益化の速度
市場に認知されているかどうかで、収益化の速度にも違いが出てきます。スタートアップは、初期段階では利益を上げるよりも製品の認知度を高めることや、製品の安定性を向上させるための研究に力を入れています。
起業してすぐは赤字が続きますが、一度市場に認知されると高いリターンを得られるのです。
ベンチャーは既存のビジネスモデルをもとに事業を展開するので、世間からの興味も獲得しやすく比較的早い段階から収益を生み出せます。
赤字の時期はありますが、利益が早い段階で見込めて着実に収益を伸ばします。
つまり、スタートアップは認知度を優先することで収益を出すのが遅いのに対して、ベンチャーは早期に収益を上げることが可能です。しかし、どちらの企業もすぐに黒字になることはなく、収益化に成功した場合には、その収益を成長資金として再投資し、安定した事業拡大を目指しています。
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スタートアップとベンチャーの入社後に感じる4つの違い
スタートアップ | ベンチャー | |
①裁量権の大きさ | 一人ひとりの裁量権が大きい | 企業の成長具合により裁量権が変わる |
②やりがいを感じる部分 | ゼロから作り上げる過程と成果 | 既存モデルの成長と進化 |
③社員同士の距離感 | 社員一人ひとりの距離感が近い | チームでの距離感が近い |
④評価の受けやすさ | 個人の評価を受けやすい | チームで評価されることが多い |
ビジネスモデルや資金調達法などは企業規模の話であり、実際に違いとして感じにくいですよね。しかし、スタートアップとベンチャーには入社後に感じる違いもあります。
どちらも新しく事業をスタートするので、業務量の大変さや結果を出すことは同じでも、細かな部分で違いが生じるのです。
いざ入社してから、企業とのギャップを感じないためにも、これから説明する4つの違いを理解しておきましょう。
①裁量権の大きさ
裁量権とは、社員が自己判断で業務をどれだけ自由に進められるかを意味します。
スタートアップでは、事業がゼロからスタートするため、全員が事業成長のためにさまざまな役割を担います。従業員一人ひとりに、プロジェクトの方向性を決めたり日常の業務を選んだりと裁量権が大きいのが特徴です。
一方、ベンチャー企業でも同様に裁量権はあるものの、スタートアップほどではありません。企業の成長具合によって、業務フローや役割が決められているためです。
すでに成長しているベンチャーの場合、役職に付いている人がいるはずです。何かアイデアや改善案を出したとしても、実行するのは提案が採用されてからであり、既存の業務フロー内でのみ実施するという制限があります。
- 裁量権が大きいスタートアップの方が仕事が大変なのでしょうか?
大きな裁量権をどう捉えるかにかかっている
こればかりは個人の価値観によると思います。
裁量権が大きいことで自分の思うとおりのビジネスを展開できる良いチャンスだと捉える人もいれば、何をどうすれば良いのかわからず戸惑う人もいるでしょう。
大切なのは、自分がスタートアップ企業で何をしたいかを明確にしておくことです。
「何となく格好良さそうだから」「ネットなどでよく取り上げられているから」などといったあいまいな理由で志望するのはやめましょう。
また、業種・職種で選ぶだけではなく、裁量権を含めた「働き方のスタイル」もよく調べておくことが大切です。
②やりがいを感じる部分
事業をゼロから始めるスタートアップでは、何もないところから新しい製品やサービスを作り上げます。たとえば、新しいアプリの開発をしたり、アイデア段階からリリースまで全部を担当したりしたとしましょう。
自分のアイデアや努力が製品に反映され、成果を目に見える形で確認できるため、大きなやりがいを感じられます。
ベンチャー企業では、すでにあるビジネスモデルを改良して、次のレベルに押し上げて市場に出していきます。既存モデルを成長し進化させて、さらに多くの人たちに受け入れられる過程にやりがいを感じられるでしょう。
業務においては決まった仕事の型がないことが多いので、自分の考えた仕組みやアイデアを適用しやすく、工夫次第で大きな成功を収めることができます。
多岐にわたる業務を経験できるので、成長実感も得やすいでしょう。
また、組織づくりにも大きくかかわることとなるため、売り上げの伸びだけではなく、チームや組織の成長にも関与することができ、大きなやりがいを感じられます。
仕事のやりがいを見つけたい人は、こちらの記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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③社員同士の距離感
スタートアップでは、まずは市場の認知度を上げるという共通の目標があります。目標に向かってミーティングや意見交換など、社員間での綿密なやり取りが必要です。
全員が一丸となって事業の成功を目指すので、オープンなコミュニケーションが発生し、社員同士の距離感が近いといえます。
ベンチャーでは、社員数が増えるにつれて各部門の役割が明確化されていきます。親密な関係を保ちつつも、成長段階ごとに定めた目標達成のため部門間での連携が重要です。
もちろん、コミュニケーションは取りながら業務進行しますが、企業全体ではなく部門内の社員一人ひとりの距離感が近いといえるでしょう。
④評価の受けやすさ
スタートアップでは、個人のアクションに対して評価を受けやすい傾向です。少人数で動いていることが多いため、社員一人ひとりの成果が目立ちやすいからです。
たとえば、あなたが何かアイデアを提案し実行したとします。そのアイデアは個人や少人数で動くため、良い結果が出たときは誰が主体となって動いたのかがわかりやすく、評価も受けやすいです。
一方ベンチャー企業では、個人に加えチームとしての成果も求められます。複数の部門が連携して目標に向かって業務を進めるため、組織全体の協力が重要視されます。個人の成果だけでなく、チーム全体の協力や連携によって達成された目標が評価されやすい傾向です。
もし営業チームが一年を通じて顧客を獲得して売り上げが増加した場合、チーム全体の努力が評価されるでしょう。このように、ベンチャーでは中長期的な動きから、チームとして成果を上げることで評価される傾向にあります。
スタートアップは想定したとおりに事業が進まないケースもあります。そうなると給料が当初の最低限しかなかったり、はたまたボーナスや残業代などを明記した契約書を締結していない場合もあります。
その点、ベンチャー企業の方がある程度制度が整っている印象があります。いずれも上場する前にはきちんと制度設計をおこなっている印象です。
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スタートアップとベンチャーの課題から見る違い
スタートアップ | ベンチャー | |
市場での対応 | 消費者の認知を上げることが最優先 | 事業モデルがトレンドから外れないことが大事 |
人材確保 | 認知度の低さから優秀な人材が集めづらい | より高度な技術を持った専門家が必要 |
スタートアップとベンチャーは成長のチャンスや可能性があるので、夢のある業界のように感じますよね。しかし、事業展開していくなかで課題が発生し、その課題にも違いがあります。
起業して数年以内のおもな課題は、市場での動きと人材確保です。企業を大きくすることを目標にしつつ、優秀な人材を会社に入れる必要があるためです。
ここからは、企業が抱える2つの課題について説明します。どのような課題を抱えているかを理解して就活の選択肢に入れるかを判断しましょう。
市場での対応
スタートアップの場合、今までにないビジネスモデルで市場に参入していくので消費者の認知を得ることが先決です。どんなに良いアイデアや商品でも顧客がいなければ利益にはなりませんよね。
そのため、まずはブランドの信頼性を築くべく、時間をかけて事業を展開していく必要があるのです。
一方で、ベンチャーは既存モデルのため、初期の段階からある程度市場の認知度があります。しかし、認知度があるとは言えビジネスが必ず軌道に乗るわけではありません。
モデルにした事業が市場のトレンドから外れないかどうかを読みながらの業務が重要です。また、自社が利益を上げるためにも、同じモデルで事業をおこなうライバル企業の動きも読まなければなりません。
人材確保
人材確保にも違いがあり、まずスタートアップは認知度が低いことで、優秀な人材を引きつけるのが困難です。事業の専門家を招きたくても、将来性や利益の不安定さから、専門家が興味を持ちにくい可能性があります。
そのため、将来のビジョンを明確にしたアピールが重要です。社員の成長機会が多いことや事業成長の可能性を前面に出して売り込みながら人材確保を進めます。
ベンチャーの場合、ベースにしたビジネスモデルの専門分野の人や、より高度な技術を持った人材が必要です。既存モデルのまね事にならないように、より知識のある人材を雇わなければいけません。
このようにスタートアップは、そもそも人材を雇うのが大変なのに対して、ベンチャーはビジネスモデルをより進化させるため、高度な技術を持った専門家を求めています。
- 現状、専門スキルを持っているとは言えない状況です。スタートアップとベンチャーを目指して就活を進めるのは難しいでしょうか?
専門性がなくとも主体性と成長意欲があれば十分に目指せる
スタートアップ企業では、新しいアイデアや革新的なアプローチが求められているため、学習意欲や問題解決能力が重視されます。
また、ベンチャー企業では各メンバーが多岐にわたる業務を担当することが多く、学習意欲だけではなく、チームワークが必要です。
したがって、専門スキルを持っていなくても、積極的な姿勢と学び続ける意欲があれば、スタートアップやベンチャー企業を目指すことは十分に可能です。
自己PRや面接の際には、自分の熱意や学習意欲、柔軟性を強調し、どのようにして新しい環境で貢献できるかを具体的に説明することが大切になります。
また、専門スキルはなくとも、必要とされる専門知識について調べて、オンラインや座学で学んでみるなどの自助努力をおこなうことで、今後の伸びしろや学習意欲をアピールすることもできるでしょう。
キャリア形成に役立てよう! スタートアップとベンチャーの経営層の状況の違い
スタートアップ | ベンチャー | |
企業成長のベース | 事業展開の戦略が学べる | 既存モデルの成長戦略が学べる |
リスクの高低 | 廃業のリスクがある | 廃業のリスクは低い |
スタートアップとベンチャーでは、企業成長の過程で経営陣が感じる部分にも違いがあります。キャリアアップを想定したり、今後どちらかの企業を立ち上げたいと考えたときは、双方の企業から何が学べて、どのようなリスクが発生するのかを把握しておきましょう。
何を学びたいのか、抱えるリスクは何なのかを把握しておけば、長期的なマッチ度を測ることができます。
ここからは、企業の経営層が感じる2つの違いについて説明するので、違いを理解して将来のキャリア形成に役立てていきましょう。
将来のキャリアをどのように考えれば良いかわからない人は、こちらの記事を参考にしてください。キャリアプランを策定するときのポイントやコツを紹介しています。
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企業成長のベース
企業を立ち上げ事業展開していくなかでは、どのような戦略を立てて行動していくかが重要です。
まずスタートアップは、新しいビジネスモデルを立ち上げる過程を経験できます。新規モデルをどのように市場に認知させるかを考え、事業展開していく戦略が学べるでしょう。市場の変動を読みながら行動するため、柔軟な思考と迅速な意思決定力が養われます。
ベンチャー企業では、既存のビジネスモデルをさらに成長させることが必要です。将来的に市場で優位に立つには、いかに既存モデルの強みを活かし、逆に弱みを克服させるかが重要です。既存モデルの成功に基づいて、さらなる成長を達成するための戦略が学べるでしょう。
これから伸びる企業に就きたいと考えている人は以下の記事を参考にしてみてください。将来性の高い業界をまとめています。
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リスクの高低
スタートアップは、ビジネスモデルがないため、市場での認知や収益をゼロから築かなければなりません。認知され事業が軌道に乗れば、高いリターンが待っています。
しかし、認知されなかったときは、赤字が続き初期投資が回収できず、最悪の場合廃業になるリスクが考えられます。失敗のリスクを背負いながら、事業を展開していくことが必要です。
ベンチャーでは、既存のビジネスモデルがあることから、廃業のリスクは比較的低く抑えられます。既存モデルの改善と拡大に焦点を当てるので、安定した成長を目指せるからです。
もちろん、失敗がまったくないわけではないため、顧客をいち早く獲得し収益を安定させることが重要です。
このように、リスクの違いがあるので発生するリスクの度合いは自身が乗り越えられそうかを考えてキャリア形成に役立てましょう。
ベンチャーやスタートアップの企業の特徴に、トップ層とそれ以外の価値観のギャップが挙げられます。
トップ層は起業によってゼロから結果を出しています。開拓者精神もあるので自分で仕事を作れる人が多いです。一方、黎明期を過ぎて入社した人たちにはそういった傾向があまり見られません。
その差を埋めるための人材育成をしなければ、企業の持続性を阻む要素にもなりかねません。
共通点もある! どちらにも向いている人の特徴
共通点もある! どちらにも向いている人の特徴
- 主体性を持って仕事に取り組みたい
- 環境の変化やチャレンジを楽しめる
- 好奇心があり情報収集が得意
ここまでスタートアップとベンチャーの違いを説明しましたが、実際にどのような人が向いているのでしょうか。実は、これらの企業に向いている人には共通する特徴があります。
新しく事業を展開して企業を大きくしていくには、社員が前向きに取り組んでいく姿勢が必要です。以下3つの特徴を解説するので、自身が向いているかどうか判断して、就活の選択肢になるのか参考にしてくださいね。
主体性を持って仕事に取り組みたい
スタートアップとベンチャー企業に向いている特徴の一つが、主体性を持って仕事に取り組む能力です。双方の企業は、少人数での構成になり社員一人ひとりが裁量権を持って仕事を進めるためです。
主体性を持っている人は、自分の意志と判断で責任を持って業務を進めます。たとえば、上司からの指示を待つだけではなく、アイデアを出したり、自ら問題解決に取り組んだりします。
つまり、マニュアルに沿った働き方ではなく、自身で考えながら仕事をする臨機応変さが重要です。
経営陣だけで組織を動かすのは困難なので、受け身な姿勢ではなく自身で考え行動できる人はスタートアップとベンチャーに向いているといえます。
スタートアップやベンチャーに入社したらまず、会社経営にかかわるさまざまな事柄に興味を持つことが重要です。プロダクトや経営など、必要なスキルや知識を幅広く積極的に学ぶことで、広く主体的に組織に貢献できます。
また、日々の業務のなかで課題を感じたら、文句を言うのに終始するのではなく、自分からアイデアを提案していきましょう。
とはいえ、会社である以上、あなた一人だけで業務のすべてが完結することはほとんどありません。何か問題が発生した際には即座にチーム内で情報を共有し、チーム全体で課題に取りかかることが求められます。
自分だけでなく、チーム全体の成功を意識して協力し合う心掛けそのものが非常に重要です。
環境の変化やチャレンジを楽しめる
市場の変化や技術の進化など、常に変化する条件下でスタートアップとベンチャーは業務を進めます。新しいビジネスでは経営方針や事業内容が変わることが考えられるので、そのたびに変わる組織体制や職場の環境にも対応する必要があります。
また、予期せぬ問題や課題を突きつけられる可能性もあり、問題を乗り越え次の目標に向かって突き進むチャレンジ精神が重要です。
スタートアップとベンチャーは、始まったばかりでチャレンジの連続です。壁にぶつかりながらも環境の変化に柔軟に対応し、不安を感じず挑戦できるような人が向いています。
チャレンジ精神を効果的にアピールしたい人は、こちらの記事にコツや例文が載っているので参考にしましょう。
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例文22選|チャレンジ精神の自己PRは4つのポイントで敵なし!
多くの企業がチャレンジ精神のある人材を求めているため、アピールすること自体は効果的です。しかし、チャレンジ精神をアピールする就活生は多くいるため、差別化が大切です。記事では、周囲と差をつけるチャレンジ精神のアピール方法をキャリアコンサルタントと解説します。
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好奇心があり情報収集が得意
スタートアップとベンチャーは、新しい情報にアンテナを張り、情報を多方面から集められる人に向いています。未開拓な分野で仕事を進めていく必要があるからです。
双方の企業では、常に最新の動向を追いかけ、自社の製品やサービスにどう活かすかが求められます。
好奇心がある人は、新しい知識を得ることに喜びを感じ、未知の領域にも積極的に挑戦します。その結果、幅広い情報を得られて革新的なアイデアが生まれたり、解決策を導き出したりできるのです。
このような人材は、変化が激しい市場でもライバル企業との競争に負けない発想を生み、会社を成長させる鍵となります。
ベンチャー企業に向いている人の特徴をもっと知りたい人は、下記の記事で紹介しているので参考にしましょう。
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20社を徹底比較!ベンチャー企業に向いている人の特徴とは?
ベンチャー企業のメリットやベンチャー企業に向いている人の特徴を紹介しています。待遇や平均勤続年数などベンチャー企業の売上高上位20社を比較。どんな人にベンチャー企業が向いているのか、キャリアアドバイザーのアドバイスを交えながら、解説していきます。
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アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見る学生の意欲が高く志望先との相性も良いのであればおすすめする
私はスタートアップやベンチャーである程度の裁量権を持つことができて、「この人達と働きたい」と思うことができるのであれば、挑戦してみても良いのではないかと思います。
20代後半、私は事業に人生の中でかけられる相当の時間やエネルギーを投下していた時期があります。そのときの経験や見ることのできた景色は、普通では体験できない世界だったので後悔はないです。
ただ、精神的にも体力的にも限界を超えるほどに働き、過労で救急車で運ばれたり、「よく生き延びることができたな」と思うくらいには精神的にも辛かったです。
それなりに精神的にも肉体的にもタフでないと乗り越えることができない世界ではあるので、どうしてもやりたいことがある場合やその組織で学びたいことがある場合におすすめするという形でしょうか。
目的感との一致具合や企業の風土・働き方も考慮して検討しよう
専門外のことや人材不足の部門の対応もおこなうため、短期間で能力をつけたいという人や、将来的に起業したい人には合うかもしれません。
企業の文化もありますし、自分に合いそうな場所で、どんな働き方が理想であるかを踏まえて企業選びをすることをおすすめします。
スタートアップとベンチャーは目的の違いを知って就活の方向性を決めよう
スタートアップとベンチャーは、企業が目指している将来のビジョンが違います。目的の違いは、企業の成長度合いや資金調達法など、組織全体の戦略や取り組むべき課題を形作っています。
また、入社後の働き方にも違いが出るため、企業の目的を理解していなければ、いざ入社後に「考えていた業界と違う」とギャップを感じてしまうでしょう。
違いを把握したうえで、スタートアップとベンチャーに向いている特徴も理解し、自身のキャリア目標と働き方に合っているか判断してくださいね。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見るスタートアップとベンチャーの違いを把握したうえで選考に臨もう
スタートアップとベンチャーの違いは、実はそこに従事している人でもよくわかっていないことがあります。確かに、既存の企業と違って会社自体も若く、新しいことを開拓していくという点では同じなので混同されがちです。
しかし、出口戦略(EXIT)が短期的なものか(スタートアップ)、あるいはリスクを回避しながら中長期なものか(ベンチャー)という点など、大きく異なる部分があります。
個人の裁量権や独創性をどの程度発揮できるのか、無から有を創り出すことが得意なのか、あるいは既存のものをアレンジして発展させるタイプなのかなど、自分の強みや望ましい働き方を十分に自己分析することから始めましょう。
そのうえで、記事に示されているようなスタートアップとベンチャーの違いをしっかりと把握し、志望先として検討してください。
目的意識をはっきりさせた就活で周囲からの応援を獲得しよう
また、それらを志望する学生に意識してほしいのが「親の同意」です。
ほとんどの親はなるべく子どもにリスクを取らせたくないと考えています。そのため、せっかくスタートアップやベンチャーを志望していても、親から大反対を受けて諦めた、という話をよく聞きます。
内定後に家族に報告する際に、なぜその会社を選んだのか、そこで何がしたいのかを明確に説明でき、納得してもらうのも、入社後に気持ち良く仕事ができる環境整備の一つです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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