この記事のまとめ
- 大企業は中小企業基本法の中小企業の定義に該当しない企業を指す
- 大企業は全国に存在する企業のうちわずか0.3%
- 大企業に入社したい場合はメリットだけでなくデメリットも押さえよう
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この記事を読んでいる人に
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大企業は誰もが知っている言葉ですが、定義を正しく説明できる人は多くありません。なんとなく「売上が多い会社のことだろう」「経営が安定していそう」というイメージはあるものの、どこまで正しいのか、明確な基準は何なのか、知らない人は多いのではないでしょうか。
大企業や中小企業、大手企業、上場企業のように、企業の規模や経営状況に関する言葉を理解しておくと就活を進めるうえで必ず役に立ちますよ。
この記事ではキャリアアドバイザーの田邉さん、谷所さん、鈴木さんのアドバイスを交えつつ、大企業の定義や、中小企業、大手企業、上場企業との違いを解説します。大企業で働くメリットや入社前に留意すべき注意点も解説するので、大企業への就職を目指している人はぜひ参考にしてくださいね。
混同されがち? 大企業の定義を正しく理解しよう
大企業について、規模が大きくて安定している会社のように漠然としたイメージはあるものの、明確な定義はわかっていない人が多いです。中小企業や大手企業、上場企業のような言葉と混同しているケースが多いので、注意して正しい定義を押さえるようにしましょう。
この記事ではまず、大企業や中小企業の定義とみなし大企業について解説。そして、大企業と混同しがちな大手や上場企業についても解説します。さらに、企業研究で大企業かどうかを見分ける方法を伝授。
記事後半では、大企業で働きたい人必見の大企業で働くメリットや注意点を説明します。今まであいまいな認識だった「大企業」の言葉の意味を正しく理解し、企業選択に役立てましょう。
大企業とは? 基準と定義を理解しよう
ではさっそく大企業と中小企業の定義を解説していきます。大企業と中小企業は「企業の規模」という同じ基準の元で区別される関係です。企業の規模というのは、従業員数と資本金で評価します。
大企業と中小企業と併せてみなし企業も関連性が高い言葉です。詳しく解説していくので、それぞれの定義を押さえてください。
大企業の定義
実は大企業には明確な定義がありません。辞書では「巨額の資本金を有し、多くの従業員を雇用する大規模な企業」のような意味合いで説明されることが多いものの、具体的な資本金の金額や従業員数を明示した定義は存在しないのです。
一方、中小企業は中小企業基本法という法律の第二条で、定義を明らかにしています。詳しくは、この後の中小企業の定義で解説しますが、定義は業種によって異なり、資本金と従業員数を判断軸としています。
中小企業に該当しない企業が、一般的に大企業と称される企業です。中小企業に該当しない企業を大企業とすると、大企業の定義は以下のようになります。
大企業の業種ごとの定義
- 製造業、建設業、運輸業、そのほかの業種:資本金が3億円より多いかつ従業員数301人以上
- 卸売業:資本金が1億円より多いかつ従業員数101人以上
- サービス業:資本金が5,000万円より多いかつ従業員数101人以上
- 小売業:資本金が5,000万円より多いかつ従業員数51人以上
大企業の定義として条件にある「資本金」についてきちんと把握しましょう。多額の資本金があることで、負債リスク、事業拡大の資金源、株主への信頼などの指標になります。
ただし、資本金だけでは企業の安定性は判断できないので注意してください。
大企業の数と割合
中小企業庁が令和3年経済センサス-活動調査のデータを元に分析した結果によると、2021年時点では日本国内には337.5万社の企業があり、そのうち0.3%である1.1万社が大企業で、99.7%である336.4万社が中小企業ということがわかります。
全国の企業のうち、大企業はわずか0.3%しかなく、企業の9割以上が中小企業なのです。
中小企業の定義
先に述べたとおり、中小企業は中小企業基本法の中で明確に定義されています。
業種 | 資本金又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業、 そのほかの業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
上記の通り、業種ごとに資本金と従業員の数が定義されており、どちらか一方でも満たせば、中小企業に該当します。
たとえば、卸売業を営む企業が資本金4,000万円、従業員120名だった場合、従業員数では定義に該当しないものの、資本金が5,000万円以下であるため、中小企業と分類できるのです。
中小企業基本法で中小企業に該当するかどうかは、「製造業その他」「卸売業」「サービス業」「小売業」のどの業種に該当するかにより、資本金または出資の総額と常時使用する従業員の数で定義されています。
また、法人税法では業種に関係なく、資本金が1億円以下の企業は中小企業者と定義されています。
みなし大企業とは
みなし大企業とは、資本金や従業員数では中小企業基本法で定める中小企業に該当するものの、大企業が親会社となり一定の割合で出資をするなど、実質的に大企業が支配している企業のことです。
中小企業基本法においては中小企業と見なされますが、そのほかの法律や中小企業が受けられる補助金や助成金の対象から外れることがあります。
中小企業庁による平成27年度ふるさと名物応援事業補助金は、以下のいずれかに該当する中小企業をみなし大企業として補助対象から除いています。
中小企業のうちみなし大企業に該当する企業の定義
- 発行済株式の総数または出資価額の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している
- 発行済株式の総数または出資価額の総額の3分の2以上を大企業が所有している
- 大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている
みなし大企業は、大企業と同様に社会からの信頼性が高く、人材採用や資金調達をおこなう際にも有利な立ち位置にいることが多く、特に取引の現場において取引相手として信頼を得やすいです。
基準が違う? 大企業と混同しがちな言葉の意味を押さえよう
大企業と中小企業が共通の基準で定義付けられる関係性であるのに対し、大手や上場企業は基準自体が異なります。
しかし、いずれの言葉も業界・企業研究を進めるうえで知っておくと必ず役に立つので、大企業との違い、それぞれの言葉の定義をしっかりと押さえておきましょう。
大手との違い
大手とは
業界内で特に規模が大きく、知名度が高い会社
大手は大企業以上に定義があいまいな言葉です。大企業のように資本金や従業員数など具体的な定義はありません。一般的に、業界内での立ち位置を表す際に用いられ、知名度やシェア率が高い企業のことを指します。
「大手企業に就職したい」という希望はあっても、企業はたくさんあるのでどの企業からチェックすれば良いかわからないという人もいますよね。以下の記事を参考にしてください。
「大手企業に就職したい」という希望はあっても、企業はたくさんあるのでどの企業からチェックすれば良いかわからないという人もいますよね。その場合は、以下の記事を参考にしてください。
こちらの記事では、理系女子におすすめの大手企業を解説しています。
理系女子の就職におすすめの業界30選 |90の大手企業と選考を解説
こちらの記事では、大手ディベロッパー6社を比較しています。
ディベロッパー大手6社を徹底比較! 人気業界を突破する5つの正攻法
商社業界でも大手とされる5大商社に興味がある人は、こちらの記事がおすすめです。
5大商社を徹底比較! 事業や社風の違いから内定への道筋まで解説
- 大企業はどの業界においても大手と呼ばれているように見受けられます。例外はあるのでしょうか。
大企業でも大手と呼ばれない企業はある
大企業と大手企業の捉え方は異なります。大企業は中小企業基本法で中小企業の規模を超える企業を指しますが、大手企業は企業規模だけでなく、知名度、シェア率においても業界内で上位に入る企業を指します。
大手企業について上位何位までという定義はないものの、業界内で資本金や従業員数が大企業であっても、ほかの大企業と比較をして知名度やシェア率が劣れば、大企業であっても大手と呼ばれないケースもあるでしょう。
ここまで大企業と大手企業の違いを解説しましたが、大手企業が一流企業の部類に入ります。一流企業についてまとめた記事があるのでぜひ参考にしてみてください。
一流企業550選を業界別に紹介! 内定を獲るための就活対策も解説
こちらのQ&Aでは大手から内定をもらう方法についてキャリアコンサルタントが回答しています。大手を志望している人は参考にしてみてください。
上場企業との違い
上場は株式市場における企業の状況を表します。反対の言葉は非上場です。
株式会社が経営資金を集めるために、株式の売買をおこなっている場所を証券取引所といいます。証券取引所で株式を売買できるのが、上場企業と称される企業です。
上場企業になるためには、証券会社の厳しい審査基準をクリアしなければなりません。たとえば、東京証券取引所にはプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分があり、それぞれの上場基準は下記のとおりとなっています。
プライム市場の審査基準
- 株主数は800人以上
- 流通株式数2万単位以上
- 流通株式比率は35%
- 売買代金の時価総額は250億円以上
スタンダード市場の審査基準
- 株主数は400人以上
- 流通株式数2千単位以上
- 流通株式比率は25%
グロース市場の審査基準
- 株主数は150人以上
- 流通株式数1千単位以上
- 流通株式比率は25%
厳しい審査基準をクリアしているということは比較的経営状況が順調であり、社会的に信頼できる企業とみなせます。
大企業のような資本金や従業員数による定義はなく、中小企業が上場企業であるケースもあれば、大企業が非上場企業であるケースも珍しくありません。
流通株式比率が高いことで、大株主が株式の独占をしにくくなり、コーポレートガバナンスが向上しやすいメリットがあります。ほかの項目についても理解を深めましょう。
大企業かどうかは「会社概要」で見分けよう
大企業の定義が理解できたら、志望企業が大企業と中小企業のどちらに該当するのかチェックしてみましょう。
資本金と従業員数が判断要素になりますが、この2つは企業のホームページ(HP)の「会社概要」に記載されています。マイナビやリクナビなどの企業紹介ページでも確認できます。
会社概要には、商号や設立年、所在地などの情報と併せて、資本金と従業員数についても明示してあります。大企業かどうか見分けたいときは、会社概要で資本金と従業員数の2つをチェックして判断してくださいね。
各企業に関する情報を得たら、企業研究ノートを作成して情報を整理するようにしましょう。こちらの記事を参考にしてくださいね。
作り方例4選|企業研究ノートのまとめ方をイラスト付きで解説!
アドバイザーコメント
鈴木 洵市
プロフィールを見る大企業だからとって安定性が保証されているわけではない
大企業の定義は、中小企業基本法において決められている枠組みより大きな資本・従業員を有する企業です。一般的に大企業は安定しているというイメージがありますが、企業研究をしていくと企業ごとに違いがあることに気づきます。
たとえば企業規模が大きいにもかかわらず、継続的な経営不振の状況下にある企業があったり、従業員の働きやすさについて課題を抱えている企業も存在します。
カテゴリーで見るのではなく企業ごとに調べることが大切
経営不振については会社の現状を財務諸表から調べることができます。また、従業員の働きやすさについては、インターンシップやOB・OG訪問で知ることができます。
大企業に分類される企業でも安定性や従業員の働きやすさが保証されているわけではないので、各企業ごとに慎重に調べることが大切です。
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大企業で働きたい人必見! 6つのメリット
大企業で働きたい人必見! 6つのメリット
- 研修制度が充実していて基礎から教育を受けられる
- 年間休日が多く設定されている
- 有給休暇を取得しやすい
- 福利厚生が手厚く利用しやすい
- 給与が高い傾向にある
- 知名度があるので社会的信頼が得やすい
大企業は学生にも人気の企業で、毎年応募が殺到します。「大企業の方が働きやすそう」「知名度があるし安定してそう」というイメージで大企業への就職を志している人も多いのではないでしょうか。
実際大企業で働くと、学生の多くが抱いているイメージ以外にもさまざまなメリットを感じることができます。ここでは、大企業で働く6つのメリットを詳しく解説します。
ただ、これらは一般論に過ぎません。実際に従業員にとって働きやすい環境が整えられているかどうかは、企業規模によって判断するのではなく、一つひとつの企業ごとに確認する必要があります。大企業で働くメリットを知っても、企業選択をするときにはあくまで参考程度としてくださいね。
①研修制度が充実していて基礎から教育を受けられる
大企業では、研修や教育に人員や資金を費やすことが可能です。よって入社後は数週間から数カ月の研修期間を設けて、研修に特化した人材開発部などの社員による研修をおこなうケースが多くあります。
研修・教育制度が整っていない企業だと、新入社員は十分な教育を受けないまま即戦力としての働きを求められることも。その点、大企業は新入社員の採用を毎年実施している企業が多いため、教育体制は整えられている傾向にあります。
大企業は充実した新入社員研修だけでなく、長期間の人材教育を計画的におこなっていることが多く、中小企業と比較をしても一人当たりの教育にかける費用が高い傾向があります。またキャリアアップのための資格取得や自己啓発支援も充実しています。
②年間休日が多く設定されている
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査で、業種規模別に労働者1人平均の年間休日数を確認すると、以下の通りになります。
業種規模別の労働者1人平均の年間休日数
- 1,000人以上の企業:116.3日
- 300~999人の企業:115.7日
- 100~299人の企業:111.6日
- 30~99人の企業:107.0日
企業規模が大きいほど、年間休日数の平均が多いことがわかります。比較的年間休日が多く設定されているという点も、企業規模が大きい大企業で働くメリットといえます。
- なぜ中小企業より大企業の方が年間休日数が多い傾向にあるのでしょうか。
労働力があることや採用競争力を高めることが理由に挙げられる
大手企業は中小企業に比べると、多様なスキルを持つ人材が勤務しているため、業務分散がしやすく年間休日数を増やせることが多いです。
また、大企業には労働組合があり、組合によって労働環境の改善を求められて、休日が多く設定されていることもありますよ。
さらに、大企業は競合よりも優秀な人材を採用するために、より良い労働条件を設定することがあります。そうすることで、応募者が集まり優秀な人材の採用にもつながっているのです。
③有給休暇を取得しやすい
有給休暇を取得しやすい点も大企業で働くメリットです。
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査で、有給休暇取得率も企業規模別に確認することができます。
企業規模別の有給休暇取得率
- 1,000人以上の企業:65.6%
- 300~999人の企業:61.8%
- 100~299人の企業:62.1%
- 30~ 99人の企業:57.1%
有給休暇取得率も企業規模が大きいほど割合は高くなっています。
有給休暇の取得率向上は政府により促進されている取り組みです。市場でトップを走る大企業が先駆けとなって従業員に有給を取得するように促しており、その流れが徐々に中小企業にも浸透していくものと推測されます。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
④福利厚生が手厚く利用しやすい
研修制度同様、大企業は比較的資金に余裕があるため、福利厚生が充実している傾向にあります。福利厚生には住宅手当などの生活費を補助するもののほか、宿泊代やレジャー施設の利用料を補助するものもあります。
大企業だと、社員食堂を設置してオフィスで低価格なランチメニューを販売していたり、オフィス内に従業員の子どもを預けられる託児所を設置している企業も珍しくありません。
たとえば、大企業のサイバーエージェントでは、女性の活躍を推進する福利厚生が充実しており、味の素では社宅制度や資産形成などの福利厚生が充実しています。
手厚い福利厚生を利用できるのも、大企業で働くメリットの一つです。
次の記事では、福利厚生の種類や、メリット・デメリットについて解説しています。福利厚生に力を入れている企業についても紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
福利厚生人気ランキング20|ホワイトな企業を調べる方法やリスクも解説
⑤給与が高い傾向にある
厚生労働省による令和3年賃金構造基本統計調査で、企業規模別の平均月収を確認することができます。
企業規模別の平均月収
- 大企業・男性:37万5,900円
- 大企業・女性:27万1,000円
- 中企業・男性:32万8,000円
- 中企業・女性:25万2,500円
- 小企業・男性:30万3,600円
- 小企業・女性:23万5,000円
上記の通り、男女ともに大企業の方が平均月収が高くなっています。あくまで平均値ですが、大企業の方が高い給与を得られる点もメリットに感じる人は多いでしょう。
企業を選ぶうえで給与を重視する人も多いですよね。こちらの記事では、給料が高い仕事を解説しているのでぜひ確認してください。
給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
⑥知名度があるので社会的信頼が得やすい
大企業の知名度が高いという特徴から、たとえば、営業先で社名を出せば信頼できる企業として認められやすいというメリットがあります。
また、プライベートな面でも、大企業の従業員であれば将来的な支払い能力も十分にあると認められて、ローンの審査が通りやすいなどのメリットがあります。
知名度だけに頼ると、法人向けにビジネスをしている大企業を見逃してしまうことも。一般にはあまり知られていないBtoB企業について理解を深めましょう。
BtoB企業とは? BtoCとの違いから企業の探し方まで徹底解説
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る大企業で働くさまざまなメリットを知っておこう
大企業で働くメリットについて考えてみましょう。
①待遇が良い
大企業で働くメリットとして、待遇面で給与や賞与などが高いことがあげられます。給与や賞与が高いだけでなく、年間休日が多く設定されていることも多く、有給休暇も取得しやすいというのもメリットでしょう。
②福利厚生が整っている
社会保険といった法定福利の違いはありませんが、社宅、独身寮が完備されており、異動や単身赴任などの手当が充実しているといったメリットがあります。また企業が所有している保養施設を格安で利用できるなど、大企業ならではの法定外福利厚生が整っています。
③教育制度が整っている
多くの大企業では、充実した新入社員教育や管理職研修などをおこなうだけでなく、資格取得や自己啓発支援制度など、キャリアアップしていくための支援制度を活用することができます。
④規模の大きな仕事ができる
豊富な資金や設備などを活用し、規模が大きなプロジェクトや最先端の仕事に携われるチャンスがあることも、大企業で働くメリットといえるでしょう。
⑤社会的に信用されやすい
知名度がある大企業で仕事をしていることがステータスとなり、社会的に信用されやすくなるでしょう。
⑥転職が有利になる
充実した教育制度でスキルや知識を高めて、大きな仕事に携わり多くのメンバーのマネジメントを経験することで、将来転職する場合でも有利になるといったメリットもあります。
大企業で働きたい人が押さえておくべき5つの注意点
大企業で働きたい人が押さえておくべき5つの注意点
- 入社するのが難しい
- 部署によって労働環境が異なる
- 分業されているため業務範囲が限られがち
- 社員数が多いため出世しづらい
- 転勤や異動を経験する可能性が高い
6つのメリットを解説してきましたが、中小企業ではなく大企業で働くことがすべての人にとって正しい判断とはいえません。大企業にも働くうえでデメリットとなる点や、合わない人にとってはネガティブとなる側面もあります。
大企業で働きたい人はメリットだけでなく、ここで解説する5つの注意点も必ず押さえて、自分に合った企業を選ぶ判断材料としてくださいね。
①入社するのが難しい
そもそも、大企業は入社するのが難しいため、大企業で働きたいと考えていても、採用されない可能性も高いのです。大企業で働きたいと考えている学生は多く、毎年大企業には応募が殺到します。書類選考や筆記試験で落とされてしまう学生が大半です。
大企業で働きたいのであれば、大勢のライバルからリードできるよう、アピール力を高めたり筆記試験対策なども含めた選考対策を徹底しておこなう必要があります。
就職に有利な資格を持っていると、書類選考でほかの学生と差別化することができます。こちらの記事を参考にしてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説
WEBテストを突破できなければ面接の機会すら手にできないことも。こちらの記事を参考にして、対策を進めましょう。
WEBテスト対策完全版|効率重視で準備する方法を徹底解説
- 大企業は学歴フィルターが強いと聞きました。学歴が良くなければ、望みは薄いのでしょうか。
学歴に自信がなくても採用される可能性はある
たしかに、大企業は応募者が多いため、面接に進む学生を選ぶために学歴フィルターを設けていることがあります。
しかし、すべての企業が学歴を重視しているということではないので、高学歴ではない学生であっても採用されるチャンスはありますよ。
特に新卒は人柄や素養によって判断されるポテンシャル採用なので、学生時代に取り組んだことや強みが企業の求める人材と一致していると採用可能性が高まります。
ただし、中小企業に比べると学歴を重視している企業が多いことは事実なので、応募企業が学歴重視かどうかはきちんとリサーチしましょう。
②部署によって労働環境が異なる
大企業は、従業員数が多いためさまざまな部署を設置することが可能です。部署は上司やメンバーによって雰囲気が大きく異なります。
就活では主に人事部の社員と接する機会が多いですが、人事部の社員の人柄や雰囲気に惹かれて入社したとしても、配属された部署はまったく雰囲気が異なるということもありえるのです。
部署の雰囲気と相性が合わない場合は、ストレスを感じることもあるでしょう。しかし、企業内にさまざまな雰囲気の部署があるということは、自分に合った部署がある可能性も高いということでもあります。
③分業されているため業務範囲が限られがち
大企業では従業員数が多いため多数の部署を設置し、役割を細かく分ける傾向にあります。
その点中小企業は、従業員数が少ないため、さまざまな業務を一人で受け持つ必要があります。そのため、一人ひとりが幅広い業務を経験することができ、スキルや能力を幅広く身に付けやすいといえます。
大企業の分業化は、限られた業務範囲に特化したいという人にとってはやりがいを感じやすいですが、幅広い業務を経験したい人にとってはデメリットといえます。
大企業においては一つのことを突き詰めて働くことができるので、専門性を持ちたいような人が向いています。一方、中小企業では業務範囲が多岐にわたるため、さまざまな経験をしたい人に向いています。
④社員数が多いため出世しづらい
社員数が多い大企業ですが、管理職の席は限られています。厳しい選考を勝ち抜いて入社した優秀な社員が多い中で、出世は簡単ではありません。
また、大企業には歴史が長い企業も多いため、年功序列に基づいた考え方が浸透している傾向にあります。そのため、若い社員は昇進の対象になりづらくなってしまいます。
⑤転勤や異動を経験する可能性が高い
大企業には全国に事業所が点在している企業も多く、社員の転勤や異動が頻繁におこなわれています。総合職のような転勤の可能性がある採用コースで入社すると、高確率で転勤や異動を経験することになります。
勤務地にこだわりがある人や転勤や異動に抵抗がある人は、エリアを限定した採用を実施している大企業もあるので、募集要項を注意して確認してください。
転勤の可能性が高い総合職の特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
総合職と一般職の7つの違いを解説! 将来後悔しない選択の秘訣とは?
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る大企業で働くデメリットも押さえておこう
大企業で働くデメリットや注意点について、考えてみましょう。
①携わる業務が限定される
企業の規模が大きいため業務が分業されており、全体を把握することが難しいケースがあります。
たとえば総務業務でも、広報、備品管理、購買管理、福利厚生、リスク管理、秘書業務、施設管理など、それぞれが特化した仕事をおこなうことが多いため、短期間で総務業務全体を把握することが難しいでしょう。
②決裁までの時間がかかる
中小企業では決裁までの時間が短く迅速な対応ができますが、大企業で役員や経営者の決裁が必要な場合、いくつものステップを踏まなければならないことがあり、決済まで時間がかかるのもストレスに感じるかもしれません。
③埋もれてしまう可能性がある
大企業は優秀な人材が多いためほかの社員より秀でることが難しく、評価されないことがあります。中小企業で優秀な人材だと評価されても、大企業では目立たず埋もれてしまう可能性があることを理解しておきましょう。
④部署の異動がある
総合職として入社すると、ジョブローテーションをおこなうため部署の異動があり、さまざまな仕事を経験します。そのため、一つの仕事に特化したスペシャリストとしての職務能力を習得できないことがあるでしょう。
大企業であればどこでもいいといった考えではなく、なぜ大企業を選択するのか、大企業で何を目指すのかといった点を考えて、企業選択をしましょう。
大企業が自分に合った会社とは限らない! 就活の軸を明確にしよう
5つの注意点について解説してきました。学生の間では、大企業の人気が高いですが、知名度や企業規模だけでは、本当に自分に合った会社かどうか判断することはできません。
たとえば、給与や福利厚生も大事ではあるけども、それ以上に若手のうちから裁量がある仕事をしたい人にとっては、大企業よりも中小企業の方が向いているかもしれません。
自分が企業を選択するうえで重視することの優先度を明らかにして軸とし、的確な企業選択をしてくださいね。
良い仕事や働きやすい会社は、人によって異なります。こちらの記事から、自分に合った企業を選ぶ手がかりを見つけてくださいね。
良い仕事とは? 自分に合う働き方や会社が必ず見つかる3ステップ
企業選びの軸が決まっていない人は、こちらの記事を参考にしてください。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
- 安定した会社で働きたいので、大企業を中心に見るべきだと思っていますが、ほかに安定性を見抜く方法はありますか?
事業領域を確認してみよう
安定した企業で働きたいという気持ちを持つことは当然のことだと思います。
そのような人は、志望企業の事業領域に目を向けてみましょう。多くの事業をおこっている会社の方が、一つの事業が継続困難になってしまってもほかの事業で企業の経営を支えることができるため、倒産するリスクが低いといえます。
また、安定性の中で働き方を重視して考えるような場合は、福利厚生やワークライフバランスを調べることがおすすめです。
まずは、自分が求めている安定性が何かを明確にしておくと良いですね。
大企業や中小企業の定義を正しく理解して幅広く企業を研究しよう
大企業や中小企業の定義について、想像していた定義と異なった人や大手や上場企業の意味と混同してしまっていた人も多いでしょう。この機会にぜひ、正しい定義を押さえてくださいね。
企業研究では、大企業という括りに縛られすぎず、就活の軸に合う企業を幅広くチェックしましょう。視野を広げることで自分に合った企業も見つかりやすくなりますよ。
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見る就活の軸を分析して大企業を志望すべきかどうか考えよう
学生によっては、「定義は理解できたものの自分が大企業を志望すべきかどうか悩む」と感じる人もいるでしょう。
このような学生は、就活の軸と向き合って「自分が就活で何を重視すべきか」を考えることがおすすめです。就活の軸を明確にすることで、自分が企業に求める条件が明確になり、大企業を志望すべきか判断できるようになりますよ。
自己分析から自分が企業に求める条件を明確にしよう
たとえば、ひとつの部活に長く所属した経験から、安定性がある組織で働きたいと考えているとしますよね。すると、大企業は資本力があり中小企業に比べると企業寿命が長いため、大企業を志望する動機になります。
このように、自分が重視することが大企業の特徴に当てはまるかという考えで、大企業を志望すべきか考えることがおすすめですよ。
就活の軸をきちんと分析して、納得感あるキャリア選択をおこないましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
プロフィール詳細