BtoGとは何? 意味やビジネスの特徴をキャリアの専門家が解説

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    Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる

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    Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味

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    Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績

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就職活動中に、事業内容で「BtoG事業」という言葉を見たものの、単語をあまり聞いたことがない学生も多いでしょう。入社希望の会社に記載があっても内容が理解できないと、志望動機を書くことも難しいですよね。

そこで今回はキャリアコンサルタントの田邉さん、高尾さん、渡部さんに解説してもらいながら、BtoGの意味や特徴、将来性など入社前に知りたい情報を解説します。

用語を正しく理解できると、仕事内容の違いを理解することにつながり、自分の方向性と合致しているか確認もできるので、この後の就職活動でより意欲的に活動できるでしょう。

この記事を読むことで、実際に働いたときの例や仕事の向き不向きなどを含めてほしかった情報を網羅できます。ぜひ、参考にしてください。

目次

面接が上手くいかないときは、面接回答集を活用してください

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BtoGは取引相手が珍しい仕事! ほかのビジネスと違った特殊な部分も

そもそもBtoGとは、ビジネスモデルの一種です。聞きなじみがある似た用語は、BtoCやBtoBのような言い方ではないでしょうか。そこでまずはそれぞれのビジネスモデルの違いと、各特徴を理解しましょう。

各取引対象ごとの違いを理解したら、次はBtoG自体の意味や特徴をより深く解説します。入社前の企業研究としてBtoG事業の現状と将来性についても解説するので、就活で方向性を絞るのにも役立ててください。

最後に漠然としたイメージをより具体的にできるよう、キャリアコンサルタントの解説を交えて1日の仕事例や仕事の向き・不向き、ビジネスの実例についても解説します。この記事を通して自分の働きたい職場の特徴と一致するのかを確認しましょう。

BtoGとは国や自治体を取引相手としたビジネスモデル

BtoGのビジネスモデル

BtoGは、「売り手と買い手」の取引対象を示すビジネス用語の一種です。BtoGの取引対象は「国や自治体」を指しています。BtoGを略さずに言うと「Business to Government」となり、直訳した意味は「企業と政府」です。

政府に関連するBtoGの事業というと公共事業のイメージが湧く人も多いでしょう。土木や道路建設など、インフラの整備を中心に考えるかもしれません。しかし、実はBtoGの事業はほかにもさまざまあります。

昨今ではインターネットの普及にともない、ICTの導入・活用や整備後のサービス推進、サービスの利便性向上など、別の切り口からのBtoG事業が注目されています

高尾 有沙

プロフィール

BtoGでは、第二次世界大戦後のインフラ整備期に始まり、バブル経済期のインフラ整備ラッシュ、バブル崩壊後の経済停滞期を経て、2000年代にはICTの普及により電子政府やスマートシティプロジェクトなどがおこなわれてきました。

近年ではクラウドやAI、ブロックチェーンなどの先端技術が導入され、公共サービスの効率化と市民の利便性の向上が進んでいます。

BtoGビジネスは時代とともに進化し、今後も重要な役割を果たすことになるでしょう。

BtoG以外には何がある? ほか手法の取引対象と特徴をチェック

BtoG以外のビジネスモデル

そもそもBtoGが何を示しているのか、言葉だけではわかりにくいですよね。単語は聞いたことがあっても、実際に何をやる仕事なのかを具体的には理解できていない人も多いでしょう。

国や自治体を取引相手にすると何が変わるのか、ほか事業との違いを明確化するために、ほかの「Bto◯」または「Cto〇」などの取引対象と特徴を解説します。その取引手法で重要なことも併せて説明するので、事業内容をしっかりと理解しましょう。

BtoCは「企業と消費者」の取引:プロモーションが大事

BtoC事業の取引対象は消費者です。Cはcustomer(顧客)を指します。顧客とは私たち個人客のことで、企業から提供されている商品を購入することすべてがBtoCの取引の一つです。

BtoCを成功させるのに重要なのは、プロモーションです。優れた商品を開発しても、認知されていなければ顧客は増えません。また商品を提供している会社のブランディングにも注力することが必要です。

そのため入社後は、何をしている会社なのか、どのような理念を持って商品を開発・発売しているのかを理解したうえで、社外へ積極的にアピールする行動が求められるでしょう

渡部 俊和

プロフィール

最終消費者を顧客とするBtoCビジネスは、1件当たりの取引額が小さいため、市場や時流に対応する柔軟性が求められます。

顧客の多様なニーズに合わせる点で苦労することが多いですが、対人適応力の高い人に向く業界です。

BtoC業界についての働くメリット・デメリットやマーケティング手法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

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BtoCとは? BtoBとの違いや向いている人を徹底解説

この記事ではBtoCについて解説しています。BtoCの特徴やメリット・デメリット、BtoCがおすすめな人の特徴を紹介。キャリアコンサルタントからのアドバイスも記載しているため、ぜひ参考にしてください。

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BtoBは「企業と企業」の取引:信頼性が大事

BtoB事業の取引相手は企業です。BはBusinessを指し、事業や仕事という意味があります。企業を対象としてマーケティングのためのツールや業務で使用する備品やシステム全般など、企業が使用するものを販売する仕事です。

BtoBでは、取引相手を選ぶのに会社の信頼性が重視されます。数少ない取引対象から選ばれるには、知名度と信頼性が重要となるからです。個人相手のBtoCと違い、企業の悩みに合わせて商品を提供するため、自然と顧客の数が狭まります。

また個人対象と比べると、かかわる人数や動く金額は規模が大きくなります。そのため会社が信頼できるのかで取引成立が決まるといっても間違いではありません。働く社員には、他モデル以上に精度の高い資料作成や競合への分析力が求められるでしょう。

BtoBは忍耐力や分析力がある人に向いています。BtoCなどと比べると長期の契約になったり、高額な取引になったりすることが多いため、投資対効果などを導き出す必要があるからです。

また、BtoBは長期的な関係構築が必要であり、すぐに成果が出ないこともあるため、それについては苦労する点と言えます。

BtoB企業で働くことについて詳細を知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

BtoBの基礎知識
BtoB企業とは? BtoCとの違いから企業の探し方まで徹底解説

BtoBの営業の仕事内容
BtoB営業ってどんな仕事? 魅力から大変な部分までまるごと解説

BtoEは「企業と従業員」の取引:満足度向上が大事

BtoE事業は企業で働く従業員が対象です。EはEmployee(従業員)の意味があります。サービスの例としては福利厚生を高めるためのサービスや、従業員向け食堂やケータリングの提供がイメージしやすいでしょう

BtoEは、昨今の人手不足や働き方改革の見直しが注目されているなか、従業員への待遇改善をするための手段として企業が重要視しています。

導入する目的は従業員満足度の向上が第一となるため、どれだけ満足できるサービスが提供できるかがカギです。満足度を獲得することでリピート利用されるのか、単価を上げるためのアップセルやクロスセルができるのかが重要になります。

BtoEに関連するビジネス用語

アップセル:高い金額の商品を購入してもらうこと
クロスセル:ほかの商品と一緒に購入してもらうこと

CtoCは「個人同士」の取引:評価や口コミが大事

CtoC事業は、フリマアプリやオークションといった個人が取引対象です。スマホの普及にともないメルカリなどのフリマアプリが広まったことで、ここ数年で市場規模を急激に拡大しているビジネスモデルです

CtoCで重要なことは、利用した人の評価や口コミをいかに集めるかと言えます。

BtoBとBtoCの両方の側面がありますが、ほかモデルと比べるとより取引対象の距離が近くなるため、個人の書き込みにより信用を集めることが重要となるでしょう。

CtoCを仕事にする場合、どのような始め方があるのでしょうか?

渡部 俊和

プロフィール

個人のブランディングが必要なため新卒からの挑戦は難しい

CtoCのビジネスでは、個人で一般消費者に商品やサービスを提供することになります。特殊な場合を除けば小資本であり、使える資源も少ないのが一般的です。

初期投資が少ない分、身の丈に合った事業ならばリスクは少ないのですが、できることも限られるので大きなリターンを狙うのはかなり難しいでしょう。

オーナー個人の信用や人間関係にも影響を受けるので安定性に欠け、新卒者には向いているとは言えません。

個人のブランディングができていない段階では、同じような立場の人同士でチームを組んで協力し合って事業を進めるのが無難で、CtoCではそういったコミュニティも複数存在しています。

GtoCは「行政と個人」の取引:普及率が大事

GtoCは、行政や地方自治体が消費者を対象として取引をするビジネスモデルです。具体的には、市役所で発行する戸籍抄本や住民票の発行、マイナンバーカードの提供、ふるさと納税など、国が提供する行政サービス全般を指します

GtoCは行政サービスのため、具体的にどれだけの比率の人たちに利用されているのかの普及率が重要です。競争相手のいない商材のため、最大の利用客数は国民全員と言えます。

しかしサービスがわかりにくかったり、認知されていなかったりすることもあり、普及率を上げるためには利用して享受できるメリットを広く周知していかなければなりません。

高尾 有沙

プロフィール

BtoGは企業が国や自治体と取引をおこなうビジネスモデルであるのに対し、GtoCは政府や自治体が市民である個人を対象としてサービスを提供するビジネスモデルです。

具体的には、市役所や区役所での戸籍抄本や住民票の発行、マイナンバーカードの提供、ふるさと納税などの市民に対する行政サービスがGtoCに該当します。

GtoCの特徴は、提供するサービスが直接市民の日常生活にかかわるものであるという点や、サービスの利用者は国民全員であり、普及率が重要な指標となる点です。

あなたが受けない方がいい職業を確認してください

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より深く理解しよう! BtoGの仕事の3つの特徴

より深く理解しよう! BtoGの仕事の3つの特徴

  • 仕事の受注が「入札」で勝つことで決まる
  • 発注までに時間がかかりやすい
  • ある程度決まったサイクルがある

ビジネスモデルごとの違いや具体的商材、重要なポイントは理解できたでしょうか。ここからは、具体的にBtoGを理解するために事業の3つの特徴について解説します。

読むことでBtoGならではの特徴をはっきりとイメージできるようになり、働いた際に自分が何をするのか、予想される動き方がわかるでしょう。

①仕事の受注が「入札」で勝つことで決まる

BtoGの仕事の受注は、ほかのビジネスモデルにはない「入札」をすることで獲得できます。入札というと、ヤフオクなどのオークションをイメージするとわかりやすいでしょう

オークションということは、消費者が商品を購入するように値段が最初から決まっていません。入札によって競り勝つことではじめて事業を進められるようになります。

BtoGで使われる3つの入札方法について、この後から詳しく解説します。

受注方法①:一般競争入札

一般競争入札は、BtoGの事業モデルにおける最も一般的な入札方法です。対象は参加資格を持つ全事業所となっており、新規にBtoGに参入する企業にも落札のチャンスがあります

ただし入札への参加資格を得るには、参加を希望する事業ごとに決められた申請先へ審査を申し込み、通過しなければなりません。

審査内容は、落札したときに事業に取り組めるような資本力があるのかなどを中心に、納税証明書をはじめとした公的書類とともに厳正な審査がおこなわれます。

落札できるかを決める方法は2つです。最も安い金額を提示した「最低価格落札」か、価格以外にもトータルで優れた提案をした「総合評価方式」のいずれかの落札方法で決まります。

受注方法②:指定競争入札

指定競争入札は、実績や信頼性が担保されていると事業元が認めた企業のみが参加できます。一般競争入札に比べると透明性や公平性が低くなることが懸念される入札方法なので、入札方式を採用できる事業内容自体に制限があるのです

総務省の地方公共団体の入札・契約制度の概要によると、地方自治法第234条第2項、地方自治法施行令第167条によって定められた条件は以下の通りです。

指定競争入札の要件

  1. 契約の性質・目的が一般競争入札に適しない契約をするとき。
  2. 契約の性質・目的により、入札に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。
  3. 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。

談合や癒着といった心配な点はあるものの、依頼側からすると確実に技術の優れた企業に事業を依頼でき、反社会的勢力や不審な企業からの参入を防げるところはメリットです。

落札決定は、一般競争入札と同じく最低価格の提示かトータルの提案内容を見る2つから選択されます。

受注方法③:随意契約

随意契約は、入札とは異なり行政側から指名を受けて受注する方式です。依頼側としてのメリットは多く、入札方式と比べると発注までの期間が短期間で済むことや、確実に信頼ができる企業に依頼できるので質の担保も期待できます

ただし入札形式と比べると著しく公平性や透明性が欠けてしまうため、指定競争入札以上に適用できる条件が地方自治法によって厳しく設けられています。おもに緊急性の高さや価格が想定金額よりも下回ることが条件です。

随意契約の候補者を選出する方式として、企画提案や価格を総合的に判断するためのプロポーザル方式が取られることもあります。

プロポーザル方式とは

不特定多数の企業から定められたテーマについての企画書・提案書の内容をもとに、最も適した提案をした企業を取引相手とする入札方式のこと

②発注までに時間がかかりやすい

BtoGの事業は随意契約のような一部の指名発注を除き、入札形式で事業を開始できるのかが決まります。多くの競合との比較や調整をおこなうため、発注決定までの時間が長くなりがちです

さらに国や自治体の予算は、年単位で決定します。事業経費がその期や年で歳出できない場合、翌年度の予算編成に組み込まなければ予算を確保できません。加えて国や自治体の発注を決定するには、多くの関係部署から承認を得ることが必要です。

このようにほかのビジネスモデルに比べると、長期スケジュールでプロジェクトとかかわる可能性が高く、関係者との関係性構築ができるかも円滑な事業進行にカギとなります。

渡部 俊和

プロフィール

たとえば4月から始まる新年度の事業は、事前調整はあるにせよ正式発注は年度が始まってからになります。

そうなると4月にすぐ事業はできないので資金繰りが難しくなるのです。5月か6月に仕事が始まり、決済はさらに遅れていきます。

③ある程度決まったサイクルがある

国や自治体の事業は「公共事業」といわれており、予算を算出するタイミングやスケジュールがある程度決まっています。

自治体の予算の種類は、年度の最初に1年間の歳入(収入)と歳出(支出)を計画して組まれる当初予算と、緊急の場合に議会で決議を取り、可決されることで組み込める補正予算の2つです。

補正予算は3月・6月・9月・12月に開催される議会で編成できますが、基本的には地震やそのほかの災害など緊急性の高いものにのみ適用されます。

多くの公共事業の予算は年始の当初予算で決まるため、事前にスケジュールを把握せずに動いてしまうと事業に参加する機会を逃す危険性があるのです

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入社前に知っておこう! BtoGの現状と将来性について

BtoGの特徴を知って「ほかにはない面白さがありそう」、「自分もBtoGで働いてみたい」と思った人もいるでしょう。そうなると気になってくるのは、安心して長く働ける業界なのかですよね。

実際に働いてから事業が先細りし、倒産あるいは給料が減額されるなどの悲劇に遭ってしまうのは避けたいものです。そこでここからは、BtoGの市場規模や将来性がどのくらいあるかについて解説します。

市場規模:国・自治体合わせて27兆円以上

BtoGの市場規模は、過去の契約実績の金額から予測可能です。

2024年6月時点で確認できる、経済産業省の令和6年度中小企業者に関する国などの契約の基本方針について、中小企業庁の令和4年地⽅公共団体による中⼩企業者の受注機会の増⼤のための措置状況等調査結果によるとの最新の実績は以下の通りでした。

金額(参考資料の総実績額)
9兆5,285億円
地方自治体17兆5,451億円
総計27兆736億円
BtoGの市場規模予想

同資料内では、総額のうちどれだけが中小企業・小規模事業者と契約したかの比率も確認できます。資料によると、国が49.8%、地方自治体は72.2%とかなり高い比率を占めていることが記載されていました

将来性:BtoG事業は受注機会の増える可能性が高い

BtoGの将来性は、利用者の多様性や需要拡大といった背景から考えても大きいと言えます。昨今の政治発言で「地方創生」や「官民連携」などの言葉を聞いたことがある学生も多いと思います。

地方創生とは東京をはじめ主都を中心とした人口の流れを地方に戻し、地方人口の減少を抑える施策のことで、官民連携とは行政と民間が連携して公共サービスを提供していく長期的な取り決めのことです。

いずれにも共通しているのは、行政にこだわらず民間企業が事業に参入していくのを推奨している施策である点です。 より利用者の状況に合わせた事細かなサービス提供が必要であり、民間企業が参入するチャンスも拡大しています。

アドバイザーコメント

デジタル化の波や地方問題などの影響でBtoGの注目は高まっている

BtoGが注目されるようになった背景は主に3つあります。

まず、デジタル化の進展とICTの普及です。政府や自治体は行政サービスの効率化と市民の利便性向上を目指し、デジタル技術の導入を推進しています。これにより、企業が提供するICTソリューションやデジタルサービスの需要が急増しているのです。

具体例として、電子政府(e-Government)やスマートシティプロジェクトの推進が挙げられます。オンライン行政手続きの普及やデータ管理の効率化が進み、企業が提供するデジタルサービスの重要性が増しています。

次に、地方創生や、民間企業が行政と協力して公共サービスを提供する取り組みである官民連携といった政策も、BtoGビジネスの拡大を後押ししているものの一つです。

地方創生は、昨今の地方の人口減少や地域経済を衰退といった課題の解決に必要不可欠なため、民間企業が地方自治体や政府と連携してさまざまなサービスを提供する機会が増えています。

さらに、過去の経済状況の変化も影響しています。バブル経済期にはインフラ整備が進みましたが、バブル崩壊後の経済停滞期には公共事業の縮小が進みました。その後、デジタル化の波が訪れ、新たなビジネスモデルとしてBtoGが再び注目されるようになったのです。

BtoGは経済状況や企業競争などの影響を受けやすいというリスクもある

一方、BtoGビジネスにはいくつかの懸念点も存在します。政府の予算削減や政策変更により、公共事業の予算が減ると、企業側の受注機会も減少してしまう可能性があるのです。

また、長期的な契約が多いため、経済状況の変動に対するリスクも考慮する必要があります。

さらに、多くの企業が参入するなかで競争が激化すると、価格競争や技術競争が収益に影響を与える可能性もあるでしょう。

仕事に将来性があるかによって就職先を探したい学生には、以下の記事もおすすめです。将来性のある仕事13例とその詳細を紹介しています。

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将来性のある仕事13選! これから需要が高くなる仕事とは?

「将来的になくならない仕事に就きたい」「同じ仕事を長く続けたい」と考える人は、将来性のある業界や仕事を選びましょう。この記事では、将来性のある業界や仕事について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。

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将来性のある仕事13選! これから需要が高くなる仕事とは?

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。

そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

BtoGの1日の仕事例も紹介! 具体的な内容からイメージを膨らませよう

BtoGの仕事は、前提として入札するための資料作成や事前リサーチが重要です。入札に勝たなければ受注ができないため、資料のつくり込みや競合の情報が必要となります

入札するときのアピール方法として「仕様書を作る」というものがあります。仕様書は予算の使用許可を得るためのプレゼン資料のようなものです。公共事業は税金を使う事業となり、進行するには説明責任を果たすことと不透明さの排除が絶対条件といえます。

何を目的とするのか、この事業によって何が改善できるのか、どれくらい数量は必要なのかなどの詳細な情報を事前に提出しなければなりません。この仕様書の作成に役立つ参考仕様書を渡すことで、事業への参加機会を生み出せる可能性があります。

ほかにも入札できる案件を自治体ホームページや入札情報サービスを利用して探すことも仕事の一つです。落札が決定した後も、関係各所との細かな情報連携が求められます。

BtoGだからこそ経験することになる仕事はありますか?

政策や法規制などに沿った事業はBtoGならでは

民間企業と仕事をするときにも、法令遵守は求められています。しかし、BtoGではより厳格な法律や規制に従うフォーマットが求められます。

また、商品やサービスを提案・提供するときには、政府の政策を理解していなければ内容を反映させることができませんよね。

そのため、常に新しい政策をキャッチアップし、政策の背景まで深く理解をすることが求められます。

キャリアコンサルタントに聞いた! BtoGだからこそ感じられるやりがいとは?

具体的な違いや業務内容、働き方はわかったものの、ほかのビジネスモデルと比べると長期の取り組みを余儀なくされたり、落札できるまでの苦労も多く見えたりと、BtoGの仕事の魅力がわからない人もいるでしょう

そこでキャリアコンサルタントの渡部さんに、BtoGだからこそある大きなやりがいや、将来の可能性、どのようなスキルが身に付くのかについて聞きました。

アドバイザーコメント

BtoGのやりがいは社会貢献の意義がある仕事をおこなえること

やりがいのある仕事の要件は、目標が明確で仕事の意味を感じられることや、わかりやすい手ごたえがあること、などがあると思います。

そもそもBtoGの仕事は、社会的な必要性に応じて予算が付き、その事業に適した業者が選定されて初めて実施できる事業ばかりなので、社会貢献ができるという特徴が初めから備わっているのです。

また、成果報告も必須要件になっているので年度ごとの実績もわかりやすい点がモチベーションになり得ます。

公共事業を実施できる業者はあらかじめ入札資格を得ていて、事業計画や執行について毎年審査を受けるので、そこでの実績は他社からの信用を得られやすいという側面もあるのです。

事業形態特有のノウハウや企画提案力などのスキルも磨くことができる

BtoGで身に付くスキルとしては、公共事業の特殊性への理解や、そこでの実績・経験など業界特有のものがあり、そのスキルを備えた人材は業界にとってもありがたい存在と言えます。

BtoG企業は、国の事業を担う企業を入札する方法にもいろいろなパターンがあり、一般競争入札に出ている企業は、どうしても価格での競争になりやすいのが特徴です。

しかし、それを覆すことのできる提案を毎年工夫して練り上げていくことにより、企画提案力や交渉力、調整力などを身に付けられるでしょう。

BtoGの仕事が向いている人・向いていない人の特徴

ここまでの内容を踏まえて、BtoGの仕事が向いている人、逆に仕事に就くと合わないかもしれない人の特徴をまとめました。

本質的な性格の部分も関係してくるので、普段の考え方や仕事へのスタンスを思い描きながら確認してみてください。

BtoGの仕事が向いている人:逆算して計画的に長期スパンで動ける人

BtoGの仕事が向いているのは、じっくりと物事に長期的な視野を持って取り組める人です。前述のとおり、BtoGの仕事は年単位でのプロジェクト活動も当たり前となるため、持続的にモチベーションを維持しなければなりません。

最終的な結果だけにこだわらず、取り組んでいる最中のプロセスや途中経過を確認しつつ仕事を進行できる人でなければ、仕事で活躍することは難しいでしょう

また複雑な手続きを履行したり、細かなリサーチや分析、資料作成も求められたりするため、繊細な作業を根気強く継続できる人の方が向いていると言えます。

短期的な課題解決よりも「環境問題」や「貧困問題」などSDGsに興味を持つ人は、BtoGに向いていることが多いです。

さらに、生徒会や学生自治体などの規律を重視する活動に携わった経験がある人も、やりがいを感じながらBtoGの仕事ができますよ。

BtoGの仕事が向いていない人:短期的に成果を求めたい人

BtoGの仕事は、短期間で達成できる成果を確認することをやりがいと感じる人には向いていません。たとえば1日や月のノルマ達成を目標とするBtoCやBtoBの営業とは真逆なイメージです。

また、そのほかのビジネスモデルの提案相手と比べると、競合に勝たなければならないプレッシャーも掛かってきます。BtoGの委託相手を選ぶ基準は、人柄よりも実績や信頼性の高さで選ばれるためです。

特に参入したばかりの中小企業は、落札できるまでの期間も相当必要かもしれません。辛抱強く取り組む姿勢が求められるので、すぐに結果を出して成長していきたい人はミスマッチが起きる可能性が高いと言えます

高尾 有沙

プロフィール

BtoGの仕事は、年間を通じた計画やプロジェクトが多く、結果が見えるまでに時間がかかります。

長期的な関係構築や信頼性を重視するため、短期的な成果を重視する価値観を持つ人には向かないと言えるでしょう。

たとえば、短期インターンやアルバイトで1日ごとや週ごとに明確な成果を出すことにやりがいを感じていた人や、短期間で結果を求める営業やマーケティングの経験が多い人、すぐに成果が見えるようなタスクや役割を好んで担当していた人などです。

企業の営業職といっても、業界や手法によって取り組み方は変わってきます。自分に合っている営業を探したい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

営業職の将来プラン
営業職の6つのキャリアプランとは? なりたい将来像を想像してみよう

反響営業の仕事について
反響営業とは? 入社後のイメージを膨らませるポイントを徹底解説

実例からも学ぼう! BtoG事業をおこなった企業例

具体的な説明をしてきたものの、実際にどのようにかかわっているのかはまだわかりにくいですよね。そこで最後に実際にBtoGの事業をおこなった事例を紹介します。

実はBtoG事業は、学生でも誰もが聞いたことがある有名企業が参加しているのを知っていたでしょうか。企業名も挙げて紹介するので、イメージを膨らませるのに役立ててくださいね。

楽天:楽天ふるさと納税の展開

国内でも最大級のマーケット規模を誇るのが楽天市場です。楽天市場を運営する楽天グループでは、ふるさと納税を含む自治体の事業支援に力を入れています。

具体的には、地域創生事業を立ち上げ、70を超える楽天グループのサービスやデータを活用しながら自治体や地域をサポートし、これまでにはインバウンド観光客の地方誘致や観光支援、地方自治体に向けたセミナーの提供など、多岐にわたって支援してきました

また、ふるさと納税の支援では、楽天ふるさと納税の特設ページを開設しています。ページ内で寄付金や地域から探せるプラットフォーム作りはもちろん、「寄付限度額シミュレーター」や「税金控除の手続きガイド」といったコンテンツを作り、ふるさと納税の利用者増加に貢献しています。

LINE:公共サービスの手続き連携

学生の多くが利用しているコミュニケーションツールであるLINEでも、自治体向けのサービスを提供しています。

LINEでは2019年から地方公共団体プランを提供開始していて、都道府県自治体名がアカウント名であることなどを条件とし、該当する場合は通常発生する月額料金を無料で利用できます

LINEトーク上での公共料金の支払いが可能となり、LINEPayを使えばキャッシュレス決済にも対応しています。

ほかにも住民票の申請、粗大ごみの24時間収集受付、マイナンバーカードと連携した各種証明書の発行なども可能です。加えて防災や減災のための情報提供や、いじめなどの相談窓口の活用など、行政のサービスを身近なものにすることに貢献しています。

SmartHR:クラウドサービスの導入

業務効率化や労務手続きなどの人事データの一元管理を可能にするSmartHRは、官公庁のオペレーション改善にも役立っています。

たとえば滋賀県の長浜市では、3つの大きな課題を抱えていました。

  • ペーパーレス推進
  • 入退社手続きの効率化
  • 年末調整の効率化

同社の事例紹介によると、非常勤職員も多くいる市役所では多様な働き方が存在し、それに合わせた複雑な労務管理の工数増大が大きな課題であったとあります。ほかにも社会保険の加入や、年末調整提出書類の作成など、2,000名ほどの職員がいるからこそ必要な時間も膨らみがちだったようです。

そこでSmartHRがシステムを導入したことで、8,000枚以上印刷していた紙を削減し、労務時間も大幅減を実現するなど、業務効率化に貢献しています

渡部 俊和

プロフィール

研修業界でも公共事業の受託率が高いことで知られる企業があります。

その会社は官公庁や自治体の職員向けの研修をパッケージ化して全国展開していますが、設立から14年でマザーズ上場を果たし、現在は東証プライム市場に移行しました。

BtoGならではの部分に惹かれたなら就職先候補として企業研究してみよう

BtoGにはほかのビジネスモデルと異なる特徴があります。最たるものは仕事を得るプロセスにあり、基本的には入札で勝たなくてはなりません。また国や自治体ならではの特殊なスケジュールに合わせてプランニングをしなければならない点も特徴として挙げられます。

しかし市場規模は大きく、将来性も期待できるビジネスモデルです。仕事を受注できるまでの苦労は大きいかもしれませんが、かかわる事業は国の看板を背負ったプロジェクトとなり、遂行し終わったときの達成感は何物にも代えがたい魅力と言えるでしょう。

この記事をきっかけにBtoGのほかにはない魅力に惹かれたなら、まずは企業研究からしてみてはいかがでしょうか。自分の可能性を広げるチャンスにつながるかもしれません。

アドバイザーコメント

BtoGは将来性があり成長意欲が高い人にもおすすめ

BtoGの仕事が面白そうと思いつつ、「ほかの仕事に比べて大変そうでエントリーすべきか悩む」と思っている人も多いのではないでしょうか。

たしかに、綿密なプランニングや受注までのスケジュールを考えると、簡単な仕事ではありません。

しかし、BtoGだからこそ得られる経験が多いですし、将来的に活かせるスキルも多くつけられる魅力があります。BtoGの仕事に魅力を感じているだけでなく、将来に以下のようなキャリアアップを考えている人にもおすすめなのです。

・大きな仕事を任されたい
・マネジメントに興味がある
・独立してビジネスをやりたい など

BtoG特有の経験を活かしてその先のキャリアの幅も広げられる

BtoGのその後のキャリアとしては、政策などについても深く理解する経験から公共政策にかかわる、大規模プロジェクトにかかわった経験からプロジェクトマネージャーとしてキャリアチェンジする、などが挙げられますね。

もちろん、将来につながる実績がつけられるということは、就職するにあたって求められるスキルも高い傾向があります。

就活で後悔しないためにも、就活でアピールできる実績づくりにも取り組みましょう。そして、納得感があるキャリア選択をおこないましょう。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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