この記事のまとめ
- 就活前にSIerの仕事内容や業界特性を理解しよう
- SIerの働きやすさや成長機会は企業の位置づけによって異なる
- 自分に合ったSIerを見極めるための企業選びのポイント4選
SIerへの就職を検討しているなか「SIerはやばい」という噂を耳にして、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。実際に就活を始める前に、SIerの仕事環境や将来性はどうなのかを理解しておくと、自分に合った企業を見誤るリスクを少なくできます。
SIerは大規模なシステム開発プロジェクトに携わり、幅広い業界知識やプロジェクト管理スキルを身に付けられる魅力があります。一方、長時間労働や多重下請け構造など、業界特有の課題もあります。ただし、これらの問題は企業によって大きく異なるため、一概に「SIerがやばい」と決めつけるのは適切ではありません。
この記事では、キャリアアドバイザーの杉原さん、平井さん、野村さんのアドバイスを交えつつ、SIerがやばいといわれる理由や、SIerで働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。SIerの実態を正しく理解し、自身に合った就職先を選ぶ際の参考にしてくださいね。
【完全無料】
大学3年生におすすめの業界研究対策 資料ランキング
①適職診断
3分であなたの適性を診断!就活のスタートは適職診断から始めてください。
②自己分析ツール
自己分析ツールであなたの強み・弱みを特定しましょう!
③自己PRジェネレーター
自己PRのエピソードで悩んだら、ツールを使うのが一番オススメ!
④面接力診断
39点以下は要注意!面接を受ける前に面接力を測定しましょう。
⑤ガクチカ作成ツール
自己PRと差別化できるガクチカを簡単に作れるようになります。
【大学3年生におすすめ】
就活を始めたての人におすすめの診断!
①就活力診断
これから就活を始める人へ!たった30秒であなたの就活偏差値がわかります。
②性格診断
60秒で診断!あなたが受けない方がいい業界・職種がわかります
企業によって異なる! SIerがやばいといわれる理由はさまざま
SIerが「やばい」といわれる理由は、仕事内容や待遇に関するものなどさまざまです。たとえば、SIerの規模によって業務内容や現場環境が異なるため、SIer全体を一括りにして「やばい」と言い切れないのが事実です。
この記事ではSIerの仕事内容や特徴、SIerで働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。自身に合った企業を見つけるためにも、まずはSIer業界の実態を理解しておきましょう。
記事の後半では、「やばい」と言われるSIerを見極める方法や、志望企業を選ぶ際の4つのポイントについても解説します。正しい情報をもとに就活を始め、自身に合った進路を選択できるよう、あらかじめ目を通しておきましょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
そもそもSIerって何? おもな仕事内容
SIer(システムインテグレーター)は、企業や組織の業務を効率化するためのシステムを企画・設計・開発・運用・保守する会社です。おもな仕事内容は以下のとおりです。
SIerのおもな仕事内容
- 顧客要望のヒアリング
- システム企画・提案
- システムの設計・開発
- プロジェクト管理
- システムの導入・運用サポート
- 保守・メンテナンス
SIerは、顧客の業務プロセスを理解し、それを最適化するためのITソリューションを提供します。たとえば、大手小売チェーンの在庫管理システムや、銀行のオンラインバンキングシステムなど、私たちの日常生活を支える多くのシステムはSIerによって開発・運用されているのです。
SIerの仕事は多岐にわたり、プロジェクトの規模や内容によって求められるスキルも変わってきます。技術力はもちろん、顧客とのコミュニケーション能力やプロジェクトマネジメント能力も重要です。
なお大規模なプロジェクトでは、複数のSIerが協力して開発をおこなうこともあります。この場合、元請けSIerが全体の管理を担当し、下請けSIerが特定の部分の開発を担当するという構造になることが一般的です。
SIerの具体的な仕事内容を詳しく知りたい人には、以下の記事がおすすめです。SI業界の構造とそれぞれの仕事内容や働き方まで解説しています。
関連記事
SI業界を研究! 仕事内容や将来性、向いている人を徹底解説
SI業界はITを活用して社会に必要なシステムを構築し、企業の課題を解決する業界です。SI業界には特有の構造があり、それぞれ仕事内容や働き方が異なります。この記事ではキャリアコンサルタントがSI業界の業務や向いている人を解説しています。
記事を読む
就活前に知りたい! SIerがやばいといわれる5つの理由
就活前に知りたい! SIerがやばいといわれる5つの理由
SIerはやばいと噂されるように、SIer業界には確かに特有の課題があります。これらを正しく理解することで、自身に合ったキャリアの方向性を見極めることができます。ここでは、SIerが「やばい」といわれる理由を5つ解説します。
SIerがやばいといわれる理由を知ることで、就職先を選ぶ際の重要な判断材料になるだけでなく、入社後のキャリアプランを考えるうえでも役立ちます。
なお、以下で取り上げる内容がすべてのSIerに当てはまるわけではありません。SIer業界全体を一括りにして判断せず、あくまで一部のSIerに見られる傾向や課題であることを理解しながら読み進めてください。
3分でできる適職診断! あなたはどのタイプ?
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
①長時間労働の可能性
SIerは大規模なシステム開発プロジェクトを扱うことが多いので、納期に追われて多忙になりやすいのが特徴です。顧客からの要望が急に変更されたり、予期せぬトラブルに対応したりするため、残業や休日出勤が発生しやすくなっています。
特に、プロジェクトの終盤や納期直前になると、長時間労働が常態化することもあります。このような状況で働くことは、心身の健康を害するリスクがあるだけでなく、ワークライフバランスの崩れにもつながります。
ただし、SIerのなかには長時間労働の解消に向けて取り組んでいる企業もあるため、すべてのSIerに当てはまることではないことを覚えておきましょう。
- SIerで長時間労働は避けられないのでしょうか?
長時間労働の解消に積極的に取り組んでいる企業もある
サービス稼働間近は、ある程度仕方がないと思います。長時間労働がSIerひいてはIT業界前提の課題として認識されてからもうずいぶんの期間になり、人材確保の大きな障害になっていることもわかっています。
それだけに長時間労働の解消への取り組みをどれだけおこなっているかは、企業選択の大きなポイントになります。たとえば、作業時間管理方法の改善、社員の能力向上、AI(人工知能)などを使った効率向上の取り組みなどが考えられます。
応募先が長時間労働についてどのような対策を取っているか、どれくらい成果が出ているかを確認しておきましょう。
やばいSIerを見抜くために、以下の記事もチェックしておきましょう。ブラック企業のパターンや入社後に後悔しやすい項目まで解説しています。
関連記事
ブラック企業の特徴! 4つの場面でアウトな企業を見抜く方法を紹介
「ブラック企業を避けて就職したい!」と考えている人が大半なのではないでしょうか。記事ではキャリアコンサルタントとともにブラック企業の特徴について解説します。ブラック企業かどうかを見極める方法も紹介しているので、仕事探しをしている人はぜひ参考にしてくださいね。
記事を読む
②多重下請け構造の問題
SIer業界は、大手企業が元請けとなり、中小企業が下請けとして仕事を受注する多重下請け構造になっています。つまり、上流から下流に行くほど利益率が低下し、下請け企業の従業員の待遇が悪化する傾向があるのです。
また、多重下請け構造では、顧客の要望が元請けを通じて下請けに伝わる過程で、重要な情報が抜け落ちたり、誤解が生じたりすることがあります。さらに問題が生じた際の責任の所在が不明確になりやすく、プロジェクト全体の効率低下につながることもあるのです。
特に下請けの立場では、直接顧客とコミュニケーションを取る機会が限られるため、ビジネススキルを磨く機会が少なくなる可能性もあります。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
③技術が陳腐化するリスク
IT業界は技術革新のスピードが速く、常に新しい技術やツールが登場しています。しかし、SIerのなかには古い技術やレガシーシステムを扱い続ける企業も少なくありません。これは、顧客の既存システムとの互換性維持や、コスト削減の要求によるものです。
レガシーシステムとは
過去の技術・仕組みで構築されているシステム。おもに1980年代に導入されたメインフレームやそれを小型化したオフィスコンピューターを使ったシステムを指す
その結果、最新の技術に触れる機会が限られ、エンジニアとしてのスキルが市場価値の低い古い技術に偏ってしまうリスクがあります。特に、大規模な基幹システムを長期間保守する案件などでは、この傾向が顕著になりやすいのがポイントです。
SIerで技術力を上げるためには最低限、ITパスポートの資格を取得できるレベルの知識は必要です。できれば基本情報技術者試験のレベルには到達したいです。
試験名でもわかるように、この資格はあくまでもITの「基本」の知識なので、これをベースに専門知識を深めましょう。
IT業界で必要なスキルアップについて詳しく知りたい人には、以下の記事がおすすめです。IT資格の種類や自分に合った勉強方法まで解説しています。
関連記事
厳選15選|目指すべきIT資格の見つけ方から勉強方法まで徹底解説
目的もなくIT資格をとりあえずとろうとすると、興味が持てず挫折してしまうことも。まずは自分に合った資格を選ぶことが重要です。自分に合った資格の選び方から、厳選15個の資格の詳細、勉強方法まで解説します。適切な資格を取得してIT業界でステップアップしましょう。
記事を読む
④顧客の状況変化に伴う対応の発生
SIerにおいて、顧客との関係性は業務内容や働き方に大きな影響を与えます。特にユーザー系SIerでは、親会社が顧客になることが多く、その業績や方針に業務が左右されやすい傾向があります。
ユーザー系SIerとは
企業の情報システム部門が、子会社や関連会社として独立してできたSIer企業
たとえば、親会社の業績が悪化すると、システム開発やIT投資の予算が削減され、プロジェクトが縮小や中止になることがあります。逆に、親会社が新規事業を始める際には、急遽大規模なシステム開発が必要になり、突発的な長時間労働が発生することもあるのです。
つまり、SIerでは顧客の状況に応じて業務量や内容が大きく変わるため、安定したキャリア形成が難しくなる可能性があります。また、特定の顧客に依存することで、他業界の知識や経験を得る機会が限られ、スキルの幅が狭まるリスクもあります。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
⑤成長機会の損失
SIerでは、大規模なプロジェクトに携わることができる一方で、個人の成長機会が限られてしまうケースがあります。おもな原因として、プロジェクトの規模が大きいがゆえに、担当する業務が細分化され、特定の作業に特化してしまうことが挙げられます。
たとえば、大規模なシステム開発プロジェクトで、データベース設計のみを長期間担当し続けると、その分野のスキルは向上しますが、ほかの技術やビジネススキルを学ぶ機会が減少しかねません。
また、プロジェクトの納期や予算の制約が厳しいため、新しい技術にチャレンジする余裕がなく、既存の手法を踏襲せざるを得ないこともあります。
さらに、多重下請け構造の下流に位置するSIerの場合、上流工程や顧客折衝の経験を積むことが難しくなります。これらの経験は、プロジェクト全体を俯瞰する力や顧客のニーズを理解する能力を養う重要な機会です。
このような機会が限られることで、マネジメントスキルの向上が妨げられ、キャリアの幅が狭まる可能性があります。
- SIerで成長する機会が限られてしまうと、キャリアにどんな影響があるのでしょうか?
スキルが身に付かず昇進などのチャンスを失う可能性がある
同じシステムの保守や一部の作業に長期間携わると、新しい技術や幅広いスキルを習得する機会が減り、将来的にほかの分野や上流工程の仕事に挑戦する際に経験不足で苦労する可能性があります。
また、マネジメントやリーダーシップを求められるポジションへの昇進も難しくなることがあります。対策として、自己学習やスキルアップに努め、成長できる環境を提供してくれる企業を選ぶことが重要です。
就活のプロが解説! やばいSIerを見極める方法
SIerの仕事内容や「やばい」といわれる理由について解説しましたが、実際に就職する際にはどのように企業を見極めれば良いのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。
事前にやばいSIerを見極められれば、自身に合った企業を選び、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。ここではキャリアアドバイザーの杉原さんに、やばいSIerを見極める方法について詳しく聞きました。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る何次請けのSIerかをチェックしてミスマッチを防ごう
やばいSIerを見極めるには、そのSIerが何次請けかを確認するのがポイントです。規模のプロジェクトがある程度大きいと、どうしても下請け構造になってしまいます。
発注を受けた元請け企業は、いわゆる上流工程を受け持ちます。上流工程は難易度が高く、技術力が要求され、作業単価は高額です。そして元請けから下請け、孫請けに仕事が発注され、下請けになればなるほど仕事の難易度が下がり、それにともない単価も低くなります。
ITは技術の世界なので、難易度の低い仕事ばかりしていると技術力の向上は見込めません。技術力のない会社は自然と淘汰されてしまうのです。
取引先を確認することで何次請けかを推測できる
何次請けのSIerかを見極めるのが難しい場合は、取引先を調べてみましょう。よく知られた有名な取り引きをしているなら、二次請けあたりかもしれません。
また、SIerは人手不足ではあるものの、優秀な技術者を求めています。常に人の募集をかけていて、未経験OKを過度に強調している企業は、やばいSIerの可能性があります。
「誰でもできる」「簡単にできる」と謳っているなら、それは技術力を要しない仕事です。そうした仕事はすぐに自動化され将来的にはなくなる仕事のため、企業選びの際に留意しましょう。
所要時間はたったの3分!
受けない方がいい職業を診断しよう
就活で大切なのは、自分の職務適性を知ることです。「適職診断」では、あなたの性格や価値観を踏まえて、適性が高い職業・低い職業を診断します。
就職後のミスマッチを避けたい人は、適職診断で自分に合う職種・合わない職業を見つけましょう。
- 自分に合う職業がわからない人
- 入社後のミスマッチを避けたい人
- 自分の強みを活かせる職業を知りたい人
種類別! SIerがやばいといわれるポイント
やばいSIerを見極めるポイントを知ったところで、SIerの種類によってどのような特徴があるのか気になる人も多いのではないでしょうか。実はSIerの規模や立場によって、「やばい」といわれるポイントは異なります。
ここでは、大手・中堅SIerと下請けSIerそれぞれの「やばい」といわれるポイントについて詳しく解説します。これらの情報を理解し、自身に合ったSIerを選ぶ際の判断材料としてください。
なお、企業での働きやすさは、大企業や中小企業といった企業規模によって傾向が異なります。企業規模による働きやすさの違いについて、理解を深めたい人にはこちらの記事もおすすめです。
関連記事
大企業の定義を中小や大手との違いを含めて解説! 働くメリットも
大企業の定義、中小企業やみなし大企業、大手企業、上場企業との違いをキャリアコンサルタントとともに解説。見分ける方法や、大企業で働くメリットや企業選びの注意点についても詳しく説明します。
記事を読む
大手・中堅SIer:得られるスキルに偏りが生じやすい
大手・中堅SIerでは、大規模なプロジェクトや長期保守案件を扱うことが多く、これが技術の偏りを生む要因となります。
たとえば、大手企業の基幹システムではレガシーシステムの保守・運用案件が多いため、最新技術に触れる機会が限られがちです。これにより、業界全体の技術革新に乗り遅れるリスクがあります。
また、大型案件では役割が細分化され、特定の業務に長期間固定されることがあります。たとえば、データベース設計だけを何年も担当し続けると、ほかの技術力が身に付かず、キャリアが停滞しやすくなってしまうのです。
特に中堅SIerの場合、大手の下請けとして参画するケースが多く、さらに限定的な役割を担うことになります。結果として、幅広い技術経験を積むことが難しく、スキルの偏りがより顕著になる傾向があります。
中堅SIerで上流工程を担当できないケースでは、スキルが偏るリスクがあります。
たとえば大手から受注した案件では、仕様設計が終わって開発からの受注になることがあり、その場合は設計や顧客折衝などの経験を積みにくくなります。
ESで悩んだら就活準備プロンプト集がおすすめ!
『就活準備をもっと効率よく進めたい...!』と思っていませんか?「就活準備プロンプト集」は、生成AIを活用して自己PRや志望動機をスムーズに作成できるサポートツールです。
簡単な入力でプロが使うような回答例が出せるため、悩まずに就活準備を進められます。生成AIを活用して効率良く就活準備を進めたい人におすすめです。
- 自己PR、ガクチカ、志望動機作成プロンプト
- チャットを使用した、模擬面接プロンプト
- 自己PRで使える強み診断プロンプト
下請けSIer:利益率が低く待遇が悪くなりやすい
下請けSIerは、多重下請け構造の下流に位置することが多く、これがさまざまな問題を引き起こします。まず、上流から下流へ行くほど利益率が低下するため、従業員の給与や福利厚生などの待遇が悪化しやすい傾向があります。
また、元請けや親会社の都合に振り回されやすく、急な仕様変更や納期短縮に対応せざるを得ないこともあるので、長時間労働や休日出勤が常態化しやすいのです。
さらに、下請けの立場では顧客と直接かかわる機会が限られるため、プロジェクト全体を俯瞰する視点や顧客のニーズを深く理解する経験を積みにくくなります。このように上流工程や提案活動に携わる機会も少なく、キャリアアップの選択肢が狭まりやすいのも、下請けSIerがやばいといわれるポイントの一つです。
- 下請けのSIerでも待遇が良い企業はありますか?
下請けSIerのなかにも優良企業はある
「良い」の定義が難しいのですが、下請けSIerでも良い企業は多く存在します。
元請けとなる大手SIerから継続して仕事を受注しているようなら、それなりの技術力があると評価されているはずなので経営的にも安定している可能性が高いです。
そういった下請けSIerであれば、安心して長期にわたって働きやすいといえます。また、SIerと一口に言っても、ユーザー系、独立系、メーカー系があり、それぞれ給与水準が違います。
しかし、大切なのは給与の高さではありません。ユーザー系ならユーザー系の仕事、独立系なら独立系の仕事、メーカー系ならメーカー系の仕事を正しく理解することです。
また、SIerだろうとほかのIT系企業だろうと、技術力が高ければ給与も高くなり、技術力が低ければ給与も低くなりやすいのは同様です。
意外と知られていない! SIerで働くメリット4つ
意外と知られていない! SIerで働くメリット4つ
- 幅広い業界知識が身に付く
- プロジェクト管理スキルが向上する
- 大規模システム開発の経験ができる
- 安定した収入が得られる
SIerがやばいと噂されているのは事実ですが、実はSIerで働くことには多くのメリットもあります。これらのメリットは、将来のキャリアでも役立つ強みとなる可能性があります。
ここでは、SIerで働く4つのメリットについて詳しく解説するので、SIerの魅力を再発見し、自身のキャリアプランに合うかどうかを判断しましょう。
①幅広い業界知識が身に付く
SIerの魅力は、さまざまな業界の顧客と仕事をする機会が得られることです。金融や製造・小売・医療など、幅広い業界のシステム開発に携わることで、各業界の業務知識や特有の課題を学べます。
たとえば、銀行のオンラインシステム開発では金融取引の仕組み、製造業の生産管理システムでは製造プロセスを深く理解することになります。この経験は、ITスキルだけでなく、ビジネス全般の知識を広げることにつながるのです。
結果として、多様な視点でビジネス課題を分析し、最適なソリューションを提案できる力が身に付きます。この幅広い知識と経験は、将来的にIT業界内でのキャリアアップはもちろん、ほかの業界へ転職する際にも強みとして活かしやすくなります。
SIerで幅広い業界に携わると、たとえば金融では取引の仕組み、製造業では生産管理のプロセスを学べます。
これにより、各業界のビジネスモデルや多くの観点での課題に精通し、最適なITソリューションを提案できる力が身に付きます。
②プロジェクト管理スキルが向上する
SIerでは、大規模なシステム開発プロジェクトに携わる機会が多くあります。これらのプロジェクトでは、複数のチームや協力会社と連携しながら、限られた時間とリソースのなかで目標を達成する必要があります。
このような環境で働くことで、スケジュール管理やリスク管理・チーム運営などのプロジェクト管理スキルが自然と身に付きやすくなるのがポイントです。たとえば、予期せぬトラブルへの対応力や、社内外の人々とのコミュニケーション能力などが磨かれます。
また、上流工程から下流工程まで幅広く経験することで、プロジェクト全体を俯瞰して把握する力も養えます。これらのスキルは、IT業界に限らずどの業界でも高く評価される汎用的なものなので、将来的にマネジメント職を目指すうえで強みとなりやすいです。
SIerに入社し、マネジメント職を目指したい人は、以下の記事もチェックしておきましょう。プロジェクトマネージャーのキャリアパスや向いている人の特徴を解説しています。
関連記事
未経験から目指すプロジェクトマネージャーへの道|必須スキルを解説
IT業界が気になる人の中には、将来プロジェクトマネージャーを目指したいと考える人も多いでしょう。この記事では、プロジェクトマネージャーの年収や将来性について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。
記事を読む
③大規模システム開発の経験ができる
SIerの特徴は、企業の基幹システムや社会インフラを支える大規模なシステム開発に携わる機会が多いことです。これらのプロジェクトでは、高度な技術力と複雑な要件を扱う能力が求められます。
たとえば、銀行の勘定系システムや航空会社の予約システムなど、数百人規模の開発チームで数年かけて構築するような大型案件に参加することもあるかもしれません。
このような経験を通じて、システムアーキテクチャの設計や大規模データの処理など、高度な技術スキルを磨くことができます。
また、大規模システムならではのセキュリティやシステムのパフォーマンスに関する課題に取り組む経験は、プロジェクトに参画する人材としての視野が広がり、IT業界でのキャリアアップに役立ちます。
- SIerでの大規模システム開発には、新卒1年目から携われますか?
新卒1年目は開発の補助担当からスタートするケースが多い
大規模システム開発に新卒1年目からかかわるチャンスは十分にあります。ただ、最初は設計のうち限定的な部分の補助を担当することもあります。
システム開発では全体を見る力がとても重要です。多くの場合、SIerの新人研修ではシステム開発の進め方を一通り学びます。最初に意識してほしいのは、自分の担当部分の前工程と後工程を理解することです。
システム開発は「どのような情報を受け取り、どのような情報を作って次の担当に渡すのか」「求められる形に変換するためにどのような処理が必要なのか」といったことの連続です。
新卒1年目からこうした視点で取り組むことで、システム開発の力が身に付きます。
④安定した収入が得られる
SIerは一般的に、安定した収入を得やすい業界として知られています。多くのSIerが大企業や官公庁を主要顧客としているため景気変動の影響を受けにくく、安定した経営基盤を持っているからです。これにより、SIerは長期的な雇用の安定性も期待できます。
さらに、残業代や休日出勤手当などの各種手当が充実している企業も多く、基本給以外の収入も見込めます。ただし、これは長時間労働の裏返しでもあるため、ワークライフバランスを保ちにくくなくなることに注意が必要です。
- 中堅SIerや下請けSIerの場合、年収は上がりにくい傾向にありますか?
上流工程を経験できない場合は年収が上がりにくい
中堅SIerや下請けSIerは、大手に比べて年収が上がりにくい傾向があります。多重下請け構造が存在するため、下請けに行くほど利益率が低くなり、従業員への還元が少ない場合があるのです。
また、上流工程を担当する機会が少ないと、プロジェクトマネジメントに必要とされる高度なスキルが身に付きにくく、それにともない給与の上昇も限定的になることがあります。
ただし、年収の上がりやすさはその企業の経営状況や成長戦略に大きく依存します。中堅SIerや下請けSIerであっても、技術力を磨き上流工程に挑戦できるような環境を選ぶことが、年収アップにつながる道です。
SIerの将来性ってやばい? キャリアのプロに聞いてみた!
SIerのメリット・デメリットについて解説しましたが、「SIerの将来性はどうなのか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
SIerの将来性を理解することで、長期的なキャリアプランを立てる際の判断材料になります。また、業界の動向を把握することは、自身のスキルアップの方向性を定めることにもつながります。
ここではキャリアコンサルタントの平井さんに、SIerの将来性について詳しく聞きました。業界の専門家の見解を参考に、SIerという選択肢が将来のキャリアにとってどのような意味を持つのか、考えてみましょう。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見るSIerのニーズは将来的にも高まると考えられる
今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)の勢いが衰えるとは思えません。特に官公庁や行政機関での大規模システム開発はさらに進み、SIerの役割はさらに重要なものとなると考えられます。
ただし、「労働集約型の働き方から知識集約型の労働に転換できるか」という課題はあります。SIerやIT業界は労働集約型産業といわれていて、人の労働力に強く依存してしまいがちです。結果として長時間労働につながり、SIerで働くことを検討している人の懸念事項となっているのです。
上流工程をこなすスキルの習得がキャリアアップの鍵
労働集約型であるという課題はあるものの、SIerとIT業界が成長分野であることには間違いありません。成長業界は技術革新が進み、人材を集めるための労働環境の改善に向けた動きも働きやすくなります。
労働環境の改善として注目される手段の一つは、近年話題となっているAIの活用です。おそらくシステム開発の下流工程のプログラミングは、今後早い段階でAI活用が進むと思います。
そのため、上流工程をこなす力を持ったSIerが生き残りやすくなると考えられます。SIerで長期的なキャリアを築くには、顧客折衝力やプロジェクトマネジメント力といったスキルのキャッチアップが必要だと認識しておきましょう。
適性を確認しよう! SIerに向いている人
適性を確認しよう! SIerに向いている人
- 論理的思考力が高い人
- 最新のIT技術を学び続けられる人
- 密なコミュニケーションでチームと連携が取れる人
SIerの将来性について理解したところで、「自分はSIerに向いているのだろうか」「長期的に勤務できるほど適性があるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。SIerでの仕事は、技術力だけでなく、さまざまなスキルや適性が求められます。
ここでは、SIerに向いている人の特徴を3つ解説します。特に「SIerがやばいのではないか」と不安を感じている人こそ、自身の強みや適性がSIerに向いているかをチェックしましょう。
論理的思考力が高い人
SIerの仕事では、複雑なシステムの設計や問題解決力が必要なので、論理的思考力が求められます。顧客の要望を分析し、最適なソリューションを導き出すには、物事を筋道立てて考える能力が不可欠です。
たとえば、システムの要件定義では顧客の曖昧な要望をまとめて、具体的な仕様に落とし込む必要があります。また、トラブルが起こった際は問題の原因を論理的に追及し、効率的に解決策を見出すことが求められます。これらの課題に対処できる論理的思考力は、「やばい」と言われるSIerの現場を乗り越える重要なスキルです。
数学や物理が得意な人、パズルや推理ゲームが好きな人は、この論理的思考力を活かしてSIerで活躍しやすいです。ただし、この能力は経験を積むことでも向上するので、苦手な人でも諦める必要はないことを覚えておきましょう。
SIerにはITの知識だけでなく、論理的思考力をはじめとしたビジネスの素養も必要です。
また、システムの構築にはその仕事に対する理解が必要なので、興味関心の範囲が広く好奇心旺盛な人はSIerに向いているといえます。
最新のIT技術を学び続けられる人
IT業界は技術革新のスピードが速く、常に新しい技術やツールが登場するため、SIerで長く活躍するにはこれらの最新技術を継続的に学び、習得する姿勢が不可欠です。
たとえば、AI(人工知能)、IoTなどの新技術が次々と実用化されるなか、これらを理解したうえで適切に活用する能力が求められます。また、最新技術は日々進化しているため、常にアップデートするために勉強し続ける必要もあるのです。
このような継続的な学習が、「やばい」と言われるSIerの環境を乗り越えるカギとなります。そのため、新しいことを学ぶのが好きで、技術トレンドに興味がある人は、SIerの環境で力を発揮しやすいといえます。
SIerの役割は求められるシステムを作って顧客に提供することです。
技術力はシステム開発に必要なスキルの一部に過ぎません。プログラミングなどはAIで自動生成される時代が訪れるでしょう。そこで、システム設計に触れるにはフローチャートが描ける能力が役立ちます。
たとえば、自動販売機にお金を入れて商品が出るまでのフローチャートを自力で書けるといったレベルのスキルを学生の段階から身に付けておくと、将来的にもSIerとして活躍しやすくなります。
密なコミュニケーションでチームと連携が取れる人
SIerの仕事はチームで進められることがほとんどです。「やばい」と言われるような大規模で複雑なプロジェクトでも、さまざまな役割を持つメンバーと協力しながら目標達成を目指す必要があります。そのため、円滑なコミュニケーション能力が不可欠です。
プロジェクトマネージャーとの進捗報告、ほかの開発者との技術的な議論、顧客との要件確認など、日々多くのコミュニケーションが発生します。また、問題が発生した際には、迅速かつ正確に情報を共有し、チームで解決策を見出すことが必要です。
そのため、人と接するのが好きでチームワークを大切にできるような人は、「やばい」と言われるような複雑な人間関係や組織構造のSIerでも、スムーズに業務を進められる可能性が高くなります。
- どちらかというと個人で作業をすることが好きなのですが、そういった人はSIerに向いていないのでしょうか?
SIerは個人の技術とチームとの協調性の両方が求められる
SIerの仕事は大規模プロジェクトが多いため、チームで行動できコミュニケーションに長けていることが求められます。
作業自体は一人で黙々と進めるのですが、プロジェクトを成功に導くには多くの人の協力が必要です。
たとえば、大きなビルの建設は決して一人だけの力でできる仕事ではありません。個人がバラバラに取り組んでいるように見えても、実態はチームとして動いています。
技術面だけでなく自分の性格とも向き合いながらSIerの仕事を十分に調べ、長い将来にわたって続けていけそうな職業かどうかを良く検討しましょう。
やばいSIerを避けるために! 志望企業を選ぶ際の4つのポイント
やばいSIerを避けるために! 志望企業を選ぶ際の4つのポイント
- 自身に合うSIerの種類を考える
- 社員の成長機会を確認する
- 技術力と案件をチェックする
- 働き方改革への取り組みを調べる
SIerに就職を検討している人のなかには、「自分に合ったSIerを選ぶ方法がわからない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。これまで見てきたように、SIerの特徴や課題は多岐にわたります。
しかし重要なのは、一般的に「やばい」と評価されるSIerであっても自分のキャリア目標や価値観と合致していれば、むしろ理想的な環境となる可能性があるということです。
ここでは、自分に合った企業を選ぶための4つのポイントを解説します。これらのポイントを押さえることで、業界全体の評判にとらわれすぎず入社後のミスマッチを防ぎやすくなるので、参考にしながら企業選びを進めてみてください。
①自身に合うSIerの種類を考える
「やばい」と言われるSIerを避け、自分に合った環境を見つけるためには、大手や中堅・下請けなど、企業の規模や立場によって経験できる内容が異なることに注目しましょう。
大手SIerでは大規模プロジェクトに携わり、幅広い業界知識を得られる可能性が高いですが、役割が限定されることがあります。一方、中小SIerでは小規模案件が中心となりますが、上流から下流まで幅広い工程を経験できる可能性があります。
たとえば、特定の業界に特化したいなら、その業界に強いSIerを志望することも選択肢の一つです。また、技術力を重視するなら、自社製品開発に注力している企業も視野に入れてみてください。
このように自身の目指すキャリアパスを明確にし、それに合うSIerの種類を慎重に選ぶことが大切です。
自身に合うSIerを見つけるためにキャリアパスを明確にしたい人は、こちらの記事もチェックしておきましょう。キャリア形成に必要な前提や、キャリア形成のヒントを見つける方法を解説しています。
関連記事
キャリア形成とは? 4ステップでこの時代を生き抜く方法を考えよう
キャリア形成とは、職業における人生設計をおこない、必要なスキルを身に付けていくことです。満足のいく社会人生活を送るためのキャリア形成の方法を、キャリアコンサルタントと解説します。4ステップで誰でもしっかりと考えることができますよ。
記事を読む
下請けSIerが向いているのは、特定の技術スキルを深めたい人や、手を動かす技術的な仕事にやりがいを感じる人です。
ただし、上流工程や顧客折衝の機会が少なく、キャリアアップの幅が狭まることがあるため、自身の成長や将来のキャリアに対して慎重に考える必要があります。
②社員の成長機会を確認する
自身が成長できる環境があるかを確認することが、「やばい」と言われるSIerを避けるための重要なポイントとなります。
技術革新の速いIT業界で活躍するには、継続的なスキルアップが必要なので、自身が成長できる環境があるかを確認しておきましょう。企業の採用ページや企業説明会を通じて、資格取得支援制度の有無や社内勉強会の頻度などを確認してみてください。
また、先輩社員のキャリアパスや現場の変更、さまざまな経験を積む目的で定期的におこなわれるジョブローテーションを企業内で取り入れているかどうかも聞いてみるのがおすすめです。
さらに、新しい技術への取り組み姿勢も重要です。最新技術を積極的に導入しているか、イノベーションを推進する文化があるかなどをチェックしましょう。たとえば、技術カンファレンスへの登壇実績は、その企業の技術力と成長機会を測る指標となります。
これらの点をチェックすることで、「やばい」と言われるSIerに就職することなく、自身のスキルを磨いたり自分に合ったキャリアを描いたりしやすくなります。
IT企業の売りは技術力です。企業内に高度ITの資格を有している人が少ないなら、会社として技術力向上の意識が全体的に低いのかもしれません。
しかし、技術は自分で磨くものです。大切なのは本人の意欲であり、環境のみではありません。
③技術力と案件をチェックする
SIerの技術力と取り扱う案件の質は、やばいSIerを避けるための重要な判断材料です。技術力が高く、魅力的な案件を多く手掛けている企業では、自身のスキルアップにつながる経験を積みやすくなります。
企業の技術力を判断する際は、保有する特許数や技術者認定資格の取得者数などをチェックしましょう。たとえば、複数の志望先企業のなかで特許数を比べて、その数が少なすぎる企業は、慎重に検討するのがおすすめです。
また、案件については、過去の実績や現在進行中のプロジェクトの内容を確認します。大規模で先進的なシステム開発に携わっているか、特定の業界や技術分野に強みを持っているかなどを見極めましょう。特に大手SIerの子会社なら、顧客が親会社に依存しすぎていないかも確認するのがコツです。
さらに、自社製品の開発に注力しているかも重要なポイントです。自社製品を持つSIerは、最新技術を積極的に取り入れる傾向があるので、より幅広いスキルを習得できる可能性が高くなります。
下請けSIerを選ぶ際は、自社製品の開発に注力していたり、特定の分野に強みを持っていたりすると、やばいSIerを避けやすくなります。
技術力や案件のチェックを含めて企業分析する場合は、以下の記事がおすすめです。企業分析で就活を効率的に進める方法や、企業同士の比較方法も解説しています。
関連記事
企業分析のやり方を完璧にマスターする3ステップ|よくある注意点も
企業分析には自分に合った企業が見つかるなどのメリットが多くあります。また集めた企業情報をうまく活用することで、就活を効率的に進めることができますよ。この記事では、企業分析の正しいやり方から効率化のコツまでキャリアコンサルタントとともに徹底解説します。
記事を読む
④働き方改革への取り組みを調べる
やばいSIerを見分けるには、志望企業の働き方改革への取り組みを詳しく調べることが重要です。まず、企業のホームページ(HP)や求人情報で公開されている労働時間や有給休暇取得率をチェックしましょう。
また、フレックスタイム制やリモートワークの導入状況、残業削減の具体的な取り組みなども確認します。これらの制度が実際に機能しているかどうかは、OB・OG訪問や口コミサイトで現役社員の声を聞くことで把握できます。
さらに、ワークライフバランスを重視する企業文化があるかも重要です。たとえば、育児や介護との両立支援制度や、副業・兼業の許可など、多様な働き方を支援する制度があるかを確認しましょう。
- SIerでワークライフバランスを保つことは難しいですか?
SIerでも働き方改革による良い変化が期待される
これまでは確かに、SIerはワークライフバランスを保ちにくいという面がありました。しかし、これからもそのような状態では優秀な人材がSIerに集まらなくなります。
SIerもこうした背景を理解しているため、働き方改革に力を入れ始めている企業は多いです。
就活の際は、企業研究や面接を通して働き方改革への取り組みや、開発環境・開発手法の更新にどの程度取り組んでいるかも質問してみましょう。
AIや機械にできることを人間がしていないか、社内に経験値を蓄積して活用する仕組みがあるかなど、しっかり確認しておくことでやばいSIerを避けやすくなります。
ホワイト企業に就職したい人には、以下の記事がおすすめです。職種や業界ごとのホワイトさの傾向や、ホワイト企業の見極め方まで解説しています。
関連記事
おすすめ企業40選| ホワイト企業の特徴を業界・職種別に徹底解説
ホワイト企業といってもさまざまな会社があります。記事では、キャリアコンサルタントと社労士とともに、ホワイト企業の定義や条件を解説します。そのうえで、自分に合ったホワイト企業を探せるよう見つけ方を説明します。さらに、実際のホワイト企業の例を紹介するので、企業選びの参考にしてくださいね。
記事を読む
視野を広げよう! SIer以外のIT業界の選択肢
視野を広げよう! SIer以外のIT業界の選択肢
- 自社開発企業
- Webサービス企業
- ユーザー企業の情報システム部門
- SES企業
SIerへのキャリアが自身に合っていないかもしれないと感じた人は、IT業界のなかでほかの選択肢を検討するのも選択肢の一つです。IT業界は多様で、SIer以外にも魅力的な選択肢がたくさんあります。
ここでは、SIer以外のIT業界のおもな選択肢について説明します。SIer以外の選択肢を理解することで、自身のキャリアプランにより適した就職先を見つけられるかもしれません。
自社開発企業
自社開発企業は、独自のソフトウェア製品やアプリケーションを開発・販売する企業です。SIerとは異なり、特定の顧客のためではなく、市場全体に向けて製品を提供します。自社開発企業の例としては、セキュリティソフトや会計ソフトなどを開発する企業がこの分類に含まれます。
この業態の特徴は、一つの製品に長期的に携わることができる点です。製品の企画から開発・改良・導入後のサポートまで一貫してかかわることで、深い専門知識と経験を積めます。また、自社製品を開発するため、最新技術の導入や革新的なアイデアの実現にチャレンジしやすいのも特徴です。
自社開発企業は、特定の分野に深く携わりたい人や、自身のアイデアを製品に反映させたい人に向いています。ただし、市場競争が激しいため、常に新しいアイデアを生み出す創造性と、プレッシャーに耐える力が求められることを理解しておきましょう。
SIerのなかには自社開発や販売を手掛ける企業もあり、社内の部署異動によってキャリアを変える選択肢もあります。
特に大手SIerでは、顧客プロジェクトの経験を積んだ後、自社開発部門に異動してキャリアを伸ばすことが可能です。
Webサービス企業
Webサービス企業は、インターネットを通じてさまざまなサービスを提供する企業です。たとえば、SNSやECサイト・情報ポータルサイトなど、私たちが日常的に利用するサービスの多くがこのカテゴリーに含まれます。
Webサービス企業の特徴は、ユーザー体験を重視した開発をおこなう点です。サービスの魅力や使いやすさを高めるため、デザインやUXに力を入れます。また、ユーザーの反応を見ながら素早くサービスを改善していくアジャイル開発がよく用いられるのもポイントです。
UXとは
利用者が商品・サービスを利用した際に得られる体験や経験を指す。ユーザーエクスペリエンスの略
アジャイル開発とは
システム開発におけるプロジェクト開発手法の1つ。大きな単位でシステムを区切らず、小単位で実装とテストを繰り返して進める開発
Webサービス企業は、ユーザーとの直接的なやりとりを通じて製品を改善していきたい人や、最新のWeb技術に常に触れていたい人に向いています。また、スピード感のある開発環境で働きたい人、開発に携わったサービスが多くの人に使われる喜びを感じたい人にも適しています。
Web業界について理解を深めたい人は、以下の記事もチェックしておきましょう。Web業界の職種や、Webエンジニアに向いている人の特徴などを解説しています。
Web業界
Web業界の全貌を徹底調査|選考突破の秘訣や自己PR例文も解説
Webエンジニア
Webエンジニアってどんな仕事? 将来性や向いていない人の特徴も
ユーザー企業の情報システム部門
ユーザー企業の情報システム部門は、その企業の業務を支えるIT基盤の構築・運用・保守を担当します。SIerとは異なり、自社のビジネスニーズに直結したシステム開発や運用に携わるのが特徴です。
おもな業務として、社内システムの企画・設計・開発、ネットワークやサーバーの管理、情報セキュリティの確保などが挙げられます。また、ほかのIT企業と協力してシステム導入プロジェクトを進めることもあります。
ユーザー企業の情報システム部門では、社内のさまざまな部門と調整する必要があるので、高いコミュニケーション能力と柔軟性が必要です。そのため、特定の業界・企業の業務に深くかかわりたい人、長期的な視点でシステムの改善や最適化に取り組みたい人に向いています。
SES企業
SES(System Engineering Service)企業は、顧客企業にエンジニアを派遣する形でITサービスを提供する企業です。SIerと似ていますが、プロジェクト単位ではなく、人材単位で契約を結ぶ点が特徴です。
SESエンジニアは、基本的に顧客先に常駐し、システム開発やインフラ構築・運用保守などの業務に従事します。顧客のプロジェクトチームの一員として働くため、さまざまな企業の環境や文化を経験できます。
SESエンジニアは頻繁に現場が変わる可能性があるので、多様な技術や業界を経験して幅広い知識とスキルを身に付けたい人におすすめです。
客先常駐で働く際は「誰の指示を受けるか」に注意しましょう。SES企業はあくまでも自分が所属する自社の指示命令に沿って業務を遂行します。
万が一、常駐先社員の指示命令で業務をすると、偽装請負という違法行為とみなされることがあります。
SESについて理解を深めたい人は、こちらの記事もチェックしておきましょう。SESに勤めるメリットやデメリットを解説しています。
関連記事
新卒でSESになるのはあり? 優良企業を見抜く4つの視点を解説
SES企業への就職は、新卒でもさまざまなプロジェクトに参加できるなどさまざまなメリットがあります。一方、学生にとっては想像しにくいデメリットもあるので、記事ではキャリアコンサルタントの見解と合わせて、SES企業の特徴を解説します。
記事を読む
SIerなどのIT企業にまつわる就活や働き方のQ&Aも併せてチェック!
この記事を読んでいる人のなかには、「SIerやIT企業の実態をもっと知りたい」「就活や働き方について具体的にどう準備すべきか」と感じている人もいるのではないでしょうか。
そこでここでは、PORTキャリアに寄せられたSIerやIT企業に関するQ&Aを紹介します。キャリアコンサルタントによる回答を参考に、IT業界の就活や働き方についての理解を深めて、自分に合った企業選びや準備に活かしましょう。
すべてのSIerがやばいわけではない! 総合的な面から自分に合うか判断しよう
SIerがやばいといわれる理由は、企業によって異なるため、志望する企業の特徴や働き方を知ることは大切です。
しかし、SIerの噂や評判だけで判断するのではなく、自身のキャリア目標や価値観と照らし合わせて、総合的にSIerで働くことを検討することが、後悔しないために重要といえます。
記事ではSIerの種類別の特徴や「やばい」といわれる理由を解説したので、志望する企業の実態を知るうえで参考にしてくださいね。
企業研究をする際は、解説した志望企業を選ぶ際の4つのポイントや、SIerに向いている人の特徴を参考に、自身に合った企業を見極めましょう。
また、より充実したキャリアを実現することにつなげるためには、SIer以外のIT業界の選択肢も視野に入れつつ幅広い観点から自分のキャリアを考えてみてください。
アドバイザーコメント
野村 芳克
プロフィールを見る社員の働きやすさを重視しているSIerも存在する
SIerに興味があるものの、「SIerはやばい」という噂を聞いて不安に思う学生も多いかもしれません。しかし、SIer業界がすべて同じ環境ではなく、企業によって働き方や成長機会が大きく異なるため、一概に「やばい」とは言い切れません。
SIerのなかには、長時間労働や多重下請け構造の問題を抱える企業がある一方で、社員の成長や働きやすさに力を入れている企業も多くあります。
描きたいキャリアを明確にして自分に合ったSIerを見極めよう
まずは、自分のキャリア目標や価値観をしっかりと見つめ、それに合った企業を選ぶことが大切です。大手SIerで幅広い業界知識を身に付けたり、中小SIerで上流から下流まで幅広い経験を積んだりするなど、選択肢はさまざまです。
自分がどんなスキルを身に付けたいのか、どのような働き方をしたいのかを考え、企業研究を丁寧におこなうことで自分の選択に後悔しにくくなります。また、SIer以外のIT業界にも自社開発企業やWebサービス企業など、多くの選択肢があります。
SIerに限らず広い視野で業界を研究し、自分にマッチした選択をしましょう。情報収集をしっかりおこない自分の未来を明確に描くことが、不安を取り除く第一歩です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細