
この記事で得られること
- どんな人に読んでほしい?
①自分に合った仕事がわからない人
②本気で適職を探したい人
③就活を始めようとしている人 - このオピニオン記事で得られること
①満足したキャリアを築くための「自分に合った仕事」の考え方
②適職を見つけるための「長嶺さん流・自己分析」と「対話での深め方」
本コンテンツは、PORTキャリアに参画するアドバイザーによるオピニオンコンテンツです。アドバイザー自身の一次的な実体験や、これまでの具体的な支援実績に基づいた「その人にしか語れない」独自の知見をお届けします。
※ 記事内で紹介する事例は、関係者のプライバシー保護とキャリアコンサルタントとしての守秘義務の観点から、個人が特定されないよう細心の注意を払って編集・構成しています。
インタビュー・執筆:團祥太郎(PORTキャリア編集部)
「適職だと思っていたけど、働いてみると全然違いました」。20〜30代のキャリア支援の際に、耳が痛いほど聞いてきた悩みです。
「企業や業界の選び方や絞り方がわかりません」というのが、新卒の就活初期のもっとも多い悩みの一つ。実際に、就職後に私に寄せられる後悔の数が、自分に合った仕事の見つけ方の難しさを物語っているといえます。
無数の仕事の選択肢に、溢れる情報。その中で、それぞれの個性や価値観にあわせた「自分に合った仕事」を見つけるのは容易なことではありません。
教科書通りの自己分析や企業・業界研究では、限界があるのも事実。机に座っているだけでは見つかりませんし、努力や行動力が必要です。
この記事では、
・「就職してから失敗したくない」
・「本気で自分に合った仕事を見つけたい」
と切に願っている方に向けて、キャリアの専門知識と私の実体験から得た適職探しのコツをあますことなくお伝えしたいと思います。

具体タイプ? 抽象タイプ? まずは自分の「思考タイプ」を把握しよう
適職探しで、まず知っておいてほしいこと。それは、 人には大きく分けて2つの思考タイプがあり、それによって意識する点が異なるということ。万人が共通の進め方で正解(適職)にたどりつけるわけではありません。
大きく分けると、物事を「具体的に」捉えるタイプと、「抽象的に」捉えるタイプ。どちらのタイプかによって、仕事探しの最初のアプローチと注意点は変わってくると私は考えています。
抽象タイプは深掘りをマストに
まず「抽象タイプ」。 「なんとなくこの会社、雰囲気がいいな」「この人たちと働くとフィーリングが合いそう」といった直感を大切にする方です。この感覚を大切にすることは間違っていません。結局は、会社選びも人と人とのコミュニケーションの上で成り立っているわけですから。
ただし、一つだけ気をつけてほしいことがあります。それは、「なぜ、そう感じたのか?」を徹底的に深掘りすること。「なんとなく」でなく、文章にできるくらい言語化することが重要です。
なぜでしょうか。たとえば、「この会社いいな」と思ったとします。ただ、それではその時に話した人との相性やタイミングが単に良かっただけかもしれません。もしくはミッションやパーパスなどに惹かれても、よく考えてみると表面的な字面や、一側面に惹かれているだけかもしれません。
直感で感じた「なんとなく」を言語化・可視化すること。それで入社後のミスマッチを格段に減らすことができるのです。
問いかけ例(編集部・制作)
「この人とはフィーリングが合うと感じたとき」
- なぜ? 緊張せず、自然体でいられたから
- なぜ? 話を否定せず、肯定的に聞いてくれたから
- なぜ? (気を使いすぎる私でも)意見の尊重や自然体を大切にする姿勢が伝わったから
具体タイプは言語化できない要素も考える
続いて「具体タイプ」の人。 業務内容や年収、福利厚生、勤務地といった「条件」をしっかり固めて、それに合う仕事を探すタイプです。私の経験上、こちらのタイプの人が圧倒的に多いですね。
よくある失敗例が、「条件はすべてそろっているはずなのに、入社してみたら何か違う」。そんなケース。下手すると、早期退職につながってしまうこともあります。
それは決めた条件に「言語化できない要素」を見落としているからです。フィーリングの部分は非常に重要な要素となりますが、まったく無視してしまうと、大きなギャップを感じてしまうのです。
OB・OG訪問などを活用して、最低でも社員3人、できれば5人と直接会って話してみてほしいと思います。その中で、3分の2くらいの人が「フィーリングが合うな」と感じられたら、その会社はあなたに合っている可能性が高いといってもいいでしょう。もともと条件が合致しているので、ミスマッチはかなり少なくなりますよね。
バランスの意識が最適な仕事選びにつながる
まずは自身がどちら寄りのタイプかを客観視してみる。その上で、具体派なら抽象的な「雰囲気」を、抽象派なら具体的な「理由」を意識する。このバランスを取ることが、失敗しない仕事選びの第一歩です。

適職は変化する前提を。キャリア軸に自分の根っこを見つける大切さ
これから社会に出る就活生に知っておいてほしい大前提は、自分に合った仕事は、年齢や環境で変化するものだということ。
たとえば、学生時代は「海外でバリバリ残業もいとわず働きたい!」と考えていても、たとえば将来家庭を持つなどライフステージが変われば優先順位は大きく変わります。
「自分にとってはこの職業や会社しかない!」と自分を追い詰める必要はまったくありません。キャリアには常に10%くらいの「余白」を持っておくことが非常に重要だと、私は考えています。その余白が、他業界を見たり、新しい可能性を探ったりする機会を与えてくれるのです。
具体的には、やりたいことや目標の「抽象度」を上げることをすすめています。
たとえば、「絶対にこの出版社に入りたい!」という強い目標があったとします。素晴らしい熱意ですが、就職の可否は選考倍率や採用人数の運にも左右されますよね。もし叶わなかった場合、自分を追い詰めてしまうかもしれません。

抽象度を上げるためには「なぜ?」を3回から5回繰り返してみてください。なぜ出版社に入りたいのか。 もし「自分の作ったもので、周囲の人を喜ばせたいから」という根本的な動機(根っこ)にたどり着いたとしたら、その実現手段は出版社である必要はありませんよね。
私の知人にも、もともと俳優志望だった人が、今は美容院を経営している例があります。「自分のパフォーマンスで人を喜ばせたい」という根っこは同じだと気づきを得たのです。すごく深みのある人生だと思いませんか?
このように自分の「根っこ」さえ探り当てられれば、価値観や手段(職業)は変わっても、やりがいを持って楽しめる。選択肢がグッと広がります。

川下り型と山登り型
川下り型:明確な目標設定をせずに、目の前の状況に主体的に向き合い、その時々の業務や出会いを生かしながらキャリアを積むスタイル
山登り型:35歳までに役職者になる・スキルを身に着けるなど明確に目標設定し、計画通りにキャリアを積むスタイル
キャリア形成とは
キャリア形成とは? 4ステップでできるやり方を解説!
「旅に出る」。体験の総量が自己理解を深める
では、その「自分の根っこ」を見つけるための「自己理解」(自己分析)は、どうすれば深められるのでしょうか。
旅に出よ。
唐突な主張で驚かれるかもしれませんが(笑)、実は本気でそう思っています。私が運営するキャリア支援事業「せんのみなと」(千葉県香取市)のキャリアプログラム「キャリアツーリズム」も、まさにその理念に基づいています。
なにも旅をしろ、と言っているわけではありません。ここで私が伝えたいのは、「行動しないと判断すらできない。まずは一次情報に触れてほしい」ということです。インターネットや知り合いからの情報だけでなく、実際に自分の五感で感じてほしい。
農家の元で働いてみる。工場の経営に触れてみる。コンサルティングの現場を見てみる。頭の中だけで考えるのではなく、実際に体験することでしか判断できないことは山ほどあります。

なぜ体験することが、自己理解につながるのか。 自己理解は他者や環境との接点によって深まるからです。
「なぜ自分はこの人が苦手なんだろう?」「この環境はすごく心地よいな」
実際にいろいろな人や環境に触れると、そんな気持ちが動きますよね。その他者や環境との摩擦を通して、初めて「生身の自分」の輪郭がはっきりしてくるのです。
他者・異環境に向けた最初の問いかけ例(編集部・制作)
- なぜこの人が自分は苦手なのだろう・好感を持てるのだろう?
- なぜこの発言に違和感を持つのか?心を動かされたのか?
- なぜこの雰囲気が落ち着くのだろう?居心地が悪いのだろう?
- この環境に何を期待しているのか? 失望したくなくて警戒しているのだろう?
重要なのは、非日常に少し足を踏み入れてみるということ。普段話さない人と話してみる。たとえば、大学のキャリアセンターでもいい。思い切ってOB・OGに相談してみるなどです。まずはそうした小さな一歩からはじめてみてください。
自己分析のやり方について
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自己分析の具体的な方法について
◇自己分析ノート
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◇マインドマップ
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◇自分史
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◇自己 分析 シート
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◇モチベーション グラフ
テンプレ付き|モチベーショングラフを駆使して自己分析を深めるコツ
◇他己分析
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自己分析を深めるための質問
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相談先はN数の多い「プロ」を。親や友人への相談は限界がある
体験と同じく大切なのが、対話です。仕事選びや価値観を固める際、親や友人に相談する人は多いと思います。 少し強い表現になりますが、キャリアの相談を親や友人にしても、極論あまり意味がないと思っています。
客観的なアドバイスはとても難しい。どうしても「慰め」になってしまったり、情が乗ってしまったりする。
また、その人自身の経験に基づいたアドバイスしかできないため、提示できる選択肢が限られてしまいます。何より、キャリアアドバイスにおいて、「N数(=経験や支援事例の数)」が圧倒的に少ないのです。
その点、キャリアセンターの職員や、我々のようなキャリア支援の「プロ」はどうでしょうか。プロは年間何百人という多様なキャリアを支援しています。その膨大なN数に基づいているからこそ、フラットな立場で、あなたに最適な選択肢を提示できます。
キャリアのプロ相談先リストと特徴(編集部制作)
- 大学のキャリアセンター
キャリアコンサルタントが常駐。OB・OG訪問先の紹介や、新卒・第二新卒向けの支援が手厚い - エージェント(人材紹介会社)
キャリアアドバイザー(CA)が担当。非公開求人の紹介や職務経歴書の添削、面接対策まで無料支援 - キャリアコーチング(有料)
キャリアコーチが伴走。「転職がゴール」ではなく、自己分析や中長期的なキャリアプラン(自分の軸)の設計を支援する - ハローワーク(公共職業安定所)
公的な相談員が対応。地元の中小企業求人や、職業訓練(スキル習得)の相談に強い
就活の相談先について
就活の相談先14選! 良い決断ができる相談相手の選び方も解説
まずは小さな一歩から。自分なりの「外」に飛び出してみよう
「自分に合った仕事がわからない」「業界・職業がわからない」。
もんもんと机に座っていても、物事は前進しません。まずは、キャリアセンターに足を運んでみませんか。少しでも気になる企業があればインターンに申し込んでみてはどうでしょうか。説明会にいってみて、いろんな会社の人と話してみませんか。
なんでもいいです。まずは肩肘張らず、まずは外に飛び出すことをやってみませんか。そこからあなたの適職探しは始まります。
編集後記●新卒の就活を思い返すと、「絶対に新聞社に入りたい!」と誰の意見も聞かない頑固な大学生でした。「抽象度を上げてみよう」という長嶺さんのアドバイスと相反する行動です。なんとか希望は叶ったものの、20代は失敗と後悔を繰り返し、キャリアに悩み、結果として抽象度を上げたうえで仕事を選んだ先に今があることに気づきました。インタビューの途中で長嶺さんが予言者に見えてきたことは秘密です。(團)
自分に合った仕事がわからない人に贈るQ&A集!
自分に合う仕事がわからず、就職・転職活動で悩む人は多くいると思います。以下に実際の学生、転職者や、当社で求職者支援をするなかで寄せられた相談をもとに専門家から回答を募ったQAコンテンツを掲載しています。
自分に合う仕事を見つけるため、自分の悩みに近いものを選んでぜひ確認してみてください。
コラム型コンテンツで4ステップで「自分に合った仕事」を見つけたい人はこちら
自分に合った仕事を簡単4ステップで発見! 後悔しない方法を解説
何がやりたいのかわからない人向け
①仕事で何をすればいいかわからないのですが、どう見つければ良いでしょうか?
②自己分析で向いてる仕事を見つけられますか?
③仕事で何がしたいかわからない大学生です。どのように興味のある仕事を見つければ良いでしょうか?
④やりたい仕事が見つかりません。
⑤何をすればいいかわからない時、仕事はどう探せば良いですか?
⑥したい仕事がない状態からどう抜け出せますか?
⑦仕事の選び方がわからないのですが、どうすれば良いですか?
⑧やりがいのある仕事とはどのような仕事ですか?
⑨大学生でしたい仕事が見つからないのはやばいですか?
⑩自分に合った仕事がわかりません……。
⑪「良い仕事が見つからない」と悩む時、どうすれば良いですか?
⑫一番いい仕事を見つけるコツを教えてください。
自分の選び方がわからない人向け
①やりたいことがなく仕事を選べません。どうやって決めるべきですか?
②仕事を選ぶ基準について教えてください。
③仕事の探し方がまったくわかりません。どうすれば良いですか?
転職者向け
①転職したいのですが、仕事探しは何から始めるべきですか?
②転職したいけど、向いてる仕事がわかりません。
③楽しくなくてやりがいがない仕事でも続けるべきでしょうか?
④転職で後悔しないための仕事選びのコツを教えてください!
既卒・第二新卒向け
①20代の仕事探し、何から始めれば良いですか?
②したい仕事がないフリーターなのですが、どうしたら興味のある仕事を見つけられますか?
③ニートの場合、仕事の探し方はどうすれば良いですか?
④仕事が見つからない20代です。どのように自分に合う仕事を探せば良いでしょうか?
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi




