この記事のまとめ
- 正社員のメリットは8つある
- 正社員と他の雇用形態のメリットを比較することが重要
- 自分の価値観に合った雇用形態を選ぼう
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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就職するにあたって、正社員で働こうと考えているものの「そもそも正社員で働くことにメリットはあるのかな?」と疑問に思う人は多くいます。日本は正社員で働いている人の割合が高く、正社員で働くことが当たり前と考える人は多いものの、本当にその道で良いのか悩みますよね。
正社員には数多くのメリットがありますが、人それぞれ仕事に対する価値観は異なるため、本当に合っている働き方か確認する必要があります。他の雇用形態にもそれぞれ特徴があるので、比較したうえで働き方を決めた方が入社後のミスマッチを防ぐことができますよ。
本記事ではキャリアアドバイザーの谷所さん、横山さん、渡部さん、社労士の涌井さんと一緒に、正社員のメリットや、正社員と他の雇用形態の特徴、違いについて解説するので、働き方に悩んでいる人はぜひ参考にしてくださいね。
正社員で働くなら事前にメリットとデメリットを把握しておくことが重要
周りの家族や友人から「正社員で働いた方が良い」と聞いて、言われるがままに正社員を目指す人がいますが、具体的にどこが良いのかわからない状態で就職すると、自分の理想とは違う形で働くことになる可能性が出てきます。
記事では、まず正社員のメリットとデメリットについて解説して、正社員の働き方について深く理解をしてもらいます。その後、正社員と他の雇用形態では何が違うのか、比較しながら紹介していくので、正社員以外の働き方についても理解することができますよ。
正社員で働いた方が良い人の特徴も併せて解説するので、正社員で働くかどうか悩んでいる人にとって参考になる内容となっています。ぜひチェックしてくださいね。
なぜ生活が安定すると言われるの? 正社員になる8つのメリット
正社員になる8つのメリット
- 雇用が安定する
- 安定した収入を得やすい
- 社会保険が完備されている
- 福利厚生が充実している
- 社会的信用を得やすい
- 転職がしやすい
- 充実した教育を受けられる
- ライフプランを立てやすい
総務省が2022年に発表した労働力調査によると、全労働人口のうち63.1%が正社員として働いていて、他の雇用形態より多くなっています。なぜ正社員で働く人の割合が多いのかというと、生活が安定しやすいというメリットがあるからです。
ここからはなぜ正社員の生活が安定しやすいのか、具体的な8つのメリットを解説するので、自分にとって魅力的なものかどうか確認してみてください。
①雇用が安定する
日本の正社員は無期雇用といって、雇用期間が定まってないため、雇い止めに合う可能性が低く定年まで働くことができます。
労働契約法によって、正当な理由がないと企業は一方的に正社員を解雇することはできないため、他の雇用形態より職を失うリスクが低くなります。ただ、無断欠勤や就業規則を守らないなどの問題を起こすとその限りではないので注意しましょう。
雇用が安定するメリットは、解雇などの心配をせずに同じ企業で継続して収入が得られるので、生活の不安が少なく、将来を見据えた生活設計ができる点です。また、先を見据えたスキルアップがしやすいこともメリットでしょう。
②安定した収入を得やすい
国税庁が発表した令和4年分民間給与実態統計調査ー調査結果報告によると、正社員の平均年収は523万円となっている一方、契約社員や派遣社員といった非正規雇用の平均年収は201万円となっていて、約322万の差があります。
正社員の給与形態は基本給が設定されていることが多く、毎月一定の収入が保証されているため、安定した生活を送りやすいメリットもあるのです。
また、多くの会社では正社員に賞与(ボーナス)を渡しているところが多いのも、収入を多く得られる要因となっています。
昇給や昇進もしやすい
正社員は無期雇用となるため、長い間その会社で活躍してくれることを前提に採用しています。契約社員や派遣社員と違い、雇用期間が決まっているわけではないので、長期的に続くような大きな仕事やプロジェクトを任されやすい傾向にあるのです。
大きな仕事で結果を残した人は、会社から評価されて昇給や昇進がしやすいため、結果的に賃金が上がりやすい仕組みになっています。
また、日本では年功序列で昇給していく会社も多く存在するため、長く勤めやすい正社員は年齢や勤続年数が上がるほど、収入も併せて上がっていくケースもあります。
年功序列
勤続年数や年齢といった要素を重視し、役職や賃金などを決定する仕組み
非正規雇用には賞与がない場合が多く、諸手当についても正社員にのみ支給とされている場合があります。昇給幅に関しても差があり、これらの積み重ねが正規と非正規の賃金格差となって表れています。
- 年功序列の会社で働けば、結果を出さなくても給料が上がりますか?
給料は少しずつ上がっていくが出世は難しくなる
年功序列の企業は、年齢が上がったり、勤続年数が長くなるほど給与や職位が上がっていくので、結果を出さなくても定期的に昇給していくでしょう。しかし、結果を出さなければ、人事考課の査定が低くなり昇給額は少なくなります。
また年功状列の会社であっても、誰もが同じように役職につき昇進できるわけではありません。基本的に年功序列で昇進できる範囲が決まっていて、それ以降は実力や成果に応じて変わるので、役職手当などが違ってきます。
③社会保険が完備されている
正社員として入社すると「厚生年金保険」や「雇用保険」などの社会保険に入るため、リスク管理をしやすくなるのが特徴です。
厚生年金保険は、すべての国民に支払い義務がある国民年金に上乗せされる保険です。厚生年金は基礎となる国民年金に上乗せされるため、社会保険加入者の方が将来の年金給付額が高くなります。
雇用保険は個人的な事情や会社都合で失業した際に一定期間給付金を受け取れる制度で、失業保険とも呼ばれています。雇用保険に入っておけば、失業したときに一定期間ある程度の収入が担保されるため、すぐに生活に困るという状況にはなりづらいのです。
④福利厚生が充実している
企業によって内容は異なりますが、正社員は充実した福利厚生を受けることができます。
福利厚生
企業が社員やその家族の健康、生活を向上させるために実施する施策・取り組みの総称
福利厚生を充実させることで、社員のモチベーションアップにつながったり、生活がより安定するため、力を入れている企業は多くあります。福利厚生の内容で就職先を決める人も多いため、それだけ重要な要素とも言えるでしょう。
多くの企業で採用されている主な福利厚生
- 家賃補助
→家賃にかかる一定の金額を企業から受給できる - 定期健康診断
→1年に1回会社負担で健康診断を受けられる - 結婚祝い金
→結婚した際に企業から受給できる - 子ども手当
→子どもの人数によって毎月一定の金額を受給できる - 資格取得支援
→資格取得後に奨励金を受給できたり、受講料を企業から受給できる
正社員は非正規に比べ福利厚生が充実しています。特に家賃補助や住宅手当などは大きな助けとなるでしょう。他にも無料で利用できる食堂や、食費補助など食事関連の福利厚生を提供する企業もあり、こちらも家計の大きな助けとなります。
⑤社会的信用を得やすい
車や家など大きな買い物をする際はローンを組むことが多いですが、正社員は雇用と収入が安定しているため、社会的信用が高く審査に通りやすい傾向にあります。
正社員は基本的に無期雇用であり、長い間安定した収入を得られる人と金融機関は考えるため、他の雇用形態より審査に通りやすいのです。
審査に通りやすくなる主なローンサービス
- クレジットカード
- カードローン
- フリーローン
- 住宅ローン
- マイカーローン
- 教育ローン
⑥転職がしやすい
長く働きやすい正社員は企業から大きな仕事を任されやすいため、その分スキルアップがしやすいメリットがあります。
スキルが上がれば市場価値も上がるため、他社から欲しいと思われる人材になります。そのため、今よりも良い労働条件で転職しやすくなるのです。特に同業他社の企業に転職する場合は、即戦力とみなされより良い条件で転職することができますよ。
⑦充実した教育を受けられる
企業は正社員で採用した人に対して、長い間会社に貢献してほしいと考えているため、教育研修をしっかりおこなう傾向があります。
厚生労働省が令和4年に調査した教育訓練のデータによると、正社員に教育研修をおこなった企業の割合は7割ほどで、業界でみると複合サービス事業は研修実施率が90%を超えています。
このように正社員は充実した教育を受けやすいため、安心して働ける環境が整っていると言えるのです。
事業を想定した教育研修の場は、個人で用意しようとすれば多額の費用と時間、手間がかかります。
また、組織でおこなう研修は、講師や教材だけでなく研修仲間からも大きな刺激を受けるので、効果もモチベーションも大きいという利点があります。
⑧ライフプランを立てやすい
自分のライフプランについて考えている人は多いでしょう。結婚や出産、育児、マイホームの購入など、将来のことを考えている人にとっては、収入が安定していて、育休などの制度が整っている正社員はとても魅力的な働き方と言えます。
子どもやマイホームがほしいとなると、どうしてもお金が必要になってくるため、収入の高さは重要になり、育児には時間も必要になります。正社員は福利厚生など企業のバックアップを全面に受けられるため、ライフプランを立てやすいのです。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る正社員で働くメリットについて客観的に考えてみよう
正社員には多くのメリットがありますが、私は以下4つの点が大きなメリットだと考えています。
①安定した生活ができる
正社員は雇用期間に定めがないため、離職をして収入がなくなる心配が少ない点がメリットです。正社員として安定した収入が見込まれるので、マイホームなどのローンが組みやすくなるでしょう。
②長期的な視点で仕事を考えられる
非正規雇用の社員であっても正社員と同様の仕事ができる企業が増えてきているものの、多くは仕事の範囲が限られています。正社員であれば、同一企業で長く仕事を続けられるため、長期間のプロジェクトなどに携わることや、スキルを高めていくことができます。
また役職に就いて、マネジメントに携わることもできるでしょう。長期的な視点で、仕事を考えられることもメリットと言えます。
③転職がうまくいきやすい
転職は、前職の雇用形態だけで決まるわけではありませんが、正社員としてスキルアップをすれば、正社員経験も評価されて、転職がうまくいきやすくなります。
④労働環境が変わらない
非正規雇用の社員は、契約期間満了により退職をして新たな環境で仕事をおこなわなければなりませんが、正社員は、原則として同一の企業で仕事ができるので、労働環境が変わらない点もメリットです。
ここまで正社員で働くメリットを解説しましたが「働く」ことの意義がわからなくなるときもありますよね。以下の記事では働く意味をまとめているので参考にしてみてください。
働くとは? 社会人のリアルな声から働く意味を考えよう
良いことばかりではない? 正社員になる6つのデメリット
良いことばかりではない? 正社員になる6つのデメリット
- 仕事でのかかわりが広く人間関係に悩みやすい
- 転勤や異動がある
- 残業や休日出勤がある
- やりたい仕事ができないケースもある
- 責任が大きくプレッシャーがある
- 副業がしにくい
正社員は一般的にメリットが多いと言われていますが、一方でデメリットも存在します。「正社員だから安心」と良い部分だけを見て安易に就職してしまうと、入社後に後悔してしまうケースもあるので注意が必要です。
ここからは正社員ならではのデメリットを6つ紹介していくので、自分にとって許容できる範囲かどうか確認してみてください。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
①仕事でのかかわりが広く人間関係に悩みやすい
正社員は仕事の範囲が広く、多くの人と連携しながら業務を進めていかなれけばいけません。職種によっては社外の人ともやり取りしていく必要があるので、より多くの人と良好な人間関係を築いていく必要があります。
しかし、必ずしも気が合う人と仕事ができるわけではありません。考え方や価値観が違う人とも一緒に仕事をする必要があるので、正社員で人間関係に悩む人はとても多いのです。
人間関係に悩んだ際に部署異動を希望するなどの対策もありますが、何度も簡単にできるわけではないので、人間関係を自力でなんとかするのは難しいと言えるでしょう。
正社員は一部の専門職を除けば、多くの人とかかわっていくことが求められます。
小さな会社なら対外的な取引の多い企業(営業系など)はもちろんのこと、大企業で内勤の職場であっても、他部署の人と連携して動く職場の横断的な仕事やプロジェクトなどもあります。
②転勤や異動がある
全国に支社があるような大企業では、転勤を命じられることは珍しくありません。海外に事業を展開している場合は、海外転勤をするケースもあるため、ずっと同じ場所で働きたい人にとってはデメリットになるでしょう。
近年ではジョブローテーション制度を取り入れている企業も多く、定期的に部署異動をしなければいけないこともあります。
ジョブローテーション
定期的に職場を異動したり、職務を変更したりする制度
勤務地について悩んでいる人は、以下のQ&Aでキャリアアドバイザーが勤務地を決めるうえで考慮すべき点を回答しているので、参考にしてください。
- 企業から転勤を命じられた際、断ることはできますか?
明確な事情があるなら断れる可能性もある
転勤は企業の業務運営や戦略の一環としておこわれる場合があり、労働契約上の権利としても規定されています。
しかし、家族の事情や身体的な制約、法的な制約、または労働契約や就業規則において転勤に関する特別な規定がある場合など、特定の条件や状況によっては、転勤指示を断ることができる場合もあります。
ただ、企業は従業員の意思を尊重しつつも、業務の遂行や組織の利益を考慮して転勤を決定しているので、転勤指示を断る場合は、慎重に考慮して、十分に話しあって合意を図ることが重要です。
③残業や休日出勤がある
正社員は他の雇用形態より責任が重い仕事を任されやすいため、繁忙期や欠員が出たときは残業が増え、休日出勤をしなければいけないケースもでてきます。
残業代や休日出勤手当がもらえるため、収入が増えるメリットもありますが、ワークライフバランスを大切にしたい人にとってはデメリットになる可能性があります。
④やりたい仕事ができないケースもある
正社員で総合職として入社する場合は、基本的に配属先は企業側が決めることになるため、必ずしも自分の行きたい部署に配属されるとは限りません。
希望を考慮してくれる会社もありますが、絶対希望通りになる保証はないので注意してください。場合によっては、想像とまったく違った部署に配属されるケースもあるので、やりたいことが明確に決まっている人は注意が必要です。
総合職は、将来のキャリアアップを踏まえて、多くの部署や職種をローテーションするのが一般的です。
入社するまで配属部署がわからないこともありますが、最近は総合職であっても職種ごとの募集をおこなう企業や、本人の希望を考慮して配属部署を決める企業も増えています。
総合職とは具体的にどんな職種なのか気になる人は、以下の記事を参考にしてみてください。
総合職と一般職の7つの違いを解説! 将来後悔しない選択の秘訣とは?
⑤責任が大きくプレッシャーがある
正社員は他の雇用形態に比べて責任が重い仕事を任されやすいですが、その責任感は年々重くなります。
働いていく中で結果を残していくと、昇格して役職が付き部下ができます。そうなると、自分だけでなく周りの人をマネジメントしていかなければいけません。
役職が上がれば、より大きな仕事も任されやすく、失敗が許されなくなる立場になっていくので、プレッシャーも大きくなっていきます。
そのため気楽に働き続けたい人にとっては、正社員の働き方が合わないということもあるのです。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
⑥副業がしにくい
日本経済団体連合会が2022年に発表した副業・兼業に関するアンケート調査結果によると、社員の副業を認めている会社の割合は53.1%となっています。逆に言えば、約半分の会社が副業を認めていないことになります。
近年では副業を認める企業が増えてはきていますが、まだまだ認めていない企業も多いため、副業をやりたい人にとっては正社員がマイナスに働く可能性があります。
副業を認めない会社が多い理由は、競合他社との利益衝突や機密漏洩のリスクが高まる可能性があること、副業が仕事への集中力やパフォーマンスに影響を与える危険性があることが挙げられます。
組織への忠誠心や、目標に向けて取り組む組織全体の一体感などが失われるリスクもあるので、副業に対して慎重な姿勢を見せる企業は多いのです。
正社員との違いは? 他の雇用形態の特徴
自分に合った働き方を見つけるには、正社員以外の働き方についても知っておく必要があります。なぜなら、現在の日本では雇用形態によって労働条件や働き方が大きく変わるからです。
正社員で働こうとしている人も他の雇用形態について知っておけば、今後の選択肢を広げられる可能性があるので、それぞれの特徴を覚えておくと良いでしょう。
大卒で正社員以外の職種で就職する人はどんな人が多いのか、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる人は参考にしてください。
大卒フリーターの末路とは? 現状から脱出するための4ステップ
就活を控えている人の中には、社会人になりたくないと考えている人もいるでしょう。以下のQ&Aで、キャリアアドバイザーが社会人になる重要性や、社会人生活を楽しむために必要なことを解説しているので、気になる人は参考にしてみてください。
契約社員
契約社員とは
勤務先の企業が直接雇用をしてフルタイムで働く有期契約社員のことで、契約期間があらかじめ決まっている
契約社員は基本的にフルタイムで働くため、働き方は正社員とそこまで変わらないものの、1回の契約による勤続期間は3年が上限となり、契約満了の時点で更新をするか契約終了になるか、いずれかの対応が必要になります。
契約が切れたタイミングで自分から辞めやすいため、いろいろな職場を経験したい人にとっては向いている働き方と言えるでしょう。
正社員と比べて給与が低い傾向にあり、正社員に賞与は出す一方で契約社員には出さない企業もあるため、収入は低くなりやすいです。その分、正社員と比べて責任が軽い仕事を任されやすいため、比較的気楽に働きやすいのがメリットとして挙げられます。
非正規社員の割合は年々増えていて、その中でフルタイムで働く契約社員の果たす役割も大きくなりつつあると感じています。
現場でとても活躍している人が、よく聞いてみたら契約社員だったということが民間でも公務員でも多々見られます。
大卒で契約社員になることに抵抗がある人もいるでしょう。以下のQ&Aでキャリアアドバイザーが、大卒で契約社員になることのメリットとデメリットについて答えているので、こちらも併せて参考にしてください。
派遣社員
派遣社員とは
企業と直接雇用契約を結ぶのではなく、人材派遣会社と雇用契約を結ぶ形態。雇用主は、雇用契約を結ぶ派遣会社になるため、給与の支払いは派遣会社がおこなう
派遣社員は人材を欲している企業に人材派遣会社からの指示で派遣され、派遣先の企業の指示に従って仕事をします。勤務時間はフルタイムであることが一般的ですが、契約内容によっては残業をなしにすることも可能です。そのため、勤務時間を調整したい人には適しています。
派遣社員の給与形態は時給制になっているケースが多く、働いた時間や時給の高さによって収入が決まります。労働時間が少なくなると、必然的に収入も減っていくことになるので注意が必要です。
また、契約期間が決まっている有期雇用の派遣社員は、同じ職場に最大3年までしかいられないため、同じ職場でずっと働きたいと考えている人にとっては不向きな働き方と言えるでしょう。
派遣社員で働く人は決められた時間で仕事をおこない、定時で帰れるため、やりたいことのために時間を使うなど、ライフプランを重視したいといった価値観を持っている人が多いと感じます。
また一つの仕事ではなく、多くの仕事を経験したいと考えている人もいます。
パートタイム労働者
パートタイム労働者とは
期間を決めて働く人のこと。アルバイトやパートとして働いている人を指す言葉で、給与形態は時給制になり、働いた時間や時給の高さによって収入が決まる
パートタイム労働者と他の雇用形態との違いは、勤務時間の融通が利きやすい点です。パートやアルバイトは1日の勤務時間や出勤日数を自分で決めやすいため、生活リズムに合わせて働けます。
しかし、他の雇用形態に比べると労働時間が減るため、その分お金を稼ぎづらい働き方となっています。
パートタイム労働者は別名フリーターとも言われます。フリーターとして働き続けるメリットとデメリットはこちらで詳しく解説しているので、併せて読んでみてください。
フリーターとは? 正社員とのリアルな違いや将来性を徹底解剖
フリーランス
フリーランスとは
会社や団体などの組織に所属せず、企業と業務委託契約を結び仕事を請け負
うことを指す。エンジニアやデザイナー、ライターやカメラマンなどに多い働き方
フリーランスは企業と雇用契約を結ぶわけではないため、労働基準法は適用されません。そのため、実力がなければ、労働基準法を下回る賃金になるケースもあります。
一方で実力や実績を残している人は、正社員より高い報酬を得やすいため、実力主義で働きたい人に向いている働き方と言えるでしょう。
企業に属していないため、確定申告などの税金関連の手続きは個人でおこなわなければいけない点は、フリーランスならではのデメリットとして挙げられます。
- 大学卒業後にすぐフリーランスとして働きたいのですが、気をつけておいた方が良いことはありますか?
実務経験がない状況で成功するのは難しいことを理解しておこう
大学を卒業してすぐにフリーランスになると、実務経験が圧倒的に足りないため、十分な収入を得るのは難しいと言えます。
もちろん、スキルを見込まれてフリーランスで契約をすることもあり得ますが、長期的に成功する人が非常に少ないことはあまり報道されません。
一方で、一握りの成功者はマスコミに取り上げられ、あたかも簡単に成功できるような錯覚を生みます。契約のトラブルや税務処理、法律の無知、マネジメントなどで人知れずつまづいている人も多いということは知っておいてください。
フリーで成功している人や失敗から立ち直った人には、たいてい表には出てこないブレーンがついています。
フリーランスで働くなら、困った時に周囲の人の力を借りられるようにしておくことを考えておきましょう。
ブレーンとは
特定分野で助言を行う顧問や有識者を指す言葉。ブレーンの役割は、管理職が適切な経営判断をおこなえるようにアドバイスすること。ブレーンは社外顧問が務めることもあれば、社内の優秀な人材が「ブレーン的存在」と見なされることもある
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正社員以外の雇用形態で働くメリット
正社員以外の雇用形態で働くメリット
- 自分がやりたい仕事に就きやすい
- 好きな時間に働ける
- 比較的選考に通りやすい
- 働いた分だけ稼げる
- 環境を変えやすい
- 転勤がない
人によって仕事に対する価値観やライフプランは変わってきます。正社員では難しいことも、他の雇用形態であれば実現できることがあるかもしれません。
ここからは正社員以外の雇用形態で働く6つのメリットを紹介していくので、自分に合った形で働ける雇用形態がないか探してみてください。
①自分がやりたい仕事に就きやすい
正社員以外の雇用形態は、仕事内容が決まっている専門職のような形で採用されるケースが多いため、自分のやりたい仕事に就ける可能性が高くなります。
企業に応募する段階で、どの部署に配属されどんな仕事をするのかが決まっているので、安心して仕事ができる環境になりやすいのです。
自分がやりたい仕事に就きやすい雇用形態
- 契約社員
- パートタイム労働者
- フリーランス
なお、派遣社員は派遣先によって仕事の内容が変わることがあるため、場合によっては自分のやりたい仕事に就けないケースがあります。
②好きな時間に働ける
パートタイム労働者や派遣社員、フリーランスなどは自分の生活スタイルに合わせて働く時間を変えやすい環境にあります。正社員は就業時間が決まっていて、生活スタイルがある程度縛られてしまうため、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
契約社員は正社員と同じ就業規則に則って仕事をしていくことになるため、あまり自由が効かない点には注意が必要です。
好きな時間に働きやすい雇用形態
- パートタイム労働者
- フリーランス
- 派遣社員
近年では、正社員でもフレックスタイム制など就業時間に融通が効く制度が導入されることが増えています。
またテレワークやリモートワークの普及により、時間や場所に制約されず、業務をおこなえる環境が整えられてきているのが現状です。
そのため、正社員であっても業務目標や成果を達成すれば、自由な働き方が認められるケースも出てきています。
③比較的選考に通りやすい
契約社員やアルバイトなどの非正規雇用と言われる雇用形態は、正社員より採用ハードルが低いため、比較的選考に通りやすい傾向にあります。
正社員の選考は多いところだと3〜4回面接に通過する必要があり、採用まで1〜2カ月程度の時間を要する可能性があります。一方派遣社員やアルバイトは1回の面接で採用してくれるところが多く、応募してからすぐに働ける点がメリットとして挙げられます。
正社員より非正規雇用の選考が少ない理由は、非正規雇用は間接的な人件費が少ない分、働いてもらうことによる会社側の投資額が少なくて済むからです。
一般的に正社員の場合は育成を前提とした投資と福利厚生費、法定福利費などの目に見えないコストがかかってきます。
④働いた分だけ稼げる
アルバイトや派遣社員などは時給制で働いていくことになるため、働く時間が増えるほどお金を稼げるというメリットがあります。
特にアルバイトやパートは自分で働く時間を決めやすいので、「今月はたくさん稼ぎたい」と思ったら、意図的にその月の収入を増やすことができます。
⑤環境を変えやすい
正社員以外の雇用形態は基本的に有期雇用となっているケースが多く、契約期間が決まっています。そのため、契約が切れたタイミングで自分から辞めることが可能です。
契約社員や非正規雇用の業務内容は、データ入力や接客など比較的難易度が低い業務が多く、引き継ぎ作業などが少なく済むため、仕事を辞めやすく、新しい環境に挑戦しやすいメリットがあります。
人間関係で悩んだ時や他の仕事をしたいと思った時、比較的早く環境を変えることができます。
⑥転勤がない
正社員以外の雇用形態は契約期間が決まっている分、基本的に転勤がありません。
正社員より長い期間働く可能性が低く、短期間で企業から離職するケースが多いため、企業は正社員ほど簡単に転勤を命じることができないのです。
そのため、勤務地を自分で選びたい人にとっては、正社員以外の雇用形態で働くメリットが大きいと言えるでしょう。
アドバイザーコメント
横山 慶一
プロフィールを見る非正規のメリットを理解して自分に合った働き方を探そう
非正規雇用は社会保障や給与水準などの点で正規雇用に比べて不利な側面があるものの、以下のようなメリットがあります。
①柔軟な働き方ができること
パートタイムやアルバイトといった雇用形態は、働きたい時間や曜日、勤務日数を自分の都合に合わせて調整することができ、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。
②経験・スキルを獲得しやすいこと
異なる職場や業界での経験を積むことで、幅広い業務やスキルを身に付ける機会があります。加えて、新しい環境に頻繁に触れることで柔軟性や対応力を培うこともできます。
③就業チャンスが拡大する
非正規雇用の求人は多いので、雇用の機会が増える可能性があり、非正規雇用から正規雇用へのステップアップの機会もあります。
④キャリアプランの発展性がある
働く時間や日数が比較的自由に調整できることにより、副業や他活動にも時間を割くことができ、収入にバリエーションを持たせることができます。
非正規雇用のデメリットもあるので、雇用形態を選ぶ際には自身の状況や目標に合わせて判断することが重要です。
正社員以外の雇用形態で働くデメリット
正社員以外の雇用形態で働くデメリット
- 収入が低く安定性がない
- 雇用が不安定
- 正社員になるのが難しくなる
- 出世しづらい
- 年齢を重ねると転職が難しくなる
正社員以外の雇用形態には多くのメリットがある一方、デメリットがあることも理解しておかなければいけません。
特に生活に大きくかかわるお金の面でのデメリットが大きいため、収入を大切にしたいと考えている人は注意が必要です。
①収入が低く安定性がない
契約社員やアルバイトなどの非正規雇用は正社員と比べて収入が低いです。
多くの企業は正社員に賞与を渡していて、福利厚生によっては家賃補助や家族手当も受けることができるため、収入が高くなりやすいです。
一方で非正規雇用は基本給や時給が低く設定されていることが多く、賞与がもらえないケースも多いため、どうしても収入を低く抑えられてしまうのです。
②雇用が不安定
正社員以外の雇用形態は会社の業績や景気の影響を受けやすく、正社員よりも簡単に解雇されてしまうケースがあります。
無期雇用の正社員と違い契約期間が決まっていて、企業から契約更新の打診がなければ、契約満了になったタイミングで企業を辞めなければいけなくなります。
このような背景から、同じ職場で長く働きたいと考えている人は、正社員以外の雇用形態で働くのは向いてないともいえるでしょう。
これまでバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、最近では新型コロナウイルス感染症により非正規雇用の社員が多く解雇されました。
企業の経営に支障をきたす問題が発生した場合、多くの企業は人件費削減を考えるため、非正規雇用の社員が解雇されてしまう傾向があります。
③正社員になるのが難しくなる
非正規雇用で働く期間が長くなるほど、正社員になるのは難しくなっていきます。非正規雇用の仕事内容は正社員より責任が軽いものが多く、気軽に働ける一方でスキルが身に付きづらいとも言えます。
正社員になるには一定のスキルがあることを求められるため、非正規雇用から正社員になるのは難しいのです。
年齢が20代であれば、ポテンシャルを見て正社員になれるケースもありますが、年齢を重ねていくと求められるレベルが高くなるため、より正社員になることが難しくなります。
フリーターから正社員になることを考えている人は、こちらで正社員になるコツやおすすめの仕事を紹介しているので、参考にしてみてください。
フリーターから正社員になる7つのコツ! おすすめの職種も紹介
④出世しづらい
企業は仕事で成果を残した人を出世させていきます。正社員は責任が重い大きな仕事を任されやすいため、そこで結果を残せれば昇格しやすいです。
逆に非正規雇用は正社員より大きな仕事を任せてもらう機会が少ないため、出世がしづらい傾向にあります。
さらに、非正規雇用は契約期間も決まっていて、仕組み的にも正社員より早く離職するケースが多いため、昇格させづらいという背景もあります。
非正規雇用から出世するには、毎月の目標を達成するだけでなく、積極的に業務へ参加することが求められます。
成果を残し続ければ、企業からなくてはならない存在と考えられ、昇格するケースもありますよ。
⑤年齢を重ねると転職が難しくなる
「正社員になるのが難しくなる」の部分でも説明しましたが、非正規雇用の仕事内容は比較的簡単にできるものが多く、スキルが上げにくい点がデメリットとして挙げられます。
当然ですが、スキルが低いと他の会社に転職するのも難しくなります。多くの企業が、非正規で働く人より正社員で働いている人の方が、大きな仕事をした経験がありスキルが高いと考えているため、非正規雇用は転職市場において評価されにくいのです。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る非正規雇用は収入面と雇用の安定性においてのデメリットが大きい
非正規雇用は生活に大きくかかわる収入や雇用の安定性が正社員と比べると劣ります。これは、将来を考えるうえで大きなデメリットとなるので、デメリットを把握したうえで、非正規雇用になるかどうか判断した方が良いでしょう。
①安定した生活ができない
同一労働同一賃金であっても、非正規雇用の社員は正社員と比較をして収入が低く、有期雇用のため安定した生活ができないことが多いのが現状です。契約期間が終了すれば、新たな仕事を見つけなければならず、すぐに見つからない可能性もあります。
また住宅などの長期ローンを組めないことがあり、社会的信用を得られにくいといった点でもデメリットがあります。
②長期的な視野に立った仕事が難しい
非正規雇用の社員は、通常有期雇用のため契約期間しか勤務することができません。そのため長期プロジェクトなどの仕事に就くことが難しいでしょう。また目指したいキャリアがあっても、企業が変わることで、実現できなくなる可能性があります。
③スキルアップが難しい
非正規雇用の社員は、仕事が限定されていることが多いため、スキルアップが難しいことがあります。また、スキルアップのための研修制度を利用できないこともあります。
④転職が難しくなる
スキルアップできないことで、転職が難しくなる可能性があります。非正規雇用の社員経験しかなければ、なぜ正社員として仕事をしなかったのか問われることもあるでしょう。
自分に合っているか確認しよう! 正社員で働いた方が良い人の特徴
正社員で働いた方が良い人の特徴
- 収入や生活を安定させたい
- 1つの職場で長く働きたい
- 責任のある仕事をやりたい
- 家庭と仕事を両立させたい
- 具体的なキャリアプランが決まっていない
正社員で働きたいと考えているものの、本当にその働き方が自分に合っているのか自信が持てない人もいるでしょう。
そんな人に向けて、正社員が向いている人の特徴を紹介していくので、自分の価値観と合っているか確認してみてください。
自分に合った仕事がわからない人は、こちらで自分に合う仕事の見つけ方を具体例も交えながら解説しているので、ぜひ参考にしてください。
自分に合った仕事を簡単4ステップで発見! 後悔しない方法を解説
収入や生活を安定させたい
「お金に困る生活をしたくない」「日々の生活に安心感がほしい」、このような価値観を持っている人は、毎月一定の収入が保証されている正社員で就職するのがべターです。
生活をしていくうえで、家賃や光熱費、交際費などで毎月一定以上の出費は必ず出てくるため、不安なく生活をしていきたいなら、正社員を選ぶことが無難と言えます。
企業によっては給与だけでなく、福利厚生で家賃補助や昼食費の補助も受給できるところがあるため、生活がより楽になるケースもあります。
1つの職場で長く働きたい
環境を変えるのが不安な人は、慣れ親しんだ職場で長く働きやすい無期雇用で働ける正社員を選ぶと良いでしょう。
最近は、転勤がなく勤務地を選んで働ける正社員採用も増えてきているので、そういった企業を選べば、長い間同じ職場で働くことができますよ。
- 正社員として働けて、転勤がない職種を教えてください。
事務職やコールセンターなどが代表的
正社員で働きながら転勤のない主な職種は、事務職やコールセンター、特定の地域や拠点に固定されたオフィス業務、特定の施設や研究所での研究開発などがあります。
加えて、クリエイティブ業界のデザイナーやライター、プログラマーなどはリモートワークで仕事をできる環境であるため、転勤が比較的少ない職種と言えますね。
責任のある仕事をやりたい
責任のある仕事を任せてもらい、自分のスキルを上げていきたいと考えている人は、大きな仕事を任されやすい正社員を選ぶと良いでしょう。
責任感のある仕事の例
- 新規プロジェクトのリーダーを任される
- 売り上げが大きく見込める顧客への営業を任される
- 課のリーダーとして部下をマネジメントする
上記のような仕事は、企業の利益を大きく左右するものであり、責任感の大きな仕事とい言えます。プレッシャーも大きいですが、スキルアップにもつなげられるので、自分の市場価値を飛躍的に伸ばすことも可能です。
最近は年功序列ではなく実力主義の会社が増えてきているため、年齢が若くても結果を残せば、責任の大きな仕事を任せてもらえる可能性が高くなってきています。
実力主義の会社で成果を出せる人は、おおむね楽天的で、失敗をしても落ち込まず取り返そうとする人が多いように感じます。
どんな経験もスキルアップにつなげ、最終的には他を頼らず自分でなんとかしようとする傾向があります。
スキルを身に付けることで、良い条件で転職できる可能性も高くなるので、将来の選択肢を広げやすくなりますよ。
将来的に転職を考えているのであれば、転職するベストなタイミングを覚えておくことが重要になります。こちらの記事を参考にして最適な時期を考えておきましょう。
転職のタイミングはいつが正解? 目的に合わせた最適な時期を解説
家庭と仕事を両立させたい
仕事をしながら家庭も大切にしていきたいなら、福利厚生の手厚い正社員を選ぶのがおすすめです。
家庭を援助してくれる福利厚生の具体例
- 配偶者手当
- 家族手当
- 出産手当
- 育児休業給付金
- 短時間勤務制度
上記のように、配偶者や子どもに対して援助してくれる制度が多く整っています。
たとえば、出産をして育児休暇を取った後に職場復帰する際は、ブランクを考慮して時短勤務を取り入れてくれる制度もあるため、安心して子育てをできるというメリットがあります。
このように、正社員は家庭と仕事を両立しやすい仕組みが整っている傾向にあるのです。
具体的なキャリアプランが決まっていない
現時点でやりたいことが決まっていない人は、将来的な選択肢を広げやすい正社員になっておくことが無難です。なぜなら、正社員から非正規雇用になるハードルは高くない傾向にある一方、非正規雇用から正社員になるのは難しいからです。
非正規雇用の社員でも、企業が求める職務能力や経験があれば正社員に転職は可能ですが、これまでの業務内容が限定されていれば、スキルや経験が不足しているため正社員への転職が難しくなります。
また短時間の労働をしていた場合、正社員として長時間の労働が難しいのではと考える採用担当者もいます。
現在フリーランスで働いている人も、最初に正社員として実績を積んでからフリーランスになる人の割合が多いのが現状です。
まずは正社員で働いてみて、「この働き方は自分に合っていない」「他の雇用形態で働いてみたい」という考えになったら、他の雇用形態を検討すると良いでしょう。
なぜ雇用形態を分けている? 企業が正社員を雇う3つのメリット
企業が正社員を雇う3つのメリット
- 応募者が多い分優秀な人材を集めやすい
- 長期的に人材を育成できる
- 長く働いてくれる社員が増える
日本にはさまざまな雇用形態がありますが、なぜ正社員を中心に業務を進めていく企業が多いのか気になる人も多いでしょう。
企業の意図と自分の仕事に対する価値観が一致すれば、より納得感を持って入社することができます。
ここからは、企業が正社員を多く雇う理由を3つ紹介していくので、正社員を検討している人はぜひ参考にしてください。
応募者が多い分優秀な人材を集めやすい
マイナビが2022年に発表した大学生就職意識調査によると、学生の企業選びのポイントとして最も高かったのが、全体の49.9%を占めた「安定している」でした。
このように多くの人が安定を求めているため、雇用や収入が安定している正社員の求人には多くの人が集まりやすいのです。
また、応募者が増えるということは、採用する人の母数が増えるので、企業は優秀な人を集めやすくなるメリットがあります。
労働者が企業に安定を求めるようになったのは、企業が非正規雇用を増やしたり、正社員を業績不振などにより解雇したりするようになったからです。
このような背景から、 労働者のライフスタイルや価値観が変わり、安定した収入と福利厚生を求める人が増えてきています。
長期的に人材を育成できる
会社の中核を担っていくような人材を育てていくには、スキルやノウハウを時間をかけて身に付けてもらわなければいけません。
正社員として雇用した場合、企業は長期的に活躍してもらうことを視野に入れています。無期雇用の正社員であれば人材育成にじっくりと時間を掛けて、活躍するうえで重要なスキルを教えることができます。
自社で活躍するためのスキルやノウハウを身に付けた社員が増えるほど、会社に大きく貢献できる人が増えるため、人材育成はとても重要なのです。
長く働いてくれる社員が増える
正社員は雇用期間に定めがない無期雇用で採用するケースが多いため、契約期間が決まっている他の雇用形態より長く企業に勤めてくれる傾向があります。
企業からすれば、育てた人材が短期間で多く辞めてしまうと、会社の経営が成り立たなくなってしまう可能性があるため、なるべく長い間働いてほしいと考えています。
労働者側からすると、正社員は安定性があり魅力的な働き方ですが、企業にとっても活躍する人材を長い間確保しやすいので、メリットが大きいのです。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る社会情勢変化により非正規雇用で働く人は増加した
日本独特の雇用慣行(年功序列、終身雇用)が崩れてきた背景には、リーマンショックのようなグローバル化による大きな経済変動に対応できなくなったことが影響しています。
急激な景気変動や少子高齢化による経済の縮小の中で、どんどん割合が大きくなってくる高年齢の社員の給与を上げ続けることは現実的でなく、解雇もできない中で人件費が硬直化してしまいました。
そのため、定年退職を迎えた人の欠員補充を、正社員ではなく非正規社員で賄いながら、人事制度や賃金制度を見直す動きが続いていることが主な理由です。
労働人口の減少も影響している
もう1つの主な理由は、若年労働者が急速に減ってきて正社員の採用がうまくいかず、当面の仕事を非正規社員でカバーせざるを得ない企業が増えていることです。就職活動は新卒も中途も人気企業に集中し、採用できる企業とできない企業の格差が広がっています。
また、志望企業に通らなかった人がしばらく非正規で働きながら再チャレンジするという状況も非正規社員の増加につながっています。このような背景から、非正規社員を雇う企業が増えているのが現状です。
雇用の格差がなくなる? 正社員になるメリットがなくなると言われている背景
正社員になるメリットがなくなると言われている背景
- 同一労働同一賃金制度が導入された
- 終身雇用が難しくなっている
日本では正社員と他の雇用形態の格差が大きいことが長年問題となっていて、その格差を埋めるための動きが年々強くなっています。
また、正社員の働き方も少しずつ変わり、昔のように「正社員で入社できたら安泰」という時代ではなくなってきているのが現状です。最近では、正社員で働くメリットが少なくなってきているという声も多くなってきています。
なぜ正社員のメリットがなくなると言われているのか背景を事前に把握し、そこを踏まえて今後のキャリアプランを考えておくことが重要になります。
同一労働同一賃金制度が導入された
正社員と非正規雇用の待遇の差を改善するため、2020年4月から同一労働同一賃金制度が導入されました。
同一労働同一賃金制度とは
正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指す制度
正社員と非正規社員は、実際におこなっている仕事の内容がほとんど同じというケースもあります。その場合でも、正社員の方が多くの賃金や手当を受け取っていたり、正社員にのみ賞与が支給されていたりする事例がこれまで多くありました。
このような不条理な差別を禁止にする決まりが、同一労働同一賃金制度です。この制度が導入されたことにより、これから正社員と非正規雇用の待遇差が縮まってくると考えられています。
待遇格差のデメリットとして、モチベーションの低下、人材の流失、チームワークの損失、社会的不公平感増加、労働者の健康への影響などが上げられます。
待遇の格差が大きくなることは労働環境や組織の持続的な発展を阻害します。
終身雇用が難しくなっている
昔は1つの会社で定年まで働けるような終身雇用の制度が整っていましたが、一部の企業では終身雇用を維持するのが難しくなってきています。なぜなら、近年では経済成長が鈍化したことで、人件費の負担が重くなり、定年まで雇用するハードルが高くなったからです。
終身雇用が当たり前だった時代は、経済成長期であり経済的にも豊かであったため、従業員を定年まで雇用する余裕がありました。しかし、現在は経済状況の悪化に伴い、一部の企業では終身雇用を廃止する動きも見られています。
このような背景から、労働者に早期退職を求めたり、業績悪化により人員整理が必要になり、定年前の正社員を解雇するケースも年々増えてきているのです。
また、終身雇用が少なくなっていく動きにともない、退職金制度を廃止する企業も増えてきているため、正社員になるメリットが少なくなってきていると言われています。
今後日本では終身雇用が少なくなり、よりスキルや経験を重視した実績重視型の働き方がメジャーになってくると思います。
企業に対して何ができるかが問われ、正社員であっても一つの企業に留まらず、転職をしてキャリアアップしていくようになるでしょう。
正社員と他の雇用形態の違いを分析して自分に合った働き方を見つけよう
日本には正社員以外にも多くの雇用形態があり、それぞれ特徴が異なります。正社員は労働条件の面で他の雇用形態より安定している傾向にありますが、その分仕事の責任が重く、転勤などのデメリットがある点も理解しておかなければいけません。
契約社員や派遣社員といった非正規雇用は、気軽に働きやすいメリットがある一方、収入が正社員よりも低くなりやすいこと、フリーランスは実力によって収入が大きく変わるなど、どの働き方にもメリットとデメリットがあります。
自分のキャリアプランや仕事に対する価値観から働く雇用形態を選んで、自分の考えに合った生活をしていきましょう。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る自分の価値観と社会情勢を見極めて働き方を選ぼう
少し大きな視点で見ると、日本の景気は悪いと言いながらも未だ世界3位のGDPがあります。ところが労働力人口は減少に転じていて、今後も、男性労働者が数十万人ずつ減り、女性労働者の増加でそれを補うという傾向が続くことがほぼ確実です。
楽観的に考えれば、経済の縮小よりも高齢化や労働人口の減少ペースの方が早く、働く人の稀少性はどんどん高まっていくので、一定のスキルがあれば、職に困ることはほとんどないことになります。
自分が幸せに生きるにはどんなスキルが必要なのかを考えてみよう
経済規模を維持するには少人数で大きな仕事をこなす必要がありますが、健康である限り、働き手としては売り手市場が続きます。ではそんな状況で、一人ひとりはどうすれば良いのでしょうか。個別の視点で見れば、いかに自分のスキルを高め健康でいるかということに尽きます。
どれだけ稼ぐかではなく、どうやって幸せに生きるかのスキルを考えれば、正解はそれぞれ違うはずです。
極論ですが、あまり稼がずにローコストで幸せに生きることもできるし、お金を稼ごうとすることもできるので、どういう環境が自分に合っているかという視点で今の働き方を考えてみてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
4名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/インテグラルキャリア研究所所長
Keiichi Yokoyama〇20歳後半からカウンセリングの勉強を始め、キャリアに比重をおくコンサルティング、人材育成を企業内で推進。独立後は大学のキャリアセンターで学生の就職支援にもかかわる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細社労士/涌井社会保険労務士事務所代表
Wakui Yoshifumi〇平成26年に神奈川県で社会保険労務士事務所を開業。企業の人事労務相談や給与計算などを請け負う。また、関与先企業の社員のキャリアプランなどに関してアドバイスをしている
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