この記事のまとめ
- 志望動機で社会貢献をアピールするには3つの要素が必須
- 「社会貢献」の志望動機は4ステップで作成して差別化しよう
- 5つの業界別に社会貢献を打ち出す志望動機例文を紹介
志望動機を作ろうとして「社会貢献」が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。社会貢献への思いを企業に効果的にアピールする方法や、志望動機としてうまくまとめる方法が気になりますよね。
社会貢献をしたいと伝える志望動機は一見良いように見えますが、実は内容に気を付けないと企業に熱意がうまく伝わらないため、注意が必要です。一方でその分、工夫することでほかの学生と差を付けることができます。
この記事ではキャリアコンサルタントの永田さん、吉田さん、岩﨑さんともに、志望動機で社会貢献を打ち出して高評価を得るコツを解説します。最後に例文も紹介するので、ぜひ最後まで読んで企業に響く志望動機を完成させてください。
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社会貢献を打ち出す志望動機はハードル高め! 企業目線で工夫しよう
社会貢献したいという気持ちは社会人として誰もが持つべきものですが、それだけでは企業に対する志望動機としては少し弱く、一工夫が必要なテーマです。実際に調べる中で「社会貢献の志望動機は良くない」と耳にした人もいるのではないでしょうか。
記事ではまず、なぜ社会貢献したいと伝える志望動機がダメといわれるのか、注意すべき落とし穴を解説します。「社会貢献」の志望動機に対して人事が感じる本音も紹介するので、まずは企業目線での印象を理解しましょう。
後半ではそれを踏まえて、評価される「社会貢献」の志望動機の鉄則を解説し、簡単な作り方を4ステップで説明します。業界別に例文5選も紹介するので、この記事をもとに社会貢献への思いが伝わるオリジナルの志望動機を作成して、選考通過につなげてくださいね。
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まずは前提を確認! なぜ「社会貢献」の志望動機はダメといわれる?
社会貢献への思いを打ち出す志望動機は、なぜハードルが高いといわれるのでしょうか。
ここではまず「社会貢献したい」とだけ伝える志望動機がなぜ評価されにくいのか、2つの理由を解説します。企業が志望動機を聞くことで何を知りたいのかイメージして、あらかじめミスを避けられるようにしましょう。
どんな仕事にも当てはまり漠然としているから
社会貢献を実感しやすい仕事・しにくい仕事という違いはあっても、どの仕事も最終的には社会貢献につながっています。一つひとつの仕事は誰かに必要とされているから存在するわけであり、人の役に立たない仕事というのはありません。
つまり「社会貢献したい」という思いだけなら、どの仕事でも叶えられてしまうのです。「社会貢献したいから」という志望動機に対して、企業は「それは誰でもそうだろう」「それが自社とどうつながるの?」と漠然とした印象を受けてしまいます。
そのため、なぜこの仕事をしたいのか、どのように貢献したいのかという具体的な考えを企業に伝えることが大切です。
ビジネスとして何をしたいのかわからないから
どの仕事も社会貢献につながっているものの、企業が直接の目標とするのは利益の拡大や成長であり、社会貢献活動をメインとしておこなっているわけではありません。
そのため「社会貢献したい」としか伝えない志望動機だと、「それは仕事内容ではないのだけど……」と、入社後にどう活躍してくれるのかを企業はつかめません。また社会貢献への思いが強すぎると、「利益に貢献する意欲はあるのだろうか?」と仕事理解が浅い印象を与えてしまう可能性もあります。
企業が採用活動をするのは自社に貢献してくれる人材がほしいからであり、志望動機でも「この人はどのように自社で力を発揮してくれるだろうか?」という点を見ているのです。したがって、社会貢献だけを目的とした志望動機では不十分になってしまいます。
基本的に企業は営利が目的です。社会貢献がしたいのであれば、ボランティア活動やNPOでも良いのでは、と企業側は思ってしまいます。
その企業やビジネスの本質をしっかりと把握しておかないと、「社会貢献だけ」の志望動機で内定に至るのは難しいでしょう。
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元インフラ企業人事に聞いた! 「社会貢献」の志望動機に対する本音
社会貢献したいと伝える志望動機は、伝え方に気を付ければ企業を納得させることも可能です。しかし、そもそも企業がどんな印象を抱くのか気になる人もいますよね。
ここでは大手インフラ企業で人事として5年以上活躍し、現在はキャリアコンサルタントとして企業の採用コンサルティングや就職支援に携わっている岩﨑さんに、志望動機として「社会貢献」を伝えられたときに企業が受ける率直な印象を聞きました。
企業視点での捉え方を理解して、社会貢献を打ち出す志望動機で何を伝えれば良いのか、イメージを明確にしましょう。
アドバイザーコメント
岩﨑 千夏
プロフィールを見る「社会貢献」だけでは表面的! 企業研究を踏まえた具体的な話をしてほしい
社会貢献がしたいという志望動機は多いものです。今もよく目にするだけでなく、私自身も就活中はそのようなワードを使っていたと思います。
しかし社会人になってさまざまな仕事を経験すると、仕事というのはそもそもが社会貢献となるものばかりで、誰かの課題解決をするからこそ、その対価に金銭を得ることができるのだとわかります。
反対にいうと、社会貢献というアプローチだけでは売り上げを作ることはできません。民間企業は営利目的だからこそ存続できるのであり、お金を稼ぐのが悪いことだとも言えないですよね。
そのため、「社会貢献がしたいから貴社を志望しました」といったどんな企業にも使えそうな表面的な内容ではなく、まずはしっかりと企業ホームページ(HP)や各種SNSなどの公式情報を研究することです。
そのうえで、「貴社の〇〇という活動が△△といった意味でとても興味深く、入社後は私も〇〇活動を通じて■■になっていきたい」というような具体的な話ができるかどうかを企業は見ています。
志望動機は入社後の活躍をイメージしてもらうことが大切
志望動機は過去の自分と未来の自分をつなぐものです。その接点として、どの程度具体的に現状を把握でき、企業活動の中にいる自分をリアルに想像できているかが重要になります。
採用担当者も、「社会貢献」は志望動機で何度も聞いたことのあるキーワードです。いかに具体的で、「たしかに活躍できそうだ」と思わせられるかどうかが鍵になるでしょう。
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志望動機のヒントになる? 企業の社会貢献に関するトレンドワード
志望動機のヒントになる? 企業の社会貢献に関するトレンドワード
- CSR:企業が社内外や社会・環境に対して持つ責任
- CSV:社会課題の解決を通じて利益も上げようとする考え
- SDGs:持続可能な開発について国際社会が共通して持つ目標
社会貢献したいとだけ伝える志望動機では、周りの学生と似通ってしまい、企業の印象に残りにくい可能性があります。そこで志望動機を差別化するためには、日本企業の社会貢献の実態について理解を深め、関心の高さを伝えることも効果的です。
ここでは企業の社会貢献活動について知っておきたい3つのトレンドワードを解説します。意味を勘違いしやすいワードもあるため、社会貢献したいとアピールするなら必ず目を通しておきましょう。
CSR:企業が社内外や社会・環境に対して持つ責任
用語解説:CSRとは
Corporate Social Responsibilityの略で、「企業の社会的責任」の意。
厚生労働省によると「企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動を取るとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方」と定義されている
過去に日本で発覚してきた大手企業の粉飾決算や汚職などの数々の不正・企業倫理の不足を受けて、これからは自社の利益を追及していくだけではなく、企業倫理を高め、社会とともに共存させていく必要があるとする考えが強まってきたことから、CSRの考え方が生まれました。
また環境問題の深刻化を受けて、持続可能な成長を目指すこともCSRに含まれる考え方の一つです。日本企業では特に大手企業を中心にCSRの活動が定着してきています。
CSR活動の例
- 富士フイルム
2017年にCSR計画「Sustainable Value Plan 2030」を発表。安心・安全な社会作りや人々の心の豊かさへの貢献を目指し、「環境・健康・生活・働き方・サプライチェーン・ガバナンス」などの各分野の目標に向けて活動を実施している
上記のように、「CSR活動」として企業HPに取り組みの内容を公開している企業も多くあります。社会貢献に直結する活動なので、志望企業を通して社会貢献をしたいと考えるなら、同業他社も含めてどのようなCSR活動をしているのかぜひチェックしておきましょう。
ただしあくまでも社会への責任としての活動であり、主軸事業として利益を目指すものではありません。入社後すぐにその活動を自分が担当する可能性も低いため、それだけをメインの志望動機にしないように注意しましょう。
- 企業はCSR活動について、どの程度の理解を求めていますか?
業界にもよるが採用においてはそこまで重要ではない
サステナビリティの情報開示が企業に求められる昨今では、一人ひとりの従業員の意識も重要視されるようになってきました。
面接でも「企業の社会的責任についてどのように考えているか?」と問われる可能性があるでしょう。
しかし私個人としては、この質問が採用の有無を決めるような重要な質問とはなり得ないと考えます。CSR活動への視点は大事ではありますが、社会貢献が優先では企業が成り立たなくなってしまうのも事実だからです。
そのため学生は、志望する企業のサステナビリティ項目をさらっと覚えておく程度で留めておいても良いかもしれません。
ちなみに週刊東洋経済で発表されたCSR企業ランキング2023年版では、富士フイルムホールディングスが1位、NTTが2位、中外製薬が3位という結果。
トップ20以内の業種の特徴としては、精密化学業界、情報・通信業界、建設業などが目立ちました。CSR活動が重要視されやすい業界として参考にしてみてください。
特別な動機がなくても大丈夫!
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CSV:社会課題の解決を通じて利益も上げようとする考え
用語解説:CSVとは
Creating Shared Valueの略で、「共有価値の創造」の意。
経済的価値と社会的価値を共存させようとする経営方針のこと
CSVは、社会課題の解決と自社の利益を上げることの2つを両立させるという考え方で、「CSV経営」という言葉での使われ方が一般的です。
CSRとの違いとして、CSRはまず事業があり、それに附随して社会的責任を果たす活動を実施しますが、CSVはそもそもの事業内容が社会課題の解決を軸として考えられていて、事業を通じてそのまま企業の利益につながるという経営方式です。
アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が2011年に発表し、「社会課題を解決しつつ儲けも生み出す」という企業経営の新しい捉え方として注目を集めるようになりました。
CSV経営の例
- ネスレ
「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていく」ことをパーパスとし、以下のような指針のもと事業を推進している。
・人々の人権を守る:バリューチェーンにおける人権を尊重
・2050年までにネットゼロ:バリューチェーン全体で各目標を設定
・フォレストポジティブ戦略:森林や自然生態系の保全・再生に貢献
・農村開発と生活向上:持続可能な方法で生産された原材料の調達
・水資源の管理:自然資源の回復に貢献
など
社会貢献したいと考えている場合、事業内容が社会課題の解決に直結している企業は特にマッチしやすいでしょう。そのため志望企業がCSV経営を導入しているか調べてみて、具体的な取り組みがあれば志望動機でその点について触れてみるのも一つの手です。
- 企業HPを調べてみても、「サステナビリティ」のようにまとめられていて、何がCSRで何がCSVなのかよくわかりません……。
実態を正しく理解するには現場の社員に直接聞くのが一番
企業の社会貢献を深く理解するには、社会人訪問をするのがおすすめです。量・質ともに良い情報を得られます。
企業の中には、現場社員まで社会貢献が浸透していないケースや、上層部と現場の実態が乖離しているケースもあります。
そんな中で社会貢献を志望動機としてアピールしてしまうと、ミスマッチだと判断される可能性が高いです。
また社会貢献の幅も、大企業になればなるほどさまざまです。実施していることすべてを認識すること自体が難しいケースもあるので、そういった面からも、実際の社員に話を聞いてみることが重要になります。
一方、実態をあまり理解できていないのであれば、場合に応じて志望動機では社会貢献の軸を話さないようにすることも手段の一つです。
SDGs:持続可能な開発について国際社会が共通して持つ目標
用語解説:SDGsとは
Sustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」の意。
2030年までに持続可能なより良い世界を実現するために、国際社会が共通して取り組む目標として2015年に国連で採択された。17のゴールと169のターゲットで構成され、地球上の誰一人取り残さないことを誓っている
SDGsという言葉も近年よく聞くようになりました。国連が定めた環境や人権に対する国際社会共通の目標であり、それを担うのは日本も例外ではありません。日本では2017年から毎年、政府によりSDGsアクションプランが策定され、企業や自治体に向けて取り組みが促されています。
①貧困 | ②飢餓 | ③保健 |
④教育 | ⑤ジェンダー | ⑥水・衛生 |
⑦エネルギー | ⑧成長・雇用 | ⑨イノベーション |
⑩不平等 | ⑪都市 | ⑫生産・消費 |
⑬気候変動 | ⑭海洋資源 | ⑮陸上資源 |
⑯平和 | ⑰実施手段 |
SDGsは対象とする項目が上記のように多いため、企業によって取り組みもさまざまです。志望企業ではどのような取り組みをしているか調べてみて、自分の考えとマッチする部分や共感する点があれば志望動機でアピールするのもおすすめです。
SDGsの例
- ローソン
SDGs委員会を設置し、「二酸化炭素削減」「食品ロス削減」「プラスチック削減」などを重要課題として設定。下記のような各種取り組みを実施。
・地元食材を使用した商品で地産地消の推進と輸送時の二酸化炭素削減
・量り売りの導入によるプラスチック使用量の削減
・売れ残り商品や食用油のリサイクル
など
ほかにも、たとえば先述した富士フイルムはSDGs活動が盛んな企業です。健康や被災地復興、植林活動や環境保全活動などに力を入れています。
SDGsにはたくさんの項目がありますが、調べる際は「社会が手を差し伸べるべき課題や人々に、積極的にかかわりを持っているかどうか」に注目してみましょう。
調べる中で企業理念に共感を抱く人もいるかもしれません。志望動機で企業理念への共感を伝えて高評価を得るコツはこちらの記事で解説しているので、併せて参考にしてください。
例文9選|志望動機で企業理念への共感を伝えて唸らせる4ステップ
志望動機として社会貢献を伝えるなら内容に欠かせない3つの要素
これまで解説した注意点や企業の視点を読んで、「では一体どんな内容なら社会貢献を伝える志望動機が評価されるのだろう?」と気になっている人もいますよね。
ここからは社会貢献の志望動機の作成に向けて、必ず含めるべき3つの内容を解説します。
この3要素を志望動機で伝えることで低評価を避けることができ、自分らしい社会貢献への意欲を企業にアピールできるようになります。ぜひ順番に確認していきましょう。
①誰にどう貢献したいのかを明確にする
一口に社会貢献といっても、たとえば水道局で働いて市民の生活インフラを裏から支える縁の下の力持ち型もあれば、教師として直接子どもたちの教育を担い、次世代を育てるというリーディング型もあります。
このように社会貢献には無数の形があるため、具体的に誰に向けてどんなことをしたいのかを明確にする必要があるのです。
志望動機では、「社会に貢献したい」と広く抽象的に表現するよりも、「このような人たちに向けて、このような価値を提供したい」というように、自分なりの言葉に言い換えることを意識してみてください。
②なぜ自分がそれをやりたいのか背景を伝える
志望動機では「入社後に何をしたいか」を伝えるのも大切ですが、それに加えて「なぜ自分がそれをやりたいのか」という背景を伝えることも不可欠です。
たとえば食品メーカーを「よりおいしく簡単に作れるハラールフードを開発して、多様な食のニーズに応えたい」という理由で志望している場合、それだけならほかの学生にもいえる理由であり、実際に被る可能性もあります。しかし「なぜそう考えるのか」という背景は固有の部分であり、自分だけの信念やビジョンを伝えることができるのです。
反対にこの部分がないと、なぜそうした社会貢献をしたいのか企業にはわからず、人柄が伝わらないばかりか、「よくある志望動機をまねしているだけかも」と思われる恐れもあります。したがって、必ず自分なりのきっかけや思いを含めるようにしましょう。
「なぜ」という観点がないと、一緒に働きたいと思ってもらえない可能性が非常に高いです。
たとえば恋愛に置き換えた場合、「理由はないけど付き合ってください」と言われたとしたらどうしますか? 恋愛に困っている人以外は断るのではないでしょうか。
企業も同じで、相当な人手不足の会社以外は、「なぜこの会社でこの仕事をしたいのか」という理由をしっかりと伝えないと、熱意を受け入れて納得してもらえる確率は極めて低くなってしまいます。
③実際の業務内容と結びつける
社会貢献したいという立派な思いがあったとしても、それが企業の業務内容とズレていたら、志望動機としては説得力のないものになってしまいます。
たとえば以下のような志望動機の場合、ボランティア活動についてしか触れてないため、業務として何をしたいかがわかりません。
NG例文
環境汚染に問題意識があるため、御社の植樹活動に惹かれました。入社後もいろいろな社会貢献活動をしたいです。
企業は「仕事では何をしたいの?」「自社に対してどう貢献してくれるの?」と疑問を感じてしまいます。したがって社会貢献への意欲は伝えつつも、実際に自分が担う業務内容と結びつけることが重要です。
ボランティア活動に共感しているなら、その興味は以下のように補足として添える程度に留めて、業務の中で何をしたいのかをメインの志望動機として明確に示しましょう。具体的な考え方は後述しますが、「社会貢献」だけだと慈善活動の側面もあるため、あくまでもビジネスとして何をしたいかを伝えることが大切です。
OK例文
環境学を学んだことから再生可能エネルギーの必要性を痛感し、太陽光発電をより普及させたいと思ったため、御社の営業職を志望しています。環境汚染問題にも関心があり、植樹活動に力を入れている姿勢にも共感いたしました
- 志望企業はいろいろな活動をしているので、どこまでが慈善活動でどこからが事業なのかがよくわかりません……。
あくまでも本業の営利活動の方に目を向けることを忘れずに!
NPOや行政でない限り、民間企業の本業は営利活動です。慈善活動は本業の利益分配の意味も含め、地域への恩返しなどとしておこなわれることが多いでしょう。
地域密着型事業であれば、ニュースなどで大きく取り上げられることがありますが、それも企業活動の一部に過ぎないことを意識しておくと良いですね。
本業もしっかりやってこその社会貢献活動であり、そこに捉われすぎないようにしましょう。
アドバイザーコメント
吉田 隼人
プロフィールを見る経験・能力・ビジョンに一貫性のある志望動機が評価される
企業から評価される志望動機を書くうえで大切な点は2つあり、「なぜやりたいのか」と「何ができるのか」です。この2点を必ず押さえておきましょう。
「なぜやりたいのか」は、これまでのあなたの経験や人生の文脈から伝える必要があります。その経験と会社のビジョンや業務内容に一貫性がないと、なんでうちの会社なの? と企業は疑問に思ってしまうからです。
また「何がができるのか」という点では、あなたの経験や人生を通じて培ってきた強みを活かして、どう貢献できるのかということを伝えましょう。
企業で働くということは、そこでの役割を全うし、責任を果たすことで、その対価として給料をもらうということです。ただ好きだから、興味があるから、というだけでは仕事を任せてもらえません。
与えられた業務や課題に、どんな強みを活かしどのように対応していくのか。そういった「何ができるのか」を意識して、企業側があなたの活躍を納得感を持ってイメージできるように伝えてください。
社会貢献だけでなくビジネスの観点からも志望動機を考えよう
そして社会貢献の要素を盛り込む場合は特に、ビジネスの本質を理解しておく必要があります。
少なくとも社会貢献は、その企業のビジネスの本質ではありません。社会に貢献する前に、社会人として目の前の仕事をこなし、企業に貢献していくことが求められるのです。
本当に社会貢献がしたければ、NPOやボランティアでもできますよね。このような本質的なことを理解しておかないと、企業から評価される志望動機とはならないでしょう。
4ステップ! 社会貢献への思いから高評価を得る志望動機の作り方
4ステップ! 社会貢献への思いから高評価を得る志望動機の作り方
- 業界・企業がどのように社会に貢献しているか理解を深めよう
- その中で自分がどんな価値を提供したいか考えよう
- 企業での実現性や業務との関連性をチェックしよう
- 整理した内容を「結論・理由・抱負」の順でまとめよう
ここからはさっそく「社会貢献」の志望動機を作成していきましょう。これまで解説した注意点や必須の要素を網羅できるように、作り方を4つのステップにまとめました。
この4ステップに沿って実践していけば、社会貢献への思いから高評価を得る志望動機をスムーズに作成できます。丁寧におこなえばさらにほかの学生と差が付くので、順番に確認してみてください。
①業界・企業がどのように社会に貢献しているか理解を深めよう
まずは志望企業の社会貢献について正しく理解するために、業界・企業それぞれがどのように社会貢献しているかを確実に押さえましょう。ここの理解が抜けていると、ざっくりして浅い志望動機になってしまう可能性があります。
社会貢献の形をつかむには、まずは業界から広く捉えて、次に企業に焦点を当てるのがわかりやすくおすすめです。以下にそれぞれの調べ方のコツを解説していきます。
業界ごとの社会貢献の形をつかもう
社会貢献のおもな5つのタイプ | 業界の例 |
---|---|
モノを生み出して世の中に提供する | メーカー、建築、IT、出版、音楽、エンタメ、不動産 |
サービスを提供して喜んでもらう | ホテル、旅行、美容、冠婚葬祭、教育、コンサル |
世の中に欠かせない仕事を担い生活を支える | エネルギー、物流、運輸、水道、ゴミ処理、農業・水産、政治 |
命や安全を守ることで人の役に立つ | 医療、介護、警察、消防、警備 |
人やモノを動かしてお金を生み出す | 金融、商社、ディベロッパー、広告 |
社会にはさまざまな業界があり、それぞれの業界が異なる形で社会に価値を提供しています。まずは業界ごとの社会貢献の形の違いを把握しましょう。
そのうえで、なぜその形で社会貢献をしたいのか、きっかけや理由を振り返ってみると、さらに志望理由を具体的に言語化できるようになります。
仕事によっては明確にどの業界と定義できなかったり、複数の業界に当てはまることもあります。その場合はその仕事がどのように社会に貢献しているかを上記のように自分なりの言葉で言い換えてみてください。そうすることでより理解が深まります。
上記の中でも医療・福祉関係やインフラ関連、教育業界などはなくてはならないもの、つまり社会貢献性が高い業界と捉えやすいかと思います。
一方で、娯楽や旅行、スポーツなどの業界は、ほかの視点で志望動機を考えてみても良いかもしれませんね。たとえば「接客スキルを磨いてたくさんの人を笑顔にしたい」も良いと思います。
また社会貢献性の高い業界であっても、入社後にどのような行動をするかは具体的に話せるようにしましょう。
志望企業の社会貢献活動を調べよう
業界の次は志望企業にフォーカスを当てましょう。同じ業界でも、どのように社会に貢献しているかは企業によってさまざまに異なるためです。
たとえばIT業界の有名企業である楽天グループとLINEヤフーを見てみると、それぞれ多様な社会貢献活動を実施しています。下記はその中のほんの一例です。
企業 | 社会貢献活動の例 |
---|---|
楽天グループ | ・楽天クラッチ募金: 各種決済サービスを活用したインターネット上の募金システム ・Rakuten IT School NEXT: 社員が高校生と一緒に地域の未来について技術をもとにしたアイデアを考えるプロジェクト |
LINEヤフー | ・Yahoo! ボランティア: ボランティアの募集情報や参加者向けのノウハウを提供するプラットフォーム ・スマホ避難シミュレーション: 地震発生時の避難訓練をスマートフォンで実施できるコンテンツ |
「IT技術をもとにWebサービスを提供する」という業界としての貢献の形は同じでも、細かい企業活動を見てみると誰に向けてどのような貢献をしているかは企業によってまったく違うことがわかります。
上記の2社のような大きな社会貢献活動をしていない場合でも、一つひとつの企業は別物なので、その企業ならではの特徴が必ずあるはずです。
1社だけを調べてみても強みは見えにくいので、企業HPや採用ページの情報、説明会や社員訪問で聞いた話などから複数の同業他社と比べてみて、その企業がどのように社会に貢献しているかを誰かに説明できるくらい理解するようにしましょう。
- 志望企業が社会貢献活動をあまりしていない場合、「社会貢献したい」と志望動機で伝えるのは良くないのでしょうか?
企業から聞かれない限りは積極的にアピールする必要はない
そうですね。ダメというわけではありませんが、向こうから話題に上げてくるまでは、あえて自分から発言しなくても良いかもしれません。
かえって心証を悪くしてしまう可能性もあれば、CSR活動に関する情報が開示されていない場合、その企業の方針がわからず、一種のギャンブルになってしまいかねません。
不安がある場合は、社会貢献がしたいというのを志望動機として積極的に押し出すのは避けた方が無難でしょう。
②その中で自分がどんな価値を提供したいか考えよう
志望業界・企業の事業の中でも自分はどんな価値を提供したいのか、仕事を通して何を実現したいのかを伝えることで、企業はあなたが活躍する姿をさらにイメージできるようになります。
どんな価値を提供したいかを考えるには、以下のような点を掘り下げてみましょう。
どんな価値提供をしたいかを考えるポイント
- その仕事に興味を持ったきっかけや原体験
- 特にどんな課題を解決したいか
- 将来的にどんな事業に興味があるか
例:IT技術で社会貢献をしたい場合
・その仕事に興味を持ったきっかけや原体験
→親が個人事業主で、集客に苦戦していたときに知り合いにエンジニアを紹介してもらい、HPやネット注文の仕組みを作ってもらったことで売り上げが改善した経験。IT技術を用いてシステムを作れれば、同じように困っている人の助けができると思った
・特にどんな課題を解決したいか
→IT化が足りていないことにより本来の価値や魅力を発揮できていない組織に対して、技術による課題解決を提供することで事業をサポートしたい
・将来的にどんな事業に興味があるか
→ゆくゆくは個人に向けてIT技術を教えるような事業にも興味があり、IT人材を増やすことに可能性を感じている
上記のように掘り下げることで、自分ならではの思いや考えが明らかになり、志望動機に独自性が増します。
自分がどんな価値を提供したいかを考えるのにおすすめの方法は、「とにかくノートに書きなぐる」ということです。
最初はとりとめもなくグチャグチャでもかまわないので、アウトプットすることを優先しましょう。
頭の中を空っぽにするつもりで書き出すと、自然と考えが整理できてきて言語化できるようになります。
③企業での実現性や業務との関連性をチェックしよう
どんな社会貢献をしたいのか整理できたら、最後は志望企業との整合性も忘れずに確認しましょう。繰り返しになりますが、「社会貢献」だけでは意味する幅が広く、志望動機として打ち出す場合には実際の業務に結びつけることが重要だからです。
先述と同じ例を使って考えてみると、以下のような点をチェックすべきだといえます。
どんな社会貢献をしたいか
IT化が足りていないことにより本来の価値や魅力を発揮できていない組織に対して、技術による課題解決を提供することで事業をサポートしたい。
ゆくゆくは個人に向けてIT技術を教えるような事業にも興味があり、IT人材を増やすことに可能性を感じている
企業での実現性や業務との関連性をチェックする例
- 志望企業ではIT化が遅れている組織に向けた商品提供をしているか?
- 技術による課題解決というのは自分が応募している職種でできることか?
- 個人向けのIT教育は企業の理念や事業内容とかけ離れていないか? 実現可能性があるか?
やりたいことが明確にあったとしても、もしそれが志望企業の事業に当てはまらなかったり、携われる可能性が低かったりすると、「本当にうちで働きたいの?」「それはうちの会社じゃなくても良いよね?」と思われる可能性があり、企業を納得させられません。
社会貢献したいという自分の理想だけをアピールするのではなく、従業員として組織の一員になった際に、その企業でどんな仕事をしたいかを伝えることが大切です。その観点から見直してみてください。
事業内容と結びつけるのが難しい人は、こちらの記事を参考にしましょう。「会社に貢献できること」の伝え方や例文を紹介しています。
例文5選|「会社に貢献できること」を魅力的に伝えて差別化する秘訣
④整理した内容を「結論・理由・抱負」の順でまとめよう
最後はここまで深めてきた自分の考えを、企業に提出する形として整えましょう。まとめる際のポイントは、「結論・理由・抱負」の順で話を展開することです。
①結論
私が貴社を志望いたしますのは、IT技術を用いて企業のみならず個人など、あらゆる困っている人たちに課題解決を提供したいという思いからです。
まず結論を提示することで企業が話の内容をつかみやすくなるだけでなく、「こういう社会貢献をしたい」という意志が伝わり、よりインパクトを与えられます。志望業界・企業の社会貢献についてこれまで調べた内容から、自分は何をしたいかという一番のメッセージを伝えましょう。
②理由
私自身、親が個人事業主で、集客に苦戦していたときに知り合いにエンジニアを紹介してもらったことがありました。HPやネット注文の仕組みを作ってもらった結果、売り上げが大きく改善し、IT技術を用いてシステムを作れれば、同じように困っている人の助けができると思った瞬間でした。
結論の次は、なぜそう考えるのかという理由を伝えます。準備段階で整理した「仕事に興味を持ったきっかけや原体験」からまとめると自分らしい思いを表現でき、説得力を持たせることが可能です。
③抱負
入社後は技術力をさらに磨いて、IT化が足りていないことにより本来の価値や魅力を発揮できていない組織に対して、技術でできることを提供して事業をサポートしたいと考えています。
ゆくゆくはIT人材を増やすことにも可能性を感じており、御社のIT教育の取り組みに携われると幸いです。以上の理由から、貴社の技術職を志望いたします。
最後はやりたいことを踏まえて、企業でどのように貢献したいかという抱負で締めます。ここも同様に、準備段階で掘り下げた「特にどんな課題を解決したいか」「将来的にどんな事業に興味があるか」などから自分のビジョンをまとめるとスムーズです。
完成例
私が貴社を志望いたしますのは、IT技術を用いて企業のみならず個人など、あらゆる困っている人たちに課題解決を提供したいという思いからです。
私自身、親が個人事業主で、集客に苦戦していたときに知り合いにエンジニアを紹介してもらったことがありました。HPやネット注文の仕組みを作ってもらった結果、売り上げが大きく改善し、IT技術を用いてシステムを作れれば、同じように困っている人の助けができると思った瞬間でした。
入社後は技術力をさらに磨いて、IT化が足りていないことにより本来の価値や魅力を発揮できていない組織に対して、技術でできることを提供して事業をサポートしたいと考えています。
ゆくゆくはIT人材を増やすことにも可能性を感じており、御社のIT教育の取り組みに携われると幸いです。以上の理由から、貴社の技術職を志望いたします。
なお、志望動機は短すぎず長すぎない400字程度に収めましょう。上記の例文は360字ですが、もちろん企業から文字数の指定がある場合はそれに従ってください。面接の場合は1分〜1分半前後が理解しやすい長さとされているため、300〜400字程度に収めるのがおすすめです。
応募書類に志望動機を書く際のコツは以下の記事でさらに詳しく解説しています。工夫することでよりインパクトを残せるので、提出前にぜひチェックしてみてください。
エントリーシート(ES)への書き方
例文12選|受かる志望動機をエントリーシートに書く4つのステップ
構成
志望動機はこの構成で決まり! 盛り込む6要素と伝える順番を解説
書き出し
例文8選|志望動機の書き出しで本気度を見せ差別化する方法
締めくくり
志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介
面接時の志望動機の答え方はこちらの記事で解説しています。書類に書く際とは違う注意点があるので、併せて確認しておきましょう。
面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る「社会貢献」だけが浮かないように注意! 事業の理解は必須
「4ステップ! 社会貢献への思いから高評価を得る志望動機の作り方」のセクションで紹介されているアドバイスを意識することで、良い内容の志望動機を作り上げることができます。
その際、社会貢献に注目するあまり企業本来の業務や事業内容を置いてけぼりにしてしまうと、「自分がこの会社でなければいけない理由」を先方に理解してもらえない可能性があるため特に注意しましょう。
まずは何といっても、その企業の事業に対する理念や実績について「自分がどれだけ貢献できるのか」を大切にし、そのうえで社会貢献についても触れていくという形が望ましいです。
志望動機を作成したら複数人から意見をもらって改善しよう
また準備しておいた方が良いこととしては、実際に社会貢献をベースとした志望動機を作ってみたら、身近な人でもかまわないので4〜5人くらいから客観的な意見をもらうことです。
実際に働いている社会人などの知り合いがいれば、さらに良いですね。
そうすることで自分の主観的な意見だけの内容よりも、より洗練された志望動機に仕上がり、他者との差別化につながります。
5つの業界別! 志望動機として社会貢献をアピールする例文
5つの業界別! 志望動機として社会貢献をアピールする例文
ここまで読んで、社会貢献したいという思いからうまく志望動機をまとめられた人もいれば、まだ自信がないという人もいるかもしれません。より多くの例を参考にしたい人に向けて、ここからは5つの業界別に志望動機例文を紹介します。
これまでの解説通り、業界ごとの社会貢献のスタイルを以下の5つのパターンに分けました。それぞれの例文に加えてキャリアコンサルタントのアドバイス付きなので、ぜひ目を通して、表現やまとめ方の参考にしてくださいね。
社会貢献のおもな5つのタイプ | 業界の例 |
---|---|
モノを生み出して世の中に提供する | メーカー、建築、IT、出版、音楽、エンタメ、不動産 |
サービスを提供して喜んでもらう | ホテル、旅行、美容、冠婚葬祭、教育、コンサル |
世の中に欠かせない仕事を担い生活を支える | エネルギー、物流、運輸、水道、ゴミ処理、農業・水産、政治 |
命や安全を守ることで人の役に立つ | 医療、介護、警察、消防、警備 |
人やモノを動かしてお金を生み出す | 金融、商社、ディベロッパー、広告 |
①「モノを生み出して世の中に提供する」業界の例文
志望動機例
私は生活に欠かせない「住」について正しい情報を伝えることで、ベストマッチな住まい探しを多くの人に提供するために、貴社で賃貸不動産事業に携わりたいと考えています。
私自身、上京して初めてのアパートを契約した際に、いざ入居すると夜になったら裏の飲食店の煙が入ってきて、「高いお金を無駄にしてしまった」とひどく後悔した経験があります。また友人からも、希望と違う物件を紹介された、最初に聞いていた金額と違ったなどと住まいに関するトラブルを聞くことがありました。
このような経験から、衣食住の中でも特に「住」については、消費者がベストな選択をすることが難しいと考えています。そこで住まいのプロフェッショナルとして、正しい情報を提供して最適な選択をサポートする存在になりたいと考えるようになり、賃貸不動産の仕事を志望するようになりました。
貴社は特に学生向けのアパートが豊富で、大学に直接出向いたお部屋紹介も積極的にされています。特に情報弱者である、部屋探しが初めての人にも味方になれる点を魅力に感じています。ぜひ貴社で、顧客から信頼を得る営業担当として活躍したいと思います。
過去の経験と自分のビジョン、そしてその会社の強みをうまくすり合わせられています。
会社の強みや特徴を理解せずに志望動機を書いてしまう学生は多く、「なぜウチの会社なの?」というツッコミをされやすいので、例文のようにしっかりと企業研究をして把握しておきましょう。
モノを生み出して世の中に提供する業界の志望動機については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。工夫することでさらに差別化できるので、併せて参考にしてください。
メーカー
16例文付き! メーカーの志望動機が誰でも作れる5ステップを解説
スポーツメーカー
スポーツメーカーへの就職を実現する方法|志望動機例文も紹介
アパレル
例文11選|アパレル業界の志望動機に必須の準備と書き方を解説
食品
例文9選|食品業界の志望動機でやりがちなNG例と高評価のコツ
IT
IT業界の受かる志望動機の書き方|職種別の例文10選も紹介
②「サービスを提供して喜んでもらう」業界の例文
志望動機例
私が貴社を志望する理由は、貴社が提供するコンサルティングサービスを通じて、社会貢献に取り組む企業の後押しをしたいと考えているからです。
私は大学2年生の1年間、社会貢献を軸に取り組むNPOで働いていました。そのNPOでは、より良い環境を作るための活動や障がいや病気を抱える人をサポートする活動などに取り組んでいました。
NPO時代に感じたことは、「やりたい」という熱量だけではうまくいかないことです。実際に私も手を挙げてプロジェクトを任されたことがあるのですが、プロセスや明確な目標などが定められず、苦労しました。
このとき、誰かの「社会のために取り組みたい」という熱量を形にするためのサポートをしてくれる存在の必要性を感じました。このようなことができるのがコンサルティングファームだと思います。
入社後は、社会貢献に取り組む企業や団体を積極的にサポートして、顧客に喜んでもらいたいと考えています。
サービス業界の企業では、顧客に喜んでもらうことが仕事であり、目の前の一人ひとりの顧客を笑顔にすることが大切です。
しかし広い視野でその事業の意味を考えてみると、社会貢献の捉え方も広がります。
たとえば事業によって地域の雇用を生み出すことも経済の循環と捉えることができ、地方においては地域住民の選択の自由も提供していますね。
サービス業界を志望する場合は特に、社会貢献とは単に顧客を笑顔にするだけではないと覚えておきましょう。
サービスを提供して喜んでもらう業界を志望している人は、以下の記事も併せて確認してみましょう。志望動機のポイントや注意点を解説しています。
コンサル
例文12選|コンサルの志望動機で必須のアピール内容とNG例を解説
人材
例文6選|人材業界の志望動機を作る3ステップとやりがちなNG例
スーパー
例文8選|スーパーの志望動機で周囲と差別化する4つの秘策
カフェ
例文10選|カフェの志望動機は簡単3ステップで周りと差別化しよう
③「世の中に欠かせない仕事を担い生活を支える」業界の例文
志望動機例
私が貴社を志望する理由は、貴社が提供するエネルギーサービスを通じて、世の中に欠かせない仕事を担い、多くの人の生活を支えたいと思っているからです。
私は〇〇市という地方で生まれ育ちました。そこは夏になったら暑く、冬は雪が降るほど寒いという地域です。そのため、生活をするには電気やガス、ガソリンなどが必要不可欠です。
しかし、あるとき自然災害の影響でこれらのエネルギーの供給がストップしたことがあります。そのときは人間らしい生活をすることもできませんでした。今後はこのようなことができる限り起きないようにしなければいけないと強く考えています。
貴社に入社後は、多くの人にとって欠かせないエネルギーサービスを扱っているという自覚を持ち、人々の生活を陰から支えたいと思っています。
この業界は直接的に社会に影響のある分野のため、社会貢献を志望理由の中に盛り込む人が多いと思います。その分、内容が似通ってきてしまうこともあるでしょう。
その際ありきたりな人材だと思われないためには、やはり「自分でなくては出せない独自性」をアピールすることが大事になります。
世の中に欠かせない仕事を担い、生活を支える業界を志望している人は以下の記事も必見です。志望動機で差別化するための知識を解説しています。
インフラ
業種別例文付き|インフラ業界の人事に刺さる志望動機のポイント
ガス
ガス会社の志望動機は社会貢献では落ちる! 例文付きで作り方も解説
物流
例文8選|物流業界の志望動機は2つのコツで差別化しよう
海運
海運業界を徹底解説! 理解必須のトレンドから志望動機例まで紹介
こちらのQ&Aでは鉄道業界の志望動機のポイントについてキャリアコンサルタントが解説しています。運輸業界を志望している人は併せて参考にしてくださいね。
④「命や安全を守ることで人の役に立つ」業界の例文
志望動機例
私が貴署を志望する理由は、〇〇市に住む人の命や安全を守りたいと考えているからです。
私は〇〇市で生まれ育ちました。〇〇市は人口が多いわけではないですが、その分、一人ひとりに目が行き渡り、誰もが安全・安心に暮らすことができる地域だと考えています。
ただ、全員の安心・安全は確実なものではありません。事故や事件が起こっているのも事実です。しかし、これからの施策によって未然に防ぐことも可能だと思います。
私自身も中学生の頃に貴署の警察官から受けた、命の大切さや安全の重要さに関する授業が今でも役立っています。
貴署に入職後は積極的に活動し、〇〇市がさらに安心・安全な地域になるための一翼を担いたいと考えています。
「命や安全を守ることで人の役に立つ」業界はそもそもの社会貢献性が高いための、志望動機として社会貢献を打ち出すと、やはり「なぜ社会貢献したいのか」という点が深掘りされるでしょう。
面接官は、特にそう思うに至ったきっかけを知りたがります。きっかけを端的に伝えられるように言語化しておきましょう。
命にかかわる仕事の中で動物病院に興味がある人もいるかもしれません。こちらの記事で仕事の特徴や志望動機のコツを解説しているので、併せて参考にしてみてください。
例文4選|動物病院の志望動機をスキなく固める3つのコツと注意点
命にかかわる仕事で病院を志望している人は以下の記事をチェックしてください。志望動機の書き方とNG例を解説しています。
病院の志望動機は適性の高さを示すのがコツ! NG・職種別例文も
病院の面接対策については以下の記事を参考にしてみてください。頻出質問やマナーについてまとめています。
病院の面接の頻出質問と回答例 | マナーや対策方法も併せて解説
⑤「人やモノを動かしてお金を生み出す」業界の例文
志望動機例
私が貴社を志望する理由は、人の心を動かすようなクリエイティブを作成して、多くの企業に役立ちたいと思っているからです。
私は幼少期から漫画を描くことや動画を撮影・編集することが好きで、今でも個人的に取り組んでいます。
その中で、大学1年生のときにある広告に心を動かされ、実際にそのサービスを購入したという経験がありました。そのサービス自体も実際に良いものだったのですが、振り返ると広告に魅力が詰まっていたのだと思います。
このような経験から、ただモノを作るのではなく、人を動かすような広告を作りたいと思うようになりました。貴社に入社後は、クリエイティブセンスを磨くだけでなく、心理学も学び、多くの人の心を動かせるような広告を作成できるよう努めてまいります。
金融、商社、ディベロッパー、広告などの業界はビジネス色が強い企業も多いため、業務内容と社会貢献を結びつけることが特に大切です。
各企業の公式HPに社会的メッセージやCSR活動のトピックがあるはずなので、その情報を見てみるのが良いでしょう。
ただしこうしたビジネス色の強い企業では、志望動機で社会貢献ばかりを前面に出すと本業で成果を出す覚悟を問われる場合もあります。バランス良く話せるように準備しておくのがおすすめです。
広告、商社、金融などの業界の志望動機をさらに磨き上げるには、以下の記事がおすすめです。業界別に志望動機例文と差別化のコツを解説しています。
広告
例文7選|広告業界で勝ち抜く志望動機の書き方と差別化のコツ
商社
総合商社・専門商社別の志望動機例文10選|必須の対策4選も解説
銀行
例文14選|銀行の志望動機がスラスラ書ける簡単6ステップ
「社会貢献」を業務に落とし込んだ明確な志望動機で選考を通過しよう
志望動機で社会貢献への思いを効果的に伝える方法を解説しました。「社会貢献」だけでは志望動機として評価されるのが難しいため、解説したように「どんな人に向けて何を提供したいか」「なぜそう考えるのか」と自分なりの思いを具体化することがポイントです。
また社会に貢献するだけでなく、企業の一員として業務で活躍する姿勢も求められます。志望企業の社会貢献の形をよく理解したうえで、社会のどんな課題を解決したいのか、事業としてどんなことに携わりたいのかを明確に伝えましょう。
「社会貢献」を実際の業務に落とし込んで言い換えることで、あなたの意欲を採用担当者に印象付けることができます。ぜひこの記事を参考に社会貢献への思いから企業に響く志望動機を完成させて、選考突破につなげてください。
アドバイザーコメント
岩﨑 千夏
プロフィールを見るなぜその企業で社会貢献したいのか? 事業をよく調べることが鍵!
「社会貢献したい」という気持ちは素晴らしいと思います。まずはその気持ちを大切にして、忘れないようにしましょう。
そのうえで志望動機として社会貢献を伝える場合は、企業の情報を十分に調べているか、志望動機に納得感があるかをチェックすることが大切です。
まずは企業の公式HPを調べます。これは必ず実施しましょう。社会貢献とは植樹や募金活動だけを指すわけではありません。広い視野で、事業内容や顧客へのサービス説明にも目を通します。
「これを志望動機に書こう」という目線で情報を見てしまうと視野が狭くなりがちなので、まずは全体像をつかんでいくことがポイント。公式HP以外にもさまざまな公式情報があるため、SNSや新聞などもチェックすべきですが、口コミなどの信ぴょう性に欠けるものは避けてください。
どう活躍したいのかを過去の経験から話せるようにしよう
企業研究をしたら、自分ができること、やりたいことを考えてみましょう。過去の学業・アルバイト・サークル活動などで培ったことや経験から、何が活かせるでしょうか。
採用では、面接で深掘り質問をされたときにいかに納得感の高い返答ができるかが大切です。社会貢献がしたいと志望動機に書いてあるのに、その具体的な内容を答えられない……とならないように、短い文章で説明できるようにしましょう。
最後に、完成した志望動機を第三者に読んでもらうのがおすすめです。客観的なアドバイスをもとに改善していけば、さらにわかりやすくなると思いますよ。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/HR&Sパートナーズ代表
Chinatsu Iwasaki〇大学理系学部卒業、大手インフラ企業の人事として勤務。開業後、企業の採用コンサルティングや就職支援などをおこなう。現場感と対話を大切にしている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/就活塾「我究館」講師
Hayato Yoshida〇東証一部上場の人材会社で入社2年半で支店長に抜擢。これまで3,000名以上のキャリアを支援。現在はベストセラー書籍「絶対内定」シリーズを監修する我究館でコーチとして従事
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