この記事のまとめ
- 大手子会社を業界ごとに一覧で紹介
- 見つけにくい大手子会社は4つの方法で探せる
- 大手子会社の魅力だけでなくデメリットも理解しよう
- 適職診断
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この記事を読んでいる人に
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大手企業が経営権を握っている「大手子会社」。大手企業は倍率が高いため、大手子会社を視野に入れようと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし言葉は知っていても実態がわからず、「大手の子会社が就職先として魅力的なのか知りたい」「大手は自分に合っているのだろうか」と悩む人もいるでしょう。
大手子会社の実態を知らずに就活を進めると、選択肢を狭めてしまったり就職後にギャップに悩んだりする恐れがあります。大手子会社の魅力だけでなくデメリットや概要をしっかり把握しておくことで、自分に合った企業かどうか見極められますよ。
この記事では、キャリアアドバイザーの有馬さん、柴田さん、渡部さんのアドバイスを交えつつ、大手子会社を5グループに分けて解説します。大手子会社について詳しく知りたい人は、ぜひチェックしてくださいね。
大手子会社について詳しく理解してエントリー候補に加えよう
言葉を知っていても実態がよく理解できていないという人も多い大手子会社は、さまざまな方法を用いて理解を深めることが大切です。調べて深く理解することによって、より多くの選択肢からあなたに合った企業にエントリーする可能性を高められるのです。
この記事では、まず大手子会社の定義を解説した後、大手企業を5グループに分けて子会社一覧を紹介します。どのような大手子会社があるのかを知って、相性の良い企業を見つけるのに役立ててください。
また、「大手子会社を見つけられない」という人のために、大手子会社を探す方法を説明します。4つの方法を紹介しているので、自分に合ったものを選択してくださいね。
そもそも大手の子会社とは?
まずは大手子会社とは何なのかを理解するために、子会社の定義を確認しましょう。子会社とは、株式の50%以上を特定企業が保有している会社のことです。株主総会で会社の方針を決めているため、半分以上の議決権を有する企業が実質的に支配していることを意味するのです。
大手子会社とは
大企業(1,000人以上の従業員が在籍する企業)が50%以上の株式を保有する会社
ここでは、大手企業と大手子会社の違いやビジネス形態による分類方法を見ていきましょう。なお、大企業でも大手と呼ばれない企業がある点に注意が必要です。
大企業は企業規模で定義できるのに対して、大手企業は規模だけではなく業界内の知名度・シェア率も判断する際に用いられるためです。
大企業と中小企業の定義についてはこちらの記事で解説しているので、わからない人はぜひ参考にしてください。
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大手企業と大手子会社の違い
「大手企業と大手子会社の違いがあまりわかっていない」という人も多いのではないでしょうか。違いをわかりやすくするために、親会社の富士通と子会社の富士通ゼネラルのデータを表にまとめているので、確認してみてください。
こちらは富士通の2022年度有価証券報告書と2025年新卒募集要項、富士通ゼネラルの2022年度有価証券報告書と2025年度募集要項・選考についてを参考にしています。
指標 | 富士通 | 富士通ゼネラル |
---|---|---|
売上高 | 1,804,001百万円 | 254,417百万円 |
経常利益 | 143,566百万円 | 13,935百万円 |
当期純利益 | 179,277百万円 | 9,952百万円 |
資本金 | 324,625百万円 | 18,172百万円 |
2025年度の学部卒初任給 | 264,000円 | 233,500円 |
年間休日 | 127日 | 128日 |
勤務時間 | 8:45~17:30(休憩1時間) | 8:40~17:30 (休憩1時間) |
保険 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険など |
従業員数 | 35,092人 | 1,729人 |
平均年齢 | 43.7歳 | 42.6歳 |
平均勤続年数 | 19.1年 | 17.6年 |
平均年間給与 | 8,789,575円 | 6,970,000円 |
売上高や利益、資本金の桁が異なっていることから、親会社と子会社で事業規模に大きな違いがあることがわかるでしょう。
また、初任給や年間平均給与は大手企業の方が高いことがわかります。事業規模が大きくて利益が出ている分、大企業の方が従業員に報酬という形で還元できているといえます。
勤務時間や年間休日、福利厚生にはほとんど違いがありません。
大手企業と大手子会社では事業規模が大きく異なる一方、給料を除いた待遇面では大きな違いがないことが多くあります。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る大手企業と大手子会社では就活の難易度や裁量の大きさが異なる場合もある
大手企業の多くは、成長の過程でさまざまな企業を吸収合併したり、小資本でも技術力のある会社を買収したりして拡大してきました。そのため、子会社の特徴は千差万別であり、ノウハウや技術力のある小さな会社もあれば、業界シェアも資本力もそこそこ大きな会社が戦略的に経営統合されている場合もあります。
大手企業は早くから裁量権を持って働きたい人には不向きな場合も
一般的に、大手企業本体は知名度があり就活における人気も高いので、入社の難易度も高く、入社後の競争も厳しくなります。また、組織も大きくなるので分業が進んでいて、分野ごとの局所的な視点で仕事をせざるを得なくなります。
会社の事業全体を大きく見て働くような働き方はなかなかできないでしょう。将来起業を志す人や、早くから裁量権を持って働きたい人には意外と大手本体は不向きであるといえます。
一方、子会社の場合は入社の難易度や競争も大手本体ほど厳しくはなく、独自性のあるユニークな企業もあります。規模もさまざまなので、会社経営全体を見ながら働くことができる場合もあるのです。
また、労働条件は大手本社にはおよびませんが、研修や人事制度、福利厚生などは大手の基準に準ずることが多く、手厚いサポートを受けることができます。
これから成長する業界や伸びる業界に就職したいひとは以下の記事を参考にしてみてください。将来性の高い仕事に就くポイントをまとめています。
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ビジネス形態によって2種類に分類可能
大手子会社は、ビジネス形態によって以下の2種類に分類可能です。
大手子会社のビジネス形態
- 親会社と同じビジネスを担う子会社
- 親会社と異なるビジネスを担う子会社
親会社と同じビジネスを担う子会社の例として、トヨタ自動車におけるトヨタ車体が挙げられます。トヨタ車体はトヨタ自動車が国内で販売する車の開発・生産を担う企業で、トヨタ自動車と同様のビジネスを担っています。
一方で、親会社と異なるビジネスを担う子会社の例として、ソニーにおけるソニー・ミュージックエンターテインメントが挙げられるでしょう。親会社のソニーは電気機器メーカーですが、ソニー・ミュージックエンターテインメントはエンターテインメント分野において多角的に事業を展開しています。
親会社と同じビジネスを担う子会社の場合は、下請けの形が多いため企画・開発に携わるのが難しくなります。一方で、親会社と異なるビジネスを担う子会社の場合は、異なる事業を展開しているため、親会社の企画・開発にも携われる可能性があります。ビジネス形態によって、携われる仕事の範囲が異なるため事前にしっかり確認してくださいね。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
就活のプロに質問! 大手子会社に就職するのって実際どうなの?
「大手子会社では大手企業と同程度の待遇を期待できるはず」「コンプライアンスを重視する大手企業の子会社には、ホワイト企業が多いだろう」と考えている人もいるのではないでしょうか。
就活のプロとして多くの学生をサポートしてきたキャリアコンサルタントに、大手子会社で働くことについて、実態を聞いてみたのでぜひ確認してください。
アドバイザーコメント
有馬 恵里子
プロフィールを見る自分にとって大手子会社に就職するのが良いかは総合的かつ客観的に判断する必要がある
何事にもメリット・デメリットの両面があるので、一概に大手子会社だから良い悪いとは言えません。いろいろな要素を整理して、自分に合うかどうか客観的に判断してください。
大手子会社は安定している一方で自由度が制限されてしまう面もある
大手子会社は安定した基盤があることが一番の特徴です。親会社のブランド力・生産力・ネットワークなど活用できる資源が豊富にあり、親会社の持つ一通りの福利厚生は整備されていると思って良いでしょう。安定した環境で落ち着いて長期的に働いていきたい人にはおすすめといえます。
一方で、自由度が制限されてしまう面もあります。親会社の方針にしたがったり、事業内容や領域も限られていたりと、決められたなかで事業遂行する必要があります。
また、評価制度も親会社に準じていて、たとえ実績を出しても一定年数経たないと昇進昇格できない場合もあります。若いうちから裁量を持って自由度高く働きたいというチャレンジ精神旺盛な人には合わないかもしれません。
いずれにしろ、自分がどういう志向を持っているかを明確にしたうえでどのような環境で働いていきたいかイメージしてみましょう。
業界ごとに紹介! 大手子会社一覧
業界ごとに紹介! 大手子会社一覧
大手子会社の概要や働く実態を理解し、大手子会社への興味が深まった人もいるかもしれませんね。しかし「大手子会社にはどのような企業があるのか知りたい」「入社希望の大企業に子会社があるのかわからない」と疑問に思っている人もいるでしょう。
ここでは、全部で5つの業界に分けて、大手企業の子会社を一覧で紹介します。どのような大手子会社があるのか確認しながら読み進めてくださいね。
自動車メーカーの大手子会社
自動車メーカーは、自動車の設計や製造、販売をおこなっている企業です。日本車は日本だけではなく世界中で需要があるため、自動車メーカーの多くは国際的に展開しています。
そのなかでも大手企業は膨大な資金を研究開発に投入し、電気自動車(EV)や自動運転の開発・設計に注力しているのです。たとえば本田技研工業は、2030年度までにEV事業に10兆円を投じると発表しています。
そして、設計から販売までの一部の工程を担っているのが大手子会社です。具体的にどのような企業があるのか、以下で見ていきましょう。
自動車業界の志望動機を作成する方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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自動車業界に特化した志望動機が作れる5ステップ|職種別例文8選
自動車業界の志望動機は、自動車業界でしか成し遂げられないことを明確に伝えることが重要です。この記事ではキャリアコンサルタントと一緒に、自動車業界で評価される志望動機の作り方を解説します。職種別の例文8選も参考にしてくださいね。
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自動車メーカーは業界全体の事業規模が大きく、世界的な市場を担っているため、最も系列化が進んでいる業界です。特定車種の特定部品だけを作っている会社もあるほどで、機械化、自動化が進んでいて、定型業務の割合が多いのも特徴です。
トヨタグループ
トヨタ自動車は、高い技術力と革新的な製品で知られている世界トップクラスの自動車メーカーです。自動車の開発や製造、販売に関連する以下のような企業を子会社として持っていて、それぞれが専門分野でトヨタ自動車を支えています。
トヨタグループの子会社
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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電気機器メーカーの大手子会社
電気機器メーカーは、電気製品の設計や製造、販売をしている企業です。電気機器メーカーは他社との競争が激しいため、売り上げを伸ばすために新技術の導入に努めて、高性能かつエネルギー効率の良い製品を開発しています。
そのなかでも大手企業は研究開発にコストを費やし、最先端技術を開発したり、新製品を設計したりしているのです。また、長年の実績と信頼によって消費者から高い評価を得ていて、品質面では優位性があります。
そして電気機器メーカーの子会社には、特定の製品や部品に特化した企業が存在し、開発や製造を中心におこなっています。一方で、電気機器とは別のビジネスで子会社を有する大手電気機器メーカーもあるので、グループごとに確認していきましょう。
電気機器メーカーの大手子会社は、親会社の品質とブランド力が子会社の製品・サービスに影響していることが多くあります。
親会社が安定した部品調達ルートを確保していて、品質の水準を保っている場合もあるのです。信頼性の高い製品やサービスに携われるのは、やりがいに感じる人も多いかもしれませんね。
ソニーグループ
ソニーは2024年5月時点で、国内の時価総額ランキングで5位にランクインする電気機器メーカーです。電気機器メーカーでは最上位に位置していて、カメラやテレビ、ヘッドホンなどのさまざまな製品を販売しています。
ソニーは持ち運び可能な音楽プレーヤー「ウォークマン」をはじめとした革新的な商品を数多く開発していて、知名度が高い企業です。
また、電気機器だけではなく、金融やエンターテインメントの分野もグループとして手がけています。ソニーの子会社の一例は以下のとおりです。
ソニーグループの子会社
- ソニー・ミュージックエンターテインメント:音楽制作や販売、アーティストのマネジメントなどをおこなっている
- ソニー・セミコンダクタソリューションズ:半導体関連の製品開発や設計、生産などを手がけている
- ソニー生命保険:顧客一人ひとりに最適な保険商品を提供することを目指し、生命保険や医療保険、年金保険、学資保険など、幅広い保険商品を取りそろえている
- ソニー銀行:24時間365日利用可能(メンテナンス時間を除く)な個人向けのインターネット銀行サービスを提供している
- 親会社と異なるビジネスを担う会社では、大手子会社である恩恵を受けられなさそうですが、関係ないですか?
現場では恩恵を感じられなくても福利厚生や企業の安定性の面でメリットがある場合も多い
子会社が親会社とまったく違う仕事をする場合、現場では恩恵を感じにくいかもしれませんが、出資という形で安定した経営を支援してもらえるメリットは大きいものです。
異業種の親会社があることによって、同業他社にはできないことをしたり、リスクを負ってチャレンジできることもあります。
また、歴史的に業界全体がいまだに福利厚生が進んでいない業種、教育機会が乏しい業種などもあるので、そういうケースでは、大手子会社だけが充実した制度を持っていて、他社と差別化できている例などもあります。
日立グループ
日立製作所は家電製品や鉄道車両など、人々の暮らしを支える製品の開発や製造をおこなう電気機器メーカーです。技術に定評のある日立グループを支えているのは、以下のような子会社です。
日立グループの子会社
- 日立ソリューションズ:アプリケーション開発やパッケージ導入、インフラ構築などのデジタル事業を担っている
- 日立ハイテク:電子線技術を用いて電気機器の計測・検査に使用する装置を提供している
- 日立システムズ:ハードウェアの販売や保守、セキュリティサービスなどを提供している
- 日立コンサルティング:システム構築をおこなうグループ会社と提携して、金融や商社、メーカーなどのさまざまな企業を支援している
富士通グループ
富士通は、コンピュータ機器や通信システム、情報処理システムなどを手がける企業です。当初は通信機に特化した企業として1935年に独立しました。
現在は大量のデータを高速に処理するデータセンター、それを構成するサーバー、スマートフォンの通信を支えるモバイルネットワークなどを提供しています。そんな富士通を支える子会社の一例は以下の通りです。
富士通の子会社
通信の大手子会社
通信は、音声通話やデータ通信、インターネット接続などの現代では欠かせなくなった通信サービスを提供する企業が集まる業界です。技術革新のスピードがすさまじく、5Gの普及によってより高容量で低遅延な通信が可能になりました。
そのなかでも大手企業は最新の通信技術の開発と導入に積極的で、5GやIoT(Internet of Things)、クラウドサービスなどの分野で先駆的な取り組みをおこなっているのです。
IoTとは(Internet of Things)
家電製品や車両などのさまざまなモノがインターネットと接続され、データを交換できるようになる仕組み。外出先からスマホで電気を消したり、買い物中に冷蔵庫の中身を確認できたりする。
通信の大手子会社には、光回線やシステム開発など特定の領域に特化した企業があります。通信の大手子会社を紹介しているので、どのような企業があるのかチェックしてみてくださいね。
通信業界の志望動機を書くコツはこちらの記事で解説しています。
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通信業界の子会社は一般的に、親会社のブランドや技術力を活かしつつさまざまな事業展開をしています。
通信技術の急激な進化に対応するにはある程度の資金力が必要です。しかし、これらの会社は親会社のバックアップもあるため、同業他社よりも有利な展開を期待することができます。
NTTグループ
NTTは日本を代表する大手通信企業で、固定電話、モバイル通信、インターネット、クラウドサービス、データセンターなど、幅広い通信サービスを提供しています。
以下で紹介する子会社も通信関連のビジネスをしていて、グループ全体で通信網を支えています。
NTTグループの子会社
- NTTドコモ:日本トップクラスのモバイル通信事業者で、5Gネットワークやスマホ向けの先進的なサービスを提供している
- NTTコミュニケーションズ:法人向けの高度なICTサービスをグローバルに展開している
- NTT東日本:東日本において光回線である「フレッツ光」を提供している
- NTT西日本:西日本において光回線である「フレッツ光」を提供している
総合商社の大手子会社
総合商社は、エネルギー・金属・化学品・食料・機械・金融・不動産など、さまざまな分野でビジネスを展開する企業です。多種多様な商品やサービスの取引をおこなう企業であり、国内外での貿易や投資、プロジェクト開発などを手がけています。
そのなかでも大手企業はグローバルに展開しているので、世界で活躍できる優秀な人材の獲得・育成に注力しています。
総合商社の子会社は、親会社と同様にエネルギーや繊維、化学品などの特定の分野に特化した企業が多いです。ここでは総合商社の大手子会社を紹介していきましょう。
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総合商社とは、幅広い商材・サービスを国内外から仕入れて流通させる業界です。本記事では、総合商社の仕事内容や選考に向けてできることをキャリアコンサルタントとともに解説します。7大商社ごとの特徴も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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大手総合商社の子会社は幅広い業界にあり、業界内でもトップクラスのノウハウを持っています。市場がグローバルなので世界基準の品質が必要で、難易度の高い業務が多いですが、得られる経験ややりがいも大きいです。
伊藤忠グループ
伊藤忠商事は、日本の総合商社で第2位の売り上げを誇る五大商社の一角です。かつて繊維に特化した商社として世界的に有名だった名残から、現在も繊維や食料品といった非資源分野を得意にしています。
そのため、以下で紹介する伊藤忠グループの子会社には、非資源分野を手がける企業が多く含まれています。
伊藤忠グループの子会社
- 伊藤忠テクノソリューションズ:ITインフラ、システムインテグレーション、クラウドサービス、セキュリティソリューションなど、幅広いITサービスを提供している
- 伊藤忠都市開発:住宅、商業施設、オフィスビルの開発プロジェクトを手がけていて、管理までおこなっている
- 伊藤忠食品:食品の卸売事業を展開し、国内外の食料品の輸出入および販売をおこなっている
- プリマハム:ハム、ソーセージ、加工肉製品の製造・販売をしている
- 伊藤忠エネクス:石油製品やLPガスの卸売など、エネルギー事業をメインにしている
三井物産グループ
三井物産は、伊藤忠商事と同様に五大商社として数えられる総合商社です。三井物産は、金属資源や鉄鋼製品、エネルギーなどの資源分野を得意としています。
しかし、資源分野は価格変動リスクが大きい一面もあるため、食品や消費財などの非資源分野にも力を入れています。そんな三井物産グループの子会社の一例は以下の通りです。
三井物産グループの子会社
- 三井物産ケミカル:化学製品および原料の開発、製造、販売をおこない、プラスチックや合成樹脂、化学肥料などの多様な化学製品を取り扱っている
- 三井情報:ITソリューションおよびシステムインテグレーションサービスを提供し、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援している
- 三井物産プラスチック:プラスチック素材・製品の開発や製造、販売を担い、自動車や電子機器などの多様な産業に供給している
- JA三井リース:農業機械や産業機械などのリースおよび金融サービスを提供している
人材サービスの大手子会社
人材サービスは、企業と求職者を結びつける役割を担い、雇用市場の円滑な運営をサポートする業界です。人材の採用、派遣、教育・研修、キャリアコンサルティングなど、多岐にわたるサービスを提供しています。
そのなかでも大手企業は国内外に広がるネットワークを持っているため、多様な業界や職種に対応したサービスを提供可能です。また、AI(人工知能)やビッグデータを駆使したマッチングシステムにより、精度の高いマッチングの実現を目指しています。
そして人材サービスの大手子会社は、業界や年齢、属性によって顧客を絞った就活・転職支援サービスを提供しています。人材サービスと違うビジネスを展開している子会社もあるので、合わせてみていきましょう。
人材業界に向いている人の特徴はこちらの記事で解説しているので、就職を検討している人はぜひチェックしてください。
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人材業界に向いてる人の特徴は8つあります。この記事ではキャリアコンサルタントと一緒に、その8つの特徴を仕事内容別に解説しているので、仕事選びに活かしてください。また、人材業界を避けた方が良い4つのパターンも取り上げています。
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人材サービスは情報がすべてなので、親会社のブランド力での集客、膨大なデータベースは大きな強みです。
また、子会社間での連携も多いため人材という多様な課題にさまざまな角度でサービス提供できることは他社との差別化にもなります。
リクルートグループ
リクルートは人材紹介、求人情報提供、広告、マーケティングソリューション、ITソリューションなど、幅広いサービスを展開する企業です。リクナビやindeedなどの求人情報サイトを運営していて、求職者と企業のマッチングをサポートしています。
リクルートはグループ全体で多種多様なビジネスを手がけていて、以下のようにさまざまな子会社が存在しています。
リクルートグループの子会社
- リクルートマネジメントソリューションズ:組織開発や人材育成に関するコンサルティングサービスを提供し、企業の人事戦略を支援している
- リクルートキャリアコンサルティング:転職支援およびキャリアカウンセリングサービスを提供し、個人のキャリアアップをサポートしていている
- リクルートペイメント:キャッシュレス化を支援するために、オンライン決済および電子マネーサービスを提供している
- リクルートメディカルキャリア:医師や薬剤師を対象とした採用や転職支援サービスを提供している
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見るさまざまな業界で、多様な大手子会社が存在する
たとえば金融業界にはさまざまな子会社が存在しています。クレジットカード会社やリース会社、資産運用系の会社などを子会社にしているのです。
また、保険であれば資産運用や都市開発系、保険金支払いのための損害調査会社などさまざまな子会社を持っています。また、それぞれの企業内で活用するためのITシステム会社や人材サービスの子会社なども存在します。
さらに医薬品業界でも、医薬品の開発で得られた技術などを転用し、食品や飲料系のメーカーを子会社に持っているところは比較的知られているでしょう。ほかにも化粧品や医療機器などの子会社も見られます。
薬品の製造のみを担当する子会社や開発のための臨床実験を専門とする子会社、希少疾患への薬品のみを製造販売している子会社などもあります。
大手子会社に興味がある人は特定の業界に絞らず幅広く調べてみよう
他にも不動産業界が個人客や特定のターゲット層に絞ったサービスを子会社に切り分けているケースなども見受けられます。ありとあらゆる業界でさまざまな子会社が存在しているので、大手企業子会社のメリットを感じている人はよく調べてみましょう。
自分に合った方法を選択しよう! 大手の子会社を探す4つの方法
誰もが知っている大手企業とは異なり、大手子会社は見つけにくい傾向があります。そのため、正しい探し方を把握していないと、エントリーすらできない恐れがあるのです。
そうならないためにも、ここからは大手の子会社を探す方法を紹介します。企業探しに就活サイトをメインで使用しているものの、どんな会社があるのかわからなくて大手子会社を見つけられていない人はぜひ参考にしてください。
①「大手企業 子会社」で検索する
GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索窓に、「大手企業 子会社」と入力してみましょう。企業は子会社の情報をまとめた一覧ページを作成しているので、一度に複数の子会社をチェックできます。
たとえば「トヨタ自動車 子会社」と入力すると、トヨタグループ会社概要ページが出てくるので、トヨタ自動車の子会社やグループ会社を確認可能です。
また「大手企業 業界」で検索すると、特定の業界で子会社を絞り込めます。たとえば「トヨタ自動車 ハウスメーカー」と入力した場合、トヨタホームが検索結果に出てきます。
親会社から子会社を絞り込める方法なので、魅力を感じている大企業がある場合はぜひ試してみてください。
- 「大手企業 子会社」で検索するとグループ会社も出てきますが、子会社で大きな違いはあるのでしょうか?
グループ会社は大手子会社と比べると自由度が高いケースが多い
子会社は親会社の経営方針に基づき、事業内容も親会社に紐づく限定的なものであることが多いですが、グループ会社は独立して経営をおこなっているところが多いため、子会社に比べると比較的自由度は高いといえます。
また、子会社の事業は親会社から派生したものであることが多い一方で、グループ会社は親会社と異なる領域での事業展開を期待されていることが多いとも言えるかもしれません。
グループとしての相乗効果も得つつ、独立したブランド展開をしているのがグループ会社です。
②親会社のホームページ(HP)を確認する
親会社の概要が記載されたHPには、子会社の情報も詳しく書かれています。そのため、気になる親会社がある場合は、企業のHPから子会社の情報を確認可能です。
たとえばSoftBankのHPにはグループ企業一覧ページが用意されていて、国内で展開する子会社をチェックできるようになっています。
また掲載している子会社のHPリンクも設置されていて、子会社の会社概要やサービスも知ることが可能です。本選考やインターンシップの情報が掲載されているケースもあるので、気になった企業は詳しく見ておきましょう。
③就職四季報や業界地図を見る
就活を始めた多くの学生がチェックする就職四季報や業界地図でも、子会社を探せます。
就職四季報とは
企業の基本情報が記載されているデータブック。年収や離職率、有給取得率などのデータを確認できる。
就職四季報は掲載数や扱うデータによってさまざまなバージョンが発行されていますが、子会社を調べる場合は就職四季報優良・中堅企業版がおすすめです。約4,600社が掲載されていて、複数のデータから優良企業を探せます。
業界地図とは
親会社と子会社の関係図がわかりやすく記載されている本。従業員数や売上額などを確認できる。
業界地図には同じビジネスをおこなう親会社と子会社がつながって描かれ、企業間の関係性を確認しやすくなっています。どちらも細かいデータが記載されているため、詳しく見ると優良企業かどうかを判断するのに役立つのです。
就職四季報の活用法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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新卒就活生向けに、就職四季報の活用方法を、キャリアコンサルタントとともに徹底解説します。就職四季報の活用次第で、就活を有利に進められます。おすすめの読み方や就活生が見るべきポイントも紹介しているのでぜひ参考にしてください。
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④OB・OGの就職先を確認する
大学のキャリアセンターでOB・OG名簿が閲覧できることもあるため、一度確認してみる方法もおすすめです。OB・OGが就職した企業を確認することで、子会社を見つけられることがあるためです。
たとえばトヨタ車体に就職した先輩がいれば、トヨタ自動車の子会社であるトヨタ車体を把握できます。また、同じ大学の先輩が選考を突破していることから、学歴フィルターで落とされないことも同時に確認可能です。
ただし、名前が親会社と異なっていて子会社だと判別できない企業がある点に注意してください。たとえば富士通の子会社であるモバイルテクノに就職している先輩がいたとしても、富士通の子会社だとは気付かないでしょう。
企業名が似ていないと子会社を発見できないので、これまでに紹介した方法と併用しながら探してくださいね。
OB・OG訪問の手順についてはこちらの記事で解説しています。
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OB・OG訪問は社員のリアルな声を聞ける貴重な機会です。万全の準備をして最大限に活用しましょう。この記事ではOB・OG訪問の準備方法やマナーなどについてキャリアコンサルタントが解説します。OB・OG訪問を実施し、就活を成功させましょう。
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特定の大手企業の子会社を探す、という方法は確かに有効ですが、就職四季報や業界地図なども活用しつつ、同業界の別の大手企業の同業子会社との比較もしておくと良いでしょう。
親会社の規模感がA>Bだったとしても、子会社ではB子会社>A子会社、と逆転していることがあります。
大手子会社の魅力とは? 5つのメリットを解説
「大手子会社で働くメリットはあるのだろうか」「大手子会社を就職先として選択しても大丈夫なのか」と、大手企業の子会社で働くことに対して不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
大手子会社のメリットを知っておくことで、就職先の候補として加えて良いかを判断する際の基準になるので、ここからは大手子会社で働くメリットを5つ紹介します。大手子会社を就職先として選択するか迷っている人はぜひ読んでみてください。
①経営基盤が安定している
大手子会社は経営基盤が安定していて、独立した大手企業や中小企業よりも倒産するリスクが小さい傾向にあります。なぜなら、バックにいる親会社が資金を調達したり、商品・サービスを購入したりするためです。
また、親会社が業務を振り分けることも多く、仕事がなくなることはほとんどありません。高確率で一定の収益を上げられる体制が整備されているため、経営基盤は安定しているといえます。
ただし、親会社の業績が不安定な場合は、大手の子会社でも安定性に欠ける可能性もあります。安定性を確かめるためには、売り上げや利益が年々減少していないか、年度によってバラつきがないかを親会社の有価証券報告書で調べてみてくださいね。
大手はほぼ上場企業なので、決算書が公開されています。決算書のなかで子会社の状況も言及されていて、経営状態もある程度把握することができます。
経営基盤が安定しているか見極めるためには、ROA、ROE、ROIなどの経営効率指標などを調べて計算してみてください。
ROA(総資産利益率)
ROA(%)=利益÷総資産(総資本)×100
企業の総資産に対する収益性がわかる指標。
ROE(株主資本当期純利益率)
ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
自己資本に対する収益性がわかる指標。
ROI(投下資本利益率)
ROI(%)=特定の事業活動利益÷投下された資本×100
特定の事業でどれだけ収益性があったかがわかる指標。
②親会社よりも倍率が低くて就職しやすい
親会社である大手企業は学生から人気を集めていて、エントリー人数が非常に多いです。一方で、大手子会社は大手企業に比べると知名度が低いため、エントリー人数が少なく低倍率で就職しやすい傾向があります。
また、大手企業の選考では優秀な学生と比較されるため、内定を獲得するのが難しいのです。そもそも多数の応募者から絞り込むために一定以上の学歴がなければ、書類選考を突破できない企業もあります。
一方で大手子会社は、学歴フィルターが設けられていない場合も多く、人柄や将来性を重視している傾向があります。学歴がなくて大手企業への就職に自信を持てない人は、大手子会社へのエントリーを検討してみましょう。
たいていの業界の大手企業は、採用倍率が数十倍になることが少なくありません。一方で、大手子会社は数倍〜十数倍程度に落ち着くことが多いため、親会社よりは内定の可能性はアップします。
しかし、同規模の同業他社と比較したときには大手子会社のほうが人気が集まるので、必ずしも入りやすいとは言い切れません。
③一般的な中小企業よりも待遇や福利厚生が整っている傾向にある
社員の働きやすい環境を用意するために、大企業は福利厚生の整備に注力しています。そして子会社にも同等の福利厚生を完備している大企業が多くあります。
そのため、大手子会社では一般的な中小企業よりも待遇や福利厚生が整っている傾向にあるのです。たとえばトヨタ自動車の子会社であるトヨタ車体では、以下の福利厚生が整備されています。
トヨタ車体の福利厚生
- 独身寮
- 工場食堂
- 永年勤続旅行
- 有給休暇カットゼロ活動
- フレックスタイム制
- テレワーク
トヨタ車体は仕事とプライベートの両立を掲げて、衣・食・住・余暇のさまざまな角度から社員をサポートしています。
また親会社のノウハウを活かして研修制度が充実している企業も多いため、働きながら業界最安トップクラスの知識や技術を学べる可能性がある点も魅力の一つです。
ただし、大手子会社だからといって必ずしも福利厚生が整備されているわけではありません。期待していたほどの福利厚生がなかったということがないように、事前に企業のHPを見てチェックしてくださいね。
④社会的信用がある
倒産リスクが小さくて相対的に収入が高い大手子会社に就職すると、社会的信用を獲得できる点も大きなメリットといえます。独立した中小企業や個人事業主と比較すると社会的信用があるため、住宅ローンやカーローンの審査に通過しやすい傾向があるためです。
金融機関は審査をする際、年収や勤務先の安定性などを確認しています。そのため、大手企業がバックにいて収入が高い傾向にある大手子会社に勤務していれば、審査で有利に働く傾向にあるのです。
ただし、クレジットカードやローンの利用実績も確認しているので、延滞情報や収入に見合わない借入が記録されている場合は、審査落ちする可能性があることに注意しましょう。
⑤親会社から出向してきた優秀な上司の元で働ける
大手子会社の役員や部長などの要職は、親会社から出向してきた人が務めるケースが多くあります。将来を期待されている人材が配置されるケースもあるため、優秀な上司の元で働けるのです。
優秀な人材をまとめてきたマネジメントスキル、大企業で実践している効率の良い働き方、結果を残すために必要な考え方などを吸収できるでしょう。
しかし、出向してくる人が必ずしも優れているとは限りません。それでも、独立した中小企業と比較すると、優秀な上司と働けるチャンスは大いにあります。
アドバイザーコメント
有馬 恵里子
プロフィールを見る大手子会社には就業の安定性とキャリアアップの可能性が期待できる
大手子会社で働くメリットは、ほかに大手企業が背景にあることで比較的安定して就業できる点と将来的なキャリアアップの可能性がある点が挙げられると思います。
たとえば就職した企業が業績不振になったりサービス縮小になった場合、独立した中小企業であれば倒産という会社都合によっての退職もあり得るのです。
一方で大手子会社の場合には、子会社救済のために親会社から資金援助があったり、最終的には関連子会社と合併したり親会社が吸収したりと、転籍という形で就業先は変わるもののそのまま雇用が継続される可能性が高いです。そういう意味では雇用の安定は比較的期待できるといえます。
大手子会社で実績を上げれば大手企業で働ける可能性もある
親会社から上司が出向してくるパターンの逆で、業務によっては親会社の社員と協業する機会があったり、将来的に親会社へ出向したりする可能性もあります。
さらに、会社間も含めた公募制の異動希望やプロジェクトへの参加希望が出せる企業もあるのです。新卒の就職活動では大手企業に就職できずとも、大手子会社で実績を上げていくことで、将来的に大手企業でキャリアを積めるかもしれません。
やめとけといわれる理由! 大手子会社で働くデメリット3選
大手子会社のデメリット
- 重要な役職に就くのが難しい
- 親会社の意向が強く意思決定の自由度が低い
- 会社が売却されるリスクがある
倍率が低いにもかかわらず大企業と同等の待遇を得られる可能性がある大手子会社ですが、もちろんメリットばかりではありません。もし魅力だけを見て入社すると、ギャップが大きくて働き続けるのが難しくなる可能性があります。
そうならないためにも、ここからは大手子会社で働くデメリットを説明します。「大手子会社で働くのはやめとけといわれて不安」という人は、ぜひ参考にしてください。
①重要な役職に就くのが難しい
大手子会社の役員や部長などの重要な役職は、親会社から出向してきた人が務める傾向にあります。出向社員によって責任ある役職が埋まっていて、大手子会社の社員は重要なポストに就くのが難しいといえます。
また、結果を残しても出世できる範囲が限定されている可能性が高く、仕事に対するモチベーションを保ちにくいです。
ただし、大手子会社に就職したからといって、出世のチャンスがまったくないわけではありません。たとえば、トヨタ車体では生え抜き人材が2023年から社長に就任しています。
逆質問や企業説明会で何を聞くべきか悩んでいる人に向けて、以下の記事でおすすめの質問を紹介しています。
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- 出世したい気持ちもあるのですが、大手子会社はやめておくべきでしょうか?
経営層まで出世したいのであれば難しい場合もある
「出世したい」レベルがどの程度なのかにもよります。大手子会社の多くでは、部長職以上は親会社出身者が占めています。
役員ともなると子会社生え抜きの社員は皆無といったところも少なくありません。自分のキャリアプランのゴールが単なる管理職ではなく「経営層」なのであれば、大手子会社では希望をかなえることはかなり難しいかもしれません。
ただし、近年ではこうした傾向から脱却している大手子会社も出てきています。ネットなどで見かける企業情報では状況を把握するのは難しいので、面接などで出世の可能性を質問してみると良いでしょう。
「出世したい」と思っている人はこちらの記事も参考にしてみてください。プロが出世する人の特徴を詳しくまとめています。
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②親会社の意向が強く意思決定の自由度が低い
大手子会社は50%以上の株式を保有する親会社の意向が強く反映されるため、意思決定の自由度が低いです。そして親会社から割り振られた仕事を指示通りにおこなうことが求められていて、自身のアイデアを実現するチャンスは限られる場合もあります。
そして自由度が低いことに加えて、意思決定のスピードが遅くなるのもデメリットといえます。親会社の意向に従うため、迅速な判断や行動が難しい場合があることを把握しておきましょう。
また、親会社が避けたい細かい仕事や非効率な事務作業ばかりを任されるケースもあります。ただし、親会社がいなければ事業の存続が難しくなる可能性もあるため、簡単には断れないのです。
裁量の大きな環境で働きたい人は、独立した中小企業への就職であれば実現可能性が高いので検討してください。「1年目から意思決定の自由度が高い環境で働きたい」という人には、新卒社員にも意思決定権のあるベンチャー企業やスタートアップ企業などもおすすめです。
③会社が売却されるリスクがある
安定性の高さが魅力の大手子会社ですが、会社売却のリスクがあります。赤字が続いたり、親会社が事業方針を変更したりすると子会社を売却する場合があるのです。
たとえば、電気機器メーカーのNECは2020年、子会社化していたNECディスプレイソリューションズをシャープに売却しています。
親会社が大手子会社を売却すると、別企業の子会社もしくは独立した中小企業になります。売却によって働き方が大きく変わったり、人員削減のためにリストラされたりするかもしれません。
また、大手企業の子会社であるメリットがなくなる可能性がある点にも注意しましょう。
大手子会社は親会社の一部事業を切り取っていることが多いので、事業拡大しづらい点はデメリットです。
また、親会社の組織文化が必ずしも子会社に合うとは限らず、規模が小さいのに小回りが利かないなどなどのギャップを生むこともありえます。
積極的に応募しよう! 大手子会社に向いている人の特徴
大手子会社に向いている人の特徴
「大手子会社で働きたいが、自分に合っているかわからない」「自分の性格や特徴が活かせるか知りたい」など、大手子会社で働くことに悩みを抱えている人もいるでしょう。
大手子会社に向いている人の特徴を把握することで、エントリー先選びのヒントになります。また、向いている人の特徴とマッチしていれば、入社後も楽しく働ける可能性が高いです。
ここでは、大手子会社に向いている人の特徴を紹介します。自分の性格や特徴と合っているか確認しながら、読み進めてくださいね。
①安定性を重視している
大手子会社は親会社から案件をもらえたり、資本を提供してもらえたりします。そのため、経営基盤が安定していて倒産リスクが非常に小さく、安定性を重視している人に向いています。
また、親会社のネームバリューを使って商品やサービスを販売できるのも、大手子会社ならではの強みです。得意先が多い分、一気に売り上げが落ちる可能性は低く、リーマンショックのような経済危機が発生した場合を除けば安定的に給与をもらえるでしょう。
大きな変化なくなるべく同じ会社で働きたいという人に、大手子会社は向いています。
大手子会社だから安定、とは一概に言えません。上述のように自社や大手本体の業績が悪い場合は売却や撤退もありえます。しかし、成果を出しやすい優位性があるのも事実なので、環境に甘えず頑張ることが大切です。
②ワークライフバランスを実現したい
大手企業は社員のパフォーマンス向上のために、テレワークや休暇制度の充実など、ワークライフバランスの実現が可能な制度を整備しています。
ワークライフバランスとは
仕事と私生活の両方を充実させること
親会社と似た制度を用意している大手子会社もあるため、ワークライフバランスを実現しやすくなっているのです。
たとえばソニーの子会社であるソニー銀行では、「2022年度の在宅勤務の割合46%」「女性の育児休業取得率100%」「女性の産育休取得者復職率100%」など、ワークライフバランスを実現しやすい環境が整備されています。
仕事と私生活のバランスを取りたいという人は、大手子会社の福利厚生をチェックしてみてください。
- 大手子会社に就職すれば大手同様のワークライフバランスが手に入るのでしょうか?
親会社と同様のワークライフバランスを期待できることが多いがよく調べる必要がある
大抵の大手子会社は、親会社同様の就業環境、福利厚生システムを活用しています。また、人材育成なども似た制度を用意していることが多いです。したがって親会社と同様のワークライフバランスを期待しやすいといえます。
しかし親会社は統括的な業務に集約されていて、子会社は製造など現場系の業務をしているなど、労働環境が大幅に違えばその限りではありません。
また、親会社と子会社の地域が違ってもその差は出てきます。「あの大手企業の子会社だから安心」と決めてかからずに、子会社の状況もしっかり調べてから志望しましょう。
③待遇や福利厚生を重視する
大手子会社には、親会社に準じた待遇や福利厚生で働ける企業があります。同じ規模の中小企業と比較すると優れた環境が用意されているケースが多いため、大手子会社は待遇や福利厚生を重視する人に向いています。
大手子会社で受けられる福利厚生の例
- 充実した社内施設(食堂・診療所・託児所・ジムなど)
- 金銭面の補助(家族手当・家賃補助・資格取得手当)
- 充実した休暇制度(勤続休暇・バースデー休暇・アニバーサリー休暇)
- 融資制度(住宅ローン・カーローン)
待遇や福利厚生は説明会や面接で聞きにくいので、会社のHPやOB・OG訪問で確認するのがおすすめです。
④重要な役職への出世にこだわっていない
大手子会社の役員や部長といった重要な役職には、親会社から出向してきた人が就きます。そのため、大手子会社に直接入社した生え抜き人材が、要職に出世できる可能性は低いです。
マイナスにとらえる人もいるかもしれませんが、出世することよりも充実した研修制度のなかでスキルを磨きたい人や、ワークライフバランスを重視したい人には適した環境だといえます。
ただし、面接やエントリーシート(ES)で出世にこだわっていないことを伝えるのは避けましょう。仕事に対するモチベーションが低いと判断され、選考突破が難しくなる恐れがあるためです。
ミスマッチを防ごう! 大手子会社に向いていない人の特徴
仕事を長く続けられない原因の一つとして、業務内容や社風とのミスマッチが挙げられます。相性が悪い仕事で働き続けるのは難しいため、入社前の確認が必要です。
そこで、ここでは大手子会社に向いていない人の特徴を解説します。当てはまるものがないかチェックしながら、自分が大手子会社の社員として納得感のある働き方ができそうかどうか確認してみましょう。
①自身のアイデアを実現したい
大手子会社では、親会社である大企業の意向にしたがって仕事をすることが多くなります。そのため、仕事を通じて自身のアイデアを実現したいと考えている創造的な人には、大手子会社は向いてないかもしれません。
特に親会社と同じビジネスを担う子会社では、この傾向が強いといえます。なぜならば親会社が方針を決定して、子会社がその方針をもとに開発や設計をおこなうのが一般的なためです。
イノベーティブに働きたい人には、方針を決められる大企業や親会社のいない中小企業が向いています。
②仕事に対するモチベーションを高く保ちたい
役員や部長といった要職は親会社から出向してきた人が務めるため、大手子会社に入社した人は出世できる範囲が限られています。
大手企業や大手子会社では横ならびに昇進していくのが一般的で、ずば抜けた結果を残せなくては先に出世できることはあまりないのです。そのため、仕事に対するモチベーションを高く保って結果を残したいと考えている人には、物足りないと感じてしまう場合もあります。
また、基本的には大手企業の方針に従うので、与えられた指示によって働く機会が多いです。そのため、自主性を持って働きたい人にとってはやりがいを感じにくいこともあります。
大手子会社は、変化を楽しみたい人にはあまり向いていないかもしれません。大手子会社は親会社の慣習に重きを置くことが多く、意思決定にも時間がかかるので、時代の変化に合わせて柔軟に適応していくことを望む人には不向きです。
大手子会社を視野に入れて選択肢を広げ納得の行くキャリアを築こう
大手企業が50%以上の株式を保有している大手子会社。親会社と同じビジネスを担う子会社と親会社と異なるビジネスを担う子会社の2種類に分類でき、多くの大手企業は子会社を持って多角的に事業を展開しています。
そして大手子会社には、安定性の高さや充実した福利厚生などの魅力があります。ただ、探しにくさからエントリー者数は少ない傾向にあり、そもそも大手子会社をエントリー候補としてみていない学生がいるのも事実です。
しかし、大手子会社に向いている人が就職できれば、長い社会人生活を楽しめる可能性が高まります。「大手子会社を見ていなかった」という人がいれば、大手子会社を視野に入れて選択肢を広げてみてはいかがでしょうか。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る大手子会社は独立採算であり単体での成果も当然求められる
組織論で言えば、子会社というのは戦略的事業分野(SBU)がさらに発展して独立採算になった形態です。現在は他社との合併や買収によって子会社となる場合も増えていますが、基本的に独立採算であるということに違いはありません。
大手子会社であろうと独立資本であろうと、きちんと事業で自社単独での成果を出さなければならないのは同じことと考えてください。
穴場企業も! 多様なメリットを持つ大手子会社を目指すならしっかり研究しよう
それを前提としたうえで、大手子会社にフォーカスするのは就活において良い着眼点ではないかと思います。
まず、企業研究をしないとわからない「穴場」のような優良企業が隠れている可能性があります。
親会社の姿勢によっては経営の自由度もさまざまで、一般に知られていない一芸に秀でた会社や、人材育成に力を入れている働きやすい会社もあります。
また、精神的な部分では、大手が手掛ける影響力の大きな事業の一翼を担っているプライド、というのも意外に大きな報酬ではないかと思います。
親会社の存在がデメリットになる場合もありますが、親会社の事業を意識することで視野が狭くなりすぎず、成長が促進されるほど良い環境を得られる可能性が高いとも言えるので、しっかり研究して良い企業を探してください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/NC Harmony代表
Eriko Arima〇大手人材紹介会社で約5年、転職者や若者、女性のキャリア支援を担当した。その後はIT企業の採用責任者を務め、現在は幅広い世代を対象にキャリアや就職活動の支援もおこなっている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
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