この記事のまとめ
- 理系が文系就職を考えるときの不安を一挙に解消
- 文系就職のメリット・デメリットを就活のプロが解説
- 理系で文系職を目指すなら4つのコツを押さえよう
理系学生が卒業後の進路を選ぶ場合、専門職に進むか、それ以外の職種を選ぶかの選択肢があります。しかし「理系は専門職に進むもの」というイメージから、文系職への就職は不安だと感じている人も少なくないでしょう。
実際、理系で文系就職をすることのメリットは確実にあり、理系で培った考え方や経験が、文系職で評価される場合も多くあります。ただし、一番大事なのは、自分が納得して就職先を決めることです。まずは、文系就職を考えるときにありがちな不安を解消していきましょう。
この記事では、キャリアコンサルタント5人と、理系の文系就職にまつわる不安に丁寧に答えていきます。理系学生の支援経験があるプロの視点を参考に、文系就職のメリット・デメリット、実際の成功・失敗事例も解説するので、文系就職に興味がある人はぜひ参考にしてください。
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就活のプロが答える! 理系で文系就職を考えるときにありがちな疑問
ここからは、理系学生が文系就職を志す際の不安や疑問を、就活のプロと一緒に解消していきましょう。なかには、理系が文系職に進むのは損ではないかと感じている人もいるかもしれません。
就活の疑問を解決するには、就活のプロに意見を聞くのがおすすめです。早速、理系学生が文系就職をする際にありがちな5つの質問と、その答えを見ていきましょう。今の自分の悩みや不安と同じものがないか確認しながら読み進めてください。
理系のスキルって評価されるの?
文系就職を考えている理系の就活生のなかには、「これまで学んできたことは評価してもらえるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。実際、文系職でも理系的な思考が求められる場面はあるため、理系で培った経験も面接で評価されます。
とはいえ、具体的にどのように評価されるのかが気になりますよね。面接でどう見られているかがわかれば、選考にも臨みやすくなります。早速、キャリアコンサルタントの馬場さんに、「理系のスキルはどのように評価されるか」を聞いてみましょう。
理系学生の就活をサポートしている馬場さんからの回答
数字で筋道を立てて説明できる力は文系職でも非常に重宝されます。仕事においても、数値や事例を根拠に物事を進めることは大切です。
また、理系ならではの分析力や検証力を「仕事でどう活かすか」を示すことで評価はぐっと高まります。
理系の経験は活かせるの?
面接は通過できたとしても、実際の業務でも理系の経験が活かせるのかどうかが気になるという声も多いです。実際、研究や実験で身に付けたスキルが、マーケティング職や営業職などの文系職で活かせることも多くあります。
ここからは、キャリアコンサルタントと谷所さんと一緒に、どんな経験を実務で活かせるのかを具体的にみていきましょう。職種を選ぶ際の参考にもしてみてくださいね。
理系学生の就活をサポートしている谷所さんからの回答
理系の経験は文系就職でも十分活かせます。
論理的思考力、データ分析力、仮説検証の姿勢は、営業・企画・マーケティングなど多くの職種で高く評価されるでしょう。特に「数字に強い」「説明が明確」といった強みは文系学生との差別化にもつながります。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
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自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
文系に比べて不利?
この記事を読んでいる人のなかには「文系就職=文系が有利」と考えている人がいるかもしれません。結論として、理系だからといって不利になることはありません。理系で培った経験やスキルを活かせれば、選考での評価にもつながります。
ここからは、キャリアコンサルタントの馬場さんに、文系就職において理系は文系より不利なのかどうか、リアルな選考事情を聞いてみましょう。
理系大学院を出てから、文系就職をしたいと考えている人は、下記の記事も確認してみてください。
理系学生の就活をサポートしている馬場さんからの回答
「理系だから不利」ということはありません。論理性や検証力は文系職でも強みになりますし、選考でもしっかり評価されますよ。たとえば、企画職ではデータ根拠の提案に活きますし、営業では課題整理に活きてくるでしょう。
挑戦できない職種ってある?
理系の場合、専門職に就くには一定のスキルや経験が必要という場合も多いです。そのため、文系職においても「理系だと就けない職種があるのでは?」と不安になる人もいるかもしれません。
そこで、キャリアコンサルタントの谷所さんに、理系の学生が文系の職種で挑戦できないものがあるかを聞いてみました。理系の文系就職でも、幅広い選択肢があることがわかるはずです。
下記の記事では、専攻外の分野に就職することの難易度について解説しています。理系の専門職以外の道を目指している人はぜひ参考にしてみてくださいね。
理系学生の就活をサポートしている谷所さんからの回答
理系だから挑戦できない文系職種は基本的にありませんが、法律実務など専門資格が必須の領域は例外です。
一方、理系出身者は論理性や分析力を強みに、人事、コンサル、企画、広報など、文系が多い職種でも評価されやすい傾向があります。
理系で文系就職をすることってどう見られるの?
インターネットで検索すると、「理系の文系就職はもったいない」といった意見も多く見られます。そのために、理系で文系就職をすることを後ろめたく思ったり、ほかの人からどう見られているのかが気になったりする人も多いでしょう。
そこで、キャリアコンサルタントの馬場さんに、企業は理系で文系就職をすることに対して、どんな目線を持っているのかを聞いてみました。周囲の意見や評価に惑わされて文系就職を諦めようとしている人も、一度立ち止まって考え直してみましょう。
下記の記事でも、文系就職に不安を感じていた就活生の声を紹介しています。同じような悩みを抱えている人は、参考にしてみてください。
理系学部卒の文系就職
理系学部卒で文系就職はありですか?
文系就職の後悔
理系が文系就職すると後悔しますか?
理系で公務員
理系で公務員を目指すのはもったいない選択ですか?
理系学生の就活をサポートしている馬場さんからの回答
理系は「論理的で吸収が早い」という印象を持たれやすく、文系職でも前向きに評価されます。
一方で、文系職特有の「言語化力」が不足していると見られやすい点もあるでしょう。ただし、この力は練習で十分伸ばせるので、端的に説明する習慣をつけるだけでも評価が上がりますよ。
あなたが受けないほうがいい職業を知っておこう
就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。
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早いうちに自分に合う職業・合わない職業を知って、就活を成功させましょう。
理系学生をサポートしてきたプロが語る! 文系就職のメリット・デメリット
理系で文系就職を考えている人のなかには、「実際に選んで良かったと感じている人はいるの?」「逆に後悔したケースもあるの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
実際、理系から文系職を目指すことには、メリットとデメリットの両面があります。理系の文系就職における実態を知っておくことで「自分に合う働き方はどちらか」を見極めやすくなり、納得感のあるキャリア選択につながるのです。
ここからは、これまで多くの理系学生を支援してきたキャリアアドバイザーの谷所さんに、文系就職のリアルなメリット・デメリット、そして実際の成功・失敗事例を聞いてみました。文系の理系就職におけるリアルを見ていきましょう。
アドバイザーからワンポイントアドバイス
谷所 健一郎
プロフィールを見る理系学生が文系職種へ就職するメリットは、理系で培った論理的思考力とデータにもとづいた問題解決能力が、企画、営業、コンサルティングなどの文系職種で高く評価される点です。特にITや製薬など特定の業界の営業・マーケティングでは、専門知識が付加価値となります。
しかし、デメリットとして、専門分野の知識や技術を直接活かす機会が少なくなり、チームでの協働やコミュニケーション能力がより重視される文系職種の環境に、入社後のギャップを感じる可能性があることが挙げられるでしょう。
理系学生ならではの能力をどう活かすかを考えることが就職を成功に導く
実際に支援した成功事例では、情報学部出身でIT企業の企画営業職に就職した学生がいました。入社後、システムの技術的な実現可能性を理解したうえで、顧客の要望を満たす企画を提案して、早期に主力メンバーとして活躍しています。
一方、うまくいかなかった事例も存在します。理学部の化学系専攻だった学生は、研究活動から逃れたい一心で大手メーカーの事務系総合職として入社しました。しかし、事務作業や人間関係中心の仕事にやりがいを見出せず、モチベーションの低下に悩み、入社後1年半で退職しました。
つまり、理系学生の文系就職は、理系で培った能力をどのように文系職種で活かせるかを明確に言語化し、入社後の仕事にやりがいを見出せるかが重要だということです。
大学3年生の動き方が鍵! 理系の文系就職のおすすめ就活スケジュール

先でも解説したように、政府が就職・採用活動に関する要請事項で示している一般企業のおもな就活スケジュールは上記の通りとなっていて、大学生4年生になる直前の3年生の3月から本格的にスタートします。
しかし、理系学生は4年生になると研究で忙しくなってくるため、3年生の3月の情報公開からすべての就活準備を始めようとしてしまうと、研究と就活準備・選考などが一気に重なり、全部が中途半端になってしまいかねません。
だからこそ、就活で必須でやるべき自己分析や業界研究などの準備は、3年生の間に完了させ、インターンなども積極的に活用して文系職への視野を広げておくのがおすすめです。そうすることで、3年生の3月に情報が公開され就活解禁となった後、選考の準備と研究に集中できます。
選考がスタートする頃からは、大学の卒業研究を含めたスケジュール管理が重要になってきます。
選考では受ける企業ごとに志望動機や自己PRなどの対策が必要になるため、一朝一夕で準備を終わらせるのは難しいのです。そのため、勉学や研究に費やす日と就活をする日を分けるなど、それぞれにしっかり時間を確保できるように意識してくださいね。
- できれば研究時間が増える4年生であまり就活を入れたくないのですが、上記よりも文系就職の就活スケジュールを早められる方法はありますか?
インターンからの選考や早期選考を活用するのがおすすめ
文系就職のスケジュールを早めるためには、インターンシップや早期選考に積極的に参加することが効果的です。
3年生の夏頃からインターンに参加し、企業との接点を増やすことで、選考が早く進むケースもあります。
企業によっては、インターンからそのまま早期選考へと進めることがあり、その場合は早ければ3年生の冬頃、12月から1月にかけて内定を獲得できる可能性があるのです。
4年生で就活を最小限にしたい場合は、このような早期の機会を大いに活用しましょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
計画的に進めよう! 理系の文系就職をスムーズに進める4つのコツ
計画的に進めよう! 理系の文系就職をスムーズに進める4つのコツ
- 大学3年生から就活の準備を始める
- 文系職のインターンやOB・OG訪問に参加する
- 文系就職の理由を言語化しておく
- 文系の就活仲間を見つける
文理を問わず、就活をおこなううえで自己分析や業界研究などの基本的な対策は必要ですが、理系で文系就職を目指す場合ならではの対策が気になる人も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、理系の文系就職をスムーズに進めるために押さえておきたい4つの就活のコツについて解説します。事前の準備不足で文系学生に遅れをとったり、選考でつまずいてしまったりしないためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①大学3年生から就活の準備を始める
前述の通り、一般企業が新卒学生に対して採用情報を公開し、広報活動を開始するのは大学3年生の3月からです。
ただしこれはあくまで企業側が採用活動を開始するスケジュールであるため、このスケジュールに沿って準備をスタートしてしまうと、ほかの学生に遅れをとってしまいます。特に理系学生の場合、4年生になると卒業研究が始まって忙しくなるため、大学4年生になる直前の3月から就活を始めると、学業と就活の両立が難しくなりかねません。
そのため文系就職を目指す場合は、3年生の3月からではなく、3年生になった時点から早めに対策をスタートさせましょう。
具体的に、大学3年生の3月までにやっておきたい項目は以下に記載しているため、参考にして大学3年生の間に余裕を持って進めていってくださいね。
| 自己分析 | 就活・企業選びの軸を決めておく |
| 自分の強み・長所・短所などを明確にする | |
| 業界・企業研究 | 気になる文系業界や企業について調べる |
| 書類の準備 | エントリーシート(ES)や履歴書で記載できる部分から作成を始める |
| 就活アイテムの準備 | リクルートスーツや筆記用具などに加え、証明写真や身分証明書、印鑑なども応募の際にすぐに使用できるように用意する |
理系学生が文系就職を目指す際、業界研究は必須です。特に、理系のスキルが活かせるIT業界やマーケティング職など、データ活用が進む分野を重点的に調べると自身の強みを明確にできます。
また、最新動向をキャッチするため、業界レポートやニュースの活用が効果的です。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
職業選択においてやりたいことはもちろんですが、その中でも適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうため適職への理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業と低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみよう!
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
②文系職のインターンやOB・OG訪問に参加する
理系学生は、大学や教授から推薦枠の案内などをもらうことができるため、理系職種や理系業界に関する情報は入手しやすいかもしれません。しかし文系就職に関する情報は、理系の大学では得られる機会が少なく、思うように業界や企業のリサーチが進まない可能性があります。
そのため、事前の自己分析などで興味のある文系職種や業界が見つかった場合は、インターンやOB・OG訪問などの就活イベントなどに積極的に参加してみましょう。
就活イベントを通してその企業で実際に働く従業員とかかわる機会を持つことで、一人でやみくもに情報収集をするよりも有益な情報を確かな筋から集めることができるため、効率的に文系職種で働くイメージを膨らませることができます。
- そもそも理系の文系就職者が少ないことで文系職種にOB・OGがいない場合はどうすれば良いですか?
OB・OG訪問以外の方法で文系職で働く社員と接点を持とう
理系の文系就職者が少なく、文系職種にOB・OGがいない場合は、ほかの方法で情報収集を進めましょう。
たとえば、大学のキャリアセンターや企業の採用ページ、就活イベントを利用して、同じ文系職種を目指す他大学のOB・OGを紹介してもらうのがおすすめです。
また、業界研究セミナーや企業の採用イベントにも積極的に参加することで、現場の社員や担当者から直接話を聞くチャンスが広がります。これにより、文系職種で働くイメージをより具体的に掴むことができるでしょう。
③文系就職の理由を言語化しておく
理系で文系就職を目指す場合、選考で採用担当者から「なぜ理系ながら文系職を目指しているのか」という質問を投げかけられる場合があります。
ここにしっかり答えることができなければ、「文系なら楽そうという安易な考えで応募しているのでは?」「理系の仕事が嫌だからという逃げの選択をしているのでは?」といった懸念を抱かれてしまうかもしれません。
そのため文系就職を目指す際には、基本の自己分析と並行して、文系就職を決断したきっかけを振り返り、自分の文系就職への気持ちを言語化しておきましょう。
たとえば、文系就職に興味を持ったきっかけが、とある企業の営業職の様子をテレビで知ったことだったとして、その仕事のどんな部分に興味を持ったのか、自分がその仕事に就いてどんな仕事がしたいと思ったのかなど、仕事への自分の興味ややりたいことを振り返っていきます。
そうすることで、「数値をもとにコツコツ研究を重ねるような仕事よりも、自らが最先端で実績を生み出す存在になれる仕事に惹かれた」というような文系職に対する明確な志望理由を見つけることができるのです。
- 「なぜ文系職種を目指すのか」の回答としてどういった理由であれば納得してもらえるのでしょうか?
文系職種への適性・興味・やってみたいという意欲があればOK
自分の適性があって、その仕事に興味があって、やってみたいからという理由で十分だと思います。
たとえば、日本のベアリング技術は高く、日本精工という企業が世界シェア第2位、日本企業全体でも世界市場の3割を占めているのですが、そうした業界に工学部機械科などの理系出身の人が、開発職ではなく営業の仕事をしたいと応募してきたとしても、企業はとても喜ぶはずです。
専門知識がありつつ、営業の仕事にやりがいや興味を持って取り組んでくれる人材は、大いに評価されるといえます。
どんな分野の企業も、専門技術だけでは成り立ちません。技術を元に開発した商品やサービスが売れることで初めて利益が出るのです。
④文系の就活仲間を見つける
先でも解説しましたが、理系で文系就職をしようとする場合、身近な環境や人からは文系企業や職種に関する情報を入手しづらいため、就活イベントやSNSなどを通じて一緒に文系就職を進められる文系の就活仲間を見つけておくことがおすすめです。
具体的には就活イベントでかかわった文系学生と積極的に親睦を深めたり、SNSで就活アカウントを作成して同じく文系就職をおこなう理系学生や先輩たちを探してみましょう。
そうすることで、就活仲間の身近にいるほかの文系学生の就活状況などを共有してもらえたり、就活対策で参考にできる部分をマネしたりすることができます。
さらには、理系学生が少なく不安ななかで一人で就活するよりも、一般企業への就職という同じ目標に向かって頑張る仲間がいることで、就活のモチベーションを高めることにもつながるかもしれません。
就活のプロ直伝! 理系で文系就職を成功させるためのポイント!
理系の文系就職にかぎらず、就活ではさまざまな対策が必要になりますが、理系の文系就職で特に重要な対策は何なのかもぜひ押さえておきましょう。
ここでは、キャリアコンサルタントの野村さんに、理系の文系就職を成功させるために重要な就活対策とそのポイントについて聞いてみました。野村さんの解説を参考に、マストとなる対策は入念におこなって、文系就職の成功率の大幅アップを狙ってくださいね。
アドバイザーコメント
理系の文系就職は3つの対策に特に力を入れて取り組もう
理系で文系就職を目指す際に特に重要な就活対策は、「自己分析」「業界研究」「実践経験」の3つがあります。まず、自己分析では、なぜ理系から文系職を目指すのか、その動機をしっかりと言語化することが必要です。理系の知識やスキルを文系職種でどのように活かすか、具体的に考えておきましょう。たとえば、分析力や論理的思考をどの業務に応用できるのかを明確に示すことで、採用担当者に納得感を与えられます。
インターンなどで文系職の実務経験を積んでおくとさらに効果的
次に業界研究が欠かせません。文系職は業種や職種が多岐にわたるため、幅広い選択肢のなかで自分が目指す方向性を決めるために、早い段階から情報を集めることが重要です。
インターンやOB・OG訪問を活用し、業界や職種に関する具体的な知識を得ることが求められます。
最後に、インターンや就活イベントなどの実践経験を積むことが非常に効果的です。実際に企業での業務を体験することで、自分が理系としてどのように貢献できるのかを体感でき、それが具体的なエピソードとして選考でもアピール材料となります。
この3つの対策を入念におこなうことで、文系就職の成功率が大幅に上がるでしょう。
理系の文系就職におすすめの業界・職種
皆さんのなかには、文系就職といってもどんな業界や職種を目指すべきか決めかねているという人もいるでしょう。
そこでここでは、理系で文系就職を目指す場合におすすめの業界と職種をそれぞれ4つずつ紹介していきます。
理系学生が活躍できそうな業界や職種がまだピンときていない人は参考にして、自分に合った仕事を見つけてみましょう。またすでに志望業界が決まっているという人も、さらに視野を広げるために、それぞれの業界や職種への理解を深めてくださいね。
IT業界
理系学生が文系就職を目指す場合に向いている業界の一つがIT業界です。ITとは英語のInformation Technologyの略で、情報技術を用いたサービスを展開する分野のことを指し、IT業界の業種は大きく以下の5つがあります。
IT業界の業種
- ソフトウェア
- ハードウェア
- インターネット・Web
- 情報処理サービス
- 通信インフラ
具体的な業務はその業種によってさまざまですが、ITはありとあらゆる業界・職種において必要とされていて、スマートフォンや家電、インターネットなど、人々の生活においても欠かすことができません。
そのためIT業界の仕事は、業務を通じて文系・理系を問わず幅広い業界とかかわることができ、選ぶ職種や企業によっては理系で培った専門分野の知見を活かしながら文系就職をかなえることが可能です。
またITは近年急速に成長している分野であるがゆえに、ITの導入が追いつかない企業からのコンサルティングの需要も高くなっています。自社のIT技術を用いてさまざまなIT課題を解決することも求められるため、そうした場面で理系学生がこれまで培ってきた分析力や論理的思考力が発揮できれば、活躍につながります。
さらにIT業界は、常に多くの複雑な情報を精査しながら、新たな技術を使いこなせる情報処理能力も求められるため、学生時代の経験からこれらの能力が高いと評価されやすい理系学生にとっておすすめの業界といえるのです。
以下の記事では、IT業界の特徴や業界動向や、ITコンサルタントについて詳しく解説しています。文系職種のなかでもIT業界に興味がある人は、併せてチェックしてみてくださいね。
IT業界の特徴
IT業界を徹底解剖! 押さえておきたい将来性やトレンドまで解説
ITコンサルタント
ITコンサルタントは激務? 仕事内容・適性・就職方法を徹底解説
コンサルティング業界
コンサルティング業界は、顧客の課題を見出し、それを解決する提案やサービスをおこなう業界のことです。
コンサル企業では、顧客の抱える課題をヒアリングする際には分析力が求められ、課題を改善できるような施策を考えて提案する際には論理的思考力や課題解決力も必要となります。
これらの業務などにおいて、日常的に情報を分析したり課題に対して適切な解を導き出したりしている理系学生は、論理的思考力や課題解決力が培われている傾向があるため、学生時代の経験を活かして活躍できる業界といえるのです。
以下の記事では、コンサルティング業界の志望動機の書き方について解説しています。より詳しい業務内容についても記載しているため、コンサルティング業界に興味のある人はぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
金融業界
金融業界では、顧客のお金を管理することがおもな業務となり、正確性がとても重要になります。また、お金の管理や運用は細かく法律が定められているため、専門的な知識も必要不可欠で、そうした複雑な法律の仕組みを顧客にもわかりやすく説明できなければいけません。
理系学生は、日々の学生生活のなかで数値を見る機会も多く、そうした経験のなかで論理的にわかりやすく説明する能力も培われている傾向があるため、文系就職を成功させることができれば、活躍のチャンスが多い業界といえます。
特に理系学生のなかでも経済数理学を選考している人は、学生時代から金融業界の仕組みや世の中のお金の動きなどに関することを学んでいるため、そうした人材は即戦力として評価されるかもしれません。
ほかにも、物理や数学分野などで高度な数理知識を養ってきた理系学生であれば、自社の金融商品の設計や分析などの業務で活躍できる可能性が高いです。
金融業界の特徴についてより詳しく知りたいという人は、以下の記事を参考にしてみてください。
- 上記のような文系業界に理系学生が応募する場合、文系学生よりも厳しい視点で審査される可能性はありますか?
審査が厳しいわけではないが文系にはない審査ポイントがある
理系学生が文系職に応募する場合、必ずしも文系学生より厳しい視点で審査されるわけではありませんが、審査の焦点が異なることがあります。
特に「なぜ理系職ではなく文系職を選んだのか」という点や、その選択がキャリアの一貫性を持っているかなどが重要視されているのです。
企業は、理系特有の論理的思考力やデータ分析能力などを評価することが多く、たとえば、マーケティングや営業企画、コンサルティングなどのように、文系職でもこれらのスキルが活かせる場合は理系学生が有利になることがあります。
ただし、理系学生は就活仲間が少なく、文系業界に関する情報収集やネットワーキングが不利に働くこともあるため、積極的な情報収集が必要です。
メーカー
メーカーとはいわゆる製造業のことで、さまざまな業界・分野にメーカー企業は存在しています。
メーカーは業界・分野それぞれに市場のトレンドがあり、企業がどのような顧客をターゲットにしているかによって需要の形も異なるため、それらを分析したうえで、ニーズにマッチする商品を作らなければいけません。
理系学生が文系就職を目指す場合、あらゆる事象を分析し、論理的に考えてきた経験は理系学生がメーカー企業で活かせる強みといえるため、興味のある業界や分野がある人はメーカー企業も視野に入れて探してみるのがおすすめです。
メーカーの就職術や理系におすすめの就職先については以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はチェックしておきましょう。
就職術
メーカーへの就職はここから! プロがリアルな風習や働き方を解説
理系におすすめの就職先
理系の就職活動の進め方! おすすめの業界や企業も紹介
営業職
営業職は、BtoCやBtoBなど誰を顧客として営業するかは企業によって異なりますが、企業の売り上げを最前線で獲得する職種の一つです。
営業職では、自社の商品やサービスをターゲットである顧客に気に入ってもらえなければ成約につなげることができないため、相手にわかりやすく、かつ魅力的に説明できるコミュニケーション能力が求められます。
また、営業職は顧客の要望に合った商品を提案することも求められるため、顧客の課題や潜在的なニーズを見抜く分析力も重要な資質の一つです。こうしたわかりやすく説明できるコミュニケーション能力や分析力は、理系学生の多くが日々の実験や研究発表などで養っています。
ほかにも理系学生は、論理的に考えたり発言する機会によって論理的思考力が培われていること、また数値を読み解く力や技術系の知識もあることから自社商品やサービス、業界のビジネスモデルなどの理解をいち早く深められ、説得力のある営業をおこなうこともできるのです。
理系学生としての経験から、わかりやすく説明できるだけでなく、顧客を納得させられるような説得力のある提案もできることが示せれば、営業職でも即戦力として活躍を期待されるといえます。
- 論理的思考力には自信があるのですが、文系の友人からは話が難しいと言われます。わかりやすく話すことが苦手でも営業職を目指せますか?
わかりやすく話すだけが営業ではないため目指すことは十分に可能
上手に話すことが営業の仕事ではありません。営業は、お客様の話をじっくりと聞き、ニーズを引き出し、そのニーズに応じた商品やサービスを提案する仕事です。ニーズに合っていなければ、分かりやすく説明しても、良い結果は得られません。
営業職に必要なのは、お客様との関係を構築する力とアクティブリスニングの力です。寡黙でも優秀な営業マンを何人も知っていますが、皆さん話を聞くことに徹しています。
もし話が難しいと言われるのであれば、なぜそう言われてしまうのか原因を分析しましょう。早口だからなのか、多くの情報を一気に話してしまうからなのか、はたまた相手が知りたいと思っていない余計な話題まで多く話してしまっているからかもしれませんね。
コミュニケーションは相手あってのものです。相手の立場に立って考えてみてください。
営業職で入社したあとのキャリアプランについて知りたい人は、以下の記事でキャリアコンサルタントが解説しているため、併せて読んでみてくださいね。
企画職
企画職は、企業が推し出す商品やサービスを決定する重要な職種です。企画職で決定した施策をもとに企業全体の業務が進み、企画の内容次第で得られる売り上げは大きく変わるため、経営においても最も重要な部分を担っているといっても過言ではありません。
企業の売り上げを左右する重要な職種だからこそ、企業としてどんな商品・サービスを打ち出すべきなのかを決めるためのリサーチは必要不可欠であり、高い分析力が求められます。
また、企画職ではマーケティングも並行しておこなう場合も多いです。その場合、ただ商品やサービスを企画するだけでなく、各商品やサービスの売り上げ状況などの数値をもとに新たな施策を考えることも仕事の一つとなるため、数値を読み取るスキルも重要になります。
理系学生は研究結果を読み解いて結論を出したり、さまざまな数値を精査して仮説を立てたりする経験を多く経てきているため、同様の力が求められる企画職もおすすめの職種といえるのです。
進路相談の経験が豊富な野村さんからの回答
新卒から企画職に配属されるには競争が激しいですが、理系学生でも目指すことはできます。
準備として、マーケティングの学習やインターンシップでの実務経験が有効で、分析力や問題解決力をアピールすることが大切です。
企画職の詳しい仕事内容や就職方法が気になる人は以下の記事がおすすめです。就活の専門家であるキャリアコンサルタントが、企画職について詳しく解説しています。
事務職
事務職は、そのほかの職種がおこなう業務の補佐をおこなうことがおもな仕事となるため、業界や業種を問わず幅広く需要のある職種です。
具体的な業務としては、資料作成や経費や法的手続きの代行などが挙げられ、データを正確に処理するスキルやPCスキルが求められるため、理系学生のように複雑な数値を扱う経験が多い人にとっては、活躍しやすい職種といえます。
また、事務職は従業員の補佐をおこなうことがおもな業務となるため、相手の求めている要望を的確に把握してサポートできる理解力の高さも求められる要素の一つです。
そうした点においても事務職は、これまで高度な文献を読んだりハイレベルな知識を含めたコミュニケーションを求められたりしてきた理系学生にとって、高い理解力を活かして活躍できる職種といえます。
事務職の具体的な仕事内容や求められる資質については以下の記事でも解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
総合職
総合職とは、各部署の業務を幅広く経験し、ゆくゆくは管理職や幹部候補として企業をまとめる存在となる人が在籍する職種です。
これまで紹介してきた営業職や企画職などはもちろん、企業に存在するさまざまな部署の仕事を転々とする可能性もあるため、そこで働く人材は、各部署で求められる資質を兼ね備えておく必要があります。
また総合職で働く人は、将来的に管理職や幹部となる可能性もあるわけなので、経営計画を戦略的に考えたり、社内の方針を従業員にわかってもらえるように論理的に説明したりするスキルも必要です。
そうした点で理系学生は、論理的に考えたり説明したりする機会が多いため、企業からも総合職で活かせる資質があるとして評価されやすく、総合職としての活躍の場が多いといえます。
以下の記事では、総合職と一般職の違いについて詳しく解説しているため、総合職の特徴についてより詳しく知りたいという人は参考にしてみてください。
理系の文系就職でキャリアの可能性が広がる! 情報を正しく活用して内定をつかもう
理系から、文系職種へ就職することは十分に可能です。研究や実験で培った論理的思考力や、課題解決力、データ分析力は、どの業界でも重宝されるスキルとして評価されています。
だからこそ大切なのは、「理系だから不利」と決めつけず、自分の経験をどう文系職に活かせるかを考えることです。正しい情報をもとに準備をすれば、選考でも自信を持って自分らしさを伝えられるようになります。
理系で文系就職を選ぶことは、進路を狭めるどころか、キャリアの幅を大きく広げる選択です。これまでの経験を強みに変えて、納得のいくキャリアを実現させましょう。
アドバイザーコメント
仕事に文理の区別はないからこそ何がしたいかで進路を決めよう
あまり文系・理系を考えすぎないようにしてください。専攻学科の知識を活かして仕事を始めるのは当然です。しかし、理系だから理系、文系だから文系の道と決めるのはそれほど意味がありません。なぜならば仕事に理系・文系の区別はないからです。
薬剤師になりたい場合は薬学部に進みますが、薬学部だからといって全員が薬剤師や製薬会社を目指すわけではありません。介護の仕事が自分のやりたい仕事だと思えば、薬学の知識を介護職で活かせば良いだけなのです。
そうした知識がある人が入社したら職場から喜ばれるでしょう。要は自分が社会に出て何をしたいのかなのです。
どんな職種に就職したとしてもその後のキャリアは変わっていく
また、技術者として出発しても最終的には経営の道を歩むケースもあります。本田技研工業の本田宗一郎氏、日立製作所の小平浪平氏など、そうした導を歩んできた人の名前を挙げればきりがありません。
また、文系の人であっても情報通信企業のトップになっているケースがあります。日本電信電話株式会社の島田社長は一橋大学商学部卒、楽天の三木谷社長も同じく一橋大学商学部の出身です。
就職は社会人としての入り口でしかなく、その後キャリアが続いていくなかで職務と立場は変化していきます。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi














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キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで500名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表
Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Gaku Baba〇製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事する傍ら、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。幼児教育事業も展開するなど、幅広い年代のキャリア支援に携わる
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