自身のプロフィールを伝える、学生にとっての名刺代わりとも言える履歴書。「手書きで作成したほうが印象が良いのかな」「そもそも作成方法がわからない」と、自身を表すものとして良い印象を残すために、作り方に悩む人は多いですよね。
手書きかPCかによって、履歴書の印象は異なります。そのため、それぞれが評価されやすいケースに合わせて使い分けることが大切です。
記事では、キャリアアドバイザーの上原さん、木村さん、隈本さんのアドバイスを踏まえつつ、手書きとPCの使い分け方を解説していきます。履歴書を提出しようとしている人は参考にしてみてくださいね。
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手書きの履歴書は状況に応じた使い分けがカギ
よくある失敗は、「なんとなく良い評価を得られそうだから」ととりあえず手書きで作成し、結果的にかなりの時間を費やしてしまうというものです。効率的に就活を進めるには、手書きとPCを状況に合わせて使い分けることが大切です。
この記事では、手書きとPCどちらで作成すべきか判断できるように、それぞれのメリット・デメリットを解説します。優先したいことなどを軸に比較し、検討しましょう。メリット・デメリットのみでは判断ができないという人は、それぞれのおすすめのケースを具体的に解説するので、併せてチェックしてくださいね。
手書き、PCのどちらで作成するかが決まったら、それぞれの作成方法や注意点も解説するので、これに沿って履歴書を作成しましょう。
エントリーシート(ES)を手書きする方法は、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
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企業視点で解説! 履歴書は手書きの方が良い?
皆さんの中には、なんとなく「手書きの方が良い評価を得られそう」と感じる人が多いのではないでしょうか。
たしかに日常生活では、たとえばプリントアウトした手紙よりも手書きのものの方が思いが伝わります。就活でも、手書きの方が評価されやすくなるのでしょうか。採用担当者の本音をチェックしてみましょう。
基本的には手書きとPCどちらでもOK
- 手書きの履歴書とPCの履歴書の評価は、実際異なりますか?
個人的な印象が変わることもあるが評価にはほぼ影響しない
手書きとPCどちらで作成したかで担当者の個人的な印象が異なる場合も実際にはありますが、その印象だけで選考結果が決まることは基本的にありません。
どちらで作成しても、記載内容の充実さが重視されることを忘れずに準備しましょう。
このように、手書き・PCの形式だけで評価に影響するケースは少ないのです。理由として以下が挙げられます。
作成方法が評価に影響を与えるケースが少ない理由
- 形式よりも内容を重視するため
- 多様性が重視される中、形式にこだわることが時代にそぐわないため
企業側が履歴書を確認するのは、応募者の学歴や職歴、保有資格など、個人情報に偽りがないかの確認が第一の目的です。
それに加えて、使用している写真や書類作成のマナーなどを確認するため、手書きかPCか、というよりも記載されている情報の正確さなどが重視されるのです。
以下の記事で履歴書の学歴欄の書き方を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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中には手書きを好む企業もある
ただし、中には手書きの方が好まれるケースもあります。
先ほど手書きの手紙の方が思いが届くと伝えました。まさに、思いやりや人とのつながりを大切にする企業は手書きの方が効果的な場合もあります。
また、創業年数が長い企業などでは、「応募書類は手書きで作成すべきだ」と考えるところもあります。そのような企業を受ける場合、手書きで作成する方が無難です。
手書きをおすすめするケースは後ほど詳細に解説するので、参考にしてくださいね。今確認したい人は、こちらを見てみましょう。
まずは企業からの指定があるか確認しよう
先に述べたとおり、手書きでもPCでも、評価が変わらないことが一般的です。しかし、安易に書きやすい方を選んではならないケースもあります。それは企業から指定がある場合です。
企業の指定に気づかずに書きやすい方法で作成すると、「入社後も指示に従ってくれなさそうだな」とマイナスの印象につながりかねません。
そのため、企業ホームページ(HP)の募集要項や、エントリーした後に届くメールなどに作成方法の指定がないか、まずはチェックしておきましょう。
指定がない場合は手書きとPCの使い分けがカギ
作成方法が指定されていない場合は、もちろん書きやすい方法で作成して問題ありません。
しかし、だからといって自分の好みで作成方法を決めるのは少しもったいないです。PCと手書きでは、完成した履歴書の見かけが大きく異なります。見かけから受けるインパクトは大きく、そこで受けた印象が今後も続く可能性があるからです。
作成方法で評価が大きく分かれることはあまりありませんが、どう見られたいかを考え、企業ごとに使い分けをすることが大切です。
応募先企業から指定がない場合、履歴書は手書きとパソコンのどちらで作成しても問題はありません。それぞれの特性を十分理解したうえで、どちらで作成する方が効果的か考えて使い分けることが大切です。
使い分け方①メリットデメリットを比較する
企業に合わせて使い分け方を考えることは難しいですよね。
使い分けるコツの1つとして、手書きとPCのメリットとデメリットを比較するというものがあります。比較したうえで、受ける企業に適していると思う方を選択しましょう。
特に手書きをする場合のメリットとデメリットは、いずれも影響が大きいものです。自分だけでなく、企業側にとってのメリットとデメリットを考えて作成方法を選びましょう。
使い分け方②おすすめのケースに当てはまるか確認する
また、この記事では手書き、PCそれぞれの具体的なおすすめのケースも解説しています。
メリット、デメリットを比較しても判断がつかないという人は、おすすめのケースに該当するか確認してみましょう。
手書きで作成するメリット・デメリット
まずは手書きのメリット・デメリットを解説します。自分が重視するものや企業に適しているものは何かを考えながら比較して判断するようにしてくださいね。
メリット①人柄を伝えられる
「書は心画なり(字に書いた人の心がそのままに表われている)」ということわざもあるように、字から多くの人柄が伝わります。そのため、たとえば自己PRなどで伝える人柄に説得力を持たせることができます。
筆跡から感じられる人柄の例
- 筆圧が強いー自分の芯を持ち何事にもエネルギッシュに取り組む
- 筆圧が弱いー協調性があり仲間意識を持って物事に取り組む
- 丸文字ー繊細であり人の気持ちを察することが得意
- 角文字ー神経を尖らせ注意深くいろいろなことに気づくことができる
たとえきれいとは言えない形でも、丁寧な文字を書こうと心掛けているのがわかる筆跡からは誠実な性格が連想されたり、逆に文字の形は整っていても全体にメリハリがなく弱々しい筆跡からは、自信のなさが連想されることも考えられます。
履歴書の自己PRの考え方、書き方はこちらの記事で詳しく解説しているので、チェックしてくださいね。
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自己PRが思いつかない人は
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メリット②熱意を伝えられる
手書きで作成すると、手間も時間もかかってしまいます。企業側もそれを把握しており、だからこそ手書きの履歴書を見ると、「手書きで作成するほどの熱意があるのだな」と好印象を持つ可能性があります。
手書きするには時間がかかりますし、丁寧に書かれた字をみていると自然に気持ちが通じるものです。わざわざ時間をかけて手書きで履歴書を作成してくれるくらいに入社意欲が高い、という印象につながります。
デメリット①毎回一から書く必要がある
手書きをする場合、1枚につき30分~1時間程度時間がかかります。修正があれば書き直しが必要であったりと、さらに時間がかかります。また、2枚以上書く場合、同じ内容を書くとしてもコピーはできないため、PCと比較するとさらに時間差が広がります。
繰り返しになりますが、作成方法ではなく内容を重視するという企業が多いです。そのため、たとえ手書きで時間をかけて作成したとしても、その努力が評価につながらない可能性があります。
デメリット②字が汚いと読まれにくい
中には、字の綺麗さに自信がない人もたくさんいると思います。字が崩れていると、読む側はそれが気になり、内容が頭に入ってこない可能性があります。それを避けるため、字に自信がない人はより時間をかけて作成しなければなりません。
- 字が汚いという理由で落とされることはありますか?
字が汚くても問題ないが雑だと落とされる可能性がある
字が汚いという理由だけで落とされることは、よほどの場合でない限りないでしょう。
ただし、字が汚いことで「雑で乱暴に書かれている」という印象を強く与えるような書き方をしている場合は、気配りや丁寧さに欠ける人物なのではないかというネガティブな印象を持たれてしまう恐れがあるので注意してください。
手書きの文字の形や書き方は、急に大きく変えることは難しいかもしれませんが、ペン習字などの教材で少し練習するだけでもある程度矯正することは可能です。
字が汚いという自覚を持っている人は、あきらめずに少しずつ丁寧に書くことを意識して練習してみることをおすすめします。
字の汚さは評価に直接的に影響はないものの、字の癖をなくしたり、大きさをそろえたりと読みやすい字を心掛ける必要があります。
デメリット③業界や企業によってはマイナスな印象になることも
一般的に、手書きのものには良い印象を抱くことが多いですが、PCを使うことが当たり前になっている企業では、マイナスな印象になる可能性もあります。「PCが使えないのでは」と、業務に支障が出ることを懸念されるのです。
マイナスな印象になる可能性のある企業の例
- スピード感を求められる企業ーベンチャー企業、コンサル業界など
- 一定のネットリテラシーが求められる企業ーIT業界など
手間がかかる分、マイナスな印象になってはもったいないですよね。手書きで作成してマイナスな印象にならないか不安な人は、OB・OG訪問などで確認しておきましょう。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る手書きは性格のアピールになる反面手間がかかる
履歴書を手書きで作成する際のメリットは、その人の性格を表現できることです。手書き文字は、顔写真の次にその人のパッと見の第一印象を左右します。
企業側は筆跡によってさまざまな人物像を思い浮かべることができるのです。作成段階で個性がアピールできないPCに比べて、手書きの方が内容に加えた自己アピールができます。
丁寧に取り扱わなければならない点に注意
履歴書を手書きで作成する際に、作成者側にとって大きなデメリットは手間がかかることです。
たとえば修正できなかったり、水に濡れるなどして文字が滲んだら書き直しが必要であったり、自由に印刷できないといったことが挙げられます。
また、文字の書き終わりの「とめ・はね・はらい」などの丁寧さを意識しなければならず、そのような丁寧に書くための時間もかかります。
PCで作成するメリット・デメリット
手書きで作成する場合のメリット・デメリットを考えて、「わざわざ手書きをする必要はなさそうだな」と感じた人もいるかもしれません。ここで、手書きと比較したPCのメリット・デメリットを確認し、どちらが自分に合うか確認してみましょう。
メリット①使い回しができる
メリットの1つとして、PCで作成すると、使い回せる部分が多くあります。具体的には、上記の「使い回し可」の部分はコピーできます。使い回しをすると時間の短縮ができ、効率的に就活を進めることができます。
ただし、証明写真も毎回同じものを使う人が多いと思いますが、新しいものを貼り付けることがマナーとなっているので、コピーはしないようにしましょう。
組織規模や業界でのポジショニングが似ていて、共通する企業理念や行動規範を持つ組織への応募は特に使いまわしがしやすいと言えます。
履歴書で使用する証明写真はデータ化をしておくことで履歴書作成を効率的に進めることができます。次の記事では、証明写真のデータ化方法や注意点について解説しています。参考にしてみてくださいね。
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証明写真をデータ化する方法4選! 活用方法や注意点など徹底解説
証明写真はデータ化することで就活を効率的に進められます。この記事ではデータ化する際に押さえておくポイントやデータ化する方法、注意点などをキャリアコンサルタントが解説します。参考にして書類選考を突破するカギにしてください。
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メリット②無料で作成できる
手書きの場合、履歴書はコンビニエンスストアなどで購入しなければなりません。しかし、PCの場合は履歴書のフォーマットをダウンロードして使用すれば良いため、印刷代のみで、ほぼ無料で作成できます。
おすすめのフォーマットは後述するので参考にしてくださいね。今確認したい人はこちらをチェックしましょう。
メリット③簡単に見やすい履歴書を作成できる
手書きの場合、最初から最後まで丁寧に書く必要があり、気を抜けません。また、途中まで書いてみて「字が大きすぎたかも……」と調整したくなることもあると思います。
PCで作成する場合は、字の綺麗さに気を遣う必要はなく、また文字間や文字の大きさも途中で変更することができます。結果的に手書きに比べ短い時間で、綺麗な履歴書を作成することが可能です。
PCを使う際には、うまく書けたなと思う表現や、よく使う言い回しや短文、単語などを並べた「お気に入り表現集」を作っておくと良いでしょう。必要に応じてコピペして使っていくと効率的でおすすめです。
近年では履歴書をPCで作成する機会も多いですよね。企業によっては履歴書をPDFにして提出するように求められます。以下の記事では履歴書をPDFにする方法をまとめているので参考にしてみてください。
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選考が本格化すると、履歴書をPDFにして送る機会が増えていきます。しかし、「履歴書をPDF化する方法がわからない……」という人も多いでしょう。この記事では、履歴書をPDF化する方法について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。
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デメリット①個性が出にくい
手書きの場合、筆跡に人柄を出すことができると解説しました。裏を返すと、PCで作成した場合は無機質になり、個性が伝わりにくいです。
履歴書を読む採用担当者によって、文字による個性の重視度は変わります。デザイン会社や美容サロンなど、クリエイティブ系業界は採用担当者もクリエイターであることが多く、手書きが好評なケースもあります。
上記のような企業では、PCで作成された履歴書に物足りなさを感じる採用担当もいる可能性があります。
デメリット②熱意が伝わりにくい
PCは簡易的に作成できるため、手書きの人に比べると熱意が低いと感じられることがあるかもしれません。たとえば同程度の能力の2人を比べたときに、手書きの人の方が熱意を評価され選考を通過しやすくなる可能性があります。
また、採用側も「PCは使い回しをしやすい」ということを把握しています。そのため、汎用性が高い言葉を使用していると、使い回しているのではないかと思われる可能性があります。
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る転用や修正が楽であるというメリットを活かして効率的に作成できる
履歴書をPCで作成することの最大のメリットは効率性です。一度、ベースとなる文章を作っておけば、他社への転用が楽にできます。応募する会社に合わせてアレンジするようにすれば、文章作成が格段にスピードアップします。
また修正や更新が簡単です。手書きでは書き直しが必要ですが、PCで作成していれば、誤った箇所を修正するだけで仕上げることができます。
変換による誤字や修正時の脱字が起こりやすいデメリットに注意
逆に、PCで作成することによって発生しがちなミスがあります。多く見受けられるのが変換ミスによる誤字や修正時の脱字です。PCで作成すると誤変換が発生しやすくなるようです。
「電気」と「電機」、「工業」と「興業」など、普段よく使う語句に変換されてしまったりと、提出前によく確認する必要があります。
また、一部の修正をおこなった際に前後の文字を削除してしまい、脱字が発生するケースも少なくありません。見直しには時間をかけましょう。
また、しっかり編集したつもりでも、別の企業向けの文言が残ってしまっていることもあります。多くの会社に応募している時には特に注意が必要です。
手書きの履歴書をおすすめする4つのケース
ここからは、手書きとPCについて、好印象につながりやすいそれぞれの具体的なケースを解説していきます。確実に高評価を狙いたい人や、メリット・デメリットを比較してもどちらにすべきか判断できなかった人は参考にしてくださいね。
まずは手書きでの作成をおすすめするケースを解説していきます。自分の状況や企業の特徴を踏まえて、手書きにすべきか考えてみてくださいね。
①受ける企業の数が少ない
手書きで履歴書を作成する場合、1枚につき30分~1時間程度かかると解説しました。受ける企業が多い場合は履歴書の作成だけで多くの時間を費やしてしまいます。
繰り返しになりますが、履歴書の形式は評価に大きく影響しないことが多いです。そのため、受ける企業が少ない場合か、もしくは志望度が高い数社に絞って手書きで作成することがおすすめです。
②PCの使用機会が少ない業界を受ける
サービス業界や福祉系の職種は、業務でPCを使用する機会が少ない傾向にあります。顧客とのコミュニケーションが主な仕事となり、PCは業務の管理程度に使われることが多いからです。
そのような企業は、人柄やコミュニケーションの温かさを重視する可能性が高いため、それらを伝えられる手書きでの作成が合っているといえます。
一般的に、従業員数が少ない中小企業ではPCの使用機会が少ない傾向があり、経理や総務の事務職以外の職種では社員が常時業務に使用するための専用PCはなく、1台か2台を複数社員で共有していることも珍しくありません。
そのような企業では手書きの履歴書がおすすめですよ。
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作った自己PRは選考で活用できるものになっているので、ぜひ活用して採用される自己PRを完成させましょう。
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③社員の年齢層が高い企業を受ける
PCでの履歴書作成が一般的になったのは、インターネットが広く普及し、個人用パソコンがごく普通になった15年くらい前です。
PCの履歴書が一般的になったのはここ十数年のことであり、企業の中には、PCで作成するという価値観に慣れていない社員も多くいます。特に社員の年齢層が高い企業では、「手書きの方が良い」という認識が一般的かもしれません。
社員の年齢層が高い傾向にある企業や業界の例
- 歴史のある日系企業
- 教育業界
- 官公庁業界
- 金融業界
- インフラ業界
企業の年齢層については、企業HPや就活情報サイトで公開されていることもあるため、チェックしてみてくださいね。
④多くの学生が応募する企業を受ける
人気企業など、多くの学生が応募する場合は、その中で印象に残る必要があります。熱意や人柄を感じられることから、手書きの方が印象に残りやすくなります。
- 多くの応募が寄せられる中で、手書きの履歴書を見るとどのような印象を持ちますか?
「もっと話を聞いてみたい」と感じる
手書きでの履歴書には、やはり選考を通過して話を聞いてみたいと感じます。大手や人気企業などの応募者数が多い企業では、採用担当者は2、3分ほどの短時間で初期スクリーニングをおこなうことがあります。
限られた短い時間の中で、ひと目で印象に残るのは「写真」と「文字」です。丁寧さを意識した手書きの履歴書は、初見で印象に残るので、内容の詳細確認のフェーズに進めたくなります。
スピード感や一定のネットリテラシーを求められる企業以外では、手書きの履歴書を作成すると、印象面で差別化できる可能性が高いです。
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る対人やサービス関係の仕事では手書きが好まれる
「手書きの文字が丁寧だと仕事も丁寧にこなしてくれるはずだ」と考える企業も少なくありません。対人、サービスなどの仕事がメインでパソコンを使用する機会が少ない業界では、履歴書は手書きが好まれる傾向が強いようです。
また、社員の年齢層が高い企業の場合は、従来通り「履歴書は手書きのほうが良い」と考えるところが多いですね。
字に好感が得られた経験がある人は手書きに挑戦してみよう
文字には個性が表れます。とても丁寧に書く人、殴り書きのように書く人、大きく躍動感にあふれた字の人、四角の中にはまったような字を書く人など。手書きの文字には、性格の一端が現れます。
手書き文字を丁寧に書くことができ、人から好感が得られるようなら、手書きの履歴書はかなり有利となりますよ。
PCをおすすめする2つのケース
PCの履歴書は人柄や熱意が伝わりにくい代わりに、効率的に作成することができます。また、基本的なPCスキルがあることの証明にもなり、それが必要なケースにも効果的です。
もし手書きをしようとしているのであれば、念のため次に解説するケースに該当していないか確認しましょう。そして、もし当てはまっていたらPCでの作成を検討してみてくださいね。
①受ける企業の数が多い
受ける企業の数が多いのであれば、就活を効率的に進めることが重要です。時間が限られている中、1枚1時間程度かけて手書きするのは効率的ではありません。
受ける企業の数が多いのであれば、熱意や個性を重視する企業以外はPCで作成することをおすすめします。
特に同業界が多い場合におすすめ
同業界を受ける場合は、使い回しができる部分が増えます。たとえば志望動機や自己PRなどで、業界の特徴を引用している部分も使い回しをすることができます。
ただ、すべてが使い回しにならないように、その中でもその企業に惹かれているところ、その企業でしか活躍できない理由など、独自的な要素を明確に記載するようにしましょう。
②一定のネットリテラシーが必要な企業や職種を受ける
今の時代、PCを使うことが当たり前になっている企業は非常に多いです。そのような企業には、PCで履歴書を作成すると、一定のネットリテラシーがあることを証明できます。
ネットリテラシーが必要な企業や職種の例
- IT業界
- コンサルティング業界(顧客となる企業相手の提案書は基本PCで作成)
- 事務系職種
- 研究職(PCを使った分析が必要)
- 企画系職種(PCでの資料作成が必要)
マーケティング職やマスコミ関連業界も、ネットリテラシーがますます重要になっています。また外資系企業やベンチャー系の企業でもネットリテラシーが基本となって業務フローが構築されています。そのような企業ではPCで作成することをおすすめします。
上記のような企業や職種を受ける場合は、PCの基本スキルを持っていることを証明するため、PCで作成することをおすすめします。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る本命企業以外ではPCを使用するなど効率化を狙おう
応募する企業が多い場合は、PCでの作成が効率的です。ただし、企業によっては手書きを重視する採用担当者がいることもあります。本命企業には手書きで作成してみるなど、応募する業界によってはメリハリを意識しましょう。
DXを進めている企業にもPCで作成することをおすすめ
一見、ネットリテラシーが求められそうにない小売やサービス系の企業でも、外注でITシステムの導入をおこなっており、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」化による経営革新に取り組もうとしている企業があります。
こういった企業は、今後のDX化への対応に向けて、社員の育成を前提としてITリテラシースキルを求めていることがあります。
企業によっては、経営方針や今後の具体的な経営計画をホームページに掲載している企業もあるため、それらを確認してくださいね。そしてDXに力を入れる予定がある企業などは、履歴書をPCで作成して提出するのもいいでしょう。
また、求人サイトサービスに求人票を出している企業や、自社サイトに採用ページがあったり、別途採用専用のホームページがあったりする企業も、PCで作成しても良いでしょう。
ホームページの作成を外注化している可能性もありますが、応募の連絡は人事担当者が確認することがほとんどです。志望度が低い企業などで効率性を重視するなら、まずはPC作成の履歴書を添えて、手書きの履歴書を求められたら書き直すのもいいでしょう。
履歴書を手書きで作成する場合の4ステップ
では実際に、手書きで履歴書を作成する場合の作り方をチェックしていきましょう。手書きで作成する場合は、気を使わなければならない点が多くあります。
これを読むことで、留意点に気を付けながら、順を追って履歴書を作成することができますよ。この記事を履歴書の隣に置いて作成してみましょう。
①必要なものを用意しよう
まずは下準備をすることが大切です。どんなに丁寧に書いたとしても、適していないペンを使用するなど、使用するものによっては見劣りし、印象が下がることはありえます。
まずは手元に必要なものをそろえるようにしましょう。
文房具売り場でペンの試し書きをしてみるとわかりますが、一見同じ「黑ペン」で書いても、太さやインクの種類やメーカーによって、また人それぞれの字体によっても印象は大きく変わってきます。
そして書きやすさも大切な要素となります。ぜひとも自分を表現する道具となる筆記用具にこだわってみましょう。
黒の油性ボールペン・鉛筆またはシャープペンシル・消しゴム
ペンは、0.5~0.7mm程度の黒の油性ボールペンを用意しましょう。はっきり見えてにじむ恐れも少ないです。以下のようなペンはにじむ可能性があるため避けるようにしましょう。
使用を避けた方が良い筆記具
- 水性のペン
- 万年筆
- 消せるボールペン
また、下書き用に鉛筆またはシャープペンシル、消しゴムも用意しておきましょう。濃く柔らかいB、2Bなどの鉛筆が消しやすく、下書きに向いています。
過去3か月以内に撮影した写真
履歴書に貼る写真は、過去3か月以内に撮影した最新のものを使用しましょう。法律や規則による縛りではありませんが、これが社会的な慣習となっています。
3か月より前の写真は、外見が変わっている可能性があります。外見が違いすぎると、実際に面接で会った場合に「自社のために用意する熱量はないのかな」と思われてしまう可能性がありますよ。
履歴書に貼る写真は、口角を軽く上げた歯を見せない微笑みで、顎を引いて撮影しましょう。
服装はリクルートスーツにして、巻き肩にならないように軽く胸を張ります。実は、履歴書にスナップ写真を貼る人もゼロではありません。もちろんNGなので、写真スタジオで就職活動の証明写真用と伝えたうえで撮影しましょう。
市販の履歴書
履歴書は市販のものを用意すれば問題ありません。たとえば以下の場所で売っています。
履歴書が売っている場所
- コンビニエンスストア
- 大学生協
- 書店
- 文房具店
- 100円ショップ
- ネット通販
履歴書によってそれぞれの記入欄の大きさは異なります。ESの内容となるべく重複しないものや、特にアピールしたいものの欄が大きいものを選ぶと良いですよ。
履歴書は空欄が多いと目立つので、できるだけ自分が記入可能な項目が多く用意されているものをおすすめします。複数の種類を書店や文具店でチェックし、自分が強調したい項目について書きやすいデザインを選ぶと良いでしょう。
履歴書の購入場所についてこちらの記事で詳しく解説しています。どこで購入すべきが悩んでいる人は参考にしてみてくださいね。
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「就活用の履歴書はどこで買うのだろう」と疑問に思っている学生に向けておすすめの購入場所をキャリアコンサルタントとともに解説。サイズや規格もチェックしたうえで適切な履歴書を購入しましょう。
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市販の履歴書には、A4判とB5判があります。こちらの記事を読むと、自分がどちらの履歴書を購入するべきかわかりますよ。
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②下書きをしよう
手書きの履歴書は、修正テープなどでの修正ができません。そのため、失敗しないように下書きをすることが大切です。以下の手順でおこないましょう。
下書きの順序
- 1行に書ける文字数を確認する
- 字数に収まるようにPCなどで書く内容をまとめる
- シャープペンシルや鉛筆で薄く記載する
上からボールペンでなぞった後、力を入れずに消せるように、かなり薄めに書くことを意識してくださいね。
文字の量や間隔に注意
下書きをする際は、本番書きをするつもりでおこないましょう。具体的には以下に留意することが大切です。
文字の量や間隔で配慮すべき点
- 文字の量が少なすぎないか
- 文字の間隔が空きすぎていないか
- 文字の間隔が揃っているか
上記に留意できていないと、全体としてのバランスが悪くなり、字が綺麗であっても見づらい印象になってしまいますよ。
文字の間隔と併せて、文字の大きさについても、適切な大きさで書きそろえられれば、見た目のバランスが綺麗に整いますよ。こちらの記事を参考にしてください。
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無駄な余白を作らないように注意
びっしりと埋め尽くされている履歴書と、余白が大きい履歴書をイメージしてみましょう。感じられる熱意が異なりますね。志望動機や自己PRなどの欄は特に、余白を作らないようにしましょう。
ただし、文字を埋めることを意識しすぎて、同じことの繰り返しや薄い内容を並べてしまう人がいます。そうではなく、多くの要素を盛り込む意識を持つことが大切です。考え方や行動、背景などの要素を入れて丁寧に説明するようにしましょう。
資格や経歴以外のスペースはできる限り余白を作らないようにしてくださいね。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る下書きは「なぞった後に綺麗に消せる」ことが最重要
履歴書の下書きは、後からペンでなぞったうえで消しゴムで消すことになります。そのため、書き方や使う筆記具については、以下の点に気をつけましょう。
・あまり強い力で下書きを書かない
・消せるボールペンでの下書きは絶対NG
・できれば先が尖っていない鉛筆を使う
・シャープペンシルならば「0.7mm」以上など、極力太い芯を使う
・芯の種類は「B」が理想で、最低でも「HB」にする
・消しゴムは文字を綺麗に消せる綺麗なものを使う
文字が太く、芯が濃くなるほど弱い筆圧で書けますが、消しゴムで消す際に滲みやすくなります。清書した後に履歴書が汚れるのを防ぐために、実際に下書きを消してみて、消しゴムで綺麗に消せるか否か確認しましょう。
文字のサイズをそろえる工夫も大切
また、文字の配置や全体バランスが見やすさを左右します。面倒かもしれませんが、定規を使って、一文字ごとに記載する枠を上記と同じ筆記具で書きましょう。
基本的には全体の文字サイズの統一感が重要ですが、平仮名より漢字を大きく書くと読みやすくなります。
下書きの段階でもいいので、家族や知人などの第三者目線で履歴書を見てもらい、読みやすさに問題がないか確認しましょう。
履歴書に下書きをする際のコツは以下の記事で解説しているので、こちらも併せて参考にしてみてくださいね。
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履歴書の下書きの正しい手順|跡を残さず美しく仕上げるコツとは
下書きすることで見栄えの良い履歴書を作成できます。本記事では、キャリアアドバイザーの解説を交えつつ、履歴書を下書きするメリットや下準備、注意点などを解説します。見栄えの良い履歴書を作成したい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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③見直しをしよう
下書きが完成したら、見直しをするようにしましょう。繰り返しになりますが、手書きで作成した場合基本的に訂正することができません。そのため、下書きが完成したら重点的に見直すことが大切です。
見直しのチェックポイント
- 初めて読む人にもすぐに伝わる内容か
- 誤字脱字がないか
- 資格などの固有名詞に誤りがないか
- 字が大きすぎないか
- 文字の量や間隔は問題ないか
- 無駄な空白がないか
受験した検定や取得した資格などの年月日については、思い込みの日付を認識していることもあります。日付をうろ覚えのまま記載せず、きちんと合格証や結果通知書などを確認して正確な日付を記載しているかも見直しておくと良いでしょう。
④ボールペンでなぞろう
下書きが済んだら、黒の油性ボールペンでなぞりましょう。出だしはインクがかすれる可能性があるため、雑紙に試し書きをしてからなぞることをおすすめします。
また、インクが十分にあるかも注意しましょう。途中でペンを変えると書類の見栄えが損なわれてしまいます。同じ種類のペンであっても、インクの濃淡によりペンを変えたことがわかるため、インクが十分にあるか確認しましょう。
句読点やとめ、はね、はらいまで丁寧に
手書きの場合、単なる文字の綺麗さよりも、「丁寧に書かれているか」を見られることが多いです。
組織で働く以上、企業側は応募者の気遣い力を重視します。採用人事が手書きの履歴書を見る際には、少しでも読みやすい配慮ができているかを初見で判断しています。一見して雑とわかる手書きの履歴書は、その時点で選考候補から外されることもあります。
「丁寧に書かれている」という印象を残すコツとして、句読点やとめ、はね、はらいに意識を向けることが大切です。それができていないと雑な印象になり、「あまり時間をかけていないのかな」「自社は優先順位が低いのだろう」と熱意を疑われてしまうリスクがあります。
他には、丸文字で子どもっぽい文字などの場合には、マイナス印象を持たれてしまうことがあるので注意してくださいね。
修正テープなどの使用はNG
書き損じてしまった場合、修正テープや修正液での修正は避けましょう。対応としては、新しい紙に書き直す、または訂正印を押すようにしましょう。
訂正印の押し方
- 誤ったところを二重線で消す
- 二重線のうえに実印を押す
- 誤った箇所の上下いずれかに正しい内容を記載する
ただし、訂正印はかなり目立ってしまいます。また、新しく書き直すほどの熱意がないと捉えられてしまうこともあります。特に訂正が2箇所以上になるのであれば、新しい紙に書き直すことをおすすめします。
- 新しく書き直すのが面倒なのでできれば訂正印で済ませたいのですが、企業の印象は良くないのでしょうか?
訂正印があると印象が下がる可能性が高い
手書きの場合、全部を書き終わる前にどうしてもどこかで書き間違えることがあります。
企業は、そのような状況であっても、一から書き直す時間と労力をいとわずにやり遂げられるか、そんな忍耐力や集中力も試していると考えられます。
実際に採用されて組織の中で仕事をするときには訂正印の対応をルール化している企業であっても、やはり学生が訂正印を押した履歴書を提出してきたら、印象が悪くなる可能性は高いと言わざるを得ません。
手書きの履歴書を指定する企業には、それなりの理由があっての指定の場合も多いため、下書きを何枚か繰り返して、本番の書き損じがないように努力しましょう。
文字のにじみやこすれに注意
インクのダマがにじんでしまったり、つい渇いていないところに手を置いてこすれてしまったりすることがあります。そうなると、書き直しが必要です。それを防ぐために以下の対策をすることが効果的です。
文字のにじみやこすれを防止する方法
- ペン先にダマがついていないか確認する
- ティッシュなどを手の下に敷いて書く
- 1行書くごとにティッシュを押し付けて余分なインクを取る
消しゴムのかすを残さないように注意
下書きを消す際に、細かい消しゴムのかすが残ってしまうことがあります。かすがついていると、「細部に気を使えなさそうだな」といった印象を採用担当者に持たれる可能性があります。
手書きは、ホスピタリティが求められるサービス業界などでおすすめだと解説しました。そのような業界では、細部まで気を使えなければ「顧客の前に出せるか」という点で懸念を持たれてしまいます。
紙にしわをつけないように注意しながら、かすを払うようにしてくださいね。
④見直しをしよう
見直しでチェックするポイント
- にじんでいるところはないか
- 丁寧さが伝わるか
書き終わったら、全体的な見直しをしましょう。特に見栄えの悪さについては、ボールペンでなぞった後に気づくこともあります。
必要があれば書き直しする決断を下すことも大切です。大変かもしれませんが、内定を獲得するための必須行程と考えて書き直しましょう。
にじんでいるところはないか
ボールペンでなぞった後は、にじんでいるところはないか確認しましょう。にじんでいるところが少しでもあれば、書き直しをしてください。
皆さんも、たとえば卒業証書など、正式な書類でインクがにじんでいるとがっかりしますよね。それと同様に、重要な書類にインクのにじみがあると、印象が悪くなります。にじんで汚くなっているところがないかしっかり確認しましょう。
丁寧さが伝わるか
履歴書は字の綺麗さよりも、丁寧さを伝えることが大切と解説しました。丁寧な印象を残すために、以下の観点で見直しをするようにしましょう。
丁寧さを確認するチェックポイント
- 句点や句読点、とめ、はね、はらいまで気を使われているか
- 文字の大きさが一定か
- 無駄な余白なく文字が書かれているか
- 後半につれ文字が崩れていないか
履歴書の後半も前半と同じように文字が統一されていることが重要です。集中力を維持して丁寧な文字を書き続けられているかが大切と言えます。
重点的に見直して欲しいポイントや誤字を見つけた場合の修正方法はこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
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履歴書をPCで作成する場合の4ステップ
メリット・デメリットから考えてPCが良いと判断した場合や、PCがおすすめのケースに該当した場合は、ここで解説する方法で履歴書を作成しましょう。
手書きよりも簡単に作成することができますが、その分気を付けなければつい見過ごしてしまう点もあります。そのため、作成する流れに合わせて、紹介する注意点も確認してくださいね。
①任意のフォーマットをダウンロードしよう
PCで作成する場合、フォーマットはインターネットからダウンロードして使うと良いです。
最も標準的なのは、日本産業規格(JIS)のフォーマットです。経歴や資格、志望動機や強みなど、バランス良く記入することができます。インターネットで検索すると掲載しているサイトがあるので、それをダウンロードして使用しましょう。
特に強調したい項目がなかったり、何を使えば良いか判断がつかない場合、こちらを使用すれば問題ありません。
アピールしたい項目に合わせてフォーマットを選ぶと良い
ただし、JIS規格のフォーマットでは、ESに記載する内容と重複してしまう可能性があります。その場合は、項目によって欄の大きさが異なるフォーマットを選びましょう。アピールしたい項目を強調できるフォーマットを選ぶことがおすすめです。
経歴、志望動機、自己PRなどアピールしたい項目の欄が大きいフォーマットを使用しましょう。
JIS規格の指定が特にない場合は、市販の履歴書の種類を確認して自分がアピールしたい項目の有無や記入欄の大きさなどを比べてみると良いでしょう。業界や職種によっては、ウェブ上の就活サイトなどでサンプルを参考にするのも有効な場合があります。
②志望企業に合わせて入力しよう
フォーマットを選んだら、志望する企業に合わせて内容を入力します。
手書きの場合は修正ができない分、慎重に作成する人が多いです。対して効率的に作成できるPCは、その分注意不足で誤字脱字などをしてしまうことがよくあります。
入力時点でしっかり確認してマイナスなイメージを持たれないようにしましょう。
使い回している印象を残さないように注意
PCで作成すると、大部分を使い回しすることができます。そのため、よくある失敗例として、同業界ですべて同じ志望動機を書いてしまうということがあります。
しかし、毎年多くの履歴書に目を通す採用担当者にとって、使い回しを見抜くことは簡単です。使い回しが可能なPCだからこそ、独自性を出すことに尽力して差別化を図ることをおすすめします。
特に自己PR・志望動機欄については、競合他社にはない特徴を見抜いて記載することが重要です。企業HPやOB・OG訪問で情報収集し、企業独自の強みや求める人物像を把握しましょう。
履歴書で独自性を出すには、その会社に合わせることが最重要です。自己PRならば、基準となる自分の強みはどの会社でも同じにするとしても、各会社のどの分野やサービスなどに貢献できそうかを書きましょう。
志望動機であれば、会社のミッションやビジョン、バリューなどに言及することで、差別化ができるでしょう。
③見直しをしよう
履歴書を作成できたら、最後に見直しをしましょう。手書きより見直しの観点が減るものの、その分油断につながりやすいです。
以下の観点で見直しをし、適宜修正しましょう。
見直しのチェックポイント
- 初めて読む人にもすぐに伝わる内容か
- 誤字脱字がないか
- 資格などの固有名詞に誤りがないか
- 無駄な空白がないか
履歴書本体はPCで作成できても、どのように提出するかが重要です。郵送する際には封筒への手書きが必要となります。見落としがちなのが封筒の書き方と字です。
封筒に書かれた文字は履歴書以上に目立つものです。封筒への宛名と差出人の書き方がまったくできていない人は意外に多く常識が疑われてしまいます。
どこに何を書くのか、「御中」「様」の使い分けなど基本的な封筒の書き方をぜひとも確認し、本文以上に注意深く丁寧に記入してください。PCで作成する場合は特に、封筒の書き方は盲点の一つとなります。
誤字脱字は校正ツールを使うことがおすすめ
誤字脱字がないか、目で確認するのは大変ですよね。PCで作成した場合、その内容を校閲できるツールがあります。
無料のものも多くあるため、一度それを使用してチェックすると安心材料になりますよ。
おすすめの校正ツール
④履歴書印刷専用紙などに印刷しよう
手書きで履歴書を作成する場合は、履歴書専用の紙を使用することになります。専用の紙は基本的に質が良いため、PCで作成する場合もそれに合わせて良い品質の紙に印刷しましょう。
おすすめは履歴書印刷専用紙を使用することです。家電量販店やインターネット通販で購入することができますよ。
印刷後も見直しは必須
印刷したら、書いている内容を再度チェックするようにしましょう。一般的に、紙で確認したほうが、画面上でチェックするよりも細部に気づくことができると言われています。
そのため、細かい部分を確認するために、紙に印刷して内容をチェックしましょう。そして必要あれば修正し、再印刷をしてくださいね。
企業に合わせて手書きとPCを使い分け就活の良いスタートを切ろう
履歴書の形式は評価を大きくわけるものではありませんが、異なる印象を残すケースが多いため、必要に応じて手書きとPCを使い分けることが大切です。
メリット・デメリットやおすすめのケースを参考に、どちらで作成するか考えてみてくださいね。そして、より重要なESや面接対策に時間を割き、内定を獲得できるようにしましょう。
アドバイザーコメント
木村 千恵子
プロフィールを見る企業の意図を意識して手書きとPCを使い分けよう
業界や業種によって、企業が学生に手書きの履歴書を指定するケースもあるものの、各業界でデジタル化が進む中で、年々減ってきていると思われます。そんな中で、あえて手書きの履歴書で応募することを検討する場合は、やはりその目的と意図を意識しておく必要があります。
応募企業の指定で手書きの履歴書を提出する場合、その指定には採用担当者の意図が必ずあります。企業側の意図や目的を理解したうえでなければ、単に手書きの文字がきれいに書けるから、という理由で手書きの履歴書を提出しても良い結果にはつながらないでしょう。
特に指定がない場合は計画性を持って作成方法を選ぶことが大切
また、手書きでもPC作成でもどちらでも良いという場合は、あえて手書きの履歴書を送ることで何をアピールしたいのか、それに対して企業の採用担当者がどう反応するか、そうした疑問にある程度計画性を持つ必要があります。
手書きの方が印象が良いまたは有利に選考が進む、またはPC作成のほうが良い印象を与えられる、などの判断は一概にはできませんが、一人ひとりがしっかりと自分自身と向き合って考え決断するのが一番です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Masamitsu Uehara〇会社員時代は人事部として3000人以上の学生と面談を実施。大学でも多くの学生のキャリア支援をおこなう。独立後は、就活生からシニア層までさまざまなキャリア相談に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/Koyoriキャリアワールド代表取締役
Chieko Kimura〇2度のアメリカ留学、20年以上の外資系IT企業勤務を経て、現在は留学生向け就職支援をおこなう。また、企業のキャリア支援や新入社員のクラウドコーチングなどにも幅広くたずさわる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
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