この記事のまとめ
- 内定承諾後の辞退は法的には可能だが、企業への配慮が必要
- 内定承諾後に辞退をする際はできる限り早く電話で連絡をする
- 内定承諾後に辞退する際に抱きがちな不安と対処法を解説
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就活も終盤に差し掛かり、内定承諾後の辞退について考え始めている人もいるかもしれません。「内定承諾後に辞退はできるのですか」「内定承諾後の辞退ってどのようにすれば良いのかわからない」といった悩みの声が学生から寄せられます。
内定承諾後の辞退について正しく理解していないと、自分が取るべき行動が見えずに誤った判断をしてしまう可能性があります。就活を好ましい形で終わらせ、活き活きと社会人生活を送るためにも、内定承諾後の辞退のポイントを押さえていきましょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの渡部さん、鈴木さん、木村さん、社会保険労務士の永島さんのアドバイスを交えつつ解説します。内定承諾後に辞退をしたいと考えている人はぜひ参考にしてくださいね。
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内定承諾後の辞退はできる限り早めに誠意を持って連絡しよう
結論を言うと、内定承諾後の辞退は可能です。しかし、企業に多大な迷惑をかけることになるだけでなく、自分にも不利益が生じてしまう危険性もあります。企業のためにも自分のためにも、内定承諾後の辞退はできる限り早めに伝えることを意識しなければなりません。
記事では、内定承諾後に辞退をするリスクや辞退をする際の基本について断り例文とともに解説。併せて、内定承諾後に辞退をするときに理解しておくべき重要な3つのことを紹介します。
さらに、内定承諾後の辞退で抱きがちな不安とその対処法も徹底解説しているため、自分ならどのように対応をするべきかを考えてみてくださいね。企業に迷惑がかかることもふまえたうえで、自分に合った選択を取りましょう。
内定承諾後に辞退はできる?
内定承諾後に辞退はできる?
- 法的には辞退が可能
- 損害賠償請求のリスクがある
- 子会社や関連会社の選考に影響する可能性も
複数の内定が出て、自分に最も合った企業が見つかったという人もいるかもしれませんね。そこで悩みとなるのが「内定承諾後に辞退はできるのか」ということ。
特に内定承諾書などの書面で手続きを踏んだ後では、辞退が可能かどうか不安になりますよね。辞退の可否と起こり得るリスクについて解説していきます。
なお、「内定辞退」と「内定承諾後辞退」は少しだけ意味合いが異なります。内定承諾をした後の辞退は、内定承諾書を提出して「この企業に就職をします」という意思を示しているため、意思を翻している行為であるということは理解しておきましょう。
「内定辞退」と「内定承諾後辞退」の違い
- 内定辞退:内定承諾書を提出せずに辞退すること
- 内定承諾後辞退:内定承諾書を提出した後に辞退すること
法的には辞退が可能
内定承諾後に辞退をする場合は、労働契約の解約ということになり、民法では労働契約解約の意思表示をした日から2週間たてば解約は成立するとされています。そのため、あなたが必ず入社をしなければならないという法的拘束力はなく、内定承諾後でも辞退は可能です。
内定を承諾した時の状況や心情が必ずしも変わらないかというと、そうではありません。
たとえば、家庭の事情や自分の身体・生活の変化などが理由で辞退したい、または辞退しなければいけない状況になることは誰しも起こりうることです。
労働者の職業の自由は、憲法上の権利の実現という観点からも認められており、内定承諾後の辞退も可能ということになります。
就活みらい研究所の就職プロセス調査2025年卒(2024年5月15日時点)では、2025年卒の就職内定辞退企業数が2社以上の学生の割合は22.3%であり、複数企業の内定辞退をする学生は少なからず存在します。
契約は文書でなくとも口頭でも成立します。どのような形であれ、内定を承諾した場合は労働契約がいったんは成立していることになります。
法律以前に、自分を評価した企業を裏切ることになるという認識は持っていてくださいね。
損害賠償請求のリスクがある
内定承諾書に法的拘束力はないため辞退は可能ですが、内定承諾書の提出がなされた時点で、労働契約が成立しています。そのため、内定承諾後の辞退は一種の「契約違反」として、現実に生じた損害についての損害賠償請求のリスクもゼロではありません。
まれなケースですが、たとえば内定者が入社する予定で用意されていた備品や、有料の内定者研修などを会社負担で受けていた場合などは実費額を請求をされるリスクがあります。
内定承諾書は慣例的なもののため、本当に損害賠償請求をする企業は極めて少ないですが、リスクがともなうものだということを念頭に置いておきましょう。
実際に損害賠償請求される可能性は極めて低いです。
現在ではSNSや口コミサイトですぐに拡散されてしまうので、企業イメージや損害賠償請求をする費用を考えると、損害賠償請求して得られるものよりも、失うものの方がはるかに大きいです。
損害賠償請求されるリスクがあるものとしては、再度人材募集をした際の広告宣伝費用や入社前の有料でおこなわれる研修費用、入社に備えたパソコンなど備品の購入が多額な時が考えられます。
子会社や関連会社の選考に影響する可能性も
内定承諾後に辞退をしても、基本的には他社の選考に影響は出ません。しかし、辞退後に「やっぱり辞退した企業に入社をしたい」と思っても同じ企業の選考は受けられないことや、辞退した企業の子会社や関連会社の選考に影響する可能性もあります。
子会社や関連会社では学生の情報を共有していることもあり、選考の評価に影響する可能性はゼロではありません。
学生が内定を辞退するのと同様に、企業が内定を取り消す場合もあります。リスクヘッジとして、企業による内定取り消しについても押さえておきましょう。
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内定承諾後に辞退をするときに理解しておくべき3つのこと
内定承諾後に辞退をするときに理解しておくべき3つのこと
- 企業は学生に莫大な時間や労力、コストをかけている
- 辞退した会社と今後も仕事上でかかわる可能性もある
- 内定承諾や辞退は慎重に判断しないと後悔する原因となる
内定承諾後に辞退をすることは法的には問題がないため、気軽に考えている人もいるかもしれませんね。しかし、安易に辞退をしてしまうと後悔をする原因ともなり得ます。
基本的には多くの人にとって初めての就活であり、わからないことや抜けている視点があるものです。今から解説する内定承諾後に辞退をするときに理解しておくべき3つのことを押さえて、後悔の原因を減らしていきましょう。
①企業は学生に莫大な時間や労力、コストをかけている
企業にとってあなたは大切な内定者の1人です。あなたを採用するまでに莫大な時間と労力とコストをかけていることを忘れてはなりません。内定承諾をした時点で、どこに配属しようかと考えていたり、内定者イベントの手配などをしてくれています。
そのため、内定承諾後に辞退をしてしまうと、企業の人員計画にズレが生じ、大きな迷惑をかけてしまうことはよく理解しておきましょう。
内定承諾後の辞退はもちろん極力避けるべきです。しかし、学生にとっても今後の人生の方向性に大きな影響を及ぼすファーストキャリアとなります。
よく落ち着いて時間を取って自分自身と向き合い、どうしても違う会社で働きたいという明確な気持ちの動きがあった場合は、その気持ちを大切にして誠意をもって辞退を伝えましょう。
企業は採用活動に多くのリソースを割いているので、面接やインターンを辞退したい場合も、直前の連絡や無断キャンセルはマナー違反です。失礼にならない連絡方法を以下の記事で解説しているので、併せて参考にしてください。
面接辞退メールの書き方
失礼のない面接辞退の方法とは? すぐに使えるテンプレ8選
インターン辞退メールの書き方
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②辞退した会社と今後も仕事上でかかわる可能性もある
内定を辞退してもその企業との関係が完全に終わるとは限らず、仕事上でかかわる可能性もあります。そのため、マナーの守れていない辞退をしてしまうと、後々仕事でかかわらなければならないときに悪影響が出てしまうこともあります。
特に同じ業界の企業であれば、辞退した会社の人事とかかわりのある人が、入社後社内や取引先にいる可能性もあります。
そのため、いつどんな状況でも辞退した企業の人と出会っても問題ないと思えるように、誠意ある対応を心掛けましょう。
③内定承諾や辞退は慎重に判断しないと後悔する原因となる
「内定承諾後で辞退しづらいから入社するか……」となんとなく就職してしまうのはもちろん、「他の企業の方がイメージ良いから辞退をしよう」などと深く考えずに辞退してしまうのも後悔する原因となります。
内定先を辞退する・しないにかかわらず、就活を自分の納得できる形で終えるためにも、自分はなぜこの決断をするのかその理由を言語化できるようにしましょう。
企業を辞退したい理由を明確にして、しっかり調べたうえで辞退の決断をするかどうかを決めることが大切です。また、本当に辞退をして良いのかを考えるためにも他の内定先と比較をして、具体的にどこかが異なるのかを明確にしましょう。
内定承諾後の辞退は慎重にしなければなりません。自分の中の基準をはっきりとさせるためにも、内定に迷う人は以下の記事を参考にしてくださいね。
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内定承諾後に辞退をすることで入社後に後悔をしないためにも、自分が何を企業でやりたいのか考えておく必要があります。入社後にやりたいことが漠然としている人は、以下の記事を参考にしてくださいね。
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アドバイザーコメント
鈴木 洵市
プロフィールを見る内定承諾後の辞退の影響はその場限りのものではない
ここまで解説した中では、特に「②辞退した会社と今後も仕事上でかかわる可能性もある」が重要で、学生が抜けがちな視点でもあります。今後のキャリア形成に影響を与える可能性も0ではないということを覚えておきましょう。
就活という面だけを考えると、内定承諾後の辞退はその場限りであり、新卒で入社した企業と辞退した企業のかかわりがないようであれば、あまり問題にならないだろうと考える学生が多いもの。
しかし、社会人生活というものは、皆さんが過ごしてきた今までの人生の倍以上を働く時間に費やすということが一般的です。また、あなた自身が新卒入社した企業に終身雇用で在籍できるような環境がいつまでも整っているとは限りません。
内定辞退が将来どのように影響するか考えてみよう
内定承諾後の辞退をした企業と就職した企業がM&Aで提携したり、自分自身の転職意欲の高まりから転職したいと考える機会に遭遇したりと、将来の「働く」ということに対しどのような責任が生ずるかを思い浮かべてみてください。
内定承諾後の辞退をしたという記録は、現在の人事管理においては必ず保管されているということを想定して行動する必要があると覚えておきましょう。
内定を辞退したくなる原因の一つとして、内定ブルーが考えられます。内定辞退は慎重かつ理性的な判断にもとづいておこなうべきことです。こちらの記事に目を通し、一時的な感情に流されていないか確認してみてください。
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内定承諾後に辞退するときの基本
内定承諾後に辞退するときの基本
- 辞退が決まった時点でなるべく早く人事に連絡する
- 辞退する旨と辞退する理由をはっきりと伝える
内定承諾後の辞退は企業に迷惑をかけるだけでなく、辞退の方法によっては後々自分への悪影響にもつながりかねません。慎重に対応することが大切です。
ここからは内定承諾を辞退する際の基本を解説するため、正しい対応方法を押さえておきましょう。
- そもそも内定承諾までの期限を延ばすことってできるのでしょうか?
内定承諾の期限は延ばせることが多いため、企業に相談してみよう
企業は人員計画を早く確定したいと考えています。そのため、人数の読み込みやその後の採用活動の修正を図るため、内定承諾の期限を決めて意思決定を促しています。
しかし、学生は慎重に他社と比較検討をしたいという場合もあるでしょう。企業側としては、学生が他社の結果が出てから判断したい場合は、「状況を詳しく話してほしい」「やむを得ず返答できないならばその旨相談してほしい」というのが本音です。
結局そこで厳しくしたところで返事がなければ辞退扱いが増えるだけ。企業側は待つしかないのが実情なのです。
待った挙句辞退されると困るのも確かですが、待てないといった学生を即座に見切りをつけるような余裕は企業側にもあまりないでしょう。正直に内定承諾までの期限を伸ばせないか相談してみてください。
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辞退が決まった時点でなるべく早く人事に連絡する
内定承諾後に辞退をする際に、伝えづらいからといって連絡をせずに先延ばしにしたり、サイレントで辞退をすることは絶対にやってはいけません。辞退すると決めた時点で、なるべく早く人事にメールや電話で連絡をすることが大切です。
企業は内定者イベントや入社後の配属部署を考えるなどスケジュール調整をしていることもあるため、マナーの観点からも早く辞退を伝えられる電話がおすすめです。今まで選考でお世話になった旨を感謝しながら、謝罪とともに辞退する旨を伝えましょう。電話やメールの例文はこのあと解説しているため、参考にしてください。
この記事の冒頭でも伝えたとおり民法627条では、労働契約の解約についていつでも解約の申し入れができることになっており、会社に対して解約の意思を伝えてから2週間後に契約が解消されると定められています。そのため、2週間前でも辞退は可能ですが、企業側への配慮として、遅くても内定式までには辞退をしておきたいところです。
民法627条
期間の定めのない労働契約については各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができ、解約の申し入れから2週間を経過することによって終了する
企業へ連絡をせずに辞退することで、卒業大学のイメージを損ない、社会人としての素質も疑われてしまうので、何も言わずに辞退することは避けるべきです。
企業にとっても再度募集をかけるべきか判断が遅くなり、繁忙期に伴う人員追加であれば、その企業の従業員全員へ負担をかけてしまう可能性があります。
また、企業側ではサイレントなのか、何か事情があって連絡ができないのかを判断することはできないので、履歴書に記載のある大学や緊急連絡先に連絡がいってしまう可能性もあります。
結果的に、意図しない形で周囲にサイレント辞退をした人と思われるかもしれません。
内定辞退に悩んでいる人は以下の記事を参考にしてみてください。内定辞退をいつまでにすべきかを解説しています。
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「内定辞退の連絡はいつまでにするべきなのか」と考えている人もいるでしょう。内定辞退の連絡はわかり次第迅速に連絡しましょう。連絡方法は電話がおすすめです。ただ、担当者が電話に出ない場合はメールでも構いません。本記事では電話、メール、手紙の内定辞退に関する例文にキャリアアドバイザーのアドバイスを加えて解説しています。
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辞退する旨と辞退する理由をはっきりと伝える
辞退をする意思の堅さを人事に伝えるためにも、辞退する旨や理由はうやむやにせず正直に伝えることが大切です。
また、企業側は翌年の採用活動の参考にするためにも学生の辞退する理由を知りたいと考えることも多いです。そのため、辞退をする立場としては理由を言いづらいと感じるかもしれませんが、聞かれた場合は理由を伝えるようにしましょう。
大切なことは、自分を認めてくれた企業に対して誠意を尽くすことです。複数企業の内定承諾をしていたなどすべてを正直に話す必要はありませんが、理由をしっかりと伝えられるように準備しておきましょう。
内定承諾後に辞退をする理由の例
- 他の会社から内定をいただいたので、辞退します
- 非常に悩みましたが、他社への入社を決めました
- 自分の将来について考え直しました
- 自分には適性がないと感じました
辞退するという結論を企業に伝え、理由を聞かれた場合は理由を伝え丁寧にお詫びをします。
相手企業を貶めるようなことや詳しい比較など余計なことは言う必要がありません。最後にこれまでの感謝を述べて終われると良いですね。
次の記事では、内定辞退するときの理由についてより詳しく解説しています。何を伝えたら良いのかわからなくなっている人はぜひ読んでみてくださいね。
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内定辞退の理由を伝える例文11選|4つの注意点でトラブルを防ごう
内定辞退の理由を企業にどう伝えるべきか悩みますよね。気を付けないと辞退を受け入れられない、怒られるなどのトラブルになる可能性もあります。この記事では内定辞退の理由で守りたいポイントと例文11選を、キャリアアドバイザーとともに解説します。
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内定承諾後に辞退する場合の例文
メールで辞退をするケースもありますが、基本的には電話で直接伝えましょう。円満に辞退できるように、ビジネスマナーを守って連絡する必要があります。
なんて伝えたら良いのかわからない人に向けて、今から内定承諾後に辞退する場合の電話とメールの例文を解説します。
電話で辞退する場合
電話で辞退をするときは、営業時間内にかけることが大切です。また、一般的に始業して間もない時間やお昼時、終業間際は忙しい傾向にあるため電話をするのは避けましょう。
たとえば、9時〜18時が営業時間の企業に電話を掛けるときは、10時〜12時、14時〜17時を目安に連絡をしてくださいね。
電話で辞退する場合
学生:お世話になっています。私、〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇と申します。お忙しいところ恐縮ですが、採用担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?
採用担当:お電話変わりました。〇〇です。どうされましたか?
学生:お世話になっています。〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇です。〇〇様、ただいまお時間よろしいでしょうか?
採用担当:はい、どうぞ。
学生: 先日は内定のご連絡をいただき誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、悩みぬいた結果今回の内定は辞退させていただきたくご連絡をいたしました。
採用担当:それは非常に残念です……。差し支えなければ理由をお聞かせいただければと思います。
学生:はい。ほかにも選考に進んでいた企業があり、そちらからも内定をいただきました。非常に悩んだのですが、自分の将来や適性を慎重に考えた結果、そちらの企業に入社をしようと決めました。
採用担当:そうでしたか。〇〇さんとはぜひ一緒に働きたかったので残念ですが、承知いたしました。
学生:〇〇様には大変お世話になり感謝しています。また本来であれば御社に直接伺うべきところですが、お電話でのご連絡となり申し訳ございません。
採用担当:いえ、他社でもご活躍を期待しています。また仕事上でかかわる機会があればよろしくお願いします。
学生:ありがとうございます。貴重なお時間をいただきながら、このような形になってしまい申し訳ありません。またご機会あれば何卒よろしくお願いします。それでは、失礼します。
担当者が不在の場合、言づてにしてしまいたいという気持ちになると思いますが、必ず採用担当者と話すようにしてくださいね。
あなたが受けない方がいい職業を確認して下さい
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
メールで辞退する場合
内定辞退の連絡を電話でしたものの、担当者が不在だった場合はメールで辞退することを伝えましょう。件名を見ただけでどんな用件のメールなのかがわかるようにします。
また、電話で一報入れた旨を伝えましょう。
送信メッセージ
TO〇〇〇〇@theport.jp
CC△△△△△@portcarrier.com
件名【内定辞退のご連絡】〇〇大学〇〇学部〇〇学科 港太郎
株式会社〇〇
採用ご担当
△△様
お世話になっています。
内定の通知をいただきました〇〇大学〇〇学部〇〇学科の港 太郎です。
先ほどお電話させていただきましたが、席を外されていたようだったのでメールにて失礼します。
このたびは、内定のご連絡をいただきまして誠にありがとうございます。
内定をいただいたにもかかわらず誠に恐縮なのですが、自分の適性について改めて考えた結果、内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
貴重なお時間を取っていただいたにもかかわらず、このようなお返事となり大変心苦しく感じています。
本来は直接お会いしてお詫び申し上げなければならないところ、メールでのご連絡となりますこと、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
面接をご担当いただいた△△様を始め、皆さまには大変お世話になりましたことを心より感謝しています。末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
―――――――――――――――――――――――
港 太郎(みなと・たろう)
〇〇大学〇〇学部〇〇学科〇〇年
携帯電話:080-XXXX-XXXX
メール:minato@〇〇〇〇.ab.jp
―――――――――――――――――――――――
メールで内定承諾後に辞退をするケースとしては「①内定辞退を決断後すぐに電話で担当者に伝えようとしても、担当者が不在や多忙ですぐに電話で話せそうもない場合」「②あらかじめ内定の返事に関する連絡をメールでおこなうように指示があった場合」があります。
メールだからといって雑な辞退にならないよう、丁寧な言葉遣いや気持ちで辞退をしましょう。
内定承諾後に辞退をするときに抱きがちな不安と対処法4選
内定承諾後に辞退をするときに抱きがちな不安と対処法4選
- 怒られたとき:誠心誠意対応する
- 引き止められたとき:曖昧な返答はしない
- 理由を追及されたとき:嘘はNGだがすべてを正直に言う必要はない
- 会社に呼び出されたとき:呼び出しに応じる必要はない
内定辞退の連絡は、企業のことを考えると言い出しにくく感じる人も多いと思います。連絡をしようにも不安が募りますよね。
少しでも不安を解消した状態で礼儀正しく辞退の連絡をするためにも、今から解説する対処法を参考にしてください。
- 2社の内定承諾をしています。内定を1つに絞ったあとに、もしもその1社から内定取り消しに遭ってしまったらと思うと不安でなかなか辞退できません。どうしたら良いのでしょうか?
基本は内定取り消しは起こらないが、企業に事業計画などを聞くことも手
基本的に内定の取り消しのような状況になることは少ないです。しかし、心配していることが100%起こらないとは限りません。
この場合は、内定先企業の採用担当者に今後の会社の事業計画や現在の業績などを聞くことで判断材料を増やすようにしてください。このことで内定取り消しという可能性を低くすることができます。
まずは自己分析ツールで自分の強み・弱みを確認しよう!
・自己PRや志望動機に使える長所を知りたい人
・自分にあった仕事を知りたい人
①怒られたとき:誠心誠意対応する
マナーを守って辞退を連絡すれば、基本的に怒られることは少ないです。しかし、中にはあなたに対する期待感から裏切られたと感じてしまい声を荒らげる人事もいるかもしれません。
そんなときは、内定まで時間を割いてもらったお礼と辞退するお詫びを改めて伝えることで誠心誠意対応しましょう。
また、怒られそうだからといって連絡をせずに辞退することは企業に多大な迷惑をかけることになるため、必ず連絡をしましょう。
確かに怒られたり嫌なことを言われる可能性もありますが、企業も学生もお互いの都合で動いている以上致し方ないことです。
もし感情的な対応をされたら「やっぱり辞退で良かったのだ」とむしろ喜んでください。
②引き止められたとき:曖昧な返答はしない
特に電話で辞退をした際には、考え直すことはできないかと引き止められることもあります。断り切れずに不本意なまま入社をしてしまわないためにも、きっぱりと断る強い意識を持つことが大切です。
引き止められて気まずい気持ちになり「また考えてみます」などと辞退をあやふやにしても、結局辞退のタイミングが先延ばしになって余計に言いにくくなります。「大変申し訳ございませんが、他社に行くことに決めてしまいました」などとお詫びをしつつきっぱりと答えましょう。
まれなケースですが、人事からの泣き落としで内定辞退を引き止めようとすることもあります。「これ以上内定辞退が出たら自分が左遷されてしまう」などと人事から言われて、罪悪感を増幅させられても、毅然とした態度でいることが大切です。
- 引き止められてやっぱり辞退をせずに入社をしようと考え直しました。1度はその企業を辞退しようとしたことで何か不利益を被ることはありますか?
基本的にはあからさまな不利益はない
1度は辞退を伝えたにもかかわらず入社しようと考えた理由が、「引き止めてくれた担当者や会社への一時的で感情的な判断なのか」それとも「改めて冷静に考えたうえでの決断なのか」をよく自問自答してみてください。
あからさまな不利益にはならないとしても、企業側の反応はその企業の他の学生の内定状況によって変わってきます。また、選考上のあなたの評価によっても変わってくる可能性があります。
たとえば、採用が企業の思うように進んでいない場合は、一転して内定を受けるというあなたに対しても、それほど否定的な反応を示さない場合も考えられます。
しかし最悪のケースとして、入社後の評価がほかの同期より厳しくなる可能性もゼロではないため、その点は覚悟しましょう。
③理由を追及されたとき:嘘はNGだがすべてを正直に言う必要はない
内定承諾後に辞退を伝えた場合、辞退をする理由を追及されることもあります。単に来年の採用の参考にしようとする場合もありますが、何とか自社に入社をさせられないかといった意図で理由を追及されることもあります。
「本当に他社でなくてはならないのか」「やりたいことは自社でもできるのではないか」と理由を深掘りされることもありますが、すべてを正直に言う必要はありません。一度述べた辞退理由を改めて伝えることで、辞退の意志が固いことを示しましょう。
④会社に呼び出されたとき:呼び出しに応じる必要はない
基本的にほとんどの企業は、内定承諾後に辞退をする学生であっても企業に来るように指示を出すことはありません。企業から呼び出されるケースとしては、どうしても欲しい人材だと評価されているときが挙げられます。
企業を訪問すれば辞退をしないように説得されることはもちろん、厳しく追及される可能性もあるため、呼び出しには基本的に応じる必要はありません。ただし、もし辞退に迷いがあるのなら、呼び出しに応じて自身の懸念や不安を相談するのも1つの方法です。
もし呼び出しを断るとしたら、「せっかく面談の機会をいただき大変申し訳ございませんが、今回はこのまま辞退とします」など、お詫びするとともに意思が変わることがないことを伝えてくださいね。
- 内定承諾書を書いたからもう辞退できないと企業に言われてしまいました……。どうすれば良いですか?
受け入れてもらえない場合は専門機関に相談すると伝えよう
内定承諾書には法的拘束力はなく、あくまで入社意思を示すものですが、書面のため証拠として残ってしまい、企業側からすると書面で氏名を記載しているため辞退できないと言いやすいのです。
ただ企業側も、辞退希望者が入社しても継続したパフォーマンスを上げるのは困難だと考えるので、新人教育などにかかるコストを考えると、仕方なくでも受け入れることがほとんどです。
なお、謝罪と辞退理由を伝えても受け入れてもらえない場合は、管轄の労働基準監督署などの機関へ相談する旨を伝えると、無理強いはされないと思います。
内定承諾後の辞退は相手に配慮をしてわだかまりがないように就活を終えよう
ここまで解説してきたとおり、内定承諾後に辞退をするということは相手企業に大きな迷惑をかけることになります。しかし、就活は自分が納得する形で終わらせる必要があるため、辞退をする意思が固い場合はすぐに辞退の旨を企業に連絡するようにしましょう。
内定承諾後に辞退をする際には、企業に対する配慮と、今後も仕事上でかかわる可能性があること、慎重に判断をしないと後悔する原因になることを念頭においてくださいね。
今回解説した内定承諾後の辞退の方法を踏まえて自分に合った選択をして、就職後に活き活きと働けるように就活を気持ちよく終えましょう。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る内定承諾後に辞退をするなら迷いがない状態にしよう
内定承諾後に辞退をするか迷っているみなさんは、まず辞退を決めるまでに丁寧に比較検討をして、迷いがない状態にしてから覚悟を決めて辞退をしてください。
決断が二転三転してしまったり、人事に泣き落されて意に反して入社してしまったりすると、その先仕事で苦しいことがあったり失敗したりすると格好の言いわけができてしまいます。そして、それがあなたの成長の足を引っ張ります。つまり、あなたのスキルを上げるべき局面にもかかわらず、「入社する会社を間違えた」という解釈ができるため、認知の歪みにつながってしまうのです。
自分の責任として意志を強く持つことが大切
そもそもしっかり就活をして最後の最後に迷うような会社であれば、どちらに入社してもそれほど差はないはずです。差があったとしたら企業分析が間違っていたわけで、どちらにしても自分の責任とも言えます。潔く決めた会社で頑張るしかないのです。
「別の会社に入っていたらどうなっていたか」というのは検証できないだけでなく、正解はわかりません。そうであれば、目の前の仕事と会社を良い状態にするしかないではありませんか。自分に負い目を持たないために、あくまでも礼儀正しく、意思を強く持って辞退に臨みましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
4名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/Koyoriキャリアワールド代表取締役
Chieko Kimura〇2度のアメリカ留学、20年以上の外資系IT企業勤務を経て、現在は留学生向け就職支援をおこなう。また、企業のキャリア支援や新入社員のクラウドコーチングなどにも幅広くたずさわる
プロフィール詳細社労士/社会保険労務士法人エンジン代表
Atsushi Nagashima〇新卒で大手飲料販売会社へ入社。転職し人材紹介業の傍ら社労士の資格を取得。社労士法人の勤務を経て、2017年に永島社労士事務所(現・社会保険労務士法人エンジン)を開業
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