この記事のまとめ
- 内定保留期間の目安は時期によって異なる
- 内定保留にはリスクがともなう
- 6つのポイントを意識して内定保留の連絡をしよう
- 自己分析ツール
たった3分で面接で使える"あなたの強み"がわかる!
この記事を読んでいる人におすすめ
大本命の企業の選考を控えた状態で、他社から内定をもらうと、承諾すべきか悩む人も多いでしょう。「内定承諾を待ってもらうにはどうすればいいの」「内定保留はいつまで待ってもらえるの」など、内定の保留について多くの学生が悩んでいます。
内定保留はポイントを意識して伝えれば、多くの企業で待ってもらうことが可能です。例文を参考に内定保留を担当者に伝えましょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの隈本さん、瀧本さん、木村さん、社会保険労務士の涌井さんのアドバイスを交えつつ解説します。内定保留に関して悩んでいることがある人は、ぜひ参考にしてくださいね。
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内定保留の理解を深めて後悔のない就活にしよう
内定保留の相談で多いのが、「内定保留をしても選考結果に影響はないのか」「内定保留の伝え方や待ってくれる期間がわからない」というもの。企業もスケジュールや予算を組んで採用活動をしているので、トラブルに発展しないように対応することが大切です。
記事では、「内定保留期間の目安」を時期ごとに把握できるように詳しく説明します。その後で、内定を保留するメリットとリスクを解説。後悔なく就活を終えられるように、内定保留のポイントや例文も解説します。
例文を参考にポイントを意識した文章を作成して、内定保留をスムーズに打診しましょう。
また、内定保留で遭遇する可能性のあるトラブルと対処法についても紹介しています。トラブルにも焦らず冷静に対応したい人は、ぜひ確認してくださいね。
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そもそも内定保留は可能?
企業に内定承諾を待ってもらう内定保留。学生に認められた権利なので、多くの企業は内定保留を認めています。
内定通知書は企業からの労働契約受諾の意思表示となるため、通知をもって労働契約が成立します。しかし、契約を締結するか否かは当事者の自由であるため、内定を保留することも可能です。
企業にとって、懸念を抱いたまま内定を承諾されても、ギリギリで内定を辞退されたり、早期に退職されたりする方がマイナスです。そのため、多くの企業は内定保留を認めています。
- 「御社が第一志望です」と言っていた企業なので、内定保留をお願いするのは怖いです……。本当に認めてもらえるのでしょうか?
認められるものの長くは待ってもらえないケースが多い
第一志望と伝えていたとしても、内定の連絡に対して承諾をしない限りは労働契約としての拘束力はないので、内定保留の願い自体は受け入れられる可能性が高いです。
ただ、採用担当者の印象が悪くなる可能性が高く、企業側も辞退された際に新しい候補者の選定が必要になるため、あまり長くは待ってもらえません。
お願いをするのが怖くても、内定を貰っても入社を迷うような状態ならば、いつまでに返答するかと併せて保留したい旨を伝え、自分が入社したい意欲について再度考える時間を設けましょう。
いつまで待ってくれる? 内定保留期間の目安
「内定保留の期限を伝えたいが、保留期間の目安がわからない」という人もいるでしょう。内定保留期間の目安を時期ごとに解説します。
ただ、業種や採用スケジュール、採用方針によって内定保留を認めている期間は異なります。実際の内定保留期間は、自分の状況を伝えたうえで担当者と相談してください。
内定をもらう時期によって違う
内定保留期間の目安は1週間程度が一般的です。内定通知時期によって1カ月程度猶予があるケースもあります。また、選考が完全に終了するまで待ってくれるケースもあり、企業や内定をもらう時期によって異なります。
大学3年生の場合
大学3年生に内定をもらった場合、長期間内定を保留できる傾向があります。
ベンチャー企業や外資系企業は、就活が解禁される3月よりも前に早期選考を実施しています。優秀な人材を早期に囲い込みたいからです。
しかし、これらの企業から内定をもらう優秀な学生は、ほかの企業も内定を出す確率が高いので、内定辞退を想定して採用活動をおこなっています。
自分が選考を受けている企業や受ける予定の企業を事前に伝えていれば、日系大手企業が内定を出す6月まで待ってくれる企業もあります。
早期選考を実施している業界や早期選考の受け方については、以下の記事を参考にしてみてください。
早期選考を実施する業界一覧! 早めに内定を獲得する5つの秘策
- 数カ月待ってほしいと伝えると悪いイメージを持たれてしまう気がします。一度内定を承諾してはいけないのでしょうか。
承諾後の辞退はなるべく回避するべき
企業は学生が自分の第一志望、またはより志望度が高い企業の選考結果が出るまで待ってほしいと考えていることは十分承知しています。
また、内定を受諾した学生の中でも一定の割合で後日辞退を伝えてくる可能性があることも想定しています。
しかし、内定辞退の連絡が遅れる学生の数が増えてしまうと、場合によっては追加で内定を出さなければならない事態が発生します。内定受諾後に辞退されてしまう方が、保留期間を設けるよりも迷惑な事態なのです。
後日辞退する可能性がある企業の内定は、安易に承諾しない方が良いことを理解しておきましょう。
大学4年生の4~5月の場合
内定を保留にできる期間は、企業によって異なります。一般的には2週間程度が多いです。
多くの日本企業は3月にエントリーを解禁し、書類選考通過の面接を始めます。そのため、4月〜5月になると、内定をもらう学生が出てきます。
ただ、大手企業は6月の選考解禁を待ってから内定を出す傾向があるので、大手企業の選考を受ける予定であれば1〜2カ月ほど保留期間が必要です。保留期間が長くなるので、感謝と謝罪を伝えて誠意を表現してください。
また、保留の期限を明確に伝えられるように、選考が控えている企業に結果がわかる時期を確認しておくと無難です。説明会や面談で、内定通知時期を質問しておきましょう。
大学4年生の6~7月の場合
大手企業は10月1日以降に開催する内定式に向けて、6月に集中して内定を出す傾向にあります。そのため、大企業の選考を受けている人は、6月にたくさんの面接を受ける可能性があります。
多くの企業が内定を出す時期なので、内定保留の猶予は短めです。目安は1週間ほどなので、早めに連絡できるように準備しておきましょう。
また、内定の承諾時期を1週間後までなどと一律で期間を定めている企業もあります。期限を過ぎると内定を辞退したと見なされるので、どうしても待ってほしい場合は内定通知後すぐに伝えてください。
一方で、企業側が6月の段階でほかの内定者からある程度返答を得られていて、採用者数が目標に達している場合は、比較的長めに内定保留を待ってもらえます。
ただし、企業によりますが、長いといっても2週間程度と考えておきましょう。
大学4年生の8~9月の場合
企業は内定式に向けて最後のスパートをかけます。採用人数の上限におおよそ達してはいますが、あと数人採用したいなどと採用人数を調整しようと考える企業が多く、内定を出した学生の承諾・辞退の結論に応じて採用活動をおこないます。
そのため、内定保留の期間が長いと企業やほかの学生に迷惑をかけることになります。遅くとも1週間以内に結果を報告するよう、期限を設定してください。
9月末に内定をもらった場合は、10月1日以降に開催される内定式に間に合うように早めに結果を伝えましょう。
大学4年生の10月以降の場合
内定式が終了すると、採用活動をおこなう企業の数は激減。次年度の採用活動に向けて動き出し始めます。
内定辞退者が想定より多かったり、採用人数に届かなかったりした企業が、採用活動を継続しています。とはいえ、春や夏のように多くの学生に内定を出すわけではありません。
1人の学生が内定を保留している間、ほかの学生の選考がストップする可能性もあります。2~3日以内に結果を連絡できるようにしておきましょう。
内定辞退は入社の2週間前まで可能
内定保留期間を過ぎて内定辞退をした場合でも、学生は労働者と同じ労働契約法で守られており、内定辞退をすることは法律上で認められています。
民法627条では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。
つまり、入社まで2週間以上の期間がない場合、2週間後が4月に突入しているため、辞退ではなく退職扱いになります。
とはいえ、入社の2週間前まで内定の承諾と辞退で悩む人はほとんどいないでしょう。企業側は入社を想定して準備を進めているため、ほかの企業の選考結果が通知されたり、自分の考えがまとまったりしたら、すぐに担当者に結果を伝えてください。
選考の進み具合は企業によって異なります。また、面接を重ねるうちに志望度が変わることもあり、すぐに諾否を判断できないケースもあるでしょう。
しかし、常に自分の中で優先順位はできるだけ明確に持ち、内定の承諾と辞退の意思表示は、極力速やかにおこなうことが非常に重要です。
アドバイザーコメント
涌井 好文
プロフィールを見る内定保留で損害賠償請求されることは極めて稀
内定を辞退すれば損害賠償請求されるのではないかと不安に感じる人もいるでしょう。しかし、原則として内定辞退で損害賠償請求されることはありません。内定辞退は、民法627条1項の解約権の行使であるため、14日以上前に告知をしていれば違法性はないためです。
ただし、企業は内定者を社員として雇用するためにたくさんの手間と費用をかけて準備をおこなっています。選考に要する費用も決して低いものではなく、企業側の入社への期待も保護しなければならないでしょう。
そのため、内定承諾書を提出した後のような入社直前になっての辞退であれば、著しく信義に欠ける行動として、損害賠償請求が認められる可能性も存在します。
辞退する場合は企業への配慮を忘れないようにしよう
損害賠償請求されるケースは、極めて例外的でしょうが、仮に内定辞退をする場合には余裕を持って企業へ告知すると安心できます。
また、内定保留で損害賠償請求されるようなことはないでしょうが、企業が入社への期待を持っていることに違いはありません。そのため、内定辞退同様に企業側に配慮したスケジュールを心がけましょう。
あなたはどれに当てはまる? 内定保留をする5つの理由
内定保留をする理由
- 第一志望の選考結果を待ちたいから
- 他社からも内定をもらって悩んでいるから
- すぐに承諾するのは不安だから
- ほかの業界や企業も見てみたいから
- 留学や進学と迷っているから
内定保留を伝える際は、多くの企業で保留する理由を聞かれるため、答えられるようにしておきましょう。担当者が理由を聞くのは、理由によって内定を保留する期間が異なるからです。
ここからは、新卒の就活によくある内定保留の理由を5つ紹介します。
①第一志望の選考結果を待ちたいから
第一志望の企業の選考を控えているというのが、内定を保留をする理由として最も多いでしょう。第一志望から内定をもらえるかわからないため、内定を承諾するか辞退するか悩みます。
また、第一志望の最終面接を受けているが、選考結果を待っているケースもあります。結果がいつわかるのか、最終面接時に伝えられるケースが多いので、必ず確認して内定保留の際に期限を伝えましょう。
「内定をもらった企業で働きたいか」が大事な指針です。第一志望の選考に落ちた場合を考えて、働きたい企業であれば内定保留を伝えてください。
②他社からも内定をもらって悩んでいるから
明確に第一志望の企業が定まっておらず、第一志望群として就活を進めていた人もいるでしょう。そのような人に多いのが、同時期に複数社から内定をもらって悩むケースです。
「どの企業が最も自分に合っているのか」「どの企業を選ぶのが将来の自分にとって最適なのか」など、どの企業の内定を承諾するか悩む人も多いでしょう。内定保留を伝える際は、担当者に悩みを正直に打ち明けてください。
企業によっては内定承諾までの期間に面談の機会を用意してくれます。
どの企業の内定を承諾するか迷った際は、以下の記事で判断基準を解説しているので、参考にしてみてください。
内定承諾に迷う人が持つべき判断基準|NGな考え方も解説
内定者からの質問に人事や現場の社員が答える機会として「内定者面談」を実施する企業も多くあります。承諾するか悩んでいる人にとっては貴重な機会なので以下の記事を参考に準備をしたうえで臨みましょう。
内定者面談は何をする? 当日の流れ・持ち物・服装・質問例を解説
複数社から内定をもらった場合は、自分の理想の働き方ができる可能性が高い方を選びましょう。待遇面が同程度だった場合は、これまでお世話になった社員を思い出して、自分によりフィットする企業を見極めてください。
③すぐに承諾するのは不安だから
内定0の不安と戦いながら就活を進めて内定をもらうと、「本当にこの企業に入社して大丈夫なのか」と次の不安が襲ってくる人もいます。
定年まで働くのであれば、約40年所属する組織なので、決断に自信を持ちにくいです。そのため、すぐに承諾するのが不安という理由で内定を保留にする学生もいます。
内定を出した後、学生にゆっくり考えてもらうため、一定期間後に内定承諾の連絡を求める企業もいます。早い決定を迫って、内定辞退や早期退職のような結果を避けたいからです。
企業と出会うことは難しく、入社しなければわからないことも多々あります。「なぜその会社を選んだのか?」という原点に立ち帰り、転職という手段もあるという気持ちの余裕を持って、就職活動の期限も意識して決断しましょう。
いざ内定をもらうと「内定ブルー」に陥る人もいます。内定ブルーの原因や対処法については、以下の記事で解説しています。
内定ブルーの原因は? 感情に流されない適切な対処法を徹底解説
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④ほかの業界や企業も見てみたいから
採用活動のスケジュールは、業界や企業によって異なります。そのため、内定をもらっても第一志望の業界の本選考まで期間が空いてしまうケースがあります。一次面接すら始まっていないケースもあるので、内定保留時に選考状況を伝えてください。
多くの企業は面接時、学生にどのような業界や企業を受けているのか質問します。テレビ局と証券会社のように、業界が大きく異なると志望理由を聞かれます。
就活の軸を基本にそれぞれの業界を志望する理由を話せるようにしておきましょう。
企業側からすると、さまざまな業界を受けている学生に対して、強い興味を示している業種が複数ある、もしくは逆に強い興味を持っている業種がなく、志望が定まらずにいろいろな業種を受けているという2通りのイメージを持たれる可能性があります。
どちらにせよ、担当者が納得する理由を伝えられるかが重要です。
面接時の志望動機の答え方については以下の記事で解説しているので、面接対策に役立ててください。
面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG
就活の軸が定まっていない人は、こちらの記事を参考にして自分の軸を考えてみましょう。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
⑤留学や進学と迷っているから
就職ではなく、長期留学や大学院への進学と迷って内定を保留にするケースもあります。長期留学は休学して渡航する人が多く、大学にもう一年通います。卒業を入社条件に設定している企業が多いため、入社できません。
また、大学院に進学する場合は学生を継続することになるので、内定を辞退することになります。院試は9月ごろと1月ごろの2回に分けて実施されるのが一般的です。結果が出るまでだと、保留期間がかなり長くなってしまうので待ってもらえない企業も多いです。
どちらの理由も他社の選考結果待ちのような明確な期限はないので、早めに意思を固めて保留後の連絡をしましょう。
- 大学院への進学と就職で迷っています。人事に正直に伝えるべきなのでしょうか。
企業の採用計画を考慮して正直に伝えよう
これは正直に伝える方が良いです。企業には採用計画があり、内定したあなたが辞退してしまうと採用活動を継続しなければならなくなるからです。
もし、あなたが大学院への進学をせずに入社した場合には、その期待に応えようと企業側も準備をしたいと考えます。また、自社を進路先として真剣に考えていることについて、前向きに評価するでしょう。
内定を保留する3つのメリット
内定を保留するメリット
- 納得して就活を終えられる
- 第一志望の企業の結果を待てる
- 家族や友人に相談できる
内定の承諾を企業に待ってもらう内定保留。ここからは、内定を保留するメリットを解説します。
①納得して就活を終えられる
内定保留の最大のメリットです。内定を保留して就活を続ければ、他社の選考を満足いくまで受けて、納得して就活を終えられる傾向にあります。
一方で、内定を早めに承諾して就活を終えてしまうと、挑戦していない企業への未練が残り、早期退職や採用活動終了後の内定辞退につながります。
とはいえ、ギリギリでの内定辞退は、ほかの企業の選考でも良い印象を与えません。担当者は内定承諾後に辞退される可能性があると考え、内定をためらう可能性があります。
一度しかない新卒の就活を後悔なくやり切るために、内定保留を上手に活用しましょう。
②第一志望の企業の結果を待てる
内定を保留することで、第一志望の企業の選考結果を待てます。内定保留を活用しないと、第一志望の企業にチャレンジせずに内定を承諾して就活を終えるか、辞退して内定を失うかのどちらかに。
しかし、内定を保留すれば第一志望の企業に挑戦して、もし落ちても内定先は確保できています。落ちた時のセーフティーネットがあることで、自信を持って面接に挑める効果もあります。
内定保留の連絡をする際は、「〇日に最終面接がある」「最終面接の結果が〇日にわかる」など、明確な期限を担当者に伝えておきましょう。
- 内定保留の期限を伝えたら、「そこまで待つのは難しい」と言われてしまいました……。
理由を伝えても受け入れられない場合は企業の指示に従おう
まず、内定保留を伝える際には、「なぜその日でなければならないのか」を正直に伝えることから始めましょう。ほかの会社の面接や結果待ちの状態ならば、その旨を連絡することが大切です。
理由を伝えても待つのが難しいと言われたら、採用担当者に返事の期限を聞いたうえでその日までに返信しましょう。企業側にも採用スケジュールがあるため、内定者の中で一部の人だけを特別扱いはできません。
そのため、企業側の対応や態度などから入社後に信頼関係を築けるかどうかも考慮したうえで、内定を承諾するかどうかを定められた期限までに伝えましょう。
③家族や友人に相談できる
内定を保留している間に、家族や友人に相談できます。「自分の性格と合っているか」「業界動向はどうか」など、自分をよく知る人から相談してアドバイスをもらいましょう。
とはいえ、最終的に決定するのは自分自身です。就活の軸と照らし合わせて、企業が自分に合っているか判断してください。
自己分析の方法は以下の記事で解説しているので、参考にして自分に合った仕事を見つけてください。
自分に合った仕事を簡単4ステップで発見! 後悔しない方法を解説
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見る内定保留は自分に合った企業で働くためにも必要な手段
現在、若年層の人口減少により、多くの業種で人材不足の状態が恒常化しています。そのため企業は、適正人数の人材確保が難しくなっており、売り手市場が続いています。
また、感染症拡大も落ち着き始めて、各企業の経済活動は活発になってきました。これらの影響から各企業の採用活動は長期化し、就職活動をする学生にとっては希望の企業に入社できるチャンスが高まっています。
納得したうえで入社するのは企業にとっても望ましい
さらに企業側には、納得して入社し長く働いてもらいたいという気持ちがあります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、学生には納得するまで就職活動をしてもらいたいのです。
内定を保留することは、学生にとっては自身の可能性にチャレンジができるというメリットがあり、企業側にとっては入社後のミスマッチが防げるというメリットがあります。
また、現代は先行きが不透明な時代でもあり、不測の事態で自身のキャリアが変わってしまう可能性があります。その点も考慮して保留期間にじっくりと考えられれば、内定保留は自分の理想のキャリアを実現させるための有効な手段の一つであると考えられます。
内々定の場合は、内定のような拘束力がないため安易に承諾してしまう人も多くいます。しかし、本当に安易に承諾してしまっていいのでしょうか。内々定を出せれた人は以下の記事をチェックしてみてください。
内々定をとりあえず承諾するのは危険? リスクや判断基準を解説
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そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
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入社後に影響が出るかも? 内定を保留する際の3つのリスク
内定を保留する際のリスク
- 入社意欲を疑われる
- 対応が不誠実だと担当者に悪い印象を与えてしまう
- 内定を取り消される可能性がある
学生に認められた権利である内定保留。多くの企業は内定を承諾するか早く決めてほしいと考えています。採用する人数を確定して採用活動を終えたいからです。
ここからは、内定を保留する3つのリスクを解説します。内定を保留する際にはどのようなリスクがともなうのか、事前に把握しておきましょう。
①入社意欲を疑われる
内定を保留にすることで、入社意欲を疑われるケースがあります。特に「内定をいただけたら、就活を終えて御社に入社します」と、面接で回答したケースです。
面接時と違うことを言っていることになり、「どの企業にも同じことを言っているのか」「志望度が低いのでは」など、担当者は不信感を抱くことがあります。
- 内定保留をする企業に入社する可能性も十分あるので、なるべく入社意欲を疑われることは避けたいです。どうすればいいでしょうか?
保留したい理由を丁寧に伝えよう
面接で第一志望について質問を受けていたり、もし内定が出たら受諾する気があるかなどの質問をされていた場合は、それまでに企業に伝えてきた内容をふまえて、内定を保留したい理由を丁寧かつわかりやすく説明する必要があります。
たとえば、複数企業との面接が進む中で志望の優先順位が変わってしまった場合は、どのような理由で志望度に変化が生じたのか、単なる気持ちの変化だけではなく、誠意を持って納得感の得られる理由を説明するように努めましょう。
そのうえで、どのような状況またはタイミングになれば、内定を受諾するかどうかの判断ができるのかを明確に伝えることが大切です。
②対応が不誠実だと担当者に悪い印象を与えてしまう
内定保留は学生に認められている権利ですが、連絡が遅くなったり、理由が曖昧だったりと、不誠実な対応をすると担当者に悪い印象を与えてしまいます。
就活時の印象が人事評価や配属に影響を与える可能性があるので、伝え方など内定保留の対応には注意が必要です。
後半で解説するポイントや例文を参考に、誠実な対応を心掛けてください。
企業としては、学生が選考を受けている時点で、ある程度の入社意志があると考えています。そのため、内定の連絡をしてから短期間で辞退の連絡を入れてくる学生は不誠実だと思ってしまう人もいるでしょう。
③内定を取り消される可能性がある
企業は年度ごとに上限人数を決めて採用活動をおこなっています。どのくらい内定を出すと、何人くらいが入社するか計算して選考を進めています。そのため、早く内定を承諾するかどうか決めてほしいと考えています。
しかし、内定を保留にされると学生が入社するか判断できません。採用人数が少ない企業では、1人が内定を保留にするだけで採用活動が進みません。最悪の場合、保留になっている内定を取り消して新たに採用活動を始める可能性があります。
実際に取り消しになったケースに遭遇したことはありませんが、内定保留期間も企業は採用活動をおこなっているため、保留している人よりもマッチ度が高く入社意欲が高い人材が見つかれば、そちらを優先して内定取り消しを出す可能性があります。
内定保留をして内定取り消しになる可能性については以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
内定が取り消された事例も? 内定保留の方法やリスクを徹底解説
まずは自己分析ツールで自分の強み・弱みを確認しよう!
・自己PRや志望動機に使える長所を知りたい人
・自分にあった仕事を知りたい人
内定保留をスムーズにおこなうための6つのポイント
内定保留をスムーズにおこなうためのポイント
- すぐに伝える
- 理由を明確に伝える
- 回答期限を設定する
- 内定を承諾する意思があることを伝える
- ビジネスマナーを守る
- 電話とメールをする
内定保留をスムーズにおこなうためにはいくつかポイントがあります。ポイントを意識していないと、失礼な伝え方になる可能性があります。解説するポイントを把握して、スムーズに内定保留を伝えられるようにしましょう。
内定保留を伝える際は、誠意が非常に重要です。期限を曖昧にしたり、連絡が遅くなったりしないようにしましょう。ポイントを把握して内定保留を伝えれば、担当者へ誠意が伝わります。
①すぐに伝える
内定保留をする際は、すぐに伝えましょう。内定保留の連絡が遅くなると、その間にほかの学生への結果通知が遅くなったり、結果が変わってしまったりするからです。
内定保留は学生に認められた権利ですが、場合によっては企業に迷惑をかける行為です。保留する意思があるのであれば、誠意を持って早めに伝えてください。内定保留は自分の問題だけではなく、企業の担当者やほかの学生にも影響があることを理解しておきましょう。
企業の採用には年間の採用計画があり、内定保留数が増えれば、必要な内定者数を満たすためにすぐに次の内定オファーを出す必要があります。学生が内定保留の意思を早く伝えることで、企業は一早く次の対策を打つことが可能になるのです。
内定をもらって保留を伝えるのは勇気がいりますよね。以下の記事では保留の伝え方を詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
内定を電話で通知されたときの受け答え|保留や辞退したい場合も解説
②理由を明確に伝える
内定を保留にする際は、理由を明確に伝えてください。保留の理由によって、待遇が変わるケースは限定的です。むしろ、多くの企業は学生に最後まで就活をやり遂げてほしいと考えています。担当者が不信感を抱かないよう、内定を保留にする理由は明確に伝えましょう。
ただ、「第一志望の選考が残っている」のような失礼な表現には注意が必要です。「ほかの企業と迷っている」「最終面接で話を聞いて決めたい」など、伝え方には工夫しましょう。
また、嘘をつくのも避けましょう。学生を何人も見ている担当者は、嘘に気が付きます。嘘だと思われると印象が悪くなってしまうので、理由は正直に伝えましょう。
- 滑り止め企業の内定を保留する場合、どのように理由を伝えれば角が立たないでしょうか?
他社との間で悩んでいることを正直に伝えよう
電話で保留を申し入れる場合、以下を参考にして伝えましょう。
先日、自分ではチャレンジのつもりで選考を受けていた企業から思いがけず、良い選考結果をいただきました。
そこで、選考を進めていただいている御社との間で大変悩んだのですが、就職活動に悔いを残さないためにも、まずはこのように悩んでいることについて連絡をさせていただきました。
もし、可能であれば内定を保留させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
内定保留だけではなく、辞退をするときにも理由をきちんと伝えることが大切です。次の記事で内定辞退の理由について紹介しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
内定辞退の理由を伝える例文11選|4つの注意点でトラブルを防ごう
③回答期限を設定する
内定保留を連絡する際は、理由と一緒に回答期限も伝えてください。両親への相談やほかの内定先との比較の場合は一週間程度が一般的です。
ただ、第一志望の最終面接が控えているケースもあるでしょう。そのような場合は、「〇日にご連絡します」のように期限を設定してください。
また、選考が始まっていないケースは結果がわかるまでに時間がかかります。いつまでなら待ってもらえるのか、相談して期限を設定しましょう。
期限を設定していないと、担当者は学生に進捗状況を問い合わせる必要があります。手間をかけさせないために、回答期限は必ず決めておきましょう。
④内定を承諾する意思があることを伝える
内定は企業があなたを評価したことを意味します。評価してもらった企業を待たせることになるので、内定を承諾する意思を伝えてください。
「ほかの企業の保険です」「第一志望に落ちたら入社します」など、失礼な伝え方には注意が必要です。入社前に悪い印象を与えないためにも、内定を承諾する意思を見せて内定保留の連絡をしましょう。
「御社への入社を真剣に考えていますが、一度しかない新卒の就職活動を納得のいくまで続けたいです」というニュアンスの回答が望ましいです。
⑤ビジネスマナーを守る
内定保留の連絡の際は、言葉遣いや連絡する時間帯など、ビジネスマナーに気をつけてください。言葉遣いではバイト敬語に注意が必要です。丁寧な印象を抱いて使っている学生もいますが、言葉遣いに違和感を持たれる可能性があります。
注意が必要な敬語の誤用
- 「履歴書のほうは」の「ほう」(ほうは比較対象がある場合に使用する)
- 出身地を聞かれた際に「大阪になります」(なるは状態の変化を意味するが、出身地は変化するものではないから)
- よろしかったでしょうか(過去形の使用は誤り)
- なるほどですね(目上の人になるほどの使用は失礼にあたる)
また、電話をかける時間にも注意を払いましょう。勤務時間外にかけるのは非常識です。業務開始直後や終了間際の忙しい時間帯やお昼休みを避けてかけるのが無難です。10時~12時、14時〜16時の、担当者が電話に出やすい時間帯を狙いましょう。
⑥電話とメールをする
内定保留の連絡は、電話とメールの両方を活用するのがおすすめです。
電話は直接言葉を伝えられるので、担当者は誠意を感じます。また、素早く伝わるので業務をスムーズに進められます。一方で、電話がつながらなくて連絡が遅くなったり、記録が残らずトラブルに発展したりするケースもあります。
電話の問題点を解決するのがメールです。内定保留の承諾や期限が明確にわかるように、電話をした後にメールも送りましょう。
担当者に電話がつながらない場合は、先にメールを送ってください。電話に出れなくてもメールは確認できるケースがあります。
アドバイザーコメント
木村 千恵子
プロフィールを見る心理的安全のために保留にするのは避けよう
第一志望があらかじめ決まっている場合でも、選考が進むペースや面接での印象などから第一志望の内定を得られる確証が持てなくなることもあるでしょう。そんなときに、安全策として志望度の低い企業の内定をキープしておきたいという心理が働いてしまうことがあります。
そのような状況に陥ると、本音では入社する気はまったくなくても、自分が安心するために行く気のない企業の内定を保留したまま確保しておきたいという気持ちになりがちです。
保留する前に入社する可能性があるのかを自分に問いかけよう
しかし、そのような無駄な内定保留は企業にとって非常に迷惑な行為です。もしその企業に最終的に行く気が持てないと感じているなら、そう感じている理由を自問自答して確認してみてください。
必要に応じて学校のキャリアカウンセラーや信頼できる相手に相談するのも良いですね。
そして、できるかぎり早く決断して、内定を保留するのか辞退するのかを企業にはっきりと伝えることが大切です。
内定の保留を伝える際の例文
「内定保留の伝え方がわからない」「電話で伝える際に焦ってしまいそう」のような悩みを抱えている人もいるでしょう。内定保留の伝え方はテンプレートがあり、決まった型に沿っていれば、担当者に失礼なく伝えられます。
電話とメールの例文を紹介します。例文を参考にして、スムーズに内定保留を伝えてください。
電話
電話
学生:お世話になっております。〇〇大学の〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますか。
受電者:おつなぎするので、少々お待ちくださいませ。
学生:はい
担当者:お電話変わりました。〇〇株式会社人事部の〇〇です。
学生:このたびは内定のご連絡誠にありがとうございます。御社から評価をいただいて非常にうれしく思っています。今すぐにでもお返事させていただきたいのですが、〇月〇日までお返事を待っていただけないでしょうか。
担当者:理由を教えていただけますか。
学生:他社の最終面接が〇月〇日にございます。入社後に後悔の残らないよう、最後まで就活をやり遂げたいと考えているためです。
担当者:わかりました。では、内定のお返事は〇月〇日までお待ちしています。
学生:私の都合で申し訳ございませんが、よろしくお願いします。では、失礼します。
以下の音声は、内定保留の際の学生と採用担当者の電話でのやりとりの例です。電話で保留を申し出るときの様子がよりリアルにイメージできるのでぜひ併せて確認してくださいね。
本当は最終面接のときに他社の選考も受けていることを伝えてほしかったと感じますが、正直に連絡をしてきたことは評価したいと思います。
回答期限を延長してもらえたら、「ありがとうございます」と一言お礼の言葉をプラスして伝えたいところです。
メール
送信メッセージ
TO〇〇〇〇@theport.jp
CC
件名内定保留に関するご相談(〇〇大学 〇〇)
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の〇〇です。
このたびは内定のご連絡、誠にありがとうございます。貴社からの評価を大変うれしく思います。
電話でもお伝えしたとおり、現在選考を受けている企業があり、〇月〇日に最終面接を控えています。大変恐縮ですが、〇日まで承諾の猶予をいただくことは可能でしょうか。
貴社に大変魅力を感じており、すぐにでもお返事をさせていただきたいのですが、今後の人生にかかわることなので、やり遂げて悔いのない結果にしたいと考えています。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
〇〇大学〇〇学部
〇〇 〇〇
tel:xxx-xxxx-xxxx
e-mail:[email protected]
承諾と辞退のどちらも解説! 内定保留後の結果を伝える際の例文
内定保留を伝えた後、期限までに担当者へ結果を報告する必要があります。「承諾の文章で入社後の印象が悪くなったらどうしよう」「待ってもらった分、内定辞退の連絡をしにくい」など、考えている人もいるでしょう。
承諾、辞退ともに早めの連絡が非常に大切です。企業の採用活動の方針や選考結果に影響が出る可能性があるからです。
ここでは、内定を承諾する場合と辞退する場合に分けて例文を解説します。内定保留をして伝え方に困っている人は、例文を参考にして内定保留後の結果を伝えてください。
内定や内々定の承諾・辞退に関する注意点や例文については、以下の記事でも紹介しています。参考にしながら、誠意の伝わる文章を作成してください。
内定とは? 内々定との違いから承諾・辞退の連絡まで徹底解説
内定を承諾する場合
保留後に内定を承諾する場合は、内定を保留してもらったことへの感謝と一緒に、内定承諾の意思を伝えてください。設定した期限までに意思が決まったのであれば、期限まで待たずにすぐに連絡しましょう。
電話
電話
学生:お世話になっております。〇〇大学の〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますか。
受電者:おつなぎするので、少々お待ちくださいませ。
担当者:お電話変わりました。〇〇株式会社人事部の〇〇です。
学生:お世話になっています。〇〇大学〇〇学部の〇〇です。このたびは内定のお返事にお時間をいただき、誠にありがとうございます。
数日間熟考した結果、御社へ入社させていただくことを決意しました。入社後は一日でも早く御社に貢献できるよう、努力して参ります。
勝手な申し出にもかかわらず、回答を保留にしていただき誠にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
上記の例文は、入社の意思を伝えたうえで、待ってもらった期間のお詫びも伝えられている点が好印象だと思います。保留していた理由にもよりますが、入社を決断したポジティブな理由も一言添えられると良いでしょう。
メール
送信メッセージ
TO〇〇〇〇@theport.jp
CC
件名内定承諾のご連絡(〇〇大学 〇〇)
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の〇〇です。
このたびは私の勝手な申し出にもかかわらず、回答を保留にしていただき誠にありがとうございました。
数日熟考した結果、貴社への入社を決意致しました。納得のいくまで就職活動を続けさせていただいたこと、大変ありがたく思っております。
貴社に貢献できるよう、仕事に邁進する所存でございます。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
〇〇大学〇〇学部
〇〇 〇〇
tel:xxx-xxxx-xxxx
e-mail:[email protected]
納得のいくまで就職活動を続けさせてもらえたという感謝の気持ちが伝わる良い文面です。
もし内定受諾後の手続きに関して内定通知時に情報が提供されていた場合は、その指示に従って手続きを進める旨も文末で伝えておくと良いでしょう。
内定を辞退する場合
内定を辞退する場合も、できるだけ迅速な連絡を心掛けてください。電話で担当者に辞退を伝えた後、記録に残るメールや手紙で連絡するのがおすすめです。
何度か電話を掛けてもつながらない場合は、メールを送った後に電話をかけてください。
どの連絡方法でも、内定を保留にしてもらったことへの感謝を忘れないようにしましょう。
内定を貰うまでにお世話になった社員全員に対して感謝の気持ちを伝えるぐらいの思いを持つことが重要です。一人ひとりがあなたの入社を期待していたその気持ちを忘れないよう、丁寧な対応を心掛けましょう。
電話
電話
学生:お世話になっております。〇〇大学の〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。
受電者:おつなぎするので、少々お待ちくださいませ。
担当者:お電話変わりました。〇〇株式会社人事部の〇〇です。
学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部の〇〇です。このたびは内定のお返事にお時間をいただき、誠にありがとうございます。
大変光栄なお話ですが、辞退させていただきたいと思い、ご連絡致しました。貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。大変恐縮ではございますが、ご了承のほどよろしくお願いします。
内定保留を願い出て待ってもらったのにもかかわらず、一方的に辞退することを伝える内容だと、人事担当者の心証を害する恐れがあります。お詫びの前に、辞退する理由を一言添えることで相手の納得感を得られるでしょう。
メール
送信メッセージ
TO〇〇〇〇@theport.jp
CC
件名内定辞退のご連絡(〇〇大学 〇〇)
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の〇〇です。
このたびは私の勝手な申し出にもかかわらず、回答を保留にしていただき、誠にありがとうございました。電話でもお伝えさせていただいたのですが、内定を辞退させていただきたいと考えております。
貴社のみなさまには、貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このような結果となってしまい誠に申し訳ございません。
今後とも貴社の更なる発展を、心よりお祈り申し上げます。
〇〇大学〇〇学部
〇〇 〇〇
tel:xxx-xxxx-xxxx
e-mail:[email protected]
- 内定保留後に辞退する場合、電話・メール・手紙のどれがおすすめでしょうか?
電話での連絡が基本
まずは電話で辞退の連絡をしましょう。メールや手紙のような無機質なコミュニケーションよりも、電話の方が感情を伝えやすいからです。
また、「違う進路先でも頑張ってほしい」と声かけをしたいと考える企業もあります。社会はいろいろな形でつながっていて、いつかどこかでビジネス上のつながりができるかもしれません。そういったときに良好な関係が築けることを期待して、エールを送りたいとも思うからです。
ただ、電話での辞退の連絡は、後日の「言った言わない」というトラブルが起こることを避けるため、書面でも辞退の連絡を求められる場合があります。
こちらのQ&Aでは内定辞退を3月に行う場合のリスクについてキャリアコンサルタントが回答しています。
焦らないで! 内定保留に関するトラブルと対処法
学生に納得して入社してもらうために、多くの企業が内定保留を認めています。ただし、早く内定を承諾してほしいと考える企業もあり、内定保留でトラブルに遭う可能性があります。
トラブルに遭った際、焦って適切な対応ができないと、後悔の残る就活になってしまうかもしれません。ここからは、内定保留に関するトラブルと対処法を解説します。
内定保留で起こりうるトラブルを把握して、冷静に対応してくださいね。
内定保留を断られた
内定保留は学生に認められた権利ですが、断られるケースがあります。採用活動を円滑に進めたい企業が、採用人数を確定させるために内定保留を断るようです。
学生の内定保留が可能な一方で、企業がそれを認めないことも自由です。保留されている段階では未だに労働契約が成立していません。
そのため、認めないと言われた以上は、内定を受諾し労働契約を成立させるか、その企業への就職を諦めるほかありません。
内定保留を断られた企業に入社したいという気持ちがあるのであれば、一度内定を承諾して、他の内定先が決まった時点で辞退することも一つの方法です。ただし、内定辞退は可能であるものの、企業の立場に配慮して、なるべく速やかに連絡するようにしましょう。
承諾後に内定を辞退する方法については、以下の記事で例文を交えて解説しているので、参考にしてみてください。
内定承諾後の辞退で大惨事? 断り例文付きで不安別の対処法を解説
オワハラに遭った
内定保留の意思を伝えると、オワハラに遭う可能性があります。
オワハラ
「就活終われハラスメント」のこと。内定を出した学生に就活を終えるよう圧力をかけることを指します。
最終面接で内定を出した後に面前で面接辞退の連絡をさせたり、就活の終了と引き換えに内定を出すケースも中にはあります。
しかし、企業には学生の就活をコントロールする権限はありません。「親と相談したい」「一度持ち帰ってゆっくり考えたい」など、冷静に対処してその場で決断しないようにしてください。
また、オワハラをする企業には、入社後も理不尽な要求をされる可能性があります。入社する企業を決定する際の参考材料にしてみてください。
- 内定先からオワハラを受けました。ほかの就職先を探した方がいいと周りから言われるのですが、従うべきでしょうか?
これまでの印象を振り返って自分で判断しよう
オワハラをおこなった企業に対して、自分が受けた印象を重視して判断しましょう。
オワハラの状況にもよりますが、実際に企業と面と向かって触れ合ってきたのは自分なので、採用試験全体を通して受けた印象などから判断することが大切です。
人の意見や感情だけで判断せず、オワハラを受けたことも含めたうえでその企業とのマッチ度を改めて見直しましょう。
内定を取り消された
学生に納得のいくまで就活を続けて就職先を決定してほしいと考えている企業も多く、内定保留を伝えた段階で内定を取り消すケースはかなり限定的です。
それでも内定を取り消された場合は、都道府県労働局に相談しましょう。専門の相談員が企業との間に入って、助言や指導をしてくれます。時間と費用はかかりますが、弁護士への相談も一つの選択肢です。
内定によって労働契約は成立するため、内定承諾後の取り消しは解雇に相当します。正当な理由のない解雇は違法なため、不当解雇として損害賠償を求めることも可能です。
また、社員としての地位確認請求をし、入社を求めることも1つの方法となるでしょう。
- 内定保留で内定を取り消す会社に入社するのが不安です。ほかの企業の選考を受けるべきでしょうか。
会社の都合に納得できるかで判断しよう
内定保留で内定を取り消す可能性がある会社に対しては、そのような方針を取っている理由を失礼にならないようにたずねてみることは可能です。
何かその会社なりの妥当な理由ある場合、その理由に納得できるかどうかは自分次第です。明確な理由を教えてもらえない場合、ほかの企業の選考を追加できる段階ならば、応募先企業をもう一社増やすこともできます。
内定保留を適切に活用して納得のいく形で就活を終えよう
ここまで解説したとおり、内定保留を活用すれば、納得のいくまで就活を続けられます。多くの担当者も、学生には就活をやり遂げてほしいと考えているため、一定期間の内定保留は認めてくれます。
今回解説したポイントや例文を参考に、内定保留を上手に伝えて後悔の残らない就活にしてくださいね。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る内定保留を申し出ることに後ろめたさを感じる必要はない
就職活動では複数の企業に応募するのが一般的であり、内定連絡のタイミングによっては保留をお願いすることも少なくありません。
そのため、その企業と同等以上の志望度の企業の選考や合否連絡待ちの場合は、マナーを守ったうえで、内定を保留したいことを遠慮せずに伝えるようにしましょう。
保留したい理由と期日をしっかり伝えよう
企業側も学生が複数の企業に応募していることは理解しており、内定承諾を強制できないこともわかっています。そのため、内定保留を断られることはほとんどありませんが、保留をお願いする理由や期限についてはしっかりと伝えましょう。
内定保留の後に承諾や辞退の連絡をする際は、これまで待ってもらったことへの感謝を伝えるのはもちろん、どちらにせよ決断した理由を一言添えるのが社会人としてのマナーです。
企業によっては、内定保留を受け入れてくれなかったり、期限が極端に短く設定されたりすることもあります。その場合は、企業側の採用活動のスケジュールにもできるだけ配慮することが大切ですが、自分の納得度と就職活動の期限を意識して決断しましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/Koyoriキャリアワールド代表取締役
Chieko Kimura〇2度のアメリカ留学、20年以上の外資系IT企業勤務を経て、現在は留学生向け就職支援をおこなう。また、企業のキャリア支援や新入社員のクラウドコーチングなどにも幅広くたずさわる
プロフィール詳細社労士/涌井社会保険労務士事務所代表
Wakui Yoshifumi〇平成26年に神奈川県で社会保険労務士事務所を開業。企業の人事労務相談や給与計算などを請け負う。また、関与先企業の社員のキャリアプランなどに関してアドバイスをしている
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