専門家が解説! 内々定と内定の違い|6つの取り消しパターンとは

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士

    Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう

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  • キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

    Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう

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  • キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事

    Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修

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この記事のまとめ

  • 内々定と内定の違いは法的拘束力があるかどうか
  • 内々定に関するよくある3つの不安を専門家が解決
  • 内々定後に必要なアクションと取り消しリスクを知ろう

長い選考が終わり、内々定を通知されるとやっと一息つけて安心できますよね。しかし改めて考えると、「内々定とはどういうこと?」「内定と違うの?」と気になる人も多いでしょう。内々定を得たら就活は終えるべきなのか、内々定が取り消されることはないのか不安な人もいますよね。

内々定は内定とは意味が違うため、正しい定義を理解して、自分に必要な行動を理解することが重要です。この記事では内々定と内定の違いや取り消しのリスクを、キャリアアドバイザーの瀧本さん、谷所さん、若林さんとともに解説します。内々定後に注意すべきポイントを把握して、トラブルなく就活を終えられるようにしましょう。

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内々定は口約束なのでその後の行動にも注意が必要

内々定は内定の前段階であり、「これから内定を出す」という口約束です。学生側は就活をやめることも継続することもできますが、内々定には取り消しのリスクもあるため、扱いに注意しないと就活を一からやり直さなければならない可能性もあります。

記事の前半ではまず内々定と内定の違いを図を用いて解説します。内々定にまつわるよくある疑問にもキャリアの専門家が回答するので、内々定の意味を正しく理解しましょう。

後半では志望度別に内々定後に取るべきアクションと、取り消しになるパターンを解説します。就活を継続するにしろ内々定を承諾するにしろ、正しいマナーや注意点を把握して、企業に誠実な対応ができるようにしてください。

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内定と内々定の違いは? いつ出る? 正しい意味を知ろう

内々定後に内定を受けて入社するまでの流れ

内々定と内定の違いを知らないと、その後の就活を安心して進められないでしょう。また自分が取るべき行動・取ってはいけない行動を明確に理解できず、企業に対して失礼な行動をしてしまうかもしれません。

ここではまず内々定と内定の2つの違いと意味を時系列に添って解説するので、自分はどの段階にいるのかを確認しましょう。

就活の流れを全体的におさらいしたい場合はこちらの記事がおすすめです。時期別の注意点を把握して、適切な行動を取ってくださいね。
就活の流れを5ステップで解説! 時期別の選考対策も紹介

内々定:10月以前に通知される口約束

内々定とは「うちうちに内定が決まっている」という意味で、「10月以降に内定を出します」という口約束のようなものです。

経団連が定める採用選考に関する指針により、新卒採用では「正式な内定通達は、卒業・修了年度の10月1日以降にする」というルールがあります。そのため10月以前に最終選考に合格すると、内定ではなく内々定を通知されることになるのです。

内々定には法的拘束力がないため、滅多にないことですが企業側は取り消しが可能で、学生側も場合によって就活を継続することができます

ただし企業に「入社します」と嘘をついて就活を継続するとトラブルになる可能性が高いため、内々定をキープしたまま就活を継続したい場合は、正直に伝えることが大切です。詳しくは後ほど解説します。

法的拘束力がないなら、企業はなぜ内々定を通知するのでしょうか?

若林 宏美

プロフィール

適切な人材をなるべく確保しておきたいから

法的拘束力がなくとも、内々定を出すことで企業側は優秀な学生を他社よりも早く確保しておきたい、ほかの会社に行ってほしくないというのが本音です。

そのほかにも、現在は求人数が求職者数を上回っている売り手市場のため、あらかじめ採用数を把握しておきたいという意図もあります。

企業は学生を採用するために費用も時間もかけているので、学生が就職したいのと同じくらいの熱量で、「適切な人材に就職してもらいたい」と思っています。つまり内々定はその意思の表れということですね。

内定:10月以降に通知される正式な労働契約

一方で内定は企業と学生の間で雇用条件などに合意し、正式な労働契約が結ばれた状態のことです。10月1日以降に通知され、学生が内定承諾書などに署名する形が一般的です。

内定を取り消すということは解雇にあたるため、合理的な理由がなければ企業が一方的に取り消すことはできません。学生側も、内定を承諾すると企業との労働契約を結んだことになるため、基本的には就活を終了する必要があります

民法で定められている「労働契約の解約権の行使」により、入社2週間前までは内定辞退が可能です。しかし承諾後の辞退は企業に引き止められたり怒られたりなどのトラブルになりやすいため、慎重に考えましょう。

労働契約の解約権とは

民法第627条第1項にて「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められている

瀧本博史

プロフィール

実際には10月以前に内定を出す企業もあります。企業間での競争力を保つためと、新卒学生の早期確保を目指すためです。

マイナビの2024年卒大学生活動実態調査 (8月)によると、2024年卒業予定の大学生・大学院生の内々定率は8月末で83.9%でした。

多くの企業が優秀な学生を確保するために早期からリクルーティング活動を開始しているのです。その分学生は、ほかの企業の選考を待たずに安心して内定を受け入れられるというメリットもあります。

内々定と内定を使い分けない企業はありますか?

谷所 健一郎

プロフィール

外資系企業や一部の日系企業で使い分けないことがある

外資系企業などは経団連に加盟していないため、内々定と内定を使い分けず、早期に内定を出す傾向があります。一部の外資系企業では大学3年生の冬には内定を出しています。

また日系企業で内々定と内定を使い分けていない企業もあり、内々定の段階で、自社に入社してもらうように積極的に働きかけをおこなっています。

内々定の段階で入社日の入った通知書を渡すケースや、10月1日以前に研修などの参加を促す企業は、内々定と内定を使い分けていない企業と言えるでしょう。

内定の意味や扱いをより詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。内定承諾の連絡方法や辞退する際の注意点も解説しています。
内定とは? 内々定との違いから承諾・辞退の連絡まで徹底解説

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専門家に聞いた! 内々定に関するよくある3つの疑問

専門家に聞いた! 内々定に関するよくある3つの疑問

  • 内々定取り消しの確率はどれくらい? 
  • 内々定はとりあえず承諾しても良い? 
  • 内々定辞退に対する企業の本音は? 

内々定と内定の違いを解説しました。意味が理解できても、法律や契約がかかわるとなると、実際に内々定をどのように扱えば良いのか不安になる人も多いですよね。

ここでは内々定にまつわるよくある疑問について、キャリアコンサルタントが解説します。悩みや不安を解消して、内々定後の動きの理解を深めましょう。

①内々定取り消しの確率はどれくらい? 

「内々定には法的拘束力がないため企業側は取り消しが可能」と聞くと、仮に承諾して就活を終了した場合に、後から取り消されて入社先がなくなったらどうしよう……と不安になるのも当然です

ここではキャリアコンサルタントの瀧本さんが、学生が内々定を取り消される可能性はどれくらいあるのかについて実態を解説します。

アドバイザーコメント

適切な学生生活を送っていれば内々定取り消しの確率は低い

新型コロナウイルス感染症により、企業の経営悪化などで内々定取り消しの事例もありましたが、第5類に移行してからは、取り消し確率は非常に低いです。

内々定が取り消される理由としては企業の経営状況の急激な悪化が多く、学生側では犯罪を犯すなどの重大な違反行為、取得単位不足による卒業不可が挙げられます。

しかしこれ以外の場合では、多くの企業が内々定を出した学生に対して、入社を前提とした準備を進めています。

内々定は軽いものではなく入社を前提として出している

法的拘束力がないにもかかわらず、企業が簡単に内々定を取り消さないのは、企業のブランドや評価を守るため、また学生との信頼関係を築くためです。

内々定は企業が学生を高く評価し、その学生に入社してもらいたいという強い意志を示すものです。そのため企業は内々定を軽く出すことはせず、真剣に入社を望む学生にのみ提示しています。

そのため内々定の温度感についても、企業は内々定を「とりあえず」出すという考えは持っていません。企業が学生を採用したいと考えている証であり、その後のオリエンテーションや研修の計画も、その学生が入社することを前提に進められます。

最後に就活を進めるうえでのアドバイスとして、内々定をもらった後も、その企業とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を保つことを意識してください。

そして自分自身の価値観やキャリアビジョンをしっかり持ち、最適な企業選びをすることを心がけましょう。

内々定の取り消しリスクについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。実際の裁判の事例も紹介しているので対処法の参考にしてください。
内々定を取り消しされる可能性は? 取り消されるケースや対処法を解説

②内々定はとりあえず承諾しても良い? 

内々定をもらっても、より志望度の高い企業の選考が終わっていない場合、「内々定をキープしたまま就活を続けたい」と思うものです。またできるだけ選択肢を残しておいて、最終的にじっくり比較検討してから決めたいという人もいますよね。

そのような場合に、内々定をとりあえず承諾しても良いのでしょうか。ここではキャリアコンサルタントの谷所さんにリスクや正しい対応を聞きました。

アドバイザーコメント

迷っているなら期日を相談してとりあえずの承諾は避けよう

企業側も例年の内々定辞退者数から、一定の辞退があることは承知しているので、志望度の高い企業の選考が残っているなどの理由で、内々定をとりあえず承諾することは問題ありません。

志望度の高い企業の選考結果がわからない状況ならば、内々定をとりあえず承諾しておいたほうが良いでしょう。

一方すでに別の企業から内々定をもらっている場合は、とりあえず承諾して選別を先延ばしにせず、どの企業に入社するのか考えるべきです。

決断できない場合は、承諾の期限を延ばしてもらうなどの相談をして、とりあえずの内定承諾はすべきではありません。

後から辞退する際のリスクも認識しておこう

内々定を後から辞退することは可能ですが、企業は辞退されることで新たな学生を採用しなければならなくなります。安易な気持ちで内々定の企業を増やしていくことはやめましょう。 

内々定をとりあえず承諾すると、辞退をするときにリスクが発生することがあります。たとえば「就活を終了するなら内々定を出す」などといわれて承諾した場合、内々定辞退は可能なものの、企業から厳しく非難される可能性があります。

また学校推薦などで内々定をもらっている場合は、辞退することで企業と学校の関係が悪くなり、来年度以降の推薦に影響するケースがあるでしょう。

内々定は内定のような拘束力がないため安易に承諾してしまう人が多くいます。以下の記事ではとりあえずで承諾してしまうリスクをまとめているので参考にしてみてください。
内々定をとりあえず承諾するのは危険? リスクや判断基準を解説

こちらは内定承諾に関する記事ですが、承諾の判断基準について解説しています。後悔しないための注意点をぜひチェックしましょう。
内定承諾に迷う人が持つべき判断基準|NGな考え方も解説

③内々定辞退に対する企業の本音は? 

とりあえず承諾する場合のリスクや選択肢を解説しましたが、それでも自分はどうすべきか悩む人もいますよね。特に気になるのが、後から内々定を辞退した場合の企業の反応や対応でしょう。

新卒採用をしている企業は内々定辞退に対してどのように考えているのでしょうか。キャリアコンサルタントの若林さんに企業側の本音を聞きました。

アドバイザーコメント

内々定辞退が一定数あることは企業側も想定している

皆さんも知っているかもしれませんが、1人の学生が何社からも内々定をもらうケースは意外と多いものです。そのため企業側も、ある程度の内々定の辞退は想定内になってきています。

内々定はあくまでも口約束に近いもので、特に強く引き止められるという話はあまり聞きません。しかし専門職・クリエイティブ系など少数精鋭を採用するタイプの企業や、想定より採用見込みが少ない企業では、引き止められることもあるようです。

ただそこまで強く引き止められるわけではないので、心配しなくても大丈夫ですよ。

内々定/内定にかかわらず辞退するなら丁寧な対応が必要

一方で内定辞退は、学生側の権利として法律では認められているものの、企業側にとっての損失も大きくなります。

具体的には、予定していなかった秋採用を実施しなくてはならない、想定していた人数が採用できず中途採用をおこなうなど、新たに雇用のためのコストがかかってしまいます。

どちらも学生にとっては直接関係がないことと思うかもしれませんが、就職後に辞退した企業とかかわる機会があるかもしれません。内々定も内定も、辞退する際には採用担当者に直接電話で伝え、お互いにとって気持ちよく辞退できるようにしましょう。

内定が出た場合、そのまま就活を続けるリスクについてはこちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが解説しています。就活を続けたい人は併せて確認しましょう。

内々定だけでなく内定も承諾した場合、後からの辞退がトラブルになるリスクが高まります。気になる人は内定後の動きもこちらの記事で確認してください。
内定承諾後の辞退で大惨事? 断り例文付きで不安別の対処法を解説

第一志望の内定を得られなかった場合など、「一度内々定を辞退したが取り消したい」という事態になるケースもあります。こちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが対処法を解説しているので、辞退の取り消しが可能なのか気になる人はぜひ参考にしてください。

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志望度によって異なる! 内々定後のアクションと注意点

志望度によって異なる! 内々定後のアクションと注意点

  • 内々定先に入社したい場合
  • 内々定を保留したい場合
  • 内々定を辞退したい場合

内々定に関するよくある疑問について解説しました。不明な点を解消できたら、実際に内々定を通知されたらどのように行動すれば良いのかを見ていきましょう。

内々定後のアクションは、その企業に対する志望度によって異なるので注意が必要です。ここでは志望度別に必要な行動を解説するので、内々定をもらったらスムーズに次のステップに動き出せるようにしましょう。

内々定先に入社したい場合

内々定先に入社したい場合

  1. 内々定承諾の意思を早めに伝える
  2. 電話で承諾した場合はメールも送る

内々定をもらった企業に入社したい場合は、なるべく早めにその意思を企業に伝えてください。伝える際にもポイントがあるので、ここでは2ステップに分けて解説します。

①内々定承諾の意思を早めに伝える

入社したい意思が固まったら、承諾期限ぎりぎりまで待たずにその時点ですぐ連絡しましょう。早めに伝えると人事担当者が安心できるだけでなく、礼儀を重んじるような企業では内々定承諾の返事が早い人を評価することもあります

もちろん焦って返事をする必要はないですが、ほかに気になる企業がない場合や、もともと第一志望の企業であれば、早めに伝えるに越したことはないでしょう。

電話で内々定を承諾する例

学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇と申します。お忙しいところ恐縮ですが、採用担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか? 

採用担当:お電話変わりました。〇〇です。どうされましたか? 

学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇です。〇〇様、ただいまお時間よろしいでしょうか? 

採用担当:はい、どうぞ。

学生: 先日は内々定のご連絡をいただき誠にありがとうございます。本日は、ぜひ御社の内々定をお受けしたく、お電話いたしました。

採用担当:そうなんですね。〇〇さんと一緒に働けて私もとてもうれしいです。

学生:ありがとうございます。ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、御社で活躍できるよう精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

採用担当:はい、こちらこそよろしくお願いします。今後の流れについては、またメールであらためてご連絡しますね。

学生:承知いたしました。お電話のお時間をいただきありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。それでは、失礼いたします。

②電話で承諾した場合はメールも送る

基本的には電話で内々定を通知されてその場で返事をしたり、後から内々定承諾の電話をかけたりする場合が多いです。

電話で伝えると安心してしまうかもしれませんが、電話した後は同じ内容のメールも併せて送りましょう。マナーとしてふさわしいだけでなく、企業と学生の双方に内々定承諾の証拠を残すという効果もあります

以下の例を参考に、メールでも内々定へのお礼と入社したい意思をあらためて伝えましょう。

送信メッセージ

TO〇〇〇〇@theport.jp

CC

件名【内々定承諾のご連絡】〇〇大学〇〇学部〇〇学科 港太郎

株式会社〇〇
採用ご担当 〇〇様

お世話になっております。
この度内々定をいただきました〇〇大学〇〇学部〇〇学科の港 太郎です。
先ほどはお忙しい中、お電話のお時間をいただき誠にありがとうございました。

改めまして、内々定をいただき誠にありがとうございます。
先ほどもお伝えしましたとおり、貴社の内定をありがたくお受けいたします。

貴社で活躍できるよう精進してまいりますので、
どうぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

今後ともよろしくお願いいたします。

―――――――――――――――――――――――――――――――
港 太郎(みなと・たろう)
〇〇大学〇〇学部〇〇学科〇〇年
携帯電話:080-XXXX-XXXX
メール:minato@〇〇〇〇.ab.jp
―――――――――――――――――――――――――――――――

谷所 健一郎

プロフィール

内々定を承諾する際は、「ありがとうございます」などの感謝の言葉だけでは承諾なのかが判断できないので、内々定を受けることをきちんと言葉やメールで伝えることが大切です。

感謝の気持ちと内々定を受ける意志を伝えたうえで、今後の意気込みも簡潔に伝えると良いですね。

第一志望であっても、内定を承諾すると「本当にこの企業で良いのかな……」と内定ブルーに陥る可能性があります。対処法がわからないと悩み続ける恐れがあるので、こちらの記事で事前に確認しておきましょう。
内定ブルーの原因は? 感情に流されない適切な対処法を徹底解説

内々定を保留したい場合

内々定を保留したい場合

  1. いつまで待ってほしいのか早めに伝える
  2. 嘘はつかずに誠実に対応する

内々定をもらっても、すぐに承諾するか迷う人も多いものです。より志望度の高い企業の選考が続いていたり、内々定先の企業に懸念があったりする場合は、最後まで就活を続けてから結果次第で判断したいと思いますよね。

内々定を保留して就活を続けるのはもちろん学生の自由ですが、企業に失礼な態度を取らないように、やりとりに注意が必要です。ここでは内々定を保留する場合に必要な行動とポイントを解説します。

①いつまで待ってほしいのか早めに伝える

内々定を保留したい場合、ただ返事をせずにいると不誠実な対応になるだけでなく、辞退と受け取られることもあります。「内々定をもらえてうれしいが、すぐには承諾できない」ということをまず早めに伝えることが大切です

その際は、具体的にいつ返事ができるのかも併せて伝えると丁寧であり、企業にも熱意が伝わります。

連絡方法は電話がおすすめです。メールだと迷惑メールとしてはじかれてしまうリスクや担当者がすぐに気付かないリスクがあるためです。以下が内々定を保留にして就活を続けたい場合の使え方の例なので、参考にして企業に電話しましょう。

内々定を保留したいことを電話で伝える例

学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部の〇〇と申します。お忙しいところ恐れ入りますが、採用担当の〇〇様をお願いできますか? 

採用担当:お電話変わりました。〇〇です。

学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇です。ただいまお時間よろしいでしょうか? 

採用担当:はい、大丈夫ですよ。

学生: 先日は内々定のご連絡をいただき誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、承諾のお返事を〇日まで待っていただきたくご連絡いたしました。

採用担当:そうなんですね。差し支えなければ理由を伺っても良いですか? 

学生:はい。ほかにも興味がある企業があり、最終選考を〇日に控えています。御社の内々定をいただき非常にうれしい気持ちもありますが、入社後に後悔しないためにも、納得いくまで受けきってから、慎重に決めたいと考えています。

採用担当:そうでしたか。わかりました。またご連絡お待ちしていますね。

学生:ありがとうございます。それでは、失礼いたします。

内々定の保留は何日くらい可能なのでしょうか?

瀧本博史

プロフィール

場合によりけりだが長くても数週間程度が多い

内々定の保留期間については、企業や業界によって異なります。

一般的には郵送やメールなどで内々定の通知を受け取り、そこに企業が提示する期限が書かれています。その期間内に返答することが求められ、期間は1週間~数週間の範囲で設定されることが多いです。

しかし保留を希望する場合や返答に時間がかかる場合は、企業の人事担当者と直接相談することが重要です。誠実に自分の状況や考えを伝え、理解を求めることで、柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。

ただし長期間の保留は企業側の採用活動に影響を及ぼすため、できるだけ早めの返答を心がけることが望ましいです。

内定を数カ月など長期間保留したい場合はどうすべきか困ってしまいますよね。こちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが解説しているので、正しい行動を把握しましょう。

②嘘はつかずに誠実に対応する

企業に理由を追及されたり説得されたりしたらどうしようと思うと、内々定の保留を願い出るのも勇気がいりますよね。しかし企業も、一度きりの就活で学生がさまざまな業界・企業を見比べて迷うことは当然承知しています。そのため嘘をついたりごまかしたりするのは避けましょう。

たとえばほかに選考に進んでいる企業があるのにないと伝えると、選考結果がなかなか出なかったり選考自体が遅れたりして、後から焦ることになります。また企業への懸念点や不安を隠す人もいますが、迷っている点を正直に伝えることで、自分の勘違いだとわかったり、よりフランクに話せる面談を設けてくれたりすることもあります。

正直な気持ちを伝えて企業の対応が悪くなるくらいなら、合わない企業だと判明して迷いもなくなると考えましょう。

若林 宏美

プロフィール

保留したい場合の注意点として、「内々定は保留できないこともある」ということを知っておきましょう。

内々定が口約束であるのと同様に、内々定の保留も、企業が法的に必ず受け入れないといけないものではありません。

すでに内定出しの準備が始まっているなど、企業側の事情や心証によって内々定が取り消される点も考慮したうえで、早めに連絡してくださいね。

公務員試験など、結果が出るまでに時間がかかりやすい場合の内定保留については、こちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが解説しています。気になる人は正しい対処法を確認しましょう。

内定を保留する場合の手順や注意点はこちらの記事で解説しています。承諾するかどうか迷っている人は併せて確認してください。
内定保留はいつまで可能? 伝え方の例文やトラブルへの対処法も解説

内々定を辞退したい場合

内々定を辞退したい場合

  1. 期限内に辞退の連絡をする
  2. 電話した後にメールでもお礼と謝罪を伝える

内々定を辞退する場合は、今後かかわることがなくなるから特に注意すべきこともないと思うかもしれません。

しかし企業も莫大な時間やコストをかけて採用をおこなっているので、誠実な対応を取らないと失礼なだけでなく、トラブルになる可能性もあります。ここで紹介する2つのポイントを押さえて、スムーズに辞退できるようにしましょう。

①期限内に辞退の連絡をする

とりあえず承諾して安心材料としてキープしておきたいと考える人もいるかもしれませんが、連絡が遅くなるほど企業も入社への準備を進めてしまい、辞退のハードルが高くなります。必ず期限内に辞退の意思を伝えましょう。

期限がわからない場合は辞退の意思が固まった時点で早めに連絡します。どのような企業でも採用人数は毎年あらかじめ決められていて、中小企業などでは特に枠が限られていることが多いので、ギリギリでの辞退は企業に迷惑をかけることになってしまうのです

内々定の辞退は保留する場合と同じく、確実かつ誠実に伝えるためにも電話で連絡するのがベストです。

電話で内々定を辞退する例

学生:お世話になっております。〇〇大学〇〇学部の〇〇と申します。〇〇様、お忙しいところ恐縮ですが、ただいまお時間よろしいでしょうか? 

採用担当:大丈夫ですよ。

学生:先日は内々定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、考え抜いた結果、御社の内定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。

採用担当:そうなんですね。差し支えなければ理由を伺っても良いですか? 

学生:はい。ほかにも同業の企業を何社か受けていましたが、選考を重ねる中で特に興味を惹かれる企業があり、今後はそちらの選考に集中したいと考えています。

採用担当:そうでしたか。わかりました。残念ですが、頑張ってください。

学生:はい。〇〇様にはこれまで何度もお世話になり、本当にありがとうございました。このようなお返事となり申し訳ございませんが、こちらで失礼いたします。

内定を辞退すると企業に怒られるイメージがあり怖いという人もいるかもしれません。こちらのQ&Aコンテンツでもキャリアアドバイザーが学生の悩みに回答しているので、併せて確認して不安を解消しましょう。

電話での受け答えに不安がある人は、こちらの記事もおすすめです。内定を電話で通知されたときの辞退や保留の伝え方を例文付きで解説しています。
内定を電話で通知されたときの受け答え|保留や辞退したい場合も解説

電話した後にメールでもお礼と謝罪を伝える

電話で内々定の辞退を伝えたら、メールでも同様の内容を送信します。辞退したという証拠になるだけでなく、内々定のお礼と謝罪の意思をあらためて伝えることで、誠意を示すことができます

辞退するなら電話だけで十分だろうと感じるかもしれませんが、直接出向くのがマナーとされていた時代もあるため、面接官の年齢や社風によっては電話だけでは無礼な印象になるリスクがあります。

また社会人になってから取引先としてその企業とかかわる可能性や、担当者の知り合いが入社企業にいる可能性もゼロではありません。マナーを尽くして損をすることはないので、面倒でもメールは送ることをおすすめします。

送信メッセージ

TO〇〇〇〇@theport.jp

CC

件名【内々定辞退のご連絡】〇〇大学〇〇学部〇〇学科 港太郎

株式会社〇〇
採用ご担当 〇〇様

お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科の港 太郎です。

先ほどはお忙しい中、ご対応いただきありがとうございました。
お電話でもお伝えしたとおり、誠に恐縮ですが、このたびは貴社の内々定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。

貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、ご期待に添えず申し訳ございません。

面接をご担当いただいた〇〇様を始め、貴社には大変お世話になりましたことを心より感謝申し上げます。

末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

——————————————————
港 太郎(みなと・たろう)
〇〇大学〇〇学部〇〇学科〇〇年
携帯電話:080-XXXX-XXXX
メール:minato@〇〇〇〇.ab.jp
——————————————————

瀧本博史

プロフィール

辞退の意思は返答期限の間際ではなく、なるべく早く伝えることが大切です。しかし内定をもらってあまりにすぐではしっかり考えていない印象があるので、じっくりと考えた時間を加味して連絡するのがおすすめです。

連絡は電話でおこない、辞退理由の嘘やごまかしは避け、誠実に正直に伝えることを心がけてください。

辞退理由は言いにくいかもしれませんが、理由を聞いてくる企業がほとんどです。こちらの記事でキャリアアドバイザーが嘘をつくリスクや言いにくいときの対処法を解説しているので、併せて確認しましょう。

内々定後に内定も通知された場合、内定辞退はいつまでできるのか気になる人もいますよね。時期によっては大きなトラブルになることもあるので、こちらの記事でいつまでが適切なのか把握しておきましょう。
内定辞退はいつまで? データをもとに内定辞退率が高い時期を紹介! 

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万が一に備えよう! 内々定が取り消される6つのパターン

内々定をもらった後のフローについて、状況別に解説しました。自分が取るべき行動を理解できたらひとまず安心ですが、最後に内々定を取り消されるリスクについても把握しておきましょう。

これまで解説したとおり、内々定には法的拘束力がないとはいえ一方的に取り消されることは稀です。それでも例外的に取り消される場合もあるので、ここでは内々定を取り消される6つのパターンと理由を解説します。

ほとんどは自分で避けられるものなので、原因を知って内々定後も適切な行動を取るようにしてください。

企業の業績が大きく悪化した場合

内々定が取り消されるのには大きく2つのパターンがあり、その1つが企業の業績悪化など、採用側のやむを得ない理由です。

業績悪化にはもちろん人的要因もありますが、中には大規模な自然災害やリーマンショックのような経済危機、感染症の蔓延など、予測するのが難しい事態もあります。

実際に2020年には、大手アパレルブランドが2021年卒の学生の内定を複数取り消してニュースになりました。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下での休業などが原因で、同社は対策を講じたがやむを得ない判断だったとしています。

経営状態の悪化による内々定取り消しをできる限り避けたいなら、事前に有価証券報告書などのデータを見極めるといった方法が有効です

有価証券報告書とは

上場企業などが外部に向けて、自社の情報や経営状況などを取りまとめた資料。年度ごとの提出が義務付けられていて、決算の内容や従業員の平均年収などの正確なデータがわかる

企業の業績が悪化するかどうかを見極める方法を詳しく教えてください。

若林 宏美

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完全に予想するのは難しいがニュースをチェックすればある程度動向がわかる

企業自体の体質に問題がある場合は気づきにくいものです。たとえば少し前に話題になったビッグモーターの保険金不正請求問題では、採用活動は停止したものの内定は取り消さないことが発表されました。

この場合は内定継続となりましたが、辞退する学生も出てきているそうです。

このケースはかわいそうとしか言いようがありませんが、そのほかにも世界的な情勢によってコロナ禍では飲食や観光業をはじめ、多くの企業が影響を受けました。

業績の悪化を見極める要素として、世界情勢や日本の経済動向に目を向けるのが有効です。先を読む力は要りますが、ニュースなどをチェックしているとある程度動向がつかめますよ。

学生側に問題が起きた場合

学生側の問題で内々定が取り消されるパターン

  1. 単位取得不足などで卒業できなくなった
  2. 健康上の理由で働けなくなった
  3. 経歴詐称が発覚した
  4. 犯罪やモラルに反する行為をした
  5. 音信不通になった

内々定を取り消されるもう一方の理由が、学生側に何らかの問題が起きたときです。こちらは大きく5つのパターンに分けられるので、どんなことが内々定取り消しにつながってしまうのか、事前に把握しておきましょう

①単位取得不足などで卒業できなくなった

学生側の要因として珍しくないのが、単位不足などで卒業できなくなることです。先述の通り、企業は毎年の採用人数を調整しているので、4月から入社できないのであれば内々定を取り消すことが多いです

通年採用をおこなっている企業や、とにかく人が足りない企業であれば卒業できるまで待ってくれることもあるかもしれませんが、そもそも単位取得が足りなかったことで自己管理力などを疑われて印象が悪くなる可能性もあります。

単位取得は計画的に進めて、必修科目などの履修に間違いがないかも確認しておきましょう。

成績証明書を提出するように言われたのですが、成績が悪いと内々定に影響しますか?

瀧本博史

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成績が悪くてもそれだけで不利になることはない

就活において成績証明書に記載された内容が、採用・不採用に直接関係することはありません。

企業が成績証明書を参照するのは、無事に卒業できるかを確認するためや、学生の人柄や興味のある分野を把握するためです。そのやめ成績の評価が悪くても、重要視されるのはそこではなく学生がどのようなことを学んできたのかや卒業が可能なのかどうかです。

多くの企業は成績だけを理由に採用を見送るような「非効率なこと」はおこないませんが、成績が非常に悪い場合には注意が必要かもしれません。

しかし成績証明書は一部の情報のみを示すものであり、あなたの全体像や能力を示すものではありません。したがって成績に自信がなくても、ほかの強みや経験をしっかりアピールすることで、成功するチャンスは十分にあります。

成績証明書については以下の記事で詳しく解説しています。重要性や取得方法、提出方法もまとめているので参考にしてみてください。
就活で成績証明書は重要! 企業の目的から提出マナーまでプロが解説

仮に留年が決まってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。こちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが対応方法を解説しています。

②健康上の理由で働けなくなった

学生が病気になったり事故に遭ったりして働くことができない状態になると、やむを得ないことですが内々定を取り消されることがあります。

企業も働き手として新卒を募集しているので、業務ができないほど健康に問題があると採用するのは難しいでしょう。ただ企業によっては職種や配属を変更したりして、学生が問題なく働けるポジションであれば採用することもあるかもしれません。

また身体的な病気だけでなく精神的な疾患を抱える人も中にはいますよね。もし治療が必要な場合は、入社前に医師に相談して適切な指示をもらいましょう。できる業務が限られるなど、診察の結果次第では企業に伝えることも必要です。

持病を隠していたのがバレた場合、内々定を取り消されますか?

谷所 健一郎

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業務に支障が出る持病を隠していたなら取り消しもあり得る

持病を隠しているのがわかってしまい、持病が業務に支障を与えるものであれば、内々定を取り消される可能性はあります。

また内々定は内定と違い労働契約が成立していないので、病気そのものよりも故意に隠していたと思われることで、取り消しになることもあるでしょう。

ただし持病が業務に支障を与えるものでなければ、内々定が取り消しになることは少ないです。持病がバレたとしても、業務に支障を与えないことを医師の言葉などを含めてきちんと伝えることが大切です。

入社前に健康診断の結果を提出するよう求められることも多いです。診断結果に不安がある人は、こちらのQ&Aコンテンツを参考にして正しい行動を把握しましょう。

③経歴詐称が発覚した

学歴や資格を偽っていたなど、学生の経歴詐称が発覚した場合も内々定を取り消しされる可能性が高いです。

学校名は成績証明書を提出する際にすぐばれてしまうのでそう簡単に偽る人はいないかもしれませんが、たとえば途中で編入したのを隠していた、浪人や留年の年数を偽っていた、既卒なのに新卒の振りをしていたなどのケースがあります。TOEICなどの資格を盛って書いてしまう人もいるでしょう。

これらは採用するにあたって困難があるというよりも、嘘をついて企業をだましたことで人間性に問題があると思われ、信用を失うことで内々定取り消しにつながります

上記の例ほど大きな嘘でなくても、採用されるために経歴を偽るようなことは絶対にやめましょう。

谷所 健一郎

プロフィール

上記の例以外にも、語学研修を短期留学や留学と偽ることや、留学先の学校名や期間を偽れば学歴詐称になります。

「語学研修」は語学そのものを学ぶために海外の専門学校や大学のサマープログラムなどに通うものですが、「留学」は専門分野について外国で学ぶという目的があります。違いをきちんと認識しましょう。

エントリーシートの資格欄に嘘を書いてしまった場合の対処法は、こちらのQ&Aコンテンツでキャリアアドバイザーが解説しています。思い当たる人は必ず確認してください。

④犯罪やモラルに反する行為をした

学生が犯罪を犯したり、明らかにモラルに反する行為をしたりすると、その人を採用することで企業のイメージダウンや顧客とのトラブルにつながる危険性があるため、内々定を取り消すことがあります

犯罪なんて自分はしないから大丈夫と思う人もいるかもしれませんが、昨今は学生のSNSアカウントを企業が調べるのも珍しくなくなってきたので、SNSやインターネット上での発言にも注意が必要です。

差別的な発言や人をおとしめるような過激な発言をしたりすると、企業に見られて内々定を取り消されるかもしれません。社会人になるということは、企業の一員として責任ある行動を求められることだと自覚して、モラルに反する行為はしないようにしましょう。

SNSの発言内容が原因で内々定取り消しになることは本当にあるんですか?

若林 宏美

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企業は意外とSNSをチェックしているので内定取り消しもあり得る

以前X(旧Twitter)で話題になったのが、採用担当者の悪口を書いてしまったのが発覚し、内定を取り消されたケース。

具体的な社名まで書いてしまったので発覚したようですが、企業は意外と自社の社名を検索しているので、絶対にこのような書き込みは止めましょう。

皆さんは大丈夫だと思いますが、過去にニュースになった大手回転寿司店などでの迷惑動画事件のような犯罪行為ももちろんアウトです。

最近は学生のSNSを検索する企業も増えていて、業種を問わず調べている企業は調べています。私が聞いた範囲でも、商社・広告代理店・Webなどの多業種の企業で、最終選考に残った学生のSNSをチェックしています。

SNSを利用しているなら、就活前までさかのぼって不適切な投稿があるなら削除し、以後の投稿に気を付けてください。

⑤音信不通になった

意外かもしれませんが、学生側の音信不通が原因で内々定取り消しになることもあります。

人事から内々定の通知をしても期限内に返事がない、何度も電話しても出ないとなると、学生の意思が確認できないうえに不誠実な対応なので、限られた採用枠を無駄にしないためにも一定期間返事がなければ不採用とする企業が多いです

仮に辞退するつもりの企業だとしても、内々定後に何も連絡しないのは失礼であり担当者にも余計な手間をかけるので、先述の③辞退したい場合を参考に、必ず辞退の連絡をしてください。

アドバイザーコメント

企業による内々定の取り消しは簡単にはできない

内々定の取り消しは妥当な理由がない限り、企業が一方的におこなうことは違法とされています。内定取り消しとして正当とされる可能性があるのは、学生が大学を卒業できない場合や、罪を犯した場合などです。

また企業の業績悪化や経営上の問題を理由に内々定を取り消す場合には、一定の条件を満たす必要があります。

具体的には人員削減が必要であること、人員削減を回避するための努力がされていること、削減される人員の選出理由が合理的であること、対象者に十分な説明がなされ、協議がおこなわれたことの4つの条件を満たす必要があるのです。

言動に責任を持って万が一のことがあれば専門家に相談しよう

またSNSなどでの学生の素行不良が発覚した場合や、虚偽の申告が発覚した場合も、内々定取り消しの正当な理由とされることがあります。特に近年では、SNSの投稿内容が就活に影響を及ぼすケースが増えており、学生自身の言動に責任を持つことが求められています。

もし内々定が取り消された場合、その取り消し理由に納得がいかない、または違法性が疑われる場合は、適切な機関や専門家に相談することが重要です。

大学のキャリアセンターや自治体の相談機関、弁護士などが相談相手としては妥当です。特に取り消しの撤回を求める場合や損害賠償を請求する場合には、専門家の助言を受けることが望ましいです。

最後に、一方的な内々定取り消しがあった場合でも、新たな就職先を専門家とともに探すことを諦めず、前向きな姿勢で次のステップに進むよう心がけましょう。

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内々定を一方的に取り消された場合は公的機関に相談しよう

内々定を取り消されるリスクとそのパターンを解説しました。多くの人には当てはまる可能性は低いですが、それでも過去に内々定を取り消された学生もいるのが事実です。

もし納得のいく理由もなく一方的に内々定を取り消された場合は、信頼できる公的機関に相談しましょう。就活や雇用にまつわるトラブルについては、厚生労働省が提供する総合労働相談コーナーが無料で利用できるためおすすめです。専門家に話を聞いてもらい適切な助言をもらうことができます。

各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署なども利用できるので、万が一のことがあれば最寄りの相談先を調べてみてください。

若林 宏美

プロフィール

内々定をもらって就活が終わったと思っていたのに、万が一取り消されてしまったらそのショックは計り知れません。

もし納得できない理由でそうなってしまったら、「この会社とは縁がなかった。入社しなくて良かった」と気持ちを入れ替えることも大切です。つらくなったら無理をせず、頼れる誰かに相談しましょう。

内々定が出たら早めに自分の意思を伝えて誠実な対応をしよう

内々定が出るとうれしいものですが、厳密には正式な内定とは異なるため、対応に注意が必要です。内々定だからといって油断せず、承諾する場合もそうでない場合も企業には丁寧に自分の意思を伝えましょう。

内々定を取り消されるリスクについても解説したので、気を付けるべきポイントを押さえれば不安は解消できます。内々定の意味や扱い方を正しく理解して、企業とスムーズなやり取りを進めていってください。

アドバイザーコメント

内々定をもらったら志望度にかかわらず自分の意思を速やかに伝えよう

内定は入社承諾書を企業に提出することで労働契約が成立しますが、内々定は内定を出すという言葉やメールによる単なる約束であり、労働契約は成立していません。

内々定をもらった場合は、ほかに志望度が高い企業の選考が残っていても承諾後の辞退は可能なので、とりあえず承諾するかもしくは保留の相談をすべきでしょう。

ただしすでに内々定をもらっている場合は、どちらの企業を選ぶか決断して、辞退/保留/承諾の意思表示をしてください。

内々定取り消しは滅多にないが経歴詐称やSNSの言動には要注意

内々定は電話など口頭で伝えることが多いですが、承諾する場合は速やかに承諾の意思表示をした後、採用担当者にメールも送信して、内々定承諾の履歴を残しておくことが大切です。

内々定が取り消されるリスクは少ないですが、経歴詐称や業務に支障を与える病気などが判明した場合、また犯罪やSNSなどのモラルに反する行為があると、内々定が取り消される可能性があります。

また企業からの内々定の連絡に一定期間返事をしなければ、内々定が取り消しになることもあります。

内々定を承諾する/しないに関係なく、まずは内々定をもらったことに感謝の気持ちを伝えて、迅速な対応をするようにしましょう。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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