製造業の自己PRは4つの視点が個性のヒントに! 職種別例文付き

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/2級ファイナンシャルプランニング技能士

    Tomomi Tsukamoto〇航空会社CAとして育成担当を経験。その後複数大学でキャリアセンター相談員を務め、就活サイトの講師も担当。採用代行や新入社員研修講師、転職支援など幅広い就活領域で活躍

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  • キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士

    Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上

    プロフィール詳細

この記事のまとめ

製造業界を目指す学生にとって、自己PRは自分の能力や情熱を伝える重要な手段となりますが、多くの学生が「どのように製造業の自己PRを構成すれば良いのかわからない」「そもそも製造業界で評価される自己PRがわからない」と頭を悩ませています。

この記事では、キャリアアドバイザーの塚本さん、杉原さん、加藤さんの専門的なアドバイスを交え、製造業での効果的な自己PRの作成方法を解説します。

ライバルの多い製造業の選考において自己PRを際立たせるためには、その企業ならではのアピールポイントを見極め、自身のスキルや経験をうまく結び付けることが重要です。自己PRに行き詰まっている製造業志望の学生は、ぜひこの記事のアドバイスを参考にしてみてください。

目次

製造業の自己PRは4つの差別化対策が必須

製造業界は、多様な職種と複雑なビジネスモデルが特徴です。その複雑性を踏まえたうえで、自己PRを差別化する4つの対策を取り入れることで、採用担当者の目を引く自己PRを作成することができますよ。

記事では、まず製造業のビジネスモデルを紹介します。製造業には上流工程の素材メーカー、中流工程の部品メーカー、そして下流工程の完成品メーカーという流れがあるので、この全体像をイメージすることで自分の志望する企業の業界内の位置付けがわかりやすくなります。

次に、製造業の7つの主要職種に焦点を当てます。職種の特徴を理解することで、あなたのスキルや経験がどの職種に適しているかを見極めることができるので、自己PRに盛り込む強みを考えるときの材料にもなるのです。

さらに、最後には製造業の自己PRを作成する際に役立つ4つの視点を紹介します。例文も紹介しているので、キャリアコンサルタントのアドバイスと併せて完成形をイメージしてみてくださいね。製造業界での自己PRの差別化を成功させて、目指すキャリアを実現させましょう。

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就活のプロに聞いた! 高評価がつく製造業の自己PRとは

就職活動において、印象に残る自己PRを作成することは成功のカギとなります。特に、競争が激しい製造業界で目立つためには、普通の自己PRでは不十分です

では多くの応募者の中でも採用担当者の注目を引く「製造業界で評価される自己PR」とは、どのようなポイントを押さえているのでしょうか。就活のプロであるキャリアコンサルタントの見解を聞いてみましょう。

アドバイザーコメント

その職種で企業にどう貢献できるかまで考えることがポイント

自己PRとは、自分の長所・強み、価値感や考え方をアウトプットすることです。採用担当者が、あなたが自社にマッチしているかを判断するために必要な要素となります。

採用担当者の目を引く自己PRにするポイントは、以下の3つを整理することです。

①なぜ製造業で働きたいと考えているのか
②応募企業を選んだ具体的な理由
③応募する職種を通してどのように会社に貢献していきたいか

特に②について、製造業はどの企業も社会に役立つものを製造・販売しているため、数ある企業の中から志望先を選んだ理由をしっかりと示す必要があります。

まずは自己分析でアピールできる要素をしっかり用意しよう

これらを伝えるためには、自己分析をしてまず自分のことをしっかりと理解することが大切です。自己PRとして伝えたい長所や強み、またそれらを認識した経験や、その経験から得られた効果などを要素ごとにまとめて整理しましょう。

また応募先の企業理念や事業展開だけでなく、どのような社風の会社なのかなども把握したうえで作成すると良いでしょう。ホームページ(HP)からの情報だけではなく、会社訪問やインターンシップを活用することが効果的です。

それぞれの業界について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしましょう。各業界の特徴や具体的な仕事内容を解説しています。

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製造業の自己PRは「工程×職種」で内容が大きく変わる

製造業界での自己PRは、特定の「工程」と「職種」に応じて大きく異なります。製造業にはさまざまな種類があり、たとえば素材メーカーと完成品メーカーでは求められるスキルや求められる人物像が異なります。これは、製造業には少なくとも7つの異なる職種が存在し、それぞれに特徴があるためです。

先ほどの例でいえば、素材メーカーでは、原材料や部品の製造にかかわる技術や知識が重要となります。ここでの自己PRでは、材料科学や化学工学などの専門知識、品質管理の経験、製造プロセスにおける効率化や改善の能力を強調すると仕事に役立つ強みを持っているという印象を残せます。

一方、完成品メーカーでは、製品の設計、組立、検査、最終品質管理などが重要な役割を担います。この場合、自己PRでは製品設計の知識、細部に対する注意深さ、チームでの協働能力などが重要なポイントとなります。

自己PRを効果的におこなうには、まずは志望するメーカーの特性を理解し、その中で目指す職種の特徴や求められるスキルを把握することが不可欠です。これにより、自身の経験や能力をどのようにアピールするかが決まり、採用担当者に対してより説得力のある自己PRを作成できるでしょう。

アドバイザーコメント

「メーカー=製造業」という認識を持って各職種の特徴を把握しよう

メーカーと製造業を別物だと思っている学生も多いですが、ほぼ同じ意味です。

製造業を大きく分けると、一般的には素材・原材料メーカー、部品メーカー、完成品メーカーなどになります。素材・原材料が部品になり、部品が最終的に完成品になるという構造です。

たとえば自動車を作るのには約3万の部品が必要といわれています。上流工程から下流工程まで、実に多くのメーカーが存在することがわかるでしょう。

自社製品を作って企業同士で売買するのがメーカーの特徴

またメーカーの特徴としては、「自社製品」が目に見える形で存在することです。素材・原材料メーカーは部品メーカーに、部品メーカーは完成品メーカーに自社商品を売るという流れになります。

別の言い方をすると、部品メーカーは素材・原材料メーカーから、完成品メーカーは部品メーカーから必要なものを購入して、自社商品を完成させます。それぞれが「顧客」と「取引先」です。この場合は企業間取引になるので「BtoB(Business to Business)」と呼びます。

上流工程の素材・原材料メーカーほど、自社製品がその後世の中で使われる範囲が広くなるため、与える影響の範囲が広いこと、またBtoBの取り引きが多く、動かす金額も大きめなことが特徴です。

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まずは製造業のビジネスモデルを理解しよう

製造業のビジネスモデル

製造業の就活においては、ビジネスモデルの理解が非常に重要です。自分の目指す企業がどのポジションに位置しているのかを正しく理解できないと、話に矛盾が生まれたり、誤った情報を伝えてしまいかねません。

製造業のビジネスモデルは、おもに「上流工程」、「中流工程」、「下流工程」の3つの段階に分けられます。自己PRを作る前に、まずは製造業のビジネスモデルを理解しましょう。

上流工程:素材メーカー

上流工程では、製品製造の基盤となる素材が作られます。ここでは、金属、プラスチック、化学物質など、さまざまな原材料を生産します。

この工程の特徴は、材料の質や性能を決定する科学的知識と、新しい素材を開発する想像力が求められる点です。たとえば、軽くて丈夫な新素材を開発することで、自動車産業などに革新をもたらすことができます。

また、近年のトレンドとしては環境に配慮した持続可能な方法で素材を生産することへの注目も集まっています。

塚本 智美

プロフィール

鉄、ガラス、ゴム、繊維、紙などのメーカーが素材メーカーの代表例です。

素材そのものの業界名を聞いてもあまりなじみがないかもしれませんが、衣類や本、家の窓ガラスといった私達の日常生活に欠かせないものの原材料になるものばかりです。

中流工程:部品メーカー

中流工程では、上流で生産された素材を使って具体的な部品や半製品を作ります。この工程のカギとなるのは、精度の高い加工技術と厳密な品質管理です

たとえば、エンジンや電子部品など複雑な部品を作る際には、細部にまでこだわった精密な作業が必要になります。また、コストを抑えつつ高品質を維持する生産プロセスの設計も、この工程の大きな課題です。

杉原 美佐子

プロフィール

具体的には、金属メーカーや電子部品メーカーなどが当てはまります。

一時期半導体不足となり、自動車が納車されない、新しいエアコンがないといったニュースを聞いたことがある人もいると思います。こうした部品を製造するメーカーがないと、私たちが使用する製品は作れないのです。

品質管理の仕事に就きたい人は以下の記事を参考にしてみてください。志望動機の作り方と品質管理の基礎知識もまとめています。
例文7選|品質管理の志望動機がグッと光る! 作り方と4つのコツ

下流工程:完成品メーカー

下流工程では、中流で作られた部品を組み立てて、最終的な製品を完成させます。この段階で重要なのは、市場のニーズに応える柔軟性です。

たとえば下流工程では、消費者の好みや使用環境に合わせた製品設計や、効果的なマーケティング戦略が求められます。また、製品が市場に出た後のサポートやアフターサービスも、顧客満足度を高めるために重要な要素です。

完成品メーカーは、最終消費者に直接製品を届けることになるため、市場の動向が直接的な影響を与える傾向にあります

加藤 賀子

プロフィール

下流工程は、自動車メーカーや半導体メーカーがおもな例です。たとえば自動車メーカーであれば、それぞれの部品を組み合わせて最終的な商品を完成させていきます。

また完成させる工程では、部品に不備がないかなど検査や品質管理も実施していき、安心・安全なモノを市場に出す役割を担います。

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自己PRは就活において必要です!
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 (継続力が強みの場合) 
私の長所は、継続力です。大学時代、スポーツチームのキャプテンを務めました。学園祭の新企画を立ち上げ、チームメンバーと協力して準備を進めました。練習や打ち合わせを重ね、当日は多くの来場者を集めることができ、大きな成功を収めました。この経験から、チームをまとめるリーダーシップや計画を具体化する能力を身につけました。御社に入社後も、継続的な努力を惜しまず、チーム全体の成長に貢献したいと考えています。


自己PRを作る前に確認! 製造業の7つの職種

自己PRを作る前に確認! 製造業の7つの職種

製造業には、おもに7つの職種があります。そのため自分の就きたいポジションの業務内容をしっかりと理解したうえで適切な自己PRをしないと、面接官に刺さるアピールはできません。

また、職種や募集企業によっては資格を求められるので、募集要項の確認も忘れずにおこないましょう。ここでは7つの職種の業務内容や役割を紹介します。

①営業

メーカーの営業職の主要な役割は、自社の製品を市場に売り込むことです。一部の企業は一般消費者に対して営業をおこなうこともありますが、多くのメーカーはBtoBの形態を取り、おもに法人顧客を対象としています。営業の方法としては、ルート営業と新規営業の2つが一般的です。

製造業の2つの営業方法

  • ルート営業
    既存のビジネス関係を維持し、長期的な契約を継続するための手法。すでに自社製品を取り扱っているほかのメーカー、企業、小売店、卸問屋などを定期的に訪問する業務が含まれる。
  • 新規営業
    新しい販売チャネルを開拓するための営業手法で、飛び込み営業が基本だが、メーカー営業において飛び込み営業の割合は比較的少ない傾向にある。

ルート営業は、既存顧客のニーズをヒアリングし、製品の開発段階からかかわることや、アフターケアを提供することも業務の一環になります。一方で新規営業は、新しい顧客との関係を築き、将来的なビジネスの機会を生むことが目的なので、顧客との接し方が異なるということは覚えておきましょう。

ルート営業はつらいのではないかと心配している人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが実態を解説しているので、併せてチェックしてください。

営業職の具体的な仕事内容や営業に向いていない人の特徴はこちらで解説しているので参考にしてください。

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メーカーでも、ルート営業が多い分野、新規営業が多い分野とかはあるのでしょうか?

杉原 美佐子

プロフィール

どちらかだけでは成り立たないので分けて考えるのは難しい

メーカーといっても千差万別なので、一概にここはルート営業、ここは新規営業とはいえません。また会社の経営方針にもよります。

ただし一般論として、消耗品や部品、材料などは定期的に発注がかかるので、ルート営業が基本であることが多いです。しかし、だからといって新規営業がないという意味ではありません。

また大きな会社だと発注自体はシステム化されていると思うので、そうした会社だとやはり新規営業が重要になってきます。

製造業の場合、親会社・子会社や大企業と中小企業の下請け会社の構図が見られ、ここでは営業の意味も少し違ってくるはずです。

就活ではルート営業・新規営業にこだわるのではなく、取引先はどこかを意識しましょう。

②商品企画

各企業は、消費者の期待に応え、市場で求められる魅力的な商品を生み出すために努力しています。そのため商品企画の役割は、顧客のフィードバックや時代の流れを踏まえ、市場で受け入れられる製品の企画と構想を練ることにあります

この過程では、単に製品を作りたいという理由だけでは商業的な成功は難しいので、市場調査による徹底した情報収集が必要です。どれだけの需要があるのか、適切な価格設定は何か、製造部門との連携はどうあるべきかなどを精査しなければなりません。

また、新商品のアイデアが具体化してきた段階では、そのプランを社内でプレゼンテーションすることもあるので、営業力が求められる場合もあります。

メーカーの企画職に新卒で入るのは難しいですか?

加藤 賀子

プロフィール

いきなりは難しいため必要な力を理解して磨いていこう

正直なところ、狭き門ではあるでしょう。なぜなら、企画の仕事は市場や顧客の動向を把握し、そのうえで今後どんな商品が世に求められるかを推測して、構想を練っていく必要があるからです。

世の中に求められている製品・商品でないと、残念ながら作っても売れません。

したがって、まずは営業や販売などの市場や顧客に一番近い職種からスタートし、市場の動向や需要を把握していくことが一般的には多いルートです。

企画職の仕事内容についてもっと詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

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③生産管理

生産管理の職種では、製品が顧客に確実に届くように、適切な商品量の確保、生産計画の策定、そして生産のペースを管理する責任があります。

単に製品を大量に生産するのではなく、市場の需要と供給のバランスを見極めて利益を最大化することが求められる仕事といっても過言ではありません。また材料の在庫が切れないように、必要な部品や材料を適時に調達し、各部署に供給する役割も担います。

生産管理のもう一つの重要な側面は、安全の確保です。作業内容、手順、設備における安全性を常にチェックし、事故やトラブルが発生しないように改善し続ける役割です。作業現場における従業員の安全は最優先事項であり、生産管理者はこの点に特に注意を払い、責任を持って取り組む必要があります。

塚本 智美

プロフィール

生産管理には、以下に該当する学生は向いているといえるでしょう。自分に当てはまっているか、参考にしてみてください。

①エンジニアリングや工学関係を専攻している
②計画を策定・実行する能力や、問題を早期に発見し効果的に解決する能力がある
③製品の品質を維持し、向上させるための意識を持っている

④製造

製造は、原材料を加工し、部品を組み立てて最終製品を生産する業務を指します。自動車や家電、工業機械といった機械製品、さらにはお菓子やジュース、加工食品などの食品関連製品、医薬品など、多岐にわたる製品の生産がおこなわれています。

また工程によっては、衣類の繊維や機械部品など、これらの製品を作るための原材料を製造する分野も含まれています

製造の職場では、化学物質の取り扱いや感電、火災などのリスクも存在します。そのため、製造においては安全と衛生の管理が最も優先される事項なので、製造現場では厳格な安全基準の遵守と適切な衛生管理が不可欠となっています。

杉原 美佐子

プロフィール

製造業では、製品によってはクリーンルームで製造したり、ISO(国際標準化機構)の基準に準拠して製造したりする場合があります。当然、服装もルールが定められています。

そうした細かいルールをきちんと守れる人が、製造現場に向いているでしょう。

⑤研究開発

製造業における研究職は、業界の種類によって研究の内容も異なりますが、おもに新しい製品や技術の開発に焦点を当てた仕事です。この分野には大きく分けて基礎研究と応用研究の2つの研究領域があります。

基礎研究とは、文字通り基本から新しいアイデアや概念を生み出すことで、新たな技術や製品の可能性を探る役割を果たします。一方、応用研究は、基礎研究で得られた知見や結果を具体的な製品や技術開発に応用することを指します。

これらの研究では、高度な技術力や専門知識が求められ、しばしば大学や大学院で特定の分野を深く研究した経験が必要とされます

このような研究職は、過去の職業経験だけでなく、国内外の大学などでおこなった研究活動を活かすことができるフィールドです。あなたが学生時代に取り組んだプロジェクトや研究テーマが、製造業界での新しい技術開発や製品改良に直接貢献する可能性もあるかもしれません。

研究職に興味がある人はこちらの記事を参考にしてみてください。具体的な仕事内容や魅力を詳しく解説しています。

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⑥資材調達

購買・資材調達の職種では、自社製品の製造に必要な材料や、日々の業務で使用する備品など、企業運営に不可欠なあらゆる資源を調達します

調達対象は物理的なハードウェアに限らず、ソフトウェアやサービスも含まれますが、具体的に何を調達するかは企業によって異なります。一般的には、日常的な備品の調達は総務部門がおこなうこともあります。

特に製造業においては、製品の生産計画に基づいて、必要な資材を適切な量、タイミング、価格で確保する必要があります。業務内容は多岐にわたり、仕入先の選定や価格交渉、納期の管理、受け入れ時の検査、在庫の管理、出庫処理などが含まれます。

製造業では材料費が原価の大きな部分を占めるため、これらの費用を効果的に管理することは企業の利益に直結します。

加藤 賀子

プロフィール

製品を作るもとになる資材の調達が遅れると、関係部署にも悪影響が出ます。そのため計画をしっかり立てて、物事を進められる人が資材調達には向いているでしょう。

また計画通りに資材を調達するには、仕入先との信頼関係の構築も重要なので、コミュニケーション能力も大切です。

⑦宣伝・広報

せっかく製品が完成しても、消費者に情報が届かなければ製品は売れません。宣伝・広報のおもな役割は、自社の製品やサービス、企業情報を広く世間に伝えることです。製品の販売促進活動、企業イメージのブランディング、決算報告、企業活動の公表など、多様な形で企業の情報を世に発信します

宣伝においては、目的に応じたプロモーション手法を用いて製品を広めます。これには以下のように、さまざまな媒体が利用されます。実際の広告制作は、広告代理店やプロダクションと協力しておこなわれます。

宣伝に使うおもな媒体

  • マスメディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど)
  • 街頭ポスター
  • 車内広告
  • ダイレクトメール
  • 折り込みチラシ
  • イベント(発表会や展示会)
  • 自社のPR誌
  • インターネット

一方で広報は、社内外への情報発信をおこないます。社内には社内報などを通じて、社外にはおもにメディアへの露出を目指して情報を提供します。

広報の重要な側面の一つはIR(Investor Relations)です。これは投資家に向けた広報活動で、企業の経営状況や方針を透明にし、株主や投資家に理解と信頼を得て、投資を持続させることを目指します。

宣伝と異なり、広報はおもに無償のメディア露出を目指し、企業のポジティブなイメージを世に発信します。

メーカーの広報職に最初からなるのは難しいでしょうか?

塚本 智美

プロフィール

たしかに難しいが先に現場を経験するからこそ広報に活かせるようになる

新卒で広報職に就くことは一般的に難しいとされますが、それは業界や企業によっても異なります。

そもそも、まずは現場経験を積んで、自社の顧客となる取引先と直接かかわることから始めるのを重視するような企業も多いです。

将来的に広報をやってみたいという意志があるのならば、現場職に携わっている間に人脈を構築し、習得すべきスキルが何か・顧客のニーズは何かを意識して業務にあたることが、ゆくゆくは大きな財産になるでしょう。

特に広報職はメディアとの関係構築、プレスリリースを作成・発信することや、記者会見の企画など、クリエイティブなスキルが求められます。

製造業の自己PRでライバルと差がつく4つの準備

製造業の自己PRでライバルと差がつく4つの準備

  • 志望企業が担う工程を理解する
  • 志望企業がBtoCかBtoBかを調べる
  • 希望職種のイメージを固めておく
  • 業界の動向をPEST分析で調べる

製造業は大手企業が多く、毎年学生に人気の業界です。つまり、製造業を目指すライバルも多いということ。製造業への就職を目指す際、効果的な自己PRを作るためには徹底した準備が欠かせません。

次の4つのステップを踏むことで、ライバルとの差別化を図り、印象に残る自己PRを作成することができます。

①志望企業が担う工程を理解する

繰り返しになりますが製造業界の企業は、一般的に上流工程(素材メーカー)、中流工程(部品メーカー)、下流工程(完成品メーカー)の3つに区分されます。

自己PRを準備するうえで、志望する企業がこれらのどの工程に当てはまるかを明らかにすることは非常に重要です。なぜなら、担う工程によって社会的に果たす役割がまったく異なるため、自己PRも変える必要があるからです

加えて、志望する工程の中で、主要な企業の財務情報も調査しましょう。売上高、利益、市場シェア、成長性などのデータを調べることで、業界内での各社の立ち位置がはっきりとします。

その際は、一年度のデータだけでなく、過去数年間の経営成績の推移も見てみると良いでしょう。これにより、各社の成長性や業界内での動向がより明確になります。

たとえば、業界シェアは高くとも成長が鈍化している企業や、業界での順位は下位でも成長率が高い企業など、業界の現状の力関係がよりはっきりと見えてくるはずです。

塚本 智美

プロフィール

財務情報では、特に以下の点をチェックしてみましょう。

①営業利益(本業で稼いだ利益):売上高から費用を引いたもの
②利益率:企業が売り上げからどれだけ利益を得ているかを示す数値。業界の同業他社と比較することで志望先の実態を推測できる

また自己資本比率が高いほど、企業は財政的に安定しているといえるので、併せてチェックしてみてください。

②志望企業がBtoCかBtoBかを調べる

製造業の企業は、ビジネスモデルとしてBtoCかBtoBのいずれかを採用しています。それぞれのモデルは市場とのかかわり方が異なり、自己PRを準備するうえでこの違いを把握することは非常に重要です。この違いにより求められるスキルや強みがまったく異なるためです。

BtoCモデルでは、製品やサービスが直接消費者に向けて販売されます。一方、BtoBモデルの場合、企業はほかの企業に対して製品やサービスを提供します。

たとえば自動車業界で考えると、自動車部品の製造企業はおもにほかの自動車メーカーに対して販売するためBtoBに分類され、自動車販売会社は最終的な消費者に車を販売するためBtoCに該当します。

まずは企業の事業内容や市場とのかかわり方やビジネスモデルの違いを理解し、それに基づいて自己PRを組み立てることが求められます

杉原 美佐子

プロフィール

ほとんどの場合、皆さんが知っている企業はBtoCです。ターゲットである消費者向けにコマーシャルを展開しているためです。

一方のBtoBは企業対企業の取引なので、一般にはあまり知られていないでしょう。誰に向けた製品を作っているかで判断すれば、どちらなのか簡単にわかると思います。

BtoCビジネスの事例や働くうえでの注意点は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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一方、BtoB企業についてはこちらで解説しています。

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③希望職種のイメージを固めておく

製造業への就職を考える際には、自分が目指す職種について明確なイメージを持っておきましょう。

製造業には多様な職種が存在します。各職種には固有の役割や必要とされるスキルがあり、それらを理解することは、自己PRを具体的かつ効果的にするために不可欠です。職種の内容によって、盛り込むべきエピソードが変わることもあるかもしれません。

また、そもそも新卒採用が難しい職種や、資格が必要になる職種もある可能性があります。製造業の中でもどの職種に就くかで、長期的なキャリアプランも大きく変わるため、各職種のイメージは早めに固めておきましょう。

④業界の動向をPEST分析で調べる

PEST分析では、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの要素を分析します。

重要なのは、これらの要素を単に羅列するのではなく、それぞれの関連性や因果関係を整理することです。PEST分析では、企業がコントロールできない外部環境を分類して、製造業界の動向を見極めることができます

PEST分析からみる製造業界(自動車業界の場合)

  • Political:エコカー減税の見直しによる軽自動車やコンパクトカーの売り上げが減少、EV普及目標、飲酒運転の厳罰化、国土交通省に「自動運転戦略本部」が設置、警察庁でも自動運転を検討
  • Economic:半導体不足、失業率増加
  • Social:若者の車離れ、所有より「シェア」の需要が伸びる可能性
  • Technology:自動運転技術の開発、IT技術の向上によるCtoCのカーシェアリングが増加

このようなPEST分析に基づいて、製造業界の現状を一度見つめ直してみましょう。多くの企業はグローバル展開による市場の拡大やデジタル変革を通じたコスト削減などを重視しています。

これらの点は、企業の説明会などで特に強調される傾向にあるだけでなく、自己PRに盛り込み、課題に対し成果を残すことをアピールできると説得力を高める要素になるでしょう。

上記の例から自動車業界に興味を持った人は、以下の記事も併せて確認してみてください。

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​​​​製造業の自己PRが思いつかない! ヒントになる4つの視点

製造業の自己PRが思いつかない! ヒントになる4つの視点

  • 製造業で求められる主要スキルから考える
  • 「ものづくり」を軸に考える
  • 職種に必要なスキルから考える
  • 企業の求める人物像から考える

製造業でのキャリアを目指す学生の中には、自己PRに盛り込むエピソードをどう絞り込むか悩んでいる人もいるかもしれません。この章で説明する4つの視点は、製造業での自己PRを考える際の有効なヒントとなります。

​​​​製造業の自己PRが思いつかない人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

①製造業で求められる主要スキルから考える

製造業で求められる主要スキルを考えてみると、製造業の自己PRでどのような内容が刺さりやすいのか考えやすくなります。

製造業で求められる主要スキルは、忍耐力・集中力・体力の3つです。それぞれ、なぜそのスキルが評価されるのかをみていきましょう。

忍耐力

製造業では長期的なプロジェクトや繰り返しの業務が多く、こうした環境での忍耐力が求められます。たとえば、製品の品質を保証するための継続的なテストや微調整を要求されることが多々あるかもしれません。

また、技術的な問題や予期せぬ障害に直面した際にも、忍耐力が試されます。問題解決に向けて複数のアプローチを試み、解決策を見いだそうとする粘り強さは、製造業における重要な資質です

このような状況下で冷静に課題に取り組み、長期間にわたって品質を保つことは、製品開発や品質管理の成功に結び付きます。

忍耐力を強みに持つ人は以下の記事で自己PR法を詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

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集中力

安全性と品質の維持は製造業の最優先事項です。細部にわたる集中力は、製品の微細な欠陥を見逃さず、最終的な品質を保証するうえで不可欠です。

また製造業の現場では、新製品の開発や製造ラインの設定に時間がかかり、繰り返しのタスクをこなすことになる可能性があります。日々同じタスクであっても品質を保ち、効率を向上させる能力は、製造業における重要なスキルといえます

集中力が強みだと感じる人は、以下の記事も参考にしてアピールの方法を考えてみましょう。

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体力

製造業は肉体労働が多いため、体力が不可欠です。長時間の立ち作業や重い物の取り扱いが必要な場合があります。

ただし体力があることを伝えるときには、フィジカルの強さをアピールするだけでは就活の自己PRとして成り立ちません。たとえば物事を続けられる継続力や忍耐力なども併せて伝えると、困難な状況でも妥協したりくじけることなく目標に向かって立ち向かえるというイメージをアピールできます

加えて、アルバイトや部活動を長年続けたという具体的なエピソードを添えて話すことで、体力があるという強みに説得力が増すかもしれません。

アルバイトと部活動の自己PRの作り方・伝え方は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

アルバイト
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部活動
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加藤 賀子

プロフィール

製造業は、一人で仕事をするのではなくチームで仕事を進めていきます。また取引先や各部署との連携も必要になるため、上記のほかにも調整力やコミュニケーション能力も歓迎されるスキルでしょう。

②「ものづくり」を軸に考える

製造業の魅力の中心には「ものづくり」の精神があります。この視点を自己PRの中心に据えることで、製造業界に対するあなたの深い情熱や関心、そして関連する経験やスキルを際立たせることができます

たとえば、大学やアルバイトで取り組んだ実験やプロジェクトで何かを作り出した経験を紹介し、それがどのようにしてあなたのものづくりへの情熱やスキルを育てたかを語ることができます。

また、ものづくりの過程で楽しいと感じた瞬間や重要な学びも、自己PRに取り入れてみましょう。

塚本 智美

プロフィール

日常の中にも、「ものづくり」の経験は多数あると思います。たとえば以下のような経験もものづくりに該当するでしょう。

・産学連携プロジェクト
・学内の売店との連携でオリジナルグッズを考案・製作した経験
・美術品や手芸など作品を作るサークルや部活動
・陶芸や華道などの習い事
・プラモデル作りなどの趣味

③職種に必要なスキルから考える

製造業には、企画開発、営業、品質管理などさまざまな職種が存在します。自己PRを作成する際には、これらの職種で求められるスキルをもとに考えることが重要です

たとえば、コミュニケーション能力、分析能力、技術的知識など、自己分析で明らかになったスキルを、志望職種のニーズと結びつけて考えてみましょう。それにより、あなたのスキルが実務にどのように活かせるのかを明確に示すことができますよ。

職種別に求められる強みは以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

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④企業の求める人物像から考える

製造業に限ったことではありませんが、企業は自社と相性の良い人材を求めています。企業ごとに、製品や職種に応じて異なる強みや特性を重視しているため、企業が求める人物像を理解することが重要です。

企業のウェブサイトや採用情報、社員の声などを調査し、その企業が何を重視しているかを理解しましょう。これにより、自己PRはよりターゲット企業に合わせた内容となり、あなたがその企業で成功するために必要な特性や能力を明確に伝えることができます

企業研究の方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

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​​​​製造業での​​自己PRの効果的な構成

製造業での自己PRの効果的な構成

  • 冒頭で自分の強みを伝える
  • 強みを裏付けるエピソードを伝える
  • その企業で強みを活かせることを伝える

自己PRを書く際に、「どのように書けば自分の思いが伝わるかな?」と頭を悩ませている人は多いものです。

自己PRを効果的に伝えるためには、わかりやすい構成の準備が必要です。適切な構成に沿って自己PRを書くことで、誰にでも伝わる明確で理解しやすい内容を作成することが可能になります。

新卒で製造業への就職を目指す際の自己PRは、自分の強みを具体的な学生時代の経験と結びつけ、それがどのように将来の職場で活かせるかが伝わりやすい順番で話すことが重要です。ここでは製造業での​​自己PRの効果的な構成を解説します。

冒頭で自分の強みを伝える

自己PRの書き出しは、長々と理由やきっかけとなったエピソードを述べるのではなく、まずは何が自分の強みであるかを明確に打ち出すことが求められます。製造業への就職活動において自己PRをおこなう際は、まず冒頭で自分の強みを明確に伝えましょう。

結論ファーストの構成にすることで、採用担当者が最も知りたい情報を最初に伝えることができ、理解してもらいやすくなります。

製造業の自己PRの冒頭の例

私の強みは情報収集力です。

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強みを裏付けるエピソードを伝える

冒頭で強みをまとめたら、次はその理由を裏付ける具体的なエピソードを併せて語りましょう。単に理由や自己PRの内容を述べるだけでは、説得力に欠ける可能性があるためです。

採用担当者にあなたのアピールポイントを信じてもらうためには、関連する具体的なエピソードを明確かつ簡潔に伝えることが効果的です

ただし、多くのエピソードを詰め込み過ぎると、メッセージが散漫になるので、重要なポイントは1~2つに絞り、エピソードもなるべくシンプルにまとめましょう。

製品を掛け合わせたエピソードも効果的

製造業への自己PRにおいて、その企業の製品を実際に使用した経験やエピソードを取り入れることは、特に効果的です。業への深い理解と関心を示すと同時に、あなたの経験がどのようにその企業の製品やサービスと関連しているかを具体的に伝えることができるからです

たとえば、アルバイトやインターンでその製品にかかわったエピソード、あるいは日常生活でその製品がどのように役立ったかなどの話は、あなたの親密さと製品への実践的な理解を示すことができます。

製品の使用経験を自己PRに組み込むことで、単に技術やスキルを伝えるだけでなく、製品への情熱やその企業に対する独特の関心を伝えることができ、採用担当者に良い印象を残せるかもしれません。

製造業の自己PRのエピソードの例

以前、製造業界のとある企業のインターンで商品企画の経験を積みました。私たちは、持続可能なライフスタイルを促進するエコフレンドリーな家庭用品のアイデアを開発しました。

私の役割は市場調査と競合分析でした。消費者のニーズとトレンドを研究し、同様の製品を提供する競合他社を詳しく調査しました。この情報をもとに、私たちは独自のアイデアを洗練させ、市場での競争力を高められるような提案ができました。

また、一部ですが実際のプロトタイプの開発とテストにも取り組みました。私たちはデザイナーやエンジニアと協力し、実際の製品を作成しました。このプロセスで、製品のデザインや機能に関する多くの洞察を得ることができました。

杉原 美佐子

プロフィール

志望先の製品にかかわった経験がない人もいると思いますが、必ずしもある必要はありません。志望企業が機械メーカーということもあるでしょう。その場合、個人だとさすがに大型機械は買えず、モーターだけを買っても意味はないですよね。

そのような場合は、大型機械が作り出すものやそのモーターを必要とする製品の社会的意義、その会社が培ってきた技術などについて考えましょう。

その企業で強みを活かせることを伝える

製造業での自己PRを効果的におこなうためには、あなたがその企業にとって価値ある貢献ができることを強調することが重要です。企業は自らのビジネスに積極的に貢献し、情熱を持って取り組むことができる学生を採用したいと考えています

製造業は日本経済の大きな部分を占めているにもかかわらず、人手不足に直面している現状があります。このような課題に対処するため、製造業界では能力が高く、やる気のある人材を特に求めている傾向にあるのです。

自己PRを製造業の企業に向けておこなう際には、その企業が求める人材の特質を具体的に示し、自分がその要件に適合していることをアピールすることが大切です。あなたのスキルや経験がどのようにその企業の現状や将来のビジョンに貢献できるかを明確に伝えることで、企業とのマッチ度を示すことができるでしょう。

製造業の自己PRで強みを活かせることを伝える例

サマーインターンの経験によって商品企画の一連の流れを学んだことで、自分の情報収集能力の活かし方を実践ベースで学ぶことができました。

御社の商品企画チームでも、市場の情報に常にアンテナを張りながら、新製品の開発に貢献したいと考えています。

自己PRの締めの伝え方は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

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製造業の自己PRを伝えるときの3つの注意点

製造業の自己PRを伝えるときの3つの注意点

  • 競合他社と共通する内容にしない
  • 転職する前提で話さない
  • 商社や小売業と事業内容を混同しない

製造業での就職活動において、自己PRを伝える際には特に注意すべき点がいくつかあります。これらの点に注意することで、あなたの自己PRがより効果的に、そして印象的に伝わるでしょう。

反対にこれらに注意しなければ、どんなに良い内容でも評価されにくくなってしまいます。以下で解説する内容を踏まえて製造業の自己PRで効果的にアピールしましょう。

競合他社と共通する内容にしない

製造業への自己PRを伝える際には、ほかの競合企業との比較が極めて重要です。多数の企業が同様の製品やサービスを提供する中で、特にあなたがその企業を選んだ理由を明確に説明することが求められます

企業の製品だけではなく、その企業の理念、経営方針、経営者のビジョンに魅力を感じた点、事業内容や社内の文化といった側面も、他社と比較して独特の魅力があるかどうかを詳細に調べるべきです。

製造業界は多くの企業が存在し、それにともないライバル企業や志望する学生も多数います。この競争の中で際立つためには、自己PRを他社とは異なる独自の内容にすることが重要です。製造業に対する理解を深め、アピールの内容もほかの候補者とは一線を画すような独自性を打ち出しましょう。

加藤 賀子

プロフィール

競合との違いを分析するには、応募先企業の強みは何かを把握することがポイントです。

たとえば、同じ製品のように見えても競合他社とは違う機能があったり、提供・販売している市場が違ったりと、何かしらその会社にしかない強みがあります。

転職する前提で話さない

製造業界には多様な企業が存在しますが、一部の企業や職種では新卒採用をおこなっていません。そのため実務経験を積んでからほかの職種へ転向しようと考えている人もいるかもしれませんが、自己PRをする際には転職を前提とした内容は避けましょう。

たとえどんなに優秀な学生でも、早期離職の懸念がある学生を積極的に採用したいと考える企業は少ないからです。

新卒の学生であることを前向きに捉え、今のポテンシャルや学生生活で身に付いたスキルが将来のキャリアに役立つかを中心に話すことが重要です

商社や小売業と事業内容を混同しない

就職活動初心者の場合は特に、製造業と商社や小売業の事業内容を混同しがちです。製造業は物を作ることに重点を置いていて、商社や小売業は物を売ることに焦点を当てています。

製造業と商社や小売業の違い

  • 製造業:「製品の作成」を担当
    製造業は新しい製品を作ることにフォーカスしている。製品の設計、素材の選定、実際の製造、品質チェックにかかわり、技術的な知識や製品開発におけるスキルが求められる。
  • 商社や小売業:「製品の販売」を担当
    商社や小売業は製品を販売することに特化している。市場調査から始まり、適切な販売戦略の策定、顧客サービス、製品の流通を担当。市場の需要を理解し、製品を消費者に届けるためのさまざまな手段を管理する必要がある。

この違いをしっかり理解し、自己PRでは製造業ならでは特徴を明確に伝えることが重要です。面接や自己PRで深く質問された際にも、この業界特有のポジションを明確に説明できるように準備しておくと良いでしょう。

塚本 智美

プロフィール

上記のほかにも、たとえば、建設業は製造業と同様に、物を作るという点では類似していますが、建設業は通常、建物や構造物を建設することがメインの業界です。

ほかには、物質や原材料を変換・処理する業界も混同しやすいかもしれません。化学プラントなどがその一例です。

これらの業界との違いも踏まえて自己PRを作成できると良いでしょう。

商社のことをより深く知って比較したいという人は、以下の記事も併せて確認してみてください。代表的な7大商社の特徴を紹介しています。

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職種別に解説! 製造業の自己PRの例文

職種別に解説! 製造業の自己PRの例文

ここまでの説明で、製造業における自己PRの作成に関するポイントを理解できたのではないでしょうか。最後に、さまざまな職種別の製造業の自己PR例文を7つ紹介します。

実際の例文を参考にすることで、これまで記事を通じて学んだ内容を再確認するとともに、ブラッシュアップすることができます。記事を読んだ後は、自分の自己PRをもう一度見直してみましょう。

①営業

営業の自己PR例文

私の強みは、粘り強さと持続する体力・精神力です。

大学時代、学生団体でのイベント企画に携わった経験があります。ここで私は、多くの参加者を迎える大規模なイベントの企画・実行を経験しました。

特にイベントの成功には、広告戦略の策定、参加者とのコミュニケーション、そして当日の運営管理など、多岐にわたるタスクを効率的に管理することが求められました。

最初はすべてが中途半端になってしまい、多くの人に迷惑をかけてしまっていたのですが、成功のためには自分が成長するしかないと思い、最後まで諦めずに取り組んだことで、当日はイベントを成功させることができました。

また、大学3年生のときには、学生団体の代表としてスポンサー企業との交渉も担当しました。これにより、ビジネスの場における説得力のあるコミュニケーションスキルと、さまざまな状況における適応力も養いました。

これらの経験から、御社の営業部門での活動において、私の粘り強さと戦略的思考が貴社の製品販売力の向上に大きく貢献できると考えています。

市場のニーズを理解し、効果的な販売戦略を策定し実行することで、貴社製品の市場シェアの拡大を目指したいです。

就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス

杉原 美佐子

プロフィール

営業職であっても、製造業=ものづくり産業です。そのため、ものづくりに興味があるとのアピールは必要です。

また、市場シェアの拡大を目指したいなら、製品の魅力についても語りましょう。それがないと別の会社でも通用してしまう可能性もあるので、自己PRとしてはやや弱い印象になってしまうかもしれません。

②商品企画

商品企画の自己PR例文

私の強みは情報収集力です。

以前、製造業界のとある企業のインターンで商品企画の経験を積みました。私たちは、持続可能なライフスタイルを促進するエコフレンドリーな家庭用品のアイデアを開発しました。

私の役割は市場調査と競合分析でした。消費者のニーズとトレンドを研究し、同様の製品を提供する競合他社を詳しく調査しました。この情報をもとに、私たちは独自のアイデアを洗練させ、市場での競争力を高めました。

また、一部ですが実際のプロトタイプの開発とテストにも取り組みました。私たちはデザイナーやエンジニアと協力し、実際の製品を作成しました。このプロセスで、製品のデザインや機能に関する多くの洞察を得ることができました。

サマーインターンの経験によって商品企画の一連の流れを学んだことで、自分の情報収集能力の活かし方を実践ベースで学ぶことができました。御社の商品企画チームでも、市場の情報に常にアンテナを張りながら、新製品の開発に貢献したいと考えています。

アドバイザーが解説! 商品企画の自己PRのポイントは?

加藤 賀子

プロフィール

商品企画の自己PRで重視されるのは、自分の強みを裏付ける具体的なエピソードです。

上記の例でいうと、どのような手段や方法を使って競合他社を詳しく調査したのかを書くことで強みを裏付ける具体的なエピソードを相手に伝えることができ、採用担当者に能力がより伝わるでしょう。

情報収集力についての理解を深めてアピールにつなげたい人は、以下のQ&Aコンテンツも併せて確認してみましょう。情報収集力の意味や磨き方をキャリアコンサルタントが解説しています。

③生産管理

生産管理の自己PR例文

私の強みは、責任感を持って仕事を最後までやり遂げる能力です。

大学時代に化学研究室の課題を通して、研究の品質管理とデータ分析の重要性を深く理解しました。特に複雑な実験の場合、結果で異常値が出る原因の多くは、装置の微妙な調整ミスに起因していました。そこから、細部までこだわってやり切らないと正しい成果を出すことはできないということを学びました。

さらに、学内での環境保全プロジェクトでは、実験の安全管理と廃棄物処理にかかわり、厳格な規則に則ってチームメンバーへの指導を担いました。これらの経験から、問題解決のためには緻密な分析と組織的なアプローチが重要であることを学びました。

御社の品質管理部門で働くことにより、私はこれらの経験を活かし、製品の品質保証と改善プロセスにおいて、徹底した原因分析と対策の策定・実施をおこないたいと考えています。

④製造

製造の自己PR例文

私の強みは、効率的に物事をおこなえる計画性です。

以前、ある自動車部品製造工場でのアルバイトを通じて、製造プロセスの理解と効率的な作業方法の重要性を学びました。

その経験で最も印象的だったのは、品質管理に対する厳格さでした。私は製品の組み立てラインで働きながら、細部まで品質基準を遵守し、かつ改善の提案を積極的におこなうことで、欠陥のない製品を提供するために努力しました。

また、生産プロセスの効率性も重視しました。生産ラインのスケジュールを守り、無駄を削減するために作業者間のコミュニケーションを促進し、協力して生産ラインをスムーズに運営できる環境を作りました。

その結果、不良品の数が減少し、クレーム数も減少したと聞き、製品の信頼性向上に貢献ができたのではないかと感じました。社会人になっても、学生時代に培った計画性を活かして、御社の目標達成に貢献できると考えています。

就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス

塚本 智美

プロフィール

自身の経験をもとにしていることは説得力があります。しかし、PRしたい強みとエピソードが2つ以上あると、強調したい部分がぼやけてしまってややもったいないです。

また強みとエピソードが若干異なっているため、整理するとより良くなるでしょう。

⑤研究開発

研究開発の自己PR例文

私の強みは、粘り強く目の前の研究に向き合う熱意です。物理学部での学びを通じて、実験計画の立案とデータ分析に必要な厳密な思考を養いました。

特に、最終年の研究プロジェクトでは、新しい素材の性質を探る実験を主導しました。このプロセスで、理論の応用と実験の精度に対する深い理解を獲得しました。

また、サマーインターンシップでは、企業の研究開発部門で新製品の試験に携わり、実際のビジネス環境での研究の適用を体験しました。この経験から、学術的な知識を実践的な製品開発に結びつける能力を身に付けました。

御社の研究開発チームに加わることで、私は最新の科学的知見を活かし、製品のイノベーションと品質向上に貢献したいと考えています。

これまでに学んだデータ分析の力と、研究への情熱をもって、御社の研究開発プロジェクトに新たなアイデアをもたらせると確信しています。

アドバイザーが解説! 研究職の自己PRで重要なポイント

杉原 美佐子

プロフィール

研究職の自己PRでは、特に具体的な内容がほしいですね。上記の例だと、「新しい素材の性質を探る実験」で、実際にどのような実験をしたのか詳しく知りたくなりました。

また実験では試行錯誤しているはずなので、そこについても触れるとなお良いでしょう。

⑥資材調達

資材調達の自己PR例文

私の強みは、細部にわたる分析力と効率的な戦略の立案能力です。

大学での経済学の専攻を通じて、市場動向の分析とコスト管理の重要性を深く理解しました。

またサマーインターンシップでは、ある企業の資材調達の効率化に取り組み、コスト削減に貢献しました。この経験により、リソースの管理と最適な供給元の選定における戦略的思考を養いました。

御社の資材調達部門においても、私はこれらの経験を活かし、コスト効率の高い資材調達に貢献したいと考えています。持ち前の分析力で市場の変動を敏感に捉えることで、製造業の競争力強化に貢献できると自負しています。

⑦宣伝・広報

宣伝・広報の自己PR例文

私の強みは、クリエイティブな発想力です。大学時代、私は学生新聞の編集部で活動していて、記事の執筆やデザイン、SNSを通じた宣伝活動を担当しました。

特に特集記事の企画では、SNSやニュースサイトからトレンドを毎日リサーチし、常に読者のニーズにマッチした話題を取り上げることを意識していました。

毎日続けることは大変でしたが、読者の人数によって自分の企画の影響力がわかるのがモチベーションになり、続けることができました。

また編集部のSNSでは、フォロワー数を2倍に増やすことにも成功し、効果的な情報発信の重要性を実感しました。

私はこれらの経験を活かし、御社の製品やサービスの魅力を市場に伝え、ブランドの認知度向上に貢献したいと考えています。コンテンツ制作のスキルとデジタルコミュニケーションの経験を用いて、将来的には貴社の宣伝・広報活動の強化に努めたいです。

就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス

加藤 賀子

プロフィール

冒頭に自分の強みを簡潔に書けている部分はとても良いです。ただ、自分の強みをどのように活かして情報発信をし、フォロワー数を2倍に増やせたのかが気になります。

強みを裏付ける具体的な内容まで記載すると良いですね。

製造業の自己PRはその企業ならではアピールポイントで勝負しよう

製造業への就職は非常に競争率が高く、一朝一夕の対策で選考を突破するのは難しいとされています。しかし、この記事で紹介した自己PRの構成や独自性の作り方など、効果的な準備方法を徹底的に取り入れることで、成功をつかめる可能性は大いに高まります。

製造業での自己PRは、あなたの強みを前面に出し、企業が求める人物像とどのようにマッチしているかを示すことが重要です。

この記事で学んだ内容をしっかりと活用し、自分だけのユニークな製造業の自己PRを作成できれば、面接官に思いが届くはずです。その企業ならではのアピールポイントを見つけて、憧れの製造業に就職しましょう。

アドバイザーコメント

製造業は幅広い! 自己PRでは社会にどう貢献したいか考えてみよう

製造業といっても、造船や建設機械などの大型なものから、半導体や電子部品といったナノ分野までさまざまに分かれています。

ほかにも日常生活に密着しているLEDや事務機器、家電製品などの分野がある一方で、医療機器のように特定産業向けの製品もあります。

そして最先端はロボットやドローンなどでしょうか。このようにメーカーは違っても、製品開発への熱意と技術を追求する姿勢は同じです。

製造業では文系でも理系でもそれぞれの力を発揮できる

皆さんが理系なら、勉強してきた技術を製品に落とし込んで、会社や社会に貢献できるチャンスです。作ってみたいもの、興味のある技術は何か考えてみましょう。

文系の皆さんは技術面で考えるのが難しいなら、製品を通じて社会とどのようにかかわりたいかを考えてみてください。たとえば、自動運転の車が過疎地域の高齢者の生活を助けると期待されている話などを聞いたことがあるでしょう。

またグローバルに展開している企業も多く、文系の力を発揮して世界を相手に仕事ができるかもしれません。

日本メーカーの技術力は世界的に高く評価されていて、そこには企業のたゆまぬ努力が秘められています。そこに自分はどのような力で貢献できるか、考えてみてください。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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