就職活動に向き合い始めると、「就職する意味って何?」「なぜ就職しないといけないのだろう」と疑問に感じるタイミングもありますよね。
また就活を実際に進める中で疲れたり嫌気がさしたりしてきて、「就職することに意味なんてないのではないか」と考えている人もいるかもしれません。
就職する意味は、簡単に答えを得るのが難しいテーマですが、自分なりに納得いく答えを見つける方法はあります。
この記事ではキャリアアドバイザーの渡部さん、上原さん、若林さんと一緒に、就職する意味の考え方や行動のヒントを解説します。将来に悩んでいる人はぜひ参考にして、後悔のない選択をできるようにしましょう。
就職する意味に唯一の正解はない! 人生全体を考えて判断しよう
学生時代も夏休みの宿題や難しい数学の問題など、「これに何の意味があるのだろう」と感じた瞬間があるかもしれません。後で役立った人もいれば、直接役立ってはいないが選択肢を広げてくれたという人もいるでしょう。
就職する意味も同様に、就職する前からわかるものではなく、全員に共通する一つの正解もありません。だからこそ、今就職する意味がわからないからといって簡単に就職を辞めると、後から後悔する可能性があります。
この記事ではまず就職する意味について3つの角度から解説し、人生全体の視点から就職を捉え直します。またよくある状況別に、キャリアアドバイザーが就職する意味を見極めるので、自分の悩みと照らし合わせてみましょう。
記事の後半では就職するメリット・しないデメリットを整理したうえで、悩んだときの考え方や取るべきアクションについて解説します。最後まで読んで、自分なりに納得いく就職の意味を見つけ出してくださいね。
面接が上手くいかないときは、面接回答集を活用してください
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「会社に入る」だけではない! 3つの角度から見た就職する意味
就活をしていると、つい「就職する=1つの会社に入る」と捉えがちですが、就職する意味はそれだけではありません。就職する意味を内定を得ることだと考えるとプレッシャーを感じるものですが、複数の視点から考えると就職の捉え方も変わってきます。
ここでは就職する意味を異なる3つの角度から解説するので、就職をフラットな視点から捉え直して、将来を冷静に考えられるようになりましょう。
①辞書上の就職する意味
そもそも就職という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。広辞苑によると、以下のように定義されています。
就職とは
職につくこと。「会社に―する」
一般的に就職とは新しく職業につくこととされていますが、特に日本では、学生が高校や大学、専門学校を卒業して、初めて「正社員として」勤め始めることを示すことが多いです。
後ほど詳しく解説しますが、正社員とは雇用期間を定めずに企業や雇用主と労働契約を結んだ労働者のことで、責任が大きい分、さまざまな制度で守られながら働ける立場です。
簡単にまとめると、辞書上の就職する意味は「学校を卒業する予定の学生が、初めて正社員として職を得ること」といえるでしょう。
②キャリアコンサルタントが考える就職する意味
辞書上の意味はすでに知っている人も多いと思いますが、実際の就職は会社に入ることがゴールではなく、あくまでもキャリアの入口に過ぎません。
多くの学生を支援してきた就活の専門家は、就職の意味をどのように捉えているのでしょうか。ここではキャリアコンサルタントの若林さんに、就職する意味について聞きました。専門家の意見を参考にして、就職する意味をあらためて考えてみましょう。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見る就職することは自分自身のキャリア構築のスタート地点
就職して会社に所属するという点は、社会の一員になるという意味合いもありますが、個人的には自分のキャリアのスタート地点に立つことと捉えています。
就職活動を終えたら、そこで一つのゴールと捉える人もいますが、あくまでもスタートラインに立っただけであって、そこから何十年とキャリアは続くのです。
「社会でどんな役割を担いたいか」を考えてみよう
「人生において何を大切にするか」は人によって違いますが、会社からただ与えられた仕事をこなすのではなく、自分が主体的にキャリアを構築するという価値観がより高まってきています。
以前は会社の中でいかに出世するか、給料をたくさんもらうかがフォーカスされていましたが、今は自分の希望するキャリアを構築するために転職する人も増えていますね。
つまり「最初に就職した会社に定年までいる」というイメージではなく、実際に仕事をしてみて「自分はどういったキャリアを築きたいのか」「自分が社会でどういった役割を担いたいのか」などを自ら考える能力も築いていかないといけないわけです。
就職した会社が自分に合っていればもちろん定年まで働いたら良いと思いますが、最初から終身雇用を意識するのではなく、自分のキャリアを考えながら、会社の一員として、社会の一員として働くことが大切だと思います。
③キャリアのVSOP論から見る就職する意味
就職とはキャリアのスタート地点であるため、キャリア論から意味を考察することもできます。ここでは人生全体の視点から就職を捉えるために必要な、キャリアのVSOP論を紹介します。
VSOPとはVitality&Variety、Speciality、Originality、Personalityの頭文字を取ったもので、下記のようにそれぞれ年代ごとに求められるスキルを表しています。
キャリアのVSOP論とは
20〜50代の年代ごとに、キャリアで求められるスキルを示したもの
V(Vitality&Variety):20代は活力と多様性
S(Speciality):30代は専門性
O(Originality):40代は独自性
P(Personality):50代は人間性
VSOP論によると、20代ではまず「Vitality&Variety(活力と多様性)」が求められます。新しいことや困難なことなど何でも挑戦して、自分のスキルや知識の幅を広げていく期間だということです。
就職ではつい「これ」という絶対の正解を決めなくてはいけないと思いがちですが、実はそんなことはなく、20代はさまざまなことに挑戦する期間なのです。「やりたいことがわからない」「好きなことを仕事にしたい」と悩む人もいますが、これらは今すぐ解決すべき問題ではなく、30代までに自分の道を決めれば良いとも考えられます。
VSOP論から見ると、就職とは自分なりのキャリアを築いていく第一歩であり、20代で経験する多様な仕事のうちの一つであるといえるでしょう。
上記のほかにも、エドガー・シャインの「キャリア・アンカー」や、ドラッカーの言葉「組織が成果を挙げられないならば個人もありえず」(成功した組織があるからこそ個人も活躍できる)なども、就職する意味を考えるためのヒントになります。
総じて、個人ではなく組織で行動したほうが生存しやすいというのが、就職の根源的な意味だと思います。
こちらの記事では「働くとは何か」について、社会人の声を交えながら詳しく解説しています。働く意味が気になる人は併せて参考にしましょう。
働くとは? 社会人のリアルな声から働く意味を考えよう
自分が何の仕事をしたいのかわからない、今の仕事が本当にやりたい仕事なのかわからない、と悩んでいる人は以下の記事をチェックし得ください。仕事探しのコツをまとめています。
仕事で何がしたいかわからない人必見|未来を切り拓く1stステップ
あなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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「就職する意味って?」と感じた瞬間
「就職する意味って何?」と感じた瞬間
- 就職活動で求められる振る舞いに疑問を抱いた
- 企業で働くよりもやりたいことがあると気付いた
- 会社員として働く必要性がわからなくなった
就職する意味について複数の視点から解説しましたが、言葉の意味がわかっても、今就職へのモチベーションが湧かない、就職すべきか迷っているという人もいますよね。
悩みはただ頭の中で考えているだけでは解決できず、まずは自分が何に迷いや違和感を感じているのかを具体的に言語化する必要があります。
ここでは学生がどのようなときに「就職する意味とは?」と感じるのか、よくあるケース別に解説します。自分にも当てはまる状況があるか確認して、悩んでいるポイントを明確にしましょう。
就職活動で求められる振る舞いに疑問を抱いた
みんなと同じようなリクルートスーツを着たり、どの企業の面接でも第一志望だとアピールしたりするなど、就活をして初めて求められるマナーや振る舞いがあります。
こうした独特の雰囲気や行動に疑問を抱いたり、抵抗を感じたりする人もいるかもしれませんが、就職するには就活は避けては通れません。
すると、なぜこんなことをしないといけないのだろう、この行動に何の意味があるのだろうと不満や悩みが積み重なり、結果的に就職すること自体の意味や目的がわからなくなってしまう人もいるでしょう。こうした人は、就活で求められる振る舞いが、就職する意味を見失う原因になっている可能性が高いです。
就活で失敗を経験すると、就活が嫌になってしまうこともありますよね。こちらの記事では就活に疲れたときの心身の休め方を解説しているので参考にしてください。
就活に疲れた人への休息の手引き|絶対にやってはいけないことも解説
中には「就職したくない」と思い詰めている人もいるかもしれません。就職したくないと思ったときの原因や取るべき対処法をこちらの記事で解説しているので、併せて確認しましょう。
就職したくないと悩むあなたへの解決案|悩みの原因と対処法を解説
就活に嫌気がさしてしまった人は、こちらのQ&Aコンテンツもおすすめです。「就活せずに就職する方法はあるか」という相談に、キャリアコンサルタントが回答しています。
企業で働くよりもやりたいことがあると気付いた
就活の時期に差し掛かったときに、「就職せずに自分のビジネスをやりたい」「留学や大学院進学をしたい」など、ほかの道に興味が湧くこともありますよね。
もし会社に就職するとなると自分の時間の多くを仕事に費やすことになるので、当然留学や大学院への進学など、ほかの大きな挑戦は難しくなります。
また自分のビジネスに挑戦したい場合も、就職してからでも可能ですが、できれば卒業してからすぐに取り組みたいと思いますよね。すでに自分のビジネスを始めている人もいるかもしれません。
このように自分のやりたいことがほかにあると、就職する意味がわからなくなりがちです。もしくは必要性はわかっていても、気が乗らないという人も多いでしょう。
「周りに流されずに自分らしく生きたい」という思いが強い人もいるかもしれません。自分らしく生きる方法や注意点はこちらの記事にまとめているので、併せて参考にしてください。
自分らしく生きるためには? すぐできる11個のコツとやめるべきこと
会社員として働く必要性がわからなくなった
近年では終身雇用が崩壊し、かつてのように就職したら生涯安泰という時代はほとんど終わりつつあります。またフリーランスとして複数の収入源を持ったり、個人事業主として活躍する人も増えてきていますよね。
そのような中では、そもそも会社員として働く必要があるのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
最低限のお金を稼げれば生きていくことはできるので、会社員になる以外にも稼ぐ方法があるなら、「就職する意味ってあるの?」と感じてしまうものです。この場合は、組織の一員として働くことのメリットがわからなくなっていることが、就職する意味に悩む原因かもしれません。
中にはニートとして楽に生活したいと考える人もいるでしょう。こちらの記事でニートになる注意点や実現方法を解説しているので、気になる人は確認してみてください。
ニートになりたい人必見! 必要な準備や知っておくべきリスクを解説
会社に就職する以外にやりたいことがある場合には、あえて就職する必要はないので、別の道に進めば良いですね。
ただ困ってしまうのが、別にやりたいことがあるわけではないけれども、「会社って堅苦しそうで自分にはどうも合わない気がする……」という理由で就職に気が進まない場合です。
このように感じている人は、この記事が参考になるかと思います。
ケース別に専門家が見極める! 就職する意味がある人・ない人
ケース別に専門家が見極める! 就職する意味がある人・ない人
- 「就活に嫌気がさして就職の意味がわからなくなった」ケース
- 「とりあえず進学や留学をしてから就職の意味を考えたい」ケース
- 「自分で事業をしたいので就職する意味があるか悩んでいる」ケース
「就職する意味って?」と感じる瞬間について解説しました。自分の今の状況を認識できたら、その疑問や悩みについてキャリアの専門家がどのように考えるかを見てみましょう。
過去の学生も就職する意味について悩んできた可能性があるため、実際に多数の相談に乗ってきたキャリアコンサルタントなら、すでに解決のヒントを知っているかもしれません。
ここではよくある3つのケース別に、キャリアコンサルタントのアドバイスを聞きました。複数の悩みに同時に当てはまることもあるので、ぜひそれぞれの考え方を取り入れて、自分の判断の参考にしてください。
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ケース①「就活に嫌気がさして就職の意味がわからなくなった」
就活で失敗が続いたり、やりたいことがわからなくなったりして嫌気がさしてしまうこともありますよね。また先述のように、就活で求められる振る舞いに抵抗を感じて就職の意味がわからなくなることもあるでしょう。
ここでは就活に嫌気がさして就職の意味がわからなくなった場合、キャリアコンサルタントの渡部さんがどのようにアドバイスするかを聞きました。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る就職は誰でも稼ぎながら成長できる有利な方法
就職しなくても自分で生計が立てられて、長い人生を生きるうえで何らかの付加価値を高めながら幸せに生きていけるなら、私も別に就職しなくて良いと思います。
しかしほとんどの人は、学生の段階では世の中に価値を提供できるだけのスキルも経験も持っていないわけです。自分一人では世の中から対価を得られない、つまり「就職しないと自立できない」というのが多くの学生の現実ではないでしょうか。
まだ自立できていない人が「就職する意味」でなぜ悩むのかが、私のような大人にはちょっと理解に苦しむのですが、就職自体は、若い人がお金を得ながら経験を積んで成長していくステップとして、ロスの少ない有利な方法であると思います。
「就活」が嫌ならリスクを踏まえたうえでほかの道も選べる
もし「就職」ではなく、単に「就活」が嫌というなら、型にはまった就活をやめて、アルバイトや契約社員からスタートしても良いのです。もしくは起業するのもアリでしょう。
ただしその分、労働条件も不安定で、仕事ぶりで企業や顧客から評価を得なけらばならず、いろいろな点でリスクは高いです。
自立できるか・リスクを負えるかという観点で、自分の状況と就職する意味を改めて考えてみてください。
中には就活のやり方を把握していないのが原因でうまくいっていないだけの人もいるかもしれません。こちらの記事で内定を取るコツを確認しておきましょう。
就活であっさり内定をもらいたい人必見の10の方法! 注意点も解説
就活に嫌気がさして、「もう何もしたくない」と思ったときは無理をしないように注意が必要です。無気力になったときには大事にすべきポイントがあるので、こちらの記事で解決策を見つけてください。
「何もしたくない……」無気力でも納得の道を見つける方法
中には「もう就活がいやだ」と感じている人もいるでしょう。こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントが同じような悩みに回答しているので、併せてチェックしてみてください。
ケース②「とりあえず進学や留学をしてから就職の意味を考えたい」
就職する前に留学やワーキングホリデーに行きたいと考えたり、大学院に進んでもう少し勉強したいと考えたりする人もいます。
やりたいことが明確にあり、すでに意志が固まっているのなら問題ないですが、本当に今すぐ就職しなくて良いのか不安な人や、いったん決断を先延ばしにするために学生のままでいたいという考えの人もいるかもしれません。
このような場合、「とりあえず進学や留学をしてから就職の意味を考える」というのは妥当な判断なのでしょうか。キャリアコンサルタントの上原さんにアドバイスを聞きました。
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る目的やその後の人生設計を明確にできれいれば問題ない
自分がどのように自立し生活していきたいかを考えることが必要です。その結果が企業に就職することであれば、就職することになります。逆にほかに歩んでいく道が見つかれば、就職する必要はありません。
就職する意味があるかないかというよりも、自分が人生でどのように自立し、歩んでいくのかを設計することがポイントです。
その道を探るために進学や留学をして、自分自身を見つめたり、スキルや知識を身に付けたりして経験値を増やすことは良いと思います。
将来像があやふやだと進学後・留学後にまた道に迷ってしまう
ただし、何のために進学したり留学したりしたいのかをきちんと見定めておかないと、進学や留学の期間が終了したときに何も見つけることができず、道に迷った状態のままになりかねません。
明確な目的がないままにとりあえず進学や留学をすることで、自分の人生設計を後送りにしているだけでは前に進めないのです。
「とりあえず就職してみよう」という選択肢になぜ抵抗があるのか、自分自身に聞いてみましょう。将来の自分はどんなふうになっていたいのか、じっくり考えてみることが必要です。
大学院に興味がある人は、卒業後の就活が大学生とどう変わるのかも事前に把握しておきましょう。こちらの記事では文系の大学院生の就活事情を解説しています。
文系の大学院生の就活事情を解説! 就職を成功させる3つのポイント
「とりあえず進学するのはあり?」と気になる人は、こちらのQ&Aコンテンツもおすすめです。「就活に失敗したら進学するのはありか」という相談にキャリアコンサルタントが回答しています。
「文系の就職先は少ない」などと聞いたことのある人も多いと思いますが、文系の就職先は多くあります。以下の記事では文系の就職先について詳しく解説しているので参考にしてみてください。
文系の就職先は多様! 業界別人気企業ランキングと後悔しない選び方
39点以下は危険!就活の弱点を克服するために今すぐ診断しよう
就活では気をつけるべきことが多いです。いざという時に「その対策はしていなかった…」と後悔したくないですよね。
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ケース③「自分で事業をしたいので就職する意味があるか悩んでいる」
就職する意味に悩んでいる人の中には、会社に就職するのとは別にやりたい仕事があるという人もいるでしょう。
たとえば起業したい人、すでにブログやSNSなど自分のビジネスに挑戦している人、フリーランスとして働きたい人などさまざまな状況が考えられます。
自分で事業をしたくても、本当にうまくいくのか、まず就職して働きながら取り組んだ方が良いのかなど不安もありますよね。また周囲から「一度は会社員を経験した方が良い」といわれることもあるかもしれません。
ここではキャリアコンサルタントの若林さんに、こうした場合にどのように判断すれば良いかを聞きました。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見る悩んでいる時点で事業をやってもうまくいかない可能性が高い
少し厳しいことを言いますが……。自分自身も事業をやっているので、その経験から伝えると、「悩んでいる時点で、就職した方が良い」です。
たとえば学生のうちから事業をやっていて、ある程度売り上げがあるならば、悩むまでもなくそのままその事業をやろうと思うはずです。そう思わないということは、そこまで売り上げが立っていない、もしくは何か事業に悩みがあったり自信がなかったりするわけです。
そのような状況で事業をやっても、頭打ちになってしまったり、売り上げが上がらなかったりして悩むのは目に見えています。
就職して知識や人脈を広げながら自分の力を見極めよう
自分が興味のある分野に就職すると、そこで自分が知らなかった側面が見えるだけでなく、事業のアイデアも浮かんできます。と同時に、自分が独立した後の人脈が築ける可能性もあります。
「自分で事業がしたい」という人は増えていて、大学生からの相談内容でも多い印象です。しかし実際に事業を始める人は、そこまで多くありません。
悩んでいるなら、一度就職をして勉強をしながら、「本当に自分は事業をするのに向いているのか」「どんな事業をしたいのか」を見極めると良いと思います。
やりたいことで生計を立てたいと考える人の中には、就活から逃げたい気持ちがある人もいるかもしれません。就活を現実逃避してしまうことに心当たりがある人は、こちらのQ&Aコンテンツも確認しましょう。
自分なりの答えを見つける! 就職する意味に悩んだときのアクション
自分なりの答えを見つける! 就職する意味に悩んだときのアクション
- キャリアは一度で決める必要はないと考える
- 就職する場合・しない場合の違いを整理する
- 働いている複数の大人に話を聞く
「就職する意味って?」と感じるケース別に、キャリアのプロがどのように判断するのかを解説しました。今度は自分の場合に置き換えて意味を考えていきましょう。
ここでは就職する意味に向き合うために効果的な3つのアクションを解説します。自分なりに納得いく答えを見つける手助けにしてください。
キャリアは一度で決める必要はないと考える
まず大切なのが就職に対する心構えです。先述のキャリアのVSOP論でも解説しましたが、就職は一度で正解・不正解が決まるものではなく、長い社会人生活の一歩目に過ぎません。
むしろ今悩んでいない人でも、就職してみて初めて自分のやりたいことに気付いたり、別の仕事に興味が出てきたりすることも珍しくありません。キャリアは就職という一度の機会で決める必要はない、むしろ決められないと考えることが大切です。
一度で決めずに働きながら最適な道を見つけていけば良いと考えると、就活の捉え方も変わって気分が楽になります。まずは働き始めることが、正解に近付く重要な一歩だと捉えてみてください。
- キャリアを一度で決める必要がないなら、就職では何を大切にすれば良いですか?
自分の将来の選択肢を広げるには? という観点で考えよう
理想の将来像がある人は、そのためのスキルが上がる仕事を選びましょう。また将来像が明確でない場合は、自分の将来の選択肢を広げられる(狭めない)ような仕事を選ぶことです。
選択肢を広げるというのは、価値ある経験を積んだり、お金を貯められたり、高いレベルの技能が身に付いたりすることです。
日本は経済規模の変化以上に、労働力が今後も減り続ける国であり、若い労働力の価値は年々上がっていきます。
転職志向も年々高まっていて、転職支援サービスもどんどん充実していくはずなので、一定のスキルを身に付けた人は今後ますます有利になるでしょう。
納得いく就職先を決めるにはコツがあります。こちらの記事で就活で見落としがちな点や注意点を解説しているので、就職先の選び方の参考にしましょう。
就職先の決め方決定版|学生が見落としがちな視点と注意点を徹底解説
就職する場合・しない場合の違いを整理する
就職の意味がわからなくなっているときは、就活や就職することへのネガティブなイメージばかりに注目していないかを一度考えてみましょう。
今の気持ちだけに捉われず、数年後の将来まで見据えて考えることが、後悔のない選択をするために不可欠です。就職することで得られるメリットと就職しない場合のリスクやデメリットを比較して、就職するメリットの方が上回ったり譲れない点が見つかったりすれば、それも十分就職する意味になります。
最初から完璧な就職先というのはなかなか見つからないものですが、一方で就職しない場合にも、必ずしもうまくいくとは限りません。メリット・デメリットは後ほど詳しく解説するので、両者を冷静に見比べて、完璧でなくても自分にとっての就職する意味になるものを見つけてみましょう。
就職へのネガティブなイメージとして、特に実家住まいの学生からは「そんなに稼がなくても良いから自由な時間が欲しい。就職すると自由がなくなるからイヤ」という声が聞かれます。
アルバイトをしている学生ならそれなりに収入がある人もいて、このままフリーターで自由に暮らしたいと思う人もいるでしょう。しかし就業経験がないと、いざ就職したいと思ったときに不利になるという点を知っておきましょう。
働いている複数の大人に話を聞く
就職する意味に悩んでいるときに特に避けたいのが、自分一人の考えだけで行動することです。
もちろん自力で調べたり考えたりする意識も大切ですが、就職したことがない状態で、自分にとってのベストな選択が自分一人でわかるとは考えにくいです。すでに社会人として働いている大人に相談して、実際の経験から得た話を聞いてみましょう。かつて同じような悩みを持っていた人なら、効果的なアドバイスをもらえるかもしれません。
またパーソルの就職活動と入社後の実態に関する定量調査によると、少数の意見しか聞かなかった学生は入社後にギャップを感じやすく、反対に多様な相手に相談している学生は、会社や適性の理解度が高いというデータがあります。
そのためできるだけ複数の人からさまざまな話を聞いてみると、より客観的に将来を考えることができ、就職する意味のヒントが見つかりやすくなりますよ。
複数の大人に話を聞く方法
- 教授やすでに就職している先輩に相談する
- 大学のキャリアセンターを利用する
- OB・OG訪問をおこなう
- インターンに参加して社員と交流する
- アルバイトをして社員に話を聞いてみる
- 就職について大人に話を聞く場合、どんな人にどんなことを聞くのがおすすめですか?
さまざまなタイプの大人にキャリアストーリーを聞いてみよう
就職について話を聞きたいなら、一人の人に聞くよりも複数の大人の意見を聞いてみると良いと思います。
同じ会社でずっと働いている人、転職経験がある人、就職した後に資格取得した人、フリーランス、経営者など。違うタイプの人にそれぞれのキャリアストーリーを聞いてみましょう。
キャリアストーリーは人によって全く異なるうえに、中には就職した当初と今では全然違う分野で活躍している人もいて、話を聞くだけでもモチベーションが上がります。
何より自分の固定観念も変えられる、良いきっかけになると思いますよ。
就活の相談先は意外にもたくさんあります。こちらの記事ではおすすめの相談先14選を紹介しているので、社会人に話を聞く際にぜひ参考にしてください。
就活の相談先14選! 良い決断ができる相談相手の選び方も解説
OB・OG訪問のやり方がわからない人は、こちらの記事を確認しましょう。就活に活かすコツや正しい手順を解説しています。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
あらためて確認! 就職する最大のメリット3選
あらためて確認! 就職する最大のメリット3選
- ゼロから教えてもらえる
- さまざまな制度で守られる
- 個人ではなし得ない大きな事業に携われる
就職するメリット・就職しないデメリットを実際に見極めていくために、ここではまず就職で得られるメリットを解説します。
もちろんお金を稼げるという大きな意味がありますが、ここでは特に見逃しがちなメリットに絞って3つ解説します。就職する意味がわからないという人は必ず確認して、慎重に判断していきましょう。
メリット①ゼロから教えてもらえる
就活を進める中で、「ポテンシャル採用」という言葉を聞いたことがある人もいますよね。ポテンシャル採用とは今ある経験や能力で採用するのではなく、今後の成長を見越して採用するという制度です。
日本の就活ではポテンシャル採用が一般的であり、その業界や職種の知識や経験がまったくなくても、意欲や人柄次第で採用されます。そして入社後も数カ月〜半年ほどの長期研修があり、ビジネスマナーなどの基礎から教えてもらえます。これはつい見落としがちな点ですが、就活ならではの大きなメリットです。
社会人採用の場合はこうは行かず、「どんな実務経験を積んできたか」というスキルベースで合否が決まります。つまり新卒の就職とは、給料をもらいながらゼロから教えてもらえるという魅力的なチャンスなのです。もちろんその分、挑戦できる選択肢が広いのもメリットといえます。
多くの職種では、新人の利益への貢献度はあまり高くありません。しかし企業はその新人に、給与以外にも福利厚生費、教育費、そのほか間接経費を負担してくれます。
教える先輩の人件費も含めれば、1年間で本人の年収の倍くらいの経費をかけるのです。個人ではそんな環境はまず用意できませんね。
メリット②さまざまな制度で守られる
就職すると企業や雇用主と労働契約を結びます。すると企業は労働基準法に則り、それを下回る基準で従業員を労働させることはできないため、労働者はさまざまな制度で守られることになります。
先述の通り、就職とは一般的に正社員として就労することを指すため、ここでは正社員として働く場合のおもなメリットを紹介します。
正社員として働くおもなメリット
- 昇進・昇給のチャンスが多い
- ボーナスがアルバイトやパートより多く出る
- 有給休暇を付与され、取得する義務がある
- 育児休暇や時短勤務、介護休暇などライフスタイルに合わせた働き方をしやすい
- 事故や病気で一定期間働けなくなっても、休職しながら基本給をもらえる
- 会社都合の臨時休業などで出勤しなかった場合も、基本給や手当が出る
- 会社が倒産して失業した場合も失業保険をもらえる
- (個人事業主と比べると)労働時間や残業時間の上限が定められている
上記のように、単に毎月給料をもらえること以外にもさまざまなメリットがあります。就職とは会社のルールに従って働くことという窮屈なイメージを抱く人もいるかもしれませんが、このように見てみると守られた環境で安心して働ける方法なのです。
就活に嫌気がさして就職をやめたくなっている人や、アルバイトの方が楽に生活できそうと考えている人は特に、上記のメリットをよく確認してから判断しましょう。
ほかにも、一度就職すると余程のことがない限り解雇されないというのも特徴です。生活が安定し、将来設計が立てやすいというメリットも付いてきます。
解雇されにくい一方で、自分が辞めたいと思えば比較的簡単に退職することができるのもメリットですね。
正社員とほかの雇用形態の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。どのようなメリットがあるのかさらに知りたい人はぜひ参考にしてください。
正社員で働く8つのメリット! 他の雇用形態との違いと格差問題とは
メリット③個人ではなし得ない大きな事業に携われる
就職すると、スケールの大きい事業や責任のある仕事にチャレンジできるチャンスが多くあります。これはアルバイトや個人事業主として働く場合との大きな違いです。
以下のように、個人ではなし得ないほどの大きな規模の事業に携わることができます。
就職して大きな事業に携わる例
- コンサル業界→大企業の事業戦略を提案する
- 広告業界→顧客企業の主力商品の広告を立案する
- 建設業界→行政ともかかわりながら地図に残る建築物を作る
もちろん個人でも大きな事業にチャレンジすることはできますが、そもそも人脈がなかったり、予算がなかったりして実行するのが難しく、失敗した場合も自分でそのリスクを背負うことになります。
一方で、就職する場合はある程度リスクがコントロールされている中で、早くから大規模な事業にかかわれるのが大きな魅力です。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る就職すると安心感に加えて社会的欲求も満たせる
1人で起業することと比較すればわかりやすいと思いますが、すでに事業基盤のある会社に入って働くということは、事業を起こすときに大きな障害となる顧客開拓や広報、商品やサービスをゼロから作る、といったさまざまなハードルがクリアされた状態からスタートできるということです。
しかも最初から給与が支給されるので、マズローの欲求階層説で言えば、下の3階層(生理的欲求、安全欲求、社会的欲求)が就職によって同時に満たされるということになります。
お金や物に加えて、会社の中での役割や居場所というものは、社会的欲求の一部になるからです。これがある程度満たされることは、生きていくうえで大きなメリットと言えるでしょう。
定職がないことによるリスクを踏まえて自問自答しよう
私は失業者の支援も5年ほどしたことがありますが、職を失うと、この3つは一瞬にして失われます。当事者は大きな不安とストレスに襲われ、体調を崩す人やメンタル不調に陥る人もいます。
何もなく平和に働いているときは、あまりその価値に気づかないものなのです。
職場にもいろいろあるので、一概にどこであっても就職すれば良いとは思いませんが、上記のことを考えたうえで、リスクを取って就職しないのか、何であれ就職して経験を積むべきか、と自問自答してみてください。
不安なら慎重に判断しよう! 就職しない場合の3大リスク
不安なら慎重に判断すべき! 就職しない場合の3大リスク
- 金銭的に不安定になりやすい
- 社会的信用を得にくい
- 挑戦の選択肢が狭まる
一般的に「卒業後はストレートに就職すべき」と考える人が多いので、「就職する意味って?」と感じている学生にとっては理不尽に思うかもしれません。
しかし多くの人がそう唱えるのにはきちんと理由があります。それを知らずに何となく就職活動を放棄したり先延ばしにしたりすると、後悔につながりかねません。
ここでは就職しない場合の3大リスクを解説するので、どのようなデメリットがあるのか必ず事前に把握して、冷静に判断していきましょう。
リスク①金銭的に不安定になりやすい
まずイメージしやすいのが、正社員として就職する場合に比べて金銭的に不安定になりやすいことです。先述のように正社員の場合はさまざまな制度で労働環境が守られていますが、アルバイトやフリーランスとして稼ぐ場合は、自分で働いた分しかお金は入ってきません。
学生時代の感覚からすると、「アルバイトでもかなり稼げるはず」と思うかもしれませんが、社会人になると税金や社会保険料も当然納めなくてはなりません。また奨学金を利用していた場合はその返済もスタートするので、思ったよりも手取りは少なくなると考えましょう。
そうした中で安定的に生活費を稼いでいくのは、一定レベルのスキルや実力、また体力がないと難しいものです。金銭的な余裕のなさを不安に感じやすい人は、特にこの点に注意してください。
フリーランスで正社員と同額稼げたとしても、そこから税金・保険・年金などを収めると、実際の手取りは正社員より少なくなります。
さらに、万が一病気や事故で働けなくなったときの補償もないので、ある程度の貯蓄が要ります。生命保険などを多めにかけてカバーしておく必要もあります。
ちなみに……住宅ローンやそのほかのローンも借りづらいです。これらの金銭面のデメリットを把握しておきましょう。
卒業後に就職しない場合は、フリーターになる可能性もあります。フリーターと正社員の違いやリスクをこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
フリーターとは? 正社員とのリアルな違いや将来性を徹底解剖
リスク②社会的信用を得にくい
就職しないことで意外にも不便に感じるのが、さまざまな場面で社会的信用を得にくくなることです。
たとえば部屋を借りたり、クレジットカードを作ったりなどは、収入や資産の審査を通過する必要があります。こうした審査は信頼できる身分や安定した収入などを重視するため、個人事業主だと成功している人でさえ通過しにくいという実態があります。学校を卒業したばかりの新卒であればなおさらです。
また信用という点では、「やっぱり就職したい」と思ってからだと選考のハードルが上がってしまうというデメリットも挙げられます。一度正社員として就職していれば転職もしやすいですが、一度も就職していない場合は、「組織になじめないのではないか」「ほかの企業に入れなかった理由があるのではないか」と企業に懸念を抱かれやすいです。
もし就職しないのであれば、このように先々でハンデを負いやすくなるというデメリットも受け入れる覚悟が必要になります。
- 就職せずアルバイトをしていた場合も、再就職は困難になりますか?
アルバイトでスキルを得て成長できれば問題ないこともある
会社に就職せずにアルバイトをして生計を立てることは、何ら悪い選択ではありません。再就職が困難かどうかは採用する会社次第なので、再就職が困難であるとも言い切れません。
アルバイトを選んでいた理由や考え方、アルバイトをしてきたことで得られた経験やスキル、どんな点で自身が成長できたのかなど、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。
そして再就職する際は、なぜ就職したいと思うようになったのかを、志望する会社を選んだ理由とともに採用面接で語ってください。
既卒として就活をやり直すことも可能ですが、そこには新卒とは異なる注意点があります。既卒での就活を視野に入れている人はこちらの記事も併せて確認しておきましょう。
既卒とは? 新卒・中途との違いや就活の必勝法を徹底解説
リスク③挑戦の選択肢が狭まる
就職しなければ、会社に就職するよりも自由に道を選べる気がするかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。むしろ、挑戦できる幅が狭まる可能性もあります。
就職した方が挑戦の選択肢が広がる例
- 責任の大きなプロジェクトを任せてもらえる
- マネジメントに挑戦できる
- 個人では出会いにくいさまざまな立場の人と人脈を築ける
- 新規事業の立ち上げなどに手を挙げられる
- 部署異動や転職でスキルを広げられる
上記のように、就職すると会社という環境を活かすことで挑戦の選択肢は大きく広がっていきます。一方で就職しない場合は、自分の実力の範囲でしか行動できず、意外にも挑戦のチャンスや成功の確率は小さくなりがちです。
就職に抵抗がある人は、こうした両者の違いを見極めて、長いスパンでのメリット・デメリットを精査して自分の選択を下すことが大切です。
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る就職しないと経済的なリスクが高まり自立の機会を逃しやすい
就職しないデメリットとして、就職することで得られるスキルや経験を積む機会を逃してしまうことが考えられます。また職場では異なる背景や専門知識を持つ人々との出会いが期待できるので、人脈を広げて社会とつながる機会も失ってしまう可能性も生じます。
ただしこれらのことは就職しなくても努力で得ることができるので、そこまで大きなデメリットとまでは言えません。
それよりも、就職しないことで、親やほかの家族に経済的に依存する可能性が高まります。自立することで果たせる、自己責任を担う機会を逃すことに注意が必要です。
さらに就職することで得られる社会保障や年金制度に加入するというメリットを失う可能性も高まります。
就職しないならどのような姿で自立したいのかを明確にしよう
仮に就職しない選択をしたうえで、自分はどのように自立した人生を送っていこうと考えるのか、この点が最も大きなポイントとなると思われます。
自分のありたい将来像をよく思い描いておくことが大切です。個々の考え方や状況はさまざまなので、就職することが最良の選択であるとは言いきれません。
就職しない選択を含めて、どのようなキャリアを選択するのが自分らしく、ありたい姿を目指せるのかをよく考えておきましょう。
自分なりの意味が見つからない人は期間を決めて就職するのも一つの手
就職する意味について考える方法を解説しましたが、それでも自分なりの答えが見つからない人もいるかもしれません。
悩んでもわからない人に検討してほしいのが、「とりあえず普通の就職をしてみる」という手です。就職してみないと自分がやりたいことや仕事に求める価値観など、見えてこないものも多く、結局は経験することが解決の近道になるからです。
また繰り返しになりますが、キャリアは一度で決める必要はなく、別の道が見つかったら異動したり転職したりすることも可能です。そのため、「今後ずっと働く会社を探す」というよりも、「1年間だけ働くとしたら?」というように、期間を決めて就職してみるのがおすすめです。
期間を限定して考えてみることで「どうせなら興味のある仕事に挑戦してみよう」と前向きに思えたり、「通いやすい会社を選ぼう」というように自分が仕事に求める条件がいろいろと見えてきたりします。
一度正社員として就職したという経験が人生において不利になることはありません。悩んだまま時間を無駄にしないためにも、ぜひ検討してみてください。
自分のやりたいことが見つからず、就職に迷っている人もいますよね。やりたいことに気付く方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ併せて確認しましょう。
やりたいことがわからない人必見! 隠れた本心を見つける思考・行動
とりあえず就職するということに抵抗がある人は、こちらのQ&Aコンテンツもおすすめです。「希望しない会社でも就職すべき?」という悩みにキャリアコンサルタントが回答しています。
就職する意味に捉われすぎないで! 後悔のないように行動しよう
就職する意味についてさまざまな角度から解説しました。就職する意味は万人に当てはまる正解はなく、自分の優先順位をもとに、長いスパンで考えることが大切です。この記事では就職する自分なりの意味を見つける考え方を解説したので、悩んでいる人はぜひ行動に移してみてください。
その際は、就職する意味は就職する前から簡単にわかるものではないということを念頭に置いておきましょう。多くの人にとっては就職して初めて見えてくるものであり、意味がわからないことを負担に感じる必要はありません。まずはキャリアの第一歩を踏み出して、少しずつ自分なりの答えを見つけていってください。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見るいざ就職してみると意外にも仕事を楽しめる人も多い
学生と話していると「就職=義務」のように考えていて、「この楽しい学生生活が終わるのがイヤ」「できれば就職せずに自由に生きていきたい」というようなネガティブな発言も聞かれます。
しかし実際に働いてみると、意外と仕事が楽しかったり、第一志望ではない会社に就職したけれど、その会社が自分に合っているというケースも多くあるのです。
考えは数年後には変わるもの! 今のイメージに捉われず行動してみよう
就職は義務ではないので、必ずしなければいけないものではありません。ただし、大学卒業後にフリーターなどの期間が長くなればなる程、就職しづらくなるのも事実で、自分のキャリアを考えたときには不利に働いてしまいます。
今の自分と数年前の自分の考え方が変わっているように、就職することで自分が目指したいキャリアや自分に向いている仕事、やりがいを感じる仕事は変化することがあります。
今は就職にネガティブなイメージを持っていたとしても、とりあえず行動を起こしてみて、自分のキャリアを進めてみましょう。
いつか振り返ったときに、今の悩みは解消されていて、自分にとって納得できるキャリアが築けていることを祈っています。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Masamitsu Uehara〇会社員時代は人事部として3000人以上の学生と面談を実施。大学でも多くの学生のキャリア支援をおこなう。独立後は、就活生からシニア層までさまざまなキャリア相談に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事
Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修
プロフィール詳細